実在する不動産をNFTとして購入可能に、Propyが米国でプラットフォームの展開を開始

2021年、初期のブロックチェーンスタートアップであるPropy(プロピー)が、このテクノロジーを使って現実の不動産販売をスムーズに行えるようにするために、スマートコントラクトの概念を導入することを計画しているという記事を掲載した。同社は実際にNFT(非代替性トークン)としてアパートを販売し、NFTを使って法的手続きを効果的に処理することに成功している。ただし、そのアパートはウクライナにあるものだった。同社は今回、この概念をそっくりそのまま、法律的な問題がまったく異なる米国で展開を始める。

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同社は現在、米国で不動産を担保としたNFTを起ち上げることによって、このプロセス全体をさらに拡大し、文字通り不動産の所有権をNFTに変えるための技術的・法的な枠組みに取り組んでいる。

このテクノロジーは、所有者や仲介業者に向けて販売されることになっており、Propyは不動産NFT化サービスの一環として、2月8日にフロリダ州にある2つの住宅用物件をオークションにかける予定だ。

その仕組みは次のようになっている。Propyによると、購入の記録は変更不可能なブロックチェーン上に置かれ、所有権を示す法的文書へのアクセスを提供する。これによって、買い手はコストを削減でき、購入のプロセスが短時間で簡単になるため、わずか数分で物件を購入することができる。

Propyの計画は、このサービスをグローバルに拡大し、ブロックチェーン技術を使って不動産を購入するための単一のフレームワークを提供することである。

うまくいけば、買い手はフロリダ州にある投資用不動産を手に入れ、所有権がNFTに関連づけられた米国にある実体の所有者となることができる。フラクショナル・オーナーシップではなく、担保にして借り入れが可能なDeFi資産となるのだ。

Propyの共同創業者でCEOのNatalia Karayaneva(ナタリア・カラヤネバ)氏は、次のように述べている。「私たちはPropyで、必要なすべてのスマートコントラクトと、米国内のあらゆる不動産物件のトークン化を可能にする互換性のある法的枠組みを開発してきました。NFTの販売額は2021年12月に40億ドル(約4600億円)に達しましたが、実物資産がその市場のかなりの部分を占めるようになるでしょう」。

2021年、PropyはウクライナでNFTを介してアパートを販売した。現在までに1600万ドル(約18億5000万円)以上の資金をベンチャー・キャピタルから調達しており、Tim Draper(ティム・ドレイパー)氏やMichael Arrington(マイケル・アーリントン)氏などから支援を受けている。

スマートコントラクトは、バーモント州アリゾナ州でこれを認める法案が可決されるなど、ますます法的効力を持つ記録になりつつある。

Propyに競合する会社はいくつかある。RealT(リアルT)はフラクショナル不動産投資プラットフォームで、世界中の投資家がトークンベースのブロックチェーンネットワークを通じて米国の不動産市場に投資することができる。SafeWire(セーフワイヤ)、かつてのSafeChain(セーフチェーン)は、不動産会社、エージェント、顧客、業界が、ハッカーの介入によって直面する通信詐欺の課題に取り組んでいる。しかし、同社はClosingLock(クロージングロック)に買収された。

画像クレジット:Andrii Yalanskyi / Getty Images

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

キエフのアパートが収集可能なNFTとして初オークション、ブロックチェーンスタートアップPropyが企画

TechCrunchは以前、スマートコントラクトのコンセプトの下、ブロックチェーン技術を使用して実際の不動産販売をスムーズにする企業であるPropyを記事で取り上げた。Propyは、こうした機能を最初に実現したブロックチェーンスタートアップだ。現在同社は、実際の物件をNFTとしてオークションにかけることで、その境界線を再び押し広げようとしている。これを単なる人目を引くための行為だと片付けたい人もいるかもしれないが、同イベントは合法的に行うことができることを強調するために企画されたものだ。そしてもちろん、Propyは間違いなく挑戦に向かうだろう。

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今回オークションにかけられているNFTは、ウクライナのキエフにあるワンベッドルームの近代的な新築アパートメントに付随するものとなっている。Propyが初のブロックチェーンベースの不動産販売で歴史を築いた物件だ。

Propyが作成したNFTは、不動産の実際の所有権を移転するという。あまり詳しくないという人のために説明すると、NFT(非代替性トークン)は、芸術作品、音楽、その他の収集物など、固有の資産を表現する暗号化された「トークン」で、所有権をデジタルで証明する。NFTは、Banksy(バンクシー)のアート作品を焼却したものをはじめ、あらゆるものに応用できる可能性を秘めた暗号の世界に光を当てた。

オークションでアパートメントのNFTを落札すると、所有権譲渡書類へのアクセス権、キエフの人気グラフィティアーティストChizzによるデジタルアート作品のNFT(デジタルアートの物理的な絵が物件の部屋の壁に描かれている)、アパートメントの写真を獲得する。しかし、明らかにここではアパートメントが主要資産である。

オークション自体は24時間かけて行われ、開始価格は2万ドル(約218万円)からとなっている。NFTによる売却の詳細はこちらで確認できる。

当該アパートメントは、まさに本ニュースサイトTechCrunchの創設者であり、現在Arrington XRP Capitalの暗号投資家であるMichael Arrington(マイケル・アーリントン)氏が現在所有している。

Propyはこれまでに10億ドル(約1091億円)相当の取引を処理したとしており、その投資家にはアーリントン氏の他、DFJの元創業者Tim Draper(ティム・ドレイパー)氏も名を連ねる。

PropyのCEOであるNatalia Karayaneva(ナタリア・カラヤネバ)氏は次のように述べている。「このNFTは歴史に残るでしょう。ブロックチェーン技術と非代替性トークン(NFT)の将来性を活用し、分権化された金融経済における『自動運転型』不動産取引と不動産参加を実現する上で、Propyにとって大きなマイルストーンとなります」。

今回の取引の概要を説明しよう。アーリントン氏は、NFTの弁護士が作成した、将来の買い手に所有権を譲渡するための法的書類に署名済みである。PropyはNFTオークションを行い、暗号資産で支払いを受ける。オークションの落札者は、KYCの詳細を入力後、1分以内に物件の所有者となる。

キエフの不動産は米国を拠点とする事業体が所有している。オークションが完了すると、NFTの新しい所有者は事業体の所有者となり、不動産自体の所有者となる。このプロセスは、不動産にアタッチされたNFTが再販売されるたびに繰り返される。

筆者とのインタビューで、カラヤネバ氏は次のように語った。「私たちはブレーンストーミングを行ってきました。今回のことは2017年のホワイトペーパーの自然な展開のように思えます。私たちは実際、不動産、不動産を経由するもの、そしてすでにNFTに着手し始めていますが、独自のスマートコントラクトを活用してそれらの取引を行っています。しかしこのNFTのコンセプトは、2つのウォレット間で不動産をピア・ツー・ピアで転送できる、異なるアプローチを提供します」。

「登記簿上の所有者名を変更する必要はありません。これは米国だけでなく多くの国にも当てはまります。米国では、所有者のプライバシーを保護するためにLLCを通じて不動産を購入するという考え方があります。このモデルは米国でうまく機能し、全体に広がっていくでしょう」。

同じインタビューの中でアーリントン氏は次のように付け加えた。「これを暗号の観点からとらえると、DeFiがどのようにしてクレジット市場に接続されるかを私たちは見てきました。NFTやDeFiの資産を持っていれば、仲介人なしで借りることが可能です。実物の不動産の場合は、今のところ仲介人なしでは借りる方法がありません。銀行を経由して、住宅ローンなどを取得する必要があるからです。それはまた、速度と所要時間の面でのあらゆるコストにも影響します」。

「不動産やその他の実際の資産をDeFiにつなぐ方法が見つかれば、その周りに創出されるクレジットの量は、最終的には数兆ドル(約数百兆円)に達するでしょう。それは実現されるべきだと私は考えます。これを取り巻く問題は、法律と規制です【略】これをめぐる法的な問題は難しく、Propyはそのために多くの取り組みを重ねています。それでも、実際の資産をNFTで表現するというアイデアは、純粋に取引の容易さとクレジット市場へのアクセスの容易さという観点から考えると、すばらしいアイデアだと言えるでしょう」。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Propy不動産NFT

画像クレジット:Propy

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(文:Mike Butcher、翻訳:Dragonfly)

ブロックチェーンで不動産取引を完全にオンライン化し安全かつ簡潔化するPropyが資金調達

数年前から、ブロックチェーン技術は不動産の売買を証明できる優れた方法として推奨されてきた。どんな不動産であってもだ。そこで起業家たちは、不動産の取引をブロックチェーン上で完結させることができるスタートアップを作ろうと我先にと取り組んできた。

そのような状況で当初から傑出していたのが、Natalia Karayaneva(ナタリア・カラヤネバ)氏が創業したPropyだ。カラヤネバ氏は経験豊富な不動産デベロッパーで、ブロックチェーンの世界に参入している。Propyのもう1人の創業者は、Denitza Tyufekchieva(デニツァ・チュフェクチェワ)氏だ。

Propyはこのほど、ベンチャー投資家のTim Draper(ティム・ドレイパー)氏から資金を調達したが、その額は公表されていない。ドレイパー氏はTeslaやSkype、Twitter、Coindesk、Robinhoodなどへの初期の投資家としてよく知られている。TechCrunchは、今回の投資がこれからも続くり大きな額の資金調達の一環であると考えている。

同社によると、Propyのプラットフォームはブロックチェーンを使用しており、住宅購入体験を簡素化し、詐欺的な取引を排除するというものだ。このアイデアは、従来の不動産取引を完全にオンラインで完結させようというものだ。そのオファー(物件情報)とDocuSignで署名した購入契約、安全な電信送金、権利証書などはすべてオンラインで簡潔する。同社によると、これによって1件につき10時間のペーパーワークが不要になるという。

「Propyにおける私のビジョンは、必要なロジスティクスのすべてがシームレスにバックエンドで行われ、自動運転の不動産取引を世界にもたらすことだ。私たちのプラットフォームは、リアルタイムで取引を観察する端末を提供し、不動産企業や登記企業、 住宅建築企業、購入者そして不動産投資信託企業などのために取引過程を透明化する。今回の新たな投資により、私たちは業界に必要とされる変化をもたらし、消費者を満足させ、世界中の不動産のプロに力を与えることができて、本当に喜ばしい」とカラヤネバ氏は声明で述べている。

ここでは、暗号通貨という奇妙な存在の出番はない。取引のほとんどが、Propy上でドルで行われる。70の銀行に接続された送金システムとの統合により、電子送金を処理することができるため、一般の人でも手にしたその日から利用することができる。

さらにカラヤネバ氏は「私たちは弁護士の代わりになるのではなく、むしろ弁護士の手助けをする。DocuSignを統合することで、彼らはPropy上で書類に署名することができ、すべての関係者に通知が届く。米国では、各エージェントのフォームがPropy上にあるため、それに記入すれば取引において弁護士を必要としない」という。

Propyが企業向けにサービスを提供している点も重要だ。同社のプラットフォームは、リアルタイムの取引報告書と自動化されたコンプライアンスを備えたバックオフィスシステムを不動産企業に提供している。

「Propyはブロックチェーン技術を革新的に利用することで、取引と権利事務を単純化し、より安全にかつ安価なものにし、不動産を変革する可能性を秘めている。詐欺行為を防ぎ、簡潔処理をより安全で効果的、合理化する。」とドレイパー氏はいう。

ある調査によると、ミレニアル世代の1/5は、新型コロナウイルスのパンデミックで在宅時間が増えたため、住宅の購入を検討している(Investment Executive記事)おり、多くの人がPropyのような簡単な取引方法を探している。

Propyには、ブロックチェーンのプロップテック分野に仲間がいる。ShelterZoomは、オフィスやクライアントとのバーチャルでリモートのコラボレーションに利用されるブロックチェーンプラットフォームであり、StreetWireは、不動産業界向けのブロックチェーンを使ったデータサービスだ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:不動産ブロックチェーンPropy資金調達

画像クレジット:Propy

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa