Comcast、Fox買収に650億ドル正式提示――連邦地裁決定を受け、Disneyと競り合いへ

アメリカのケーブルテレビ最大手のComcastは21世紀フォックスの買収案を持っているとわれわれは報じたが、事実だった。ComcastはFoxの映画およびテレビ事業を650億ドル(1株あたり35ドル)で買収する提案を行った。

この金額は昨年12月にDisneyとの間で合意に達していた524億ドルを19%上回る。

アメリカ連邦地裁がAT&TとTime Warnerの合併を認める決定を下したことでComcastgがFox買収で新たな動きを見せるはずだと強く予測されていた。反トラスト法に基づく司法省の合併差止を連邦地裁が覆したことで、キャリヤ企業とメディア企業の垂直統合が広く認められることになるはずだ(ちなみにTechCrunchの親会社OathはキャリヤのVerizonのデジタルメディア事業部)。

Foxの経営陣宛 (つまりルパート・マードックらマードック家の3名)書簡でComcastのCEO、Brian Robertsは次のように述べている

昨年われわれが会った後、 経営陣はComcastこそFoxの事業にとって戦略的に理想的な居場所だと結論した…(われわれの買収提案の方が)はっきりと高額であったにもかかわらずFoxがDisneyの買収提案を受諾したことに失望していた。

AT&T/Time Warnerの合併を巡る昨日の裁判所の決定およびFoxの株主総会の期日が迫っているという事情に照らし、われわれは引き続きFox買収に強い意欲を持っているので以下に全額キャッシュによる新しい買収案を提示する。これはFox買収に関するこれまでの取締役会の意思を完全に引き継ぐものだ。

これでComcastとDisneyはFox買収を巡って全面的に対決することになった。買収の対象は Foxの映画スタジオ(『アバター』シリーズ、X-MENの映画化権、『ファンタスティック・ビースト・フォー』、オリジナルの『スター・ウォーズ』を含む)、テレビスタジオ、ケーブルネットワーク、Huluの持ち株だ。

Robertsは書簡で「(ComcastによるFox買収は)Disneyによる買収と同等かそれ以上に規制当局からの承認を受ける可能性がある」と述べ、さらにFoxがDisneyとの合意を解消する場合に必要な制裁金15億ドルをComcastが肩代わりする用意があるとした。

アップデート: Foxは新たな買収案を提示する書簡を受け取ったことを公表した。この声明で同社は「Comcastからの提案により、株主総会を延期ないし一時休止するかどうか、まだ結論を得ていない」としている。Foxでは7月10日にDisneyの買収提案を議題とする株主総会を開催する予定だった。

画像:Mike Mozart / Flickr under a CC BY 2.0 license

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ディズニー、フォックスの映画・TV部門買収を正式発表――価格は524億ドル

間もなくエンタテインメント界の巨人2社が1つになる。ウォルト・ディズニー・カンパニーは21世紀フォックスと正式に契約を結んだことを発表した。この契約により、ディズニーはフォックスの映画スタジオ部門とTV事業の大部分を買い取る。支払いには520億ドル以上の価値の株式が充てられる。

ディズニーにはナショジオ・ネットワーク、Star TV、フォックスの映画とテレビのスタジオ、またSkyとHuluの持ち分も取得する。同時に地域スポーツ中継番組放映の権利も得る。この契約でDisneyはHuluの過半数の株主となる。Foxの全国テレビネットワーク、Fox Newsと保有するスポーツ・チャンネルについてはスピンオフして新会社となる。

ディズニーがエンタテインメント・ビジネスで現在のような圧倒的な存在になった理由の一つはCEOのボブ・アイガーによる大型買収にある。アニメーションのピクサー、コミックのマーベル、さらに最近えはルーカスフィルムがディズニーの傘下に加わった。こうした買収により、ディズニーのコンテンツ数は膨大なものとなり、2019年に予定されているディズニーのストリーミング・サービスの開始にむけて強い追い風となっている。ディズニーは自社のオリジナル・コンテンツを自社のストリーミング・サービスにいち早く流すことができる。これはNetflixのビジネスにとって深刻な脅威を与える存在となってきた。

Foxが所有するコンテンツの中にはアバター・シリーズやスターウォーズ・シリーズの記念すべき第一作(エピソード4)が含まれる。

ディズニーはマーベル・コミックを買収したことでスーパーヒーローものでも順調に成功を収めている。その上今回の取引でマーベルが過去にフォックスにライセンスしたX-メンやファンタスティック・フォーも自社に取り戻すことになった。アベンジャーズとX-メンの夢のコラボ映画なども期待できるかもしれない。ディズニーの公式声明の中にはそれを示唆する箇所もある。

今回の合意により、ディズニーはX-メン、ファンタスティック・フォー、デッドプールなどマーベルのスーパーヒーロー全員を一つの屋根の下に戻すことに成功しした。これにより人気のキャラクターとストーリーが複雑にからみあったみのり豊かな世界を創造できるようになるだろう。
【略】

この買収を別の面から見ると、今日までの統計ではディズニーとFoxはアメリカにおける2017年の興行収入でそれぞれ2位と4位のエンタテインメント企業だ。 両社の興行収入を合算するとアメリカ国内の興行収入総額の30%を占めることとなる〔ディズニーはBuena Vistaとして掲載〕。

この数週間、ディズニーのフォックス買収については大量の情報が飛び交っていた。CNBCは「正式発表は今日出るだろう」と報じていた。ディズニーのCEO、ボブ・アイガーは取引が成立したことを報告すると同時に、この契約の一部として同社の会長、CEOに2021年まで留まることを発表した。アイガー自身はこれまで2019年にディズニーを去ることを予定していたという。

ディズニーによれば、この買収が完了するには1年から1年半程度かかるだろうという。今後、反トラスト法を初めと政府の承認をクリアする必要がある。司法省がAT&Tとタイム・ワーナーの合併に待ったをかけたことを考えると、今回の取引も承認が得られるかどうかはまったく予断を許さない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+