コンテンツ配信ネットワークのFastlyがIPOを申請

コンテンツ配信ネットワーク(CDN)のFastlyCrunchbaseによれば2億1900万ドルを調達済み)が、株式公開の準備を整えた。

創業8年のこの会社は、ダウンロード時間の短縮や、さまざまなウェブサイトからインターネットへの配信時間を改善するサービスを提供する企業の1つであり、このたびIPOの申請を行ったばかりだ。

ニューヨークタイムズ紙のようなメディア企業が、ホームページやメディアをキャッシュするためにFastlyを利用している。そうすることで誰かがタイムズ紙をオンラインで閲覧しようとした場合には、Fastlyのサーバーは、その内容をブラウザーに対して直接送り込むことができるのだ。場合によっては、Fastlyはブラウザからの要求の最大90パーセントを処理している。

StripeやTicketmasterのような電子商取引企業も、同社のサービスのヘビーユーザーである。彼らがFastlyを評価する理由は、そのサーバーのネットワークがより速いロードタイムを可能にするからだ。Fastlyによれば、その時間はときに20から30ミリ秒まで短くなるという。

同社は、およそ9か月前に前回の資金調達ラウンドを行っている。この4000万ドルの調達が、IPO前の最後の調達になるだろうとFastlyは語っていた

その言葉に嘘はなく、同社は市場がこの「ユニコーン」ビジネスに高い欲求を持ってくれることを期待しているところだ。

Fastlyは、ZoomPinterest、あるいはLyftといった企業に比べると華やかさには欠けているが、その技術は、消費者をオンラインで引きつける様々なアクティビティの、多くの部分を支えている。そしてその動きはCloudflare(最近1億5000万ドルを調達し公開を模索している)のような競合相手の、先行きを占うものになるかもしれない。

同社の公開申請書には1億ドルと書かれているものの、同社がこれまでに調達した資金を考えると最終的に株価が決められる際には10億ドル近くの価格が模索されることは大いに有り得るだろう。

Fastlyの収益は、2017年には1億500万ドル、2018年には約1億4500万ドルと報告されている。一方その損失は一昨年の3100万ドルから昨年の2900万ドルに減少している。よって赤字は縮小しつつあり、その収益は(ゆっくりではあるものの)成長している。なお同時期の営業原価は4600万ドルからおよそ6500万ドルへと増加している。

最後のものは同社にとっては嬉しい数字ではないが、会社が顧客から得た収入で相殺される金額だ。Fastlyは、ネットの成長(ドルベースでみたときに2018年は132%)に対して備えている。

ネットの成長は心強い数字だが、同社が目論見書の中で指摘しているように、CDNの分野では、新規および既存ベンダーとの競争が激しさを増している。

目論見書の中で同社は、クラウドコンピューティングプラットフォーム、特にエンタープライズクラスの製品の市場は「非常に細分化され、競争が激しく、常に進化している」と述べている。「新しい技術や市場参入者の登場により、当社の競争環境は今後も激しいものとなるだろう。Akamai、Limelight、EdgeCast(Verizon Digital Mediaの一部)、Level 3、 Impervaなどの従来からの大手のCDNや、Cloudflare、InStart、 StackPath、そしてSection.ioなどの中小企業向けCDNが、私たちと競合する製品を提供している。また、私たちはAmazonのCloudFront、AWS Lambda、そしてGoogle Cloud Platformなどの、エッジでのコンピューティング機能を提供し始めているクラウドプロバイダーたちとも競合している」。

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(翻訳:sako)

パテント・トロールに示談金を払わずに完勝する方法、Cloudflareの先行技術調査戦術に学ぶ

“トロールに餌をやるな”、と教えられる。しかし企業向け多目的逆プロキシサービスとして今や著名なCloudflareは、彼らから儲けの源泉を取り上げることによって、トロールを餓死させようとしている。

テクノロジー企業に対する特許訴訟はほとんど日常化しているので、多くの企業は高価な法務費用(そして短くない法廷関与時間!)を負担するよりも、示談ですませてしまうことが多い。企業がそうやって早くケリをつけようとするので、特許訴訟は原告トロールにとって濡れ手で粟の金儲け手段になっている。トロールたちはテクノロジー関連の特許を1ドル程度の安値で買い、その特許をネタにお金持ちの企業から示談を引き出す。

しかし先月Blackbird Technologiesと名乗るトロール企業がCloudflare(そしてクラウドプラットホームのFastly)を、プロキシシステムのエラーメッセージに関する1998年の特許で訴えたとき、Cloudflareは反撃を決意した。このCDN企業はProject Jengoと名付けた懸賞プロジェクトを立ち上げて、Blackbirdが保有する70あまりの特許のすべてを無効にすることをねらった。

Project Jengoは、特許が“先行技術”(prior art)である証拠を見つけるために、総額5万ドルの資金を用意した。その特許が謳っている技術が、特許が申請される前に広く使われていたことを示す証拠だ。先行技術の証拠は、特許侵犯の主張を‘根拠なし’にする。そして5万ドルの資金のうち2万ドルは、CloudflareとFastlyの訴訟に関わっていた特許を無効化するために使われ、残る3万ドルは、Blackbirdのそのほかの特許の無効化に投じられる。

CloudflareのCEO Matthew Princeがブログに書いている: “Blackbirdは2014年の9月以来107件の訴訟を起し、今後も同社の特許を使ってそのほかの企業を訴訟していくだろう、と思われた。そこで、Blackbirdの特許に先行技術の有無を調べることが重要であり、それによって今後彼らが弊社やそのほかの企業を訴訟できないようにする必要があった”。

その調査の結果、Project Jengoの訴訟ではCloudflareの勝訴が確定し、一般的なパテントトロールの事案と違って同社は、示談(〜和解金支払い)を回避できた。

Cloudflareの法務部長Doug Kramerはこう語る: “迷惑行為に対しては、示談で済ませる企業が多い。しかし弊社は、いかなる点でも示談にするつもりはなかた。示談は、問題の劇症化に貢献するだけである。すべての企業が、立ち上がって戦う必要がある”。

CloudflareはProject Jengoでトロールの特許訴訟を無効にしただけでなく、Blackbirdのトップも訴追している。同社は弁護士たちが創り、テクノロジーとはまったく無縁の企業だ。パテントを買ってそれらに関する訴訟を起こすことが、彼らの“事業”である。それは非倫理的である、とCloudflareは主張し、Blackbirdの弁護士たちを訴えている。

今Blackbirdにコメントを求めているので、得られ次第この記事をアップデートしよう。

アップデート: “Blackbird Technologiesは弊社に対するCloudflareの申し立てを検討した。これらの申し立てには訴訟としての理非がまったくなく、したがって弊社としては強力に、それらから弊社を守りたい”、BlackbirdのCEO Wendy Verlanderは、本誌にこう語った。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

CDNにもイノベーションと新進スタートアップがありえることを証明したFastlyが早くもシリーズDで$75Mを調達

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企業ユーザのダイナミックコンテンツ(刻々変化するコンテンツ)をエンドユーザに速く届けるコンテンツデリバリネットワーク(content delivery network CDN)Fastlyが今日(米国時間8/5)、ICONIQ Capital率いるシリーズDのラウンドで7500万ドルを調達したことを発表した。これまでの投資家Amplify Partners、August Capital、Battery Ventures、IDG Ventures、O’Reilly AlphaTech Venturesらも、このラウンドに参加した。これでFastlyの今日までの調達総額は、1億3000万ドルになる。

同社によると今回の資金は、顧客の急速な増大への対応、国際展開、そしてeコマースとセキュリティへのさらなる投資に充てられる。とくに今後同社が力を入れるのは、リアルタイムサービスを提供している顧客企業に対する、支援の強化だ。

従来のCDNは、画像やビデオなど静的なコンテンツのデリバリをスピードアップしてきたが、今のWebアプリケーションは、それだけでは足りない。

FastlyのCEO Artur Bergmanはこう言う: “うちに移って来られた顧客の多くは、従来のCDNにイノベーションが欠如しているので、より速くて、セキュアで、高度に個人化されたユーザ体験を作り出す能力を発揮できる機会に恵まれなかった。わが社が構築した優れたインフラストラクチャなら、リアルタイムコンテンツをグローバルにデリバリできる”。

FastlyはメインのCDNサービスのほかに、セキュリティeコマースのための、さまざまなツールも提供している。

Fastlyは今回の資金により、直接アクセスポイントをオーストラリアとインド、南アフリカ、スペイン、 アラブ首長国連邦に新設する。

同社の現在の顧客には、Twitter、Vimeo、Business Insider、Conde Nast、iHeartMediaなどがいる。2011年にローンチしたFastlyは、トラフィックの扱い量が過去2年で8倍に増えたという。社員数は200名だが、1月に比べて倍近く増えている。オフィスは今、サンフランシスコとニューヨークとロンドンと東京にある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa