チーム内とチーム間での作業を自動化して進めるAsanaの新ワークフローツール群「Asana Flow」

Asana(アサナ)は常にチームのプロジェクト調整を支援してきたが、その歴史の大部分は、個々のチームに特定のタスクセットを完了まで管理するためのツールを提供することだった。米国時間2月15日、Asanaは、チーム内およびチーム間で作業を自動化して進める新しいワークフローツール群「Asana Flow(アサナフロー)」を発表した。

ワークフローツールは、プロジェクトを完了に導く手順を定義するプロジェクト計画ツールとは異なり、作業を論理的に進めるためのツールだ。Asanaの最高製品責任者であるAlex Hood(アレックス・フード)氏によれば、このツールでプロジェクトマネージャーは、単純にタスクを割り当てるのではなく、プロジェクトを完了および承認するためのすべてのステップ、データ、ツールを含む再利用可能なワークフローを作成できるという。

フード氏は、Asanaの核心はプロジェクト管理ツールであり、ワークフローとは、ある意味、繰り返し行われるプロジェクトのことだという。とはいえ、新製品では、その機能を拡張し、プロジェクト内での作業の流れを自動化しようとしている。

「今回発表するのは、プロジェクトを単に繰り返し実行するだけではない、テーラーメイドのワークフロー機能です。実際には、チーム内でのワークフローの受け渡しを計画するためのUIですが、クロスファンクショナルチーム間でのすべての受け渡しを含む、さまざまな人が使用するすべての統合機能が含まれています」とフード氏はいう。

ワークフロービルダーのUI(画像クレジット:Asana)

新しいワークフロービルダーを使えば、プロジェクトの担当者はコンポーネントをドラッグ&ドロップすることでワークフローを作成し、チーム間で流れる自動化されたプロセスのセットを構築することができる。また、ユーザーがワークフロー内のデータや受け渡しポイントを定義することで、仕事をよりスムーズに進め、仕事に関する議論を減らし、自動化された方法で進めることができるようになる。

ワークフローには、Salesforce(セールスフォース)、Slack(スラック)、PowerBI(パワーBI)、Zoom(ズーム)などの一般的なツールや、Dropbox(ドロップボックス)、Adobe Creative Cloud(アドビクリエイティブクラウド)などのコンテンツソースと連動するコンポーネントを含めることができる。また、必要に応じてカスタムアプリを作成し、標準の統合機能に含まれていない社内システムやカスタムツールを使って仕事を進めることも可能だ。

Asanaは一般的なワークフローテンプレートのライブラリを作成しているのでそれを基にワークフローを作成することもできるが、自身で自由にワークフローのテンプレートを作成して、社内の誰でも使用できるようにライブラリに追加することもできる。将来的には、企業がこれらのテンプレートを組織外で共有できるようになるかもしれない。

作業はワークフロー内で進行するにつれて、その作業を実行しなければならない個々の従業員に割り当てられる。また、各従業員用のページが作成され、進行中、完了済み、または処理が遅れているといった、注意が必要な作業が確認できるようになっている。フード氏は「ホーム画面は、会社の目標に基づいて、何が緊急で重要かを判断するのに役立ちます。また、自分が関与しているワークフローの緊急性も判断できます」という。

新しいワークフローツールは、同社が構築してきたAsana Work Graph(アサナワークグラフ)の論理的拡張であり、人、データ、仕事、あるいはミーティングのメモや文書のような仕事の構成要素などのあらゆる要素の組織内でのつながりを理解し、利用することを可能にする。

画像クレジット:Rudzhan Nagiev / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:sako)

人の意思決定が必要なワークフローをより簡単に構築できるようにするIkigaiが約15億円調達

MITの研究をベースにしたスタートアップIkigai(イキガイ)は、人間が関与するワークフローの構築をシンプルにしたいと考えている。従来のロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)が反復的な作業のためのボットを構築するものであるのに対し、同社はプロセスの一部として人間が意思決定をしなければならないワークフローを簡単に構築しようとしている。

同社は米国時間12月9日、Foundation Capital、8VC、Underscore VC、およびさまざまな業界のエンジェル投資家から集めた1300万ドル(約15億円)のシードラウンドを発表した。

同社の共同創業者でCEOのVinayak Ramesh(ヴィナヤク・ラメシュ)氏は、MITでの研究や、2021年12月に買収したデジタルヘルスケアのスタートアップであるWellframe(ウェルフレーム)での研究で、RPAでは対応できない複雑なワークフローが存在することを発見したと話す。

「ユースケースがあることを目の当たりにしました。基本的には人間がデータに基づいて判断や意思決定を行い、データやルールが頻繁に変更されるために自動化が非常に困難な、組織でのマニュアルプロセスなどです」とラメシュ氏は筆者に説明した。

日本語で「あなたの目的」を意味するIkigaiはこの問題を解決するためのツールで、異なるデータソースを含むドラッグ&ドロップのワークフローを作成し、その一方で人間が判断するステップを組み込み、その結果をダッシュボードやスプレッドシートで表示することができる。ラメシュ氏らは、これを「AI-Charged」スプレッドシートと表現している。

画像クレジット:Ikigai

しかしラメシュ氏らは、Power BIやAirtableといった他の超高機能スプレッドシートのアプローチとは異なると考えている。「(それらのツールは)ワークフローに人間を必要としますが、意思決定やデータに基づくワークフローではありません」とラメシュ氏は述べ、決定ループを構築できることが自社製品の重要な差別化要因だとする。

現在、同社の従業員はエンジニアを中心に20人で、2022年には倍増させる計画だ。創業者たちは、会社の規模を拡大するにあたり、多様性のある包括的なチームを構築する必要性を確実に認識しているようだ。

「多様性があることで、さまざまな視点を持ち、さまざまなタイプの人たちが毎日出社してくるので、すべてが働きやすい環境になります」とラメシュ氏は話す。また、初期の従業員の多くが移民であり、彼らが米国で働くためのビザを取得するという困難なプロセスを乗り越えるための支援を行ってきたことも指摘する。

この会社のアイデアは、ラメシュ氏がMITの学生時代に行っていた研究から生まれた。実は、共同創業者でCTOのDevavrat Shah(デバブラット・シャー)氏は、MITのコンピュータサイエンスの教授で、ラメシュ氏の教授でもあった。シャー氏は、2019年にNike(ナイキ)が買収したCelect(セレクト)という別の会社も立ち上げている。

Wellframeの設立に協力した後、ラメッシュ氏は大学院に戻り、そこでシャー氏とつながった。このような製品のアイデアは時間の経過とともに顕著になるばかりで、彼らはさらに研究を始め、2020年に製品を作った。

画像クレジット:Sean Gladwell / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

Slackがワークフロー構築を容易にする開発者向けのビルディングブロック機能を発表

Slackは、Slack内でアプリケーションを動かして面倒な切り替えを減らすことで、常にコミュニケーションツールとして差別化してきた。米国時間11月16日のSlackのFrontiersカンファレンスでは、新しいビルディングブロックによるアプリ統合の進化が発表される。ビルディングブロックとは開発者が構築するパッケージ化されたワークフローのコンポーネントで、ビルディングブロックをつなぎ合わせて使うことができる。

Slackのプロダクトマネジメント担当シニアバイスプレジデントであるSteve Wood(スティーブ・ウッド)氏は、再利用可能なビルディングブロックを提供しようとしたため、新しいアプローチではプラットフォーム全体を再設計する必要があったと語る。これまで開発者はSlack内のアプリを作ることができ、それは開発者の意図の通りに動作した。新しいビルディングブロックはユーザー側がコントロールできるため、プラットフォーム全体がもっと利用しやすく、カスタマイズ可能になるはずだ。

ウッド氏は「この新しい世界で、我々はまさに(プラットフォームを)リミックス可能なものとして前進させていきます。ユーザーがアプリをインストールするとビルディングブロックを利用できるようになり、ビルディングブロック同士をつないで、チャンネル内でビルディングブロックがお互いにやりとりできるようになります。ビルディングブロックをつなげば、やりたいことのために必要なワークフローを構築できます」と説明した。

画像クレジット:Slack

同氏は、業務に必要なアプリがどんどん増えていくことを背景にこのアプローチが生まれたとし、今後はSlackのワークフローの中でアプリをつなぎ合わせて目的のタスクを選択できるようになると述べた。ユーザーがSlack内で、あるいはSlack以外のアプリを切り替えを余儀なくされるのではなく、ソフトウェアがユーザーに代わって仕事をする。

ウッド氏は、Slack内で障害に関するZendeskのヘルプデスクチケットが発行される例を挙げている。自動化された緊急対応ワークフローが動き出して、PagerDutyのアラートが発せられ、重要人物を集めたZoomミーティングが自動で始まり、Boxから緊急対応チェックリストが引き出され、インシデントに関する記録を取るためにGoogleドキュメントで書類が開く。

ツール自体は開発者がファンクションとトリガーを構築するためのインターフェイスで、開発者はSlackの新しいコマンドラインインターフェイスで開発ができる。トリガーによってワークフローを動かすファンクションが開始される。構築したものは単独のアプリとしてもビルディングブロックとしても保存でき、開発者は複数のビルディングブロックをつなぎ合わせることもできる。

CCS Insightのアナリストでワークフローのトランスフォーメーションを担当するAngela Ashenden(アンジェラ・アシェンデン)氏は、Workflow BuilderツールとともにSlackの統合機能をすでに使っている企業にとってこのアップデートは好ましいはずだという。

アシェンデン氏は次のように説明する。「この新機能はアプリとワークフローを作成するプロセスの高速化を目指しています。プロセスのさまざまなパーツ間のギャップを埋め、テック系か非テック系かにかかわらず誰もがこれまでよりも簡単にワークフローを構築し、日々のワークフローを共有して利用できるようになるでしょう。目的は従業員がワークフローをアドホックで、あるいは個人のプロセスで利用できるようにすることであり、チームのプロセスももっと明確にすることです」。

IDCのアナリストでソーシャルやコラボレーション分野を調査するWayne Kurtzman(ウェイン・カーツマン)氏は、ビルディングブロックのコンセプトは必ずしも目新しくはないものの、これによりSlackは組織内でワークフローを動かし、単なるコミュニケーションを超える場としてさらに幅広くアピールするだろうと述べた。

カーツマン氏は「Slackにはこれまでにも(統合の)機能があり、ブロックのおもちゃのように簡単に作れることを狙っていました。使いやすくて再利用でき、またユーザーがオートメーションへの理解を深めていくことで、この機能はさらに幅広く使われるだろうと私は予想しています」と語った。

ウッド氏は、数日中にプライベートベータを公開するが、最終的にはビルディングブロックのライブラリやマーケットプレイスのような配布システムが公開されるだろうと述べた。これはまだ検討段階だ。SlackのWorkflow Builderのアップデートも予定されており、これを使うと非テック系のエンドユーザーがあらかじめ用意されたビルディングブロックをつなげて、テンプレート化された便利なワークフローを作ることができる。

このツールは2022年中にリリースされる見込みだが、ビルディングブロックが説明通りに動作するのであれば、Slackはコミュニケーションの意味合いを弱め、ワークフローやプロセスオートメーションにシフトしていくのかもしれない。それは、Salesforceとより深く統合するために重要なことだろう。Salesforceは2020年末にSlackを270億ドル(約3兆円)以上で買収した

画像クレジット:Smith Collection/Gado / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Kaori Koyama)

