新iPad ProもApple M1チップ搭載

予想されたとおり、米国4月20日にあったApple(アップル)のSpring Loadedイベントでのビッグニュースは、ハイエンドなタブレットの新バージョンだ。新しいiPad Proは、同社のMacラインナップに導入されたM1チップを搭載した初の製品となる。新しいチップは8コアCPUを搭載し、前世代に使用されているA12Z Bionicよりパフォーマンスは最大50%速くなる。またグラフィック性能が最大40%高速になる8コアGPUも搭載する。RAMは最大16GB、ストレージは2TBだ。

新iPad Proは同社のタブレットとデスクトップの境界をさらに曖昧なものにし、バッテリーは「1日中」持つよう改善された。またUSB-CにThunderboltのサポートを追加し、これにより外部ディスプレイサポートや有線での最大40Gbpsでのデータトランスファーを含む数多くの新機能が利用できるようになる。

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新iPad Proは5Gに対応しているiPhoneのラインナップの仲間入りも果たした。新iMacのように、新iPad ProはAppleシリコンに搭載した新たなISPのおかげでイメージングが向上した。これは新しいウルトラワイドカメラと一体となっている。120度の視野角、新しい「センターステージ」機能などにより、電話会議能力の改善が図られるはずだ。「センターステージ」はユーザーを追いかけるというもので、一部のスマートディスプレイで見られるテックと似ている。Appleはそのエクスペリエンスを次のように表している。

ユーザーが動き回るとセンターステージはユーザーがショットに収まるよう自動でパンを調整します。他の人が加わると、カメラはそれを感知してみんながショットに入るようスムーズにズームアウトして、みんなが会話に参加できるようにします。ですので、同僚とホワイトボードを使っていると、あるいはバーチャルの家族の集まりに参加しているとき、つながる体験はこれまでよりもさらに没頭できるものになります。

Dolby Atmos(ドルビーアトモス)再生にも対応する4つのスピーカーを搭載している。

Appleのマーケティングチームによると、新しいiPad Pro(さしあたって12.9インチのみ)はグレードアップしたディスプレイLiquid Retina XDRを搭載する。これによりハイダイナミックレンジがかなり向上している。ディスプレイの光源は1万個のマイクロLEDで、バッテリー駆動時間を損なうことなくコントラスト比の大幅改善と輝度1000ニトを実現している。

11インチバージョンは799ドルから、Liquid Retinaディスプレイを搭載した12.9インチバージョンは1099ドルからだ(編集部注:日本では11インチが税込9万4800円から、12.9インチは税込12万9800円から)。本日発表された他のプロダクトとともに、プレオーダーの受け付けは4月30日に開始し、出荷は5月後半に始まる。

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

M1 iMacの電源アダプターは磁気コネクタとEthernetポートを搭載、他製品でも採用か

Apple(アップル)は、自社開発のM1シリコンを搭載した新型iMacを発表した。数多くのアップデートアップグレードの中には、Ethernet(イーサネット)ポートを搭載した新しい電源アダプタがある。一見すると、奇妙なI/Oポートの配置のようにも思えるが、この機能は将来のアップル製ラップトップでもっと理に適ったものになる可能性が高い。

M1 iMacは前世代よりもずっと薄くて新しいデザインを採用しており、アップルはEthernetポートのためのスペースを確保したくなかったのだろう。存在するI/Oポートは3.5mmのイヤホンジャックと、いくつかのUSB-Cポートだけのようだ。電源アダプター自体は新しい磁気コネクタを採用しており、コンピュータのUSB-Cポートを専有しない。そして、Ethernetポートは電源アダプターに追いやられた。

この配置にはいくつかのメリットがある。それは、コンピューターの背面の混雑を減らしつつ接続性を向上できることだ。これは、ポータブルコンピューターではさらに重要だろう。

アップルは製品ライン全体で部品やアクセサリーを共有していることで知られており、この電源アダプタが他の製品にも採用される可能性は高い。同社は2016年にラップトップでUSB-Cを採用した際に、磁気式のMagSafe電源コネクタの廃止を開始しており、同様の機構が製品ラインに戻ってくることはすばらしいことだ。またアップルは2012年に、MacBook ProのEthernetポートを廃止している。

いくつかの企業が、アップルの電源アダプターのアドオンを提供している。Twelve South PlugBug Duoのようなこれらの製品は電源アダプタにUSBポートを追加するが、Ethernetポートを提供するものはまだない。


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(文:Matt Burns、翻訳:塚本直樹 / Twitter

アップルがカラフルな新iMacを発表

何年も待たされたが、ついにApple(アップル)はiMac(アイマック)の劇的な新デザインを世界に発表した。これは「コンピューターを見えなくする」というAppleの長年の目標に沿ったものだ。もちろん、それは薄い新デザインだけに当てはまる表現だが、とても目を見張らせる仕上がりだ。当然のことながら、この24インチのオールインワンデスクトップの最新版は、同社が開発した新しいM1チップを搭載している。

このスクリーンは4.5K Retina(レティナ)ディスプレイで、1080pのカメラも備わっている。これはMacシリーズとしては初めてのことで、在宅勤務者にとっての生命線となるような製品であることから、Appleがオーディオとビデオの両方に真剣に取り組んでいることが示されている。より良いカラーバランスを実現するTrue Tone(トゥルー・トーン)を搭載しており、6つのスピーカーを搭載することでサウンドも向上している。ディスプレイは、1130万画素、P3色域、500nitsの輝度を実現している。最新のiMacモデルと同様に、画面の映り込みを軽減する反射防止コーティングを採用している。

新しいiMacは大幅な薄型化を実現し、全体の体積は半分になったとのことだ。また、背面も曲面ではなく平面となっている。この新しいチップは、デザインの大幅な薄型化を可能にしただけでなく、私たち自身が目にした従来の最新Macたちよりも、はるかに高速なパフォーマンスを実現している。Appleによれば、今回の製品は前モデルと比較して、最大85%の高速化を実現し、GPUは最大2倍、機械学習は3倍の速度になっているという。

ここでは、同社が直接発表した数字を紹介しておこう。

  • CPU性能が最大85%向上したことにより、ユーザーはiMovie(アイムービー)でお気に入りのビデオプロジェクトをこれまで以上に高速に書き出したり、Lightroom(ライトルーム)で100メガピクセルの大きな写真を簡単に処理したり、Xcode(エックスコード)で新しいアプリケーションをあっという間にコンパイルしたりすることができる。
  • Affinity Photo(アフィニティ・フォト)やPhotoshop(フォトショップ)などの特定のアプリケーションではGPUパフォーマンスが最大2倍になって、これまで21.5インチiMacに搭載されていた最も強力な分離型グラフィックスと比較しても最大50%高速化されているために、編集内容をリアルタイムにレンダリングしたり、写真に複雑なフィルターを瞬時に追加したりすることができる。
  • Final Cut Pro(ファイナルカットプロ)では、最大5本の4K映像のストリーム、または1本の8K映像のストリームを、フレームを落とすことなく編集することができる。
  • M1の16コアNeural Engine(ニューラルエンジン)を活用したアプリでの機械学習が最大3倍高速化。

背面には、高速化のために2つのThunderbolt(サンダーボルト)を含む最大4つのUSB-Cポートがある(USB-Aにさよならを)。また新しいマグネット式電源アダプターには1GbpsのEthernet(イーサネット)を接続できる。まあ少なくとも本体の背面は少しはすっきりするはずだ。システムは7色のバリエーションで提供される。価格は1299ドル(日本では税込15万4800円)からだ。この場合、7コアのGPU、8コアのCPU、8GBのRAM、256GBのストレージとなる。ポートはThunderbolt2ポートのみ。色はグリーン、ピンク、ブルー、シルバーの4色からの選択となる。1499ドル(日本では税込17万7800円)のモデルでは、8コアのGPUとなり、2つのUSB-Cポートが追加され、イエローとオレンジとパープルが追加されている。

また、TouchIDを搭載したカラフルなMagic Keyboard(マジック・キーボード)など、新しいアクセサリーも用意されている。新型iMacは日本でも4月30日に予約を開始し、5月後半に出荷を開始する。

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(文:Brian Heater、翻訳:sako)

アップルがMagic KeyboardにTouch IDを搭載

Apple(アップル)は米国時間4月20日、同社が設計したM1チップを搭載した新しいカラフルなiMacを発表した。また、アップルはこの機会を利用して新しいMacアクセサリーをリリースしている。複数のカラーオプションを用意したMagic TrackpadとMagic Mouseに加えて、新しいMagic KeyboardではデスクトップMacでTouch IDが利用できる。

デスクトップでのTouch IDは、期待どおりに機能する。キーボードの右上には指紋センサーが用意されている。これは既存のアップル製キーボードにある、イジェクトキーに代わるものだ。これによりコンピュータのロック解除、Apple Payでの支払い、パスワードマネージャーのロック解除などができる。

興味深いことにTouch IDはワイヤレスで動作するため、LightningケーブルでキーボードをMacに接続する必要がない。キーボードには専用のセキュリティコンポーネントが組み込まれている。そしてM1のSecure Enclaveと直接通信するため、M1チップを搭載した最新のMacでしか動作しない。この新しいTouch IDのセキュリティ実装は興味深い。

【Japan編集部】8コアCPU・8コアGPUの新しいiMacはTouch ID搭載Magic Keyboardが同梱されるが、8コアCPU・7コアGPUのモデルでは、従来のMagic Keyboardが同梱される。

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(文:Romain Dillet、翻訳:塚本直樹 / Twitter

新型iMacがついに高画質なウェブカメラを搭載

Apple(アップル)は米国時間4月20日火曜日のイベントで、M1プロセッサを装備し、内部から外部まで再設計した新型iMacを発表した。ハードウェアもすばらしいが、Zoomを多用する生活にとって最大の改善点の1つはウェブカメラかもしれない。アップルはこれを「Mac史上最高のカメラ」だと伝えており、それ自体は大して意味はないが、スペックからするとこれは大幅なアップグレードだ。

今回のウェブカメラはついに1080p解像度での録画を達成し、大きなセンサーを搭載して低照度でのパフォーマンスを大幅に改善した。M1チップはより優れた画像信号処理能力を持ち、ソフトウェアにてオンザフライで画像を補正および改善する。これにより、古くて性能の悪いウェブカメラを搭載した既存のMacBook AirやMacBook Proのハードウェアでも、画質が向上する。

つまり、新型iMacのウェブカメラは本当に画質が良く、あるいは少なくとも恥ずかしい画質ではない。アップルがNeural Engineと呼ぶM1に搭載された機械学習プロセッサは、リアルタイムで動作して照明を最適化し、ノイズを低減する。

カメラに加えて、アップルは新しいビームフォーミングマイクを3つのマイクアレイに採用し、ユーザーの声に焦点をあわせて音声を最適化し、バックグラウンドノイズを除去するとしている。要は、古臭さを感じさせないビデオ会議体験を提供できるはずだ。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:塚本直樹 / Twitter

6月公開予定のLinuxカーネル5.1.3がAppleシリコン「M1」搭載Macをサポート開始の可能性

6月公開予定のLinuxカーネル5.1.3がAppleシリコン「M1」搭載Macをサポート開始の可能性

Apple

これまでAppleシリコン「M1」チップ搭載MacにLinuxを移植する様々な取り組みがありましたが、6月に公開予定の安定版Linux 5.13カーネルで予備的なサポートが追加される可能性があると報じられています。

Asahi Linux公式アカウントは、M1対応のプルリクエスト(コードなどを追加・修正した際に、本体への反映を他の開発者に依頼する機能)がSoC向けLinuxにマージされ、Linux 5.13に反映されるだろうと報告しています。

このAsahi LinuxはM1へのLinux移植プロジェクトの1つであり、主催者のHector Martin氏が独特すぎるM1の仕組みに苦戦していることが語られていました

Linux関連情報サイトPhoronixによると、M1 MacでのLinux動作状況はまだ道半ばではあるものの、Linux 5.13カーネルにてサポート追加できる程度には「よい状態」になっているとのことです

今年の初めからM1チップを搭載したMac mini、MacBook Pro、MacBook AirでLinuxカーネルを起動するために何度かカーネルパッチが適用され、起動に必要なドライバが導入されていると説明されています。つまり、ひとまず起動はできる見込みは高い、というわけです。

この最初期となるM1 Linux移植では、UART、割り込み、SMP、DeviceTreeビットといった基本的な機能を備えているとのことです。またSimpleFBベースのフレームバッファ(画面表示まわり)も搭載されていますが、3D/ビデオアクセラレーションの動作はかなり難航しているもようです。

M1 Mac上でLinuxを動作させる試みとしては、他にも新興企業Corelliumが「完全に使用可能な」ものを移植したと発表していました。ただし、そちらもGPUアクセラレーションはサポートされず、描画はソフトウェアレンダリングに依存しており、M1 Macの持てる機能すべてを引き出せているとは言い難い状況です。

アップルが自社開発のM1チップにつき仕様を完全公開したり、GPUへのアクセス方法を教えるとは考えがたいことです。まだまだ実用にはほど遠く、注ぎ込まれた莫大な努力に見合う価値があるかどうかも不明ですが、その過程で「Appleシリコンはなぜ、これほど(価格の割に)パフォーマンスが高いのか」の謎が解き明かされていくのかもしれません。

(Source:PhoronixAsahi Linux(Twitter)、via:9to5MacEngadget日本版より転載)

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タグ:Asahi LinuxApple M1(製品・サービス)Appleシリコン / Apple Silicon(製品・サービス)OS / オペレーティングシステム(用語)Linux(製品・サービス)オープンソース / Open Source(用語)Vulkan(製品・サービス)

Appleシリコン「M1」MacでLinux直接起動を目指す「Asahi Linux」、独自ブートローダーm1n1開発

Appleシリコン「M1」MacでLinux直接起動を目指す「Asahi Linux」、独自ブートローダーm1n1開発

Kim Kulish/Corbis via Getty Images

アップル独自開発のM1チップ搭載Macは優れたパフォーマンスが開発者やユーザーから高評価を得ているものの、macOS以外のOSは公式にサポートされていません。そこでLinuxを移植して動かそうというプロジェクトの1つが「Asahi Linux」(Asahiはリンゴの品種名であるMacintoshの和名「旭」から)であり、クラウドファンディング等から資金を募って活動中です(Github)。

その主催者である個人開発者のHector Martin “marcanがブログで初めて進捗報告し、独特すぎるM1のしくみがプロジェクトをどれほど難しくしているかを説明しています。

まずAppleシリコン(M1をはじめアップル独自設計のプロセッサ)搭載Macの起動プロセスは、一般的なPCとは全く違うとのこと。どちらかというとAndroid携帯やiOS端末のような組み込みOSに近く、独自のしくみがいくつも織り込まれていると述べられています。

しかしアップルは起動プロセスを従来のインテル版Macに近づけようと色々な手段を講じており、そのために実際の動作はより複雑になっている模様です。

そのためAsahi Linuxプロジェクトは、「m1n1」なる特注ブートローダーの開発を余儀なくされました。その元になったのはニンテンドーWiiの脱獄研究の一環として作成された「mini」にあり、サードパーティ製コードを起動したり、あるいは開発用コンピュータからリアルタイムでマシンを制御できるしくみも継承されている趣旨が語られています。

そうしてm1n1を通じてアップル独自のシステムレジスタや割り込みコントローラなどハードウェアの文書化に懸命に取り組んできたとのこと。M1チップはArm64アーキテクチャではありますが、独自のシステム周りに関するドキュメントがほとんどなく、自前で分析して資料作りをすることを迫られたわけです。

興味深いのは、Appleシリコンプラットフォームに使われた技術が、どれほど古い製品に由来しているか解き明かされていることです。上記のように起動プロセスはiOS、シリアル通信に使われているUARTチップはサムスン製品、PWRficicentチップに基づくデザインはAmigaOne X1000(2010年に発売されたAmigaクローン。元々のAmigaは1985年発売)でも使われていたというぐあいです。

今後m1n1は強力な研究ツールとなるよう、機能が追加されていく予定と語られています。特に野心的な目標の1つは、その上でmacOSを起動できる非常に軽量なVM hypervisor(仮想マシンを動かすための制御プログラム)に変えて、ハードウェアへのアクセスをすべて傍受すること。これによりアップルのドライバーがどのように動作するか、1つずつ分解せずに調査できて分析が捗ると示唆されています。

このプロジェクトに先行するものとして、すでにM1 Mac上で仮想化なしに「完全に使える」CorelliumによるLinux移植もあります。が、こちらもGPUアクセラレーションは使えず、ネットワーク機能もUSB-Cドングルが必要など、まだまだ実用の域からは遠い感があります。

ほかM1 Mac向け非アップルOSとしては、Arm版Windows 10が挙げられるでしょう。仮想化アプリ上では一歩ずつ実用化に近づいている様子ですが、直接に起動できるBootCampは実現するのか、今後の展開を待ちたいところです。

(Source:Asahi Linux。via:The Register9to5MacEngadget日本版より転載)

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アドビがAppleシリコンMac用ネイティブPhotoshopとディテールを損なわずに画像を拡大する機能を提供

Adobe(アドビ)は、同社の画像処理ソフトウェアが、Apple(アップル)の新しいMac用内製プロセッサAppleシリコン(M1)上でネイティブに動作するように、画像処理ソフトウェアのアップデートを急ピッチで進めている。M1プロセッサの搭載は、2020年末に発売されたMacBook ProとMacBook Airを皮切りに始まっている。LightroomとCamera RawのM1ネイティブ版を出荷した後、今度はAppleシリコンに最適化されたバージョンのPhotoshopのリリースを行おうとしている。このバージョンはAppleのRosetta 2ソフトウェアエミュレーションレイヤー上で動作するIntel版と比較して、大きなパフォーマンスの向上が実現されている。

どれくらい速くなったのだろう?Adobeの内部テストでは、エミュレート版で行われる同じタスクと比較して、Photoshopで提供されている多くの異なる機能で、最大1.5倍のパフォーマンスの向上が見られるとのことだ。しかし、これはほんの始まりに過ぎない。Adobeは、Appleとの協力の下で、Appleシリコン上のソフトウェアから時間をかけてさらなる性能向上を引き出すことを続けていくと述べている。M1フレンドリーな追加機能には「クラウドドキュメント編集への招待」や「プリセット同期」オプションなど、まだ欠けている機能もあるが、そうした機能は将来のバージョンで移植されていく予定だ。

Appleシリコン版のPhotoshopに加えて、Adobeは同梱されるCamera Rawのプラグイン(後でLightroom用にもリリース予定)に、新しいSuper Resolution(超解像度)機能をリリースしている。これは、大規模な画像データセットで訓練された機械学習を使用して、細部を維持したまま写真を巨大なサイズに拡大する機能だ。Adobeは以前、複数の露出を組み合わせて解像度を上げる超解像度オプションを提供していたが、今回の機能は1枚の写真で効果を発揮する。

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それは古典的な「コンピューター、解像度を上げて」式のSF機能を現実のものにした。この機能は、以前Photoshopが導入した「Enhance details(ディテールの強化)」機能の上に構築されている。もしAdobe信者でなければ、おそらくPixelmator Pro(ピクセルメーター・プロ)の「ML Super Resolution」機能を知っているかもしれない。この機能は異なるMLモデルとトレーニングデータセットを使用しているが、ほとんど同じように動作する。

AdobeのSuper Resolutionの動作例(右側)

肝心な点は、AdobeのSuper Resolutionは、水平解像度で2倍、垂直解像度で2倍の画像を出力するということだ。すなわち合計では4倍の画素数となる。このことは、ディテールとシャープネスを維持しながら行われる。つまり、これまではそのような拡大に耐えられなかった画像から大きなプリントを作成することができるようになるということだ。また、今まではぼやけてしまって残念な結果になっていた要素の明瞭な映像を取り出すために、コレクション内の写真をトリミングするのにも最適だ。

この機能は、CoreMLやWindows MLなどをはじめとする、機械学習(ML)ジョブに最適化されたGPUの恩恵を受けている。AppleのM1チップには「Neural Engine」(ニューラルエンジン)と呼ばれるML処理専用エリアが組み込まれているので、こうした用途にはぴったりなのだ。同様に、NVIDIA(エヌビディア)のGPUであるRTXシリーズとそのTensorCores(テンソルコア)もこうしたタスクに適している。

またAdobeは「Photoshop for iPad」についても、同社のクラウドドキュメント非ローカルストレージ用のバージョン履歴などの、いくつかのメジャーアップデートを公開している。またクラウドドキュメントのバージョンをオフラインで保存し、デバイス上でローカルに編集することも可能になった。

