社会的企業、Apple

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今日のAppleの記者会見は異例の始まり方だった。通常同社は、いくつか自慢の数値を発表する ― iOS製品の販売台数や、App Storeのアプリ数、iOS普及率等 ― ことから始める。しかし今日は違った。Appleは、基調講演の約1/3を費して、プライバシー環境、およびResearchKitとCareKitについて話した。メッセージは明快だ ― Appleは善人である。

企業の社会的責任に関して、社会的企業[social enterprise]とは、事業と関係の薄いミッションを遂行するために利益を再投資する営利企業のことを言う。Appleは毎年数十億ドルの利益を上げており、社会的企業からはほど遠い。

そしてAppleは、利益の一部をResearchKitのような物に再投資する〈必要がない〉。

上記3つのミッションは、Appleにとって時宜を得たものだ。多くの人々は、iPhoneアンロック問題で自分がAppleとIBMどちらの側につくべきかを知らない。同社が新しいiPhoneiPadを最初に発表するではなく、それらの問題に力を注いだ理由はそこにあるのだろう。

ではこれは、マーケティング戦術の一つなのか、それともAppleは真にこれらのミッションを信じているのか。その疑問は実は重要ではない、なぜならAppleの取り組みは医療研究や優れたリサイクル運動に対して、実際に好影響を与えているからだ。

最終的に〈全員〉が良い状態になる。私はこうした問題についてもっと多くの企業が、もっと真剣に取り組み、オープンに語ることを願っている。たしかにAppleは世界最大級の企業だ。ビジネスがうまくいっていれば、こういう問題に気を配ることも比較的容易だ。しかし、これらの問題は、最も利益を上げている会社だけでなく、多くの会社の利益に影響を与える可能性を持っている。

かつてGreenpeaceがAppleを、危険な材料を使用し、会社の環境戦略を明らかにしていないと非難したことを思い出す。10年以内の間に、Appleは環境に関して開かれた会社になり、今やGreenpeace自身の環境に関する調査結果でトップに立っている。

プライバシーに関して、Appleは何年にも渡り小さな一歩を繰り返している。まずAppleはFaceTimeを暗号化通信プロトコルとして設計した。iMessageがそれに続き、みんな気付く前に、iOS 8以降が走るすべてのiPhoneは暗号化されていた。6年以内のうちに、Appleはプライバシーの代表的存在となり、IT企業は今、Appleの側に立っている

一方、ResearchKitはかなり新しい。昨年公開されたこのフレームワークは、医療研究者が非常に短い時間で研究を実施することを可能にし、iPhoneやApple Watchのあらゆる特殊センサーを活用できるようにした。ResearchKitが5年10年のうちに与える影響を想像してほしい。

Apple製品を好きになることも嫌いになることもできるが、こうしたミッションについてAppleを攻撃することは難しい。Appleは、還元することに関して新たな標準を作ろうとしている。他の会社も耳を傾けていることを願う。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook