テックの多様性を高めるNPO「All Raise」に新CEOが誕生

ベンチャーキャピタルの取引や意思決定に多様性を高めることに注力する非営利団体All Raise(オールレイズ)は、Mandela Schumacher-Hodge Dixon(マンデラ・シューマッハ=ホッジ・ディクソン)氏を新しい最高責任者に任命した。この人事は、Pam Kostka(パム・コストカ)氏がスタートアップの世界に戻るために非営利団体の舵取りを辞めてから5カ月後のことだ。

ディクソン氏は10年以上にわたって、スタートアップの世界でリプリゼンテーションを高めるための活動を続けてきた。All Raiseに参加する前、ディクソン氏は、取り上げられることの少ない創業者のためのオンライントレーニングセンターであるFounder Gym(ファウンダージム)で、6大陸で18のコホートを運営していた。数週間前、ディクソン氏は、Founder Gymの現在のコースが最後の卒業生になることを発表した。Googleとの大きなパートナーシップを獲得したこのプログラムは、閉鎖されることになった。

「私はどこにも行きません」とディクソン氏は今週、TechCrunchのインタビューに答えた。「より公平なエコシステムを作ろうという、これまでやってきたことをまだ続けています。私はこの世界に入る前、シリコンバレーに知り合いがいない6年生の教師でした。私は、橋渡しをすることがすべてであり、そうしてきたのです」。

ディクソン氏は、Founder Gymが閉鎖した理由をTechCrunchに具体的に説明しなかったが、閉鎖はリーダーシップ委員会の全員一致の決定であったと述べている。All Raiseの機会が訪れたとき、彼女は、店を閉じる過程にいたということだ。

この2つの仕事の繋がりは明白だ。ディクソン氏は、歴史的に見過ごされてきた起業家たちが会社を設立する際に、特に資本をより利用できるよう、何年もかけてグローバル企業を立ち上げたのだ。現在、彼女は、ベンチャーキャピタル業界により明確な焦点が当たっているが、同じことを行うより大きな組織で仕事をしている。

現在、2万人以上のコミュニティメンバーを誇るAll Raiseは、女性ベンチャーキャピタリストの幹部によって2017年に設立された。オリジナルの設立チームは、投資家のStacy Bishop(ステイシー・ビショップ)氏、Theresia Gouw(テレシア・グー)氏、Dayna Grayson(デイナ・グレイソン)氏、Kirsten Green(キルスティン・グリーン)氏、Nairi Hourdajian(ナイリ・ホルダジャン)氏、Maha Ibrahim(マハ・イブラヒム)氏、Rebecca Kaden(レベッカ・カデン)氏、Aileen Lee(アイリーン・リー)氏、Jess Lee(ジェス・リー)氏、Jenny Lefcourt(ジェニー・レフクール)氏、Ann Miura-Ko(アン・ミウラ・コ)氏、Sarah Nahm(サラ・ナーム)氏、Stephanie Palmeri(ステファニー・パルメリ)氏、Heidi Patel(ハイディ・パテル)氏、Megan Quinn(ミーガン・クイン)氏、Renata Quintini(レナータ・クインティーニ)氏、Elisa Schreiber(エリサ・シュレイバー)氏、Kristina Shen(クリスティーナ・シェン)氏、Sarah Tavel(サラ・テヴェル)氏から構成されている。

設立以来、1100万ドル(約13億円)の資金を調達し、ベイエリア、ニューヨーク、ボストン、ロサンゼルス、シカゴに地域支部を開設し、まもなくDCとマイアミにハブを立ち上げる予定だ。

All Raiseは、テック分野のリプリゼンテーションを高めるために特別に生まれた非営利団体だが、ディクソン氏は、組織のミッションに新たなレベルの包括性をもたらしたいと考えている。ディクソン氏は、シリコンバレーでベンチャーキャピタルを調達し、ベンチャーキャピタル会社で働いた最初の黒人女性の1人であるという。また、パンデミック時に2人の子どもを出産し、リーダーとしての自分にまた新たな「広がり」が加わったという。

「私も、無意識であれ意識的であれ、ただ1人であることや少数の存在であるという排除のバイアスにさらされた経験をしています」と、ディクソン氏は語る。「私はそれを理解したいと強く意識してきたのでわかるのです。All Raiseでは、このことを私のリーダーシップに反映させ、私たちがサポートするのは、より多様なアイデンティティを受け入れる空間であることを確認することができます」。

ディクソン氏の活躍の場は確かに存在する。All Raiseは、2030年までに女性創業者へのシード資金提供額を11%から23%に増加させ、2028年までに米国企業の意思決定者の女性比率を2倍にするという目標を、女性全体を見ることによって設定してきた。しかし、データが示すように、黒人やラテン系の女性は、白人女性に比べてベンチャーキャピタルからの資金提供が偏って少なく、ノンバイナリーの創業者も、資金調達の際に高いハードルに直面する可能性がある。これらの断絶は、個別に追跡しなければ、見えなくなってしまう可能性がある。

同社は現在のミッションの中で、マイノリティに対してどのような影響を与えたいかという、ディクソン氏が変えていくだろう盲点について明確な目標をまだ持っていない。新CEOは、具体的にどのようなことに注力するかは明らかにしなかったが、All Raiseのリーダーシップチームに多様性を反映させることが優先事項であると述べた。まだ就任して1週間なので、どのような役割を担い、どのような人材を採用すればいいのか、まだ考えている最中だという。

「私たちは、本社をはじめとする本拠地を、多様で、包括的で、公平なものにすることに注意を払っています」と、ディクソン氏はいう。「私は、より包括的で、歴史的に十分に取り上げられていない女性やノンバイナリーのリーダーを受け入れ、幅広い女性やノンバイナリーのリーダーのための帰属意識とコミュニティの安全な空間を作ることが最も重要であると思います」。彼女は、2022年第2四半期にAll Raiseコミュニティ内の多様性指標を発表する予定だ。

ディクソン氏は、代表の定義を増やし、より多くの目標を明示することに加え、非営利団体が提供するバーチャルブートキャンプから、起業家とオープンボードシートの機会を結びつけるプログラムまでの計画を運用することも優先課題としている。これは、ディクソン氏がFounder Gymで築いてきたものに直接つながるものだ。「私たちが定義し、私たち自身に責任を持たせる強力な成功基準を持つこと」は、どんな製品を作るかという明確なロードマップを持つことと並んで重要であると、彼女は語った。

彼女の目には、このNPOの次の章は、タイムリーにより代表的な場所に到達することだと映っている。

「私にとって、時間が最も重要で、動かなければならないんですが、同時に、私たちはこの分野のリーダーですから、慎重に行動しなければいけません」と彼女はいう。「私たちはオピニオンリーダーとして見られたいし、オピニオンリーダーとして見られる権利を獲得し続けたいのです」。

画像クレジット:All Raise

原文へ

(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Yuta Kaminishi)

家賃支払いなどでクレジットスコアを構築し「人種間の貧富の差を埋める」フィンテックEsusuが150億円調達しユニコーンに

1億人超の米国人が、毎月の家計で最も大きな支出である家賃に月平均1100ドル(約13万円)、合計で年1兆4000億ドル(約161兆円)以上を費やしている。しかし、報告によると、そのうちの9割の人は家賃を期限どおりに支払ってもクレジット(信用)を得られていない。

さらに踏み込んで見ると、消費者金融保護局の2020年のレポートによると、米国では4500万人超がクレジットスコアを持っていない。この層の多くは、経歴や人種によって経済的に疎外されている。

移民やマイノリティにクレジット構築のための家賃支払い報告やデータソリューションを提供するフィンテックのEsusu(エスス)は米国時間1月27日、シリーズBラウンドで1億3000万ドル(約150億円)を調達したと発表した。

このラウンドで創業4年のEsusuの評価額は10億ドル(約1150億円)に達し、米国で、そして世界的にも数少ない黒人経営ユニコーンの1社になった。ソフトバンク・ビジョン・ファンド2が同ラウンドをリードし、Jones Feliciano Family Office、Lauder Zinterhofer Family Office、シュスターマン財団、ソフトバンク・オポチュニティ・ファンド、Related Companies、Wilshire Lane Capitalが参加した。

移民やアフリカ系米国人は、他の人に比べてクレジットスコアが低いか、そもそもクレジットスコアを持っていない。また、彼らは高利貸しに直面する機会が多く、これにより経済的不安の連鎖に陥っていることが多い。そのため、富を築くのに強力なクレジットスコアを必要としながらも、クレジットを築くための足がかりを持っていない。

Esusuの共同創業者で共同CEOであるナイジェリア生まれの米国人Abbey Wemimo(アビー・ウェミモ)氏とインド系米国人のSamir Goel(サミール・ゴエル)氏は移民家庭で育ち、この金融的排除を身をもって体験した。2人はこの疎外されたグループのクレジットスコアを構築し、家賃支払いを通じて「データ活用による人種間の貧富の差を埋める」ために2018年にEsusuを立ち上げた。

ニューヨークに本社を置く同社は、不動産オーナーや住宅プロバイダーと提携し、全米集合住宅協会(NHMC)のリストにある大手家主の35%と連携している。パートナーには、Goldman Sachs、Related Companies、Starwood Capital Group、Winn Residentialなどがいる。

Esusuは賃借人のクレジットスコアを強化するために、プラットフォームに登録した賃借人の期日までの支払データを取得し、3大信用情報機関(Equifax、TransUnion、Experian)に報告する。これにより、賃借人は時間をかけてクレジットスコアを向上させることができ、不動産オーナーは退去勧告を軽減できる。

Esusuは、不動産管理者とオーナーに3500ドル(約40万円)のセットアップ料と1住居あたり毎月2ドル(約230円)を請求する。一方、賃借人は、年間契約料として50ドル(約5760円)を支払い、家賃支払いデータを信用情報機関に報告する。

Esusuは前年比600%で成長していると創業者2人はTechCrunchに語った。現在、250万戸超の住宅が同社のサービスを利用していて、総リース量(GLV)は米全体で30億ドル(約3460億円)以上だ。同社が半年前に報告した200万戸、総リース量24億ドル(約2765億円)超から増加している。

Esusuが2020年4月に自社プラットフォームで調査を実施したところ、パンデミックの影響により62%のユーザーが家賃を期限内に支払えないことが判明し、同社は家賃救済ファンドを立ち上げた。クラウドファンディングや非営利のインパクト投資ファンドを通じて50万ドル(約5800万円)近くを調達した。

それから2年経った現在もこのプログラムは続いていて、Esusuはその規模を拡大し、何千人もの賃借人を自宅にとどめている。このプログラムには、貸借対照表に17億ドル以上(約1960億円)を計上するほどのパートナーが集まっていると創業者らは語った。

ウェミモ氏とゴエル氏は声明で「私たちは、データを使って人種間の貧富の差を埋め、この国の低・中所得世帯により公平な金融機会を創出するというビジョンを持ってEsusuを設立しました」と述べた。「クレジットスコアを取得し向上させることで、個人、家族、コミュニティが長期的な経済的目標を達成できるようにしつつ、経済的アイデンティティを強化しています」。

Esusuは、チームの拡大(正確には従業員を3倍に増やす)「製品イノベーションによる成長の加速、市場で最も包括的な金融ヘルスプラットフォームの構築」のために調達した資金を使用する計画だ。

2021年7月の1000万ドル(約11億円)のシリーズAラウンドのリードインベスターであるMotley Fool Venturesは今回の新ラウンドで再投資した。その他の既存投資家であるConcrete Rose Capital、The Equity Alliance、Impact America Fund、Next Play Ventures、Serena Ventures、Sinai Ventures、TypeOne Venturesも参加した。Esusuの累計調達額は1億4400万ドル(約165億円)超となった。

今回の資金調達でEsusuは、ユニコーンのステータスを獲得している世界900社超の中で、黒人が主導・所有するスタートアップという切望されている小さなグループに加わる。このグループには、評価額30億ドル(約3460億円)の米国のスケジュールアプリCalendly、英国拠点のフィンテックで50億ドル(約5760億円)と評価されたZepz、評価額12億ドル(約1380億円)のデジタル保険スタートアップMarshmallow、そしてアフリカのフィンテックFlutterwave(評価額10億ドル、1150億円)、Chipper Cash(同20億ドル、2300億円)、Interswitch(同10億ドル)などが含まれる。

原文へ

(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Nariko Mizoguchi

英テック業界の有力者2人がマイノリティ起業家を支援するチャリティのため手漕ぎボートで大西洋を横断

英国テック業界の有力者2人が、マイノリティ出身の社会起業家を支援する慈善団体のために大西洋をボートで横断することになった。

Smith & Williamsonの創業者であり、現在は起業家サービスグループの代表を務めるGuy Rigby(ガイ・リグビー)氏と、起業家で投資家でもあるDavid Murray(デビッド・マリー)氏は、英国で1万5000人以上の社会起業家を支援してきたUnLtdのために募金を行う。

両氏はこれまでに、英国のTech Nation、Founders Forum、London Tech Weekから支援を受けて約35万ポンド(約5300万円)の寄付金をUnLtdのために確保している。世界一過酷なボートレースいわれる、Talisker Whisky Atlantic Challenge(タリスカー・アトランティック・チャレンジ)にも参加する彼らの「The Entrepreneur Ship」での募金活動には、こちらから寄付できる。他のテック系団体も、スポンサーとしてぜひ参加していただきたいとのこと。

UnLtdはこれまでに、障がい者が運営するアクセシブルな雇用プラットフォームを構築したPatchwork Hubや、学校スタッフが生徒のメンタルヘルスのニーズを理解して対処するためのアプリを開発したEduKitなどのスタートアップ企業を支援してきた。

過去1年間にUnLtdは662名の社会起業家を支援しており、そのうち42%が黒人、アジア人、少数民族出身者や障がい者だった。

リグビー氏とマレー氏は、2021年12月にスペイン領カナリア諸島のラ・ゴメラ島からスタートしてアンティグア島までの約3000海里(約4800km)の距離を漕ぎ、2022年2月に到達することを目指している。2時間オン、2時間オフのスケジュールで交代しながら、横断レース期間中は24時間体制で個別に漕ぎ続けるという。

画像クレジット:The Entrepreneur Ship

原文へ

(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

【インタビュー】デロイトトーマツのテクニカル・ディレクターが語る「データは客観的」の嘘

DXを語る上で無視できないデータ活用。業界を超えて先進企業が取り組んでいるが、Deloitte Tohmatsu(デロイト トーマツ)でテクニカル・ディレクターを務めるIvana Bartoletti(イヴァナ・バートレッティ)氏は「盲目的なデータ活用は課題解決につながりません」と警鐘を鳴らす。データはどう使われるべきなのか。現在のデータ活用方法にどのような問題があるのか。同氏が詳しく語った。

本記事はB’AIグローバル・フォーラム主催「Power, Politics, & AI:Building a Better Future
の講演をもとに編集・再構成したものである。

「データは客観的」なのか?

近年、DXの必要性が叫ばれ、データとAIの活用を進めようとする機運が高まるばかりだ。AIの機械学習により病気の症状が表出する以前に病気を発見するなど、前向きなデータ活用が拡大している。しかしバートレッティ氏は危機感を覚える。

「多くの人が『データは客観的なものだ』と思っています。だからこそ、意思決定や法整備にデータを活用すべきだという声が上がります。しかし、それではうまくいかないのです」と同氏は話す。

データを読み込んだAIが意思決定に活用されることで、結果として差別が再生産されることがあるからだ。

例えば、銀行などの金融機関が既存のデータをAIに学習させ、顧客の信用を予測させるとしよう。すると、男性の方が女性よりも高い信用があると結論され、その金融機関は男性に有利な方針を採用することがあり得る。なぜなら、これまでビジネス活動の重要ポジションの多くは男性により占有され、それにより女性の収入は男性の収入よりも一般的に少なかったからだ。同様の問題は人種の異なる者の間でも起きるだろう。

バートレッティ氏は「データの問題は、実は政治的な問題なのです」と指摘する。

差別をするのはアルゴリズムか、人間か

こうした議論を聞くと「差別的な結果が出てしまうのはアルゴリズムの問題だから、アルゴリズムを改善すれば良い」と考える人もいるかもしれない。

しかし、バートレッティ氏は「アルゴリズムは差別をしません。差別をもたらすのはシステムを作る人間です」と断言する。

ここで同氏は1つの例を挙げた。大きな都市の中心に1つの会社がある。この会社のCEOが自分の側近を社員の中から選ぼうと考えた。CEOはソフトウェアを使って自分の条件に合う社員を検索した。CEOは自分が午前7時に出勤するので、同じ時間に出勤する社員に絞り込んだ。

これだけでは「午前7時に出勤する社員」というのが検索の条件であるように見える。しかし、実際にはそうではない。

「朝早くに都市の中心の会社に出社できるのはどんな人でしょう?街中にアパートを借りる財力がある若い男性社員でしょうか?あるいは2人の子どもがいる郊外在住の女性社員でしょうか?この場合は若い男性社員でしょう」と同氏はCEOが気づいていない隠れた条件を説明する。その上で「重要なのは、差別やステレオタイプ、バイアスを自動化してしまうシステムに注意を払うことです」と話す。

データで未来は予測できるのか?

「AIは『客観的な』データを摂取することで答えを導き出すと思われています。しかし、客観的なデータ、中立的なデータなどというものは存在しません」とバートレッティ氏はいう。

なぜなら、データというものは「現在」という瞬間の写真でしかないからだ。つまり、データはこれまで積み重ねられてきたあらゆる差別や不平等が「今」どうなっているかということを見せるだけだ。こうした「今」や「今まで」をAIに取り込ませ、未来を予測しようとすれば、今現在起きている問題や差別を自動化し、継続させることしかできない。

「既存のデータで未来を予測することは、今、弱い立場にいる人々を抑圧することにつながります。AIの機械学習は今までのデータをもとにパターンを見つけ出し、方針を決定します。これは未来のあるべき姿を創造することとは異なります」とバートレッティ氏。

同氏はまた「システムは選択されるもので、自然とでき上がるものではありません。先程の金融機関の男女の信用の例で言えば、『データを活用する金融機関が女性に大きな信用を置く』というような状況は自然ともたらされることはないのです」という。

ダイバーシティを取り入れたデータ活用、AI活用に向けて

では、どうすれば前向きに、既存の差別構造を持ち込まずにデータやAIを活用できるのだろうか。

バートレッティ氏は「今、データ活用に関わる決定の場にいる女性の数は多くありません。女性などのマイノリティが意思決定の場にいなければ『これは問題ですよ』という人がいないということです。組織はデータ活用やアルゴリズムに関して公平・公正でなければなりません」と答える。

しかし、これには大きな課題が立ちはだかる。男性が多数派の意思決定の場に女性などのマイノリティを増やすということは、意思決定の場に今いる人々からすれば、自分の特権を手放すことを意味するからだ。既存の意思決定者たちが得るものもなく特権を手放すことは考えにくい。彼らがマイノリティの意思決定の参加を加速させることで得る利益はあるのだろうか。

バートレッティ氏は「彼らには2つの利益があります」という。

1つは自社の評判確保による利益の確保だ。データ活用の場、意思決定の場にマイノリティが参加していなければ、その事実が自社の評判を下げる。評判が下がれば、顧客が自社の商品やサービスを利用しなくなり、経済的な損失になるというのだ。そのため、自身の特権を手放してでも、意思決定の場にマイノリティを呼ぶことで、評判と利益を守る必要がある。

もう1つは人材確保だ。同氏は「IT企業に勤める人々は、テクノロジーを使って社会的に正しいことをしようと思っています。最近では、自社の方針が倫理的でない場合に、デモなどの行動に出る人たちもいます。つまり、優秀な人材に自社に居続けてもらうために、企業は倫理的でなければならないのです」と話す。

IT企業だけではない。例えば建設業界のエンジニア採用にAIを使う場合、これまでのデータをもとに良い人材を探すことになる。エンジニアには男性が多いため、AIは「良い人材=男性」という図式を踏襲してしまう。実際の能力ではなく、性別によって人材が選別されてしまうのだ。意思決定の場に女性が居れば、どのデータをどのように使うのか、良い人材の定義は何かなどを設定し、より適切なデータ活用をできるようになり、より良い人材を確保できる。

最後にバートレッティ氏は「データは万能、テクノロジーは万能と思わないでください。『適切なデータセットとは何か』という問いは政治的なものです。AIを有意義に使うためには、哲学者、歴史家など、多様なバックグラウンドの人材が必要です。『データ活用はすばらしい』かもしれませんが、誰にとって都合が良いのか考えてください。知らないうちに『自分にとって都合が良い』『男性にとって都合が良い』になっているかもしれませんよ」と語った。

【コラム】Apple Cardをめぐる米国の法執行はどのように間違ったのか

編集部注:本稿の著者Liz O’Sullivan(リズ・オサリバン)氏は、企業のモデルリスクとアルゴリズムのガバナンスを自動化するプラットフォームParityのCEO。また、Surveillance Technology Oversight ProjectやCampaign to Stop Killer Robotsに対して、人工知能に関するアドバイスを行っている。

ーーー

アルゴリズム正義の支持者たちは、UHGApple Cardのような企業に対する法的調査によって、いわゆる「裁判の日々」を迎え始めている。Apple Card訴訟は、定量化可能な公正性という新たな分野において、現在の反差別法が科学的研究の急速なペースに追いついていないことを示す好例である。

Appleとその引受会社が公正貸付違反を犯していないと判断されたのは確かかもしれないが、今回の判決は、あらゆる規制区域で機械学習を利用している企業に対する警鐘となり得る、明確な警告を提示した。経営陣がアルゴリズムによる公正さをもっと真剣に受け止め始めない限り、彼らの前途は法的な問題と評判の低下に満ちたものになるだろう。

関連記事:Apple Cardプログラムは公正貸付法に違反していないとNY州金融サービス局が報告

Apple Cardに何が起きたのか

2019年後半、スタートアップのリーダーでありソーシャルメディアで著名なDavid Heinemeier Hansson(デイヴィッド・ハインマイヤー・ハンソン)氏は、Twitter上で重要な問題を提起し、大きな反響と称賛を巻き起こした。「いいね!」やリツイートが5万件近くある中、同氏はAppleと引受パートナーのGoldman Sachs(ゴールドマン・サックス)に対し、同じ金銭的能力を持つ同氏と同氏の妻に付与される信用限度額が異なる理由を説明するよう求めた。アルゴリズムの公正性のフィールドに立つ多くの関係者にとって、私たちが提唱する問題がメインストリームになるのを目にすることが重大な分岐点となり、結果的にニューヨーク州金融サービス局(DFS)からの照会に結実した。

DFSが2021年3月に、ゴールドマンの引受アルゴリズムについて、1974年に制定された女性やマイノリティを差別融資から保護する厳格な金融アクセス規則に違反していないと結論づけたことは、一見したところ、信用引受会社にとって心強く思えるものかもしれない。活動家にとっては残念な結果だが、財務部門のデータチームと密接に協力している私たちにとっては驚く結果ではなかった。

金融機関向けのアルゴリズムアプリケーションの中には、試行のリスクが利益をはるかに上回るものがあり、信用引受もその1つだ。貸付の公正性に関する法律は(古いものであれば)明確かつ厳格に施行されるため、ゴールドマンが無罪となることは予測できた。

とはいえ、ゴールドマンのアルゴリズムが、現在市場に出回っている他のすべての信用スコアリングおよび引受のアルゴリズムと同様、差別化していることは疑いの余地がない。また、仮に研究者がこうした主張を検証するために必要なモデルやデータへのアクセスを許可されたとしても、これらのアルゴリズムが崩壊することはないだろう。私がこれを知っているのは、ゴールドマンのアルゴリズムを検証するための方法論をニューヨーク州DFSが部分的に公開したからであり、ご想像の通り、その監査は、今日の最新のアルゴリズム監査人によって保持されている標準には遠く及ばないものだった。

DFSは(現行法の下で)Apple Cardの公正性をどのように評価したか

DFSは、Appleのアルゴリズムが「公正」であることの証明として、ゴールドマン・サックスが申請者の性別や配偶者の有無などの「禁止された特性」を利用していたかどうかを最初に検討した。これはゴールドマンにとってパスするのは容易だった。人種、性別、婚姻状況をモデルの入力に含めていないからだ。しかし、いくつかのモデル特性が、保護されたクラスの「プロキシ」として機能し得ることは、何年も前から知られている。

50年間の判例に基づくDFSの方法論では、この問題を検討したかについて言及されていないが、検討されなかったことは推測できる。もしそうであれば、信用スコアと人種との間に強い相関関係があることがすぐに判明するはずだ。それに関連して、一部の州では損害保険への利用を禁止することを検討している。プロキシ特性は最近になって研究の焦点になったばかりであるが、科学がいかにして規制を凌駕してきたかを示す第1の例を提供するものだ。

保護された特性がない場合、DFSは、内容は類似しているが、異なる保護クラスのユーザーに属する信用プロファイルを調査した。不正確な感じがするが、申請書で性別を「フリップ(反転)」させた場合に信用供与の決定にどのような影響があるかを明らかにしようとした。男性申請者の女性バージョンも同じ扱いになるかということだ。

直感的には、これは「公正」を定義する1つの方法のように思える。機械学習の公正性の分野には「フリップテスト」と呼ばれる概念がある。これは「個人の公正性」と呼ばれる概念の多くの尺度の中の1つであり、まさにそのように聞こえる。筆者は、AI専門の大手法律事務所bnh.aiの主任研究員であるPatrick Hall(パトリック・ホール)氏に、公正貸付の事例を調査する上で最も一般的な分析について尋ねた。DFSがApple Cardを監査するのに使用した方法を参照して、同氏はそれを基本回帰、または「フリップテストの1970年代バージョン」と表現し、不十分な法律について第2の例を提示した。

アルゴリズム的公正性のための新しい語彙

Soron Barocas(ソロン・バロカス)氏の独創的な論文「Big Data’s Disparate Impact」が2016年に発表されて以来、研究者たちは哲学の核となる概念を数学的な用語で定義することに熱心に取り組んできた。いくつかのカンファレンスが開催され、最も注目すべきAIイベントで新たな公正性の道筋が示された。この分野は高度成長期にあり、現在のところ法律が追いついていない状況だ。しかし、サイバーセキュリティ業界に起きたように、この法的猶予は永遠には続かないだろう。

公正な貸付を管理する法律は公民権運動から生まれたもので、制定以来50年以上の間にあまり進展が見られなかったことを考えると、DFSの軟式監査は容認できるかもしれない。法律上の前例は、機械学習の公正性に関する研究が本格的に始まるずっと前のものだ。もしDFSが、Apple Cardの公正性を評価するという課題に適切に対処できるように装備されていれば、過去5年間に花開いたアルゴリズム評価のための堅牢な語彙を使用することができただろう。

例えばDFSの報告書は、Joy Buolamwini(ジョイ・ブオラムウィニ)氏、Timnit Gebru(ティムニット・ゲブル)氏、Deb Raji(デブ・ラジ)氏による、2018年に発表された調査の中の有名な規準「equalized odds」の測定については触れていない。同氏らの論文 Gender Shades」では、顔認識アルゴリズムが明るい肌の被験者よりも暗い女性の顔で間違った推測をすることが多いことを証明しており、この推論はコンピュータービジョンだけでなく、予測に関するさまざまなアプリケーションにも当てはまる。

均等オッズは、Appleのアルゴリズムに対して問うべきものだろう。どのくらいの頻度で信用力を正確に予測しているか。どれくらいの頻度で間違った推測をしているか。性別、人種、あるいは障害ステータスの異なる人々の間でこれらのエラー率に違いがあるか。ホール氏によると、これらの測定は重要だが、法制度を完全に体系化するには新しすぎるという。

もしゴールドマンが、現実世界の女性申請者を常に過小評価していたり、黒人の申請者に対して実際に適用されるべきものよりも高い金利を設定していたりすることが判明すれば、こうした十分なサービスを受けていない人々が、全国規模でどのような悪影響を受けるかは想像に難くない。

金融サービスのCatch-22(落とし穴)

最新の監査人であれば、判例によって指示された方法では、マイノリティのカテゴリー内でのセクション間の組み合わせに対する公正性の微妙な差異を捉えることができないことを認識している。この問題は、機械学習モデルの複雑さによってさらに深刻化している。例えば、あなたが黒人で、女性で、妊娠している場合、あなたが信用を得る可能性は、それぞれの包括的な保護されたカテゴリーの結果の平均を下回るかもしれない。

マイノリティのサンプル数は定義上セット内のより少ない数であることを考えると、これらの過小評価されたグループは、その独自性に特別な注意を払わない限り、システムの全体的な監査から利益を享受することはないだろう。このことから、最新の監査人は、各グループの個人の人口動態を明確に把握した上で結果を測定できる「認知による公正性」アプローチを採用する傾向にある。

しかし「Catch-22(落とし穴)」が存在する。金融サービスやその他の厳格に規制された分野では、監査人は最初から機密情報を収集することができないため「認知による公正性」を利用できないことが多い。この法的制約の目的は、貸し手が差別されないようにすることにあった。運命の残酷なねじれの中で、これはアルゴリズムによる差別を覆い隠し、私たちに法的不備の第3の例を与える。

この情報を収集できないという事実は、モデルが十分なサービスを受けていないグループをどのように扱っているのかを知る上で障害となっている。それがなければ、私たちは実際的に真実であることを証明できないだろう。例えば、専業主婦は両方の配偶者の名前ですべてのクレジットベースの購入を実行するわけではないため、より薄い信用ファイルを確実に持っている。マイノリティのグループは、ギグワーカー、チップを受け取る労働者、または現金ベースの業界に属する傾向が極めて高く、マジョリティにはそれほど一般的ではないことが証明されているような所得プロファイルの共通性がもたらされることが考えられる。

重要な点として、申請者の信用ファイルにおけるこれらの相違は、必ずしも真の財務責任や信用力につながるものではない。信用力を正確に予測するには、その方法(例えば信用スコア)がどのようにブレークダウンするのかを把握する必要があるだろう。

AIを使用する企業にとってこれは何を意味するのか

Appleの例で言えば、同社が時代遅れの法律で守られている差別に対抗するために、信用ポリシーの帰結的なアップデートを行ったという話に希望に満ちたエピローグを挙げる価値がある。AppleのCEOであるTim Cook(ティム・クック)氏は声明の中で「業界が信用スコアを計算する方法に公正性が欠けている」ことを即座に強調した。

関連記事:アップルが配偶者とティーンエージャーのための「Apple Card Family」発表、ジェンダー差別疑惑を払拭

新しいポリシーでは、配偶者や親が信用ファイルを結合して、信用ファイルが弱い方が強い方の恩恵を受けられるようにしている。これは、世界に構造的に存在する差別を実際に減らす可能性のある措置を先を見越して考えている企業のすばらしい例だ。Appleはポリシーを改訂するにあたり、今回の調査の結果として導入されるかもしれない規制に先んじた。

これはAppleにとって戦略的に有利な点と言える。なぜなら、ニューヨーク州DFSはこの分野を支配する現行の法律が不十分であることに徹底的に言及しており、規制のアップデートは多くの人が考えているよりも間近かもしれないからだ。金融サービス監督官Linda A.Lacewell(リンダ・A・レイスウェル)氏の言葉を借りれば「現在の形での信用スコアリングの利用と、融資における差別を禁止する法律や規制は、強化と近代化を必要としている」。規制当局と協働した筆者の経験では、これは今日の当局が極めて熱心に追求していることだ。

米国の規制当局が、自動化と数学における平等に向けた堅牢な語彙を活用して、AIを統制する法律の改善に取り組んでいることは間違いない。連邦準備制度、OCC(通貨監督庁)、CFPB(消費者金融保護局)、FTC(連邦取引委員会)、連邦議会は、ペースが遅くとも、アルゴリズムによる差別に対処することに意欲的である。

その一方で、アルゴリズムによる差別が横行していると信じるに足る十分な理由が存在する。その主なるものとして、業界がここ数年、学術界の言葉を取り入れるのに消極的だったことが挙げられる。企業がこの新しい公正性の分野を活用できず、ある意味で保証されている予測的差別を根絶できないことに対する言い訳の余地はほとんどない。EUは、今後2年以内に採択される予定のAIに特化した法案に同意している。

機械学習の公正性の分野は急速に成熟しており、毎年のように新しい手法が生み出され、無数のツールがそれを助けている。この分野は今になってようやく、ある程度の自動化によってこれを規定できる段階に達しつつある。標準化団体は、米国の法律の採択が遅れている場合でも、これらの問題の頻度と深刻さの低減に向けたガイダンスを提供し、積極的に関与している。

アルゴリズムによる識別が意図的であるかどうかは、違法性を有する。そのため、医療、住宅、雇用、金融サービス、教育、または政府に関連するアプリケーションで高度な分析を使用している場合、誰もが知らずにこれらの法律に違反している可能性がある。

センシティブな状況下でのAIの無数のアプリケーションについて、より明確な規制ガイダンスが提供されるまでの間、業界はどのような公正性の定義が最善かを自力で判断する必要がある。

画像クレジット:SOPA Images / Getty Images

原文へ

(文:Liz O’Sullivan、翻訳:Dragonfly)

Best Buyがマイノリティ創業者の支援を専門とするVCに最大約11億円を出資

Brown Venture Groupのマネージングパートナーであるクリス・ブルック氏、パートナーのJerome Hamilton(ジェローム・ハミルトン)氏、パートナーのChris Dykstra(クリス・ディクストラ)氏、マネージングパートナーのPaul Campbell(ポール・キャンベル)氏。ミネアポリスにあるオフィスの外で

George Floyd(ジョージ・フロイド)氏殺害を受けて、Best Buy(ベストバイ)は2020年夏に有色人種コミュニティのサポートを「さらに推進する」ことを約束した。過小評価とテクノロジーの不平等の問題にこれまで以上に取り組むというBest Buyが自らうたったミッションの一環として、同社は米国8月5日、Brown Venture Group(ブラウン・ベンチャー・グループ)に最大1000万ドル(約11億円)を投資すると発表した。

ミネソタ州を拠点とするBrown Venture Groupは「先端テクノロジー」を手がける黒人、ラテン系、先住民のテックスタートアップに特化して支援することを約束している創業3年のベンチャーキャピタル会社だ。Crunchbaseのデータによると、2020年の資金調達総額のうち黒人とラテン系のコミュニティが獲得した資金はわずか2.6%だった。

Brown Venture Groupは5000万ドル(約55億円)を目標とするの第1号ファンドの資金調達を行っていて、同社幹部によると目標額の75%は目処がついている。これは、ミネアポリスを拠点とするBest Buyの「最大1000万ドル」投資するという約束がBrown Venture Groupが調達する資金の最大20%を占め、これによりBest Buyがこのファンドのリーディングパートナー(LP)になるかもしれないことを意味する。

Brown Venture Groupの共同創業者でマネージングパートナーのPaul Campbell(ポール・キャンベル)博士は、自身と共同創業者のChris Brooks(クリス・ブルック)博士が会社設立の初期に「複数の地元の人」から「資金はすべて海岸側にある」ためツインシティーズ(ミネアポリス・セントポール都市圏)を去るべきだと言われた、と話した。

「ごく初期段階に、我々はツインシティーズにとどまり、ツインシティーの物語にすると固く決心しました」とキャンベル氏はTechCrunchに語った。「ですので、ツインシティーズのエコシステムについて、そして誰に当社のリードLPになって欲しいかを考えたとき、Best Buyがリストの一番上にきました。Best Buyが当社のファンドのリードLPとなることに勝る喜びはありません」。

この件について2020年の売上高が470億ドル(約5兆1800億円)だったBest Buyは、今回の動きは「資金へのアクセスやテック産業における次世代サポートの欠如など、黒人・先住民・有色人種(BIPOC)起業家が往々にして直面する組織的な障壁をなくす」ことをサポートするのが目的だと述べた。

また「Brown Venture Groupとの提携では、テクノロジースタートアプ分野をより包括的で多様なサプライヤーの強固なコミュニティを作り出すものにすることに向けて取り組む」と同社は付け加えた。

Best Buyのファンド出資の発表と併せて、Best BuyとBrown Venture Groupは教育、メンター制度、ネットワーキング、資金へのアクセスを通じて若い起業家の成長をサポートすべく、Best Buy Teen Tech Centersで起業家プログラムを共同展開することも明らかにした。

代表者らの「包括的な」皮膚の色を示すためにこの社名を選んだBrown Venture Groupは、これまでのところクリーンエネルギースタートアップEcolution kwhを含む5社に投資した。

1000万ドルという出資額は2020年の売上高が470億ドルという企業にとってはわずかなものにみえる。Best Buyはこのイニシアチブは同社がBIPOC企業をサポートしようとしているいくつかの取り組みの1つにすぎないと話す。その他の取り組みには、BIPOCの学生のための大学進学と就業の機会を増やすために4400万ドル(約48億円)を拠出する計画や、2025年までにBIPOCと多様性がある企業に少なくとも12億ドル(約1320億円)を注ぐという約束が含まれる。同社はまた、2025年までに時間給ではない3つの新たな業務の1つをBIPOC従業員に任せ、テクノロジーチームで1000人を新規雇用し、うち30%を黒人、ラテン系、先住民、女性など多様な人材とする、と述べた。

「BIPOCの起業家が直面してきた困難を解決するために意義ある行動を起こすことを約束します」とBest BuyのCEO、Corie Barry(コリー・バリー)氏は声明文で述べた。「今回のような提携を通じて、もしかすると将来Best Buyのパートナーになるかもしれないテック産業における多様な革新者たちの、これまでよりも強固で活気のあるコミュニティの構築をサポートすることで問題解決に着手できると確信しています」。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Best BuyVC投資マイノリティ

画像クレジット:Brown Venture Group

原文へ

(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

独立系VCのSixty8 Capitalが社会的地位の低い創業者を対象とした22億円規模のファンドを設立

黒人、女性、ラテン系、LGBTQ+のスタートアップ創業者にとって、シリコンバレーにおけるVC投資のパイ獲得が困難であるということは間違いない。この事実に対処すべく、米国のど真ん中、インディアナ州のインディアナポリスに拠点を置くSixty8 Capitalが、社会的弱者のスタートアップ創業者らにアーリーステージ資金を提供するため2000万ドル(約22 億円)規模のファンドを設立した。

このファンドには、The Indiana Next Level Fund、50 South Capital、Bank of America、Eli Lilly and Company、First Internet Bank、Central Indiana Community Foundationなどの投資家が名を連ねている。また、インディアナ州を拠点とするベンチャー企業のAllos Venturesと連携しており、同社のPaul Ehlinger(ポール・エリンガー)氏がSixty8のベンチャーパートナーとなる予定だ。

「このファンドで有色人種や女性をはじめとする多様なコミュニティに直接資金を提供することで、彼らを力付けることが可能になります。多様な人々によって設立された、すばらしいソリューションを構築している企業に直接投資できるようになるのです。これがSixty8を立ち上げた理由であり、これまでになかったチャンスを見つけ出すことができると信じています。インディアナのコミュニティだけでなく、中西部や南部の一部にも良い影響をもたらすことができたらと期待を膨らませています」と同社のマネージングパートナーであるKelli Jones(ケリー・ジョーンズ)氏は話している。

インディアナポリスで育ったジョーンズ氏は、ニューヨークやロサンゼルスに移った後、音楽、テック、エンターテインメントなどに携わる仕事を経験。2016年にインディアナポリスに戻り、自分が育ったコミュニティの黒人がテック分野やそれ以外で仕事に就くための訓練を受ける手助けを開始した。それが黒人の創業者に焦点を当てたスタートアップインキュベーターの展開に繋がり、後にピッチコンテストに参加することになる。

同氏がともに働いていた創業者らが、インキュベーターやピッチコンテストの一環として始めたビジネスを成長させるチャンスを得るために資本へのアクセスを必要としているということが、その当時から明らかだったため、アーリーステージファンドのアイデアを具体化させていったと話している。同氏によるとインディアナ州はB2BのSaaSで知られており、そのエネルギーにあやかりたいと考えていた。

「インディアナ州はB2BのSaaSで有名で、ExactTarget、SalesforceAngie’s ListInteractive Intelligence、Genesysなどのすばらしい企業へのイグジットなど、地元のテクノロジー分野では本当にすばらしいことがたくさん起こっています。しかし多様性に関してや、有色人種、女性、LGBTQの創業者を増やすということについてはあまり議論されていないのが事実です」とジョーンズ氏。

同社は1社あたり25万ドル(約2700万円)から50万ドル(約5500万円)の投資で、シード、プレシードの他、Aラウンドへの参加も計画している。インキュベーターやピッチコンテストなど、他のベンチャーからのパイプラインが用意されており、また起業家精神に溢れたコミュニティにも精通していると同氏は話している。

同社は、多様性の問題や多様な人々が投資の意思決定を行うという課題に対処するためだけでなく、ベンチャーキャピタルの支援を受けた企業には到底見えないような企業にも投資することができるという戦略に基づいてファンドを設立したいと考えていた。

最初の投資先はQualifiというB2BのSaaS企業だ。大量の採用を行う企業がAIを使って書類選考をより早く行うというもので、これにより7~10日かかっていた審査期間を3日以内に短縮することができるとジョーンズ氏は話している。

同社の企業名の由来は1968年に遡る。全国で多くの抗議が沸き起こり、有色人種や女性、ゲイの権利のための平等性を求める声が多く上がった歴史的な時代である。2019年に同社を立ち上げた当初は別の名前を使用していたものの、多様なグループを力付けることに焦点を当てた会社として、この名前の方がふさわしいと感じたとジョーンズ氏は振り返る。

「偉大な指導者を失い、人々の心の中にあった炎が大きく燃え上がった1968年の公民権運動の時と同じように、人々は依然として行進し生き残ろうと声をあげ続けているように感じます。女性の権利、ラテンアメリカ人の権利、黒人の権利のために戦っていた当時、さまざまなことが起きていましたが、2021年の今もなお、当時から前進できていないように感じるのです」。

関連記事
基礎研究を応援するANRIが給付型奨学金プログラム「ANRI基礎科学スカラーシップ」第4期生募集開始
新世代のエンジェル投資家誕生を支援するHustle Fund
元Alibabaの科学者がコンピューターサイエンス分野以外の創業者に出資する理由

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Sixty8 Capital投資マイノリティ女性LGBTQ+

画像クレジット:Andriy Onufriyenko / Getty Images

[原文へ]

(文:Ron Miller、翻訳:Dragonfly)

約152兆円の購買力にも関わらず十分にサービスを享受できていない米国黒人対象のデジタルバンクFirst Boulevardが約5.4億円調達

2020年5月にGeorge Floyd(ジョージ・フロイド)氏が殺害された事件は、米国で多くのことに火を付けた。そのうちの1つは、黒人コミュニティを対象としたデジタルバンクの増加である。これは恐らく予想外の出来事だろう。

黒人コミュニティに属する一部の人たちが、大手銀行は自分たちのニーズを満たしていないという考えを持つようになり、それをスタートアップのコンセプトにした。

そうしたスタートアップの1つFirst Boulevard(ファースト・ブールバード)(旧Tenth)は、Barclays(バークレイズ)、Anthemis(アンテミス)や、女優のGabrielle Union(ガブリエル・ユニオン)氏、Union Square Ventures(ユニオンスクエアベンチャーズ)のJohn Buttrick(ジョン・バトリック)氏、AutoZone(オートゾーン)のCFOであるJamere Jackson(ジャミア・ジャクソン)氏といったエンジェル投資家のグループから500万ドル(約5億4000万円)のシード資金を調達したところだ。

共同創業者兼CEOのDonald Hawkins(ドナルド・ホーキンス)氏が、カンザス州オーバーランドパークに銀行を創設したきっかけは、フロイド氏が殺害された後、友人のAsya Bradley(アシア・ブラッドリー)氏と、真の解決策が見えないまま同じ問題が繰り返されるという「悪循環から米国黒人が抜け出すために本当に必要なこと」は何かについて話し合ったことだった。

「フロイド氏の悲劇が黒人コミュニティを飲み込み、根深い問題に対してこれまでと変わらない抗議活動が起こるのを目の当たりにしてから、米国黒人が必要とする解決策は、財政面を重視したものであり、黒人コミュニティの中で生み出される必要があることがはっきりとわかりました」とホーキンス氏は述べた。

両氏にはフィンテックの経験がある。ホーキンス氏は、地方銀行や信用組合にリアルタイムな情報を状況に応じて提供することに重点を置く企業Griffin Technologies(グリフィン・テクノロジー)を設立した。そしてブラッドリー氏は、直近では、Synapse(シナプス)の創立チームメンバーであり収益責任者も務めていた。シナプスは、フィンテックプラットフォームを銀行機関に接続することで米国の非銀行利用者層に銀行サービスを提供できるようにする、Banking-as-a-Service(BaaS)APIを構築したプラットフォームである。

両氏は、米国にある黒人向けの銀行は19行ほどしかなく、保有している資産は合わせて約50億ドル(約5400億円)であることを発見した。

「そうした銀行のテクノロジーは間違いなく時代遅れなものでした」とホーキンス氏はいう。「私たちは既存のデジタルバンクのいくつかを詳しく調べ、米国黒人が求めているような方法でデジタルバンクを運営している人物を見つけ出そうとしました。そしてその時点で、蓄財活動という形である程度の財政安定を築けるように米国黒人をサポートするという課題に本気で取り組もうとしている人は誰もいない、ということがはっきりわかったのです」。

ホーキンス氏とブラッドリー氏は2020年8月First Boulevardを設立した。両氏は、米国黒人について年間1兆4000億ドル(約152兆円)の購買力を持つにもかかわらず、金融商品や金融サービスを「十分に享受していない消費者」だと考えている。このスタートアップの使命は、デジタルネイティブのプラットフォームを通じて「自分たちの財政状態を管理し、資産を築き、黒人経済に再投資する」力を米国黒人に与えることだ。First Boulevardは現在、サービスの提供開始を待っている利用希望者10万人を抱えており、第3四半期中にローンチする予定である。

新しい資本金の使用目的には、黒人ビジネスのマーケットプレイスの構築が含まれている。このマーケットプレイスでは、会員がCash Back for Buying Blackを利用できる。またチームの拡大、顧客基盤の拡大、手数料無料のデビットカードを提供するためのプラットフォームの開発、金融教育、会員の貯蓄や資産形成を自動化するためのテクノロジーの開発にも、資本金が使われる予定だ。

「不公平な扱いを受けたコミュニティは、その資産を集約することにより困難を打破できることが、歴史によって証明されています。黒人コミュニティの金融サービスに関して言えば、そうした資産を集約する力が長い間待ち望まれていました」とホーキンス氏は述べた。

First BoulevardのCash Back for Buying Blackプログラムでは、会員が黒人経営の企業でお金を使ったときに最大15%のキャッシュバックを得ることができる。

「最新の統計では、新型コロナウイルス感染症が流行してから、41%の黒人経営の企業が廃業していると考えられます」とホーキンス氏は述べた。「私たちは彼らをできる限りサポートしたいのです」。

First Boulevardは、受動的に資産を築ける方法を黒人コミュニティに提供することにも力を入れている。

「米国黒人は全般にお金の仕組みを学ぶことができませんでした。私たちは、マネーマーケットアカウントなどのマクロ投資、高金利の貯蓄、暗号資産といった資産を築くための手法、つまり米国黒人が今まで締め出されてきたことに会員を結び付けたいと思っています」とホーキンス氏は述べた。

First BoulevardのCOOを務めるブラッドリー氏は、現在の金融業界は黒人のニーズを満たすように作られていないと考えている。同社の目標は、黒人コミュニティ特有のニーズを理解し、賃金の早期獲得、切り上げ貯蓄機能、対象を絞った金融教育、予算管理ツールなどを提供することである。

ホーキンス氏とブラッドリー氏は、同社がサービスを提供しようとしているコミュニティを象徴する「真にインクルーシブな」チームを持つことを目指している。現在、20名のスタッフの60%が黒人、85%がBIPOC(白人以外の人たちを指す)である。そして首脳部の3分の2が女性で、その全員がBIPOCだ。同社は年末までにスタッフを50名に増やす予定である。

「フィンテックの世界においては、リーダーシップの観点から見ると、この数字は普通ではありません。それを考えると、非常に誇らしい気持ちです」とブラッドリー氏は述べた。

バークレイズとアンセミスが開始したFemale Innovators Lab(フィーメール・イノベーター・ラボ)の投資家であるKatie Palencsar(ケイティ・パレンツァー)氏は、同氏の会社が「デジタル革新が進んでいるにもかかわらず、人々の間では金融サービスへのアクセスが長い間課題になっている」ことを常に認識していると述べた。

「このことは特に、金融サービスが乏しい地域に住むことが多く、自分たちにサービスを提供してくれるプラットフォームを見つけるのに苦労している米国黒人に当てはまります」と同氏は言った。「First Boulevardはこの課題を深く理解しています」。

パレンツァー氏は、米国黒人が銀行を利用するだけでなく、実際に資産を築けるように支援するというFirst Boulevardの使命は、この市場では類まれなものだと信じている。

「First Boulevardは、米国内で拡大し続ける貧富の格差を認識しており、米国黒人やその仲間が自分たちのコミュニティに投資できるよう支援しながら、こうした人々が直面している制度上・構造上の課題に対処するデジタル・バンキング・プラットフォームを構築したいと考えています」と同氏は述べた。

同社は最近、Visaとの提携も発表し、Visaの新しい暗号資産APIスイートを他社に先駆けて試験運用することになった。またFirst BoulevardのVisaデビットカードもリリースする予定だ。

First Boulevardは、ここ数カ月間に登場した米国黒人向けのデジタルバンクの1つである。黒人や褐色人種のコミュニティ向けデジタルバンクPaybby(ペイビー)は最近、AIと生体認証技術を利用してユーザーにパーソナライズされたサービスを提供するネオバンクのWicket(ウィケット)を買収した。ペイビーのCEO兼創設者であるHassan Miah(ハッサン・マイア)氏は、同行の目標は「黒人および褐色人種コミュニティを対象とした、一流のスマートなデジタルバンク」になることだと語った。

ペイビーは、銀行口座と、PPP融資を迅速化する方法を提供することから始め、間もなく黒人および褐色人種コミュニティ向けの暗号資産口座を追加する予定だ。

「黒人の購買力は2024年までに1.8兆ドル(約195兆円)に成長すると予測されています」とマイア氏は述べている。「褐色人種の購買力は2兆ドル(約216兆円)を超えています。ペイビーはこの数兆ドル規模の市場のかなりの部分を獲得し、これらのコミュニティに収益を還元したいと考えています」。

2020年10月、Greenwood(グリーンウッド)は、同社がいうところの「黒人およびラテン系の人々や企業経営者のための初のデジタル・バンキング・プラットフォーム」を構築するために、個人投資家から300万ドル(約3億2000万円)のシード資金を調達した。

その時、Bounce TV(バウンスTV)ネットワークの創業者であり、グリーンウッドの共同創業者Ryan Glover(ライアン・グローバー)氏は「従来の銀行が黒人やラテン系のコミュニティの役に立っていないことは周知の事実だった」と述べた。

カテゴリー:フィンテック
タグ:First Boulevardマイノリティ資金調達デジタルバンクアメリカ

原文へ

(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Dragonfly)

「LGBTQの居場所をつくる」米国10代向けアプリweBelong、ミクシィ笠原氏などから約7300万円を調達

「本来の自分」というのは、なかなか晒け出せないないものだ。ネット上ではもちろん、家族や友人にだってカミングアウトできないことは誰にでもあるだろう。そんな人たちに「居場所」を提供するSNSアプリがある。HoloAsh,incが運営する、10代マイノリティ向けコミュニティアプリ「weBelong」だ。

同社はこの度、プレシードラウンド調達として、ミクシィ笠原健治氏、元メルカリ富島寛氏、エニグモの須田将啓氏など、複数のエンジェル投資家などから約7300万円の資金調達を実施。アカツキHeart Driven Fundなどからの出資を含め、累計の調達金額は約1億円になったという。

画像クレジット:HoloAsh,Inc.

weBelongは、米国に住む10代のマイノリティ(LGBTQや、ヒスパニック、黒人など)向けの匿名制コミュニティアプリだ。生年月日、性別、ジェンダー、趣味、悩みなどを登録すると、アルゴリズムが「自分に近い属性や関心を持つグループ」をおすすめしてくれる。ユーザーはそのグループ内で、互いの悩みや関心事をテキストでチャットできる。

例えば「自分がレズビアンであることを親に言い出せない」「摂食障害に悩んでいる」「自分の体型が恥ずかしい」など、アプリ内ではさまざまなトピックについて会話が交わされる。仲の良い友達や家族に相談しにくい悩みでも、weBelongのユーザー同士では打ち明けられる。自分と近い境遇にある人たちだからこそ、安心して話ができるのだ。

他人と比較しないSNS

「米国は多様性に満ちた国なのだから、LGBTQは社会で受け入れられているのではないか?」と思われる読者もいるかもしれない。しかし、必ずしもそうとはいえない現実がある。米人権団体のHRCが行った調査によると、10代LGBTQの76%が「自分の家で自分らしくいられない」と回答。また学校においても、70%は過去にいじめを経験しているという。

20代、30代でさえ「本当の自分」をカミングアウトするには勇気がいる。このような環境下で、まして10代となると「そもそも自分の性は何なんだろう?」「これを家族に言っていいのかな?」「友達になんて思われるだろう?」と、誰にも相談できないまま殻に閉じこもってしまうのは想像に難くない。

そんな「自分らしくいる」ことに難しさを感じる、10代マイノリティに焦点を当てたのがweBelongだ。このSNSアプリがおもしろいのは、フォロー・フォロワー数や「いいね」(同アプリでは「ハグ」と呼ぶ)の数を第三者からは確認できないという点だ。よって他のSNSアプリのように、ユーザーは「数字」を競い合うことがない。自分を良く見せようとしたり、アピールしたりするインセンティブが働かないからだ。

HoloAshのCEOである岸慶紀氏は想いを語る。「weBelongは『他人と比較しない』ことにこだわっています。他のアプリのように、一部の有名なインフルエンサーが圧倒的なパワーを持つという場所にしたくはなくて、どんな人にとっても居心地の良い空間をつくりたいと思っています」。

「感謝される経験」が支えになる

weBelongは2021年1月にリリースされてから、約20万件のコメントがなされ、毎日約200人が利用している。特筆すべきは、1日あたり35分〜40分におよぶユーザーの平均滞在時間だ。これは、同社が目指した「自分と同じ属性の人と繋がれる、居心地の良い空間」を演出できている証拠だろう。

現段階では収益化は行っていないものの、岸氏の頭の中にはアイデアはいくつもある。「ただの広告モデルにはしたくないと思っています。確かに、10代マイノリティ向けに商品を展開する企業の広告を出す、ということはすぐに思いつく方法です。ただ、僕たちが目指しているのは本当にそこなのかな、と少し違和感があるんです」。

同氏は、ユーザー同士でマイクロペイメントができる仕組みやアプリ内のバーチャルコインの活用を考えているという。例えば、ユーザーAがユーザーBの悩みを聞いてあげた時、ユーザーBはお礼として数ドルをユーザーAに支払う。その支払いに対して、weBelongが少額の手数料を受け取るという形だ。

岸氏は、自身がADHDを持つ身としてこう語る。「自分がまだ小さい頃に、歯磨きを学校の先生に褒められたことがあるんです。それがたまらなくうれしくて、それ以来いつも歯磨きだけは完璧にしていた(笑)。こんな些細な出来事でも、人生を生きる大きな糧になると思うんです。weBelongでは、いろんな不安や悩みを抱えた人たちがお互いを支え合う中で、『他人から感謝される』『他人に頼りにされる』という経験を経て、自己肯定感を強めていくきっかけになって欲しいと思っています」。

現代を生きるティーンエイジャーにとって、SNSは諸刃の剣だ。自分自身を世界中に発信できる一方で、数字に依存してしまうばかりに「心が疲弊」する場合もある。フォロワー数・いいね数を競わずに、10代マイノリティの助け合いに焦点を絞るweBelongは、現代のSNSシーンにまったく別の角度から一石を投じる存在になりそうだ。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:weBelong資金調達SNSマイノリティLGBTQティーンエイジャーHoloAsh,inc