Facebook、「うっかりクリック」は広告として課金しない方針を発表

FacebookはAudience Networkでユーザーが「うっかりクリックした広告」に対し広告料金を課金しないこととした。

われわれは別のページを開こうとしてタップしたりスクロールしたりスワイプしたりする拍子にうっかり広告を開いてしまうことがある(私の場合、意図して開くというよりこうして偶然に開いた広告の方が多いと思う)。

そこでプロダクト・マーケティング担当マネージャーのBrett Vogelは「FacebookはAudience Network(Facebookが自社以外のアプリに広告を配信するサービス)において意図しない広告クリックについては広告主に課金せず、広告メトリックスからも除外する」と発表した。

Facebookではユーザーが広告を開いてから2秒以下で閉じたり遷移したりした場合は「意図しない動作」とみなすことにした。ともあれ、ユーザーが広告を開いて2秒以下で戻ってしまったのではその広告が気に入られなかったことは確かだ。

Vogelは2秒以下という時間に関して「とりあえずこれでスタートするが必要があれば調整する」としている。

Facebookからの広告配信を受けて掲載しているサイトの運営者は収入の減少を心配するかもしれないが、Vogelは「大多数のサイトでは意図的でないクリックの数は少ないためほとんど影響を受けないはず」としている。Vogelはこの変更はエコシステムの改善を目的としているとして、「非意図的な広告クリックに頼るようなサイト運営は長期的にみて不健全だ」と付け加えた。

Facebookではこれに加えて新しい広告メトリックスを導入している(われわれの記事)。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook、 いよいよサードパーティへのモバイル広告配信ネットワーク、FANをローンチ

今日(米国時間4/30)開催されたf8デベロッパー・カンファレンスでFacebookはFAN(Facebook Audience Network) という新しいモバイル広告ネットワークを発表した。

これによりサードパーティーのモバイル・アプリのデベロッパー、パブリッシャーは広告営業、広告ターゲティング、実績管理、支払い管理などを自分自身でしなくても広告収入を得られるようになる。

先週私がスクープしたとおり、FANに参加すれば、広告に関するすべてをFacebookが代行してくれる。デベロッパーはバナー広告を掲出するなら数行のコードを書くだけよいし、もっとアプリのコンテンツの一部に溶け込んだ広告を掲出したければFacebookの協力を受けることができる。

Facebookによれば、デベロッパーはFANにこちらからサイインアップすることもできるし、Facebookの広告代理業者に連絡を取ってもよい。このプログラムは現在ベータテスト中で、今後数ヶ月かけて一般に利用可能になる。当面対象となる広告主はモバイル・アプリのインストールや利用を呼びかけるデベロッパーだが、将来はFANを他の分野の広告にも拡大する計画だ。ウェブサイトのトラフィック増強のための広告やeコマースの広告などが含まれることになるだろう。Facebookは「テスト期間中に次第に〔広告の〕パフォーマンスが改善されるものと期待している」と述べている。

FANではIABバナー広告、IABインタースティシャル広告、ネーティブ広告の3種類が用意される。広告デザインはモバイル・アプリのインストールなどそれぞれのビジネス上の目的に合わせて最適化される。

Facebookによれば、Facebook SDKないし広告統計サービスを利用することによって広告主はFANによる表示回数やコンバージョン件数などをモニタできる。また年齢、性別その他の広告閲覧者データも収集できる。

Facebookがモバイル広告ネットワークのテストを開始したのは2012年に遡るが、その後Facebook内での広告の強化に集中するために、オフサイトでの広告ネットワーク・プロジェクトは棚上げとなっていた。

2013年9月にFacebookはモバイル広告ネットワークのテストを再開した。これはそれまでの実験と異なり、広告主、パブリッシャーと直接に取引するタイプとなった(サードパーティーを介さないのでFacebookのマージンが大きくなる)。最近行われた2014年第1四半期の決算報告でCOOのシェリル・サンドバーグは「この広告ネットワークのテストでは関係者から高い評価を得た。大いに希望のもてる結果だった」と述べた。

Re/codeのMike IsaacはFacebookは今日この広告ネットワークをローンチするだろうと報じていた。今日、私はその名称がFAN (Facebook Audience Network)であり、IABガイドラインに沿った定形広告だけでなくカスタマイズされたフォーマットの広告をサポートすることを含め、各種の詳細を確認することができた。以下は、バナー、インタースティシャル、カスタム、それぞれのサンプルだ。

この広告ネットワークはInMobiなどのネットワークのライバルとなる。 [アップデート:FANはTwitterのMoPubのような仲介サービスとは競争関係にないことが判明した。このようなサービスはFANを通じた広告を他の広告ネットワークからの広告と同時に表示することができる。FANとMoPubの協調関係についてのフォロー記事を参照]

FANが十分な広告主とパブリッシャーを集めて運営が軌道に載るまでには数四半期かかるだろうが、Facebookの収入の新たな重要な柱となる可能性を十分に秘めている。

今回のFANのローンチでFacebookは、マネタイズのチャンネルを自らのネットワーク内での広告掲出から、サードパーティーのパブリッシャーへの広告配信へと拡張した。これまでFacebookの売上はニュースフィード内の広告の表示数とそれを訪問するユーザー数に直接比例していた。

広告ネットワークを通じたサードパーティーへの広告配信ならFacebook内に広告を溢れさせてユーザー体験を悪化させることなく、収入を増やすことができる。たとえFacebook内でのユーザー・エンゲージメントが頭打ちになっても影響を受けにくいし、ライバルに対しても安定して優位性を確保できる。FANが成功すれば、Facebookのユーザーにとっては幸運なことに、Facebook内の広告は減少さえするかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+