Google for Workを利用するCRMサービスProsperWorksが今日、シリーズBで2400万ドルを調達したことを発表した。このラウンドはNext World Capital(NWC)がリードし、Storm Ventures, True Ventures, Industry Ventures, Devoteam, および戦略的エンジェルたちのコンソーシアムが参加した。NWCはもっぱら初期的収益段階のスタートアップにテコ入れをしていくVCで、とくにそのポートフォリオ企業のヨーロッパ進出を助けることが得意技だ。
ProsperWorksのCEO Jon Leeによると、新たな資金は同社の技術開発と、営業およびマーケティングチームの拡大に充てられる。Leeは曰く、“この部屋にSalesforceという体重800ポンドのゴリラがいることは、否定できない。Einsteinのような、AIを使う新顔もいる。いずれも手強いことは手強いが、われわれは、彼らが提供しているようなインサイトにどんな企業でも容易にアクセスできるようにしたい。彼らを正しく使うための構成のカスタム化や複雑な統合が資金力的に十分できる大企業だけでなく、どんな中小企業でもね”。
とくにProsperWorksが今後の導入を計画しているのは、独自の機械学習機能により、企業の営業チームに営業努力を前進させるための具体的な行動指針を提供していくことだ。しかしCRMソリューションの知能化はSalesforceも目下検討しているし、Microsoftは同社のDynamics 365に、より本格的に機械学習を導入していくことを計画している(後者はProsperWorksを取材したあとに発表された)。
ProsperWorksの資金調達は、これまでGoogleの生産性スイート(一連のオフィスオートメーションアプリケーション)使ってきた企業にとって、好機だ。というのも今まさにGoogleは、エンタープライズに、より本気で関心を持とうとしているし、いろんな計画がうまくいけば、そのプラットホームは今後も継続的に成長していくだろう。そしてそうなれば、そのエコシステムを構成する企業ユーザーにとっても良い見返りがあるだろう。Leeは、“Diane GreeneがGoogleのエンタープライズ事業のトップになって以来、Google Apps for Workのエコシステムはかつてなかったほど強力になった。今こそ、その未来的な生産性プラットホームの上で現代的なCRM体験を顧客にお届けしていくべき、絶好のタイミングだ”、と語る。
彼によると、ProsperWorksの好調ぶりを支えているのは、ユーザーフレンドリーなCRMと、生産性スイートとCRMの一体化一元化の両方を求めている顧客たちだ。彼は後者の例として、最近の、SalesforceによるQuipの買収を挙げた。
完全なGoogle依存にはリスクもあるし、Google自身が自分に深く統合化されたCRMソリューションを今後出すかもしれない。しかし、Leeは心配していないようだ。“Google Apps for Workに完全にコミットしているうちのようなパートナーがいるかぎり、Googleが自分でCRMを作るニーズはない”、と彼は述べる。“CRMは簡単に作れるものではない。Googleにはできない、とは言わないが、製品開発と営業とマーケティングにまたがる専門的な取り組みを要する。Googleの努力はもっぱら、生産性ツールの市場を支配することに集中していた”。
ProsperWorksによると、その年商は“7桁”(100万ドルのオーダー)で、前年同期比の伸び率は504%、ユーザー企業は63000社だ。投資家としてNext World Capitalを取り付けたことにより、当然今後は本格的なヨーロッパ進出をねらうことになる。Leeによると、これまでもヨーロッパのユーザー企業は少なくないが、今後はヨーロッパ市場専任のスタッフを置きたい、という。