Googleは11月20日からロンドンで開催されているCloud Nextカンファレンスで、エンタープライズコンピューティングのAnthosプラットフォームへの移行を助けるための重要なアップデートをいくつか発表した。また各種Cloud Codeツールも一般に公開された。これらはGoogle CloudないしKubernetesクラスターをサポートする環境で作動するモダンアプリケーションを構築するために役立つという。
モダンアプリケーションの開発、移行プラットフォームであるAnthosは、最近Googleがスタートさせたサービスの中で最も重要なものだろう。これはGoogleのエンタープライズビジネスをGoogle Cloudの外、つまりクライアント企業のデータセンターにに拡張するものだ。やがてエッジコンピューティングにもAnthosプラットフォームが浸透していくことになりそうだ。
20日のイベンドでGoogleはAnthos MigrateをベータからGA(一般公開)に移行させた。簡単に言えば、Migrateはエンタープライズが既存のVMベースの処理をコンテナ化するツールだ。オンプレミス、AWS、 Azure 、Google自身のCompute Engineなどすべてのワークロードはコンテナ化され、容易にAnthos GKE、Kubernetesをサポートする環境で作動するようになる。
取材に対し、Googleのプロダクト・マネジメント担当のバイスプレジデントであるJennifer Lin(ジェニファー・リン)氏は「Anthos Migrateはカスタマーの期待に答えて画期的な進歩をもたらすツールだ。既存の仮想マシンを維持しつつ、Kubernetesの利点をフルに活かせる。カスタマーは当初からすべての業務をクラウド・ネーティブのコンテナで処理できるとは限らない。カスタマーにとって重要なのはオペレーションのパラダイムの一貫性と継続性だ」と語った。
Anthos自体についてリン氏は「Googleは有望な手応えを感じている」と述べた。Googleはいくつかのクライアント企業のユースケースを紹介したが、その中にはドイツの空気圧縮機の大手、Kaeser Kompressorenやトルコの銀行、Denizbankが含まれていた。
リン氏によれば、多くの金融機関がAnthosプラットフォームに関心を示しているという。「データ駆動型アプリケーションでは複雑な処理が多数必要とされる。Kubernetesはこのような場合にうってつけだ。つまりデータ駆動型業務では分散した複数のデータベース、ウェブサイト、モバイル・デバイスからの入力を処理しなけれならない。多様なデータセットを対象にしなければならないため、単一のアプリケーションでは処理できないのが普通だ。しかも分析結果はリアルタイムで求められる。成果物はウェブブラウザやモバイルアプリで表示できなければならない。しかしこうした作業はGoogleの得意とするところだ」。
さらに今回のイベントでCloud Codeのベータ版が外れて一般公開された。 これはVisual Studio CodeやIntelliJなどのIDE向けのGoogleのエクステンションで、でロッパーがクラウドネーティブのアプリをコーディング、デバッグ、デプロイするのを効率化する。もちろん最終的な狙いはコンテナをビルドすることを助け、Kubernetesで利用できるようにすることだ。.
一般公開されたツールにはApigeeハイブリッドも加わった。 これはデベロッパー、オペレーターがAPIのトラフィックを管理することを助ける。 APIのホスティングにオンプレミス、クラウド、マルチクラウド、ハイブリッドを選択できるという。最近のエンタープライズではこのような複数の環境を利用することが珍しくなくなっている。これによりApigeeのAPIランタイムをハイブリッド環境で利用することも簡単になる。その場合でもApigeeクラウド上のモニター、分析ツールはフルに利用できるしAnthosにデプロイすることも可能だ。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook)