LGBT就職支援のJobRainbowが1000人規模の無料就活イベントを渋谷ヒカリエで開催

JobRainbowは3月30日13時に、東京・渋谷ヒカリエ9階ヒカリエホールにて、LGBT学生ら約1000名とLGBTフレンドリー企業20社以上が参加する無料の企業合同採用イベント「Real JobRainbow」を開催する。LGBT向け就職情報プラットフォーム運営や企業や行政機関向けのLGBT研修・コンサルティング事業などを展開してきたJobRainbowが手がける、初の大規模就活イベントだ。

同社は、昨年11月にTechCrunch Japanが同じ場所で開催したTechCrunch Tokyo 2018の「スタートアップバトル」で、100社超の応募の中からファイナリスト20社に選出された企業。最終選考のファイナルステージに進んだ6社のうちの1社でもある。

参加するフレンドリー企業は、ソフトバンク、富士通、モルガン・スタンレー、丸井グループ、アバナード、セールスフォース・ドットコム、日の丸交通、賢者屋、物語コーポレーション、Meltwater Japan、ベルシステム24、グローヴエンターテイメント、CEN DIVERSITY HOTEL&CAFE、横引シャッター、御茶の水美術専門学校、じょぶれい、SKIYAKI、Kafuu Resort Fuchaku CONDO・HOTEL、アルファ ロメオ、KIMPTON HOTELS & RESTAURANTS、THE STRINGS BY INTERCONTINENTAL TOKYOなど。IT・テクノロジー、証券・投資銀行、コンサルタント、飲食、運輸、ブライダル、教育などの業界への就職を希望する学生に向けたイベントとなる。

同社は渋谷ヒカリエで開催する理由として、日本初の同性パートナーシップが条例で認めらた都市であることを挙げている。そして、LGBTだけでなくさまざまなダイバーシティに力を入れる街であることから渋谷での開催を決めたとのこと。

イベントでは、人事顧問による「自分らしさの伝え方講座」、セクシュアリティをオープンにして活躍するLGBT社員やインフルエンサーによるトークショー、就活生のためのメイクアップブースなどのプログラムが用意されている。

そのほか。トランスジェンダーのラジオパーソナリティ「瞬」がMCを務め、TikTokで10万人フォロワーを持つLGBTインフルエンサーカップル「まさたい」やボディビルダーでゲイをカミングアウトして話題になった「芳賀セブン」をゲストに迎えたアフタートークセッションも開催される。

イベント概要は以下のとおり。参加には事前申し込みが必須で、イベント当日は参加者のプライバシー保護のため、報道関係者以外は撮影・録音は禁止となる。

【イベント概要】
日時:3月30日(13:00~18:00)※開場は13:00、企業ブース開場は13:30
場所:渋谷ヒカリエ9F(ヒカリエホールホールB)
対象者:「自分らしくはたらく」を実現したい社会人・学生・求職者(全年齢対象、セクシュアリティ不問、履歴書不要、服装自由)
参加費:無料

新生「JobRainbow」が3/1にリリース、より総合的なLGBTリクルーティングプラットフォームに

右から、JobRainbow取締役COOの星真梨子氏、代表取締役CEOの星賢人氏

3年前、『全てのLGBTが自分らしく働ける社会』を作ろうということで、この会社を立ち上げました」

LGBT就職支援のJobRainbow代表取締役を務める星賢人氏は2月22日、同社の3周年記念パーティーでそう話した。「当時はなかなか理解を得ることができなかった」というが、今では多くの支援者がいる、と同氏は加えた。

「私のトランスジェンダーの友人は就職活動中、企業の方にカミングアウトをしたら、『あなたみたいな人はいない』と言われ、帰らされてしまった。そこから就職活動を諦めて、大学を辞めてしまうというケースが、目の前で起きていた」(星氏)

星氏いわく、求職時に、LGBだと44%、トランスジェンダーだと70%が困難を感じている

また、カミングアウトしたいと職場で思っている当事者は42%いるが、実際にできているのはたったの4%だという。

「背景としては、69%もの方が差別的言動を経験したことがあるため、言いたくても言えないという現状がある。そこでこの度、3月1日という、就職活動が解となり転職活動もピークになるこのタイミングで、みなさんにご紹介したいのがこの『JobRainbow』というサービスです」(星氏)

これまでJobRainbowではLGBTのための求人情報サイト「ichoose」と就職情報メディア「JobRainbow」を別々に運営してきた。だが3月1日より2つのサービスは統合、新生リクルーティングプラットフォーム「JobRainbow」として提供される。

同サービスでは厳選された300以上のLGBTフレンドリー企業を24項目で評価できるほか、制度において「差別禁止規定があるか」「パートナーシップは同性同士でも組めるか」「通称名が使えるか」などLGBTそれぞれのニーズに合った適切な企業に応募ができる状態をつくる。

また、LGBTに特化したエントリーシートも用意。男女だけに限らない多様なセクシャリティから自分自身に最も適したものを選べる。加えて、カミングアウトの範囲においても、人事だけにカミングアウトしたい、全員にしたい、といった範囲から選択することが可能だ。

リニューアル版には新たに、企業の取り組みに「いいね!」を押し応援することができる機能を追加。また、セクシャリティに関する項目は非公開に設定できるようになる。

現在、JobRainbow提供のサービスのMAUはiChooseとJobRainbowを合わせて19万人、累計ユーザー数は115万人以上。ユーザー数の増加を踏まえ、同社ではLGBTフレンドリーな企業20社と当事者800人ほどが出会える合同採用イベント「Real JobRainbow」を3月30日に渋谷のヒカリエにて、史上最大規模で開催する。

今後JobRainbowでは社内ダイバーシティに関するデータを集積し、企業のアセスメントを行う予定だという。現場の声を企業にフィードバックし、「取り組まないことはリスクだ」ということを可視化、そしてイーラーニングやエンゲージメントツールを提供していくプランだ。それに先立ち、同社は「LGBTフレンドリー企業マニュアル」を今週より出版している。

JobRainbowにとって現在、目の前の課題は「就職領域におけるLGBTの課題解決」だが、星氏は「教育」「結婚」「金融」「介護」など様々な領域を総合的に解決できるプラットフォームを作っていきたい、と話していた。また、東南アジアといった地域を含むグローバル展開も既に視野にあるという。

LGBT就職支援のJobRainbowが3月にサイト改修、先行体験ユーザーを募集中

JobRainbowは2月5日、3月に控える大幅なサイト・サービス改良に向けて、先行してそのUIなどを利用できる体験版ユーザーの募集を開始した。

同社は、LGBTの就職を支援する求人サービスや関連情報を提供する、2016年1月設立のスタートアップ。2018年11月にTechCrunch Japanが開催したTechCrunch Tokyo 2018のスタートアップバトルで、応募100社超の中から選ばれたファイナリスト20社中の1社。そして、最優秀賞を決めるファイナルラウンドの6社に残った企業だ。

3月のJobRainbowサイトの改修により、LGBT求人サイトである「ichoose」と、企業情報やLGBTQ+に関連したコラムなどを掲載するメディア「JobRainbow for LGBTQ+」が統合される。同社によると、企業とLGBTユーザーが出会える機能と、企業情報やLGBTコラムを読める機能を単一プラットフォーム上で実現するとしている。

体験版に興味のあるユーザーはJobRainbowのサイトの応募フォームにメールアドレスを登録後、「どこで体験版の存在を知りましたか?」「なぜ体験版に参加申し込みをしてくれましたか?」という回答必須の2項目を含む、計7項目のアンケートに答えれば応募が完了する。その後、応募者の中から体験版ユーザーが選ばれる流れだ。サイトの都合上、応募者全員に体験版のサービスを案内する確約はできないとのこと。

TechCrunch Tokyo 2018スタートアップバトル、グループC出場企業を発表

11月15日、16日に開催するスタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo  2018」。なかでも注目の、創業3年未満のスタートアップによるピッチイベント「スタートアップバトル」の出場企業を紹介しよう。グループAグループBの出場企業はすでに発表しているので、過去記事を確認してほしい。

グループCの出場企業は、HiCustomer、JobRainbow、ワンディー、タイミー、Smart Tradeの5社だ。

HiCustomer

HiCustomerは、顧客の離脱兆候やアップセル(顧客単価の向上)の可能性検知を行い、受注後の売上最大化を目的としたカスタマーサクセス管理プラットフォームを提供している。2018年4月よりクローズドβ版を提供開始。これまでに上場企業含む数十社の導入実績を持つ。2018年7月には500 Startups Japanなどから6000万円を調達している

JobRainbow

LGBT求人情報サイトや企業や行政機関向けのLGBT研修・コンサルティングを行うのがJobRainbowだ。求人サイトは現在、月間約11万人が利用しているという。代表取締役の星賢人氏は、東京大学大学院に在学中に起業した学生起業家。Forbesが発表したForbes 30 under 30 in Asiaには日本人で唯一、社会起業家部門で選出されている。2018年7月にはジェネシア・ベンチャーズなどから5000万円を調達した

ワンディー

ワンディーは、歯科医療者が臨床知見や顧客から受けた相談内容をシェアするプラットフォーム「1D 」を運営するスタートアップだ。2018年7月ローンチ。これまでに、2000人を超える歯科医療者がサービスに登録、プラットフォーム上に掲載された症例は500件以上だという。

タイミー

タイミーは、“今すぐ働けて今すぐお金がもらえる”単発バイトアプリ「タイミー」を提供するスタートアップ。ちょっとした隙間時間と、店側の人手の足りない時間をマッチングする。ユーザーは応募も面接もなく働くことができるのが特徴だ。2018年8月のリリース以降、これまでに100社以上に導入されているという。また、同月には5600万円の資金調達も発表している。

Smart Trade

Smart Tradeは、株式のシステムトレードに利用するアルゴリズムのマーケットプレイスなどを提供するスタートアップ。ユーザーは、第三者の開発者が構築したアルゴリズムを購入して自身のトレードに利用できるほか、それらのアルゴリズムを利用した資産運用をSmart Tradeに委託することもできる。

チケットは以下のリンクから購入できる。現在、一般チケット(4万円)、5人以上の一括申し込みが条件の「団体チケット」(2万円)、創業3年未満(2015年10月以降に創業)のスタートアップ企業に向けた「スタートアップチケット」(1万8000円)、学生向けの「学割チケット」(1万8000円)を販売中だ。

チケット購入はこちらから

「すべてのLGBTが自分らしく働ける社会の創造」を目指すJobRainbowが5000万円を調達

後列一番左がJobRainbow代表取締役、星賢人氏

五反田駅から歩いて数分の場所にあるfreeeの本社は7月8日、日曜日なのにもかかわらずとても賑わっていた。日本最大の規模を誇るLGBTフレンドリー企業の合同説明会、「Real JobRainbow」が開催されていたからだ。

LGBTとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、それぞれの頭文字をとった単語で、セクシュアル・マイノリティの総称のひとつだ。

2016年創業のスタートアップJobRainbowが運営する同説明会ではスターバックス、LUSH、そしてfreeeを含む約10社の参加企業が名を連ね、訪れた約150名の就職・転職希望者たちに対し「自分らしく」「自然体」で働ける職場環境が整っていることを約束した。

2016年創業のJobRainbowは「すべてのLGBTが自分らしく働ける社会の創造」を目指し、合同説明会のReal JobRainbow、求人サイト「ichoose」、企業口コミサイト「JobRainbow」、研修・コンサルティング事業などを展開している。

そんな同社が7月10日、ジェネシア・ベンチャーズを引受先とする、5000万円の第三者割当増資を実施したと発表した。今回の資金調達により、プロダクト開発・セールスチームの強化、及び企業向けコンサルティング事業の強化を実施し、年間約70万人存在すると言われているLGBTの就活生・転職希望者が自身のセクシュアリティに関わらず、「自分らしく働ける職場」に出会える社会を目指すという。

同社の代表取締役、星賢人氏は13人に1人(約7.6%)、日本の人口に換算するとおよそ950万人がLGBTに該当すると説明。

星氏は、東京大学大学院に在学中、起業し、孫正義育英財団正財団生として選抜されるとともに、Forbes 30 under 30 in Asiaに日本人唯一、社会起業家部門で選出されている。自身もゲイとしてこれまでいじめや差別を経験し、人生に絶望したこともあったという。

同氏は「求職時に、困難を感じていない人が6%なのに対して、LGBだと44%、トランスジェンダーの方だと70%の方が困難を感じていると答えている」と問題を指摘した。

「職場でカミングアウトしたいと思っている方は約半数いるが、実際にできている方は4%しかいないということが博報堂などによる調査によってわかっている。背景として、7割の方が職場で差別的言動を経験しているということがある」(星氏)

企業側には「人材不足の中、理解がないことで知らず知らずのうちにLGBTの方が離職してしまう」ことがあったり、「理解があるのにも関わらず、それを当事者に伝え切れていない。雇用がしたくても受け入れ方を知らない」といった課題があるのだと同氏は説明する。

そのソリューションとして、今では同社のメインサービスとなっており、当時は世界初であったというLGBTのための求人サイト、ichooseを2017年にリリース。性別関係なく働くことができ、かつ「服装髪型が自由」「トイレや更衣室に配慮」「福利厚生が同性パートナーにも適応される」など自分にあった求人に応募できるのが同サービスの特徴だ。エントリーシートに求職者が自由にセクシュアリティを記入できるほか、入社後の配慮項目を事前に登録することで、求職者と企業とのより良いマッチングをサポートする。同サービスのユーザー数は累計で約35万人、MAU(monthly active user)はおよそ7万5千人にも及ぶという。

星氏は「現在、年間で言うとLGBTの求職者は約67.5万人いることがわかっている」と市場規模に関して説明した。「人材の市場規模的に言うと、人材サービス産業はおよそ8兆円なので、だいたい7.6%と考えると6000億円。その中で我々が狙うべきなのは求人広告市場と人材紹介事業なので、そこで言うとおよそ1000億円が我々のビジネスのポテンシャルとして存在している部分だと考えている」と語った。

今後、出資をもとにプロダクトを磨くため、エンジニアやデザイナーを増員し、2025年までに認知度を100%近くまで高め、売上高は300億円規模を目指しているという。

また、星氏はTechCrunchで紹介しているようなベンチャーやスタートアップなど若い中・小規模の企業は「理解や柔軟性」があり、「特に受け入れ土壌がある」と述べた。

Real JobRainbowでブースを出し、ichooseにも求人を掲載しているfreeeでダイバーシティ推進室 室長を務める吉村美音氏は「freeeを含むスモールビジネスやスタートアップの会社は、様々な施策を行う上で小回りがきく。自由に働ける環境を整えることができるのはスモールビジネスやスタートアップの強みだと考えている」と語った。

写真右がfreeeダイバーシティ推進室 室長、吉村美音氏