FacebookがF8 2020デベロッパーカンファレンス開催日時を発表

FacebookがF8 デベロッパーカンファレンスの日程を発表した。Facebookは毎年このイベントで同社が開発したテクノロジーを披露し、将来戦略をプレゼンしている。発表によれば、2020年のイベントは5月5日と6日にサンフランシスコのMcEneryコンベンションセンターで開催される。興味がある読者はwww.f8.comに登録しておけばチケット購入がスタートしたときに通知してもらえる。

昨年のF8ではFacebook本体の大規模なリニューアル、Messenger、WhatsApp、Dating、Marketplaceなどさまざまなプロダクトのアップデートや機能の新設が発表された。またデベロッパーはFacebookが開発中のVRやスマートホームなどのハイテクハードウェアの活用方法、AxBoTorchなどのプロジェクトについて学んだ。

Facebookが発表したのは開催日時だけで、 2020 F8で何が発表されるのかは明かしていない。声明は「(F8 カンファレンスは)多数のプロダクトのデモ、来るべきテクノロジーを検討し、クリエーティブな利用法を深く学ぶセッションが予定されており、世界のデベロッパーコミュニティのトップメンバーの考えを直接聞き、メンバー相互の交流を深める機会でもある」と述べている。個々のテクノロジー、サービスのデモと紹介に加えて、F8はFacebookの野心的なビジョンをどう実現するのかを説明する格好の舞台だ。

例えば、昨年のF8ではFacebookはプロダクトの個人化を進め、現在のユーザーのエンゲージメントをさらに拡大しようとする方針だということがわかった。最近同社は暗号通貨の一種であるLibraを発表してディスラプトを進める姿勢を示している。しかし一方でFacebookはSnapchatやTikTokのような新興メディアに地盤を侵食されていることを痛感しているはずだ。来年のF8ではFacebookがこうしたライバルの挑戦に対し、どのような新たな回答を持っているのかが分かるかもしれない。他方で、同社は反トラスト法に基づく司法省の調査というさらに大きな問題に直面している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Oculusが「法人向け」を強化、「Quest」の提供とデバイス設定・管理のツールを発表

米国時間4月30日、サンノゼのマッケナリー・コンベンション・センターで開催された、Facebookのデベロッパー向けカンファレンス、「F8 2019」。

VRヘッドセットの「Oculus Quest」と「Oculus Rift S」が5月21日に発売開始されるとマーク・ザッカーバーグ氏により発表され、会場は大盛り上がりだった。コンシューマー向けのゲームももちろん魅力的だけれど、ビジネス向けのOculusに関する新発表も興味深いものだ。

F8で開催されたセッションでは、FacebookのEnterprise Ecosystem担当のIsabel Tewes氏とEnterprise PMのAndrew Mo氏が、Oculusのビジネス向けサービス「Oculus for Business」のOculus Questが追加された新バージョンを今秋より提供開始すると発表した。

「VRヘッドセットは従業員のトレーニングを『効率化し効果的にする』ためのツール」(Tewes氏)

Enterprise Ecosystem担当のIsabel Tewes氏

「どのようなツールが我々(の業務)をより効率化し効果的にするのか。テクノロジーは急速に、職場の『あり方』を変貌させる。ツールは常に進化していていて、過去に発明されたツールは私たちにとって必要不可欠なものとなった。VRもそのようなツールになるだろう」(Tewes氏)

Tewes氏はそう話し、実際に仕事の現場でどのようにVRが活用されているのか、説明を始めた。

1つの例がウォルマート。アメリカだけで100万人もの従業員を抱えるウォルマートは、従業員にVRトレーニングを提供している。内容は、買い物客が殺到する「ブラックフライデー」を含む、「どのような状況」でもフレンドリーな接客を提供するために必要なスキルを磨くためのシミュレーション。ウォルマートはVRによる教育訓練を提供するSTRIVRと手を組みVRトレーニングを提供している。

STRIVR / Walmart

ウォルマートとSTRIVRは昨年に実証実験を開始。200箇所で12種のトレーニングシミュレーションを試みた。「効果的だ」と認められ、2018年の終わりには17000台のOculus Goを全米の4700店舗に導入。今では50ほどのトレーニングプログラムが用意され、2019年中には100万人もの従業員がVRヘッドセットを活用したトレーニングを受ける予定だ。

STRIVRの調査によると、従来の従業員トレーニングと比較し、VRを活用した場合は、訓練にかかる時間が40%削減、そして70%の従業員が従来のトレーニングを受けたスタッフと比べ高いパフォーマンスを発揮した、とTewes氏は説明する。

また、Tewes氏は、ジョンソン・エンド・ジョンソン インスティテュートとのパートナーシップも併せて発表した。医療従事者に対してトレーニング機会を提供するジョンソン・エンド・ジョンソン インスティテュートは今秋よりOculus Questを使ったトレーニングの提供を開始。VR手術トレーニングシステムのOsso VRとの実証実験という形でのスタートとなる。

Osso VR

Osso VRの調査によると、従来の従業員トレーニングと比較し、VRを活用した場合は、パフォーマンスが230%向上する、とTewes氏は述べた。

また、Osso VRの別の調査では、膝の手術のシミュレーションにおいて、従来の訓練を受けていた生徒はアドバイスを求めながら11分39秒、VRでの訓練を受けていた生徒は6分29秒で全てのプロセスを完了したという。

Oculus for Businessを通じ従業員にVRトレーニングを提供している企業(一部)は以下の通り。

関わっているデベロッパー(一部)は以下の通り。

「トラック1台分のOculus Questが届いて、そのセットアップを担当する羽目になった自分の姿を想像してみてほしい」(Mo氏)

Enterprise PMのAndrew Mo氏

Mo氏は「大企業にも対応が可能な」デバイスのセットアップとマネージメントのためのソフトウェアツールを発表。

このソフトウェアツールは、多くのOculusデバイスのセットアップ、マネージメントを一括で行えるもの。

セットアップ用のアプリ(Bulk Device Setup App)を使うことで、Bluetoothで複数のOculus QuestをWi-Fiに接続し、ビジネス向けソフトウェアを全てのデバイスに同時にインストールすることが可能だ。

デバイスのセットアップが完了したら、マネジメント用のプラットフォーム(Device Management Web Portal)を使い、設定を変更したり、アプリを管理したりすることができる。デバイスがWi-Fiに接続されている限り、どこでも調整を行うことが可能だ。

デバイスをグループ分けして管理することも可能。

故障した場合、プラットフォームで状態を確認、カスタマーサポートに連絡し、代用機を依頼することができる。

Oculus for Businessでは、Oculus Goは599ドル(64 GB)、Questは999ドル(128GB)。この値段には1年間の製品保証、ソフトウェア、そしてカスタマーサポートが含まれる。

2年目以降、ソフトウェア利用には年間180ドル(ヘッドセットごとに)が必要だ。Questを投入しサブスク化することで、Facebookは対エンタープライズを強化していく。

Facebook、F8 2019デベロッパー・カンファレンスの日取りを発表

ソーシャル・メディアの巨人、Facebookは2018年を通していささか不本意な報道をされることが多かった。しかしそんなことにはくじけず、ユーザー、デベロッパーのために用意している新しい機能やサービスを発表する場が今年も設けられる。2019年のデベロッパー・カンファレンスの日取りが発表された。

Facebookは来る4月30日と5月1日の両日、サンノゼに戻ってくる。F8カンファレンスは「テクノロジーの進歩によって人々がいっしょにできることがどのように拡大するか、そのショーケースとなる」という短い記事が公式ブログで発表された。

ただ今年のF8は例年に比べて防御的色彩が強いものになるかもしれない。いつも挑戦的なマーク・ザッカーバーグだが、 今年はユーザーのプライバシーを守るためになすべきことが多々あるということが判明している。注目のデート機能、Facebook Datingもまだ慎重にテストを繰り返している段階だ。ハードウェア面でいえば、199ドルのOculus Go VRヘッドセットの評判は全体として悪くないようだ。

F8カンファレンスへの参加受付はまだ始まっていない。来年になってから始まるものと思われる。デベロッパー向けチケットの価格は昨年は595ドルだった。興味があるデベロッパーはこちらのF8サイトに登録しておけばメールで通知を受けることができる。

例年このカンファレンスでFacebookの今後の戦略が明らかにされてきた。では、今年秋のInstagramのトップ交代はどういう影響を与えるだろうか? ケビン・シストロムとマイク・クリーガーが去った後のInstagramはどこに向かうのだろう?  Facebookのブロックチェーン・チームはどんなプロダクトに取り組んでいるのか? Oculusから新しいAR/VRプロダクトは出るだろうか? われわれがあれこれ推測する時間はまだかなりある。

画像:Justin Sullivan / Getty Images

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滑川海彦@Facebook Google+

FacebookのF8カンファレンスのビッグな発表、上位10まとめ

FacebookのF8カンファレンスの初日は、たくさんの発表とアップデートでギュウギュウ詰め。ここではMark Zuckerbergのキーノートから、トップテンをご紹介しよう。カンファレンス関連の記事は、ここにそのリストがある。

1. デート機能!

あなたの次の出会いは、Facebookで始まるかもしれない。同社が発表した一連のデート機能は、今年後半にテストが始まる。ユーザーのデート用プロフィールは、同じくデートを求めている、友だちでない人にだけ可視にできる。データが通常より多くなるから、本当にあなたにふさわしい人を見つけられるかもしれない。

2. 履歴削除によるプライバシー保護

目下開発中のClear Historyという機能は、Facebookが広告やアナリティクスツールで集めたユーザーデータをユーザーが削除できる。たとえばそれは、Facebook上での閲覧履歴などだ。 Mark Zuckerbergはこの機能を、ブラウザー上でクッキーを削除することになぞらえた。

3. Instagramにビデオチャットといじめ撃退機能が

Instagramでビデオチャットができる。まだ見てないけど、これまでのメッセージングツールを拡張したような、シンプルな機能だろう。またInstagramは新しいフィルター機能により、ユーザーをいじめコメントから保護する。そしてExploreタブが改良された。

4. アプリのレビューを再開

Cambridge Analyticaの一件以来休止していたアプリのレビューを再開する。デベロッパーには嬉しいニュースだ。

5. Oculus Goが199ドルで発売

廉価版のVRヘッドセットOculus Goが今日(米国時間5/1)発売された。32GB搭載機で199ドル、64GBなら249ドルだ。

6. Messengerがデザイン一新+チャットの翻訳機能

FacebookのM Suggestionsアシスタントにより、Messengerでチャットが翻訳される。Messengerは、すっきりしたルックスになり、基本的な機能であるチャットを強調している。

7. 3D写真

News Feedに3D写真が登場。数か月後には、友だちのステータスアップデートにも現れるだろう。

8. WhatsAppのSnapchat Storiesクローンがユーザー数新記録

WhatsAppがSnapchatの国際的成長の機会を横取りした。WhatsApp Statusの一日のアクティブユーザー数が4億5000万に達したのだ。

9. InstagramにAR効果が

Facebook上の拡張現実プラットホームは、Facebookオンリーだから伸び悩んでいた。そこで今度からは、ARカメラのような効果がInstagramにやってくる。ここは、お客さん最優先の写真共有サービスだからね。

10. WhatsAppがグループビデオチャットとステッカーをサポート

グループビデオとステッカーがWhatsAppにやってくる。数か月後には、一つの画面を分割して4人(もしくはそれ以上)でチャットできるようになる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

F8 2018はサンノゼで5/1、5/2に開催――Facebook が登録受付開始

Facebookは今年のF8デベロッパー・カンファレンスの参加受付を開始した。

昨年のF8の主だったテーマは拡張現実、脳とコンピューターのインターフェイス、JavaScriptフレームワーク、Reactの一新、などだった。メディアにも報じられたように、Facebookはこの1年、いくつかの波乱を経験した。同社ではユーザー同士のつながりをどのように構築していくかを再検討している。F8ではこの点についてFacebookというプラットフォームの将来像を詳しく知るための好機となるはずだ。

またわれわれはザッカーバーグを始めとするFacebookのトップから直接ビジョンを聞けるものと期待している。Facebookが主催することを発表したセッションは、AR、VR、AI、オープンソース・コミュニティー、ソーシャル・グッド、Facebookのビジネス利用など多岐にわたっている。Facebookのプラットフォーム・パートナーシップ担当副社長、Ime Archibongはこうしたテーマをさらに詳しく説明するブログ記事を投稿し、このカンファレンスが「われわれが世界の人々をいっそう結びつけるために構築しつつある新しい方法」を知るチャンスになるだろうと述べている。

カンファレンスは昨年同様、5月1日と2日にサンノゼのマッケナリー・コンベンションセンターで開かれる。参加登録はこちらから。 例年同様、カンファレンスのキーノートはライブ・ストリーミングされる。TechCrunchももちろん怠りなく取材の準備を整えている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Workplace by Facebookが大幅にパワーアップ―、他社サービスとの連携やボットの導入も

本日(現地時間4/18)行われたF8カンファレンスで、FacebookはWorkplace by Facebookのさまざまなアップデートに関する発表を行った。数々の新たなパートナーシップやボットの導入などが含まれていた発表内容からは、大企業のニーズを満たすために成長を続けるWorkplaceの様子がうかがえた。

Workplaceは、Facebookのサービスをビジネスの世界に応用するという試みとして、昨年の秋にローンチされた。しかし、消費者とは違う法人顧客のニーズを満たすためには、他社製のソフトともシームレスに連携できなければならない。Workplaceの主要なライバルのひとつであるSlackのチームは、当初からその重要性を理解しており、他のソフトとの連携を意識しつつSlackの開発を行った。

ファイル共有ツールとの連携やボットの導入、コンプライアンス・ガバナンスツールの統合など、本日発表されたアップデートの内容を見ると、FacebookがWorkplaceをSlackと同じレベルの統合システムに進化させようとしているのがわかる。Workplace担当VPのJulien Codorniouは、他社製のツールとの連携はWorkplaceの開発の初期段階から検討されていたと言う。

「コミュニケーション手段、そしてさまざまなツールを見つけるためのディスカバリ・プラットフォームとしてのWorkplaceという構想は当初からありました」と彼は語った。「私たちはWorkplaceを全てを繋げるアプリにしようとしているのです」

ファイルサービスとの連携

まず、FacebookはBox、Microsoft、Quip(Salesforce)の3社とのサービス連携を発表した。これにより、今後WorkplaceのユーザーがFacebookグループでファイルを共有すると、リンクの代わりにファイルのサムネイルが表示され、それをクリックすると直接ファイルの保存先に飛び、ファイルの編集・コメント付けができるようになる。

出典: Facebook

Quipの共同ファウンダーでCEOを務めるBret Taylorは、異なるサービス間の連携は企業にとってますます重要になってきていると話す。ちなみに、Quipはプロダクティビティ・ソフトウェアを開発している企業で、昨年夏にSalesforceに7億5000万ドルで買収された。

「クラウドソフトに関する問題のひとつは、社内で使うソフトの数が急増するということです。これが、データの置き場や各ファイルへのアクセス方法が分からなくなるといった(問題を)助長しています。(各サービス)がシームレスに連携できるようになれば、ユーザーはさまざまソフトを行ったり来たりせずに仕事を進められるようになります」とTaylorは説明する。

これはWorkplaceに限ったことではない。Salesforce/Quipも、Workplaceの競合にあたるソフトに似たような連携機能を組み込んでいるが、顧客がWorkplaceを使っているのを見て、歩み寄るしかないと判断したとTaylorは言う。「結局のところ、自分たちのソフトが顧客の使っているツールと連携できなければ、顧客がいなくなるだけです」

ボットの導入

さらにFacebookは、Workplace上のMessengerとグループチャットにボットを導入することを決めた。これでWorkplace上でも、ユーザーはSlackと同じように強力なボットの力を借りられるようになる。例えば、機材が故障したときに@repairbotを呼び出せば、ボットがその機材を修理する人を探し出してくれる。ボットはユーザーのリクエスト内容を理解できるほか、手が空いている機材の担当者を特定し、その人の名前をユーザーに送り返すことまでできるのだ。

メッセージの解読・送信、アクションの実行という機能の組み合わせは大変強力で、単調なタスクであれば、ボットの方が人間よりも速く片付けられるかもしれない。これらのボットは、1対1のMessengerだけでなく、グループチャットにも対応している。

出典: Facebook

「なぜここまでカスタムボットの導入に私たちが興奮しているかというと、Facebookには日々のタスクの手助けをするためのボットが100種類以上も存在するからです」とCodorniouは話す。

Facebookはボットの導入にあたり、Converse、PullString、The Bot Platform、kore.ai、Avaamoを含む、多数のボットプラットフォームとタッグを組んでいる。

エンタープライズ級のコンプライアンスツール

Facebookのような企業がエンタープライズ向け市場に参入する際の大きな問題のひとつが、既存のコンプライアンス・ガバナンスシステムとのリンクだ。これができなければ、大企業のIT・セキュリティ担当者の信頼を勝ち取るのは極めて難しい。というのも彼らは、消費者向けサービスとして有名なFacebookのツールは信じられないと思い込んでいるかもしれないのだ。

Facebookはこのことに気づいていたようだが、自分たちで専用のツールを開発する代わりに、既にこの分野で名が知られている企業とパートナーシップを結ぶことに決めた。これは賢い選択だと言える。

そもそもWorkplaceのようなシステムのことを信用していない可能性のある大企業のIT担当者も、Facebookが開発したものよりは、よく知られた企業のツールを使う方が安心するだろう(将来的にFacebookが自前のツールを開発するかどうかは別として)。

コンプライアンス周りのパートナー企業には、CSDiscoやNetskope、Smarsh、Skyhighなどが含まれている。

昨年10月にローンチされたばかりのWorkspaceだが、Facebookによれば、既に1万4000社が同システムを利用しており、作成されたグループの数は40万を超えるという。ちなみに、Slackが発表したDAUの数は500万人だった。

今回の発表内容は全て、Workplaceをビジネス環境に馴染みやすくすると共に、同システムに競合のSlackと張り合えるような機能を盛り込むためのものだった。しかしこれは同時に、法人顧客のニーズを満たすためには、ツールを一式揃え、他サービスとの連携や他社とのパートナーシップにも力を入れなければならないということを、Facebookが認めたことの表れでもある。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

スクープ:Facebook、F8カンファレンスでMessenger向けグループボット発表へ

FacebookはF8デベロッパー・カンファレンスで新しいグループチャット・ボットを発表する予定だと判明した。このボットはFaceook Messenger内で作動し、ユーザーにリアルタイムでニュースなど有用な情報を提供する。コンテンツにはスポーツの試合経過、通販の商品配送情報などが含まれるという。Facebookの開発状況に詳しい3人の情報源がこのことを確認した。

FacebookはMessengerボットの発表のためにトップクラスのチャットボットのデベロッパーと緊密に協力しているという。またFacebookはデベロッパーが独自にボットを作れるようAPIセットを公開する。もちろんFacebookの広報担当者は私の取材に対して「われわれは噂や推測にコメントしない」と決まり文句の返事をしてきたが、TechCrunchの情報源はわれわれがつかんだ事実を確認した。

たとえばフットボールのファンからなるMessengerグループの場合、スレッドにスポーツ・ボットを加えることができる。このボットは刻々の点数、ビッグプレイ、その他試合の進行に関連する情報を配信してくれる。eコマース・ボットであれば、職場にランチが配達されるところであると伝えてくれる。グループのメンバーはいつまでも腹を空かしている必要がないことを知って安心できるだろう。

Facebook MessengerにはすでにtheScoreのようなスポーツメディアやNBAのSacramento Kings、またピザ配達のDominosなどと協力してこうした情報を配信している。

グループ・チャットボットの発表はFacebookからMessengerボットが昨年のF8で公開されたときすでにTechCrunchが指摘した問題に対する解答だ。

まずこのグループ・ボットは「本物の人間のふり」をするのは止めて、リアルタイムのニュースメディアとして振るまう。そういう意味ではこれは「チャットの相手」という意味のチャットボットではない。他のチャットボットのようにユーザーが1対1で会話することはできないので、むしろ「インフォメーション・ボット」と呼んだほうがいいだろう。

AIテクノロジーが不十分なため人間の質問を正しく理解できず、ユーザーはFacebookのチャットボットに失望気味だ。FacebookのMessengerの責任者、David Marcusは TechCrunch Disruptで、「〔ボットの能力が〕あっという間に過大評価されてしまったのが問題だった。われわれが当初提供したボットの能力はもっと伝統的なユーザー・インターフェイスを上回るものではなかった」と認めた。

そこでグループボットの目的は人間のようにふるまうという圧力から解放され、「会話の相手」という役割にこだわらず特定の役割を効果的に果たす仕組に切り替えられた。

第2に、これまでボットというのは利用のきっかけが得にくいサービスだっため、グループチャットはバイラルにボットの利用を広げるプラットフォームととらえ直された。

現在ユーザーがボットを利用するにはMessengerの検索ボックスにボットの名称を入力する必要がある。どういうボットが利用可能なのか全体を眺める方法は事実上ない。そこで企業がボットを開発しても、利用してもらうためにはニュースフィードへの広告掲出などによってユーザーの頭に正しい名称を刻み込む必要がある。これはマーケティングとしてなかなか困難な目標だ。そこでサードパーティーによるBotlistのようなサービスが登場する。

今回のグループボットは1人が設置すれば他のメンバーにも見える。メンバーは自分の他のスレッドにも導入することになり、そのスレッドの他のメンバーもボットボットの存在を知ることができる。こうしたバイラルな発見によりボットのユーザーと同時にボット・プラットフォームそのものを拡大する。これはチャットボットの開発により多くのデベロッパーの参加をうながす効果があるだろう。

ただし、ユーザーがどのようにしてボットの存在を知るのか、Messengerのグループに追加するのか、具体的な手順はまだ明らかでない。Facebookには今のところボットストアや「おすすめのボット一覧」のようなサービスは存在しない。しかし来月18日、19日にサンノゼで開催が予定されているF8デベロッパー・カンファレンスではボットの発見を容易にするなんらかのメカニズムが発表されるはずだ。われわれはカンファレンスに参加してFacebookの発表について報告する予定だ。

将来は本当に人間と会話ができる人工知能も出現するだろうが、Facebookが当面、グループボットをメディア的な存在として扱うことにしたのは賢明だ。

画像: Bryce Durbin/TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

F8カンファレンスでFacebookが大々的にプッシュしたボットだが、ありのままに評価することが重要

2016-04-19-messengerbots

メジャープレイヤーがカンファレンスを開催するとメディアはしばらくそれに関する報道で埋まる。われわれはついつい、そのビジョンに釣り込まれてしまう。われわれの注意力が数日以上持続しないのがかえって幸いなぐらいだ。先週はFacebookがF8カンファレンスでビジョンを展開する番だった。FacebookはしゃにむにMessengerとMessengerボットを売り込もうとした

念のためにおさらいしておくと、FacebookのボットというのはMessenger上で作動するインターフェイスで、ある分野の自然言語を理解するようプログラムされている。各種企業やメディアがビジネス利用することが可能だ。会話できる機械といってももいい。一定の知能を備えており、学習することができる。使い込んでいくと個々のユーザーのニーズにより良く適合するようになる(少なくとも理論的にはそうなると期待されている)。

たいへん素晴らしい話のようだ。TechCrunchでも繰り返し取り上げた(私の記事も含まれている)。しかし私がいちばん気に入ったのは、Sarah Perez記者がカンファレンスで発表された3種類のMessengerボットを自身で試した記事だ。Sarahはボットの能力の低さにすっかりあきれていた。

Sarahが正しく指摘したとおり、ボット・テクノロジーはまだごく初期の段階にあり、あまり性急な期待をするべきではないのだろう。しかし先週のFacebookのように大々的なスケールでボットを売り込んだ場合、ユーザーはすぐさま役立つ機能を求めるのが普通だ。その期待に応えられないと新しいテクノロジーを好む貴重なアーリー・アダプターを失うリスクを冒すことになる。

私の抱いた大きな疑問はこうだ。Messengerボットは今後われわれの生活で中心的な地位を占めるようになるのだろうか? なるほど毎朝天気についてメッセージを送ってくれるボットは便利だろうが、それならiPhoneにインストールしてある天気予報アプリも同じ役割を果たしてくれる。しかも天気アプリの画像表示のほうがボットが送ってくるだらだらしたテキストよりはるかに分かりやすく、見た目もずっといい。

すべての情報をMessengerボットで得ようとすれば、友達や家族からの本当に重要なメッセージと紛れてしまうという事態が起きないだろうか? さらにはFacebookが「スポンサー・メッセージ」と呼ぶ広告メッセージの殺到を覚悟しなければならない。必要な会話スレッドを発見するためにメッセージの大群をかき分ける必要が生じるだろう。

Facebook Messengerは数あるチャット・クライアントの一つにすぎず、似たようなサービスは他にも多数ある。それらのライバルもやがてすべてがチャット・ボットを使うようになるのだろう。しかしMessengerのユーザー数は飛び抜けて多い。これまでもFacebookのユーザー数の多さが悪事を企む連中をたびたび惹きつけてきた。

いずれにせよ、現在のボットはコミュニケーションの手段としてまだ原始的な段階にある。長年の努力の結果アプリはきわめて機能が高くなり、使い勝手もスマートで見た目にも美しくなった。これに比べるとボットはインターネットから得られる情報が主としてテキスト・ベースだった時代へのひどい後退に見える。

チャットを多用するユーザーにとってはチャットの会話で用が足りるようになるのは便利だろう。一部のユーザーの間ではチャットの利用頻度が大きく上昇している。しかし、ある種の予測とは異なり、近い将来ボットがアプリを置き換えるようなことにはならないと思われる。

もちろんボットはアプリを消滅させないしウェブがなくなるなどという可能性もない。ボットはそもそもウェブやアプリとは別物だ。広告のチャンネルとしてもまったく異なる。Facebookがいかに大掛かりなキャンペーンを張ろうと、われわれはボットをあるがままに評価しなければならないだろう。

〔日本版〕記事中にリンクがある記事でPerez記者は「Facebookのチャット・ボットにはまだまだ改良が必要」と書いている。

Perez記者によれば、Springというアパレルショッピングのボットではシャツを探したにもかかわらず、3種類のシャツと1種類のTシャツ、セーターがそれぞれ推薦されたという。Ponchoという天気予報ボットはさらに悪く、「雨が降りそう?」と尋ねると「湿っていて温かい(Wet
and warm.)」と答えた。「『湿っている』というのは雨が降るという意味?」と尋ね返すとボットは「にゃーお」とネコの真似をするなど支離滅裂になった。CNNのニュースボットは全般的にややましだったが、アメリカ(U.S.)についての記事を要求したのに推薦されたのは「われわれ(us)」という単語を見出しに含む記事だった。筆頭には大昔に死んだ大物ギャングのマイヤー・ランスキーに関する記事が表示された。

Perez記者は「企業は顧客をひどく失望させるとそのユーザーを失う危険性がある」と書いている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook、ビデオに映っている友達を自動的にタグ付け可能へ

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Facebookは、画像認識への人工知能システムの利用を大きく進めているが、これをビデオにも持ち込もうとしている。今日(米国時間4/13)サンフランシスコのF8カンファレンスで、ビデオに映っている人たちを自動的にタグ付けするしくみを開発中であることを発表した。

Facebookの機械学習担当ディレクター、Joaquin Quiñonero Candelaは今日の基調講演で、ユーザーが自分にシェアされたどのビデオからでも人物を探せるようにする考えであると話した。例えば、友達とライブビデオに出ている時に、別の友達がビデオに立ち寄って短い会話を交わしたとする。通常その瞬間を探しだすのは困難なので、非常に刹那的な体験となるだろう。

近々Facebookは、この瞬間を自動的にインデクス化して、友達の名前を検索するだけで見つけられるようにする。そうなれば友達が立ち寄った瞬間の場面に飛ぶことができる。

Facebookはビデオの自動キャプションにも取り込んでおり、静止画像で物体を検出するのに使用している画像認識技術をビデオで利用することも考えられる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook MessengerとWhatsAppのメッセージ数の合計は全SMSの3倍以上

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今朝(米国時間4/12)の FacebookのF8デベロッパー・カンファレンスでは重要な発表がいくもあったが、メッセージ・アプリの人気と成長を示す興味ある統計も公開された。

CEOのマーク・ザッカーバーグによればMessengerとWhatsAppの双方を合算すると、伝統的なSMSの合計の3倍以上のメッセージが毎日やり取りされているという。具体的にいえばMessengerとWhatsAppでは一日あたり600億のメッセージが送信されているのに対して、SMSでは200億だった。

ザッカーバーグはまたMessengerのユーザーは昨年のF8開催時点で7億人だったのが9億人に成長したと述べた。一方WhatsAppはこの2月にユーザー数を10億人の大台に乗せている。

こうした統計は Messengerプラットフォームでチャットボットをサポートするというような重大なニュースと共に発表された。チャットボットはMessenger上で作動するユーティリティーで、カスタマー・サポートやeコマースなどの企業活動を助ける。ローンチ時点ですでに全国的なギフト花屋の1-800-FlowersやCNNのような有力企業と提携している。同時に天気予報アプリのPonchoやショッピングのSpring.ともパートナーとなっている。

当面チャットボットのサポートはMessengerに限定される。WhatsAppはシンプルにチャットだけを追求するようだ。チャットボットについては上記リンクの他に1月の記事参考になる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook LiveがAPIを公開、早速パートナーしたライブビデオカメラMevoのLivestreamに話を聞く

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Facebook Liveは、ライブビデオを一気に大々々大衆化した。そしてこれからは、サードパーティのデベロッパーもその波に乗れる。

FacebookのデベロッパーカンファレンスF8で今日(米国時間4/12)、Facebook Liveを利用したいデベロッパーのためにそのAPIを公開する、と発表された。発表の中で、すでに決まっている最初のパートナーの名前…Livestream(Mevoカメラのメーカー), BuzzFeed, Vidpresso, ドローンメーカーのDJI…も明かされた。

FacebookのChris Cox(上図)によると、その目標は“何百人もの人たちが同じ瞬間を同じタイミングで経験できること”、だ。Coxは、このAPIによってハードウェアメーカーもソフトウェアメーカーも共にFacebook Liveを自己のプロダクトに統合できる、とも言った。

Livestreamから、Facebookとの関係について聞いた。同社のMevoカメラは最初、Moviという名前だったが、まるで複数のカメラで撮ったかのようなイリュージョンを作り出す。iPhoneの上でビデオを現場でエディットできるし、特定の部分だけを取り出す自動編集もできる。

Movi iPhone

Mevoは、ライブのブロードキャストしかできないデバイスではないが、ライブで使うとなったらFacebook Liveが恰好の場所だろう…Livestream自身のWebサイトもあることはあるけど。CEOのJesse Hertzbergによると、Livestreamのねらいは、企業がビデオを簡単に共有できるようになること、しかもLivestreamのサイトに限定されずに。

しかも彼によると、ユーザーからの要望でいちばん多いのが、“あのね、FacebookとかTwitchとか、自分の好きなところへストリーミングしたいんだけど”、だった。Livestreamも、この要望は無視できない。

“カメラはできるだけたくさん売りたいから、Facebook Liveを使えることは、拡販の良い機会だよ”、とHertzbergは語る。

さらにHertzbergによると、アーチストや企業などにとって、Facebookはライブイベントをファンや顧客に通知するための絶好の場所だ。LivestreamはすでにパブリッシャーのTastemadeとパートナーして、初のMevoによるブロードキャストをFacebook Live上に作った。そのビデオはこのページの下にあったけど、ライブだから今はない。上のビデオは、このブロードキャスト機能の使い方の宣伝だ。

Mevoカメラは今は予約販売のみで、値段は299ドルだ。発売は、7月を予定している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Facebook、新しいデベロッパーツールを発表。アカウントキット、プッシュ、引用シェア等

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今日のF8カンファレンスの主役はチャットボットかもしれないが、Facebookは様々な開発ツールを公開して、デベロッパーがアプリを開発し、成長させ、そして収益化する手助けをしようとしている。Facebookは、開発プラットフォームのPasreを閉鎖する予定だが、新たなウィジェットやボタン、API等を追加している。

アカウントキットは、アプリ用の新しいプラグインで、ユーザーはFacebookアカウントだけでなく、電話番号またはメールアドレスを使ってサインアップできる。これは、ダウンロード後にサインアップするコンバージョン率が高くなることを意味している。インドの音楽サービス、Saavnは、アカウントキットで電話番号によるサインアップを追加してから、アカウントサインアップが33%増加したという。

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ユーザーはFacebookでリンクを投稿する時、テキストを引用するのが大好きだ。Facebookがウェブやモバイルサイト向きに作った新しいプラグインを使うと、引用部分が強調された特別なタイプのニュースフィード記事を作ることができる。デベロッパーは、自動的に引用したり、テキストを選択するとポップアップするボタンを置いて、ユーザーがコピー&ペーストしなくて済むようにできる。

Account Kit_phone number login_2デベロッパーはカスマイズ可能なプッシュ通知とアプリ内通知を使って、キャンペーンをプッシュしてユーザーをアプリに引き込んだり、既にアプリ内にいるユーザーを新たなコンテンツやオプションに誘導することができる。

Facebookは、デベロッパー向けドキュメントを新たに16ヵ国語に翻訳して、翻訳の手間を省いて開発に時間を費やせるようにした。

またFacebookのAnalytics for Appsが強化され、デベロッパーはプライバシーに配慮した匿名の方法でユーザー情報を得られるようになった。年齢、性別、国、言語だけでなく、いいね!や関心事、教育レベル、職位等も収集できる。

さらにデベロッパーは、既に自社アプリを使っているユーザーからこれらの情報を収集して、同様の層をターゲットにしたFacebook広告を買えるようになった。例えば、ソフトウェアエンジニアに特に人気のあるアプリがあれば、Analytics for Appsを使ってそのことを知り、同様の人たちをターゲットにした広告を打ってユーザーを獲得することができる。

全体的に見て、これらのツールはデベロッパーをFacebookエコシステムに引き寄せ、それを強化してFacebookアカウントの価値を高めるよう説得すると共に、Facebook広告を買う気にさせようとするものだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、高度なボットを作るための「ボットエンジン」を公開

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今や、Messengerはボットがすべて。Facebookは予想通り、F8カンファレンスでSend/Receive APIを公開した。これを使えば、Messengerで何かを探したり企業とやりとりするボットを作れる。しかし、機械学習を使ってもっと複雑なシナリオを作りたいときはどうするか?ボットエンジンがある。Facebookの強力なボット用フレームワークだ。

ボットエンジンは、Wit.aiの技術をベースにしている。昨年FacebookはWit.aiを買収し、後にWit.aiのプラットフォームを使ってM for Messengerを作った。

しかしFacebookは、ボットエンジンでは別の戦略を採用した。もしこのフレームワークがデベロッパーに受け入れられれば、Messengerユーザーは様々な種類の小さな専門化したボットを使えるようになる。

「Send/Receive APIは十分以上」と、Facebookのメッセージング製品担当VP、David Marcusは言った。「しかし、もっと複雑なボットを作りたいなら、ボットエンジンを使える」。

ボットエンジンは機械学習を利用している。会話のサンプルを渡すと、同じ質問の様々なバリエーションを扱うことができる。

デベロッパーは時間と共にボットを改善することが可能になり、その可能性は非常に大きい。例えば、ユーザーは映画ボットと対話して、上映時間や評価等について気軽に質問すればいい。コマンドを入力するというより、人間と話すイメージだ。

ボットエンジンは今日から利用できる。この新しいフレームワークを解析してどれほど強力かを知るのが楽しみだ。すでにMicrosoftの相当品よりは強力そうだ。しかしこれで、メッセージングアプリの上に高度なボットを作るスタートアップたちによる、新しい分野が開拓されることは間違いない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

F8カンファレンス:FacebookがMessengerのチャットボットのプラットフォームを発表

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FacebookはF8 2016デベロッパー・カンファレンスでMessengerを利用した企業のチャットボットのプラットフォームをリリースした。これにより、見込み顧客の質問へのの回答、カスタマー・サポート、eコマースの手続き説明など、あらゆる対話的なリアルタイム・コミュニケーションが可能になった。Facebookではデベロッパー・ネットワークとビジネス・エコシステムの巨大さにものをいわせて、MessengerをすべてのSMSを合わせたより大きな存在にしていく計画だ。

一方、KikLineTelegramなどライバルのチャット・サービスはすでに独自のボット・プラットフォームを展開している。

今回のF8カンファレンスでのFacebookの発表はTechCrunchが2月に掲載したFacebook、メッセンジャーをプラットフォームにするためチャットSDKを準備というスクープを裏付けることになった。われわれは先週、F8でFacebookはチャットボットとライブチャットAPIを発表する予定.だという記事でフォローしている。 [アップデート:このプラットフォームの正式名称は“bots on Messenger”となった。われわれが報じた“agents on Messenger”は発表以前の部内のコードネームだった]

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F8でFacebookはチャットボットの新機能にいち早くアクセスできる提携デベロッパーの長いリストを発表した。 たとえばMessengerで受け取り者の名前を入れたメッセージを1-800 Flowersに送るとその相手に自動的に花束がプレゼントされる。CNNはユーザーが要求した関心あるテーマについてMessengerで毎日記事の要約を送ってくれる。ユーザーは必要ない記事を大量に送りつけられて迷惑せずにすむ。

マーク・ザッカーバーグは、「人工知能と自然言語処理〔の発達〕と人力の補助により、ユーザーはMessengerボットに友達に話しかけるのと同じように話かけることができる」と説明した。.

Messengerボットの仕組

MessengerプラットフォームのSend/Receive APIを調べるとボットは単純な文字列だけをやり取りするのでないことがわかる。ボットは 画像、リンク、行動を起こすボタンを含むstructured messages〔構造化メッセージ〕を処理できる。ユーザーはボットとの会話を通してレストランを予約したり、eコマースでの購入履歴を調べたり、必要とあれば追加注文をしたりできる。カルーセル式に横移動するカタログをスワイプして目を通し、気に入った商品があればウェブ・ページに飛んで購入を完了するといった使い方が可能になる。

ただし注意すべきなのはボット・プラットフォームが現在支払機能をサポートしていない点だ。Messengerにクレジットカード情報を登録しているユーザーであってもボットを通じて支払を行うことはできない。

Messenger commerceMessenger support

新しいMessenger画面のトップに常に表示される検索バーはボットを探すのに便利だ。すでにSMSで顧客とコンタクトを取っている企業の場合、電話番号照合ツールで簡単にユーザーのMessengerアカウントにアクセス可能だ。これはTwilioとの提携によって可能となった。ユーザーに会話の主導権を保証するためにボットとの会話では画面トップに「ブロック」ボタンが常に表示される。このボタンを押せばボットを即座に黙らせることができる。

デベロッパーは単独でボットを開発することもできるが、Facebookのボット開発パートナーとなることもできる。またFacebookは自然言語処理のWit.aiを買収して得たテクノロジーを用いた独自のBot Engineによるインターフェイスを用意している。 これはFacebookが教室向けに提供しているシステムと同じもので、Bot Engineを用いたサンプル会話が配信される。またこのシステムは会話の進め方を独自に学習する機能がある。

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人海戦術は時代遅れ

チャットボットは突然テクノロジー界の最大のテーマとなった。ボットはそれぞれのユーザー別にカスタマイズされたリアルタム双方向コミュニケーションを容易にスタートさせることができる。現在のコールセンターや営業部隊と同じような機能を果たすが、はるかにスケールしやすく、コストも低い。

Facebook CNN Chatbot

ごく控えめな予測でもチャットボットが 1-800〔無料通話〕を置き換えることになるのは間違いない。人間が配置されたコールセンターには一定の営業時間があり、繋がるのを待つ時間があり、延々と転送を繰り返される。また担当者が調べ物をする保留時間や人間と会話する精神的ストレスなどもある。こうしたことはチャットボットには無縁だ。

Messengerその他のプラットフォームのボットが広く採用されることになると、セールスやサポートに関する企業活動が一変する可能性がある。ユーザーが自分からカタログの詳細をチェックしなくても、購入にあたってポイントとなる基準を伝えれば、ボットが即座に関連する情報を教えてくれる。ニュースサイトの場合も、大量の無関係な記事をより分けたりせず、興味ある記事だけがタイムリーに手元に届くことになるだろう。ボットは関連する情報やリンクも教えてくれる。

現在FacebookはWhatsAppを買収した状態のままなのシンプルなメッセージ・サービスにとどめている。しかしMessengerにおけるeコマースなどビジネス利用、チャットプラットフォームの導入などが成功すれば、FacebookはこれらをWhatsAppに導入しようと考えるかもしれない。

チャットボット・プラットフォームはもちろんビジネスの一環だ。Facebookは企業が「スポンサー・メッセージ」、つまり広告を送信することに課金す計画だ(このメッセージはMessengerでユーザーが自発的に企業にコンタクトを取ったときに限り送信が許可される)。また広告主は「クリックしてMessengerのボットに飛ぶ」タイプの広告をニュースフィードに掲載することができる。とどちらのタイプの広告もボットが大きな役割を果たし、効率化とコストの削減に寄与するだろう。

チャットボットに力を入れ始めたのはもちろんFacebookだけではない。しかし9億人というMessengerの膨大なユーザー数を考えれば、広告プラットフォームとしてのメリットは言うまでない。デベロッパー・エコシステムが順調に成長すれば、ビジネスにとってMessenngerはもっとも魅力的なボット利用プラットフォームとなるだろう。企業は見込み顧客数が最大となりそうな場所に引き寄せられる。現在Facebookより巨大なソーシャル・ネットワークは存在しない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook、Paperアプリの中核テクノロジーをオープンソース化

Facebookは今日(米国時間4/30) F8デベロッパー・カンファレンスで、同社のiOSアプリ、Paperのテクノロジーをオープンソース化すると発表した。数週間のうちに、DisplayNodeのコードをGitHubにアップロードする。DisplayNodeは、同社がPaperのために開発した非同期ユーザーインターフェースの技術で、アプリの速度低下を招くことなく、画面上で大量のオブジェクトをレンダリングすることができる。

Facebookは、このコードにはまだ多少テストが必要だが、近々ベータ版を公開すると言っている。

このツールは、デベロッパーが、一貫してスムーズなパフォーマンスを提供できるユーザーインターフェースを作るのを助けることを目的としてる。タッチジェスチャーを多用したり、バウンスやスプリング効果などのリアルなアニメーションを使うアプリには特に重要だと同社は言っている。

アプリのメインスレッドが停滞することは、基本的アプリならともかく物理的UIを使っている場合、その種の停滞は直ちにユーザーに発覚するとFacebookは言う。

レイアウト、テキストや画像の表示、システムオブジェクトの処理等は、Paperのような複雑なアプリではたちまち大きな問題になる。従来のiOS 6スタイルのアプリでは、アプリのタッチへの反応が少々遅れても平気だったが、今はアプリのビジュアル化が進み、ユーザーはより高い性能を求めている。

DisplayNodeに先立ち、同社はPaperの他の部品6種を最近オープンソース化している。例えば今週Facebookがオープンソース化したPopは、Paperのユーザーインターフェースで使われている部品の多くを動かすアニメーションライブラリーだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Facebook、 いよいよサードパーティへのモバイル広告配信ネットワーク、FANをローンチ

今日(米国時間4/30)開催されたf8デベロッパー・カンファレンスでFacebookはFAN(Facebook Audience Network) という新しいモバイル広告ネットワークを発表した。

これによりサードパーティーのモバイル・アプリのデベロッパー、パブリッシャーは広告営業、広告ターゲティング、実績管理、支払い管理などを自分自身でしなくても広告収入を得られるようになる。

先週私がスクープしたとおり、FANに参加すれば、広告に関するすべてをFacebookが代行してくれる。デベロッパーはバナー広告を掲出するなら数行のコードを書くだけよいし、もっとアプリのコンテンツの一部に溶け込んだ広告を掲出したければFacebookの協力を受けることができる。

Facebookによれば、デベロッパーはFANにこちらからサイインアップすることもできるし、Facebookの広告代理業者に連絡を取ってもよい。このプログラムは現在ベータテスト中で、今後数ヶ月かけて一般に利用可能になる。当面対象となる広告主はモバイル・アプリのインストールや利用を呼びかけるデベロッパーだが、将来はFANを他の分野の広告にも拡大する計画だ。ウェブサイトのトラフィック増強のための広告やeコマースの広告などが含まれることになるだろう。Facebookは「テスト期間中に次第に〔広告の〕パフォーマンスが改善されるものと期待している」と述べている。

FANではIABバナー広告、IABインタースティシャル広告、ネーティブ広告の3種類が用意される。広告デザインはモバイル・アプリのインストールなどそれぞれのビジネス上の目的に合わせて最適化される。

Facebookによれば、Facebook SDKないし広告統計サービスを利用することによって広告主はFANによる表示回数やコンバージョン件数などをモニタできる。また年齢、性別その他の広告閲覧者データも収集できる。

Facebookがモバイル広告ネットワークのテストを開始したのは2012年に遡るが、その後Facebook内での広告の強化に集中するために、オフサイトでの広告ネットワーク・プロジェクトは棚上げとなっていた。

2013年9月にFacebookはモバイル広告ネットワークのテストを再開した。これはそれまでの実験と異なり、広告主、パブリッシャーと直接に取引するタイプとなった(サードパーティーを介さないのでFacebookのマージンが大きくなる)。最近行われた2014年第1四半期の決算報告でCOOのシェリル・サンドバーグは「この広告ネットワークのテストでは関係者から高い評価を得た。大いに希望のもてる結果だった」と述べた。

Re/codeのMike IsaacはFacebookは今日この広告ネットワークをローンチするだろうと報じていた。今日、私はその名称がFAN (Facebook Audience Network)であり、IABガイドラインに沿った定形広告だけでなくカスタマイズされたフォーマットの広告をサポートすることを含め、各種の詳細を確認することができた。以下は、バナー、インタースティシャル、カスタム、それぞれのサンプルだ。

この広告ネットワークはInMobiなどのネットワークのライバルとなる。 [アップデート:FANはTwitterのMoPubのような仲介サービスとは競争関係にないことが判明した。このようなサービスはFANを通じた広告を他の広告ネットワークからの広告と同時に表示することができる。FANとMoPubの協調関係についてのフォロー記事を参照]

FANが十分な広告主とパブリッシャーを集めて運営が軌道に載るまでには数四半期かかるだろうが、Facebookの収入の新たな重要な柱となる可能性を十分に秘めている。

今回のFANのローンチでFacebookは、マネタイズのチャンネルを自らのネットワーク内での広告掲出から、サードパーティーのパブリッシャーへの広告配信へと拡張した。これまでFacebookの売上はニュースフィード内の広告の表示数とそれを訪問するユーザー数に直接比例していた。

広告ネットワークを通じたサードパーティーへの広告配信ならFacebook内に広告を溢れさせてユーザー体験を悪化させることなく、収入を増やすことができる。たとえFacebook内でのユーザー・エンゲージメントが頭打ちになっても影響を受けにくいし、ライバルに対しても安定して優位性を確保できる。FANが成功すれば、Facebookのユーザーにとっては幸運なことに、Facebook内の広告は減少さえするかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+