Adobeが自動化されたワークフローとカスタマーエクスペリエンスをWorkfrontで統合

5カ月前にAdobe(アドビ)は、マーケティング部門のワークフロー構築を支援するWorkfront(ワークフロント)を、15億ドル(約1625億6000万円)で買収した。米国時間4月27日、Adobeはその利用計画を公式に発表した。企業のマーケティング幹部たちが、顧客にカスタマイズされたエクスペリエンスを構築しながら、その戦略をクリエイティブプロセスに適用するためのバランスを取ろうとする際に、Adobe Experience Manager(AEM、アドビ・エクスペリエンス・マネージャー)にぴったりと組み合わされる何らかのマーケティングワークフローツールが必要とされていた。Workfrontはそこにうまく着地できたのだ。

かつてWorkfrontでCEOを務め、現在はAdobe WorkfrontのVPでGMを務めるAlex Shootman(アレックス・シュートマン)氏は、このツールをAEMの内部でマーケティング部門の記録を行うシステムとして捉えていると語った。この説明そのものにもマーケティングの要素が少なからず含まれているが、Workfrontのワークフローから得られるデータが、クリエイティブプロセスの記録として機能するのだ。

Adobeの一部として、彼らはExperience ManagerとCreative Cloud(クリエイティブ・クラウド)にフックを組み込んで、マーケティングのクリエイティブ作業が組織的かつ監査可能なプロセスを経て、何が起こったかを正確に知ることができるデータ証跡を残す、マーケティング記録システムを提供する。

シュートマン氏は、この記録システムがあることで、マーケティングチームはいろいろなことができるようになるという。まず第一に、戦略と実行を結びつけることができるようになる。彼は「あるCMOのことをを考えてみましょう、彼または彼女のチームは、年間または四半期の意思決定のための重要な優先事項を策定しています。私たちのツールを使うことで、そうした重要な優先事項を、マーケティング組織内の活動を推進するために役立てることができるのです」という。

そしてそのためには、変化に応じてチームが反復的に作業を再計画できるように、マーケティング部門の人材、プロセス、データを単一のシステムに統合する必要があるという。そこで活躍するのがWorkfrontだ。

CRM Essentials(CRMエッセンシャル)のリードアナリストであるBrent Leary(ブレント・リアリー)氏は、このアプローチは非常に理に適っているという。彼は「お客様のニーズの変化に合わせて、つながりを保ち続けるために、十分にパーソナライズされたコンテンツを大規模に作成していくのは、チームスポーツです。そこにはクリエイティブプロセス全体を通した緊密なコラボレーションが必要になります。AEM内部のWorkfrontは、そうしたクリエイティブプロセスに高度なプロジェクト管理機能をもたらすのです」という。

パンデミックに見舞われたことで、売上の大半がオンラインに移行したため、その対応が必須となった。そのため、速度と敏捷性の必要性が高まったのだ。このワークフローツールをAdobe Experience Managerに内蔵したことで、マーケティングチームが顧客向けのカスタマイズエクスペリエンスを構築できるようになるだけでなく、そうしたカスタマイズの裏側にあるワークフローを自動化することも可能になる。

実際の利用時には、まずマーケティングチームがキャンペーンを作成し、それでWorkfrontの中に展開するといった利用方法が考えられる。そうした展開を行うことで、クリエイティブ部門にタスクが割り当てられ、そのタスクがCreative Cloud上に表示される。割り当てタスクが完了すると、それは自動的にWorkfrontに戻され、そこでレビューが行われて、最終的に承認されてデジタルアセットマネジメント(DAM)ツール上に公開され、マーケティングチーム全体で使用できるようになる。

買収そのものが、どれほど成功したのかを知ることは難しい。しかし、Workfrontは特にAdobeのエコシステムに適しているように思える。それはクリエイティブプロセス全体に不足していた、ワークフローの自動化コンポーネントを提供し、マーケティング幹部が戦略の成果を正確に確認できるようにするツールなのだ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AdobeマーケティングWorkfrontワークフロー

画像クレジット:Justin Sullivan / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:sako)