パスワードはまだ要るね。iPhone 5sの指紋セキュリティシステムTouch IDはスマートフォンをあなたの指でアンロックするのだが、しかしそれは、本人が寝ているときの指でもよい。だから嫉妬深い恋人は、あなたが眠ってるときに、あなたの親指をあなたのiPhoneに押し付けて、その中のテキストや通話履歴、メールなどなどを全部読んでしまえる。
Appleは、死体の指はだめだ、と確認している。クロロフォルムを嗅がせるのはよいかも知れないが、外国のスパイが首相の親指を切り落としてそのファイルにアクセスしようとしても、だめだ。また指紋はAppleのサーバに保存されず、A7プロセッサの“セキュアな領域”に保存されるので、ハッカーやほかのアプリからはアクセスできない。
AppleはTouch IDセキュリティシステムをなるべく使いやすくするために努力したので、5sは猫でもアンロックできるし、足のつま先でも、あるいはあなたのあそこでも、できる…事前に登録してあれば。でも残念なことに、Touch IDにそのオーナーが亡くなったことを教える方法はない。
気をつけるべきは、ここからだ。ある晩飲みすぎて泥酔して前後不覚で寝てしまったとき、起きてみたら弟があなたの元XX全員にメッセージを送っていた。Facebookのプロフィールをクリエイティブに書き換えていた。ということがありえる。いちばん困るのは、弟ではなくあなたの重要な他者(significant other, 配偶者, 恋人, 親, 上司など)が、睡眠中のあなたの指を悪用したときだ。
寝てる間(あいだ)にボーイフレンドやガールフレンドに携帯の中身を見られた、という話は昔からよくある。浮気がばれてしまった…、でもそういうのは、パスワードで防げるだろう。
しかしTouch IDは、睡眠に弱い。
どの指で登録したか分かっていれば、寝ている人のその指をiPhoneに押し付けると、たちまちアンロックされる。
ひとに知られたくない個人的情報やデータを、スマートフォンに記録しないようにしよう。それが無理なら、指紋を削除して、パスワードによるロックに切り替えよう。そうすれば、寝てるあいだに自分の指を悪用される心配はなくなる。
そもそも、どんなパスワードも安全でないし、便利でもない、という過去の経験と反省から指紋方式は生まれたのだが、実際には指紋も顔認識も完全に安全ではない。今日のわれわれのデジタル生活に、完全なセキュリティはない。そのリスクと不便に堪えながら生きるしかない。落書きアーチストのBanksyが書いた、下の短詩のように:
愛の詩
見つめ合う瞳と
甘いキッスのかなたに
さまよい出た魂は
息を飲むような光景を見る安らかな熟睡から
ほほえみと共に目覚めると
あなたは朝の光を浴びながら
静かに読みふけっている
私の携帯のすべてのメッセージを
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))