アップルがiOS 15.2.1リリース、iPhoneとiPadにHomeKitの欠陥に対するパッチを適用

Apple(アップル)は、iOSおよびiPadOSに存在するセキュリティ脆弱性を修正した。この脆弱性は、HomeKitを介して悪用され、持続的なサービス拒否(DoS)攻撃の標的となる可能性がある。

Appleは米国時間1月12日にiOS 15.2.1およびiPadOS 15.2.1をリリースし、セキュリティ研究者のTrevor Spiniolas(トレバー・スピニオラス)氏によって1月初めに開示された、いわゆる「doorLock」と呼ばれる欠陥を修正した。このバグはiOS 14.7からiOS 15.2を搭載したiPhoneおよびiPadに影響するもので、Appleのスマートホーム基盤であるHomeKitを介して発生する。

このバグを悪用するには、攻撃者はHomeKitデバイスの名前を50万文字を超える文字列に変更する必要がある。この文字列がユーザーのiPhoneやiPadに読み込まれると、デバイスのソフトウェアがサービス拒否(DoS)状態に陥り、フリーズを解除するために強制リセットが必要になる。しかし、デバイスが再起動し、ユーザーがHomeKitにリンクされたiCloudアカウントにサインインし直すと、再びバグがトリガーされる。

ユーザーがHomeKitでデバイスを1つも追加していなくても、攻撃者は偽のHomeネットワークを作成し、フィッシングメールでユーザーを騙して参加させることができる。さらに悪いことに、攻撃者はdoorLock脆弱性を利用して、iOSユーザーに対してランサムウェア攻撃を仕かけ、デバイスを使用できない状態にロックして、HomeKitデバイスを安全な文字列長に戻すために身代金の支払いを要求することができると、スピニオラス氏は警告している。

スピニオラス氏によると、Appleは2021年のセキュリティアップデートでこの問題を修正することを約束していたが、これが「2022年初頭」まで延期されたため、同氏はこの遅れがユーザーに「深刻なリスク」をもたらすことを恐れてバグを公開したとのこと。

「Appleはセキュリティ問題を確認し、私はこの4カ月間に何度もこの問題に真剣に取り組むよう彼らに促したにもかかわらず、ほとんど為されていませんでした」と同氏は書いている。「頻繁に要求したにもかかわらず、この問題に関するステータスの更新は稀で、並外れて少ない詳細情報しか得られなかったのです」。

「Appleの透明性の欠如は、しばしば無償で活動しているセキュリティ研究者を苛立たせるだけでなく、セキュリティ問題に関するAppleの説明責任を低下させることで、日々の生活でApple製品を使用している何百万人もの人々にリスクをもたらしています」とも。

このアップデートは現在ダウンロード可能で、iPhone 6s以降、iPad Pro全モデル、iPad Air 2以降、iPad第5世代以降、iPad mini 4以降、iPod touch(第7世代)が対象となる。

画像クレジット:file photo

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(文:Carly Page、翻訳:Aya Nakazato)

ZillowがFaceTimeのSharePlay機能を追加、通話中に家族や友人と一緒に物件を閲覧できるように

不動産テックのZillow(ジロウ)は、iOS 15のiPhoneおよびiPad版アプリをアップデートし、SharePlayに対応したことを発表した。iOSユーザーは、グループでFaceTime通話を開始し、SharePlayを有効にしてZillowのフォトギャラリーを閲覧することで、通話中の全員が物件を見ることができる。

「米国人はZillowサーフィンをするのが大好きで、そのほとんどは誰かと一緒に物件を探していますが、新しい方法でそれができるようになりました」とZillowは述べている。「iPhoneやiPadでZillowアプリを使って家を探している人は、家族や友人、不動産エージェントと一緒にシームレスな同期体験で、売家や賃貸物件を検索・閲覧できるようになりました」。

Zillowによると、ユーザーの86%がパートナーや配偶者、同居人と一緒に住宅を閲覧しているとのことで、実際に一緒にいられない場合には、この新機能は理に適っていると言えるだろう。また、ZillowのCTOであるDavid Beitel(デビッド・ベイテル)氏は「不動産業者にとっても、顧客とつながるすばらしい新たな方法」だと述べている。

この機能を利用するには、各参加者が、iOS / iPadOS 15.1以降を搭載したiPhoneまたはiPadでZillowアプリを起動する必要がある。ユーザーは、Zillowでさまざまな場所を検索し、コンテンツが同期された状態で購入・賃貸可能な物件を閲覧することができる。ライバルの不動産アプリであるRedfin(レッドフィン)は、10月に同様の機能を導入している。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Zillow

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(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

アップルがiOS 15.0.2リリース、「活発に悪用されている」バグのセキュリティを修正

Apple(アップル)は米国時間10月11日、活発に悪用されているゼロデイバグに対する「重要なセキュリティアップデート」を含む、iOS 15およびiPadOS 15の2回目のマイナーアップデートを公開した。

現在、サポート対象デバイスでダウンロード可能なiOS 15.0.2およびiPadOS 15.0.2には、アプリケーションがデバイスの最高レベルのアクセス権を持って任意のコードを実行できるメモリ破壊の脆弱性に対する修正が含まれていると、Appleはセキュリティサポートページで述べている。

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この脆弱性の詳細は今のところ明らかにされていないが、Appleは「活発に悪用されている可能性がある」と警告している。したがって、すぐにでもデバイスをアップデートすることをお勧めする。

今回のアップデートでは、MagSafe対応のiPhoneレザーウォレットが「探す(Find My)」サービスに接続できない問題「持ち物を探す(Find My‌ Items)」タブにAirTagsが表示されないことがあるバグ、CarPlay(カープレイ)でオーディオアプリが開けなかったり、再生中に接続が切断される問題など、iOS 15およびiPadOS 15の他の多くの不具合にも対応している。また、メッセージアプリからライブラリに保存した画像が、関連するスレッドやメッセージを削除すると削除されてしまう不具合も修正された。

Appleは現在、最初のメジャーアップデートとなるiOS 15.1のテストを行っている。このアップデートでは、FaceTime(フェイスタイム)のSharePlayが再び有効になり、iPhone 13 ProおよびPro Maxのカメラの新機能が追加され、Apple Walletに新型コロナウイルスの予防接種証明カードを追加できるようになる。おそらく、いくつかのバグ修正も含まれるだろう。

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画像クレジット:Apple

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(文:Carly Page、翻訳:Aya Nakazato)

電子フロンティア財団などが批判する中、アップルの児童虐待対策用iCloud写真スキャンに関する社内メモ流出か

電子フロンティア財団などが批判する中、アップルの児童虐待対策iCloud写真スキャンに関する社内メモ流出か

Apple

アップルが予告した次期iOS 15等での児童の性的虐待対策は、メッセージアプリに添付された写真やiCloudに保存される画像をスキャンすることから、複数の方面からプライバシー侵害や監視の恐れがあると批判を集めています。

こうした反発に対して、アップルが新機能を「誤解」を招きやすいと認めつつも、これらの新機能は子供たちの安全を守るための「重要な使命」の一部だと信念を強調した社内メモが流出したと伝えられています。

アップルが5日(米現地時間)に発表した「子供のための保護機能の拡張(Expanded Protections for Children)」への反発とは、具体的にはエドワード・スノーデン氏(米国国家安全保障局の情報を持って逃亡し、米政府が個人情報を監視していることを暴露した人物)や電子フロンティア財団(EFF)など著名な関係者からも寄せられているものです。

批判の対象となっているのは、主にアップルがiCloud画像をスキャンして児童性的虐待資料(CSAM)のデータベースに照合して一致するかどうかチェックする計画であり、わずかな変更により他の個人データも監視できるようになる可能性です。

さて米9to5Macが入手したのは、アップルのインテリジェントシステムエクスペリエンス担当副社長 セバスチャン・マリノー・メス(Sebastien Marineau-Mes)が社内スタッフ向けに書いたメモです。そこでは、アップルは「子供のための保護機能の拡張」に含まれる「機能の詳細を説明していく」ことを続けていくと述べられています。

マリノー・メス氏は、これら新機能に対して「多くの好意的な反応」を確認している一方で、どのように機能するのかを「一部の人々が誤解している」ことや、「少なからずその影響を心配している」ことも認識していると述べています。それでも、これらの機能は「子どもたちを守る」ために必要であり、同時に「ユーザーのプライバシーに対する深いコミットメント」を維持するものであるというアップルの信念を強調しています。

そのメモの全文は、次の通りです。

本日、「子どものための保護機能の拡張」が正式に公開されました。この数年間の皆さんのご尽力に感謝するために、この場をお借りしたいと思います。皆さんのたゆまぬ努力とたくましさがなければ、このような節目を迎えることはできませんでした。

子どもたちの安全を守ることは、とても重要な使命です。アップルらしく、この目標を達成するためには、エンジニアリング、GA、HI、法務、プロダクトマーケティング、PRなど、部門を超えた深い関与が必要でした。本日発表した製品は、この素晴らしいコラボレーションの成果であり、子供たちを守るためのツールを提供すると同時に、ユーザーのプライバシーに対するアップルの深いコミットメントを維持するものです。

今日は多くの好意的な反応をいただきました。誤解をされている方や、その影響を心配されている方も少なからずいらっしゃると思いますが、私たちが作ったものを理解していただけるよう、今後も機能の詳細を説明していきます。また、数ヵ月後に機能を提供するために多くのハードワークが待っていますが、本日NCMEC(全米行方不明・被搾取児童センター)から受け取ったこのメモを共有したいと思います。私自身、非常に刺激を受けましたし、皆さんにもぜひ読んでいただきたいと思います。

このような素晴らしいチームと一緒にアップルで働けることを誇りに思います。ありがとうございました。

このメモには上記の通り、NCMECからのメッセージも含まれています。

そこでは「全員がみなさん(アップル)を誇りに思っており、子供の保護を優先するという名目で行った信じられないような決断を称賛したいと思い、励ましの言葉をお伝えします」と称賛が述べられるとともに、激しい批判に晒されているアップルに対して「この長い日と眠れない夜の間、御社のおかげで何千人もの性的搾取の被害を受けた子供たちが救出され、癒しと彼らにふさわしい子供時代を過ごすチャンスを得ることができることを知って、慰めにしていただきたいと思います」という励ましの言葉も添えられています。

ほかアップルは、米国外でのCSAM検出機能の拡大は、現地の法律や規制に応じて国ごとに行われると9to5Macに対して確認したとのことです。ただし、いつ、どの国や地域に拡大するのかは具体的なスケジュールは提供されていません。

アップルやNCMECが言うとおり、新機能が本当に「プライバシーを守りつつ、子どもを保護するための道筋」となり、その他の使い道へと逸脱するおそれがあり得ないのか。今後もアップルに対しては技術の詳細につき説明が求められ、専門家らの厳しい精査にさらされる展開となりそうです。

Engadget日本版より転載)

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
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アップルがメッセージアプリで送受信される性的な画像を検知し、子どもと親に警告する新技術を発表

Apple(アップル)は、子どもがMessages(メッセージ)アプリを通じて性的に露骨な写真を送受信した場合、子どもと親に警告する新しいツールを、今年後半に導入すると発表した。この機能は、アップルのプラットフォームやサービスにおける児童性的虐待素材(Child Sexual Abuse Material: CSAM)の拡散を制限することを目的に、同社が導入するいくつかの新技術の一部だ。

これらの開発の一環として、アップルは消費者のプライバシーを尊重しつつ、iPhoneやiPadなどのモバイルデバイスやiCloud(アイクラウド)にアップロードされた写真の中から、既知のCSAM画像を検出できる技術を導入する。

一方、メッセージアプリの新機能は、子どもたちが健全なオンライン・コミュニケーションを取れるように、親がより積極的に関わり、情報が得られるようにするためのものだ。今年後半に予定されているソフトウェアアップデートにより、アップルのメッセージアプリは機械学習を使って画像添付ファイルを分析し、メッセージアプリで送受信される画像が、性的に露骨なものでないかを判断できるようになる。この技術では、すべての処理がデバイス上で行われるため、アップルが子どものプライベートな通信にアクセスしたり、それを傍受する必要はない。クラウド上のアップルのサーバーには何も転送されることはない。

メッセージの中に、性的な問題がありそうな画像が検知された場合、その画像はブロックされ、写真の下に「これは問題があるかもしれない画像です」というラベルが表示される。タップすればその画像を見ることができるが、子どもが写真の閲覧を選択すると、さらに詳しい情報を伝える別の画面が表示される。そこには、問題のありそうな写真や動画について、「水着で隠すプライベートな体の部分が写っています」とか「あなたは悪くないけれど、刺激的な写真や動画はあなたを傷つけるために使われることがあります」というメッセージが表示される。

また、写真や動画に写っている人が、見られたくないと思っているのに本人が知らないうちに共有されている可能性があることも提言する。

これらの警告は、子どもがそのコンテンツを見ないという正しい判断をするように導くためのものだ。

しかし、それでも子どもがタップして画像を見ようとすると、さらに別の画面が現れ、写真を見ることを選択した場合、親に通知されることが伝えられる。また、この画面では、親たちが子どもの安全を願っていることを説明し、本当は見たくないのに見るようにと強制されているなら、信頼できる人に相談するように勧めている。助けを求めるためのリソースへのリンクも表示される。

画面の下には写真を見るための選択肢は残されているものの、デフォルトで選べるようにはなっていない。その代わり、「写真を表示しない」という選択肢の方が目立つように画面がデザインされている。

コミュニケーションを妨げてアドバイスやリソースを提供するだけでなく、システムが保護者に警告を発するこのような機能は、子どもを性犯罪者から守ることに役立つ可能性がある。子どもが性犯罪者から被害を受けた時、親は子どもが相手とネットや電話で会話を始めたことにさえ気づかなかったというケースが多いからだ。性犯罪者は子どもの心理を巧みに操って信頼を得ようとし、子どもを親から引き離して、コミュニケーションを親に内緒にさせようとする。あるいは犯罪者が親に近づいてくるケースもある。

アップルのテクノロジーは、性的に露骨な内容の画像や動画が共有されることに介入し、特定して、警告を発することで、どちらのケースにおいても役に立つだろう。

しかし、CSAMの中には、いわゆる自己作成型CSAM、つまり子ども自身が撮影した画像を、子どものパートナーや仲間と合意の上で共有するものが増えている。セクスティングとか、裸の写真の共有などだ。子どもの性的搾取に対抗する技術を開発している企業のThorn(ソーン)が2019年に行った調査によると、この行為は非常に一般的になっており、13歳から17歳の女子の5人に1人が、自分の裸の写真を共有したことがあると答え、男子の10人に1人が、同じことをしたことがあると答えている。しかし、その画像を共有することで、性的虐待や搾取の危険にさらされることを、子どもは十分に理解していないかもしれないのだ。

アップルの新しいメッセージアプリは、これに対しても同様の保護機能が働く。この場合、子どもが性的に露骨な写真を送ろうとすると、写真が送信される前に警告が表示される。それでも子どもが写真を送信しようとした場合には、保護者にメッセージが届く。

アップルによれば、この新機能は今年後半に行われるソフトウェアアップデートの一環として、まずは米国から、iOS 15、iPadOS 15、macOS Monterey(モントレー)のiCloudで、家族として設定されたアカウントで有効になるとのこと。

このアップデートはSiriと検索にも適用され、子どもや親がオンラインで安全に過ごせるように、安全でない状況で助けを得るためのガイダンスやリソースが拡充される。例えば、ユーザーはSiriに、CSAMや児童の性的搾取を報告する方法を尋ねることができるようになる。また、ユーザーがCSAMに関連する疑問を検索すると、Siriと検索が介入して、そのトピックが有害であることを説明し、助けを得るための情報や相談先を提供する。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アップルが最新iOS 15のベータ版をすべての人に公開、開発者アカウント不要

iOS、iPadOS、watchOSの未来を垣間見ることができるチャンスだ。Apple(アップル)は先日、iOS 15iPadOS 15、watchOS 8の最初のパブリックベータ版をリリースした。これらのリリースは、iPhone、iPad、Apple Watch用OSの次期メジャーバージョンとなる。開発者向けベータ版とは違い、これらのベータ版は誰でもダウンロードすることができる。99ドル(約1万1000円)の開発者アカウントは必要ない。ただし、ベータ版であることをお忘れなきよう。

同社はまだ、2021年秋にiOS 15、iPadOS 15、watchOS 8の最終バージョンをリリースする予定だ。しかし、Appleは夏の間、数週間ごとにベータ版をリリースするという。できるだけ多くのバグを修正し、多くのユーザーからデータを集めるには良い方法だ。

いつものように、Appleのパブリックベータは、デベロッパーベータのリリースサイクルに従っているようだ。Appleは米国時間6月30日、iOSとiPadOS 15の2回目のデベロッパーベータもリリースしている。つまり、最初のパブリックベータは、2回目の開発者用ビルドとほぼ同じビルドのようだ。

ただし、忘れてはいけないのは、ベータ版をメインで使っているiPhoneやiPadにインストールしてはいけないということだ。問題はバグだけではない。一部のアプリや機能の中にはまったく動作しないものもある。稀なケースだが、ベータ版ソフトウェアによってデバイスが壊れて使えなくなることもある。また、iCloud上のデータが失われることもある。十分な注意を払って欲しい。

余分なiPad、iPhone、Apple Watchを持っている人のためにダウンロード方法をお知らせしよう。インストールしたいデバイスからAppleのベータ版ウェブサイトにアクセスし、設定プロファイルをダウンロードする(watchOSベータ版の場合は、iPhoneからダウンロード)。この小さなファイルは、パブリックベータ版へのアップデートを、通常のソフトウェアアップデートと同様に行うためのものだ。

ファイルがインストールされたらデバイスを再起動し「設定」(または「Watch」)アプリにアクセスする。アップデートが表示されるはずだ。2021年9月になると、デバイスは自動的にiOS 15、iPadOS 15またはwatchOS 8の最終バージョンにアップデートされ、設定プロファイルを削除できるようになる。

iOS 15における最大の変更点は、新しいフォーカスモードだ。「Do not disturb」に加えて、さまざまなモードを設定することができる。通知を受け取りたいアプリや人を選び、何をしているかによってフォーカスを変えることができる。例えば「仕事モード」「睡眠モード」「ワークアウトモード」などを作ることができる。

新しい天気予報アプリ、「マップ」の地図の更新、SharePlayを搭載したFaceTimeの改良版など、全体的に多くの新機能が用意されている。また、Safariも一新されている。

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【インタビュー】アップル幹部が語る次期iPad OSのメンタルモデルとマルチタスクの強化

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:iOSiOS 15iPadOSiPadOS 15watchOSAppleベータ版OS

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(文:Romain Dillet、翻訳:Katsuyuki Yasui)

【インタビュー】アップル幹部が語る次期iPad OSのメンタルモデルとマルチタスクの強化

2021年のWWDCカンファレンスで発表されたiPadの新しいソフトウェアに、非常に大きな期待が寄せられている。iPadのラインナップ、特に大型のiPad Proでは、ここ数年、驚異的なペースでハードウェアのイノベーションが行われてきた。その一方、iPadのソフトウェア、特に複数のアプリを同時に使用できる機能や、プロのソフトウェア開発者向けのプロセスで使用できる機能のイノベーションが明らかに遅いことに、厳しい視線が注がれている。

そのような意見に反論しようとするかのように、iOS 15とiPadOS 15に関する2021年の発表では、マルチタスク機能の使い勝手が大幅に改善されていることや、システム全体に関する機能のほぼすべてに開発者向けAPIが塔載されていることが紹介された。筆者は、Apple(アップル)のワールドワイド製品マーケティング担当VPのBob Borchers(ボブ・ボーチャーズ)氏と、Appleのインテリジェントシステムエクスペリエンス担当VPのSebastien(Seb)Marineau-Mes(セバスティアン[セブ]・マリノー・メス)氏に、iPadOS 15のリリースについて話を聞き、これらのさまざまな改善点について意見を交わす機会を得た。

マリノー・メス氏は、Appleのソフトウェア担当SVPであるCraig Federighi(クレイグ・フェデリギ)氏のチームメンバーであり、今回の新バージョンの開発において中心的な役割を果たした人物だ。

iPadには、SharePlay、Live Text、Focuses、Universal Control、オンデバイスのSiri処理、プロトタイプ作成ツールとして設計された新しいSwift Playgroundsなど、多くの新しいコア機能が搭載されている。ただし、iPad Proユーザーが最も期待しているのは、Appleのマルチタスクシステムの改善だ。

iPadOSに関するTechCrunchの記事を読んだことがある読者なら、ジェスチャーを重視したマルチタスクインターフェイスを批判する声があることをご存知だろう。筆者もその1人だ。条件さえそろえば便利かもしれないが、ジェスチャーシステムは見つけにくく、さまざまな種類のアプリを組み合わせた階層構造が複雑であるため、初心者はおろか、上級ユーザーでも、ジェスチャーを正しく使うことは少し難しかった。

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iPadが市場で唯一成功したタブレット端末であることから、Appleは、業界でどのようなパラダイムが標準として確立されるかを左右する唯一無二の立場にある。このようなデバイスで作業したらこのように感じられるようにすべきだ、このように見えるようにすべきだと言える立場にある企業はそうそうない。

そこでボーチャーズ氏とマリノー・メス氏にマルチタスクについて少し話を伺った。具体的には、iPadOS 15のマルチタスクの設計におけるAppleの哲学と、旧バージョンからのアップデートについてである。旧バージョンでは、指のアクロバティックな動きと、画面の端から飛び出す物体に対する強い空間認識が必要だった。

私が空間的な動きについて話すと、ボーチャーズ氏は次のように言った。「その通りだと思います。しかし私たちが考えているのは、一歩前進して、マルチタスク化により見つけやすさ、使いやすさ、高性能化を実現することです。これまでマルチタスクは上級者が利用していた機能ですが、もっと普及させたいと考えています。なぜならマルチタスクは多くの人々に役立つと思うからです。だからこそ見つけやすさや使いやすさが重要なのです」。

「空間モデルに関するあなたの指摘は、非常に核心をついています。私たちの目標の1つは、エクスペリエンスにおける空間モデルをより明確にすることでした」とマリノー・メス氏は語る。「明確な空間モデルでは、例えば分割表示にして、ウィンドウの1つを交換する場合、カーテンを開けて、別のアプリを横に押し込むと、そのアプリを見ることができます。これは隠れたメンタルモデルではなく、非常に明示的なモデルです」。

マリノー・メス氏はこう続ける。「もう1つの好事例は、スイッチャーアプリを使用してウィンドウを再構成する際に、分割表示の並べ替えやアプリの削除などをドラッグ&ドロップで行うことです。つまり「隠された」メンタルモデルではありません。ユーザーにとって明示的なモデルを使い、あらゆるアニメーションやアフォーダンスを通じて空間モデルを強化することを目指しています」。

マリノー・メス氏によると、Appleの今回の目標は、マルチタスクが選択肢の1つであることをユーザーに理解してもらうために、アフォーダンスを加えることだった。アフォーダンスはすべてのアプリとウィンドウの上部にある一連の小さな点であり、利用可能な構成を明示的に選べるためのものだ。これまではアプリをドックに追加して切り替えていた。同氏は続けて、このバージョンのOSでは一貫性が重要な指標だったと述べている。例えば、Slide Overアプリは、他のすべてのアプリと同じようにスイッチャービューに表示される。つまりボタンを使ってアプリの設定を選択しても、スイッチャーでドラッグ&ドロップしても同じ結果が得られるということだ。

マリノー・メス氏によると、ダッシュボードでは「実行しているすべてのアプリをひと目で見ることができる他、iPadのインターフェイスを使ってアプリをどのように操作しているかを示す完全なモデルが表示される」という。

この「ひと目でわかる」システムマップは、上級ユーザーにとっては歓迎すべきものだ。非常に積極的なプロのユーザーである筆者でさえ、開いているウィンドウの数と使用するタイミングを把握できないSlide Overアプリは、何よりも厄介だった。スイッチャー自体にSlide Overアプリを組み込む機能は、Appleが何年も前からOSに塔載したいと考えていた機能の1つであるが、今回ようやくiPadに塔載されることになった。組織の粘り強さこそが、取り組むべき重要な課題だったのだ。

「私たちは、強い信念を持って、iPadのどこに何があるかがわかるようなメンタルモデルを構築しています。そして粘り強さに関しては、あなたのおっしゃる通りです。例えばホーム画面についても粘り強く取り組む必要があると思っています。ユーザーはホーム画面や設定したすべてのアプリのどこに何があるかについて、非常に強いメンタルモデルを持っています。だからこそ、そうしたメンタルモデルをしっかりと維持しつつも、ユーザーがスイッチャーでアプリを再編成できるようにしているのです」。

マリノー・メス氏は、アプリが起動しているすべてのインスタンスやウィンドウを表示する新しい「シェルフ」機能についても言及した。同氏がいうには、シェルフ機能をシステム全体の機能ではなくアプリごとの機能として実装したのは、シェルフを特定のアプリと関連づけるほうが、構築しようとしている全体的なメンタルモデルに合致するからだ。2021年後半には、1つのプロジェクト中に多くの文書やウィンドウを一度に開いてアクティブにできる、より専門的なアプリがリリースされる。その時、このシェルフの価値をさらに強く実感できるかもしれない。

iPadOS 15では、上級者の要望に応えて、システム全体で使える豊富なキーボードショートカットも提供されている。インターフェイスが矢印キーで操作できるようになった他、多くの高度なコマンドも用意されている。ゲームコントローラを使ってiPadを操作することも可能だ。

「2021年の主な目標の1つが、システム内のあらゆるものを基本的にキーボードを使って操作できるようにすることでした」とマリノー・メス氏は述べ、次のように続けた。「そのため、キーボードから手を放したくなければ、放す必要はないのです。新しいマルチタスクのアフォーダンスと機能は、すべてキーボードショートカットで操作できます。新しいキーボードショートカットメニューバーには、利用できるすべてのショートカットが表示されるため、非常に発見しやすい環境が実現しています。ショートカットを検索することもできます。またこれは細かいことですが、MacとiPadOSのショートカットの合理化には、かなり意識的に取り組みました。そのため、例えばユニバーサルコントロールを使用している場合、ある環境から別の環境にシームレスに移動することができます。どの場所でも一貫性を確保することを目指しています」。

一方でジェスチャーも、ジェスチャーに慣れている既存のユーザーに配慮し、一貫性を保つために残される。

筆者がより興味深く便利だと感じた改善点の1つは、Center Window(センターウィンドウ)とそれに付随するAPIの導入である。メール、メモ、メッセージなどのいくつかのAppleアプリは、重なり合うウィンドウにアイテムをポップアウトできるようになった。

この新しい要素を加えたことについて、マリノー・メス氏は次のように語る。「非常に慎重に決断しました。フローティングウィンドウを使用できることで、新たなレベルの生産性がもたらされます。フローティングウィンドウの後ろにコンテンツを表示できるため、シームレスなカット&ペーストが可能になります。これは、従来のiPadOSモデルではできないことでした。またセンターウィンドウが分割表示ウィンドウの1つ、または全画面表示になり、その後センターウィンドウに戻ることができるようにして、他のマルチタスク機能との一貫性を保つことも目指しています。私たちはこれをすばらしい追加機能だと考えており、サードパーティーがこの機能を採用してくれることを楽しみにしています」。

最も強力なクリエイティブアプリの多くはサードパーティーによって構築されており、これらのアプリを真に役立つものにするには、こうした技術を採用しなければならない。そう仮定すると、Appleが発表したiPadOS 15の新機能の早期導入には不安要素がある。しかしボーチャーズ氏によると、Appleは、これらの新しいパラダイムや技術がプロ向けアプリにできるだけ多く採用されるように懸命に取り組んでいるという。その結果、2021年秋頃になれば、iPadは、プロが望む高度な作業を行うための快適なホストとして認識されるだろう、とのことだ。

iPadが存在するこのマルチモーダルな世界を可能にしているものの1つがユニバーサルコントロールだ。この新機能では、Bluetooth信号、ピア・ツー・ピアWiFi、iPadのタッチパッドのサポートを利用し、デバイスを互いに近づけ、マウスを画面の端にスライドして、MacやiPadにシームレスに接続することができる。ユーザーの意図を読みとって巧みに活用している事例だ。

カリフォルニア州クパチーノ。2021年6月7日、Appleのソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長クレイグ・フェデリギ氏が、Apple Parkで開催されたAppleのWorldwide Developers Conferenceの基調講演ビデオの中で、ユニバーサルコントロールの使いやすさを紹介している(画像クレジット:Apple Inc.)

「プロユーザーかどうかに関わらず、1人でMac、iPad、他のiPhoneを持っているユーザーが多いということに気づきました。そして私たちは、これらを連携することが強力なパワーを発揮すると信じています」とボーチャーズ氏は言い、続けて次のように述べた。「AppleのContinuityモデルを拡張して、iPadOSというすばらしいプラットフォームを利用しながら、その隣でMacを操作できるようにするのは、当然だと感じました。大きな課題は、魔法のようなシンプルな方法でそれをどう実現するかでした。そしてセブ氏とそのチームがそれを成し遂げたのです」。

「これはContinuity機能とSidecarで築いた基盤の上に成り立っています」とマリノー・メス氏は付け加えた。「私たちはセットアップを可能な限りシームレスにする方法や、デバイスが隣り合っていることを検出する方法について、検討に検討を重ねました」。

「もう1つ考えたことは、人々が求めているワークフローとは何か、そのワークフローに不可欠な機能は何かという点でした。私たちは、プラットフォーム間でコンテンツをシームレスにドラッグしたり、カット&ペーストしたりする機能などが非常に重要だと思いました。それこそが体験に魔法をかけるものだと考えたからです」。

ボーチャーズ氏は「これによりすべてのContinuity機能がより見つけやすくなる」と付け加えた。例えば、Continuity機能の共有クリップボードは常に機能しているが、目に見えない。それをマウス駆動型の視覚的なモデルに拡張することは理に適っていると言える。

「当然ながら、プラットフォームのどこにでもコンテンツをドラッグできます」とボーチャーズ氏はいう。

「ボブ、あなたは『当然』と言いましたよね」とマリノー・メス氏は笑いながら言った。「しかし長年プラットフォームに取り組んできた私たちにとって、『当然』を実現するのは技術的に非常に難しく、まったく当然なことではないのです」。

iPadOS 15の有望な拡張機能が見られるもう1つの分野は「アプリ内」という考えを脱却した、システム全体に関わるアクティビティだ。例えば、アプリに埋め込まれるレコメンデーション機能、ビデオ通話が見つかると表示されるShareplay、あらゆる写真を、キーボードで検索可能なインデックス付きアーカイブに変えるLive Textなどである。

もう1つのシステム拡張機能はQuick Noteである。システムのどこからでも画面の下隅からスワイプして使用できる。

「Quick Noteではいくつかおもしろいことができます。1つはリンクです。SafariやYelpなどのアプリで作業しているときに、表示しているコンテンツへのリンクをすばやくQuick Noteに追加することができます。あなたはどうか知りませんが、私は調べものをするときに頻繁にこの動作をしています」とマリノー・メス氏はいう。

「以前は、カット&ペーストしたり、おそらくスクリーンショットを取ったり、メモを取ったりしていたことでしょう。それが今では、システム全体で非常にシームレスに、流れを止めずに行うことができるようになりました。逆に、Safariを起動中に、Safari内のそのページについて記載したメモがあれば、画面の右下隅にサムネイルとして表示されます。私たちは、このメモ体験をシステム全体に適用し、どこからでも簡単にアクセスできるようにしようと本当に努力しました」。

AppleがiPadOS 15とiOS 15に導入しているシステム全体にわたる機能の多くは、開発者が利用できるAPIを備えている。AppleのAPIは長い間、アプリを強化する手段として開発者に提供されるものではなく、多くの場合、フレームワークの一覧のプライベートセクションに存在していた。しかし最新のAPIは必ずしもそうではない。ボーチャーズ氏によると、これはシステム全体に「より広範なインテリジェンスの基盤」を提供する意図的な動きである。

この広範なインテリジェンスには、Siriが大量のコマンドをローカルスコープに移動させることも含まれる。そのために、Appleの音声認識の大部分を新しいOSのデバイス上の構成に移す必要があった。ボーチャーズ氏曰く、その結果、毎日のSiri体験が大幅に改善され、多くの一般的なコマンドが要求に応じてすぐに実行されるようになった。これまでは一か八かの勝負をしているようだった。Siriには、クラウドに届いたコマンドは決して戻ってこないという悪い評判がある。そうした風評をなくすことで、Siriの有用性に対する公共認識が改善する可能性がある。

Apple Neural Engine(ANE)がもたらすインテリジェンスをデバイスに導入することにより、システム全体、過去、現在、その瞬間のあらゆる写真に含まれるテキストをインデックス化することも可能だ。

「Live Text機能を使用できるのはカメラと写真だけでしたが、私たちは、Safariやクイックルックなど、画像があるところならどこでも、Live Textを使用できるようにしたかったのです」とマリノー・メス氏は語った。「私がLive Textのデモで気に入っているのが、Wi-Fi接続用の長く複雑なパスワードを入力するフィールドでLive Textを使用するデモです。キーボードでパスワードを表示して写真を撮り、写真の中のテキストをコピーしてフィールドに貼り付けるだけです。まさに魔法のようです」。

iPadOS 15の開発者向けサービスに関しては、筆者はSwift Playgroundsについて具体的に話を聞いた。Swift Playgroundsには、アプリを記述し、コンパイルし、App Storeでリリースできる機能が追加されている。iPadで初めての機能である。これは開発者が望んでいたネイティブのXcodeではない。しかしボーチャーズ氏によるとSwift Playgroundsは「単にプログラミングを教える」ためのものでから「多くの開発者が実務で使用する」ものへと進化しているという。

「ここで得られた有用な知見の1つは、多くのプロの開発者がSwift Playgroundsをプロトタイプ用プラットフォームとして利用していることです。何かを試してみたいとき、それがバスの中であろうが公園であろうが、場所を問わずに非常に簡単に使えるため、『コードを学びたい』ときに非常に便利です」。

「開発者であれば、作業しているデバイス上でアプリを実行できると優れた忠実性を得られるため、生産性が上がります。またプロジェクト形式がオープンであるため、XcodeとPlaygroundsの間を行き来できます。ボブがいうように、私たちが想定しているのは、他の開発環境を持ち歩かなくても、Playgroundsを使用して外出先で多くのラピッドプロトタイピングを実行できることです。そのためPlaygroundsは、2021年開発ツールに追加された本当に強力な機能になると考えています」と、マリノー・メス氏は付け加えた。

2018年に、筆者はAppleの新しいチームを紹介した。このチームは、(当時は明かされていなかった)新しいMac Pro、iMac、MacBook、iPadなどのマシンが関連するプロセスがうまく進むように、Appleが実世界のユースケースに対応していることを確認できるテスト装置を構築していた。当時注目を集めたデモの1つが、Logicなどの音楽アプリと緊密に連携することによってiPadの入力モデルがコアアプリを補完できるようにするものだった。タッチインターフェイスを使用して、より直感的にパッド上でリズムを刻んだり、色や音声を調整したりできるようにした。最近のAppleの取り組みの多くは、ユーザーがさまざまなコンピューティングプラットフォームをシームレスに行き来し、それぞれの強み(元々ある能力、携帯性、タッチなど)を活かしてワークフローを補完することを目的としているようだ。iPadOS 15の多くは、このような方向性を持っていると思われる。

「ソフトウェアが原因で十分に力を発揮できない作業デバイス」というiPadのイメージをiPadOS 15が覆せるかどうかの判断は、2021年後半にiPadOS 15がリリースされるまで保留にしたい。しかし筆者は、短期的には慎重ながら楽観的な見方をしており「アプリの枠」を超えた一連の機能強化、単一アプリの内外でマルチタスクを実行するためのより明確なアフォーダンス、そしてAPIサポートへの献身的な取り組みは、拡張を推進しようとするiPadソフトウェアチームの精神の表れだと感じている。概して良い兆候だと思う。

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(文:Matthew Panzarino、翻訳:Dragonfly)

マルチタスクが改善されたiPadOS 15、新Swift Playgroundsでアプリ作成から公開まで可能に

米国時間6月7日、Apple(アップル)はウィジェットを増やしマルチタスク機能を改善した新バージョンのiPadOSを発表した。発表は同社のデベロッパーカンファレンスWWDC 21で、同社副社長のCraig Federighi(クレイグ・フェデリギ)氏が行った。今回発表された機能は歓迎すべきアップデートだが、iPadに切望されていた重要なアップデートにはほど遠い。iPadの新機能は、同じく発表されたiOS 15の数多くの機能やアップデートに、加えて発表されたものだった。

「iPadOS独自の数々の機能で、iPadをどんなニーズでも使えるようにしました」と録画された動画でフェデリギ氏は述べている。

iPadOS 15の全般的なルック&フィールは、iPad用OSの現状を維持したものだ。新OSとしての重要なアップデートは、主にマルチタスク関連のものとなる。またiPadOS 15では、ウィジェットのサポートが大幅にアップデートされている。ウィジェットは大きくなり、より没入感がありダイナミックだ。また、iOSのAppライブラリがやっとiPadでも使えるようになり、ユーザー体験のきめ細かい向上に寄与するだろう。この機能がiPhoneに加わったのは2020年で、これからはiPadでもアプリを整理された状態で見ることができる。

また、iPadOS 15には、新しいマルチタスクシステムが追加される。Split Viewと名づけられたこのシステムは、画面上部のドロップダウンメニューから、いくつかのマルチタスクやマルチウインドウのオプションを呼び出すことができる。このシステムは、隠され、しかもギクシャクした現行iPad OSのマルチスクリーンオプションよりもはるかにスムーズに見える。Split Viewでは、Shelfと呼ばれる機能があり、異なるスクリーンやスクリーンのグループを簡単に切り替えることができる。

「これらの新しいマルチタスク機能により、ユーザーのみなさんの生産性が向上し、iPad上でより多くのことができるようになります」とフェデリギ氏はいう。「本当にすばらしいのは、指一本動かすことなくこれらすべてを実行できる新しいキーボードショートカットを用意していることです」。

Appleは、iPad OSのメモシステムをアップデートし、iPadの大画面をより有効に活用できるようにした。「クイックノート」と呼ばれる新機能では、メモを取るためのウィンドウを他のアプリケーションの上に浮かべられる。これにより、ユーザーはアプリを切り替えることなくメモを取ることができる。この機能はSplit Viewとは別のもので、Appleが徐々に(そして最終的に)デスクトップ体験を受け入れていることの証拠だ。

さらにiPadOS 15では、iPadおよびiPhoneアプリを学び、作成し、App Storeに提出することができる新バージョンのSwift Playgroundsが搭載されている。これは、Appleのアプリ開発の世界において、大きな前進を意味する。今後ユーザーは、Macを使わずにSwiftを学び、アプリを投稿することができる。

これらの機能は、AppleがよりパワフルなiPadを発売し始めてからわずか数週間後に搭載されたものだが、多くの技術評論家たちはAppleに対して、新しいハードウェアの可能性に合わせてiPadのOSをアップデートするよう求めている。iPadOS 15はiPadの進化であって、多くの人が望んでいる革命ではない。

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(文:Matt Burns、翻訳:Hiroshi Iwatani)