ついにマスク姿でもiPhoneのロック解除可能に!アップルの最新ベータ版OSはマスク着用に対応したFace IDや待望のユニバーサルコントロールを提供

Appleは新たなOSのベータ版を大量にリリースし、待望の機能を2つ提供する。iOS 15.4はマスクをしたままFace IDでiPhoneのロックを解除できる機能を搭載、さらにiPadOSとMacOS 12.3のバージョンベータ15.4では、遅れていたユニバーサルコントロールを提供する。

マスク着用時のFace IDは、当然のことながらパンデミックになった当初から熱望されていた機能だった。2020年4月に報道されたのは、iPhoneがマスクを発見すると、パスワード入力画面にユーザーに表示するもので、2021年2月には、iOS 14.5のデベロッパーベータ版に、接続したApple Watchを介してiPhoneのロックを解除する機能(巧妙な回避策だ)が追加された。

新しいOSのベータ版のOSは、多くの人が求めてきた機能をついに提供する。有効にすると、iPhoneは目の周りで正しいユーザーであるかどうかを判断する。しかし、顔全体がないと、読み取りの精度が低くなり、安全性も定価するため、オプトイン方式になっている。

画像クレジット:Apple

iPadとMacOSでは、ついにユニバーサルコントロールのベータ版を提供されることになった。
macOS 12 Montereyと同時に発表されたこの機能は、2021年に期待されていたが、その後、著しく遅れていた。現在のところ、春頃と予想されているが、デベロッパーベータのテスターはすぐにそれを手に入れることができる。

この機能は、Sidecarに代わるものだ。SidecarはiPadを追加ディスプレイに変えるが、、ユニバーサルコントロールは自動的にMacとiPadの間でマウスカーソルとキーボードを共有する。一方のデバイスでコンテンツを選択し、マシン間でドラッグ&ドロップすることもできる。

また、iOSの新機能として、ハートの手、唇を噛む、妊婦/男性など、多数の絵文字が追加されている。ベータ版は本日から利用可能。最終的な一般へのリリース時期は未定だ。

画像クレジット:Nora Tam/South China Morning Post / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)

アップル、プライバシー保護の懸念を受けて児童性的虐待コンテンツへの言及をひっそり取り止め

Apple(アップル)は、iOS 15とmacOS Montereyにその新しい技術が組み込まれることを発表してから数カ月後、ウェブサイトから児童性的虐待スキャン機能に関するすべての言及を静かに削除した。

8月にAppleは、CSAMとして知られる児童性的虐待コンテンツを同社が検出し、法執行機関に報告することを可能にする機能を導入すると発表した。当時Appleは、すでに違法となりうるコンテンツをチェックするための包括的なスキャンを提供しているクラウドプロバイダとは異なり、画像やデバイスを取得することなく、またその内容を知らなくてもユーザーのデバイス上のCSAMを特定できる技術なので、ユーザーのプライバシーを保護しながら違法画像を検出することができると主張していた。

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これに対し、Appleは大きな反発を受けた。セキュリティの専門家やプライバシー擁護団体は、このシステムが政府のような高度なリソースを持つアクターによって悪用され、無実の被害者を巻き込んだり、システムを操作されたりする可能性があると懸念を表明した。また、児童の性的虐待の画像を特定するのに効果的でないと揶揄する人もいた。このため、数十の市民の自由団体がAppleに対してこの論争の的となっている機能を展開する計画を放棄するよう求めた。

恐怖を和らげるための広報活動を行ったにもかかわらず、Appleは譲歩し、CSAMスキャン機能の展開の延期を発表した。同社は「顧客、支援団体、研究者などからのフィードバックに基づいて、今後数カ月間、さらに時間をかけて意見を集約し、これらの極めて重要なチャイルドセーフティ機能をリリースする前に改善を行うことにしました」と述べた。

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現在、この機能は完全に廃止された可能性があるようだ。

MacRumoursは、AppleのチャイルドセーフティのウェブページからCSAMに関するすべての言及がひっそりと削除されていることに最初に気づいた。12月10日まで、このページにはCSAM検出の詳細な概要と、この物議を醸す機能が「iOS 15、iPadOS 15、watchOS 8、macOS Montereyのアップデートで2021年後半に登場」するとの約束が含まれていた。更新されたバージョンのページでは、CSAM検出に関するセクションが削除されただけでなく、この技術に関するすべての言及と、CSAMプロセスを説明し評価する文書へのリンクを提供するセクションが削られている。現在、Appleのチャイルドセーフティページには、今週初めにiOS 15でデビューしたメッセージのコミュニケーションセーフティへの言及とSiri、Spotlight、Safari検索への拡張ガイダンスのみが含まれている。

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Appleの広報担当者Shane Bauer(シェーン・バウアー)氏はTechCrunchに対し、9月に発表した同機能の遅延に関する声明について「何も変わっていない」と述べたが、CSAM機能への言及が削除された理由については言及しないとしている。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Carly Page、翻訳:Yuta Kaminishi)

アップルのデスクトップOS「macOS Monterey」公開、リモートワーク向け機能満載

この1年半で、さまざまな業界で大きな変革がもたらされた。ホワイトカラー社員の多くがオフィスからリモートワークへ移行したことで、自宅という環境が何時間ものZoom会議に対応できないことが浮き彫りになった。

2020年にパソコンやタブレットの販売台数が大きく伸びたときも、家電メーカーの対応は鈍かった。開発に着手してからプロダクトが市場に投入されるまでの期間は長いものであり、多くの未発表製品がまだ開発中だ。

米国時間10月25日、互換性のあるシステムに無料アップデートとして提供されたmacOS 12 Montereyは、リモートワークの時代にふさわしい重要な機能を(ある程度)有している。また、MacBook ProやM1搭載iMacなどのApple製ハードウェアがカメラとマイクのセットアップで長く待ち望まれていたアップグレードをようやく実現した中で、この新しいオペレーティングシステムが登場したことは、偶然ではないだろう。

Appleにとってそれは「FaceTime」のことだ。同社は、MicrosoftやGoogleなどと違い、ビデオ会議プラットフォームを持っていないという点で、独自の立ち位置にある。2020年、Appleは最大32名の会議を可能にしてその機能を拡大したが、それでも「FaceTime for Business」ではなくて、あくまでも友だちや家族のための機能だ。

しかし今回、Appleのビデオ通話アプリケーションには、重要なアップグレードが行われた。その筆頭にくるのが「SharePlay」で、残念ながらデスクトップでは今秋の終わりごろにリリースされる予定であり、iOS 15.1でも搭載されている。この機能は、2020年のパンデミック中にストリーミングサービス向けに展開された「共同視聴機能」の事実上のビルトイン版となる。

画像クレジット:画像クレジット:Apple

この機能は、Appleの自社サービスであるAppleTV+とApple Musicをサポートするためにカスタムされており、Disney+、Hulu、HBO Max、NBAアプリ、Twitch、TikTok、MasterClass、Zillow、Paramount+、ESPN+など、いくつかのローンチパートナーと連携する。しかしNetflix、Amazon、Spotifyなど、いくつかの大規模サービスが含まれていないのが気になるところだ。

この機能は、映像と音声を効果的に同期させ、グループ内のユーザーが視聴しているものをリアルタイムで反応できるようにするものだ。スピーカーの音量も調整され、ユーザーが再生 / 一時停止 / 早送りなどをすると再生が同期される。また、この機能をApple TVとセットにも拡張できる。

また、Zoomのような画面共有機能も新たに搭載され、通話中の他の視聴者にウィンドウを提示できる。FaceTimeには「空間オーディオ」も搭載されている。私は最近、最新のAirPodsを試した際にこの機能を試してみた。話者のウィンドウ位置を利用して、音声をその位置に配置するという機能なのだが、気に入った。現状はちょっとしたギミックだが良くできている。

今回追加された機能の中で最も興味深いのは、Appleのエコシステム外でもFaceTime通話に参加できる点だ。機能はまだ限定されているが、ユーザーがリンクを作成すれば、AndroidやWindowsデバイスで、ChromeまたはEdgeブラウザを使いさんかできるようになる。参加にはアカウントは必要ないが、リンクをクリックした後、誰かがそれを承認する必要がある。

画像クレジット:Brian Heater

また、ポートレートモードも新たに搭載された。これは、主要なテレビ会議サービスの「背景をぼかす」機能と同様の機能だ。Appleによると、この機能にはM1に搭載されているニューラルエンジンが使われているという。本機能と空間オーディオは、いずれもM1チップを搭載したシステムでのみ利用できるが、開発者にとっては、新しいチップが可能にする「境界線を曖昧にする力」は、macOSへのiOSの機能が採用が加速していることを感じさせるものだ。モバイルの機能がデスクトップに採用されるまでに、数回のアップデートを待たなければならなかった時代とは大きく違うものだ。

今回もSafariには、モバイル版の再考とともに大きなアップデートがいくつか行われている。デザイン面における最大の変化は、普遍的な検索バーからの決別だ。

新しい「コンパクトタブ」は、スペースを節約するために、タブを小さな独立したウィンドウに移動させる。ユーザーがこのような変更に苦しめられる場合もあるため、賢明にもAppleは設定で有効、無効を切り替えることができる。

「タブグループ」は、例えば「仕事用」や「自宅用」などユーザーがタブを束ねて共有できるようにする。使い方によっては創造性と高めることにもなるし、大量のブックマークを詰め込んでしまうということにもなるだろう。

 

ページ上のテキストをハイライトしたり、右クリックすると「クイックノート」を追加できるようになり、情報を1カ所にまとめることができる。ネットで調べものをすることが多い人にはうれしい機能だ。

iOS 15に搭載されることが発表された「集中モード」は、アクティビティや時間帯に応じて気が散るものを調整することができるというものだ。例えば、瞑想中、読書中、仕事中などに通知を制限することができる。これらの設定は、Appleデバイス間で自動的に同期される。ミュートされた通知はメッセンジャーアプリにも表示されるため、邪魔されたくないタイミングを周囲に知らせることもできる。

AirPlay to Macは、待望の新機能だ。その名のとおり、AirPlay 2を使って音楽や映画などをMacに送ることが可能だ。たとえばiMacを使っているが、スクリーンやスピーカーはもっと良いのがある、という場合に使えるだろう。

また、今回の追加機能の中でも最も期待されている機能1つである「ユニバーサルコントロール」も搭載される。この機能により、iPadOSとMacの間の境界線がさらに曖昧になり、ユーザーは2つのデバイス間でアイテムをドラッグ&ドロップして、よりシームレスなAirDrop体験ができるようになる。また、キーボード、トラックパッド、マウスなど同じ周辺機器で、2つのデバイスを同時に操作することもできる。

もう1つの大きな追加機能は、iOSから移植された最新機能「ショートカット」だ。このアプリは、長年愛用されてきたAutomatorに代わるものだ。将来的にはAutomatorも廃止される予定となっている。現状では「ショートカット」の方がシンプルだが、Automatorのような洗練された機能がないため、AppleはユーザーがAutomatorのシーケンスをショートカットに変換できるようにすることで、その影響をゆるやかにしようとしている。ただし、ユーザーからのフィードバックを募るため、しばらくはAutomatorも存続する。

macOS Montereyは、2015年以降のiMac、2017年以降のiMac Pro、2015年以降のMacBook Air / Pro Early-2015、2013年以降のMac Pro、2014年以降のMac mini、2016年以降のMacBookに対応している。

画像クレジット:Apple

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アップル、次期macOS Montereyを10月26日にリリース

Apple(アップル)は、本日開催されたバーチャルイベントで、MacBook Proの新モデルを発表した。また、この新型ノートブック発売のタイミング合わせて、macOSの次期メジャーリリースが行われる。Macユーザーは、米国時間10月25日(日本時間10月26日)からmacOS Monterey(モントレー)へのアップデートが可能になる。この新しいmacOSのメジャーリリースは、App Storeから無料で提供される。

macOS MontereyにはSafari(サファリ)12がプリインストールされるが、macOS Big Sur(ビッグサー)ですでに利用している人もいるだろう。新しいSafariはタブグループを作成してデバイス間で同期することができ、デザインも一新されている。新しいタブのデザインには賛否両論があるものの、Appleはまだ調整を続けているようだ。

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FaceTimeにも新機能が追加される。SharePlay機能は今回のアップデートには含まれないが、画面の共有、ポートレートモード利用、通話相手のグリッド表示、リンクの作成などが可能になり、他のデバイスを使う人も(そう、たとえWindows PCからでも)会話に参加できるようになる。

iOS 15で導入された新しいフォーカスモードは、Macにも搭載される。仕事モード、ゲームモードなど、好きなモードを作ることができる。1台のAppleデバイス上でモードを変更すると、同じユーザーが使っている他のすべてのAppleデバイスでもモードが変更される。

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macOS Montereyを使うことで、MacがAirPlayデバイスになる。つまりスマートフォンから音楽や動画をMacのディスプレイに送ることができるようになるのだ。要するに、Apple TVのAirPlayと同じように動作するようになる。

自動化といえば、Macに「ショートカット」アプリが登場する。これは徐々にAutomatorを置き換えていることになるだろうが、当面Automatorも存続していく。

また「メモ」「メッセージ」「マップ」などをはじめとする数多くのアプリも、大なり小なりアップデートを受けている。また、長時間の移動中にMacBookを使いたいときには、コンピューターの「低電力モード」をオンにすることができる。

なお、AppleはmacOS Montereyへのアップデートを強く推薦していない。もし、現在使っているMacの動作に満足している場合は、これまでのメジャーリリースのmacOSをそのまま使い続けることもできる。

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画像クレジット:Apple

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(文:Romain Dillet、翻訳:sako)

【インタビュー】アップルのプライバシー責任者、児童虐待検出機能とメッセージアプリの通信の安全性機能への懸念について答える

先にApple(アップル)は、同社の端末を使う児童の安全性の向上を目的とした一連の新機能を発表した。この新機能はまだリリースされていないが、2021年後半にはダウンロード配信される予定だ。これらの機能は、未成年の保護と児童性的虐待画像の拡散を抑えることをも目的としており、良い機能として受け入れられているものの、アップルが採用しているやり方に疑問の声が上がっている。

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この記事では、アップルのプライバシー担当責任者Erik Neuenschwander(エリック・ノイエンシュバンダー)氏に、アップル製端末に搭載されるこれらの新機能について話を聞いた。同氏は、この機能についてユーザーが抱いている多くの懸念について丁寧に回答してくれた。この機能の導入後に発生する戦術的、戦略的な問題についても詳しい話を聞くことができた。

また、密接に関連しているが、同じような目的を持つ完全に独立したシステム群であるこれらの機能の導入についても話を聞いた。アップルは今回3つの機能を発表しているが、これらの機能はその守備範囲においても、一般ユーザーの間でも、混同されることが多いようだ。

iCloud写真でのCSAM検出NeuralHashと呼ばれる検出システムは、全米行方不明・被搾取児童センターやその他の組織のIDと照合可能なIDを作成し、iCloud写真ライブラリにある既知のCSAMコンテンツを検出する。大半のクラウドプロバイダーでもユーザーライブラリをスキャンしてこうした情報を取得しているが、アップルのシステムは、クラウド上ではなく端末上でマッチングを行う点が異なる。

メッセージアプリの通信の安全性親がiCloudファミリーアカウントで未成年向けにオンにできる機能。画像を表示しようとする子どもたちに、その画像には露骨な性的表現が検出されていることを警告し、親にも同じ警告がなされることを通知する。

Siriと検索への介入:Siriや検索を介して児童性的虐待画像関連の表現を検索しようとするユーザーに介入して、そのユーザーに介入を通知し、リソースを紹介する。

これらの機能の詳細については、当社の記事(上記にリンクがある)またはアップルが先に投稿した新しいFAQを参照いただきたい。

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筆者は、個人的な体験から、上記の最初の2つのシステムの違いを理解していない、あるいは、自分たちの子どもの無害な写真でも何らかのフィルターに引っかかって厳しい調査を受ける可能性があると考えている人たちがいることを知っている。ただでさえ複雑な内容の発表に混乱を生じさせる結果となっているようだ。この2つのシステムはもちろん、組織がすでに虐待画像と認識しているコンテンツと完全に一致するコンテンツを検索するCSAM検出システムとは完全に別個のものである。メッセージアプリの通信の安全性では、すべての処理が端末上で実行され、外部には一切報告されない。単に、端末を使っている子どもに、性的に露骨な画像を表示しようとしている、またはその可能性があることを、その場で警告するだけである。この機能は親によるオプトイン方式となっており、有効化されていることを親も子どもも意識する必要はない。

アップルのメッセージアプリの通信の安全性機能(画像クレジット:Apple)

また、端末上で写真をハッシュ化しデータベースを使って比較対照できるIDを作成する方法についても疑問の声が上がっている。NeuralHashは、写真の高速検索など、他の種類の機能にも使用できるテクノロジーだが、iPhone上では今のところCSAMの検出以外には使用されていない。iCloud写真が無効になっている場合、この機能は、まったく動作しない。これにより、この機能をオプトアウトできるようにしているのだが、iCloud写真がアップルのオペレーティングシステムに統合されていることの利便性を考えると、オプトアウトすることで失うものが非常に大きいことは明らかだ。

エリック・ノイエンシュバンダー氏へのインタビューでは、これらの新機能について考えられるすべての質問に答えているわけではないが、アップルの上級プライバシー担当者による公開の議論としては、最も詳細な内容になっている。アップルがこれらの新機能の内容を公開しており、継続的にFAQを更新し、記者会見を開いていることから、同社はこのソリューションに明らかに自信を持っているように思われる。

この機能については、さまざまな懸念や反対意見があるものの、アップルは、必要なだけ時間をかけてすべての人たちに納得してもらうことに尽力しているようだ。

このインタビューはわかりやすくするために編集されている。

ーーー

TC:大半の他のクラウドプロバイダーは、すでにCSAM画像のスキャンをかなりの期間実施していますが、アップルはまだ行っていません。現在、サーバー上でCSAM画像の検出を行うことを強制する規制はありませんが、EUやその他の国では規制による混乱が起こっています。今回の新機能はこうした動きを受けてのことでしょうか。なぜ、今なのですか。

なぜ今リリースするのかという点については、児童の虐待からの強力な保護とユーザーのプライバシーのバランスをとるテクノロジーが実現したということに尽きます。アップルはこの分野にかなりの期間注目してきました。これには、クラウドサービス上のユーザーのライブラリ全体をスキャンする最先端の技術が含まれますが、ご指摘のとおり、アップルはこうした処理、つまりユーザーのiCloud写真を走査するという処理を行ったことがありません。今回の新システムもそうした処理は一切行いません。つまり、端末上のデータを走査することもなければ、iCloud写真に格納されているすべての写真を走査することもありません。では、何をやっているのかというと、既知のCSAM画像が蓄積し始めているアカウントを特定する新しい機能を提供しているのです。

ということは、この新しいCSAM検出テクノロジーが開発されたことが重要な転機となって、このタイミングで今回の機能をリリースすることになったというわけですね。しかも、アップル自身も満足のいく形で、なおかつユーザーにとっても「良い」方法でこの機能を実現できると考えていると。

そのとおりです。この機能には、同じくらい重要な2つの目的があります。1つはプラットフォーム上での児童の安全性を向上させること、もう1つはユーザーのプライバシーを保護することです。上記の3つの機能はいずれも、上記の2つの目的を実現するテクノロジーを組み合わせることで実現されています。

メッセージアプリの通信の安全性機能とiCloud写真でのCSAM検出機能を同時に発表したために、両者の機能と目的について混乱が生じているようです。これらを同時に発表したことは良かったのでしょうか。また、この2つが別個のシステムなら、なぜ同時に発表されたのでしょうか。

確かにこれらは2つの別個のシステムですが、Siriと検索における当社による介入の増加に伴って開発されたものです。アップルのiCloud写真サービスの中の既知のCSAMのコレクションが格納されている場所を特定することも重要ですが、その上流部分を特定することも重要です。上流部分もすでにひどい状況になっています。CSAMが検出されるということは、すでにレポートプロセスの処理対象になったことのある既知のCSAMが存在しており、それが広範囲に共有されて子どもたちが繰り返し犠牲になっているということです。そもそも最初にそうした画像が作成される原因となった虐待があり、そうした画像の作成者がいたはずです。ですから、そうした画像を検出することも重要ですが、人々が問題のある有害な領域に入ろうとするときに、あるいは、虐待が発生し得る状況に子どもたちを仕向ける虐待者がすでに存在している場合に、早期に介入することも重要です。メッセージアプリの通信の安全性と、Siriおよび検索に対する当社の介入は、まさにその部分に対する対応策です。つまり、アップルはCSAMに至るまでのサイクルを遮断しようと試みているのです。最終的にはCSAMがアップルのシステムによって検出されることになります。

iCloud写真システムにおけるアップルのCSAM検出プロセス(画像クレジット:Apple)

世界中の政府と政府機関は、何らかのエンド・ツー・エンドまたは部分的な暗号化を組織内で使用している大規模組織に常に圧力をかけています。政府機関は、バックドアや暗号解読手段に賛成する理論的根拠として、CSAMやテロにつながる可能性のある活動を抑えることを挙げることがよくあります。今回の新機能および端末上でのハッシュ照合を実現する機能をリリースするのは、それらの要求を回避し、ユーザーのプライバシーを犠牲にすることなく、CSAM活動を追跡し防止するために必要な情報を提供できることを示すための取り組みでしょうか。

最初に、端末上での照合についてですが、このシステムはマッチング結果を(通常マッチングと考えられているような方法で)端末または(端末が作成するバウチャーを考えている場合でも)アップルに公開しないように設計されている、という点を申し添えておきます。アップルは個々の安全バウチャーを処理することはできません。このシステムは、あるアカウントに、違法な既知のCSAM画像に関連付けられたバウチャーのコレクションが蓄積した時点で初めて、そのユーザーのアカウントについて調査できるように設定されています。

なぜそんなことをするのかというと、ご指摘のとおり、これはユーザーのプライバシーを保護しながら検出機能を実現するための仕組みだからです。我々の動機となっているのは、デジタルエコシステム全体で児童の安全性を高めるためにもっと多くのことを行う必要があるという事実です。上記の3つの機能はすべて、その方向への前向きな一歩になると思っています。同時に、アップルが、違法行為に関わっていない人のプライバシーを侵害することも一切ありません。

端末上のコンテンツのスキャンとマッチングを可能にするフレームワークを作成するというのは、法的執行機関の外部のフレームワークを作るということでしょうか。つまり「アップルはリストを渡します。ユーザーのデータをすべて検索するようなことはしたくありませんが、ユーザーに照合して欲しいコンテンツのリストを渡すことはできます」ということでしょうか。そのリストをこのCSAM画像コンテンツと照合できるなら、探しているCSAM画像以外のコンテンツとも照合できますよね。それは、アップルの現在の考え方、つまり「アップルはユーザーの端末を復号化できない。端末は暗号化されていて、我々はキーを持っていないのだから」という立場を損なうことになりませんか。

その立場は一切変わりません。端末は依然として暗号化されていますし、アップルは復号化キーも持っていません。今回の新システムは端末上のデータに対して機能するように設計されています。アップルが作成したのは端末側コンポーネントです。プライバシーを向上させる端末側コンポーネントも含まれています。サーバー上のユーザーデータをスキャンして評価するやり方もあったわけですが、そのほうが(ユーザーの承認なしに)データを自由に変更できるし、ユーザーのプライバシーも低いのです。

今回のシステムは、端末側コンポーネントとサーバー側コンポーネントで構成されています。端末側コンポーネントは、バウチャーを作成するだけで何も認識しません。サーバー側コンポーネントには、バウチャーと、アップルのサービスに入ってくるデータが送信され、当該アカウントについて、違法なCSAM画像のコレクションが存在するかどうか調査されます。つまり、サービス機能です。話が複雑になりますが、このサービスの機能に、バウチャーが端末上に作成される部分が含まれているのですが、何度も申し上げているとおり、端末上のコンテンツの内容が認識されることは一切ありません。バウチャーを生成することで、サーバー上ですべてのユーザーのコンテンツを処理する必要がなくなりました。もちろん、アップルはiCloud写真の内容を処理したことも一切ありません。そのようなシステムは、プライバシー保護の観点から、より問題を起こしやすいと思います。ユーザーに気づかれずにシステムを本来の設計意図とは異なるものに変更できてしまうからです。

このシステムに関して大きな疑問が1つあります。アップルは、CSAM画像以外のコンテンツをデータベースに追加して端末上でチェックするよう政府やその他の機関から依頼されたら拒否すると明言しました。アップルには、ある国で事業展開したければ、その国の法律に最高レベルで準拠しなければならなかった例が過去にあります。中国の件が良い例です。政府からシステムの意図的改ざんを要求または依頼されても、アップルは、そうした干渉を一切拒否するという約束は本当に信頼できるのでしょうか。

まず、このシステムは米国内でのみ、iCloudアカウントのみを対象としてリリースされます。ご質問では国全般または米国以外の国からの要請を想定されているようです。少なくとも米国の法律では、こうした要請を政府が行うことは許されていないと思われます。

システムを改ざんする試みについてですが、このシステムには、多くの保護機能が組み込まれており、児童虐待画像を保持している個人を(政府が)特定するにはあまり役立たないようになっています。ハッシュリストはオペレーティングシステムに組み込まれるのですが、アップルは1つのグローバルなオペレーティングシステムのみを所有しており、個々のユーザー向けにアップデートを配信することはできません。ですから、ハッシュリストはシステムを有効にしているすべてのユーザーに共有されます。第2に、このシステムでは、(バウチャーの中身を見るには)画像のしきい値を超える必要があるため、個人の端末または特定のグループの端末から単一の画像を探し出すことはできません。というのは、システムはアップルに、サービスに保存されている特定の画像について一切情報を提供しないからです。第3に、このシステムには手動によるレビュー段階が組み込まれています。つまり、あるアカウントに、違法なCSAM画像のコレクションが保存されていることを示すフラグが立つと、外部の機関に報告する前に、アップルのチームがその画像が確かに違法なCSAM画像と一致していることを確認するようになっています。ですから、ご指摘のような状況(アップルが政府の要請に応じてシステムを改ざんするような事態)が発生するには、例えばアップルに内部プロセスを変更させて違法ではない(既知のCSAM以外の)コンテンツも報告させるようにするなど、本当に多くの作業を行う必要があります。それに、アップルは、そうした要請を行うことができる基盤が米国内に存在するとは考えていません。最後に付け加えておきますが、ユーザーはこの機能を有効にするかどうかを選択できます。この種の機能が気に入らなければ、iCloud写真を使わない選択をすればよいだけです。iCloud写真が無効になっていれば、このシステムは一切機能しません。

iCloud写真が無効になっていればこのシステムは機能しないと、確かにFAQでも明言されています。この点について具体的にお聞きしますが、iCloud写真が無効になっている場合でも、このシステムは端末上で写真のハッシュの作成を継続するのでしょうか。それとも、無効にした時点で完全に非アクティブな状態になるのでしょうか。

ユーザーがiCloud写真を使用していない場合、NeuralHashは実行されず、バウチャーも生成されません。CSAMの検出では、ニューラルハッシュがオペレーティングシステムイメージの一部である既知のCSAMハッシュのデータベースと比較対照されます。iCloud写真を使用していない場合、安全バウチャーの作成やバウチャーのiCloud写真へのアップロードなどの追加部分は、一切実行されません。

アップルは近年、端末上での処理によりユーザーのプライバシーが保護されるという事実に注目しています。今思い浮かぶ過去のすべての事例において、これは真実です。確かに、例えば写真をスキャンしてそのコンテンツを特定し、検索できるようにするといった処理は、ローカルの端末上で実行し、サーバーには送信しないで欲しいと思います。しかし、この機能の場合、外部の使用ケースがなければ個人的な使用をスキャンするのではなくローカルの端末をスキャンするという点で、ある種の抗効果が発生し、ユーザーの気持ちに「信頼性の低下」というシナリオが生まれる可能性があるように思います。それに加えて、他のすべてのクラウドプロバイダーはサーバー上をスキャンすることを考慮すると、この実装が他のプロバイダーとは異なるため、ユーザーの信頼性が低下するのではなく向上するのはなぜか、という疑問が生じるのですが。

アップルの方法は、業界の標準的な方法と比較して、高い水準にあると思います。すべてのユーザーの写真を処理するサーバー側のアルゴリズムでは、どのようなものであれ、データ漏洩のリスクが高くなり、当然、ユーザーのライブラリ上で行う処理という点で透過性も低くなります。これをオペレーティングシステムに組み込むことで、オペレーティングシステムの完全性によって他の多くの機能にもたらされているのと同じ特性を実現できます。すべてのユーザーが同じ1つのグローバルなオペレーティングシステムをダウンロードおよびインストールするため、個々のユーザー向けに特定の処理を行うのはより難しくなります。サーバー側ではこれは実に簡単にできます。いくつかのプロパティを用意しそれを端末に組み込んで、この機能が有効になっているすべてのユーザーでプロパティ設定を統一できることで、強力なプライバシープロパティが得られます。

第2に、オンデバイステクノロジーの使用によってプライバシーが保護されるというご指摘ですが、今回のケースでは、まさにおっしゃるとおりです。ですから、ユーザーのライブラリをプライバシー性の低いサーバー上で処理する必要がある場合の代替策になります。

このシステムについて言えるのは、児童性的虐待画像という違法行為に関わっていないすべてのユーザーのプライバシーが侵害されることは一切なく、アップルがユーザーのクラウドライブラリに関して追加の情報を得ることも一切ないということです。この機能を実行した結果としてユーザーのiCloud ライブラリが処理されることはありません。その代わりに、アップルは暗号的に安全なバウチャーを作成できます。このバウチャーには数学的プロパティが設定されています。アップルがコンテツを復号化したり画像やユーザーに関する情報を取得できるのは、そのユーザーが、CSAMハッシュと呼ばれる違法な画像ハッシュに一致する写真を収集している場合だけです。一方、クラウド処理スキャンサービスでは、まったく状況が異なります。すべての画像を復号化された形式でくまなく処理し、ルーチンを実行して誰が何を知っているのかを決定するからです。この時点で、ユーザーの画像に関して必要なことは何でも確定できます。それに対して、アップルのシステムでは、NCMECおよび他の児童虐待保護組織から直接入手した既知のCSAM画像ハッシュのセットに一致することが判明した画像について知ることしかできません。

このCSAM検出機能は、端末が物理的にセキュリティ侵害されたときにも全体として機能しますか。何者かが端末を手元で操作できれば、暗号がローカルに迂回されることもあります。これを防ぐための保護レイヤーはありますか。

これは難しく、犠牲が大きい問題ですが、非常に稀なケースであることを強調しておきたいと思います。この問題はほとんどのユーザーにとって日常的な関心事ではありませんが、アップルはこの問題を真剣に受け止めています。端末上のデータの保護は我々にとって最重要事項だからです。では、誰かの端末が攻撃されたという仮説の下で説明してみます。その攻撃は極めて強力なので、攻撃者が対象ユーザーに対して行えることはたくさんあります。攻撃者にはアクセス可能なユーザーのデータが大量にあります。誰かの端末のセキュリティを侵害するという極めて難しい行為をやってのけた攻撃者にとって最も重要なことが、アカウントの手動レビューを起動させることだという考え方は合理的ではありません。

というのは、思い出して欲しいのですが、しきい値が満たされていくつかのバウチャーがアップルによって復号化されても、次の段階で手動レビューによって、そのアカウントをNCMECに報告するべきかどうかを決定するわけですが、我々は合法的な高価値レポートであるケースでのみこうした報告を行うべきだと考えています。我々はそのようにシステムを設計していますが、ご指摘のような攻撃シナリオを考えると、攻撃者にとってあまり魅力的な結果にはならないと思います。

画像のしきい値を超えた場合のみ報告されるのはなぜですか。CSAM画像が1つ見つかれば十分ではないでしょうか。

NCMECに対してアップルが報告するレポートは高価値でアクション可能なものにしたいと考えています。また、すべてのシステムについて共通しているのは、その画像が一致するかどうかにある程度の不確かさが組み込まれるという点です。しきい値を設定することで、誤報告によってレビューに至る確率は年間で1兆アカウントに1つになります。ですから、既知のCSAMのコレクションを保持しているユーザー以外の写真ライブラリをスキャンすることに興味がないという考え方に反することになりますが、しきい値を設定することで、レビューしているアカウントをNCMECに報告したとき、法執行機関は効果的に調査、起訴、有罪判決まで持っていくことができると確信できます。

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画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Matthew Panzarino、翻訳:Dragonfly)

アップルがメッセージアプリで送受信される性的な画像を検知し、子どもと親に警告する新技術を発表

Apple(アップル)は、子どもがMessages(メッセージ)アプリを通じて性的に露骨な写真を送受信した場合、子どもと親に警告する新しいツールを、今年後半に導入すると発表した。この機能は、アップルのプラットフォームやサービスにおける児童性的虐待素材(Child Sexual Abuse Material: CSAM)の拡散を制限することを目的に、同社が導入するいくつかの新技術の一部だ。

これらの開発の一環として、アップルは消費者のプライバシーを尊重しつつ、iPhoneやiPadなどのモバイルデバイスやiCloud(アイクラウド)にアップロードされた写真の中から、既知のCSAM画像を検出できる技術を導入する。

一方、メッセージアプリの新機能は、子どもたちが健全なオンライン・コミュニケーションを取れるように、親がより積極的に関わり、情報が得られるようにするためのものだ。今年後半に予定されているソフトウェアアップデートにより、アップルのメッセージアプリは機械学習を使って画像添付ファイルを分析し、メッセージアプリで送受信される画像が、性的に露骨なものでないかを判断できるようになる。この技術では、すべての処理がデバイス上で行われるため、アップルが子どものプライベートな通信にアクセスしたり、それを傍受する必要はない。クラウド上のアップルのサーバーには何も転送されることはない。

メッセージの中に、性的な問題がありそうな画像が検知された場合、その画像はブロックされ、写真の下に「これは問題があるかもしれない画像です」というラベルが表示される。タップすればその画像を見ることができるが、子どもが写真の閲覧を選択すると、さらに詳しい情報を伝える別の画面が表示される。そこには、問題のありそうな写真や動画について、「水着で隠すプライベートな体の部分が写っています」とか「あなたは悪くないけれど、刺激的な写真や動画はあなたを傷つけるために使われることがあります」というメッセージが表示される。

また、写真や動画に写っている人が、見られたくないと思っているのに本人が知らないうちに共有されている可能性があることも提言する。

これらの警告は、子どもがそのコンテンツを見ないという正しい判断をするように導くためのものだ。

しかし、それでも子どもがタップして画像を見ようとすると、さらに別の画面が現れ、写真を見ることを選択した場合、親に通知されることが伝えられる。また、この画面では、親たちが子どもの安全を願っていることを説明し、本当は見たくないのに見るようにと強制されているなら、信頼できる人に相談するように勧めている。助けを求めるためのリソースへのリンクも表示される。

画面の下には写真を見るための選択肢は残されているものの、デフォルトで選べるようにはなっていない。その代わり、「写真を表示しない」という選択肢の方が目立つように画面がデザインされている。

コミュニケーションを妨げてアドバイスやリソースを提供するだけでなく、システムが保護者に警告を発するこのような機能は、子どもを性犯罪者から守ることに役立つ可能性がある。子どもが性犯罪者から被害を受けた時、親は子どもが相手とネットや電話で会話を始めたことにさえ気づかなかったというケースが多いからだ。性犯罪者は子どもの心理を巧みに操って信頼を得ようとし、子どもを親から引き離して、コミュニケーションを親に内緒にさせようとする。あるいは犯罪者が親に近づいてくるケースもある。

アップルのテクノロジーは、性的に露骨な内容の画像や動画が共有されることに介入し、特定して、警告を発することで、どちらのケースにおいても役に立つだろう。

しかし、CSAMの中には、いわゆる自己作成型CSAM、つまり子ども自身が撮影した画像を、子どものパートナーや仲間と合意の上で共有するものが増えている。セクスティングとか、裸の写真の共有などだ。子どもの性的搾取に対抗する技術を開発している企業のThorn(ソーン)が2019年に行った調査によると、この行為は非常に一般的になっており、13歳から17歳の女子の5人に1人が、自分の裸の写真を共有したことがあると答え、男子の10人に1人が、同じことをしたことがあると答えている。しかし、その画像を共有することで、性的虐待や搾取の危険にさらされることを、子どもは十分に理解していないかもしれないのだ。

アップルの新しいメッセージアプリは、これに対しても同様の保護機能が働く。この場合、子どもが性的に露骨な写真を送ろうとすると、写真が送信される前に警告が表示される。それでも子どもが写真を送信しようとした場合には、保護者にメッセージが届く。

アップルによれば、この新機能は今年後半に行われるソフトウェアアップデートの一環として、まずは米国から、iOS 15、iPadOS 15、macOS Monterey(モントレー)のiCloudで、家族として設定されたアカウントで有効になるとのこと。

このアップデートはSiriと検索にも適用され、子どもや親がオンラインで安全に過ごせるように、安全でない状況で助けを得るためのガイダンスやリソースが拡充される。例えば、ユーザーはSiriに、CSAMや児童の性的搾取を報告する方法を尋ねることができるようになる。また、ユーザーがCSAMに関連する疑問を検索すると、Siriと検索が介入して、そのトピックが有害であることを説明し、助けを得るための情報や相談先を提供する。

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画像クレジット:Janis Engel / EyeEm / Getty Images
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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アップルがiCloud上の児童虐待画像を検出する新技術「NeuralHash」導入へ

Apple(アップル)は、既知の児童性的虐待素材を検知し、ユーザープライバシーが守られる方法で警察機関に通報する技術を2021年中に展開する。

Appleは、児童性的虐待素材(CSAM)の検出は同社のサービスを使用する子どもたちをオンライン危害から守ることを目的とした新機能の一環であるとTechCrunchに語った。子どものiMessage(アイ・メッセージ)アカウントを通じて送受信される性的に露骨な画像をブロックするフィルターもその1つだ。他にもユーザーがSiri(シリ)や検索でCSAMに関連したことばを検索しようとした時にブロックする機能もある。

Dropbox(ドロップボックス)、Google(グーグル)、Microsoft(マイクロソフト)をはじめとするほとんどのクラウドサービスは、サービスの利用規約に違反したりCSAMなどの違法コンテンツを検出するためにユーザーのファイルを監視している。しかしAppleは長年、クラウド上のユーザー・ファイルの監視に抵抗しており、データがAppleのiCloud(アイクラウド)サーバーに到達する前に暗号化するオプションをユーザーに提供している。

Appleは自社の新しいCSAM検出技術であるNeuralHash(ニューラルハッシュ)について、クラウド上ではなくユーザーの端末上で動作し、ユーザーが既知の児童虐待画像をiCloudにアップロードしたことを検出できるが、一定のしきい値を超え一連のチェックでコンテンツが検証されるまで画像は復号化されないと説明した。

Appleの取り組みのニュースは、米国時間8月4日、ジョンズ・ホプキンス大学の暗号学専門のMatthew Green(マシュー・グリーン)教授が新技術の存在を一連のツイートで公開したことで明らかになった。このニュースには、一部のセキュリティ専門家とプライバシー擁護者だけでなく、ほとんどの他社にないAppleのセキュリティとプライバシーへのアプローチに馴染んでいるユーザーも抵抗を示した

Appleは不安を鎮めるべく、暗号化のさまざまな暗号化の複数レイヤーにプライバシー対策を施し、Appleによる最終的な手動レビュー審査に至るまでに複数の段階が必要になるような方法で実装している。

NeuralHashは、1、2カ月後に公開が予定されているiOS 15およびmacOS Montereyに搭載される予定で、ユーザーのiPhoneまたはMac上にある写真を文字と数字の独特な並び(ハッシュと呼ばれる)に変換する。画像がわずかに変更されるとハッシュが変更されてマッチングが阻止される。Appleによると、NeuralHashは同一あるいは外観の似た画像(たとえば切り抜きや編集を施された画像)から同じハッシュが作られるように動作する。

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画像がiCloud写真にアップロードされる前にハッシュは、全米行方不明・被搾取児童センター(NCMEC)などの児童保護組織から提供された児童虐待画像から得たの既知のハッシュのデータベースと端末上で比較される。NeuralHashはPrivate Set Intersection(プライベート・セット・インターセクション)と呼ばれる暗号化技術を用いて、画像の内容を明かすこともユーザーに警告することもなくハッシュの一致を検出する。

結果はAppleにアップロードされるが、そのままでは内容を見ることはできない。AppleはThreshold Secret Sharing(しきい値秘密分散法)と呼ばれる別の暗号化原理を用いることで、ユーザーのiCloud写真中の既知の児童虐待画像が一定のしきい値を越えた場合にのみコンテンツを解読できる。しきい値が何であるかについてAppleは明らかにしていないが、こんな例を示した。ある秘密が1000ピースに分割され、しきい値が児童虐待画像10枚だったとすると、その秘密は10枚の画像のどの1つからでも再構築できる。

これは、Appleが一致した画像を解読し、手動でコンテンツを検証することで、ユーザーのアカウントを停止し、画像をNCMECに報告し、その後その画像が警察機関に渡る可能性があるということを意味している。Appleはこのプロセスについて、クラウド上のファイルを監視するよりもプライバシーに配慮している、なぜならNeuralHashが検出するのは既知の児童虐待画像のみであり新しい画像ではないからだと述べている。Appleは、1兆分の1の確率で誤検出の可能性があるが、アカウントが誤って停止された場合に異議申し立てをする手続きがあるという。

AppleはNeuralHashの仕組みに関する技術情報を自社ウェブサイトで公開している。文書は暗号学専門家の査読を受けており、児童保護団体からも称賛されている。

しかし、児童性的虐待と戦うさまざまな取り組みが広い支持を得ている一方で、アルゴリズムに委ねることに多くの人々が違和感を示す監視の要素がそこにはある。また、セキュリティ専門家の間には、Appleがこのテクノロジーをユーザーに適用する前にもっと公開議論をすべきだと指摘する声もある。

大きな疑問は、なぜもっと早くではなく、今なのかだ。Appleは、同社のプライバシーが保護されたCSAM検出技術はこれまで存在しなかったと語った。一方でAppleのような会社は、ユーザーデータを保護している暗号化技術を弱体化するか裏口を提供することで警察機関の凶悪犯罪捜査を可能にすべし、という米国政府や同盟国からの大きな圧力にも直面している。

テック巨人らたちは自社システムの裏口を提供することを拒否し続けてきたが、政府によるアクセスをさらに遮断しようとする取り組みに対する抵抗を受けている。iCloudに保存されているデータはAppleがアクセスできない形で暗号化されているが、Reuters(ロイター)の2020年の記事によると、AppleはiPhoneのiCloudへのフルバックアップを暗号化する計画を、捜査を阻害するとFBIから抗議されて中止したという。

Appleの新しいCSAM検出ツールが公の場で議論されていない点についても、このテクノロジーが児童虐待画像を大量に送りつけて被害者のアカウントを停止に追い込むなど悪用の恐れがあるという懸念を呼んだ。しかしAppleは、手動レビューによって起こりうる悪用の証拠を検査するとして問題を軽視している。

Appleは、NeuralHashはまず米国で展開すると語ったが、世界的な展開の可能性や時期は明らかにしていない。最近まで、Facebook(フェイスブック)をはじめとする企業は、EU全体で児童虐待検出ツールが強制的に停止させられていた。当地でプライベートメッセージの自動監視が禁止されたためだった。Appleは新機能について、iCloud写真は使う義務がないので厳密には選択的であるが、使用するなら必須であると説明した。つまるところ、あなたの端末はあなたの所有物だが、Appleのクラウドはそうではない、ということだ。

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画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch / Getty Images

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Nob Takahashi / facebook

【レビュー】アップルがmacOS 12 Montereyのパブリックベータ版配信開始、Safariやクロスデバイス機能を一新

Apple(アップル)は米国時間6月30日、iOS 15、iPadOS 15、watchOS 8の新しいパブリックベータ版を一斉に公開した。そして米国時間7月1日、同社は6月のWWDCで発表されたソフトウェアのうち、もう1つの大きなパズルピースをたずさえて戻ってきた。

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このたび3週間にわたる開発者向けベータ版に続き、macOS 12.0 Monterey(モントレー)のパブリックベータ版が配信開始された(つまり、すべての人に行き渡るまでに多少時間がかかることが多いロールアウトを開始した)。

OSのベータ版にはいつもの警告があり、プライマリマシンにダウンロードしないように注意する必要があるが、少なくとも、6月に開発者向けに最初に配布されたものよりは十分に安定しているはずだ。筆者はあなたの生き方に口出しするつもりはない。

画像クレジット:Brian Heater

この種の記事の冒頭にシステムの互換性を取り上げることはあまりないのだが、Montereyの場合は言及しておくべきだろう。何しろ、2020年に初めてApple Siliconを搭載したMacを発売して以来、初めての完全な新OSのリリースなのだから。当然のことながらMontereyは、Appleのファーストパーティー製プロセッサーを搭載したすべてのシステムで利用可能だ。

Intelプロセッサー搭載のMacは数年前からサポートされているが、福袋のようにまちまちだ。以下のリストをまとめてくれたMacrumorsに感謝する

  • iMac(Late 2015以降)
  • iMac Pro(2017以降)
  • MacBook Air(Early 2015以降)
  • MacBook Pro(Early 2015以降)
  • Mac Pro(Late 2013以降)
  • Mac mini(Late 2014以降)
  • MacBook(Early 2016以降)

Big Surの互換性の内訳から日付が1年ほど上にずれているので、まあ妥当といえるだろう。

さて、ひるまず早速ダウンロードしてみると、何が変わるのだろうか?最も大きく変わるのはSafariとFaceTime、そしてデバイス間で周辺機器を統一する「ユニバーサルコントロール」機能と、macOSの主力機能であるAutomaterに代わるiOSの機能「ショートカット」が追加される。

画像クレジット:Brian Heater

最初の印象をいくつか挙げる。まずはSafariから始めよう。このブラウザはmacOSの大幅な刷新のたびにいくつか重要なアップデートが行われるが、今回は最近の記憶の中でも最大級のものだ。(WWDC)基調講演の後、このアップデートは多くのユーザーに混乱をもたらすだけではないかという懸念があった。確かに、ユーザーはワークフローの中断を嫌う。私が毎日使うデフォルトのブラウザをSafariに切り替えようと真剣に考えたことがないのは、このような理由からかもしれない。習慣を変えることは難しい。もちろん、進化するためにはときには変化も必要だ。いずれにしても、私はまだMontereyを十分に使いこなしていないので、Safariの使い心地について決定的なことはお伝えできない。

前置きが長くなったが、すぐにかなりの違いがある。

Brian Heater

大したことではないと思われるかもしれないが、何世代にもわたってタスクバーが原動力となってきた後で、ブラウザの中心にかなり大胆な変更が施されたといえる。もちろん好みは分かれると思うが、このアイデアの根底にあるのは、フィールド(フォーム)をより恒常的に存在させるのではなく、個々のタブに結びつけることだ。「タブグループ」を使えば、複数のサイトをまとめてブックマークすることができ「家」と「職場」というようにグループ化することができる。

Appleがどのようにソフトウェアを作っているかを知っているユーザーなら、これらのグループがSafariアカウントを介してデバイス間で同期されることは驚くことではないだろう。この機能はユーザーにとって、整理整頓になるか、あるいは無限のタブを持つ新しいグループを大量に作るか、どちらかになる可能性があるものだと思う。

画像クレジット:Apple

FaceTimeに追加された機能は、パンデミックの中で悩む必要のない決断であり歓迎すべきアップデートだ。最大の追加は、2020年に多くのサードパーティが解読しようとしたコードだ。この新機能では、友人とのFaceTime通話で映画やテレビ番組をストリーミングして一緒に観ることができる。繰り返しになるが、これは非常にパンデミックに適した製品であり、遠隔会議がなくなることはないので、今後も魅力的な製品となるだろう。

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TV+やMusicなどのApple製品に加え、Disney+、Hulu、HBO Max、NBA、Twitch、TikTok(ティックトック)、MasterClass(マスタークラス)、ESPN+、Paramount+、PlutoTVなど、Montereyは数多くのローンチパートナーと連携する。また、AppleはAPIを開発者に公開している。というのも、正直なところ、この製品にはYouTubeとNetflix(ネットフリックス)が必要だからだ。

画像クレジット:Brian Heater

「フォーカス」設定は、既存の「Do Not Disturb」機能をベースに、特定の通知パラメータを作成する機能を追加したものだ。Appleは、デフォルトで「仕事モード」や「睡眠モード」などを提供しているが、一部の通知を許可し、他をブロックする独自のカスタムバージョンを作ることもできる。

画像クレジット:Apple

ハードウェアの観点からは「ユニバーサルコントロール」が最も興味深い追加機能だろう。この機能により、互換性のあるMacやiPadでワイヤレスキーボードやマイク / トラックパッドを共有できるようになる。これはSidecar(サイドカー)を置き換えるものでも、その技術をベースにしたものでもない。SidecarがiPadを実質的にセカンドスクリーンとして利用できるようにするのに対し、ユニバーサルコントロールでは標準的なiPadの機能を維持しながら、デバイス間でカーソルを移動させることができる。どちらもクリエイターや頻繁に旅行に出かける人には魅力的だが、これらの一方が他方をカニバリゼーションするかどうかはこれから興味深いところだ。

クロスデバイス機能といえば「なぜこんなに時間がかかったのだろう」と思うような機能が「AirPlay to Mac(MacへAirPlay)」だ。これにより、iPhoneやその他のAppleデバイスのコンテンツを、大画面のMacで直接共有することができる。また、コンピュータをAirPlayスピーカーとして使用し、デバイスからシステム上に音楽を流すこともできる。

画像クレジット:Brian Heater

前述の通り、Mac版「ショートカット」の登場は、Automaterの終わりの始まりを意味する。Appleはユーザーからのフィードバックを収集しながら、しばらくの間このアプリを存続させるとのこと。これまでのように、新機能を導入したらすぐにバンドエイドをビリっと剥がす(すばやくやれば痛くない!)というやり方ではなく、このような方針をとったことは評価できる。Automaterは非常に多機能だったが、慣れないユーザーにとっては非常にわかりづらいものだった。使い始めるために、同社はショートカットのギャラリー(上図参照)を用意している。

OSの基本的なタスクから「Gifを作成する」というようなものまで、さまざまなショートカットが用意されているため、これで一部のサードパーティー製Mac用アプリが不要になってしまう可能性も大いにある。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:アップルmacOSmacOS 12ベータ版レビュー

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

アップルがWWDCでひっそり発表した7つのセキュリティ新機能

Apple(アップル)は、米国時間6月7日に行われた世界開発者会議(WWDC)の基調講演で、セキュリティとプライバシーに関する取り組みを大々的に紹介した。それは、デバイス内だけでSiriの音声認識を行えるようになったことから、どのアプリケーションがいつ自分のデータを収集しているのかをこれまで以上に簡単に確認できるiOSのプライバシーレポートまで、多岐にわたる。

2時間(!)にも及んだMemoji(ミー文字)だらけの基調講演では、セキュリティに関する話題が多く取り上げられたが、WWDCの開発者向けセッションでは、セキュリティとプライバシーに焦点を当てたいくつかの新機能がひっそりと紹介された。その中から最も興味深く、そして重要なものをいくつか振り返ってみよう。

iCloud キーチェーンによるパスワード不要ログイン

アップルはパスワードの廃止に向けて最も進んだ取り組みを行っているテック企業の1つだ。「Move beyond passwords」と題した開発者セッションでは、WebAuthnとFace IDやTouch IDを利用したパスワード不要の認証方法となる「Passkeys in iCloud Keychain」のプレビューが公開された。

iOS 15とmacOS Montereyに搭載される予定のこの機能を使えば、ユーザーはアカウントの作成時やウェブ、アプリでパスワードを設定する必要がなくなる。代わりに、ログイン時にはユーザー名を選択し、Face IDまたはTouch IDを使って本人であることを確認するだけだ。Passkeyはキーチェーンに保存され、iCloudを使ってアップル製デバイス間で同期されるので、パスワードを覚えておく必要も、ハードウェア認証キーを持ち歩く必要もない。

アップルの認証体験担当エンジニアであるGarrett Davidson(ギャレット・デビッドソン)氏は「ワンタップでサインインできるため、現在のほとんどすべての一般的な認証手段よりも簡単で速く、しかも安全です」と述べている。

ただし、今すぐにこの機能がiPhoneやMacで利用できるようになるわけではなさそうだ。アップルによると、この機能はまだ開発の「初期段階」であり、現在はデフォルトで無効になっている。しかし、アップルのこの動きは、忘れがちで、複数のサービスで再利用されることが多く、そして結局はフィッシング攻撃を受けることになるパスワードをなくそうという機運の高まりを示している。

Microsoft(マイクロソフト)は以前よりWindows 10をパスワード不要にする計画を発表しており、Google(グーグル)も最近「いつかパスワードをまったく必要としない未来」を目指して取り組んでいることを認めている。

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macOSのマイクロフォンインジケーター

macOSには、マイクがオンになっているかどうかを示す新しいインジケータが加わる(画像クレジット:Apple)

iOS 14の導入以来、iPhoneユーザーは、どのアプリケーションがマイクにアクセスしているかを、ステータスバーの緑またはオレンジのドットで確認できるようになった。この機能がデスクトップでも利用できるようになる。

macOS Montereyでは、どのアプリケーションがMacのマイクにアクセスしているかを、コントロールセンターで確認できるようになると、MacRumorsが報じている。この機能は、カメラが使用されている時にMacのウェブカムの横で点灯するハードウェアベースの緑色のランプを補完するものだ。

セキュアペースト

「メールのプライバシー保護」から「プライバシーレポート」まで、多数のプライバシー保護ツールが搭載されるiOS 15には、クリップボードのデータを他のアプリケーションから保護するための「Secure paste(セキュアペースト)」という機能も新たに搭載される。

この機能では、ユーザーがあるアプリから別のアプリにコンテンツをペーストする際、2つ目のアプリはペーストが完了するまでクリップボード上の情報にアクセスすることができない。アプリがクリップボードのデータを取得すると通知しても、それを防ぐための手段が何もなかったiOS 14と比べると、大幅に改善されている。

アップルは次のように説明している。「『セキュアペースト』では、デベロッパはユーザーがコピーした内容にアクセスすることなしに、ユーザーが別のアプリケーションからデベロッパのアプリケーションにペーストするまで中身を見られないようにできます。デベロッパが『セキュアペースト』を使うと、ユーザーは『セキュアペースト』から通知されることなくペーストできるようになり、ユーザーに安心感を提供することができます」。

些細なことにように聞こえるかもしれないが、この機能は2020年明るみに出た大きなプライバシー問題を受けて導入されることになった。2020年3月、セキュリティ研究者は、TikTok(ティックトック)など数十の人気iOSアプリが、ユーザーの同意なしにユーザーのクリップボードを「盗み見」し、非常にセンシティブなデータにアクセスしている可能性があることを明らかにした。

Apple Cardの「Advanced Fraud Protection(高度な不正防止機能)」

決済詐欺は新型コロナウイルスの影響でこれまで以上に蔓延しており、アップルはこれを何とかしようとしている。9to5Macが最初に報じたように、同社はApple CardのユーザがWalletアプリで新しいカード番号を生成できる機能「Advanced Fraud Protection」のプレビューを公開した。

この機能は、iOS 15の最初の開発者ベータ版には含まれていないため、詳細は不明だが、アップルの説明によると、Advanced Fraud Protectionを使えば、オンラインで買い物する際に、ユーザーが新しいセキュリティコード(チェックアウト時に入力する3桁の数字)を生成できるようになるようだ。

現時点では「Advanced Fraud Protectionにより、Apple Cardのユーザーは、定期的に変更されるセキュリティコードを持つことができ、オンラインでのカード番号の取引をさらに安全なものにすることができます」と、簡単に説明されているだけなので、我々はアップルにさらに詳しい情報を求めているところだ。

SiriでApple Watchのロック解除が可能に

新型コロナウイルスの影響によりマスクを着用する機会が増加したことから、アップルはiOS 14.5で、Apple Watchを使ってiPhoneのロックを解除できる機能を導入した。これによってユーザーはマスクを着用したままでも、Face IDの代わりにApple Watchを使って、iPhoneのロック解除やApple Payの支払い認証が可能になった。

iOS 15ではこの機能の適用範囲が拡大し、Apple WatchからSiriにリクエストして、電話の設定を変更したりメッセージを読み上げたりするのと同じ様に、iPhoneのロック解除ができるようになる。今のところ、ユーザーはiPhoneのロックを解除するためには、PINやパスワードを入力するか、Face IDを使う必要がある。

「マスクなどの障害物でFace IDが顔を認識できない際には、Apple Watchとの安全な接続を使用して、Siriにリクエストしたり、iPhoneのロックを解除することが可能です。Apple Watchはパスコードが設定されていて、ロックが解除されており、手首につけてiPhoneの近くにある必要があります」と、アップルは説明している。

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OSのバージョンアップとは独立したセキュリティアップデート

iOS 15にすぐにアップグレードしたくないiPhoneユーザーにもセキュリティアップデートを確実に提供するため、アップルは機能面のアップデートとセキュリティアップデートを分離させることにした。

2021年後半にiOS 15がリリースされると、ユーザーは最新バージョンのiOSにアップデートするか、iOS 14のままで最新のセキュリティ修正プログラムだけをインストールするかを選択できるようになる。

「iOSは『設定』アプリから、2種類のソフトウェア・アップデートの仕様を選択できるようになります」と、アップルは説明している(MacRumorsより)。「最新バージョンのiOS 15がリリースされたらすぐにアップデートして、最新の機能と最も完全なセキュリティアップデートを利用することができます。また、iOS 14を使い続けても、次のメジャーバージョンにアップグレードする準備ができるまで、重要なセキュリティアップデートを受けることができます」。

これは、以前よりAndroidユーザーに毎月セキュリティパッチを提供してきたGoogle(グーグル)にアップルが倣った形だ。

Macで「すべてのコンテンツと設定を消去」が可能に

これまでMacを初期化するには、macOSがインストールされているデバイスを完全に消去してから、macOSを再インストールしなければならない手間のかかる作業だった。ありがたいことに、それが変わる。アップルは、iPhoneやiPadには長年導入されてきた「すべてのコンテンツと設定を消去する」オプションを、macOS Montereyにも採用する。

このオプションを使えば、ワンクリックでMacを工場出荷状態に戻すことができる。「システム環境設定では、現在インストールされているオペレーティングシステムを維持したまま、すべてのユーザーデータとユーザーがインストールしたアプリケーションをシステムから消去するオプションが提供されます」と、アップルは述べている。「Apple SiliconまたはT2チップを搭載したMacシステムでは、ストレージが常に暗号化されているため、暗号化キーを破壊することでシステムを瞬時にかつ安全に『消去』することが可能です」とのこと。つまり、macOS Montereyでも、この機能が使えるのは「Apple SiliconまたはT2チップを搭載したMac」に限るようだ。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:AppleWWDCWWDC2021プライバシーmacOS 12iOS 15

画像クレジット:Apple / live stream

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(文:Carly Page、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

複数のアップル製デバイスをシームレスに移動しながら作業できる「ユニバーサルコントロール」機能

米国時間6月7日に開催されたWWDC(世界開発者会議)で、Apple(アップル)が次期macOS 12 Monterey(モントレー)を発表した。今回のmacOSアップデートで最も注目すべき新機能は、OS X Yosemite(ヨセミテ)で初めて導入された「Continuity(コンティニュイティ)」機能をベースにした「Universal Control(ユニバーサルコントロール)」だ。これまでも、iPhoneで開いたニュース記事の続きをMacBookで読んだり、iPadからiMacにリンクをコピー&ペーストしたりすることは可能だった。しかし、Universal Controlはこれらの機能をさらに進化させたものになる。

Universal Controlでは、1つのマウスとキーボードを使って、複数のAppleデバイスを同時に操作することが可能になる。公開されたデモビデオを見ると、iPad、MacBook、iMacの間をシームレスに移動しながら作業できることがわかる。複数のデバイス間を経てファイルをドラッグ&ドロップすることもできるので、例えばFinal Cut Pro(ファイナルカットプロ)で映像を編集する際には、複数のデバイスをマルチスクリーン環境として利用できる。

Universal Controlで可能になることは、必ずしも目新しいわけではない。同様の機能は、これまでもサードパーティ製アプリで実現されていた。さらに2019年には、アップルからも、iPadをMacBookやiMacの2台目のモニターとして使用できる「Sidecar(サイドカー)」という機能が登場している。しかし、Universal ControlはSidecar(もしかしたら廃止になるかもしれない)をさらに改良し、iPad以外のアップル製デバイスも連携させることができるようになった。macOS 12 Montereyは革新的なアップデートではないかもしれないが、既存の機能を向上させる有益なアップグレードだ。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleWWDC 2021WWDCmacOSmacOS 12 MontereyMac

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アップルがMacにも「ショートカット」を搭載、Automatorからの移行を開始する

Apple(アップル)はWWDC 2021で、macOSの次期メジャーバージョンであるmacOS Monterey(macOSモントレー)を発表した。さまざまな機能の1つとしてAppleがmacOSに持ち込もうとしているのは、「Shortcuts(ショートカット)」だ。それはiOSやiPadOS上のショートカットと同じような外観と機能になる予定だ。

ソフトウェアエンジニアリング担当副社長のCraig Federighi(クレイグ・フェディリギ)氏は「Macにはコマンドライン、シェルスクリプト、Appleスクリプト、Automator(オートメーター)を使った自動化の長い歴史があります。そしてiOS上では、私たちはショートカットを使って、自動化をさらに簡単なものにしました。そして2021年、私たちはMacにショートカットを導入します」と語った。

新しいショートカットアプリの中では、人気のあるショートカットのギャラリーを見ることができる。ショートカットで具体的に何ができるのかは興味深いところだが、少なくともアプリの起動、GIFの作成、メッセージの送信、メールの作成、ウェブサイトの起動などは期待できる。

その他、Finder、メニューバー、Spotlight(スポットライト)の中でショートカットを起動することができる。また、Siri(シリ)を使って起動することも可能だ。

今回の発表で、AppleはAutomatorの終了に向けての準備も始めた。フェデリギ氏は「これは数年にわたる移行の始まりに過ぎません。Automatorは引き続きサポートされますが、Automatorのワークフローをすぐにショートカットに取り込むことも可能です」と述べている。

この言葉の行間を読むなら、AppleはAutomatorに新しい機能を追加するつもりはないようだ。ショートカットは、macOS、iOS、iPadOSにとっての自動化の未来なのだ。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleWWDC 2021WWDCMacmacOSmacOS 12 Montereyオートメーション

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(文:Romain Dillet、翻訳:sako)

アップルがmacOS 12 Montereyを発表、PCとタブレットのギャップを埋める

この1年で、最近の記憶の中で最も劇的なMacのアップデートが行われた。2020年のWWDCで、Apple(アップル)は待望されていたIntelチップから自社のファーストパーティ製シリコンへの移行を発表。年末までに、最初となる3台のM1 Macと、macOSの最大のアップデートの1つとなるBig Surを発表している。

WWDCのキックオフにおいてAppleは、macOS 12を発表した。その名も「Monterey」。同OSに搭載される「Universal Control(ユニバーサルコントロール)」は、デスクトップとタブレット間のギャップを埋める最も重要な新機能だ。Macの隣にiPadを置くと、同じトラックパッドとキーボードを使ってデバイス間でカーソルを移動させることができるようになる。本機能は、同時に3台までのデバイスで動作する。

また「AirPlay to Mac」では、大きなデスクトップ画面にコンテンツを直接キャストできるようになっている(テレビを持たない私のような変人にはうれしい)。ショートカットもmacOSで利用できるようになり、従来のAutomaterよりも簡単に自動化できる。ユーザーは人気モバイルアプリのデスクトップ版にAutomaterのワークフローを直接インポート可能だ。移行は数年がかりのものになると思われるが、Automaterがなくなってしまうのは(少々)寂しい。さらにSiri、Spotlight、メニューバー、そしてFinderにもショートカットが追加される。

もちろん、Safariにもいくつかのアップデートがある。その中でも最大のニュースは「Tab Groups(タブグループ)」の登場だ。その名のとおり、タブをグループ化し、他のユーザーと共有できる機能だ。これは非常に多くの使い方ができるので、多くのユーザーがワークフローを見直す必要がでるだろう。しかし、少なくともタブバー自体は、よりすっきりと合理的になる。

また、iOSとiPadOSで利用できるデスクトップ拡張機能も新たに追加された。デスクトップはAirPods ProのSpatial Audioにも対応するようになり、LaunchPadにはゲームフォルダが追加、コンテンツを1カ所に集められるようになり、ログイン画面にMemojiを表示できるようになる。

いくつかのすばらしい機能が追加されたが、さすがに新macOS「Monterey」は「Big Sur」ほどの大きなアップデートではなかった。大きなニュースの多くはボンネットの中で起こっているようだ。

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カテゴリー:ソフトウェア
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(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)