アップル、iPhoneで非接触型決済を可能にする「Tap to Pay」機能を発表

Apple(アップル)は、iPhoneを非接触型決済端末にする新機能「Tap to Pay」の導入計画を発表した。同社によると、2022年後半に米国の事業者はiPhoneとパートナーが対応したiOSアプリを使ってApple Payやクレジットカード、デビットカードといったその他の非接触型決済を受け付けられるようになる。

この機能は、iPhone XS以降のモデルで利用できる。iPhoneを使ったTap to Payは、決済プラットフォームやアプリの開発者が、顧客の決済オプションとして自社のiOSアプリに組み込むことができる。Stripeは、新しいShopifyアプリでTap to Payを顧客に提供する最初の決済プラットフォームとなる。Appleによると、別の決済プラットフォームやアプリは2022年後半に加わる予定だ。

Tap to Payの提供が始まれば、事業者は対応するiOSアプリを通じて非接触型決済を利用できるようになる。会計時に、顧客にiPhoneまたはApple Watchを事業者のiPhoneに近づけてもらうと、NFC技術を使用して支払いが安全に完了する。非接触型決済を受け入れるために追加のハードウェアは必要ない。Appleはまた、iPhoneでのTap to Payでは顧客の決済データは保護され、この機能を通じて行われる取引はすべて暗号化されるとしている。

同社は、Apple Payはすでに米国の小売店の90%以上で利用されており、この新機能を使って顧客はよりシームレスに精算できるようになるとしている。Tap to Payは2022年後半に米国内のApple Storeの店舗でも導入される。Appleは、決済プラットフォームやアプリ開発者と緊密に連携し、米国内のより多くの事業者にTap to Payを提供する。Tap to Payは、American Express、Discover、Mastercard、Visaなど多くの決済ネットワークによる非接触クレジット / デビットカードで利用できる。

Apple PayおよびApple Wallet担当副社長のJennifer Bailey(ジェニファー・ベイリー)氏は「デジタルウォレットやクレジットカードで支払いをする消費者が増えている中、iPhoneでのTap to Payは、安全かつプライベート、そして簡単に非接触型決済を受け入れ、iPhoneのパワー、セキュリティ、便利さを活かした新しい精算体験を企業に提供します」と声明で述べた。

Appleによると、Tap to Payは今後リリースされるiOSソフトウェアのベータ版で、参加する決済プラットフォームとそのアプリ開発者パートナーが利用できるようになる。

画像クレジット:Apple

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

近くiPhone単体を非接触決済端末として使える可能性、iOS 15.4で提供開始か

近い将来、小規模ビジネスはハードウェアを追加することなく、iPhoneを使って支払いを受け付けられるようになるかもしれない。Bloombergによると、Apple(アップル)は今後数カ月のうちにソフトウェアアップデートを通じてこの機能の提供を開始する可能性があり、おそらく2022年春にリリースされるiOS 15.4の最終バージョンで提供されることになるだろうとのこと。Appleはスマホを決済ポータルに変える技術を開発したことで知られるカナダのスタートアップ、Mobeewaveを2020年に買収しており、その頃からこのサービスに取り組んできたと言われている。

Mobeewaveの技術は、外部ハードウェアの使用を必要とするSquare(スクエア)のようなサービスとは異なり、アプリと携帯電話のNFCだけで動作する。ユーザーは請求したい金額を入力するだけ、顧客はクレジットカードを端末の背面にタッチするだけでよい。AppleはBloombergからのコメント要請を拒否したため、iPhoneに内蔵される機能が同じように動作するかどうかは不明だ。

また、Bloombergの情報筋は、この機能がApple Payの一部としてブランド化されるかどうかについては言及できなかった。ただし、この機能を開発しているチームは、AppleがMobeewaveを買収して以来、同テック大手の決済部門と協力してきたと報じられている。Appleが既存の決済ネットワークでサービスを開始するかどうかも、現時点ではわかっていない。

Mobeewaveは、買収される前にSamsung(サムスン)と提携し、後者の携帯電話をコンタクトレス決済端末にした。この機能をカナダで試験的に導入し、Samsung POSと名付けられた同社のPOSサービスをカナダで広く展開したこともある。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Mariella Moon(マリエラ・ムーン)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Bloomberg / Contributor / Getty Images

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(文:Mariella Moon、翻訳:Aya Nakazato)

アップルがApple Walletでホテルの鍵のサポートを開始、まずハイアットと提携

Apple(アップル)は6月に開催したWWDCで、自宅、オフィス、ホテルの鍵や、州の運転免許証をApple Walletでサポートする計画を予告した。そして12月8日、同社はHyatt(ハイアット)がこの新技術を活用する最初のホテルパートナーになることを発表した。ホテルチェーンのHyattは、宿泊客がApple Walletで部屋の鍵を使用できるようにするため、まず米国内の6つのホテルでサポートを開始し、将来的にはさらに多くのホテルで導入する予定だ。

6つのホテルはAndaz Maui at Wailea Resort、Hyatt Centric Key West Resort & Spa、Hyatt House Chicago/West Loop-Fulton Market、Hyatt House Dallas/Richardson、Hyatt Place Fremont/Silicon Valley、Hyatt Regency Long Beachとなる。

新システムは、モバイルアプリ「World of Hyatt」と連動する。アプリで予約をすると、ルームキーをウォレットに追加するオプションを提供する画面が表示される。この体験は、チケットやパスを予約した後、ボタンをタップしてそれらのアイテムをApple Walletに追加し、後でアクセスできるようにするオプションがあるのと似ている。また、他のパスと同様に、予約後すぐにホテルのルームキーを追加することができる。もちろん、チェックイン時にならないとドアが解錠されることはない。

Apple Walletにキーが追加されると、メイン画面に予約日、施設名、チェックイン予定日が表示されるようになる。また、右上の3つのドットメニューをタップして、予約番号や施設の詳細情報など、宿泊に関する情報を確認することができる。さらに、Apple Wallet内から直接Hyattのアプリを起動して、予約を管理することもできる。

ホテルのキーは、iPhoneだけでなく、ペアリングしたApple WatchのWalletアプリにも自動的に追加される。

このシステムでは、プラスチック製のホテルキーカードを持つ必要がないという利便性に加えて、ロビーの列に並んでチェックインする手間を省くことができる。部屋の準備が整ったことをアプリが通知し、宿泊客は携帯電話でチェックインすることが可能だ。そのプロセスが完了するとルームキーが有効になり、部屋番号が表示されるので、そのまま部屋に向かうことができるようになる。これにより、宿泊客はチェックインのために他の宿泊客と列に並んで待つ必要がなくなり、新型コロナウイルスへの露出を減らすことができる。

Appleによると、複数の部屋を持っている宿泊客は、滞在中すべての部屋を同じルームキーとウォレットに追加することができるので、どのバーチャルキーをタップするかを覚えておく必要はない。また、交通機関のパス保持者が使用するエクスプレスモードのように、ホテルのキーもデバイスのロックを解除しなくてもドアを開けることができるエクスプレスモードで機能する。また、このキーは、ジムやプールなどのホテルのアメニティへのアクセスを解除するためにも機能する。

Apple Walletに登録されたハイアットのルームキー:2021年10月27日、シカゴ(画像クレジット:Jean-Marc Giboux/AP Images for Hyatt)

宿泊客がモバイルアプリで滞在延長やレイトチェックアウトを決定すると、ホテルキーも更新される。ただし、ホテルキーを友人と共有することはできない。ホテルキーは、モバイルアプリにログインしているHyattのアカウント所有者にのみ有効だ。チェックアウト後、ホテルキーはApple Walletに記録保存され、削除はされない。

この新しいシステムでは、ホテル側は部屋の鍵のインフラをNFC技術に対応するように更新する必要がある。これにより、対応するPOS端末でApple Payを利用する際に現在行っているように、宿泊客はタップするだけでホテルのドアを開けることができるようになる。HyattはAssa Abloyと共同でソリューションを開発しているが、Appleはホテルが選択したベンダーとの協力に前向きだ。同社はこの技術の導入に取り組んでいる他のホテルチェーンについては明らかにしなかったが、Hyattは世界各地のホテルにアクセスを拡大する計画がある、と話す。

ホテルキーのサポートは、iOS 15を搭載したiPhoneとwatchOS 8を搭載したApple Watchを対象に12月8日から始まる。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi