Monsterは必ずしも革新的なテクノロジー企業ではないけど、でも同社製のヘッドフォーンにMelodyと呼ばれるヘルパーアプリを載せることによって、今大流行の音声アシスタントの世界へ足を踏み入れた。
MonsterのElementsヘッドフォーンに搭載されているMelody音声アシスタントを作っているSpeak Musicは、基本的にその機能を、Siriが音楽サービスをApple Musicしかサポートしていない、という音楽的欠点を補うために設計した。Siriは、そのApple Musicのサポートすら、そもそも十分ではない。Speak Musicの財務のトップは、Monsterのプロダクト担当VPだった人だから、その御縁で二社はパートナーしたのかもしれない。
Melodyは、ヘッドフォーンに限らず、スタンドアローンのオーディオ製品に組み込むのに適している。いきなりAmazonのAlexaやMicrosoftのCortanaなどに飛びつくと、今の音声アシスタント製品にはびこる数々の愚かさから、逃げれなくなってしまう。少なくとも理論的には、ユーザーはオーディオ製品に音楽の機能だけを期待するだろうから、ほかの低能な音声アシスタント機能で彼らをがっかりさせるおそれはなくなる。Bluetoothスピーカーならまだしも、ヘッドフォーンが、Siriなどスマートフォンのアプリに依存していたら、相当売りにくいだろう。
Melodyも、スマホのアプリとしてダウンロードできるが、でも音声アシスタント機能は即座に簡単に使えるべきだから、(このヘッドフォーンの場合のように)ハードウェアに最初から統合されていることが必須だ。たかがヘッドフォーンのメーカーがここまでやる、ということは、2017年という今における、音声アシスタントのみすぼらしい状況を示唆している。しかもそれらの機能の制約は、現状ではプラットホームごとにまちまちだから、ますます、今回のような本体搭載に拍車をかける。
MonsterのワイヤレスヘッドフォーンElementsは、色が“ブラックスレート”、“ブラックプラチナ”、“ローズゴールド”の三種あり、今月末から350ドルで発売される。