京急アクセラレーションプログラム第3期の参加企業10社が決定、with/afterコロナの事業共創が始まる

京浜急行電鉄は6月2日、スタートアップとのオープンイノベーションにより新規事業の創出を目指す「KEIKYU ACCELERATOR PROGRAM」(京急アクセラレータープログラム)の第3期の参加企業10社を発表した。

同プログラムは、独立系ベンチャーキャピタルのサムライインキュベートと2018年から共同開催しているが、今年は新型コロナウイルスによる社会情勢の変化に伴ってプログラムの内容を一部変更したうえで実施する。具体的には、事業共創期間を半年程度延ばすほか、実証実験の期間も社会情勢に応じて柔軟に対応していくとのこと。各種ミーティングはフルリモート、例年9月ごろに開催するデモデイの日程や開催方式についても変更の可能性がある。

第3期の事業共創の募集テーマは以下のとおりで、2019年12月10日を募集を開始し、2020年2月3日に締め切りまでに92社の応募があった。なお、募集後に新型コロナウイルスの感染拡大で国内、国外とも社会情勢が大きく変わってしまったことを受け、withコロナ、afterコロナに関連する事業共創を優先していくという方針が加えられた。

  • 沿線地域にこれまでにない新しい体験を付加するもの
  • 既存事業領域をデジタル・テクノロジーでアップデートするもの

第3期プログラム参加企業は以下のとおりだ。

AIトラベル
法人向け出張予約・管理・分析可能なクラウド型サービスの開発提供

Elaly
人気家具ブランドの商品を月額500円から利用できる定額利用サービス

COUNTERWORKS
リテール向けスペースのオンラインマーケットプレイスの企画・運営

Carstay
キャンピングカーを通した「移動」「宿泊」などを検索・予約・決済を提供

SEQSENSE
自律移動型ロボット及びその関連製品の開発製造

シナスタジア
XRエンターテイメントの提供自動運転車におけるヒューマンマシンインタフェース開発

JX通信社
自然言語処理/機械学習等の技術で報道機関/一般消費者にニュース関連サービスを提供

scheme verge
SaaSを基盤とした旅程作成・予約アプリ、 事前決済・簡易認証プラットフォーム開発

Mira Robotics
警備・清掃が可能な双腕ロボットおよびシステムの開発

Liberaware
狭小空間の点検・警備・計測を行う産業用小型ドローンIBISの開発・提供

スキャンで人間を判別、周囲を把握して動く自律移動型ロボット開発のSEQSENSEが10億円調達

自律移動型ロボットを開発するスタートアップのSEQSENSE(シークセンス)は6月15日、三菱地所TIS、およびJAFCOが運営するファンドを引受先とする総額約10億円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。

SEQSENSEの創業は2016年10月。宇宙航空研究開発機構(JAXA)ではやぶさ、はやぶさ2のプロジェクトメンバーを務めた明治大学理工学部教授の黒田洋司氏らにより設立された。

今回の資金調達はSEQSENSEにとってシリーズAラウンドに当たる。同社は2017年4月、TISとジャフコから2億円の資金調達を実施している。また2017年度のNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)による「研究開発型ベンチャー支援事業/企業間連携スタートアップに対する事業化支援」にも採択されている。

SEQSENSEが開発する自律移動型ロボットは、レーザースキャナーを使った3次元マッピング技術でロボット周辺の環境をリアルタイムに把握し、スキャンの形状から人間も判別することができる。そのため、 あらかじめ地図情報を用意したり、GPSを使わなくてもスムーズに移動が可能。人が多く出入りするような商業施設やオフィスビルなどでの利用が想定されている。

SEQSENSEでは、2017年秋に警備ロボットのプロトタイプを開発済み。24時間の巡回警備が必要なオフィスビル、商業施設や空港などでの警備、管理、監視など、「高度なセキュリティレベルが求められるが人材の確保が難しい」という分野でニーズが高く、すでに警備会社やビルのオーナー、総合建設業者などから問い合わせが来ているという。

SEQSENSE代表取締役の中村壮一郎氏は「これまでは実証実験を進めてきた。その成果をもとに、調達資金で複数ロボットのクラウド連携への対応やAIによる人識別機能の精度向上など、プロダクトをビジネスとして成立させるための開発強化を行う。またフロントエンドやアプリケーション開発も進めていく」と資金調達の目的について説明。「今年度中にはセキュリティロボットシステムの商用化を目指す」としている。

また将来的には「ロボティクスで新マーケットを築き、高齢化や生産人口減などの課題に対応する」という企業理念に基づき、「新しい付加価値を提供し、生産性向上に寄与したい」と話す中村氏。「人間には人間しかできないことに集中できるよう、ロボットが人間に代わってできること、ロボットにしかできないことを提供していく」と述べる。

具体的には、人員不足のために直近で需要の高い、警備ロボット、警備システムの分野からサービス提供を始めて「ゆくゆくは物流や小売など、ほかの分野でも自律移動型ロボットの新しいマーケットを作っていきたい」と中村氏は話している。

レーザースキャナーで周辺把握、人間も判別 ―― 警備ロボットを開発するSEQSENSEが2億円調達

画像:SEQSENSE Webページより

自律型ロボットの開発を手がけるSEQSENSE(シークセンス)は4月21日、データセンターやクラウドなどサービス型のITソリューションを提供するTIS、およびジャフコを引受先とする第三者割当増資を実施し、総額2億円を調達したと発表した

明治大学理工学部の教授を務める黒田洋司氏などが設立したSEQSENSEは、警備用の自律型ロボット「SQ1」の開発などを手がけるスタートアップだ。SQ1にはレーザースキャナーを用いた3次元マッピング技術が利用されており、周辺の環境をリアルタイムに把握したり、スキャンの形状から人間を判別したりすることができる。

そのため、SQ1を走行させるためにGPSを利用したり、事前に地図情報をインプットする必要はない。このような特徴から、人で混みあう商業施設やオフィスビルなどの警備が主な用途として想定されている。

形状や用途が似たロボットとして思い浮かぶのが、2014年3月にNTTドコモベンチャーズなどから資金調達を実施した米Knightscopeの「K5」だ。このロボットは、周囲360度の動画を撮影するHDカメラ、4方向の音声を収集するマイク、超音波式の近接センサー、対象物の移動速度や距離を図るセンサーなどを利用して周辺の状況を把握している。

SQ1と同じく、K5もショッピングモールなど比較的広域なエリアの警備をユースケースとして想定しているため、このあたりがSEQSENSEの直接的な競合となりうるのだろう。

今回の資金調達についてSEQSENSEは、「(警備用の)人材の確保が難しい領域からサービスの提供を始め、その後は、自律移動型ロボットの活用が望まれる分野に合わせた機能開発を行い、サービス提供領域を広げていく予定」だとコメントしている。

SEQSENSEは2016年10月の創業。共同創業者兼CTOの黒田洋司氏は、JAXAの「はやぶさ」と「はやぶさ2」のプロジェクトメンバーでもある。同じく共同創業者でCEOの中村壮一郎氏は、東京三菱銀行、シティグループ証券などを経て黒田氏とともにSEQSENSEを創業した。

日経新聞が報じたところによれば、SEQSENSEは2017年2月、同じくTISから数千万円規模の資金調達を実施している。