ライドシェアLyftがレンタカー参入、Uberは撤退済み

ライドシェアの登場により、金をかけて車を所有する必要性は減ってきた。だが、遠くまで行く際などにはライドシェア以外の選択肢が必要なこともあるだろう。米ライドシェア大手のLyftは、レンタカーでそのようなニーズを満たすことを目指す。Lyftは12月12日、サンフランシスコ、オークランドとロサンゼルスでレンタカーサービスの「Lyft Rentals」を、まずは一部ユーザーを対象に提供開始した。

Lyft Rentalsでは、ユーザーはLyftのアプリから予約などの手続きができ、同社いわく、並ぶことなく車両をピックアップすることが可能だ。それ以外の強みは、Lyftいわく、想定外の追加料金が発生しない点。走行可能な距離は無制限で、期間は最長で2週間。ガソリンを入れずに返却しても、地域の市場価格に基づいたガソリン料金が請求されるだけで済む。

車をピックアップする場所への移動、そして返却後の移動に関しては、各移動に対しLyftが最大20ドル分のライドシェア料金を負担するため、同社は「ドア・ツー・ドア」のサービスであることを売りにしている。車をピックアップする際にはLyftのコンシェルジュから鍵を受け取る必要がある。ここに関しては、スマホで車両を探し鍵を開ける個人間カーシェアリングのGetaroundが持つようなコネクテッドカー技術による利便性は今のところ見られない。車の返却時には、鍵を専用のボックスに投函する。

車種は、サンフランシスコとオークランドではVolkswagen PassatとVolkswagen Atlas、ロサンゼルスではMazda3とMazda CX-5が利用可能となっており、今後はハイブリッド車も追加される予定だ。ペットの乗車も可となっている。Lyftは、Lyft Rentalsで提供する車両をライドシェア目的でドライバーが利用することは今のところは不可としている。

Quartzいわく、Uberは前述のGetaroundと共にレンタカー事業の「Uber Rent」を展開していたものの、提供を開始した2018年内に、わずか6ヵ月ほどでサービスを終了している。ローンチ時にGetaroundの創業者でCEOのSam Zaid氏が、ライドシェアによる短距離移動、そしてカーシェアリングによる長距離移動のコンビネーションにより、ほぼ全ての人たちの移動のニーズを満たすことができる、と綴っていたのにも関わらずだ。同氏は「車の所有を所有しないことを洗濯した人たちにとって完璧なコンビネーションになる」ともコメントしていた。

Quartz記者のAlison Griswold氏によると、Uberの担当者、Kaitlin Durkosh氏は「Uberアプリを通じてレンタカーを提供する上での最適な手段を模索したい」とメールでコメントするのみで、詳細を説明しなかった。Griswold氏は、Uber Rentがあまり使われていなかったため、電動キックボードや電動自転車のようなマイクロモビリティ領域に注力した可能性、そしてUberの出資先である電動キックボードのLimeがレンタカーを開始する予定であったことを指摘している。なお、TechCrunchによると、2018年11月にシアトルで開始したLimeのレンタカー事業「LimePod」は今年中に終了する予定だ。

米カーシェアのGetaround、アメリカ・欧州以外の地域での展開も既に視野に

Getaroundの創業者でCEOのSam Zaid氏

アメリカでカーシェアリング事業を展開するGetaroundは4月、パリに本社を置くDrivyを3億ドル(約325億円)で買収したと発表。Getaroundは2018年8月、ソフトバンク主導のシリーズDラウンドで3億ドルを調達したと発表していた。Getaroundはトヨタの未来創生ファンドからも出資を受けている。

Drivyの買収により、Getaroundは欧州にも本格進出した。500万人ものユーザーを抱え、アメリカとヨーロッパの300を超える都市でサービス展開されるグローバルな企業へと成長を遂げたGetaroundだが、同社の創業者でCEOのSam Zaid氏いわく、Drivyの買収は「アメリカとヨーロッパだけでなく、グローバルを狙える企業になるためのステップ」。

「正式なアナウンスはできない」が、人口の多さなどを考えると、次に展開するエリアがアジアである可能性は「高い」、とZaid氏は話し、日本に関しては、「東京は我々にとって興味深い市場だ」と加えた。Zaid氏は自ら日本に訪れたこともあり、その際には価格設定や車両の配置エリアに疑問を感じたのだという。

Getaroundはp2pのカーシェアリングサービスを展開している。同社は米TechCrunchが開催したDisrupt 2011のピッチバトルの優勝社だ。GetaroundではGetaround Connectと呼ばれる「コネクテッド・カー」テクノロジーにより、スマホで利用可能な車両を探し、鍵を開ける。車両のオーナーから鍵を受け取るなど無駄なアクションは必要ない。Drivyのサービス利用方法も同様だ。

Zaid氏いわく、Getaround最大の特徴は前述のテクノロジーによる「最初から最後まで即時性のある」ユーザー体験。加えて、同氏いわく、「大都市において、他社よりも利用可能な車の数が多い」そうだ。

競合のTUROは56ヵ国の5500以上の都市で利用することが可能できるなど対応エリアの広さは圧倒的。だが、同社ホームページによると、スマホで車両を予約し鍵を開けるTURO Goが利用できるのはロサンゼルスとサンフランシスコのみ。

Getaroundは「ライドシェア、電動キックボードからシェア自転車まで、消費者は『車の所有』から逃れるため、変わりゆくライフスタイルに適した、よりフレキシブルで低価格な選択肢を探している」と説明。

同社によると、現時点で、カーシェアリング市場はレンタカーと比較すると小規模。だが、2025年までには110億ドル規模に成長するポテンシャルがある。また、ヨーロッパはカーシェアリングの世界的な市場の50パーセントに値し、ユーザー数は2020までに1500万人以上、2025までには2300万人ほどの規模に増える見込みだという。

Lime、シアトルでカーシェアリング展開へ

明るい色のドックレス自転車と電動キックスクーターで知られ、資金もたっぷり調達しているLimeは、ユーザーに新たな交通手段を提供する。車だ。

今週から、シアトルのLimeユーザーはLimeブランドの2018 Fiat 500“LimePod”をLimeのモバイルアプリで予約できるようになる。50台でサービスを開始し、今月末にはさらにその台数を増やす見込みだ。

「Limeのカーシェアリングに使うLimePodは地域社会にとって便利で、そして手頃料金で利用でき、耐候性あるモビリティソリューション」とLimeの広報はTechCrunchにコメントしている。「スクーターや電動アシスト自転車とまったく同じように、車探しや解錠、支払いが簡単に済ませられる」。

LimePodの利用は、車を解錠するのに1ドル、使用1分ごとに40セントかかる。Limeはカーシェアリングを来年カリフォルニアでも展開する計画だ。参考までに、電動キックスクーターと電動アシスト自転車の使用料金は解錠するのに1ドル、使用1分ごとに15セントかかり、通常の自転車では解錠1ドル、使用1分ごとに5セントとなっている。

カリフォルニア大学バークレー校卒業生のToby SunとBrad Baoによって設立されたこのスタートアップはこれまでに、GV、Andreessen Horowitz、IVP、Section 32、そしてGGV Capitalなどから資金4億6700万ドルを調達している。報道によると、Limeは現在も資金調達中で、企業価値30億ドル、もしくは最新の企業価値の3倍近くを目標にしている。

Limeは急速に事業を拡大していて、最近ではオーストラリアに電動キックスクーターと電動アシスト自転車を上陸させた。また毎週のように幹部を採用している。先月はAlphabetのベンチャー部門GVのゼネラルパートナーで取締役会の現メンバーでもあるJoe Krausを初のCOOに選出した。その前は、Uberの最高業務責任者だったDavid Richterを、初の最高業務責任者ならびに臨時の最高財務責任者としてひっぱってきた。

7月にLimeはLimePodを主導してもらおうとPeter DempsterをReachNowから引き抜いていた。


イメージクレジット: Lime

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(翻訳:Mizoguchi)

VW、電気自動車のカーシェアリングを来年スタート――2020年には北米、アジアにも拡大

オンデマンドによるカーレタルはダイムラー・ベンツやBMWが何年も前から提供しているが、、フォルクスワーゲン・グループはWEというカーシェアリング・サービスを準備中だ。このサービスで用いられる自動車はすべて電動だ。

VWグループの水曜日の発表によれば、全て電気自動車のカーシェアリングは来年まずスドイツでスタートする。その後2020年初めからヨーロッパの大都市、北アメリカ、アジアに拡大されていくという。

フォルクスワーゲンのセールス担当取締役、Jürgen Stackmannは声明で「カーシェアリングはまだまだ多くの可能性を秘めているとわれわれは確信している。それがわれわれがこのマーケットに参入する理由だ。VWは 数分の近距離からバケーションのための旅行まですべてのニーズに対応する単一のモデルを用意する」と述べた。

VWのWEビジネスは単なる自動車の共有以上のものを目指している。WEに使われるオンデマンド車両は当面は自動車だが、最終的にはキックスケーターに近い軽便な電気スクーターなどの交通手段を含むものとなる。

フォルクスワーゲンはこの3月、2種類の電動スクーターのコンセプトモデルを発表した。 Streetmate(左)、Cityskaterとwhich(右)都市内で「最後の1マイル」を移動するために理想的だという。VWによれば、WEプラットフォームは自動車だけでなく、将来はこうした「マイクロ交通手段」のレンタルやパーキングサービスを提供するものとなる。

2018年3月にフォルクスワーゲンが発表したマイクロ・モビリティー・コンセプト。写真左がStreetmate、右がCityskater。

またWEプラットフォームはVWのモビリティー事業、MOIAとの緊密に統合される。MOIAはすでに全電動の乗り合いサービスに用いられるミニバンタイプの車両を発表している。この電気自動車は6人までの乗客を運ぶことができ、さる12月にchCrunch Disruptベルリンでお披露目された。

 

WEプラットフォーム上でオンデマンドで移動手段を提供するサービスは2018年に入って設立されたVolkswagen AGの子会社UMI(Urban Mobility International)が担当する。

画像:Volkswagen AG

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

自動運転車と共有モビリティが保険に与えるインパクト

self-driving-car

【編集部注】著者のSeth Birnbaum氏は、米国最大のオンライン自動車保険市場EverQuoteのCEO兼共同創業者である。

「次の5から10年の間には、わたしたちが過去50年の間に見てきたものよりも大きな変化に出会うことになるでしょう」GMのCEOであるMary Barraはこのように言っていた 。この発言から1年が経ったが、その内容は正しいままだ。車の所有形態が変化しつつあり、自動運転車は次の10年で実用化される。保険業界に影響があるのはどれだろうか:自動運転車(self-driving cars)なのか、共有モビリティ(shared mobility:移動手段の共有)なのか?

自動運転車

Googleの自動運転車のうちの1台が、最近これまでで最も損傷の大きな自動運転者衝突事故の1つに巻き込まれた。これは自動運転車のせいではなく、側方から赤信号で突っ込んできた別の人間の運転する車が、自動運転車の側面に衝突し、エアバッグが動作したというものだ。しかし、このシナリオは車自身がどのように避ければよいかを知らないものだった。

ドライバが運転を引き継ぎブレーキを踏んだが、衝突を回避するには遅すぎた。

自動運転車は、一旦広く受け入れられてしまえば、人間が運転するする車よりも遥かに安全になると思われるが、まだ人間が路上で運転している状況の中で本当により安全でいられるのだろうか?どのように複雑でとらえどころのない「人間要素」を考慮すれば良いのだろうか?

これは私たちに疑問をもたらす:この状況の中に保険が持ち込まれたらどうなるのか?自動運転車が通過する前の6秒の間前方の信号は緑だった、にもかかわらず側面からぶつけられてしまった。

自動運転車産業は今後20年間で飛躍的に成長すると予測されており、保険会社も一緒に泳ぐことを学ぶ必要がある。さもなければ沈んでしまう。

自動車保険は、長期的にだけでなく、近い将来この差し迫った技術に適応しなければならない。。自動運転車は事故を9割減らすことを期待されている一方、米国人の81パーセントは自分で運転するよりも、自動運転車の方が安全だろうと感じている。もしそのように感じているのなら、ドライバー達はその技術に喜んでより多くのお金を支払うだろうか?Volvoは最近、彼らの自動運転技術は、既存の車に1万ドルほどの上乗せが必要になると発表している。

消費者のためらいやその他の法的障壁によって、自動運転車が完全に採用されるまでには、何十年もかかるだろう。その結果、保険会社が計画を練る必要のある、より切迫した移行期間が出現するだろう。その移行期間の間、自動運転車と人間の運転する車が入り混じって路上に存在しているのだ。

自動運転車は、1台の車を複数のドライバーが利用する状況よりも、大きな変化を保険会社に迫るだろう。

自動運転車が一般に普及していくにつれ、大衆がテクノロジーに適応していく過程で「人間要素」が関係する事故が出現するだろう。保険会社は短期的には、こうしたタイプの衝突をカバーする必要がある。おそらくGoogleの自動運転車の事故のようなものを。将来的には、保障しなければならない新しいリスクも出現するだろう。センサーの損傷、衛星の故障、その他の新しいテクノロジーなどだ。

おそらく、保険は無過失保険の形式になるだろう、そこではどちらの側も過失を問われず、それぞれの車のオーナーの保険がそれぞれの車両をカバーすることになる。あるいは、保険は走行距離や使用形態に基づくプレミアムコストの乗った、光熱費のような基本コストになるかもしれない。自動運転車のハッキングあるいは、サイバーセキュリティ上のリスクも考えられる。保険会社はサイバーセキュリティ問題をカバーするのか、あるいは製造者がその責任を負うのか?

 これらの疑問に対する答は、今全て決めることはできないが、保険会社はこのパラダイムシフトに早いうちに対応する必要に迫られることになるだろう。火災、動物、洪水、盗難、地震、破壊行為のための包括的なカバレッジは依然として必要で、そうした保険の種類は、費用の調整を除いて、大きく変更する必要はないだろう。

交通インフラストラクチャは、自動運転車が容易に利用可能になるにつれ変化することが期待される、そしてこれは保険が運用されるやり方にも影響を与えるだろう。現在は、すべての道路がきれいで目に見える道路ラインと共に、平らに舗装されているわけではない。雪やその他の気象条件ではどうだろうか?自動運転車が、完全にラインが引かれ、地図に掲載された道だけではなく、何処でも行けるようになるまでには、あとどれ位かかるのだろう?自動運転車がSAE Level 5に相当する完全自動に達するまでには、まだ長い時間がかかるだろう。しかし、一旦そのレベルに達したならば(そしてもし安全性に関する主張が正しいとするなら)、保険のコストはおそらくドライバと保険会社の両者に対して安くなるだろう。

