第1四半期もアプリのエコシステムの成長は続きダウンロード数は370億、消費者支出は約4兆円に

今週発表されたiOSとAndroidのアプリのエコシステムの最新分析によると、世界のアプリ市場はまだピークに達していないとのことだ。data.aiApp Annie)のレポートによると、2022年第1四半期の世界のアプリダウンロード数は、iOSとGoogle Play全体で370億に達し、前年比11%増となった。同四半期にアプリのダウンロード数が最も多かった市場はインド、米国、ブラジルで、メキシコ、トルコ、ブラジルは前四半期比で最も大きな伸びを示したと同社は述べている。

第1四半期には、アプリに対する消費者の支出も増加した。第1四半期の消費者支出は330億ドル(約4兆円)に達し、再び過去最大となった。この点でもiOSアプリが引き続きアプリエコシステムの成長の大部分を牽引し、第1四半期の消費者支出330億ドル(約4兆円)の65%を占め、過去2年間で42%増となっている。65%という数字も、過去5四半期とほぼ同じであるとdata.aiは述べている。

画像クレジット:data.ai

支出の上位カテゴリには、ゲーム、エンターテインメント、写真・動画アプリが含まれる。また、iOSアプリが牽引する消費者支出の割合は、ゲームを除外するとさらに高くなる。ゲーム以外のアプリでは、iOSアプリがGoogle Playアプリに対して消費者支出の73%を占めており、これは主にストリーミングビデオアプリ、デートアプリ、ライブストリーミングアプリのアプリ内購入の人気によるものだ。

また、iOSの医療用アプリ(23%増)や健康・フィットネス用アプリ(20%増)など、当四半期の消費者支出を加速させた小規模なカテゴリーもあったと同社は述べている。Androidでは、パーソナライゼーション、食品・飲料、自動車・車両アプリなどのカテゴリが伸びている。

当四半期の支出に関する大きな節目となったのは、Disney+で、生涯グローバル消費者支出20億ドル(約2400億円)を達成したモバイル企業34社に加わった。

画像クレジット:data.ai

このレポートは、アプリ業界の継続的な成長以外の状況について、あまり説明していない。iOSが引き続き消費者支出を牽引しているように、新しいアプリのインストールの大半は、長年そうであったように、Google Playが牽引している。当四半期のAndroidユーザーは、新興市場でのAndroidの牽引により、合計370億の新規アプリダウンロードのうち285億という膨大な数のアプリをインストールし、前年同期比16%増を記録した。最も多くダウンロードされたアプリは、ゲーム、ツール、ソーシャルアプリだった。

ダウンロード数の上位は、TikTok(ティックトック)、Instagram(インスタグラム)、Facebook(フェイスブック)、Instagram(インスタグラム)などのアプリが独占し、比較的安定していたが、いくつかの顕著な変化があった。第1四半期のSnapchat(スナップチャット)は、最近開始したARショッピングを受け、世界的なアプリの新規インストール数で7位から5位に躍進した。一方、シンガポールを拠点とするコマース企業Shopee(ショッピー)は、2021年に51億ドル(約6200億円)のGAAP収益を報告した後、ダウンロード数で10位から7位に浮上した。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

Dovetail、顧客調査に特化したソフトウェア事業の拡大に向けて71.6億円調達

オーストラリアの顧客調査ソフトウェア企業であるDovetail(ダブテイル)は、Accel(アクセル)が主導する6300万ドル(約71億6000万円)のシリーズAラウンドを完了したと発表した。これにより、同社は総額7000万ドル(約80億円)強の資金を調達したことになり、同社が「7億ドル(約797億円)以上」とする評価額に新たな資金を加えたことになる。

この数字からもわかるように、これは一般的なシリーズAではなく、Accelによる、いわばレイターステージ(後期段階)の投資である。Accelはこれまでも、資金調達額が少なく、自己資金で運営していたテクノロジー企業が成長して大きな収益を上げるまで、大規模な投資を行ってきた

通常のシリーズAとは異なる今回のDovetailのラウンドについて、ここでは同社の初期の歴史と、同社が作っているものから説明する。

ゼロからの起業であったDovetail

TechCrunchは、Dovetailの共同創業者でCEOであるBenjamin Humphrey(ベンジャミン・ハンフリー)氏に、今回の増資について、会社の創業当初にさかのぼって話を聞いた。ニュージーランド出身のハンフリー氏は、ベイエリアのテクノロジー企業で勤務した後、オーストラリアのAtlassian(アトラシアン)に入社して数年間在籍。その後、ベンチャーキャピタルに頼らずにDovetailを共同創業した同氏は、Buffer(バッファ)やBasecamp(ベースキャンプ)といった有名なテクノロジー企業のように、自己資金で会社を成長させていくことを計画したという。

ニッチに聞こえるかもしれない顧客調査市場向けのソフトウェア開発だが、Dovetailは創業当初から十分な支持を得て、チームを6人に拡大し、年間約50万ドル(約7000万円)の売上を自力で達成するまでに成長した。その時点でベンチャー投資家からのアプローチがあり、2019年に約500万豪ドル(約4億円)というごく小さなラウンドを完了した、と同氏は話す。

そのラウンドに参加したFelicis Ventures(フェリシスベンチャーズ)は、2020年末に向けてさらに資本を投入したいと考えていたという。ハンフリー氏によれば、資金は十分だったので、市場でのポジションを示すために1億ドル(約114億円)を超える評価額で1回目のシードラウンドを完了した(教訓:資金調達に関しては、利益を上げて成長していることが真に「おいしい」スタートアップである)。

現在もこの調子である。新しい投資家であるAccelのRich Wong(リッチ・ウォン)氏とArun Mathew(アルン・マシュー)氏によると、DovetailはAccelが投資する機会を得るまで、調達した資金総額の半分しか使っていなかったという。

市場に「ソフトウェア企業は資金を消費せずに成長できる」という傾向はない。つまり、Dovetailが作っているものを買いたいという顧客がすでに存在したということである。

Dovetailが販売しているもの

前述のAccelの2人は、Dovetailが構築しているものを「顧客調査のための記録システム」という新しいカテゴリーで表現する。

ハンフリー氏はもっと平凡な言葉で、自社の製品を「リサーチャーのための生産性向上ツール」と称し、エンジニアにはGitHubがあり、デザイナーにはFigmaがあるが、顧客のリサーチャーには独自のソフトウェアが必要だと指摘する。同氏はさらに、シリコンバレーやもっと規模の大きいスタートアップ企業は、R&Dの「開発」部分のツール開発には力を入れてきたが「研究」部分はそうではなかった、と付け加えた。

Dovetailの製品は、NPS(ネットプロモータースコア)調査、音声、動画、テキストの回答からユーザーのフィードバックデータを収集し、それをチームでタグ付けして機械で分析し、組織全体で共有することができるソフトウェアである。ハンフリー氏によると、顧客に関する組織的な知識を蓄積し、より迅速な意思決定を行えるようにするための企業向けのリレーショナルデータベースを構築することが目標だ。

例えば、プロダクトマネージャー(PM)が会社を辞めると、彼らと同時にかなりの量の知識がなくなってしまう。新しいPMは知識がないので、仕事を回すために会社中を質問して回らなければならない。Dovetailの製品を使えば、調査から得たデータや知識を永続的に保存して利用することができる。

成長

筆者はDovetailの活動について学んでいる最中なので、同社が顧客調査ソフトウェア市場を開拓していく中で、より多くのことが達成されることを期待している。現段階でいえることは、Dovetailは雑草のように成長しているということだろうか。ハンフリー氏によると、同社は2021年、収益と顧客数を3倍にしたという。すべてセルフサービスで、数カ月前に初めてアカウントエグゼクティブを採用した企業が、である。まさしく製品が主導する成長だ。

製品主導の成長とは、実際のサービスや商品が顧客を引き寄せるという考え方で、本質的にはプロダクトマーケットフィット(PMF、顧客を満足させることのできる製品が適切な市場で受け入れられている状態)の概念を再構築したものである(あるいはPMFの本来の意味をさらに純粋にしたものかもしれない)。いずれにしても、投資家によれば、Dovetailはまだ創業からそれほど時間が経っていないにもかかわらず、2022年も前年と同じ成長率を達成するか、少なくともそれに近くなるという。同社はすでにユニコーンに近い存在なのだ。

ハンフリー氏自らが、今後数カ月間に新たな資本のニュースを教えてくれることはないだろう。2022年の後半に同社の成長について彼を質問攻めにしようと思う。

画像クレジット:Vladyslav Bobuskyi / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Dragonfly)

2021年第3四半期のChromebook販売が激減、教育市場が飽和状態になったとの分析

市場調査会社Canalys(カナリス)が米国時間11月1日に発表したレポートによると、第3四半期の全世界におけるPC販売台数は2%減少したという。だが、最新のPC市場調査の中で最も驚くべきデータは、Chromebook(クロームブック)の全ノートPC販売台数に占める割合が、前四半期の18%から今四半期はわずか9%に半減したことだ。

市場全体にとって良いニュースは、第3四半期の販売台数が1億2200万台を超え、新型コロナウイルス流行前の水準を上回ったことだが、全体的なサプライチェーンの問題により、今後数四半期の間にPCメーカーの生産状況が悪化する可能性があり、嵐の気配も迫りつつあるようだ。

新型コロナウイルス流行に起因する販売熱がようやく落ち着き、Chromebook全体の販売台数は前年同期比37%減の530万台となった。この数字はChromebook販売の低迷を反映しており、大手Chromebook販売店は大きな打撃を受けている。トップベンダーのLenovo(レノボ)は前年比の20.9%減、2位のHPは66.1%減、3位のAcer(エイサー)は28.6%の減少となった。

Canalysはその原因について、部品不足やその他のサプライチェーンの問題よりも、市場の飽和が影響していると推測している。「第3四半期のChromebookの出荷台数は、前年同期比37%減(前四半期比52%減)となり、Chromebook市場は大きな落ち込みを見せています。これは、米国や日本などの主要な教育市場が飽和状態に達し、公的機関によるデジタル教育プログラムへの資金提供が鈍化しているためです」と、調査会社は述べている。

画像クレジット:Canalys

一方、タブレット端末の全世界における出荷台数は、前年同期比で15%減少。23%増加したアジア太平洋地域を除き、すべての地域で販売台数が減少した。北米では24%の減少となった。

Apple(アップル)は、前年同期の34.4%から上昇して40%のタブレット市場シェアを維持したものの、販売台数は前年とほぼ変わらなかったため、成長率は0%となった。Samsung(サムスン)のシェアは、前年同期の20.4%から今期は19.1%へとわずかな減少だったが、販売台数は2020年比で20.2%減と急激に落ち込んだ。3位のレノボは11.3%のシェアを獲得。前年同期の9.5%から上昇し、成長率はわずかながらプラスの2%だった。

PC全体では、トップベンダーのレノボが4.1%増、2位のアップルは4.6%増、そして3位のHPは5.7%減と、HPは特にChromebookの売上減少の影響を大きく受けたようだ。

CanalysのリサーチアナリストであるBrian Lynch(ブライアン・リンチ)氏は、サプライチェーンの問題があるとはいえ、ホリデーショッピングシーズンには、ある程度の安心感が得られるだろうと述べている。

「第4四半期の売上高は、サプライチェーンの問題にもかかわらず、前四半期比で改善が見られるでしょう。これは主に、ホリデーシーズンに関連して消費者の需要が世界的に高まるためです。この需要は、低コストで材料費の少ないデバイスに向けられるでしょう。消費者はより高性能ではないデバイスを購入する傾向にあるため、部品メーカーへの負担は軽減されます」と、リンチ氏はTechCrunchに語った。ただし、Canalysでは、第4四半期の前年同期比成長率は比較的落ち着くと見ており、2022年以降はわずかながらも安定した成長が期待できるとしている。

なお、Canalysの市場調査方法は、最終顧客への販売ではなく、チャネルへの販売をカウントしたものであることは、記しておく必要があるだろう。つまり、消費者であるユーザーではなく、Best Buy(ベストバイ)やStaples(ステープルズ)のような企業に販売した台数をカウントしているのだ。

画像クレジット:Filipovic018 / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

企業のクラウドに対する支出が2020年に初めてオンプレミスを上回る、しかも大きく

クラウドインフラストラクチャー市場が急成長している一方で、ワークロードの大部分はオンプレミスに留まっているという見解が一般的だ。しかし、Synergy Research Group(シナジー・リサーチ・グループ)の新たな調査によると、クラウドインフラへの支出は、2020年に初めてオンプレミスへの支出を上回ったという。しかも大差でだ。

「シナジー・リサーチ・グループの新しいデータによると、企業のクラウドインフラストラクチャサービスに対する支出は、2020年に積極的に増え続け、35%増の約1300億ドル(約14兆2000億円)に達しました。一方、データセンターのハードウェアおよびソフトウェアに対する企業の支出は、6%減の900億ドル(約9兆8000億円)以下となりました」と、同社は声明で述べている。

シナジー社のデータによると、10年ほど前からクラウドに対する支出は増加傾向にあったものの、2020年まではオンプレミスのソフトウェアを優先する支出が多く、2つの数字は前年の時点でほぼ互角になったという。シナジー社のチーフアナリスト兼リサーチディレクターであるJohn Dinsdale(ジョン・ディンズデール)氏は、今回の新しいデータが、2020年に多くの企業の最高情報責任者(CIO)が支出をクラウドにシフトさせたことを示していると語る。

「重要なのは、企業が何にお金を使っているかということです。我々はそれを調査しています。各企業のCIOが、クラウドサービスに多くの資金を投じることを選択し、オンプレミス(またはコロケーション)のデータセンター資産に対する支出を大幅に削減していることは極めて明らかです」と、ディンズデール氏は筆者に語った。

画像クレジット:Synergy Research Group

オンプレミスの支出総額には、サーバー、ストレージ、ネットワーク、セキュリティおよびハードウェアを動作させるために必要な関連ソフトウェアが含まれている。「このデータにおけるソフトウェアというのは、主にサーバOSと仮想化ソフトウェアです。SaaSとオンプレミスのビジネスアプリケーションソフトウェアを比較することは、まったく別の話になります」と、ディンズデール氏は言っている。

オンプレミスとクラウドの数字がこのように分かれているのを見ると、世界のIT支出に占めるクラウドの割合はまだ比較的小さいというGartner(ガートナー)の調査結果などと、これらの数字をどうやって比較するかは考える価値があるだろう。今日のハイブリッドな世界では、ワークロードは行き来するため、その瞬間にどこに存在するかを数値で示すことは難しいと、ディンズデール氏はいう。

「パブリッククラウドで稼働しているワークロードはごく一部である、というコメントをよく目にします。しかし、私が問題にしているのは、『ワークロード』という概念が、特にそれを数値で示そうとする場合、非常に曖昧なものであるということです」と、同氏は語った。

新型コロナウイルスの影響で、企業がクラウドに移行するスピードが、平常時よりも格段に早まったことには留意する必要があるものの、しかし、ディンズデール氏によれば、この傾向は何年も前から見られていたものであり、ウイルスの感染流行が加速させなかったとしても、動向は変わらなかっただろうと同氏はいう。

どの数字を見ても、クラウドインフラ市場がオンプレミス市場よりもはるかに速く成長していることは明らかであり、今回のシナジー社の新しいデータは、企業のCIOがクラウドに賭け始めていることを示している。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:調査ハイブリッドクラウド

画像クレジット:gremlin / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)