アップルの天気アプリに空気質指数を提供するBreezoMeterが「山火事トラッカー」発表

BreezoMeter(ブリゾメーター)は、環境汚染による健康ハザードをできるだけ多くの人に知ってもらうことを使命としている。イスラエルを拠点とする同社は、空気質指数(Air Quality Index、AQI)の計算を通じて、今では数十カ国で数メートル単位の大気質を識別できるようになった。また、Apple(アップル)との提携により、同社のデータをiOSの「天気」アプリや自社の人気アプリに組み込み、さらに他企業が独自の目的でデータセットを利用できるAPI製品を通じ、数億人のユーザーにこれらの指標を提供している。

数週間前に3000万ドル(約33億円)のシリーズCラウンドを調達したのに続いて、同社は新製品「Wildfire Tracker(森林火災トラッカー)」を発表し、大気の質から山火事の周辺地域のリアルタイム検知へと製品を放射状に拡大した。

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この新製品は、同社のセンサーデータ、衛星画像、現地の目撃情報を融合して、山火事の範囲をリアルタイムに把握することができる。共同設立者兼CEOのRan Korber(ラン・コーバー)氏はこう語った。「人々は、正確な天気や湿度のデータを期待するのと同じように、正確な山火事情報を求めています。彼らの生活に、直接影響する情報だからです」。同氏はさらに、BreezoMeterは「気候テックと人の健康をつなぐ橋渡し役になっていきたい」と付け加えた。

火災危険区域はポリゴンの境界線で赤く表示され、従来通り、これらの区域とその周辺地域の大気質データを見ることができる。

BreezoMeterの大気質マップは、山火事の汚染の広がりを簡単に示すことができる(画像クレジット:BreezoMeter)

コーバー氏は、そうした境界線を数十カ国にわたって正確に把握するのは、簡単なことではないと強調した。特に山火事が発生するような森林では、センサーの数が少ないこともある。また、熱画像を中心とした衛星データは惑わされることがあり得る。同氏は「私たちは異常を探しているわけですが、多くの場合、誤検出が起こります」という。例えば、大規模なソーラーパネルアレイは、熱センサーでは非常に熱く見えるが、明らかに火災ではない。

このようにして特定された火災の周辺地域は、BreezoMeterの大気質マップウェブサイトで消費者に無料で提供され、まもなく同社のアプリにも導入される予定だ。また、2021年後半には、これらの境界線を同社のAPIから商業顧客向けに提供する予定だという。コーバー氏は、APIエンドポイントを利用することで自動車メーカーなどの企業が、ドライバーに火事が近づいていることを警告できるようになると期待している。

今回の新機能は、BreezoMeterが長年にわたって行ってきた製品の拡張の延長線上にあるものだ。「設立当初は、大気質のみ……それもイスラエル国内の大気汚染を予測するだけのものでした」とコーバー氏はいう。「それ以来、ほぼ毎年、新しい環境ハザードに製品ポートフォリオを拡大してきました」。2018年には花粉情報が追加され、アプリのグローバル化が進んでいることを同氏は指摘した。

山火事の検知は、VC投資家にとって最近ホットな分野だ(失礼)。例えば、Corneaは消防士が火災を検知して軽減することに焦点を当てたスタートアップであり、Perimeterは山火事の境界範囲を識別して、地図付きの明確な避難指示を出すことを目指している。シリコンバレーのあるカリフォルニア州をはじめ、世界中の多くの地域で森林火災が多発するようになってきている中、この分野への投資や製品の投入が増えることが予想される。

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画像クレジット:David Odisho/Bloomberg / Getty Images

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(文:Danny Crichton、翻訳:Aya Nakazato)

​防災テック領域スタートアップのSpecteeが鹿児島県薩摩川内市で発生した河川の氾濫・被害状況をAIで解析・可視化

  1. ​防災テック領域スタートアップのSpecteeが鹿児島県薩摩川内市で発生した河川の氾濫・被害状況をAIで解析・可視化

​防災テック領域スタートアップのSpectee(スペクティ)は7月12日、鹿児島県薩摩川内市で2021年7月10日に発生した河川の氾濫による浸水状況について、AIでリアルタイムに解析し地図上にシミュレーションを行ったと発表した。

現在同社では、AIを用いて、SNSに投稿された画像や河川カメラ・道路カメラの映像から浸水深を自動的に割り出し、降水量・地形データなどと組み合わせて統合的に解析することで、氾濫発生から10分以内に浸水範囲と各地の浸水深を2D・3Dの地図上に表示する技術の開発を進めているという。被害状況をわかりやすく可視化することで、災害対応の迅速化に役立てていくことを目指しているそうだ。現在同技術を通じ得られる、各地点における詳細な緯度経度情報や浸水深(推定値)などのデータの提供を行っており、学術研究や企業の実証実験などで利用できるとしている。

7月10日に発生した鹿児島県薩摩川内市を流れる川内川・支流で発生した氾濫についても、開発中のAIによるリアルタイム浸水推定技術を用いて、SNSに投稿された画像を基に、浸水の推定範囲および深さを地図上にシミュレーションを実施した。ただし、掲載した図は同技術に基づいた推定値としており、現在同技術の開発と並行して精度検証を行っているという。

Specteeは、AI防災・危機管理ソリューション「Spectee Pro」を中心に、AIなど最先端技術を活用したビッグデータ解析を通して、災害関連情報や企業のリスク情報などをいち早く提供する他、デジタルツイン技術による被害のシミュレーションや予測などを実施。「危機を可視化する」をスローガンに、すべての人が安全で豊かな生活を送れる社会の創造を目指している。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:SNS / ソーシャル・ネットワーキング・サービス(用語)AI / 人工知能(用語)自然災害 / 火災(用語)Spectee(企業)天気・天候・天気予報(用語)デジタルツイン(用語)日本(国・地域)

Appleが買収したDark SkyのiOSアプリとウェブサイトが2022年末で終了へ

Apple(アップル)が2020年3月にDark Sky(ダークスカイ)を買収した後、かなりきめ細かな天気情報を提供するDark Skyアプリがおそらくなくなるだろうということは分かっていた。しかし同年7月にAndroid版が終了すると発表した一方で、iOS版の方ではなくすべき制限がいくらか残っていた。「今回」はiOS版は「ノーチャージ」になる、とDark Skyは述べた。

それから1年、Dark Skyのブログがわずかに更新され(9to5macが気づいた)、Dark Sky iOSアプリ、API、ウェブサイトの提供期限が案内された。共同創業者のAdam Grossman(アダム・グロスマン)氏は以下のように書いた。

既存顧客向けのDark Sky APIサービスのサポートは2022年末まで展開されます。iOSアプリとDark Skyウェブサイトも2022年末まで利用できます。

ここに解釈の余地が残されていることは指摘するに値するだろう。2022年末にシャットダウンするとは明言されておらず、ただ2022年末まで展開することを約束している。おそらくそれ以降の運命は流動的ということなのだろう。TechCrunchはこの点についてAppleに説明を求めていて、返事があるまでは今回の告知をシャットダウンが控えていることのヘッドアップとしてとらえる。

実際には今回の告知は逆にAPIとDark Skyウェブサイトのエクステンションだ。以前、ウェブサイトは2020年8月にシャットダウンされる予定だった。一方、APIは2021年末のシャットダウンが予定されていた。

今回のニュースの数日前に、AppleはiOSにビルトインされている天気アプリのオーバーホールをWWDCで発表していた。

[原文へ]

(文:Greg Kumparak、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップルが(ついに)天気アプリをアップデート、ダイナミックな背景や天気図、詳しいデータを提供

「天気」はモバイルデバイスで最もよく使われるアプリの1つでありながら、アップデートや新機能の動きが最も少ないアプリの1つでもある(筆者は英国に住んでいるが、英国などの国では国民が常に天気を気にしているし、実際に1時間のうちに天気が変わる。天候にとらわれているのだ!)。だから米国時間6月7日のWWDCでApple(アップル)がついにネイティブの天気アプリを大幅にアップデートしたことはすばらしい。

おそらく、かなり前に主要なデータプロバイダとしてYahooをやめ、The Weather Channnelを採用して以来の大きな変更だろう。

インターフェイスが完全に刷新され現在見ている場所の天候を反映したアニメーションが表示されているが、最新のアップデートでは風や雨、晴れ、スモッグ(ない方がよいが)がさらにダイナミックに動くようになる。Appleによれば、太陽の位置や雲、降水量をもっと正確に表現できるように、何千もの新たなバリエーションを用意しているという。

これに加え、データポイントを増やして気温や降水量だけでなくもっと幅広い情報を表示するダッシュボードも公開した。風、UV指数、気圧などのグラフィックスがある。さらに全画面で高解像度の天気図に対応し、降水量や雲の変化、空気質、気温が表示される。まるで自分専用のお天気アシスタントのようだ。

このような機能は以前から待たれていたが、驚くようなものでもないし、天気アプリ全般に根強い人気がどの程度あるかという問題だけでもない。

2020年3月に、Appleが天気アプリスタートアップのDark Skyを買収したことが明らかになった。買収によってサービスを停止する前は、Dark SkyはiOSとAndroidで最高の天気アプリの1つだった。

関連記事:Appleが天気アプリDark Skyを買収、Android版は7月で終了

繰り返しになるが、天気アプリは驚くほど軽視される傾向にあり、特に人気が地味であることを考えると、誰かが天気アプリを改善しようする取り組みはおそらくいつも重視されてこなかった。しかしKickstarterのプロジェクトから始まったDark Skyの取り組みは正当に評価された。

買収以降、Appleが天気アプリに雨を降らせるまでにこれほど時間がかかった理由は不明だが、ついに実現してよかった。

もちろん、Appleが今度の週末のキャンプを晴れにする魔法を使うわけではないが、今回発表されたアップデートはデータ好きの人々が今後の天候を予想する楽しみや、うまくいけば長靴を車に積むスペースが必要かどうかを判断するための詳しく正確な情報をもたらしてくれるだろう。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleWWDC 2021WWDC天気

画像クレジット:Apple
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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Kaori Koyama)

アップルがiOS 15発表、「つながり続ける」「集中する」といった4つの柱を掲げFaceTime、通知などの新機能満載

Apple(アップル)は開発者会議「WWDC 2021」のバーチャル基調講演において、2021年後半にリリース予定の次期メジャーバージョンであるiOS 15の詳細を初めて公開した。2021年のリリースでは「つながり続ける」「気を散らさずに集中する」「インテリジェンスを活用する」「世界を探索する」という4つの柱を掲げている。

ソフトウェアエンジニアリング担当SVPのCraig Federighi(クレイグ・フェデリギ)氏は、次のように述べた。「多くの人にとって、iPhoneは必要不可欠なものとなっています。当社の新しいリリースはiOS 15です。大切な人とのつながりを大事にしたり、気を散らさずに集中できる空間を見つけたり、インテリジェンスを活用して必要な情報を見つけたり、自分の周りの世界を探索したりするなど、あなたのiPhoneの使い方にiOS体験を適応させ、補完する機能が満載です」。

FaceTimeにさまざまな新機能が加わり進化

Appleは、FaceTimeに空間オーディオを追加すると発表した。これにより、スクリーン上の友人・家族の位置に応じて声が広がるようになる。例えば、誰かの顔が左に見える場合、あなたの耳には彼らが左側にいるように聞こえる。FaceTimeの他のニュースとして、iOSはバックグラウンドノイズを検出し、友人や家族の声がより聞き取りやすくなるようにノイズを抑制するようになる。これはオプション機能で、例えばFaceTime通話中にコンサートを見せている場合などには、この機能を無効にすることができる。

もう1つのFaceTime機能は「ポートレートモード」だ。これは、ポートレートモードの写真のように、背景を自動的にぼかすことができるというもの。また、仕事の会議などでFaceTimeを使いたい場合、FaceTimeリンクを作成してカレンダーの招待状に追加することができるようになる。FaceTimeはウェブブラウザでも動作するため、Appleデバイスを持っていないユーザーでもリンクを通じFaceTimeの通話に参加できる。これらの機能により、FaceTimeはZoom(ズーム)やGoogle Meet( グーグル・ミート)などの他のビデオ通話サービスとの競争力を高めることになる。

Appleは「SharePlay」機能も発表し、FaceTimeに注力していることを示した。この同時再生機能を使うことで、FaceTimeで会話をしながら同じ曲や楽曲リストを一緒に聴くことができる。Apple Musicで再生ボタンを押すと、通話中の全員のデバイスで音楽が始まる。キューは共有されるので、参加している誰でも曲の追加や次の曲へのスキップなどが可能だ。

SharePlayでは、映画やテレビ番組を一緒に見ることもできる。通話中の誰かがビデオを開始すると、他の参加者のスマホやタブレットでも同じビデオが始まる。また、AirPlayやピクチャー・イン・ピクチャー(PIP)など、iOS動画に期待されるすべての機能に対応している。

これは、Apple TVアプリ内のビデオとの互換性だけではない。Appleは、動画をSharePlayに対応させるためのAPIを用意すると述べている。現在のパートナーは、Disney+、Hulu(フールー)、HBO Max、Twitch、TikTok(ティクトック)など。初期パートナーのスクリーンショットは下図のようになっている。

さて、Messages(メッセージ)に話を移そう。メッセージアプリは「News」「写真」「ミュージック」など、他のApple標準アプリとの連携が強化された。メッセージで共有されたアイテムは、これらのアプリに共有されたコンテンツとして表示される。つまり、メッセージ(およびiMessage)は、Appleアプリの上にあるソーシャルレイヤーとして機能するのだ。

新しい通知サマリー、フォーカスモード

Appleは、オンデバイスのインテリジェンスを使って通知のサマリーを作成する予定だという。これにより通知は、現在のようにアプリ別、日付別ではなく、優先度別に並べられる。例えば、友だちからの通知はトップに近い位置に表示される。

通知をサイレントモードにすると、iMessageの連絡先には、あなたが「Do not disturb(おやすみモード)」を有効にしていることが表示される。この機能はSlackの「Do not disturb」と少し似ている。しかし、新しい設定がある。Appleはこれを「Focus(フォーカス)モード」と呼んでいる。通知を受け取りたいアプリや人を選び、自分がその時していることに応じてフォーカスを変えることができるというものだ。

例えば仕事中であれば、個人的に使うアプリや個人的な電話・メッセージをサイレントにすることができる。逆に週末であれば、仕事のメールの通知をサイレントにできる。複数のAppleデバイスを持っている場合は、設定がiCloudアカウント間で同期される。さらに、モードによりアプリやウィジェットの表示・非表示を切り替えて、ホーム画面にも変化を与えられる。

新しいスマート機能

Appleは、あなたの写真をスキャンしてテキストを探す機能を導入する。「Live Text(ライブテキスト)」と呼ばれるこの機能により、ユーザーは写真の中のテキストをハイライトしたり、他のアプリにコピー・ペーストできるようになる。iOSはその情報をSpotlight(スポットライト)機能に活用する予定だ。ハイライトした写真の中のテキストは、Spotlightで直接検索することができる。これらの機能はデバイス上で直接処理される。

iOS 15では、Memories(メモリー)機能がアップグレードされる。「この新しい『メモリー』は、その場で生成されます。インタラクティブで、生きています」と、写真エンジニアリング担当シニアマネジャーのChelsea Burnette(チェルシー・バーネット)氏は語った。メモリーは、写真アプリで見ることのできるインタラクティブなムービーだ。今回、指でタップしてムービーを一時停止できるようになった。バックグラウンドでは音楽が流れ続け、指を離すとフォトモンタージュが再開される。

また、メモリーに合わせて特定の曲を検索できるようになる。写真アプリの新機能は、今後詳しく見ていきたい。

Wallet、天気、マップ

Apple Walletのすべての機能をおさらいした上で同社は、将来IDをスキャンしてWalletに保存できるようになることを発表した。これは(米国の)参加しているいくつかの州で利用可能になっていくとのことで、ゆっくりとした展開になるだろう。政府のサービス(空港の保安検査など)がIDから何らかの情報を必要とするとき、ユーザーはiPhone上で直接そのサービスとデータを共有することを選択できるという。

天気アプリに関して言えば、Appleが買収した人気の天気予報アプリ「Dark Sky」にあった機能の多くが含められアップデートされた。新しいデザインと、より多くのデータが期待される。

Apple Maps(マップ)については、新しい地図データがいくつかの国で展開されたところで、同社はまだ欧州でロールアウトしている最中だ。Appleはサンフランシスコなどの一部の地域に、大量の新しい詳細情報を追加した。バスやタクシーのレーン、横断歩道、自転車レーンなどを見られるようになった。高速道路では、複雑なインターチェンジを3Dで見ることができる。これらの機能は、2021年後半にCar Play(カープレイ)でも提供される予定だ。

公共交通機関を利用するユーザーは、お気に入りの路線をピンで固定して、Apple Watchで情報を見ることができる。地下鉄やバスに乗っているときは、リアルタイムで自分の位置を確認できる。また(地域によっては)、携帯電話を目の前にかざすと、AR(拡張現実)で道案内をすることも可能になる。

AirPodsソフトウェアアップデート

Appleは、AirPodsも持っているユーザーのために、多くの新機能を発表した。新しい会話モードでは、スマートな補聴器として会話の音量を上げることができる。また「通知をアナウンスする」設定を有効にしていれば、より多くの通知をAirPodsで受け取ることができる。その設定を微調整することで、特定のアプリに限定したり、フォーカスモードに応じて変更することができる。

また、AirPodsがケースに入っていても、オーディオ通知付きのFind My(探す)アプリでAirPodsを探すことができる。空間オーディオは、M1チップを搭載したApple TVとMacに搭載される。数週間前に発表されたように、Apple Musicの空間オーディオは現在利用できる。

ご覧の通り、iOS 15には新機能が満載されている。Appleは本日(米国時間6月7日)、最初のリリースとなる開発者ベータ版を発表すると思われる。公開ベータ版はその後にリリースが見込まれる。夏の間はベータ版のアップデートが行われ、2021年9月に最終版がリリースされることになる。

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

ロケット打ち上げのAstraがNASAの嵐観測衛星打ち上げ契約を獲得

カリフォルニア州アラミーダのロケット打ち上げ企業Astraは最近、SPACとの合併で上場する意図を発表したが、同社はこのほど、6基のキューブ状人工衛星(キューブサット)を打ち上げる契約をNASAと結んだ。この契約でNASAは同社に795万ドル(約8億5000万円)を支払う。これは、Astraの応答性の良いロケットの能力についての重要なテストとなり、その後の最長4カ月にはさらに3回の打ち上げが計画されている。現在、2022年1月8日から7月31日までのどこかが予定日になっている。

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衛星はNASAの「小型衛星のコンステレーションによる降雨構造と暴風の強度に対する時間分割観測(Time-Resolved Observations of Precipitation Structure and Storm Intensity with a Constellation of SmallSats、TROPICS)」ミッションに用いられ、それはハリケーンとその形成に関するデータを収集する科学ミッションだ。そこでは、気温や気圧、湿度などを観測することになる。ミッションの名前は極端に長く、頭字語をピックアップするのも困難だが、衛星の各サイズは靴箱ほどで、データは衛星の小さなコンステレーションで収集する

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Astraは2020年遅くに、最終的に軌道の達成を狙う3回の打ち上げ計画の2回目を完了し、宇宙に達して軌道の達成に近づいたという意味で、自己の予想を超えた。同社によると、ミッションで収集したデータによると実際に軌道を達成するための最後に残る壁は、すべてソフトウェアの変更で対応できるほど柔軟性がある。それに基づいてAstraのCEOで創業者のChris Kemp(クリス・ケンプ)氏は、すでに商用ペイロードを飛ばせる用意ができたと信じている、と述べている。

ケンプ氏はNASAのCTOだった人物で、これまでに多くのテクノロジー企業を共同で創業している。このNASAの最新ミッションは、同社の打ち上げ契約ではない。それどころか、すでに50を超える民間と政府さまざまな顧客のミッションを予定しており、総売上は1億5000万ドル(約159億9000万円)以上に達する。

カテゴリー:宇宙
タグ:Astra衛星コンステレーション天気

画像クレジット:Astra

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hiroshi Iwatani)

気象予報精度向上のためにClimaCellが独自衛星の打ち上げを計画

天気のデータと予報を提供しているClimaCellが米国時間2月24日、小型気象衛星による同社独自のコンステレーションを打ち上げる計画を発表した。ClimaCellは、レーダーを装備した衛星により地球の気象をより理解できるようになり、予報を改善できるという。最初の打ち上げは、2022年の後半を予定している。

ClimaCellのCEOであるShimon Elkabetz(シモン・エルカベッツ)氏が発表声明で指摘しているように、地上のレーダーでは雨や雲の構造に関する情報は得られるが、その情報にはムラがあり、米国内においても、基本的な天気予報すら難しくなっている。宇宙には高額なレーダー衛星があるが、それらは同じ領域を3日に1度訪れるものが多いため、あまり有益ではない。そこでClimaCellは、コンステレーションを小さくして、専用の衛星が同じ領域を1時間おきに再訪できるようにしたいと考えている。

「私たちは独自のセンサー技術とモデル作成技術により、世界のどの地点でもより正確に天候を予測します。また、そのデータを利用する独自のソフトウェアプラットフォームは、構成次第であらゆる仕事や業界向けに予報することができます。というわけで、私たちはこれから、宇宙が動かすSaaS企業に進化していきます。私たちは衛星コンステレーションを打ち上げて、全世界の天気予報を改善します。世界で初めて、常時稼働のレーダーコンステレーションで地球を取り囲み、地球のあらゆる地点の観測データをリアルタイムで天気予報に提供していきます」とエルカベッツ氏は述べている。

確かにそれは、同社にとって大きな一歩だが、近い将来にはこういうものが他にももっと登場するだろう。10年前という近い過去でも、企業が十分な資金を獲得して独自に衛星を打ち上げることは困難だった。今では、それも変わった。打ち上げサービスを容易に利用できることや、レーダー衛星の製造に革新的な技術が登場したこと、そして地上局などの補助的サービスを利用できるといった要因がこの変化に貢献している。現在、AWSやMicrosoftも同様のサービスを提供しており、衛星の製造に特化したベンダーのエコシステムもある。ClimaCellのチームによると、同社は現在、多くのベンダーと協議しており、いずれ最適な企業を選びたいという。

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カテゴリー:宇宙
タグ:ClimaCell衛星コンステレーション天気予報

画像クレジット:ClimaCell

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

気象災害に備える企業にAIを組み合わせた天気予報分析を提供するAtom

「地球上のほぼすべてのビジネスは天候の影響を受けています」と、投資家で連続起業家のAlexander Levy(アレクサンダー・レビー)氏はいう。同氏の最新の会社は、新しい天気予報スタートアップのAtmoだ。

2020年初めにY Combinatorを卒業した同社は、予測ソフトウェアのためにSignia Venture PartnersとSound Venturesから200万ドル(約2億800万円)を調達した。時にビジネスでは、ボブ・ディランの歌とは違って、風向きを知るために天気予報士が必要になることもあるからだ。

Atmoは元Google Xの社員で、Project Loon(プロジェクト・ルーン)に携わっていたJohan Mathe(ヨハン・マテ)氏によって設立された。Project Loonとは、新興国市場でワイヤレスネットワークを構築するために、気球を使ったインターネット接続を提供することに注力した事業部門だ。

「私は天候に取り組むことに多くの時間を費やしました」とマテ氏はいう。彼の仕事は、様々な地域で気球をナビゲートする方法を見つけることだった。そのナビゲーションの多くは、気象パターンによって複雑だった、と彼は語った。

「天候と膨大な量のデータが非常に複雑に絡み合う中で、私はそれを構築しなければなりませんでした」と、マテ氏はいう。「そこで私は考えたのです、天気とAIの交差点を、もっと誰もが利用できるようにするために、何かを構築しなければならないと」。

これが4年間におよぶ旅の始まりだった。やがてそれは、Atmo (以前はFroglabs.aiとして知られていた)というカリフォルニア州バークレーを拠点とするスタートアップに結実した。同社は現在、再生可能エネルギーからアイスクリームショップまで、さまざまなビジネスに天気予報分析を提供している。

創薬会社Atomwiseの共同創業者であるレビー氏は、マテ氏を社会的に知っており、彼の会社がまだアイデアだけの時に最初に投資した。しかし、気象データに価値を見出したレビー氏は、投資家やアドバイザーから共同創業者へと跳躍することにした。

現在、マテ氏とレビー氏そして最高技術責任者のJeremy Lequeux(ジェレミー・ルキュー)氏は、バークレーにあるレビー氏の家で、ソフトウェアを開発し、会社を次のレベルに引き上げるために働いている。

そして最近の出来事が同社のサービスの必要性を十分に明らかにしている。全米海洋大気庁がまとめたデータによると、2019年以降、気候関連の出来事は米国におよそ890億ドル(約9兆2500億円)ものコストをかけているという。

「すべてのビジネスは、天候に左右されます」とレビー氏はいう。「たとえばアイスクリームを販売する場所について考えてみましょう。気温が1度、高くなるか低くなるかによって、売り上げは10%も影響を受けます。私たちは汎用的な予測システムの作成に向けて取り組んできましたが、気象データを使用する一方で、世界中から集めた過去の天気のデータも用います。この2つを比較して、主要なビジネス指標のすべてが天候によってどのように影響を受けるかを分析します」。

レビー氏によると、同社はすでに、再生可能エネルギーやeコマース、物流業界の20億ドル(約2000億円)規模の企業を含む半ダースほどの顧客を抱えているという。

「私たちが取り組んでいる分野の1つに、リスクと異常気象があります。たとえばほとんど人間が介入できない異常気象を、どうやって予測するのかということです」とレビー氏はいう。「私たちは、このような予測を、比較的正常な状態にあるときに最適化する方法とは切り離して行っています」。

このような異常気象が増えるにつれ、需要は増加する一方だ。政府や企業はこれらの破局的な状況に耐え、適応する能力を向上させる方法を模索しているからだ。

「ニーズはあります。最近では、誰もがレジリエンス(回復力)について話しているからです」とレビー氏は語る。「Atmoは、現在そんな問題について不安を抱えている大企業に、これらの洞察を提供する会社だと、私は考えています」。

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Atmo天気Y Combinator資金調達

画像クレジット:Justin Sullivan / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)