共有モビリティ

車は95パーセントの時間を駐車状態で過ごしている。そのため、および利便性の理由で、相乗りサービスが近年爆発的に増えている、その結果とても利益率が高く革新的な産業が生まれている。Uberは現在ほぼ630億ドルと評価され、Lyftも最近記録的な成長を見せている。車の共有モビリティはこの先、相乗りサービス(1台の車に乗り合いで複数の人が乗る)を通して成長することが期待されているが、同時にカーシェアリング(1台の車を時間差で複数の運転手が利用する)を通しての成長も期待されている。

複数のドライバが同じ車両へのアクセス行うカーシェアリングは、おそらく今後数年の間に人気が高まるだろう。MavenZipcarのような、ドライバーと空き車両をマッチングするサービスは、成長を続けると思われる。何故なら競争と経済規模が成長していくからだ。顧客のセグメントに焦点をあてた共有モビリティがより多くの場所で提供されるにつれて、より多くの移動ニーズが満たされるようになる。時間が経つにつれて、各家庭での車両所有の必要性は減っていくだろう;この結果、これまで複数の車を持っていた家庭も、1台だけの車で済ませるようになるだろう。最終的に、人びとは全く車を所有しない決定をするようになるかもしれない。

共有モビリティはいつかは自動運転車とオーバーラップする点が出てくると思われるが、一方車の所有権が変化することにより、保険産業に異なる影響を与えるようになるだろう。

共有モビリティは、保険業界にもっと直接的な影響を持つことになる。車は頻繁に使用すると、より早く磨耗し、複数のドライバーが使うことにより、より多くの事故に遭うかもしれない。保険会社は、同一世帯や家族に属しておらず、またいつでも同じ車を運転するとは限らない複数のドライバをカバーするように適応する必要がある。

その結果、保険がカバーする範囲は、使い方に基づく保険(どのような運転をするかによって支払いを決める)を伴わせた運転習慣により焦点を当てたものになるか、運転距離に連動したものに基づくものになるだろう。MetroMileのような企業は既にこのモデルを利用していて、カーシェアリングの成長と共に人気も高まろうとしている。あなたの車が駐車されているいる間にも保険料を払う代わりに、運転した距離に応じて保険料を払うのだ。

遠隔通信デバイスがより正確かつリアルタイムに、誰が車両を運転していて、どれほど安全なドライバーなのかを検知できるようになるにつれ、共有モビリティの世界でインシュアランステックが大きな役割を果すようになるだろう。

自動運転車あるいは共有モビリティ?

共有モビリティが、保険業界にもっと直接的な影響を持つことになる一方で、自動運転車は確実に保険業界全体により大きなインパクトを与える。自動運転車は、1台の車を複数のドライバーが利用する状況よりも、大きな変化を保険会社に迫るだろう。

とはいうものの、この2つはある時点でオーバーラップすることになる。自動運転機能は相乗りサービスの中に組み入れ続けられ、やがて最終的にはカーシェアリング業界でも実現されるだろう。この時点で、2つのセクタは衝突し、保険は新しく登場するリスクに適合を続けることになる。自動運転車と共有モビリティは保険産業に破壊と革新を迫るだろう。あとは時間の問題なのだ。

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(翻訳:Sako)

シャトルバスのシェアリング・プラットフォーム「GoOpti」が約4900万ドルを調達

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GoOptiが提供するサービスは「シャトルバス版のUber(またはUberPool)」とでも呼べるだろうか。このサービスでは、ヨーロッパの郊外に住む人とシャトルバスをつなぎ、空港に近い都市部への交通手段を提供している。その際、規模の経済を利用してユーザーが必要なときにシャトルバスを用意できるようにしている。

「私たちのプラットフォームを利用すれば、需要サイドと供給サイドが抱える問題をそれぞれ解決することができます」と語るのは、GoOptiの共同創業者兼CEOのMarko Gučekだ。「需要サイドが抱える問題とは、郊外に住む人々は空港にアクセスすることが難しく、たとえローカルの空港があったとしても、直行便の数が少ないせいで航空券の値段が高くなりがちだということです」。

この問題への解決策とはもちろん、大きな空港のある都市まで移動することだろう。だが、そこまで行くのにも1時間から3時間程の時間がかかってしまう。大半の人は車で移動しようとするだろうが、それでは「高いガソリン代や高速道路の通行料、空港での駐車料金を払わなければならず、それに長いフライトの後の運転は危険」だという。空港まで友達に送ってもらうこともできるが、そうすると合計2回往復することになるので、2倍のコストがかかってしまう。

その代わりに、GoOptiでは空港に向かうユーザーをまとめ、その時に利用可能なシャトルバスを利用するように促している。価格は利用時によってバラバラだ。同システムには需要を予測するアルゴリズムが組み込まれている。こうすることで、GoOptiはユーザーに安価で環境に優しい交通手段を提供しているのだ。また、このビジネスは環境が悪化するシャトルバスの運営会社側にもメリットがある。

「出張者やグループ旅行者向けに、ミニバスやバンで空港まで送迎するサービスがあります。しかし、業界の変化によって、そのようなビジネスが減ってしまったり、逆に競争が激しくなっているといった問題があります」とGučekは説明する。

それに加えて、多くのシャトルバス運営会社ではマネージャが同時にドライバーでもあるという問題がある。それでは長時間の労働は避けられないし、24時間体制で顧客の対応をするのは不可能だ。しかも、収入が得られる保障はない。

「彼らが私たちの革新的なビジネスモデルに参加することで、私たちの顧客にリーチすることができるだけでなく、快適なマネジメントツールや統合されたサポートセンターを活用することもできます。熱心なビジネスオーナーであれば収入も保障されます。簡単に言えば、両サイドの人々をつなぎ合わせることで彼らが持つストレスを解消し、両者を満足させることができるのです」。

このミッションを達成するため、同社は新しく4400万ユーロ(約4900万ドル)の資金調達を完了したと発表した。そのうちの1500万ユーロはEUからの助成金であり、残りの金額はシリーズAでEBRD、Point Nine、RTAから調達した資金だ。

現在、同社のサービスはスロベニア、クロアチア、イタリア、ドイツ、オーストリア、ハンガリー、スロバキアで利用可能だ。同社は今回調達した資金によって利用可能地域の拡大を目指すと話している。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

米国運輸省、スマートシティ基金に1億6500万ドルを投入

Offices in four buildings sharing ideas/information via wireless technology

本日ピッツバーグで開催されたホワイトハウスフロンティア会議で、米国運輸省(DOT)は、ホワイトハウスのスマートシティ構想の一環として、全米でスマートシティの技術を展開するために役立つ新しいファンドを発表した。1億6500万ドル(約171億円)の基金は(2つの助成金を通して得られる6500万ドルの公的基金と、先進輸送技術を対象にした1億ドルの基金)、スマートシティ構想を推進するために使われる。対象となる都市にはピッツバーグ、サンフランシスコ、ヒューストン、ロスアンゼルス、バッファロー、そしてメアリーズビルが含まれている。

基金は、交通渋滞を緩和し、またドライバーと歩行者の安全性を向上させるソリューションへ使用するようにデザインされている。例えば、ピッツバーグは、プログラムを通して1100万ドルを得て、スマート交通信号機の設置を行う、そしてデンバーは600万ドルを得て、通勤時のトラフィックを緩和するためにコネクテッドカーの利用に向けて利用する。助成金のうちの約800万ドルは、カーシェアリング、デマンドベースのダイナミックバス、自転車シェアリングといったのオンデマンドモビリティを、既存の公的交通ネットワークの中に構築するといった特定の目的に充てられている。

DOTは、スマートシティの目標を追求する多くのパートナーと協力している、その中には、Alphabetの子会社であるSidewalk Labsも含まれている。上の基金はすべて、既存の公的インフラストラクチャの補完プログラムの実現に焦点を当てているように見える、しかしながら、一方Sidewalk Labs自身は、現在スマートシティチャレンジ構想に参加した沢山の都市に対して提案した、より野心的で、はるかに遠くを見据えた多くの市政サービスに関わる独自のプログラムを探っている最中でもある。

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(翻訳:Sako)

CarTechのこれから—テック企業と自動車メーカー、それぞれの思惑

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編集部注:執筆者の許直人氏は、自動車の個人間売買やサブスクリプションサービスなどの事業を展開するIDOM(旧:ガリバーインターナショナル)の新規事業開発室に所属。次世代ビジネスに向けた調査を行うほか、人々の“動き”を作るサービスの立ち上げを目指す「動け日本人LAB(うごラボ)」を主催。定期的にイベントを開催している。本稿では国内外での自動車×ITの領域である「CarTech」の動向について語ってもらった。

最後のIT革命といわれる自動車産業

Google Car、Tesla、Uber、そして人工知能のToyota Research Institute——この1年、テック系メディアで自動車関連のニュースを聞かない日はないと言っても過言ではないだろう。

この我々の生活を大きく変えてきた情報通信革命の、最後にして最大のインパクトを持つともいわれているのが自動車産業だ。自動運転に代表される移動手段の革命は私たちのライフスタイルを変え、時間の使い方を変え、都市のあり方やまちづくりまでを変えていくはずだ。

ただ、自動車業界はその高い参入障壁や情報の秘匿性ゆえに、どこか他人事に感じてしまうかもしれない。自動車メーカーが研究所で開発したものが、自動車屋に並ぶ、一般の生活者はそれを待つだけなのだ、と。

ある意味ではそれは間違っていないが、テック系のビジネスに携わるものならこの変革に伴うビジネスチャンスについて手をこまねいている場合ではない。世界各国の自動車産業とテクノロジーの裏側で何が起こっており、我が国ではどんなビジネスチャンスがあるのか。この数カ月で起きたCarTech関連のニュースを振り返りながら、その背景や業界の思惑に迫ってみたい。

Google Carの今とこれから

読者のみなさんが自動運転と聞いてまっさきに思い浮かぶのはGoogle Carではないだろうか。

Washington Postの記事によれば、カリフォルニアでのGoogleの公道実証実験における走行距離はすでに40万マイルを超え、他社を圧倒している。さらに、それに加え 毎日480万kmを仮想空間でドライブし、アルゴリズムを強化しているという。

豊富な資金と技術力。上記のデータだけを見ても、自動運転に関してはGoogleが圧倒的に強いと思ってしまうが、一方で最近になって不協和音も聞かれている。2015年にはGoogle で自動運転に携わる主要エンジニアと Google Map のトップらがスピンアウト、自動運転トラックの新会社「Otto」を立ち上げた例もあるし、8月には、Googleの自動運転車プロジェクトで長年CTOを務めたクリス・アームソンが退任したニュースが注目を集めた。

ではGoogleの自動運転はうまくいっていないのか? CarTech業界の事情に詳しいモータージャーナリストの桃田健史氏に聞いた話では、決してそういうことではないのだという。同氏は、これらの動きについて、Googleの自動運転が技術検証からサービスのフェーズに移ったシグナルであると見ている。

Googleはかねてより莫大な資金を自動運転に投じてきたが、2016年に入ってから現場のチームにはそれをどうやって回収するかのプラン立案とその遂行を求めるようになったという。エンジニアの中には拙速な商業化を嫌う向きもあったようだが、ホールディングス目線でみれば事業フェーズにフィットしないCTOは必要ないということなのだろう。

各国政府の思惑

Googleのこのような動きを後押しするのが、世界で最も自動運転に積極的と言われる米政府だ。今年のはじめには米国政府が今後10年間で自動運転技術に40億ドルを投資するという報道があったことからも、その本気度が伺える。Googleはロビー活動にも非常に熱心であり、政府とのつながりも強い。彼らが自動運転のグローバルなデファクトスタンダードになることは、国益にかなう。

一方の日本は、欧州と連合していく流れのようだ。国連の場で制度作りを進めながら、そこに米国を巻き込もうと画策している。自動車関連のイベントに参加すると痛烈に感じるが、ドイツを中心とした欧州の Google、 Apple への対抗意識は強烈であり、それによって各国が一枚岩になっている印象を受ける。

ただし、元々独自路線を貫いてきたアメリカはこの数カ月さらに加速しているようで、デファクトスタンダードはどちらに転がるか現時点では全くわからない。米国では先日Teslaの事故があったが、これによって自動運転化の流れがとどまるどころか、「現実の問題」として認識され、規制やレギュレーション化が加速したと言われている。

だが、米国以上に注目したいのは中国だ。国が方針を決めれば、特定企業の優越や排除、それ以上のことまでやるといった噂まで聞くが、実際のところ彼らは世界最大のマーケットを抱えているわけだ。数年以内には恐らく電気自動車の分野でもトップの規模になるだろう。

自動運転の分野でも、BAT (バイドゥ:Baidu、アリババ:Alibaba、テンセント: Tencentの頭文字) をはじめとした企業が非常に積極的に動いている。2019年までに自律走行車を実用化、2021年までには大量生産を行うとしているバイドゥは、先日もGPU最大手のNVIDIAとの提携を発表し、ディープラーニングを活用した自動運転ソフトウェア開発を加速させている。

ライドシェアは巨人同士の戦いに

ライドシェアの領域では、8月に中国国内で最大手のDidi Chuxingが、Uber の中国事業である Uber China を買収し話題になった。Didiにはソフトバンクの他に、Alibaba、Tencent が出資しており、一方のUber にはBaidoが出資している。買収前、グローバルで見るとUber 対 Didi、Grab(東南アジア)、Lyft(米国)、Ola(インド) 連合という構図があったのだが、ここへ来て一気に大同団結といった様相を呈してきた。

この背景にあると言われているのが、Googleのライドシェア参入だ。Google と Uber は2013年から資本提携による協業ビジネスを進めてきたが、8月にAlphabet 幹部のデイビッド・デュラモンド氏が Uber 社外取締役を辞任している。Googleは「Google マップ」という地図サービスのデファクトスタンダードたるサービスも持っている。同社はハードウェア・ソフトウェア・サービス全ての面からが自動運転ビジネスを現実のものとするため、着実な布石を打ってきていると言えるのではないか。

自動車メーカー、「危機意識は浸透しているが…」

一方、日本国内の動きはどうだろうか。桃田氏は次のように語る。

「危機感は感じていると思います。現に、私が本を出したあと(編集注:桃田氏は2014年に「アップル、グーグルが自動車産業を乗っ取る日」という書籍を出版している)全ての自動車メーカーから呼びだされました。今後どうなるのか意見を聞かせて欲しい、と。あの頃はまだ Apple CarPlay と Android Auto (AppleとGoogleが開発を進めるOSの自動車向けディストリビューション)くらいだったのでぼんやりとしたものではありましたが、最近では自動車メーカーだけでなくディーラーまで、役員レベルでは危機意識は浸透していると思います」

「ですが、現場から自動運転をサービス化しようという声が上がらない。結果、会社全体として、いつ何がどのように起こるかという共通の認識、ビジョンが作れない。『和』を持って働く文化ですから、一部の人間の思いや危機感だけではなかなか組織を動かせないという部分もあるのかもしれません」

海外では BMW や Ford のような業界2番手、3番手の企業は積極的にライドシェアやロボットカー、アフターマーケットなど、サービス領域での事業化に取り組んでいる。フォルクスワーゲンなどは、新規サービスについてはグループであるAudiを表に出しているようだ。一方で日本を見ると、業界2番手3番手がリスクを取って下克上を目指すというよりは、「最大手がやるならそれにならう」という文化。まずはトップであるトヨタがサービス事業を積極的に進めないと、国内では何も起こらないだろう。

そんな自動車メーカーを尻目に、テック系企業はアグレッシブだ。2015年には、ディー・エヌ・エーが自動車産業への参入を表明し、C2Cカーシェアリングの「Anyca」やZMPとのジョイントベンチャーであるロボットタクシーなどを展開している。 2016年に入ってからは、ソフトバンクが自動運転を研究する “先進モビリティ” と立ち上げた「SBドライブ」を立ち上げた。トラックやバスといった、比較的ルートが固定された環境での自動運転を目指していく方向だという。同じ分野では、ロボットタクシーも千葉で自動運転バスの試験運用を始めている。

彼らは理想を追わず、「2020年までにやれることだけやる、やれるところまでやる」というスタンスを貫いている。2020年というのはオリンピックの年でもあるが、日本政府が日本再興戦略の中で自動走行を実用化すると言っているタイミングだ。実は国内でも、内閣府や国交省が主導する形でレギュレーション作りが着々と進めてられているのだ。

ただ一方で具体的な目標はない。現在は競争相手が少なく、先行者利益が大きい。注目されており人もお金も集まりやすい時期なので、小さな投資で大きく育つ芽のあるタイミングと見ているのだろう。

自動車メーカーとテック系企業、それぞれのアプローチ

もちろん、自動車メーカーも自動運転の実証実験には積極的だが、テック系企業との違いは「ハード起点」か「サービス起点」か。ということになる。

自動車メーカーは、自動ブレーキやクルーズコントロールのようなADAS (Advanced Driver Assistance System:事故の可能性を事前に検知し、回避するシステム) と呼ばれるドライブアシスト系の技術から漸進的に発展して自動運転に持っていきたいようだ。イノベーションのジレンマを指摘する向きもあるが、100年間続いた産業を引っ張ってきたメーカーとしての「誇り」もあるのだろう。

一方で、メーカーがサービスに入ってこないのは「無人運転は当面実現しない」という冷静な分析結果でもある。もちろん技術的な問題や法整備も含めた制度の問題もあるが、倫理的な問題も存在する。例えば、事故が避けられない状況になった際、自動運転ソフトウェアは乗客を犠牲にして事故を最小限にするのか、はたまた通行人をはねてでも乗客を守るのか、プログラミングに際してどのようなポリシーを取るかという選択が突きつけられる。人間が暗黙的に、瞬間的に行ってきた問題でも、事前の実装という意味ではどうすべきか。「トロッコ問題」などと言われるこういった問題にも、答えを出すのは非常に時間がかかるだろう。

CarTech、日本のビジネスチャンスはどこに?

このような環境の中、日本国内にビジネスチャンスは残されているのだろうか。

全体のトレンドとしては、自動運転の前に「所有から利用」、つまりシェアリングエコノミーの波が来ると言われている。現状、一部を除き規制されている国内ライドシェアの領域は、規制緩和と同時にどこがスタートを切るか。Uber X も当然押してくるだろうが、国内で高い普及率を誇る「全国タクシー」を擁する日本交通も見逃せないだろう。

交通の便が不自由な地方では、リクルートの「あいあい自動車」のような取り組みはニーズがあるだろう。ただし、タクシーや公共交通すら成り立たない過疎地域で、事業会社が単独でビジネスを成立させるのは非常に難しい。ここは市区町村レベルでバラバラに動いている地方行政が協調して問題に取り組む必要がある。

一方で、人口集積率の高い都市部ではシェアのビジネスが成立しやすい。ライドシェア、カーシェアだけでなく駐車場や運転手、交通に関わるあらゆるリソースに可能性がある。なんといっても、自家用車は稼働率5〜8%と言われる超遊休資産なのだ。いずれも、都市部で普及してから地方へ、という流れになるのではないだろうか。

土地やガソリンなど、資源の乏しい国で本当に価値のあるものは何なのかを見極め、共有し、そして逆に何を持たないのか。目利きと実行力が鍵になるだろう。

自動車の未来に関する議論に欠けているもの

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【編集部注】執筆者のNed Ryan氏は、週単位での車のリースサービスを提供するBreezeの共同設立者兼CEO。

これまで、世界最大規模である自動車業界で、これほどまでに変化の兆しがハッキリと見えたことはなかっただろう。自動車の所有の仕方が変わろうとしているのだ。そして本当に変化が訪れたとき、世界経済でこれまで起きたことがない程、とてつもない規模での富の移転が起きると予想されている。

しかし、世の中にはたくさんの対立する意見や情報が蔓延している。自動車の専門家やニュースの見出しによれば、Teslaが世界を征服し、自動車メーカーは将来的に交通会社になり、UberLyftの登場が、私たちの知るこれまでの車の所有という概念が終わろうとしている。さらに、BeepiCarvanaVroomShiftといったオンラインの自動車販売サービスによって、自動車ディーラーという存在も無くなってしまうと言われている。対照的に、その他のニュースの見出しよれば、自動車の販売台数が過去最高を記録し、トラックが新車販売のカテゴリーを牽引している他、これまでの同世代に比べ、ミレニアル世代の車の購入台数は最も多い。

さらに、自動運転技術にはボンヤリとした疑問が残っている。UberやLyftは、できるだけ早くドライバーを要する既存の車を自動運転車に代えたいと考えおり、AppleGMは理論上の自動運転業界での成功のために多額の資金を投入している。しかし、2009年から自動運転技術の開発に取り組んでいるGoogleでさえ、この先30年で完全に自動で走行する車が誕生するかどうか分からないでいる。

はっきりと言えるのは、自動車業界の将来の姿について様々な噂が飛び交っているということだ。シリコンバレーに住んでいる人のように、私は変化が起きると信じており、現状の自動車の所有方法は、破壊的イノベーションが起きるべき段階に達していると考えている。しかし、個人向け自動車販売台数が過去最高を記録する中、いつ、そしてどのように変化が起きるのだろうか?改革の担い手としては、Tesla、Uber、Google、Apple、Fordといった企業が想定されるが、どの予測も自動車業界全体の要となっている部分に言及していない。それが、地味ながら莫大な規模の自動車金融だ。この巨大金融市場が自動車業界全体を動かしている。

金融サービスが自動車業界全体を下支えしているのだ。

わかりやすい例として、アメリカの自動車ローン残高合計は現在1兆600億ドル以上に達している。この数字には、同様に巨大なリース市場が含まれていない。そしてアメリカで自動車ローンを提供する大手企業には、AllyWells Fargo、ChaseそしてCapital Oneといった銀行の他、トヨタやGM、Fordといった自動車メーカーの金融子会社など、馴染みのある名前が並ぶ。資産区分を考慮すると、自動車ローンは、アメリカの住宅ローンや奨学金に続く残高を誇っている。

このように自動車ローンが大きな市場を形成しているのは明らかだが、そもそも何の関係があるのだろうか?それは、アメリカの自動車販売台数が、強大な自動車金融市場と表裏一体となっていることにある。アメリカの新車販売台数の実に86%に対して借り金が用いられているため、個人向けの金融商品無しに自動車は売れない。つまり金融サービスが自動車業界全体を下支えしているのだ。実際のところ、アメリカは他国に比べて自動車金融への依存度が圧倒的に高い。アメリカの新車販売台数を現在勢いで抜く中国では、新車購入者の内26%しか金融サービスを利用していない。

これが自動車業界の将来にどのような意味をもつのだろうか?

Teslaのモデル3やシボレー・ボルトのような新しいタイプの車が今後も登場し続け、そのような車に備え付けられた目新しい機能は、自動車の未来の到来を告げるものとして歓迎されるだろう。しかし、このような革新的な自動車も、大部分は昔からの方法で購入されることになる。つまり個人向け金融サービスが利用されるのだ。

これが未来の車の所有方法であるわけがない。UberやLyftのような企業の成功で、将来の自動車業界を支えるためにも、新たな所有の形が誕生する必要があるのは明らかだ。実際に、Uberは新しい車体のリース資金のため、最近ゴールドマン・サックスをアレンジャーとする10億ドルの貸出枠の契約にサインした。Uber(そしてウォール街)も、特にアメリカ人の月々の自動車ローン支払額が過去最大となり、自動車ローン残高も記録的な額に達する中、本契約についてもっと柔軟性が必要だということは理解している。

柔軟に自動車が利用できる他のサービスとしては、FordのCredit Link(自動車リース契約を複数人でシェアできるプログラム)やGMのMaven(オンデマンドのレンタカー)が挙げられ、未来の車の所有方法について示唆を得ることができる。このような新興サービスの成功には、強力な技術インフラが欠かせないが、これは今日の自動車金融市場を左右する要因からは大きくかけ離れている。

もしも自動車の個人所有からのシフトが起き、各家庭に平均2.06台あるとされる車が必要なくなるとすれば、自動車金融インフラの刷新が必要になる。最終的には、Googleの自動運転車が普及するかもしれないが、そこに至るためには、総額1兆ドルにおよぶ今日の自動車金融市場にいる多くのビッグネームのすげ替えが必要となるだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter