任天堂Switch Liteはポータブルゲーム機の極み

まず前置きとして、私の状況について説明させていただきたい。私は、たぶんオリジナルのNintendo Switchのターゲットユーザーからはズレていることを自認している。まず私はテレビを持っていない。高校生のときからずっとだ。そして私は、このしがない仕事のために絶えず旅行している。

こうした条件を考えると、据え置き型とポータブル両用のゲーム機というコンセプトは、明らかに私には合わない。むしろちょっとジャマくさく感じていた。それによって本体が大きく、重くなる。Joy-Con(ジョイコン)は、プレイ中に割としょっちゅう外れてしまう。たまには、コントローラーを本体から外し、背面のスタンドを立て、テーブルモードにして飛行機の座席のトレーテーブルに乗せて使ってみようかと思うこともあった。しかし、そうした機能も、結局は割に合わないと思われるのだ。

「内蔵コントローラー」がゲーム機の機能の1つとしてリストアップされているのも変な感じだが、それはまあ、そういうものなのだろう。

Switch Liteの噂を初めて耳にしたとき、はっきり言って私は興奮した。その情熱は、このゲーム機について書いた以前の記事でも感じていただけたかもしれない。そしてついに、発売の日がやってきた。正直なところ、Switch Liteは私が本当に望んでいたものなのだ。

このLiteは、オリジナルのモデルよりも明らかに小さく、軽い。2つのモデルを比べてみなくても、はっきりと分かるはずだが、念のため、以下の写真で実際に比べて欲しい。

もちろんLiteといえども、ほとんどのスマホよりは大きくてかさばる。スマホでゲームをプレイすることを考えると、Liteにとって手強いライバルとなるだろう。しかし、任天堂は自社製のハードウェアにこだわっている。そして、そうしたこだわりは、オリジナルのSwitchが登場してから3年近くの間、かなりうまく作用し、価値を生み出してきた。任天堂の方針では、常に自社製のハードウェア用のゲームソフトを作ることになる。これはSwitchでも、まったく同じだった。そうした任天堂のオリジナルゲームは、そのままスマホ用として、うまく移植できるとは、とうてい考えにくいのだ。

任天堂は、本体の色のバリエーション設定でも正しかった。以前の記事でも書いたように、私にとって最も難しい選択は、Switch Liteを購入するかしないかではなく、どの色を選ぶか、ということだった。そしてその選択については、任天堂が背中を押してくれた。レビュー用に、ターコイズのモデルを送ってくれたのだ。グレーとイエローのモデルにも、また違った良さがある。しかし、私は個人的にかなりターコイズに傾いている。

ポータビリティは非常に重要だが、デバイスのサイズを小さくすると、どうしても妥協しなければならない部分が出てくる。ドッキングしてテレビに出力する機能が削られたのに加えて、画面サイズも6.2インチから5.5インチに縮小された。解像度は相変わらず、あまりぱっとしない720pだ。画面サイズが小さくなったことは、主にメニューの見やすさに響いている。私のように、ちょっと老眼が入った目には、文字が見えづらい。それはともかく、メニューのUIには、もうちょっと工夫が欲しいところでもある。長いことSwitchを使ってきた人は、ゲームのメイン画面が小さくなったことも気になるかもしれない。もっとも、それにはすぐに慣れるだろう。そもそも、スマホでゲームをするのに慣れた人なら、画面の小ささは気にならないはずだ。

バッテリも小さくなっている。FCCへの申請によると、容量は4310mAhから3579mAhになった。にもかかわらず、オリジナルのSwitchと比べて寿命は伸びている。元の2.5〜6.5時間が、Liteでは3〜7時間は保つとされているのだ。この持続時間の延長は、小さくなって消費電力も少なくなったディスプレイと、電力効率の高いプロセッサの組み合わせによって実現されたもの。ただし、Switchの新しいバージョンは、4.5〜9時間のバッテリ寿命を実現している。オリジナルのSwitchでは、バッテリ寿命の短さが、不満の最大の要因だった。私としては、バッテリ容量も増やし、消費電力を減らすことで、もっと寿命を長くして欲しかったところだが、そうそう何でも思い通りになるわけではない。

Liteには、ヘッドフォンジャックもそのまま残されている。そして、microSDと、ゲームカード用のスロットも健在だ。ゲームの世界では、物理的なメディアも、まだ死んだわけではない。もちろん、本体背面にあったスタンドは取り除かれた。Joy-Conが取り外せなければ意味がないからだ。そしてもう1つ、重要な物理的違いがある。それは、以前の4つに分かれた使いにくい方向キーに代えて、十字キーパッドを装備したこと。実を言うと、私は左のジョイスティックを使って、基本的に何でもするように慣れてきていた。Liteに十字キーが装備されたのは、Nintendo Switch Onlineのライブラリに、ファミコンやスーファミのゲームが追加されたのと、ちょうどタイミングを合わせたものだろう。ただし、Switch用のオリジナルゲームでは、十字キーのメリットは、それほど感じられないかもしれない。この十字キーは、私が想像していたよりも、感触が少し柔らかく感じられる。これも、時間が経てば慣れるはずだ。

ともあれ、Switch Liteの最大のウリは、その価格だ。200ドル(日本では税別1万9980円)というのは、このゲーム機に最適な価格のように思われる。オリジナルのSwithと比べて、ちょうど100ドル(1万円)安い。驚くほど安価な月額4ドル(日本では税込300円)、年額では20ドル(同2400円)のNinteno Switch Onlineと組み合わせて考えても、ゲーム機の寿命を3年として、かなり魅力的な価格設定だろう。

いますぐに、2種類のモデルのどちらかを選べと言われたら、私はほぼ間違いなくLiteを取る。しかし、バッテリー寿命が2時間ほど短いことには、ちょっと悔しい思いがあることも否定できない。もちろん、幸いにして、誰もが私と同じ考えとは限らない。ほとんどの人は、きっと私より普通で、順応性もあり、家にはテレビもあるだろう。その場合、Liteを選ぶということは、Switchの名前の由来ともなった革新的な機能をあきらめることになるわけだ。

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しかし私のように、人生の多くの時間を地下鉄の車両、あるいは飛行機の中で過ごしている人間としては、Liteは、まさに待ち望んでいたSwitchなのだ。そんな人間は、私だけではないと確信している。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

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(翻訳:滑川海彦@Facebook)