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タグ:AdobeAdobe PhotoshopApple M1Appleシリコン画像編集

画像クレジット:Adobe

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(文:Darrell Etherington、翻訳:sako)

元NSAのセキュリティ研究者がAppleシリコン「M1」Mac搭載でネイティブ動作する初のマルウェア発見

元NSAのセキュリティ研究者がAppleシリコン「M1」Mac搭載でネイティブ動作する初のマルウェア発見

アップル独自開発のAppleシリコンことM1チップ搭載Macが発売されてからわずか数か月ですが、早くもネイティブ動作するマルウェアが発見されました。

この発見は、元NSA(米国家安全保障局)所属のセキュリティ研究者であるパトリック・ウォードル氏が、自らのブログObjective-Seeにて報告しているもの。M1 Macではインテル製チップ向けバイナリをRosetta 2で翻訳して動かすこともできますが、ウォードル氏が見つけたのはM1向けに再コンパイルされたArm64コードが含まれるものです。

具体的には以前からインテルMacを標的としているアドウェア「Pirit」をM1ネイティブ対応にした「GoSearch22.app」だったとのこと。このバージョンは大量の広告を表示し、ユーザーのブラウザからデータを収集することを目的としていると推測されています。

ワードル氏がこのマルウェアを発見したのは、Alphabetが所有するウィルス対策サイト(ファイルやWebサイトのマルウェア検査を行う)VirusTotalでした。さらにワードル氏は、GoSearch22は2020年11月23日にアップル開発者IDで実際に署名されていることも指摘。アップルはその時点で証明書を失効させていますが、野良で見つかったことからmacOSユーザーが感染した可能性があると述べられています。

それに加えてワードル氏は、VirusTotal上でx86(インテル製チップを標的としたもの)版を検出できたウィルス対策ソフトのうち、15%しかM1版のGoSearch22をマルウェアだと判定できなかったと報告しています。すなわち、ほとんどのアンチウイルスソフトはM1向けに設計されたマルウェアに対応する準備が整っていない、ということ。

この報告につき、別のセキュリティ研究者トーマス・リード氏はWiredに(既存のマルウェアを)M1向けにコンパイルすることは「プロジェクトの設定でスイッチを入れるのと同じぐらい簡単にできます」とコメントしています。

かつて「MacはWindowsよりもマルウェアの危険性が低い」との通説がありましたが、2019年にはMacがWindowsを上回ったとの調査結果もありました。一般にプラットフォームの普及が進むほど攻撃の対象となりやすくなり、かつM1 Macは順調な売れ行きを示していることもあり、今後はアップルもセキュリティ対策に頭を痛めるのかもしれません。

(Source:mObjective-See、via:9to5MacEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:セキュリティ
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ホスティングのScalewayがMac miniのクラウドインスタンスを立ち上げ

クラウドホスティング企業のScalewayが米国時間2月2日、新たなタイプインスタンスとしてM1チップで動くAppleのMac miniを追加した。この新しいインスタンスの料金は1時間0.10ユーロ(約12.6円)となる。24時間nお最小契約量が設けられている。

Scalewayはこの新しいコンピューターをパリのDC4データセンターでホストする。このデータセンターは以前、地下の核シェルターだった場所だ。当面、Mac miniはそこだけで、アムステルダムやワルシャワのデータセンターにはない。

コンソールからMac miniを立ち上げるとRAM 8GB、SSDが256GB、そしてmacOS Big Sur搭載のエントリーレベルのMac miniが現れる。そしてそれはもちろん、Appleの初のArmベースのチップM1を使っている。

その後、VNCを使用してインスタンスに接続可能で、デスクトップ環境が表示され、通常のMacと同じように使用できる。コマンドラインインターフェイスだけが必要な場合は、SSHを使用してインスタンスに直接接続することもできる。

Scalewayは、Mac miniインスタンスを提供する初めての企業ではない。Amazon Web Servicesも最近、独自のMac miniインスタンスを立ち上げたが、それはIntel i7 CPUを使っていて1時間1.083ドル(約113.8円)、24時間26ドル(約2732.3円)だ。同社も今後、M1搭載miniを展開するのだろう。

MacStadium、MacinCloud、MacWeb、Mac Mini Vaultなど、Macにフォーカスしたホスティング企業もいくつかある。MacStadiumでは、M1で動くMac miniでRAM 8GB、ストレージ256GBのインスタンスが月額109ドル(約1万1454.9円)だ。Scalewayよりもやや高い。ScalewayではMac miniインスタンスが30日で72ユーロ(約9092.6円)だ。

Macのサーバーは開発目的にも使うことができ、CI / CDがサポートされる。iOSアプリを作るならMacが必要となる。Ubuntuのサーバーでは無理だ。そのためアプリ開発をサーバー上で行いたいのであれば、Macをレンタルするしかない。

しかしMacのサーバーにはほかの用途もある。たとえばmacOSのアプリケーションを、リリースする前にAppleシリコンでテストしたい場合もあるかもしれない。あるいは単純に、M1で遊んでみてもいい。

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カテゴリー:ネットサービス
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画像クレジット:Olly Curtis/Future/Getty Images

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(文Romain Dillet:、翻訳:Hiroshi Iwatani)

M1搭載MacBook Airレビュー、新しい扉を開けたAirは多くの人におすすめしたいAppleシリコンMac

ハードウェアのレビューはおおむね退屈な仕事だ。ときには、何か新しいものや、地球を震わせる可能性のあるものが登場するが、全体としては地道な進歩があるだけだ。製品ラインを新鮮に保つために、小さく徐々に変化を刻んでいく中で、やり方を間違えなければ、ライバルとの差別化を果たすことができる。

Apple(アップル)も、もちろんその意味で、誰にも負けないくらい有罪だ。これは、12カ月から24カ月で繰り返される製品サイクルの宿命に過ぎない。すべてのリフレッシュが革命とはなり得ないのだ。しかし、それがいつものことだとしても、やがてゲームチェンジャーはやってくる。製品ラインにより深い変革をもたらす、否定しようもない何かが、状況を変えるのだ。前回から3カ月の時間をおいて開催された、2020年3度目の大規模プレスカンファレンスで発表された3種のMac(マック)には、まさにそれが当てはまる。

かつてアップルが、それまで10年以上にわたって依存していたチップテクノロジーのPowerPC(パワーPC)から、インテルプロセッサーに跳び移ってから15年が経った。そのときの移行は、アップルが選んだ技術の限界に突き当たったために行われたものだ。それまでPowerPCはアップルを大いに支えていたが、それでもアップルが欲する次世代ポータブル端末のためのパワーに欠けていたのだ。

そのときの移行と同様に、Appleシリコンへの動きは何年も前から続いてきた。同社は、サードパーティ製のコンポーネントから脱離するために、全体的な努力を続けてきた。とりわけ、市場で基本的に他社と同じ部品を使っている限り、製品を差別化することはますます難しくなってきている。もちろん、独自のプロセッサを生み出すことは、時間のかかる難しいプロセスだ。しかし、ありがたいことに、同社は幸先のよいスタートを切ることができた。

画像クレジット:Brian Heater

同社のモバイルデバイスを駆動するArmベースのチップが、素晴らしい出発点となった。アップルはこれまで数世代にわたり続けてきた学習の成果に基いて構築を行うことが可能になり、アップルのソフトウェアが追い求める永遠の聖杯、すなわち完璧な互換クロスエコシステムに、ますます近付くことになる。iOSで実現された要素は、何年もの間にmacOSへと少しずつ取り込まれ続けてきた(この傾向はBig Surで間違いなく加速している)。またIntel Macオーナーたちの移行を簡単にするために、アップルはmacOSとiPadOSでソースコードを共有できるCatalyst(カタリスト)を提供している。

画像クレジット:Brian Heater

数え切れないほどの噂と数カ月のおあずけの後、3種のAppleシリコンMacがついに登場した。そしてその結果は、ひと言でいうなら「素晴らしい」だ。過去数日間の間に、コミュニティに多くの驚きをもたらした、さまざまなベンチマークの結果を、きっと目にしていることだろう。アップルが自身のプレゼンテーションでそのパフォーマンスについて語ったのは事実だが、具体的なベンチマークなしではそうした数値は割り引いて考えられがちだ。TechCrunchでは3人の記者が3つのシステムを手分けしてレビューすることになった。そして正直なところ、みんながこのシステムができることに圧倒されたといっても過言ではない。

さて、まずはM1を簡単に紹介しよう。

  • 2倍のパフォーマンス向上を謳う8コアCPU
  • 最大2倍のグラフィック性能の向上を提供する、7コアまたは8コアGPU(利用するAirモデルによって異なる)
  • 16コアのニューラルエンジン
  • 処理性能の向上
  • 画像信号処理の改善

特にAirはエアは、2020年3月にリリースされた同システムの最新バージョンの、真に力強い改良バージョンとなっている。すべてが明かされたいまでは、それはまるで、はるか昔のことだったように感じるかもしれないが、実のところわずか8カ月前のことなのだ。このシステムは、特に2つのベンチマークで優れている。すなわちバッテリー持続時間(簡単なビデオ再生によって測定)と、システムのCPUとGPUのパフォーマンスを、実際の状況をシミュレートしながらテストするGeekbench(ギークベンチ)だ。ついでながらいうなら、すべてのあらゆる動作が機敏なのだ。

画像クレジット:Brian Heater

アプリはほぼ瞬時に開き、4Kビデオの編集などのリソース集約的なタスクは、驚くほどキビキビ動く。これらのいくつかは、システムを限界まで追い込まずとも、すぐに気づくことができる変化だ。スリープ状態からすぐに利用可能になるという、巧妙な仕掛けのことを考えてみよう。これは、モバイルデバイスでは当たり前のことだが、デスクトップではあまり見かけることはない。

これらの進歩は、おそらく当然のことながら、同じ外観で到着した。新しいMac mini(未訳記事)や13インチのProと同様に 、Airは今年初めにリリースされたものとみかけはそっくりだ。おそらくアップルは、製品が内部では劇的な変化を遂げるため、外観上では一貫性を保とうとしているのだろう。それともリデザインがArmへの移行とは歩調が揃っていないのかも。まあ、あるいはアップルは現在のデザインを、薄くて軽量のラップトップのためのプラトン的理想の一種だと考えているのかもしれない。

いずれにせよ、新しいAirをラインナップから選ぶべきか否かで、読者は悩んでいることだろう。私は公の場でそのシステムを使ってみたが、私が次世代Macでほんの少し先行していることに気がつく人はいなかった。正直な気持ちをいえば、もしアップルがこの瞬間を、素晴らしい劇的なリデザインで飾ってくれたなら良かったのにと思う。少なくとも中身の変化にともなって外見が変わったことを非難する人はいない。まあそれでも素直になろう。Airの物理デザインはここ数世代変わって来なかったが、それでも市場で最も象徴的かつ外観の優れたノートパソコンの1つのままなのだ。

これには、MacBook の他の製品ラインと差別化される、薄くて斜めのデザインが採用されていて、2.8 ポンド(約1.27kg)という重量は13インチのMacBookよりも0.2ポンド(約90g)軽い。それは大きな違いではないが、時間とともに腰にくる負担に違いが出てくる。このことはこのシステムを週末に15マイル(約24.1km)ほど歩いて持ち運んだ人間としての意見だ。

画像クレジット:Brian Heater

今回も2つのUSB-Cポートが同じ側面に配置されている。私はいつでもより多くのポートが必要だと主張している、特にポートの1つが、ほぼ常に充電ケーブルで塞がれてしまう現実を考えるとなおさらだ。私はまた、ポートの間隔をもう少し広げて欲しい。できればマシンの両側に配置してもらえるとありがたい。配置によってケーブルに余裕がない場合や、ポートに少々幅のあるものを挿し込もうとする場合に助かるからだ。もちろんこうした点は、今回のアップグレードによって2つのポートを失った新しい13インチProとは異なり、驚くようなものではない。

だがProの変更は、アップグレードを検討しているユーザーにとっては辛い。この変更は新しいM1 SOCの制限と関係しているのだろう。だが、もし私がギャンブラーなら、きっと様々な可能性がやってくることは合理的に予想できるというだろう。例えばプロユースにフォーカスしたチップの次のバージョンでは、最初のAppleシリコン16インチMacBook Proなどで、より多くのポートが採用されるだろう。

実際アップルは、2021年のどこかで登場する可能性の高い新しいプロ向けデバイスとの差別化のために、今回の発表では多くのアップグレードを控えた可能性が高い。それはすべてアップルのMac戦略の構成の一部であり、私たちはスローモーションでその進行を見ているところだ。新しいAir、13インチのMacBook ProそしてMac mini は、Mac製品のエントリーレベルを代表するものたちだ。このカテゴリは、近年、アップルのより注力しているカテゴリーで、iPhoneとApple Watchの製品ラインでも見かけることができる。

もちろん、長年にわたるプレミアム「Apple Tax」(Apple税)のコンセプトは残されているが、アップルはローエンドの製品を改善するために労力を注いでいる。Macによるこの戦略のより驚くべき側面の1つは、アップルがMacBook Airと13インチMacBookの間のギャップをどれくらい小さなものにしたのかという点だ。もちろん、2つのデバイスの間には違いがある。多くの人にとって、最大の違いは、Airの999ドル(日本価格税別10万4800円)と、13インチMacBook Proの1299ドル(日本価格税別13万4800円)という最低価格での300ドル(日本価格では3万円)の差だ。

では、アップルはこの価格差を、どのように正当化しているのだろうか?さらに重要なポイントは、大多数のユーザーにとって、高額商品を買うことが、どのような違いにつながるのだろうか?これ以上進む前に、新しいAirとProの主な違いを書き出そう。

  • バッテリー Pro:最長20時間まで、Air:最長18時間まで
  • ディスプレイ Pro:明るさ500nit、Air:400nit
  • マイクアレイ Pro:スタジオ品質の3マイクアレイ、Air:3マイクアレイ
  • タッチバー Pro:有り、Air:なし
  • スピーカー Pro:高ダイナミックレンジのステレオスピーカー、Air:ステレオスピーカー
  • ファン Pro:有り、Air:なし

最後の点は、パフォーマンスという点では最も重要だ。M1の登場によって、ファンレスのMacBook Airが可能であることが示された。これは以前のモデルでは聞いたことがない。これは、将来登場するMacBookたちの薄さを予告するものであり、直近のご利益としては、極めて静かな動作を意味する。実際、この数日間どれほどストレステストを加えても、システムは不気味なほど沈黙したままだ。しかし本当にストレスをかけ続けた場合には、パッシブ冷却システムではAirがかなり熱くなってしまう可能性があることは注意しておこう。さらに、ワークロードの観点では、リソースを大量に消費するタスクの最中に、システムが遅くなる可能性がある。だがそのためには本気でシステムを追い込まなければならない。

例えばFinal Cut Proで5分の8Kクリップをエクスポートすることを考えてみよう。Proで33分13秒、Airで32分59秒というその結果の差は、正直なところ無視しても構わないものだ(一方、参考までにMac Proは、5分半という圧倒的な速度で両者に打ち勝った)。WebKitのコンパイルを同様に実行してみた。それはAirで25分5秒、Proでは20分43秒だった。この違いは完全に無視できるものではないが、どちらのシステムも2019年の16インチMacBook Proの26分56秒を打ち負かした。そしてどちらのM1システムも、処理中に失ったバッテリーは9%程度に過ぎず、これは16インチMacBook Proの39%に対してはるかに少ない。

新しいM1チップは、リソース集約型のタスクを実行する場合でも、非常にエネルギー効率に優れている。ビデオ再生テストでは16時間の再生が可能だった。これはアップルが述べている最大18時間よりは短いが、それにもかかわらず素晴らしい数字だ。おそらく充電器を持たずに家を出ても不自由を感じることはないだろう。

Matthew記者の数字によれば、Proはさらに優れている。彼はアップルの宣伝文句に示された20時間前後を達成することができた。その高い数字が達成できたのは、ノートパソコンの厚みがあるために、バッテリーの容量が大きいからだ。しかしいずれにせよ、2つの新しいシステムは、2019年の16インチと13インチのProを完璧に打ち負かした(こちらはそれぞれ8時間8分と、6時間40分だった)。それは重要なメトリック中でもとりわけ大きなものだ。

画像クレジット:Bryce Durbin

それでは、Geekbenchの5つの数字を見てみよう。新しいAirとProの数字は非常に似通っている。これは、それぞれの内部を考えると、予想された結果だ。繰り返しになるが、ファンレス設計のAirに目に見えるような問題を引き起こさせるためには、長時間かけて厳しくシステムを本当に追い込む必要がある。Proはシングルコアで1711、マルチコアで7549を記録した。Airは平均で、それぞれ1725と7563を記録した(良い比較のために、Miniが同様の1748と7644を記録したことを付け加えておこう)。

Geekbenchの数値の歴史的な文脈を示しておこう。いくつかの関連する例、2020年初めのCore i7 MacBook Airの平均は1136の平均だったが、13インチProは1240だった。(Rosetta 2エミュレータを使用して)ベンチマークのIntelバージョンを実行してみると、数字は予想通り悪化したが、それでもIntelシステムを上回っている。そして実際、Intel用に設計されたアプリは極めてスムーズに実行された。

画像クレジット:TechCrunch

私たちが実行したベンチマークのほとんどで、2つのシステムは互いに著しく近いスコアを記録した。いい換えれば、このレベルでシステムを探している人の大半は、制限にぶつかるようなことはあまり起こらないと考えても安全だということだ。ハードウェアの限界に挑戦するタスクを頻繁に実行しているような人にとっては、新しい13インチProを今すぐ購入するか、16インチのようなモデルが店頭に登場するのを待つのかが難しい選択肢となる。その情報についてさらに詳しく知りたいなら、Matthew記者による新しい13インチProのレビュー記事を読んで欲しい。

画像クレジット:Apple

しかし、より確実にいえることは、アップルはクリエイティブのプロたちに改めて焦点を定めた、はるかに強力な利用ケースを手に入れたということだ。このカテゴリは長い間、クリエイティブのプロたちとは切っても切れない関係だったが、アップルがその市場の一部をMicrosoft(マイクロソフト)のSurface(サーフェス)シリーズなどに明け渡したとみなされ得る場面もあった。アップルは、Touch Bar(タッチ・バー)がその関係を再燃させると主張したが、私は前機種よりも、はるかに重いワークロードを処理できるMacBook Airの方が、プロたちとの関係の再燃をはるかに強く引き起こすことになるだろうと思う。

そして率直にいうなら、私はTouch Barがなくてもまったく困らない。私の主力ノートパソコンは、Touch Bar付きの15インチProだが、その機能は私のワークフローに実際に影響を与えることはない。もちろん試したことがないわけではない。ProとAirを区別しようとする人にとっては、問題になるような機能の違いはほとんどないのではないだろうか。それはともかく、Touch Barの中の私のお気に入りの機能であるTouchIDは提供されている。これは1つ前のAirにも提供されていたものだ。全体として、薄いTouch barの上の写真や絵文字をスクロールする機能よりも、指紋でログインする機能の方が便利であると思っている。

画像クレジット:Brian Heater

タッチといえば、誰もが認識しているのに口に出さない件がある。一部で噂されていたタッチスクリーン式Macは、今回のイベントでは発表されなかった。それでも、macOSとiOSの間で線があいまいになり続けて、それほど遠くない将来のある時点でそれが登場することを期待することは合理的だ。モバイルオペレーティングシステムから主要な機能を採用する傾向を続けているBig Surを見ればそれはよくわかる。

画像クレジット:Brian Heater

私が最近のmacOS 11.0(Big Sur)の記事でも書いたように、多くの機能が実質的にタッチスクリーン操作を求めるようなものになっていた。コントロールセンターに新しく追加されたスライダーを考えてみよう。もちろん、トラックパッドでもちゃんと操作することはできる。だがそれを指でスワイプできた方が満足度は高いだろう。このことは、M1でネイティブに実行することができる、iOS用に最適化された特定のゲームをプレイするときにさらに顕著になる。ゲーム「Among Us(アマング・アス)」を例にとろう。大人気のソーシャルゲームを新しいAirでプレイしてみた。ゲームプレイは予想通りスムーズだが、トラックパッドでの操作はタッチ操作よりも自然さが足りない。

この実装では、画面上のジョイパッドを制御するためにマウスポインタを使用するか、単に登場キャラクタをポイントして正しい方向を示すことになる。ゲームは、固定サイズのウィンドウに表示され、そのウィンドウをフルスクリーンに拡大することはできない。M1チップが、未来のMacエコシステムを切り開くためにはまだ時間がかかる。そのエコシステムではチェックボックスをチェックするだけで、簡単にiOSアプリをMac App Storeを通して配布できるようになるだろう。だが多くの場合、特にプロユースを意識したアプリケーションの場合には、追加の最適化が行われることは確実だ。

画像クレジット:Brian Heater

その他のプライマリ入力デバイスとしてのキーボードは、最新のIntel Airとほぼ同じだ。これは以前のものに比べるとずいぶん良いものとなっている。その以前のものは間違いなくアップルが忘れたいと願うキーボードの黒歴史だ。それは岩のように固く、耐え難いほどやかましかった。それらはまた、動かなくなることによって、多くのユーザーに過度のストレスを引き起こした。最新バージョンに採用されたシザーメカニズムは、以前のバタフライメカニズムに比べてはるかに優れている。現在のものが、最高のノートブックタイピング体験だとはいわないが、以前のモデルと比べたら月とスッポンだ。

触れておくべきもう1つの側面はウェブカメラだ。ほとんどのノートブックのレビューで触れられることは滅多にないが、なにしろ今年は2020年だ。それは奇妙な要求が生まれた奇妙な年であり、私たちはZoom(ズーム)を介して他の人間との相互作用の大半をこなしている。とんでもない話だが、それが人生だ。多くの人びとが、すでに在宅勤務へのシフトの一環として、外部ウェブカメラに投資していることは間違いない。おそらく初めて、多くのもしくはほとんどの人にとって、ウェブカメラが購入を決める際の重要な要素になったのだ。

画像クレジット:Brian Heater

実際には、アップルは前回のAirのためにカメラをアップグレードしていた。しかしそれは完全なものではなかった。つまり、今回はセンサーは同じで、カメラはいまでも720pに固定されているのだが、M1のSOCデザインの一部として組み込まれた新しい画像信号プロセッサ(ISP)が、より良い画像を生み出すのだ。上の写真でその違いをみることができるだろう。率直にいえば、どちらも素晴らしいとはいえないが、一方は他のものよりも明らかに悪さの程度が低い。左側が新しいAirの画像だ。

解像度はまだ低いが、特に色は確かに改善されている。ホワイトバランスは現実により近く、影もより良く処理されている。自分の外部ウェブカメラに関しては、例えばExtra Crunchのパネルの機会に出演するときまでまだ取っておこうと思うが、ちょっとした会議であれば、Airで参加しても構わない。今回は、アップルが新しいシステム上で、ウェブカメラをリフレッシュして入れ替えるための絶好の時期だったのだろう。一般的には、ノートパソコンの蓋に厚みを与えてしまうカメラのハードウェアには制限があるといわれているが、もし大胆に予想するならば、きっとアップルはウェブカメラをProモデルの差別化要素として考慮していると思う。

一方、マイクは、AirとProを区別するためのポイントのままだ。上のリンクから、Intel版とArm版のAirで録音した声を聞くことができる。違いがわかるだろうか。正直なところ、私には区別がつかない。ウェブカメラと同様に、これらはカジュアルな会話に使うのは問題がないが、例えばポッドキャストの録音に使いたいとは思わない。

今回発表された3つの新しいシステムは、Macの未来への第一歩を表している。Appleシリコンの可能性に関しては、興奮すべきことがたくさんある。M1チップは、多くのタスクで劇的な性能向上を実現し、消費電力の削減よるバッテリー寿命の大幅な向上も達成できた。

画像クレジット:Brian Heater

だがこれらのモデルには、指摘しておくべきいくつかの制限がある。現在の構成では、2つのUSB-Cポートが最大であるように見える。3つのモデルはすべて16GBのRAMが最大容量だ。これらの制限が問題になるとしても、アップルはまだ当分はIntelモデルを売り続けてくれるだろう。

6月のWWDCでAppleシリコンが発表されたとき、Tim Cook(ティム・クック)CEOはフル製品ラインの移行には2年かかると指摘していた。つまり、私たちはまだこの旅の入口に立ったばかりであり、例えばMakBook Proの真の姿がどれくらい劇的に違うものなのかといった、たくさんの疑問を解き明かして行かなければならない。

一般的なニーズを持つほとんどのユーザーにとって、Airは良い選択肢だ。もしいま新しいMacBookを購入しなければならないとしたら、私はAirを選び、さらにメモリとストレージを強化するだろう。これはコンパクトなボディにおさまった驚くほど強力なマシンだ。

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(翻訳:sako)

Apple M1チップ搭載の新MacはeGPUをサポートせず

Apple(アップル)は米国時間11月10日のイベント(未訳記事)で、同社初のMacハードウェア向きの自社開発プロセッサーを発表した。「M1」と呼ばれるそのシステムオンチップ(SoC)は、IntelではなくArmアーキテクチャーに基づいている。これは非常に大きな切り替えであり、発表のほとぼりが冷めるにつれ、新しいMacBook AirMacBook ProおよびMac Miniのオプションに関する詳細が明らかになってきた。

TechCrunchは、最初のApple Silicon MacはeGPUをサポートしないという情報を得た。正確にどこからの非互換なのかははっきりしない。M1チップ自身がeGPUと仲良くできないのか、この日発表された3台の新型Macに関する何かなのか。

以前から消費者は、メモリー負荷の高い作業を劇的に高速化するために外付けグラフィックカードに頼ってきた。eGPUは、ノートパソコンや性能不足のデスクトップに同じ体重物階級で抜きん出た力を与えることができる。中でも、アップルの過去のノートパソコンは十分なRAMとCPU性能を持ちながらグラフィック処理能力が不足しているといわれてきた。そこでユーザーは、旧世代Mac miniに拡張RAMとeGPUを加えることでMac Proに匹敵する性能をわずかな価格で手に入れられることを発見した。しかしながらさきほど発表されたMacではいまのところ不可能だ。

本日のM1発表の中で、アップルの広報担当者はチップに統合されたGPUを繰り返し称賛したが、詳しい技術仕様は明らかにしなかった。この日発表されたバージョンのM1は7または8コアで、同社によると同等のPC向けGPUと比べて2倍のGPU性能を33%の消費電力で実現するという。これが本当なら(チップのベンチマークが終わればわかる)、このM1はモバイルチップとしては本格的なGPU性能を有することになるが、専用外付けグラフィックカードとは比較にならないため、見捨てられたと感じるユーザーもいるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップルの新チップとMacは投資家を興奮させられなかった

ショーの終了時に、その価値が1985ビリオンドル(1兆9850億ドル、約208兆6000億円)だったApple(アップル)のMacイベントは、時価総額「2000ビリオン」、一般的な表現なら2トリリオン(2兆ドル)の勲章を得るために必要な最後の15ビリオンドル(150億ドル、約1兆6000億円)をもたらすことができなかった。

Appleの新M1プロセッサー一新されたノートパソコン製品群に目を光らせるだけでなく、会社の発言とともに変わる企業価値にも注目していた。アップルが世界の注目を欲しがるとき、私たちの疑問はいつもこれだ。会社が何を発表するかによって、市場が会社を見る目は変わるのか、その結果、価値は変わるのか?

答えはほぼ常に「ノー」だ。おそらくこれはアップルの新製品ラインの追加ペースが遅くなり、代わりに大きくて高価なiPhoneを作るようになって、いっそう明白になった。前者よりも後者をモデル化するほうが簡単なので、ほとんどの製品ニュースは、実際のデモを私たちが見る時のアップルの価値に織り込まれている気がする。

この日も例外ではなかったが、私は興味をもって臨んでいた。アップルが期待通り自社製チップを搭載した新しいコンピューターをたくさん発表したらどうなるだろうか?ハードウェア売上の利益率が良くなる可能性は投資需要と会社の価値を高めるのだろうか?

結果はといえば、答えは「ノー」だった。


アップルのイベントは太平洋標準時午前10時、上のグラフでは1pmに始まった。

発表中、アップルの価値は揺れ動き、まず、新MacBook Airのデモに向けて少し上がった。その後株価は下がり、新型Mac Miniはその下降を止めることができなかった。新しいMacBook Proの影響も限定的のようだった。AppleのCEOであるTim Cook(ティム・クック)氏が再び登場した頃、株価はその日の元値に戻った。これをどう解釈するかは読者の自由だ。

M1チップを、大手チップ会社としてのアップルの未来を、あるいはクパチーノ初の新型コンピューターを、「あなた」がどう思うかに関わらず、少なくとも投資家が新しい製品ラインに驚くことはなかった。

これでもIntelについて私たちがいえることよりも多い。アップルがM1テクノロジーを発表したその時から、同社にとってあまり良い日ではなくなってしまった。

おそらく、Apple M1の発表を知っていたアップル株主は全員、何が起きるかIntel株主に教えることができたはずだ。そうすればIntelのメンツも少しは保たれただろう。

ともあれ、アップルのホリデー製品群は出揃ったようだ。世界的都市封鎖が再び日常になる時、果たしてどんな売れ行きをみせるのか注目だ。おそらく前四半期の売行き不調を取り返すことはできるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

​新型13インチMacBook Proは新M1チップ搭載し、13万4800円から

Apple(アップル)から新しい独自チップを搭載した3つの新デバイスが登場した。新型MacBook AirとMac miniの発表に続いて、同社は13インチのMacBook Proをアップグレードした。

米国時間11月10日のイベントでアップルは、このシステムを「M1チップができる究極の表現」と呼んだ。​少なくとも、このシステムは新チップの能力の限界を押し広げているようだ。​ウェブブラウジングで17時間、ビデオ再生で20時間という長いバッテリー駆動時間を実現しており、これは同社がMacBook製品で提供している最高のスペックだ。

現時点ではベンチマークの詳細は不明だが、アップルによると以前のモデルに比べてほぼ2.8倍の性能向上と、5倍高速なグラフィックスを実現するという。またMacBook Airとは違い、内部にはファンがある。Touch Barはそのままでウェブカメラも大きくは変わらないが、同社はソフトウェアベースの性能向上をアピールしている。また、マイクも強化されている。本体には2個のThunderbolt / USB 4ポートを搭載。8GBのRAMと512GBのストレージが最低構成で、それぞれ16GBと2TBにアップグレードできる。

アップルによると、前世代と比較してM1を搭載した13インチMacBook Proでは以下のことが可能になったという。

  • Xcodeでのコードビルドが最大2.8倍高速になる。
  • Final Cut Proでの複雑な3Dタイトルを最大5.9倍速でレンダリングできる。
  • ​Unity Editorで複雑なゲームシーンを最大3.5倍の速さでスムーズにデザインできる。
  • ML作成機能でMLタスクを最大11倍高速に実行できる。
  • ニューラルエンジンの驚くべきパフォーマンスにより、djay Pro AIでリアルタイムでレコーディングからビート、インストゥルメンタル、ボーカルトラックを分離できる。
  • DaVinci Resolveで、1フレームも落とさずにフルクオリティの8K ProResビデオを再生できる。
  • M1チップのワットあたりの性能の向上により、1回の充電で4倍のコードをコンパイルできる。

MacBook Airと同様、MacBook Pro価格は据え置きだ。価格は1299ドル(日本では税別13万4800円)からで、予約販売は始まっており、来週には出荷が開始される。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

新型MacBook AirはApple M1を搭載しバッテリー効率向上、10万4800円から

Apple(アップル)独自のシリコンを搭載した初のMacBookが登場した。長年愛されてきた薄くて軽いMacBook Airは、同社の新しいM1チップを搭載している。システムは過去数世代のMacBook Airとほとんど同じように見えるが、大きな変化のほとんどは内部で起きている。

アップルによると、システムは以前のモデルよりも3.5倍高速で、2019年に販売されたPCノートパソコンの98%よりも速いという。注目すべきは、新しいARMベースのチップはファンなしで動作する点だ。同社は長い間、バッテリー効率が新チップの大きな利点の1つだと主張しているが、それは確かなようで、15時間のウェブブラウジングと18時間の動画再生を実現している。以前のモデルが12時間だったことと比べると大きな進化を果たしている。

アップルによると、このシステムはFinal Cut Proで4K ProResビデオの複数のストリームを編集できるほど強力だという。​ファンのないシステムがどれだけ耐えられるのか、気になるところだ。

TouchBarは搭載されていないが、ありがたいことに前モデルのMacBook Airから引き続きTouch IDがを採用している。残念ながら、ウェブカメラのハードウェアは同じように見える。多くの人がビデオ会議をしている事実を考えるとアップグレードが望まれるが、アップルは720pのカメラにいくつかのソフトウェア的な改善を行ったと主張している。また本体には2つのThunderbolt / USB 4ポートが搭載されている。RAMは8GB、ストレージは256GBが最低の構成で、16GBと2TBにアップグレードできる。

アップルによると、​前世代と比較してM1搭載のMacBook Airは以下のことが可能になっている。

  • iMovieでウェブ用プロジェクトを最大3倍速く書き出すことができる。
  • Final Cut Proで3Dエフェクトをビデオに最大5倍速く統合できる。
  • Final Cut Proで初めて、フルクオリティの4K ProResビデオの複数のストリームをフレームを落とさずに再生して編集することができる。
  • Lightroomから写真を最大2倍の速さで書き出せる。
  • Final Cut ProのSmart ConformなどのMLベースの機能を使えば、クリップを最大4.3倍速くインテリジェントにフレーム化できる。
  • ​バッテリ持続時間は最大18時間で、MacBook Airとしては最長。より多くの映画やテレビ番組を観ることができる。
  • FaceTimeなどのビデオ通話時間を最大2倍に延長できる。

MacBook Airの価格は999ドル(日本では税別10万4800円か)らで、新しいMacBook ProやMac Miniと同様に予約受付が開始されており、来週から出荷が開始される。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter