【Max Q】SpaceXが初めて1日に2回Falcon 9を打ち上げ

TechCrunchは、Space 2021イベントを終えたばかりが、宇宙ビジネスに限っては、年末だからといってニュースのペースが落ちることはない。

SpaceXがロケット再利用の新記録を達成、初の1日に2回の打ち上げ

SpaceX(スペースエックス)は、同社のStarlink(スターリンク)衛星の新たな一群を、ヴァンデンバーグ空軍基地の発射施設から米国時間12月18日に打ち上げ、続いてその日の夜遅くにトルコの通信衛星をフロリダ州ケープカナベラルから打ち上げた。これはSpaceXが1日に2回の打ち上げを行った初めての事例だ。また、このStarlinkミッションでは打ち上げロケットのFalcon 9を11回にわたって発射・回収し、SpaceXの打ち上げシステム再利用記録を更新した。

それだけでも十分目覚ましいが、現在SpaceXは、同社の商業再補給サービス(CRS)ミッションの一環として国際宇宙ステーション(ISS)に補給品と実験材料を届けることになっている。予定では米国時間12月21日午前にケープカナベラルから飛び立つ。

画像クレジット:SpaceX

2021年を宇宙投資家の目で振り返る

上に書いたように、我々はTC Sessions:Space 2021イベントを終えたところだが、その中でもスタートアップコミュニティにとって特に興味深かったに違いない話題が、宇宙分野に関心のあるアーリーステージ投資家のパネルとTechCrunchが行ったディスカッションだろう。たとえばSpace Capital(スペース・キャピタル)のファウンダーであるChad Anderson(チャド・アンダーソン)氏は、長年スタートアップに早期投資する中で、宇宙産業が著しく進化してきたことについて語り、現在業界で起きている大きな転換に言及した。Assembly Ventures(アセンブリー・ベンチャーズ)のJessica Robinson(ジェシカ・ロビンソン)氏は、スペーステック(宇宙技術)が他のあらゆる分野に影響を与えその逆も起きていることについて話した。

ディスカッションはTC+サブスクライバー専用サイトでその他の会話とともに公開されている。

画像クレジット:Axiom Space

その他のニュース

Voyager Space(ボイジャー・スペース)はBlue Origin(ブルー・オリジン)のグローバル販売担当VPを新たな最高収益責任者(CRO)として雇った。Clay Mowry(クレイ・モーリー)氏はBlue Originチームのかなり有力なメンバーであり、その以前はArianespace(アリアンスペース)の会長兼社長を務めていた。

NASA(米国航空宇宙局)と各国の提携機関は、民間有人宇宙飛行計画、Axiom(アクシオム)Mission 1の国際宇宙ステーションへの飛行を承認し、2022年2月28日に実施されることが決まった。

ジョージア州カムデン郡のSpaceport Camden(スペースポート・カムデン)は、FAAから正式な打ち上げ許可を受けた。運用に入るまでにはまだいくつかハードルが残っているが、民間打ち上げ会社の新たな打ち上げ場所の選択肢としての役割が期待される。

Rocket Lab(ロケットラボ)は太陽電池、ソーラーパネルその他の宇宙拠点インフラの構成要素のメーカー、SolAero Holdings(ソロエアロ・ホールディングス)を買収する。TechCrunchは先にRocket LabのPeter Beck(ピーター・ベック)氏と、同社の最近の買収ラッシュについて話した(要サブスクリプション)。

The U.S. Space Force(米国宇宙軍)が2歳に!よちよち歩きの武官組織になった。

NASAはJames Web(ジェームズ・ウェッブ)宇宙望遠鏡を米国時間12月24日に打ち上げる予定で、目標打ち上げ時刻は東海岸標準時午前7時20分(日本時間12月24日午後9時20分)だ。フランス領ギアナ、クールーにある宇宙センターから発射され、Arianespaceのロケット、Ariane 5をESA(欧州宇宙機関)との提携で搭載する。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nob Takahashi / facebook

民間宇宙ステーション「Starlab」は地球低軌道経済の到来を予感させる

民間宇宙ステーションの時代が正式に到来する。Nanoracks(ナノラックス)、Voyager Space(ボイジャー・スペース)、Lockheed Martin(ロッキード・マーティン)の3社は先日、2027年に商用ステーションを起ち上げる計画を発表した。しかし、これは新しい宇宙経済を発展させるための次の論理的ステップに過ぎないと、各社は述べている。

関連記事:Nanoracksなど民間3社が2027年までの商業宇宙ステーション立ち上げを計画

「過去10年間は宇宙へのアクセスを構築する時代でしたが、次の10年は宇宙に行き先を構築する時代になります。それが、この業界における我々の重要な命題の1つです」と、VoyagerのDylan Taylor(ディラン・テイラー)CEOは述べている。

米国が初めて打ち上げた宇宙ステーション「Skylab(スカイラブ)」に敬意を表して「Starlab(スターラブ)」と名付けられたこの新しい宇宙ステーションは、膨張式の居住モジュール、ドッキングノード、ロボットアームを備えたものになる。3社は官公庁と民間企業の両方からの強い需要を見込んでいるものの、NanoracksのJeffrey Manber(ジェフリー・マンバー)CEOは「Starlabの中核は科学です」と強調した。

Starlabは最終的には観光客も受け入れることができるが、観光を第一に考えたプロジェクトではないと、マンバー氏は付け加えた。「宇宙観光旅行は話題になりますが、持続可能なビジネスモデルを構築するためには、それ以上のものが必要です」と、同氏はいう。

3社は、NASAの「Commercial Low Earth Orbit Destinations(商業的地球低軌道目的地開発)」プロジェクトへの入札として、Starlabを同宇宙局に提出した。このプロジェクトでは、宇宙ステーションを開発する民間企業に最大で4億ドル(約454億円)の契約が割り当てられる。

このようなプロジェクトには莫大な公共投資が必要となるものだが、この資金提供は、特に国際宇宙ステーションの離脱が間近に迫っていることを考慮すると、NASAが地球低軌道における存在感を維持することに関心があると世界に示す意味でも重要であると、テイラー氏は述べている。

マンバー氏も同様の意見を述べている。「私たちは宇宙ステーションの空白期間を作りたくありません」と語る同氏は「業界や社会の誰もが、米国が低軌道に宇宙ステーションを持たない期間があってはならないことを理解しています」と続けた。

しかしながら、全体的には民間の資金が鍵となる。そこでVoyager社の出番だ。2021年、Nanoracksの過半数の株式を取得した同社は、プロジェクトの資金調達と資本配分を監督することになる。

「現実的には、米国議会から十分な資金を得ることはできません」と、マンバー氏はいう。「そんな時代は終わりました。これは商業的なプロジェクトです」。

LEO(地球低軌道)経済の将来については、企業や公的機関が設計の標準化と競争力の維持をどのように両立させるかなど、未だ不明な点が多い。

テイラー氏は、いくつかの重要な技術を標準化するには、コンソーシアムを起ち上げる方法が有効であると提案している。NASAからの投資も居住システムの共通化に役立つだろうと、Lockheed Martinの民間宇宙部門VPであるLisa Callahan(リサ・キャラハン)氏は、TechCrunchによるインタビューの中で語っている。

「NASAは顧客として、宇宙輸送におけるこの並外れた革命を解き放ちました」と、マンバー氏は語る。「NASAがカーゴで成功したように、商用クルーで成功したように、宇宙に興味を持つ市場があれば、小規模な民間宇宙ステーションにも同じようなことが起こると予想できます」。

画像クレジット:Nanoracks

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Nanoracksなど民間3社が2027年までの商業宇宙ステーション立ち上げを計画

NASA(米航空宇宙局)は以前から、老朽化した国際宇宙ステーション(ISS)に代わる商業運用の後継ステーションを民間企業に奨励してきた。Axiom Space(アクスアム・スペース)はすでにその意向を表明しているが、Nanoracks(ナノラックス)、Voyager Space(ボイジャー・スペース)、Lockheed Martin(ロッキード・マーチン)で構成される新たなコンソーシアムは「史上初の自由飛行の商業宇宙ステーション」を建設し、2027年に運用を開始する予定だと発表した。

関連記事:民間商業宇宙ステーションの実現を目指すAxiom Spaceが約138億円を調達

この新しい宇宙ステーションは、米国で3番目に建設された宇宙ステーション「Skylab(スカイラブ)」にちなんで「Starlab(スターラブ)」と名づけられる予定だ。Starlabには4人の宇宙飛行士が滞在する。その規模は国際宇宙ステーションよりもはるかに小さく、人間が居住できる加圧空間は国際宇宙ステーションの3分の1程度だ。そのため、ISSや中国の宇宙ステーションのように分割して軌道に乗せるのではなく、1回の打ち上げで軌道に乗せられると期待されている。

Voyagerが株式の過半数を保有するNanoracksは、現在ISSで使用されている多くの部品を設計・製造しており、この3社のチームは宇宙での運用においては豊富な経験を持つ。Voyagerはこのプロジェクトに戦略的指導と資本投資を行い、Lockheed MartinはStarlabの主要メーカーであると同時に、さまざまなテクニカル部品をつなげるインテグレーターでもある。

宇宙ステーションの主な構成要素は、Lockheedが製作した膨張式の居住モジュールで、貨物や乗組員を運ぶ宇宙船のドッキングカ所や、ステーションの外で貨物やペイロードを操作するための宇宙ステーションにあるようなロボットアームを備えている。

クルーとして想定されるのは、官民の研究者、メーカー、科学者で、宇宙旅行者などの商業的な顧客も含まれるという。NASAが民間ステーションを導入する意図は、公的資金を最大限に活用しながら、NASAにとって継続的な宇宙空間の占有をより持続可能なものにするために、多くの顧客の中の1人になることだ。

画像クレジット:Nanoracks

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

Voyager Space Holdingsが商用宇宙機器大手Nanoracksの過半数の株式を取得、宇宙サービスのポートフォリオ構築を進める

Voyager Space Holdingsは、Nanoracks(ナノラックス)の親会社であるX.O. Marketsの過半数の株式を取得し、戦略的な宇宙サービスのポートフォリオを構築し続けている。Nanoracksは長年にわたり商業宇宙サービスを提供しており、最近では国際宇宙ステーションに設置されたBishop Airlockを提供した。同装置は国際宇宙ステーション(ISS)に設置された初の商業用常設エアロックで、民間の小型衛星や研究用の軌道プラットフォームへのアクセスを提供するという点で、大幅な能力向上が期待される。

Voyagerによる大型買収は2020年で3度目で、以前には打ち上げを支援するサービスとハードウェアを提供し、Relativity、Firefly Aerospace、Virgin Orbit(ヴァージン・オービット)などと提携しているLaunch Companyの株式の過半数を取得している。Voyagerは2020年に推進、燃料、ラピッドラピッドプロトタイピングなどに取り組む研究開発会社であるPioneer Astronautics(未訳記事)を、そして2019年にAltius Space Machinesをそれぞれ買収している。Altiusは、軌道上の衛星サービス技術に取り組んでいるスタートアップだ。

Nanoracksは、軌道上の研究やプラットフォームからの小型衛星の打ち上げ、他の軌道上および深宇宙ミッションなど1000以上のISSプロジェクトに携わってきたことから、今回の買収はおそらく同社にとって最も注目度の高いものとなるだろう。NanoracksはISSの外部に商業宇宙試験プラットフォームを作り、2021年のSpaceX(スペースX)ミッションでは、ロケットの使用済み上段ステージを軌道上の商用小型宇宙ステーションに変換する技術を実証する予定だ。

Voyager Space Holdingsは戦略的に新しい宇宙関連企業の買収を続けており、個別の企業を合わせたよりもはるかに多くの 「フルサービス」 ソリューションを顧客に提供できるポートフォリオを構築している。これらの契約の商業的な詳細は共有されていないが、専門的な方法で大規模な商業宇宙事業に取り組んでいる小規模な企業にとって、解決策への1つの道を示すことが多くなっている。

カテゴリー:宇宙
タグ:Voyager Space HoldingsNanoracks

画像クレジット:Nanoracks

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

Voyager Space Holdingsが打ち上げプロセスの合理化に特化したThe Launch Company買収

Voyager Space Holdingsは、包括的かつ多方面な宇宙技術を提供するために最近買収熱が高まっている企業の1つだが、同社はアンカレッジを拠点とするスタートアップであるThe Launch Companyを買収する意向を明らかにした。The Launch Companyは「打ち上げプロセスの合理化」に特化したスタートアップで、複数の顧客をホストし異なるプロバイダーからの打ち上げの間にすばやい対応ができるようなサイトを構築することを最終目的としている。

すでにThe Launch CompanyはFirefly、Relativity、Virgin Orbit(バージン・オービット)など、新しい宇宙分野の多くの企業と協力してきた。また、モバイルかつ即応性の高いマルチビークルの打ち上げ機能の開発目指す米国防高等研究計画局(DARPA)の打ち上げチャレンジにも参加している。柔軟で即応性のある打ち上げサービスに焦点を当てているThe Launch Companyは、新興の民間宇宙産業だけでなく、米国防総省や米空軍のような潤沢な資金を持つ安定した顧客からの高い需要もある。

一方でVoyagerは宇宙産業全体の顧客に、ミッションの設計と打ち上げまでのプロセスを通じて、より垂直統合的なサービスを提供できるな資産の構築に注力してきた。両社は2020年に入って、NASAと協力しArtemisプログラムの一部を開発しているPioneer Technologiesを買収(未訳記事)し、2019年には衛星インターフェース、サービス、設計を手がけるAltius Space Machinesを買収している。

カテゴリー:宇宙
タグ:Voyager Space HoldingsThe Launch Company買収

画像クレジット:John Kraus / Astra

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter