グーグル、ゲームサービスStadiaの技術をB2Bで提供する「Immersive Stream for Games」を発表

Google(グーグル)のゲーム開発者向けカンファレンスGoogle for Games Developer Summitで同社は、米国時間3月15日、StadiaのB2Bサービス「Immersive Stream for Games」を発表した。Google Cloudと共同で開発したこの機能で、企業はStadiaを支えているプラットフォーム技術を利用してゲームを直接プレイヤーに提供できる。GoogleはStadiaでゲームを消費者に提供するだけでなく、そのストリーミング技術を他社にライセンスすることになる。

Googleによると、本サービスを利用して企業はゲームの試作バージョンを動かしたり、サブスクリプションの対象となるセットを提供したり、あるいはすべての提供作品を店頭のように提供することもできる。Googleは2021年、AT&Tと協働してこのサービスのテストを始めた。AT&Tはこのサービスを使って「Batman:Arkham Knight(バットマン アーカム・ナイト)」を数千人の同社ユーザーに無料で提供した。同社はもうすぐ、Immersive Stream for Gamesを利用して、ウェブとモバイルの両方でプレイできる他のゲームを提供する予定だ。一方Googleは年内に、Immersive Stream for Gamesを拡大する計画だ。

Stadiaのプロダクト担当であるDov Zimring(ドブ・ジムリング)氏は声明で次のように述べている。「Immersive Stream for Gamesのコア機能は、Stadiaを含むその顧客にゲームの開発過程とプレイヤー体験の両方で利益をもたらします。Google Cloudとのパートナーシップにより、私たちはStadiaとImmersive Stream for Gamesを利用する顧客のサービスの両方を動かす、ックエンドのクラウドゲーミング技術を開発しています。クラウドゲームは現在、好調であるためそれがImmersive Stream for GamesとStadiaの両方を盛り上げて、2022年以降の未来が本当にすばらしいものになるでしょう」。

サービスの公式発表に先立って、2月の記事において、同社はStadiaのプライオリティを下げて、B2Bによるクラウドゲーミングサービスで複数の企業と契約することに注力すると報じられていた。今回の発表で、そのサービスに名前が付いた。

画像クレジット:Google Stadia

Googleは、Stadiaについてプレイヤーがゲームを見つけてプレイしやすくするための新しい機能も発表した。これによりユーザーは、Stadiaのサービスにログインしたりアカウントを作らなくても、Stadiaのストアでゲームを閲覧できるようになる。これにより、今どんなゲームがあるのか、簡単にわかるようになるという。

Googleが新たに立ち上げる「Click to Play Trials」サービスで、プレイヤーはStadiaのゲームをトライできる。無料でしかもStadiaのアカウントにサインアップする必要もない。体験できる時間は、デベロッパーが決めることができる。このトライアルサービスのパイロット版は、数社のデベロッパーを対象に10月に行われた。最初の公開テストでは、従来の「買うまたは請求する」のメッセージよりも、この試行サービスの方が反応が良いことを確認している。Stadia上では2022年に、すべてのタイトルでこの体験版機能が提供される。

同社はさらに、WindowsのゲームをStadiaにポートしやすいようにしている。同社の新しいツールキット「Low change porting」を使えば、Stadiaへのゲームの移植がわずかな時間とリソースでできるようになる。現在、Paradox InteractiveやTeam 17といった10社が、このツールキットを使って、自分たちのWindowsベースのゲームをStadiaにポートするテストを行っている。新しいツールキットの一般公開は、2022年の後半になる。

GoogleがStadiaのゲームストリーミング技術を他社に提供しようとしているのも、意外ではない。Googleは2019年の立ち上げ以来今日まで、Stadiaの伸び悩みに苦戦してきた。最初の計画ではStadia専用のオリジナルゲームをリリースするつもりだったが、2021年の初めにはStadiaの社内ゲームスタジオを閉鎖している。

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)

グーグルが社内ゲームスタジオ「Stadia」を閉鎖、サービス終了はないと発言

Google(グーグル)が最初にクラウドゲームサービスのStadiaを発表した時、同社はファーストパーティのゲームスタジオも発表した。Stadia Games and Entertainmentは、新しいプラットフォーム向けに独占タイトルをリリースするはずだった。しかしGoogleは考えを改め、社内のゲームスタジオを閉鎖する。

「Stadiaの実績ある技術の構築とビジネスパートナーシップを深めることに注力していることから、近い将来に予定されているゲームを除き、社内開発チームであるSG&Eから独占コンテンツを提供するための投資を行わないと決定しました」と、Google StadiaのVP兼GMのPhil Harrison(フィル・ハリソン)氏はブログで述べている。

GoogleはまだStadiaブランドのゲームを1本もリリースしていないうちに、同スタジオを終えることになる。同社はこの分野でいくつかの重要な投資をしてきたため、これは奇妙な動きだ。当初はカナダのモントリオールにスタジオを構え、Typhoon Studiosを買収した。その後、ロサンゼルスにも別のスタジオを開設している。

Jade Raymond(ジェイド・レイモンド)氏はGoogleのファーストパーティースタジオを率いていた。彼女は15年以上ビデオゲーム業界に携わってきた。特にモントリオールのUbisoftではプロデューサーとして、最初の「Assassin’s Creed(アサシンクリード)」シリーズに取り組んだ。またElectronic Arts(EA)では、未発売のStar Wars(スター・ウォーズ)のシングルプレーヤーゲームにも携わっている。

この度のニュースは、Raymond氏がGoogleを離れることを意味する。Stadia Games and Entertainmentで働いていた他の同社社員は、新しい役職に移ることになる。

そして今後、Stadiaはサードパーティーのゲームに注力する。Googleによると「Cyberpunk 2077(サイバーパンク2077)」はクラウドゲームプラットフォームで非常に人気があるという。Stadiaでは近くのデータセンターのサーバーでゲームを起動し、ビデオフィードを自身のデバイスにストリーミングできる。

多くの読者は、Googleがこれまでに数多くのサービスを終了している以上、Stadiaもすぐに閉鎖されるのではないかと考えるだろう。これについて、同社はユーザーを安心させようとしている。

「私たちはクラウドゲームの未来にコミットしており、この業界を前進させるために引き続き役割を果たしていきます。私たちの目標はゲーマーのための最高のプラットフォームとパートナーのためのテクノロジーを創造し、これらの経験を世界中の人々の生活にもたらすことにあります」と、ハリソン氏は述べている。

あなたはハリソン氏を信じられるだろうか?

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タグ:GoogleStadia

画像クレジット:Google

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(文:Romain Dillet、翻訳:塚本直樹 / Twitter

LGのスマートテレビでクラウドゲームGoogle StadiaとNVIDIA GeForce Nowが利用可能に

LGはCESのプレスカンファレンスで、2021年に向けたテレビのラインナップを説明することに大部分を費やした。同社のテレビにはより大型で、より薄型で、より明るい製品が期待できるようだ。ここでそれら新型モデルの仕様を書き連ねるつもりはない。しかし、特筆すべき新機能はいくつかある。

LGは自社のテレビにAndroid TVをOSとして使っていない。代わりにwebOSと呼ばれる独自のオペレーティングシステムを採用しており、アプリ開発者はLGのスマートテレビ向けに専用バージョンのアプリをリリースしなければならない。そしてLGは今回、Google Stadia(グーグル ステイディア)とNVIDIA GeForce Now(エヌビディア・ジーフォース・ナウ)が同社の2021年モデルのテレビで利用可能になることを発表した。

GoogleのクラウドゲームサービスであるStadiaは、2021年後半に利用可能になる。ただし、全世界でというわけではなく一部の国のみだ。Stadiaが利用可能な国に住んでいれば、Chromecastのプラグを抜いてStadiaにアクセスできるようになる。

Stadiaは、クラウド上で動作するゲーム機のようなものだ。最寄りのデータセンターでゲームを購入して実行すると、その映像が自宅のテレビに直接ストリーミングされる。ゲームパッドの操作はサーバーを介してプレイ中のゲームに反映される。

NVIDIAのクラウドゲーミングサービスであるGeForce Nowは、2021年中に利用可能になる予定だ。こちらのサービスはSteam(スチーム)、Epic Games(エピック・ゲームズ)、GOG、Ubisoft Connect(ユービーアイソフト・コネクト)のライブラリを利用できるという点が少々異なる。

これまでNVIDIAは、NVIDIA Shield TVにGeForce Nowアプリを搭載した自社のセットトップボックスを優先してきたが、最近ではこのAndroid向けアプリがより多くのデバイスをサポートするようにアップデートされている。さらにwebOSをサポートすれば、Android TV以外へもますます拡大していきそうだ。

LGは2021年、webOSを新しいインターフェースにアップデートすることも発表した。画面下部にあったオーバーレイメニューは、フルスクリーンメニューに変更される。これによって、ユーザーは好みのアプリを見つけたり、ライブTVにアクセスしたり、いくつかのおすすめコンテンツを受け取ることができるようになる。そして広告にも使われるだろう。

ゲームをプレイしている時は、最も関連性の高い設定にアクセスするための新しいゲームメニューが表示される。たとえば現在プレイ中のゲームの種類(FPS、レースゲームなど)に応じて、このメニューからテレビのプロファイルを切り替えることができるようになるのだ。普通はゲームのジャンルに関わらず、できるだけ遅延を減らしたいと思うはずで、個人的にこの機能はあまり意味がないように思えるが。G-SYNCやFreeSyncに対応した機種を使用しているなら、これらの機能をオンにすることも可能だ。

有機ELテレビの新製品には、旧型プロセッサを搭載するエントリーラインの「A1」シリーズ、可変リフレッシュレートや低遅延などで現代のゲーム機にも対応した「C1」シリーズ、そしてラインナップの最上位モデルとして3種類のサイズ(77インチ、65インチ、55インチ)が用意された「G1」シリーズがある。

画像クレジット:LG

カテゴリー:ハードウェア
タグ:LGスマートテレビGoogle StadiaNVIDIAGeForce NowクラウドゲームCES 2021

画像クレジット:LG

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Google StadiaがiOSとiPadOSでも利用可能に

iOSサポートの発表から数週間後、Google(グーグル)のクラウドゲームサービスがiPhoneとiPadをサポートした。予想通り、サービスへのアクセスはウェブアプリが使用される。またグーグルによれば、今週リリースされた最新のiOSアップデートであるiOS 14.3にアップデートする必要がある。

無料または有料のStadiaアカウントで試したい場合は、iOSデバイスからstadia.google.comにアクセスする必要がある。そしてGoogleアカウントにログインし、ホーム画面にショートカットを追加してウェブアプリを開く。

その後、ゲームを起動してプレイを開始できる。ほとんどのゲームにはゲームパッドが必要となるので、iPhoneやiPadとゲームパッドをペアリングしておくといい。

iOSは専用のコントローラーだけでなく、Bluetoothを使ったXbox OneやPlayStation 4のコントローラーにも対応している。Stadiaのコントローラーを使って遊ぶこともできるが、それは必須ではない。ゲームタイトルをチェックしたいだけなら、タッチコントロールでの操作にも対応している。

Stadiaはクラウド上で動くコンソールのように動作する。プラットフォーム専用のゲームを購入する必要があり、その後に近くのデータセンターからストリーミングされる。最近の追加作品には「Cyberpunk 2077(サイバーパンク2077)」と「Assassin’s Creed Valhalla(アサシン クリード ヴァルハラ)」がある。

これらのゲームをプレイするための追加のサブスクリプションは必要はないが、オプションでStadia Proのサブスクリプションを契約することもできる。これによりプラットフォームで購入したゲームに加えて、ゲームのライブラリにアクセスすることができ、4Kストリーミングが利用できる。Stadia Proは月額9.99ドル(約1030円)だ。

他のStadia関連ニュースでは、今週初めにUbisoftが同社の無制限サブスクリプションサービスであるUbisoft+に加入すれば、Stadiaからゲームにアクセスできると発表した。現在のところ、これは米国でベータ版のみ提供されている。

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:GoogleGoogle StadiaiOSiPadOS

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter