アップル発表イベント「Unleashed(パワー全開)」でアナウンスされた内容まとめ

前回の大きな発表会から数週間しか経っていないが、Apple(アップル)はすでに次のイベントを開催した。

前回のイベントでは、iPhoneとApple Watchが中心だった。今回は?新しいチップ、新しいAirPods、そして新しいMacBook Proが主役だった。

ライブで見られなかった方のために、何が発表されたか要点をまとめてみた。

新しいAirPods

画像クレジット:Apple

ベースレベル(つまりProでない)AirPodsがアップグレードされる。新しい外観、空間オーディオのサポート、音楽や通話をコントロールするProラインの「フォースセンサー」、耐汗耐水性能の向上などだ。Appleによると、バッテリー駆動時間も改善され、1回の充電での駆動時間が5時間から6時間になったとのこと。新たにMagSafeでの充電に対応する。

第3世代のAirPodsは、本日より179ドル(国内税込価格2万3800円)で予約注文が可能、来週から出荷される。

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M1 ProとM1 Max

Appleは、2020年に独自の高速チップ「M1」を発表して人々の度肝を抜いた。今回、同社は「M1 Pro」と「M1 Max」という2つの新しいM1チップを発表し、さらにその性能を高めた。

Apple によれば、M1 ProのCPUはオリジナルのM1に比べて最大70%高速で、GPUスピードは最大2倍、32GBのユニファイドメモリ、200GB/sのメモリ帯域幅を備えている。

一方、M1 Maxでは、ユニファイドメモリが64GBにアップしている。M1 Pro、M1 Maxともに、CPUは最大10コア、GPUはProが最大16コア、Maxが最大32コアをサポートしている。

両プロセッサとも、非常に速くなることは間違いない。

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新しいMacBook Pro

画像クレジット:Apple

この新しいチップを有効に利用するために、Appleは新世代のMacbook Proを発表した。そして、MacBook Proの最近の変更点のうち、反発が多かったものについていくつか、同社にしては珍しく巻き戻す決断をした。

ハイライトは次の通り。

  • サイズは16インチと14インチの2種類
  • MagSafeが復活!Touch Barは廃止!SDカードスロットやHDMIなどのポートを搭載!
  • 120HzのProMotionに対応し、よりスムーズなスクロールを実現
  • このモデルでおそらく最も議論されるであろう点は、カメラ部分のノッチだ。これにより画面を少し大きくすることが可能だが、しかしそれは、ノッチデザインを意味する
  • カメラは1080pにアップグレードされ、Appleは低照度下での2倍のパフォーマンスを約束している
  • オーディオシステム全体が見直され、ツィーターとウーファーがより大きくなり、オーディオの忠実度が向上している。
  • 14インチモデルは1999ドル(税込23万9800円)から、16インチモデルは2499ドル(税込29万9800円)から

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その他の発表

  • SiriにApple Musicでテーマ別のプレイリストを再生させることができるようになった。例えば、リラックスするためのプレイリスト、ディナーパーティー用のプレイリスト、ハイキング用のプレイリストなどだ
  • Appleは、Apple Musicで新しく、月額5ドル(日本では480円)の「ボイスプラン」を提供する。基本的には、従来のインターフェイスを捨ててSiriだけで楽曲をリクエストしたいユーザーのための安価なプランだ
  • HomePod miniに、ダークブルー、オレンジ、イエローの3色の新色が追加された

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画像クレジット:Apple

画像クレジット:Apple

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Aya Nakazato)

アップルのMacBook Proがデザイン一新、新M1チップとMagSafeを採用した14・16インチモデル登場

Appleシリコンが搭載された初代MacBook Proが発売されてから1年も経たないうちに、Appleが早くも次のモデルを発表した。ご存知のように、2020年版のMacBook Proは、M1版のProとAirの境界線が完全には明瞭ではなかったために、少々売るのが難しい代物だった。

それを正そうとするべく、本日Appleが発表したのは、MacBook Proの新バージョンだ。この新バージョンでは、長年にわたって人気を博してきた薄型軽量の兄弟機(Air)との間に、より明確な線引きが行われている。

画像クレジット:Apple

この新しいシステムには、本日のイベントで発表された改良版チップである新しいM1 ProまたはM1 Maxが搭載される。この10コアのチップは、16コアのGPU(Proの場合)と相まって、M1チップの最大3倍のメモリ帯域幅を可能にするという。一方、MaxではGPUのコア数が一気に32に増える。明らかなのは、同社の主力ユーザーであるクリエイティブのプロたちを、2020年モデルとは違うやり方でターゲットにしていることだ。

2020年モデルとは異なり、今回のモデルでは14インチと16インチの2種類が用意されており、デザインも一新されている。高性能なアプリケーションのためにファンも内蔵されているものの、Appleによればそれが回ることはほとんどないという。また、今回のシステムでは、あまり好評ではなかったTouch Barが廃止され、代わりに物理的なフルファンクションキーが採用されている。

こうして1つのフィーチャーが去り、昔の人気者が戻って来た。Magsafeが復活したのだ(解き放たれたというべきだろうか)。この第3世代の充電機構は独自のポートを採用しているものの、ユーザーはこれまで通りにThunderbolt / USB-Cポートを使って充電を行うこともできる。そして、もちろんこのマシンにはたくさんのポートが用意されている。具体的には、3つのThunderbolt 4 / USB-Cと、HDMI、そしてSDXCカードスロットだ。

ベゼルを薄くする代わりに、iPhoneスタイルのノッチをディスプレイ上部に設けることでウェブカメラを収納している。うれしいことに、ウエブカメラはいまや日常となったリモート会議用に1080pへとアップグレードされており、より大きなセンサーと広い開口部を備えている(残念ながら4Kではないが、従来のモデルより改善されている)。

16インチ(正確には16.2インチ)ディスプレイの解像度は3456×2234、14インチ(同じく14.2インチ)ディスプレイの解像度は3024×1964だ。ピーク輝度は1600ニトで、リフレッシュレートは120Hz。さらに音声も大幅に改善されている。表面の多くを占めるグリル部の下には、4つのウーファーと2つのツイーターから構成される6つのスピーカーシステムが隠されている。

Appleによれば、これらのシステムはより高速な充電に対応しており、かつビデオ再生で最大21時間のバッテリー駆動時間を実現している。このノートパソコンの「野獣」は軽くはない。それぞれの重量は、4.7ポンド(2.1kgと2.2kg)と3.5ポンド(1.6kg)だ。14インチは税込23万9800円から、16インチは税込29万9800円からとなっている。またいずれのモデルでもM1 Max版へのアップグレードが可能で、24コアGPU版へは税込2万2000円、32コアGPU版へは14インチは税込4万4000円、16インチは税込5万4000円の追加料金がかかる。

本日より予約受付を開始し、来週、10月26日に発売される。また、13インチのProも当面は継続され、標準的なMacBookが担っていた役割を実質的に果たすことになる。

画像クレジット:Apple

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(文:Brian Heater、翻訳:sako)

アップルがフラッグシッププロセッサ「M1 Pro」を発表

Apple(アップル)は、新しい「M1 Pro」と「M1 Max」チップで、PCに全面戦争を挑み、パフォーマンスを大幅に向上させると同時に、バッテリー消費量を大幅に削減した。M1 Maxは、グラフィックスのプロをターゲットにしていることは明らかだが、Macにさらなるゲーム機能をもたらすことになるかもしれない。

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M1 Maxは、M1 Proのアーキテクチャをベースに、さらに強力な機能を追加している。このアーキテクチャでは、メモリ帯域幅を最大400GB/sへと大幅に向上させている。これは、すでに非常に高速なM1チップの約6倍、発表されたばかりのM1 Proチップの2倍に相当する。

新チップは570億個のトランジスタを搭載し、64GBのユニファイドメモリー(GPUとCPUの共有メモリー)をサポートしている。M1 Proと同じ10コアのCPUアーキテクチャを採用し、GPUを32コアに増強した他、ハードウェアアクセラレーションによるH.264やHEVCの映像処理のための新しいメディアエンジンを搭載している。また、2つの並列ビデオエンコーディングエンジンを搭載しており、ビデオエディターなどの重いグラフィックス処理を行うユーザーを喜ばせることだろう。

最も印象的な主張は、M1 Maxが1Wあたりの消費電力カーブを同じに保つとしていることだ。言い換えれば、数分でバッテリーを使い切ることなく、より重いグラフィックスを扱えるということだ。

Appleはイベントの中で「では、我々が見つけた最速のPCノートパソコンに搭載されているチップと比較してみましょう」とジョークを飛ばし、ライバルたちと比較しながら、そのパフォーマンス対消費電力スーパーパワーを見せつけた。

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Aya Nakazato)

アップルが新チップ「M1 Pro」発表、M1と比べ最大70%高速に

Apple(アップル)は米国時間10月18日、予想どおり新しいチップを発表したが、その名前はほとんどの人が予想していなかったものだった。2020年11月に発表され、様々なApple製品に搭載されてきたM1チップをさらに強化した「M1 Pro」だ。Appleは、M1 ProがオリジナルのM1よりも最大70%高速であることを約束している。

これに加えて、同社はProのさらに強力なバージョンである「M1 Max」も発表した。その詳細はこちらでご覧いただける。

M1 Proは、M1の後継とまではいかないが、基本的には既存のチップをよりパワフルにしたものだ。AppleのTim Cook(ティム・クック)CEOは、この製品を「M1ファミリーの次のチップであり、ゲームチェンジャー」と呼んでいる。

同社によると、チップの再設計を行い、チップが利用できる帯域幅を200GB/sに大幅にアップしたという。そして最大32GBのユニファイドメモリーに対応している(一部のプロユーザーにはちょっと残念かもしれない)。

この5nmチップの特徴は、より多くの、合計10個のコアを備えていることだ。そのうち8つは高性能コア、2つは高効率コアで、さらに16個のGPUコアを搭載している(初代M1の8個から増加)。このSoCには、初代M1の2倍となる合計337億個のトランジスタが搭載されている。チップにはもちろん、AIアプリのためのAppleのNeural Engineも搭載されている。

このチップは、最大2台の外部ディスプレイに対応している。

画像クレジット:Apple

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

マイクロソフトがM1 MacでのWindows 11動作について「サポートは想定されていない」とコメント

マイクロソフトがM1 MacでのWindows 11動作は「サポートは想定されていない」とコメントマイクロソフトの最新OS「Windows 11」は10月5日から提供予定の一方で、macOS上で様々なOSを仮想化して動かせる「Parallels Desktop 17」もWindows 11対応を謳っています。これにより、M1 Mac上でもWindows 11を仮想環境で利用できるとの期待を集めていました。

が、MSがM1 Mac上でのWindows 11動作につき「サポートは想定されてない(unsupported scenario)」と回答したことが明らかとなりました。

この声明は、MSの広報担当者が海外テックメディアThe Registerに語ったもの。同誌がParallels Desktop 17をインストールしたM1 Mac上で動かしていたWindows 11仮想マシンが、DevチャネルのWindows Insiderビルドでハードウェア互換性エラーを起こし始めたことをきっかけに、MSに質問したかっこうです。なお、この不具合はParallels Desktop 17のバージョン17.0.1では解決しているとのことです。

The RegisterがM1 Mac+ParallelsでWindows 11の実行がサポートされるかどうかを尋ねたところ、MS側は「サポートは想定されていない」と回答。さらにM1 Macのハードウェア上でWindows 11を直接実行することもサポートされていないと付け加えています。

少なくともWindows 10の動作については、MSとParallelsは公式に協力している可能性も窺えただけに、期待をかけていたM1 Macユーザーには残念なところです。もっとも、これまでMSがM1+ParallelsでのWindows 11動作に関しては(少なくとも観測範囲では)ノーコメントだったこともあり、一方的な期待が空回りしただけとも言えそうです。

The RegisterはWindows 11の正式リリース直前に、一部のSurface Pro XつまりMS謹製ArmベースPCでのバグチェックや、タスクバーが消えたりスタートメニューが機能しなくなるなど既知の問題がまだ残っているとも指摘しています。MSが自社製PCでのバグが取り切れていないなかで、他社のM1 Macに構っている余裕はないのかもしれません。

(Source:The RegisterEngadget日本版より転載)

アップルとインテルが台湾TSMCの3nm製造プロセスを使ったチップ設計をテスト中と報じられる

2022年のiPad Proプロセッサが最先端の3nmプロセスで製造される可能性が報じられる

TSMC

アップルが早ければ2022年にiPad Pro向けチップに3nmプロセス製造技術を採用する一方で、iPhone 14(2022年モデルの仮称)用のA16(仮)チップは4nmで製造される可能性があるとの噂が伝えられています。

日経新聞の英字メディアNikkei Asia(以下「日経」)報道によれば、アップルとインテルは台湾TSMCの持つ最新世代の製造技術を採用する初の企業となり、両社とも3nm製造プロセスを使ったチップ設計をテストしているとのことです。

さらに日経は、アップルの3nmチップはiPadに搭載される可能性が高いと伝えています。そうした最先端プロセッサを廉価モデルに投入するとは考えにくく、最新版ではMacと同じM1チップを搭載したProモデル向けになると思われます。

その一方でiPhone 14向けのA16にはスケジュールの都合(おそらく製造の歩留まりやリードタイムのため)から、現世代のA14 Bionic(5nm)と3nmの中間にあたる4nmチップが採用される見込みとの趣旨が述べられています。

iPhone 14向けチップが4nmプロセス製造になる見通しは、調査会社TrendForceも伝えていたことです。かたや2021年のiPhone 13(仮)向けチップについては、台湾DigiTimesが5nmプロセスを改良した「N5P」ですでに量産開始したと報じていました

半導体における製造プロセスとは、回路線幅のこと。おおむね10nm、7nm、5nmと数字が小さくなるほど同じサイズのチップに含まれるトランジスタ数が多くなり、性能とエネルギー効率の両方が高まる傾向があります

TSMCの公表したロードマップ表によれば、3nm技術は5nmよりも演算性能を10%〜15%向上できる一方で、消費電力を25%〜30%削減できるとのこと。その一方で、iPhone 13向けA15(仮)に使われると思しき5nm+(N5P)は前世代の5nmプロセスより演算性能が5%、消費電力が10%減るとされています。

以上はあくまでも一般論であり、アップルが独自設計したチップがその数値通りに進化するとは限りませんが、おおよその目安にはなりそうです。

M1チップ搭載iPad Proが発表された当時は「ついにiPadとMacのプロセッサが同じになった」と話題を呼びましたが、ゆくゆくはiPad ProがMacの性能を超えていく展開もありうるのかもしれません。

(Source:Nikkei Asia。Via 9to5MacEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Apple / アップル(企業)Apple M1(製品・サービス)Appleシリコン / Apple Silicon(製品・サービス)Intel / インテル(企業)iPad(製品・サービス)TSMC / 台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(企業)日本(国・地域)

Appleシリコン「M1チップ」搭載MacでLinuxのネイティブ動作がついに実現、Linuxカーネル5.13が公式サポート

Appleシリコン「M1チップ」搭載MacでLinuxのネイティブ動作がついに実現、Linuxカーネル5.13が公式サポート

Linux Kernel 5.13がリリースされ、M1チップ搭載Macの公式サポートが表明されました。これは4月に可能性が言及され、5月にはLinux Kernel 5.13 RC(リリース候補)がリリースされたことに続くもので、足かけ数か月にわたる苦闘の末にこぎ着けたかっこうです。

今回の発表は、前回のRCと同じくLinux生みの親であるリーナス・トーバルズ氏が自らメーリングリストで行ったものです。そのなかでトーバル氏はKernel 5.13全体の規模はかなり大きく、2000人以上の開発者から 1万6000以上のコミット(マージを含めると1万7000以上)が行われるほどだったと振り返っています。

そんなKernel 5.13では、AppleシリコンM1チップを含むArmアーキテクチャに基づく複数のチップがサポートされています。これによりM1搭載のMacBook Air、MacBook Pro、Mac miniおよび24インチiMacでLinuxをネイティブに実行できるようになります。

これまでにもParallelsの仮想環境Corellium社の移植版によりM1 Mac上でLinuxを実行することは可能でしたが、いずれもネイティブ動作ではないため、M1チップの性能を最大限に引き出すことはできませんでした。それがAsahi LinuxプロジェクトのHector Martin氏ほか多数の開発者が力を合わせたことで、ようやく現実のものとなりました。

しかしLinux情報サイトPhoronixによると、Linux 5.13では「Apple M1に対する初期のサポートとして、基本的な機能は提供されるが、グラフィックスのアクセラレーションはまだ提供されず、さらに多くのことを解決しなければならない」とのことです。M1の仕組み、特にGPUの仕様が非公開で独特すぎるために移植が苦戦していることは、早い時期から伝えられていました。

最新の Linux Kernel 5.13 では、Landlocked LSM、Clang CFI のサポート、システムコールごとにカーネルのスタックオフセットをランダム化するオプションなどのセキュリティ機能が搭載。ほかFreeSync HDMIもサポートされており、いつの日かM1内蔵GPUの力も発揮できるようになることを祈りたいところです。

(Source:LKML Archive on lore.kernel.org。Via:9to5MacEngadget日本版より転載)

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タグ:Asahi LinuxApple / アップル(企業)Apple M1(製品・サービス)Appleシリコン / Apple Silicon(製品・サービス)Arm(企業)OS / オペレーティングシステム(用語)オープンソース / Open Source(用語)Linux(製品・サービス)Linus Torvalds / リーナス・トーバルズ(人物)

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Apple

アップルがMacのプロセッサをインテル製から自社開発のAppleシリコンに2年かけて移行すると発表してから、1年以上が経過しました。その影響により、今後インテルのノートPC向けCPU市場シェアが大きく落ち込むとの予測が報じられています。

台湾の電子部品業界情報誌DigiTimesによると、M1チップを搭載した4台のMacとそれに続く(Appleシリコン搭載Mac)リリースにより、今年(2021年)のインテルはアップルからの受注のうち50%を失うとのこと。さらに、最終的にはアップルからの受注がゼロになることで、2023年にはインテルのノートPC向けプロセッサの市場シェアは80%を下回るとの見通しが述べられています。

そればかりか、アップルが自社開発した一連のArmベースプロセッサ(Appleシリコン)は、2022年にはインテルのシェアから大きな割合を奪う重要な役割を果たすとの情報筋の予想も伝えられています。

2023年にインテルのシェアが80%を下回るという概算は、具体的にはアップルに供給していた10%のシェアを失う一方で、AMDは10%のシェアを堅持するとの予想から。インテルはWindows PCやサーバー向けのCPU市場ではAMDとの熾烈なシェア争いを繰り広げる一方で、Macは一種の聖域ともなっていましたが、それが消え失せることは手痛い打撃となりそうです。

インテルはそうしたAppleシリコンが自社のビジネスに与える影響を認識しているようで、「Macにできないことがインテル製チップを搭載したPCにはできる」など複数のキャンペーンを展開しています。それに対しては結果的にインテル製CPUを採用した16インチMacBook Proを貶めていることや、MacがPCよりゲーム体験が劣るのはインテルと関係ない他社製GPUによるものではないかとの指摘もありました

現在のM1搭載Macは「低消費電力のわりに高性能かつ低価格」にこそ強みがあり、お金にも消費電力にも糸目を付けないインテル製チップ搭載のハイエンドPCにはピーク性能で及びません。が、32個もの高性能コアや128個ものGPUコアを搭載すると噂される次世代Appleシリコンが登場すれば、プロセッサ市場を一変させるゲームチェンジャーとなる可能性もありそうです。

(Source:DigiTimes。Via MacRumorsEngadget日本版より転載)

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WWDC 2021で期待される発表は?iOS 15、iPadOSリニューアル、もしかしたら新Macも

あらゆることを考え合わせると、Apple(アップル)は2020年、非常に洗練されたバーチャルWWDCを開催した。Microsoft(マイクロソフト)やGoogle(グーグル)のような他の企業がよりライブ感のある(あるいはライブスタイルの)体験を選択したのに対し、Appleは、スムーズなドローン撮影と巧みなトランジションを駆使して出演した幹部たちを引き立てた。そして最初の1年を経て、同社がどのように新しい境地に達するか見ものだ。

キックオフからニュースを提供するWWDCの基調講演はいつも大盛況だが、今回もその例に漏れず、さらに多くの新情報が発表される可能性が高い。iOS / iPadOS、watchOS、macOS、tvOSなど、開発者向けの標準的なアップデートに加えて、このイベントで新しいハードウェアが発表される可能性もある。

いつものようにライブでニュースをお伝えしていくが、今回はライブブログを復活させる。ライブニュースをさまざまな方法でフォローすることが可能だ。イベントは、太平洋標準時6月7日(月)午前10時(日本時間6月8日午前2時)に開始される。

YouTubeのライブストリームはここで見ることができる。

例年通り、このイベントではiOSが最大の目玉となる。なんといっても、Appleは他の何よりも多くiPhoneを販売しているからだ。2020年には特に、同社の最新5Gデバイスが低迷するモバイル市場に救いの手を差し伸べた中でその傾向が強まった。

少なくとも最初の段階では、iOS 15はAndroidの最新バージョンほど過激なアップデートには見えない。しかし、今日から6月7日の朝までの間に、多くのことが起こり得る。(少なくとも今のところ)最重要課題は通知機能のアップデートのようだ。報道によると、モバイルOSの新バージョンでは、睡眠中、仕事中、運転中などのステータスに応じてカスタマイズ可能な通知が提供されるとのこと。

また、iOS 15には、新しいアクセシビリティ機能が多数追加されると考えられている。

画像クレジット:Apple

さらに大きなニュースは、待望のiPadOS 15へのアップデートだろう。最新のiPad Proのレビューではこの古いソフトウェアが問題となっていたが、iPadOS 15は、タブレット端末用のOSをモバイルOSからさらに遠ざけるための重要なステップになりそうだ。現在のiPadOS 15は、ほとんどの意図と目的においては、iOSをタブレット向けにスケールアップしたものとなっている。

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まだ詳細は明らかになっていないが、ホーム画面はウィジェットを含めて大幅にアップデートされる予定だと言われている。これにより、大きくなったホーム画面をより有効に活用できるようになると思われる。また、新しい通知機能やiMessageの大幅な改良など、iOSの新しいアップデートも行われるはずだ。

Big Surで行われた大規模なオーバーホールの後、macOS 12はより小さな波となることが予想される。ここでのビッグニュースは、ハードウェアかもしれない。噂では、Appleの超高速M1チップがアップデートされると囁かれている。M1X(現在の呼称)は、14インチと16インチの新型MacBook Proと一緒に登場する可能性があり、そうなればAppleのラップトップ製品ラインのハイエンドとローエンドの間に、ようやく少しだけ日が差すことになる。

画像クレジット:Brian Heater

また、今のところ情報が少ないものの、watchOSも大きなアップデートの時期に来ているように見える。特に合併したばかりのGoogleとFitbit(フィットビット)と競合しているAppleにとって、新しい健康機能は確実な賭けだろう(最近発表されたSamsungのアシストはいうまでもない)。

そして、最も興味をそそられるミステリーがhomeOSだ。求人情報ではこの謎のOSが参照されていたが、これは単なるタイプミスかもしれない(その後、求人案件では「HomePod」に変更された)。

画像クレジット:Apple

噂のまとめということで、より大きなものにつながるかもしれない可能性を指摘しておく。これは、既存および近々発売されるAppleのホーム製品と連動するように設計された、より統合的なホームオペレーティングシステムだと思われる。おそらく、tvOSともう少し密接に統合するものだろう。長期にわたる噂の中心にあるのは新しいApple TVデバイスだが、これまでのところ、その点は確認されていない。

他には、新しいMac Miniの噂もある(ただしこちらは、2020年末にリフレッシュされたばかりだが)。また、Beats Studio Budsに関する噂も興味をそそられる。LeBron James(レブロン・ジェームズ)が未発表のハードウェアを身につけているのを見れば、人々は話題にせざるを得ない。しかしAppleは従来、Beatsチームに独自の発表を任せ、このような大きなイベントはAirPodsのような自社ブランドのオーディオ製品のためにとっておくことを選んできた。

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カテゴリー:イベント情報
タグ:AppleWWDC 2021WWDCiOSiPadOSMacMacBook ProApple M1watchOShomeOSOSバーチャルイベントApple TVmacOS

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

アップルM1チップで「修正できない脆弱性」CVE-2021-30747が発見される、ただし悪用は困難

アップルM1チップで「修正できない脆弱性」CVE-2021-30747が発見される、ただし悪用は困難

Devindra Hardawar/Engadget

最新世代のMacが搭載するSoC 「M1」に修正不可能な欠陥が発見されました。ソフトウェア開発者のヘクター・マーティン氏が発見し”M1racles”と名付けたこの問題は、2つ以上の悪意あるアプリケーションが秘匿されたチャネルを構築して相互にやりとりできてしまうというもの。この通信はOSの機能を使わずに実行でき、異なるユーザー階層のプロセスをまたいでデータを相互にやりとり可能です。

ただ、マーティン氏によれば、この欠陥は”技術的には脆弱性”と言うことができるものの、実際にはほぼ無害と言って良いとのこと。なぜなら、この欠陥はMac内に保存されているデータを盗み出したり改ざんすることができず、外部からの感染ルートにもならないからなのだそう。

ただ、”技術的には脆弱性”であることに違いはないため、この欠陥には共通脆弱性識別子としてCVE-2021-30747が割り当てられました。マーティン氏も、この欠陥はあるプロセスから別のプロセスに密かにデータを送信できるという点で「OSのセキュリティモデルに反している」と述べています。

2018年初頭にインテル、AMD、Arm各社のCPUに発見されたMeltdown / Spectre脆弱性発見に関わった研究者のひとりマイケル・シュワルツ氏は、今回のM1チップにおける欠陥について「システム上のいかなるアプリケーションに関する情報を推測するためにも使用することはできない」と述べ「アプリケーション間の通信手段は他にもたくさんあり、それがひとつ増えたところでセキュリティに影響することはない」としました。ただし、「とはいえ、”意図しない通信経路”として想定外に使われる可能性はあるので、脆弱性と呼ぶのが妥当」だと述べ ”実質的に問題はないけど脆弱性” という、発見者と同じ認識を示しています。

ただ、もしこれがiPhoneのSoCで見つかっていれば話はまた違ってくるようです。”意図しない通信経路”はiOSアプリの安全性の要とも言えるサンドボックス構造をすり抜ける可能性があります。とはいえ、この場合2つのアプリが共にApp Storeの審査を通過して、さらにターゲットとなるiPhoneに共にインストールされる必要があるため、実際にiPhoneにこの脆弱性があったとしても、悪用の可能性は非常に低いと言えるでしょう。

要するに、この問題は問題ではあるものの問題なしと思っておいて良い、ということです。

(Source: M1raclesEngadget日本版より転載)

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2020年9月、私たちは27インチiMac(アイマック)のレビューをこのように締めくくった

「ここでの大きな疑問は、iMacの未来がどうなるのか――そしてそれを見るために私たちはどれくらい待たなければならないのか、というものだ。それはもちろん、何年も続くハードウェアのアップグレードに関する疑問だが、Arm(アーム)ベースのシステムが差し迫っていることや、再設計にまつわる噂があることで、それはさらに切迫したものになっている」。

このような状況から、このとき発表されたAppleの最新のオールインワンマシンは全面的に支持できるものではなかった。このような評価をしたのは私たちだけではなかった。それはこのコンピューターにとっての、そしてMac一般にとっての、奇妙なポジションだったのだ。2020年6月のWWDCでは、インテルから自社製チップへの移行という異例の発表が行われたが、その際にはハードウェアは一切用意されていなかった。

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その理由はもっともなものだった。開発者たちが実際の発売前に先立って対策をできるようにと、Appleが考えていたからだ。2005年以来、Macのラインがこのように大きく変化するのは初めてのことで、それはかなり困難なものになると思われた。15年というのは長い時間であり、それだけ多くのレガシーソフトウェアと闘うことになるからだ。すべてのmacOS(マックOS)ソフトウェアが完全に壊れてしまうわけではないが、開発者にとっては、同社が提供するMac Mini(マックミニ)開発者キットを使って、新しいハードウェアに最適化することが、最重要の方法であることは間違いなかった。発表時、新しいAppleシリコンへの完全な移行には2年を要するとAppleは語っていた。

画像クレジット:Apple

2020年11月には、Appleは最初のM1 Macとして、新しいMac Mini(マックミニ)、MacBook Air(マックブックエア)、13インチMacBook Pro(マックブックプロ)を発表した。TechCrunchは3つのシステムのレビューにはそれなりの文字数を費やしたが、最終的にMatthew(マシュー)記者が「Appleの新しいM1搭載MacBookは、Intelのチップを一夜にして陳腐化させるほどの印象的なパフォーマンスの向上を見せた」と簡潔に表現している。

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これは、そのわずか2カ月前に発売されていたオールインワン(iMac)に対して、厳しい印象を与えるものだった。根本的な再設計がしばらく行われていなかったシステムであっただけに、その厳しさもなおさらだ。発売から2カ月が経過したiMac 2020は、その時点ですでに古さを感じさせ始めていた。

画像クレジット:Brian Heater

そして2021年4月になって、Appleは立て続けに行ったハードウェアニュースの中で、新しいiMacを発表した。これこそが、私たちがずっと待ち望んでいたiMacだったのだと思えた。この新システムは、この10年間で最も根本的な再設計が行われたもので、超コンパクトな新フォームファクターの提供、リモートワーク時代の大きな考慮点であるオーディオとビデオの改善とともに、おそらく最も重要なものとして新しいM1チップが導入された。

画像クレジット:Brian Heater

2020年版iMacの最大の特徴は、まあ要するに「大きい」ということだった。パンデミックの間、日々の仕事の多くを27インチiMacで行っていた私は、今回の24インチiMacを前にして、この3インチ分の余剰がどれほど恋しいものかを思い知った。当初私は、20インチを超えたら、画面の大きさの違いは無視できるだろうと考えていたのだが、実際には他のものと同様、慣れるのには時間がかかることがわかった。

もちろん、すぐにわかる良い点もある。これまでのiMacと比較して、新しいデザインがいかにコンパクトであるかに、本当に驚いた。これまでの21.5インチから2.5インチサイズアップしたにもかかわらず、新システムは11.5mm(スタンドを含めると14.7mm)という超薄型を実現している

このシステムを包み込むテーマは「キュート」(cute、カワイイ)だ。この言葉を、私がテクノロジーに当てはめることは滅多にない。こういったときに一般的好まれるのは「クール」(cool、カッコいい)や「スリーク」(sleek、均整美がある)といった言葉だ。しかし、iMac G3の精神を真に受け継ぐものと感じさせるこの製品を表現するのに、これ以外の適切な言葉を見つけることができない。あのカラフルなiMac G3たちは、フォルクスワーゲンのニュービートルによって象徴される世紀末の年に、Steve Jobs(スティーブ・ジョブズ)氏がAppleで2度目の成功を収めるきっかけとなった。

もちろん、最初のiMacが登場してから約四半世紀の間に、スタイルの変化や、当然ながら縮小を続ける部品サイズなどにより、デザイン言語は劇的に進化してきた。フラットパネルのデザインは今世紀初頭に登場し、2012年頃に最新のデザインへと落ち着いた。確かに、その後も多くのアップデートが行われてきたが、Appleのデザインが大きく更新されないまま9年が経過したのはとても長かった。

画像クレジット:Brian Heater

Appleは、これまでの一見インダストリアルなデザインから、より温かみと受容性のあるデザインへと変化させている。ここでは色が大切だ。これは、TechCrunchの(仮想)オフィスで最も頻繁に議論された疑問だった。みんなが、どの色を選ぶかということを知りたがった。私はイエローを選んだ。明るく春らしくていい色だ。正直なところ、思っていた以上にゴールドがかっていて、明るい輝きがある。このシステムを購入するつもりなら、もし近くに行きやすいアップルストアがあれば、実際に訪問することをお勧めしたい。可能なら、実際に目でみることが本当に意味があるような製品なのだ。

そして、なんともすごいのがAppleはそのテーマを徹底していることだ。キーボードも、ケーブルも、かわいらしいパッケージもテーマにマッチしているし(そういう意味では開封するのも楽しい)、デスクトップの壁紙も、そしてOSボタンのようなちょっとした工夫もマッチしている。最後の2つは、当然ながら自分で少しずつ変えていくことができる。しかし、本体やキーボードまでもが、少しばかり強いこだわりを持っている。結局のところ、これはおそらく何年も持ち続けたいと思うようなものなので、決定を下す前に照明と室内装飾の両方を検討する価値がある。デスクトップパソコンの話をしているときに、このようなことを考えようというのは奇妙だとは思うが、まあ、iMacだからね。

同社は、新しいiMacが周囲の環境にどのようにマッチするかを確認するためのAR iOSアプリを提供している。これは巧妙な、そしておそらく有用なアプローチだ。また、このシステムの重さは10ポンド(約4.54kg)以下だ。これは正直なところ、これまでのデスクトップでは考えられなかった軽さだ。デスクトップの大きさを形容するのに「ポータブル」という表現は奇妙だが、特に他のデスクトップシステムと比較してみた場合は、ぴったりな表現かもしれない。少なくとも、必要に応じて部屋から部屋へと移動させる可能性が、まったくないとはいえない。

画像クレジット:Brian Heater

大まかに言えば、フロントデザインはこれまでのiMacと同様だが、ボトムパネルと大きなAppleロゴは、色のついたものに変更されている。ガラス面はスクリーンとそれを縁取る白いベゼルに高さが合わされている。ベゼルと下部のパネルを合わせると、ディスプレイの下にはそれなりの場所がとられているが、ここは内蔵部品や、コンピューターの底部全長にわたって配置されている下向きのスピーカーグリルが収納されている場所だ。一番上部には、新しくアップグレードされた1080pのHDウェブカムが装備されているが、これは全Macを通して初めてのことだ。

これまでのiMacと同様に、本体はスタンドに装着されている。少なくともイエローモデルの場合には、このスタンドはシステムの前面に比べて明らかに暗い色をしている。購入時にVESAマウントオプションを選ぶことができるが、スタンド自身はユーザーが交換できないように設計されている。ヒンジの動作はスムーズだ。ウェブカムのフレームに自分がよく収まるように、システムをしばしば上下に動かしたが、それも簡単に行うことができた。

画像クレジット:Brian Heater

左側には、昔からのお馴染みである3.5mmのヘッドフォンジャックがある。私は、ケーブルを側面や底面から迂回させる必要がある、ジャックの背面への配置よりも、この側面への配置の方が好きだ。

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スタンドには、特に電源ケーブルを通すための穴が開けられている。Magsafe(マグセーフ)――おっと、マグネット式充電コネクタだった――は、思いがけない登場だった。昔のMacBookで提供されていたもののような簡単な接続解除が目的ではなく、ケーブルを簡単にカチリと固定させることが主眼だ。だが移動されない(少なくとも滅多に移動されない)デスクトップのケーブルにつまずく人は少ないのではないかと思う。

画像クレジット:Brian Heater

電源ケーブルの状況への大きな変化は、もちろん、電源アダプター本体にEthernetポートが追加されたことだ。特に、MacBookに慣れているユーザーには、このアダプターはかなり大きく感じられるだろう。とはいえ、たぶん邪魔にはならないだろう。このことによって、システムの背面からさらに余分なものがなくなり、コンピュータ自体の厚さをより薄くすることができた。有線接続にアクセスできる場合には、ほとんどの人にとってうれしい追加機能だ。

画像クレジット:Brian Heater

一方で、本体のポートそのものの状況は、あまりうれしいものではない。私はポート好きだ。なにしろコンピュータの背面に接続する必要があるものをたくさん持っているのだが、ポートはそれらを接続するのに最も便利な手段だ。エントリーモデルでは、Thunderbolt / USB(サンダーボルト / USB)ポートが2つ搭載されている。これは4つまでアップグレードできる。絶対にそうすべきだ。本心からそう言っておこう。そうしておいて悔やむことはない。

私はワイヤレスキーボードやトラックパッド / マウスをほとんどの時間、接続したままにしている人間だ。それがワイヤレスという目的に反していることはわかっているが、しかし、充電器の心配は、今の私には不要のストレスなのだ。これで2つのポートが必要となる。そこでAVアクセサリーをいくつかつないだら、ほーら!もうポートがないのだ。

1299ドル版(日本では税込15万4800円)のシステムには、Magic Keyboard(マジックキーボード)が同梱されている。これは最近のMagic Keyboardsとほとんど同じものだ。万人向けというわけではないと私は思っている。メカニカルキーボードが好きな人にとっては、触り心地に不満があるかもしれない。しかしそれはMacBookのものよりはステップアップしているし、私がそれを使い慣れているのも事実だ。ベースモデルにはテンキーがついていないが、カラーリングはMac本体とマッチしている。

画像クレジット:Brian Heater

1699ドル(日本では税込19万9800円)以上のモデルでは、デスクトップシステムでは長らく実現されてこなかったTouch ID(タッチID)を搭載したバージョンにアップグレードされる。他のMac(および古いiPhone)と同様に、指紋認証によるログインはほぼ瞬時に行われる。しばらく前からApple Watchを身に付けていれば、それでログインすることもできるようになってはいたが、デスクトップにTouch IDが追加されたのはすばらしいことだ。基本バージョンにはMagic Mouse(マジックマウス)が付属している。トラックパッドへのアップグレードは50ドル(日本では税込5000円)、両方注文すると129ドル(日本では税込1万3800円)だ。私はトラックパッドを気に入っているのでそのアップグレードを行うだろう(両方を必要とする人は多くないと思う)。

画像クレジット:Brian Heater

これまで同様、同社が製品ラインをUSB-Cに移行させてきたたくさんの理由を私は理解している。特に、デバイスの背面にどれだけのスペースが解放されたかを見ればそれは明らかだ。でも私には、2020年版のiMacにあったレガシーなUSB-Aポートが失われたことが残念だ。ともあれ、注文確定の前に、AからCへのUSBアダプターを2つほどカートに入れておくとよいだろう。ともあれ、それがAppleとともに生きるということだ。100%勇気あるのみ。

これは、AppleがiMac Pro(アイマックプロ)の復活に向けてM1ラインを位置づけていることを意味しているのだろうか。これまでもより奇妙なことは起きてきた。もちろん今は、AppleははるかにハイエンドのMac Pro(マックプロ)に注力している。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

期待どおり、新しいM1チップがシステムに新たな息吹を吹き込んだ。Geekbench 5のスコアを見てみよう。シングルが1720、マルチコアが7606だ。これは、21.5インチシステムの、平均1200と6400という結果を吹き飛ばすものだ。当然、Rosetta(Intel)版ではそれぞれ1230、5601と落ち込むが、トランスレーションレイヤーを介してもしっかりとした性能を発揮している。しかし、Appleが開発者たちに対して、新しいAppleシリコンへの移行を積極的に呼びかけてきた理由もこれで明らかになった。全体的に、これまでに発表された他の新しいM1システムと同様の成果が得られている。これはMacの未来に向けた、健全ですばらしい飛躍といえるだろう。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

自分のワークフローにどの程度の影響があるのかを知りたい場合は、この資料から調べ始めると良いだろう。全体的には、私の日常的なアプリのほとんどは問題ないことがわかった。もちろん、問題も多少はある。Spotify(スポティファイ)とAudacity(オーダシティ)がそれに当てはまる。どちらもパフォーマンスに影響があるものの、全体的にはRosettaを使って動作できている。しかし、使用にはより多くのリソースが必要となる。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

Spotifyの場合は、このApple Musicの競合会社が新バージョンにどれだけのリソースを投入したいかという問題だし、Audacityの場合は会社が自由に使えるリソースがどれだけあるかという問題だろう。もしMicrosoft(マイクロソフト)やAdobe(アドビ)のような大手企業でなければ、徐々に不確実性は増えていく。しかし、大手企業のサポートにも問題がある。たとえば私は、Zoom(ズーム)をAppleシリコン版にアップグレードしたのだが、私が使っている「Canon EOS」のウェブカメラソフトのインテルバージョンが動作しないことがわかったので、結局Zoomをダウングレードした。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

これは非常に特殊な問題であるとわかっているし、ワークフローも非常に特殊なものだ。しかし、M1システムがMacの主流になるに従い、最終的には開発者にも選択の余地がなくなる。Appleシリコンに対応していないと、時代遅れになるリスクがあるからだ。このような変化にともなう成長の痛みは避けることはできないが、結果がその痛みを正当化してくれる。AppleシリコンはMacの未来であり、それはまさに、起動が速くスムーズに動く未来なのだ。

私が仕事でビデオを撮るときに使っている外部マイクやカメラの話をすると、Appleチームから怒られるのが目に浮かぶ。なにしろ新しいiMacは、これらの機能に対して久しぶりの大きなアップグレードを行ったからだ。パンデミックによって仕事や会議のやり方が変わり始めていた2020年なら、新しいマイクシステムや、Macに搭載された初の1080p HDカメラを導入するのには最善な時期だっただろう。次善の時期は、もちろん今だ。

Appleは2020年のMacBookではカメラシステムの改善を宣伝していたが、それはチップ上の画像信号処理に関係するものだった。それはホワイトバランスなどの改善にもつながるものの、本当に意味のある映像の改善には、一般にカメラの新しいハードウェアが必要となる。以下の画像を見て欲しい。

画像クレジット:Brian Heater

左が2020 iMac、右が新しいM1 iMacだ。(できれば)私のたわんで半分麻痺したような顔(2020年だよな?)は一瞬忘れて欲しい。画像は夜と昼のものだし、この後、パンデミックの日々を重ねて、多少ましになったからというわけでもない。720pから1080pへのアップグレードによる変化は、画質の違いとしてすぐに現れている。今やテレビ会議は生活の一部になっているので、Appleが全面的にシステムをアップグレードすることを期待していた。

iMac 2020

iMac 2021

カメラに加えて、マイクシステムも改良された。2020年11月に旧システムで録音したものと同じ内容のものを再び録音してみた。3つのマイクアレイはより鮮明で、バックグラウンドノイズの多くを取り除き、よりクリアなものとなった。また、6スピーカーのオーディオシステムも改善されている。音楽や映画の再生には適しているものの、リモート会議では相手のマイクの質によってはクリアさに欠けることがあった。オーディオは、私の好みとしては少し低音が強いかもしれない。

全体的に見て、ほとんどの人が日常的に使用するには、今回のオーディオとビデオのアップグレードは十分だと思う。たまにZoom通話をしたり、音楽を聴いたりする程度の用途であれば、問題ないだろう。だが、これらの製品から何を得ようとしているのかにもよるが、適切な外付けカメラ、マイク、スピーカーを買うのは決して悪い投資ではない。

新型iMacは、デスクトップ型オールインワンの基本的な部分で大きな飛躍を遂げていて、長い間改良の必要性が指摘されてきた同社の最も人気のあるシステムの1つに、新たな息吹を吹き込んでいる。繰り返すが、私は失われたポートを懐かしんでいるし、今では2020年のモデルにSDリーダーが搭載されていたことを夢のようだったと思い返している。いずれは27インチのシステムも登場して欲しいと思う(つまりiMac Proのリブートということ。賛成の人いるよね?)。全体的にみて、これまでの他のモデルに比べて、クリエイティブなプロをターゲットにしたシステムではないものの、それでもM1と搭載されたML(機械学習)は、オーディオ、ビデオ、静止画に対するすばらしい編集機能を備えている。

しかし、カラーコーディネイトされたキュートなデザインや、長い間待れていた遠隔会議機能のアップグレードはさておき、これまでのMacBookやMac Miniと同様に、ここでもApple Siliconが主役を果たしている。このシステムの価格は、発表当初、周辺ではちょっとした騒動のもととなった。すべての機能を搭載した最上位レベルでは2628ドル(日本では税込30万1600円)となるが、最小限のモデルは1299ドル(日本では税込15万4800円)なのだ。

最も基本的なレベルとして、3つの主要な構成が選べる。

  • 1299ドル(税込15万4800円):8コアのCPUと7コアのGPU、8GBのRAM、256GBのストレージ、2つのUSBポート、標準のMagic Keyboard
  • 1499ドル(税込17万7800円):GPUを8コアにアップグレード、Ethernetと2つのUSBポートを追加、キーボードにTouch IDを搭載
  • 1699ドル(税込19万9800円):ストレージを512GBにアップグレード(私たちが試用した構成)。

このシステムは現在予約を受け付けており、今週の金曜日以降顧客の手元に届く予定だ。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:AppleiMacApple M1Appleシリコンレビュー

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:sako)

【レビュー】アップルのiPad Pro 2021は今回もすばらしい、だが……

これまでに複数の場所に住んだことがあるなら、新しいアパートや家に引っ越したときの感覚を知っていると思う。その部屋や空間が可能性に満ちあふれた真っ白なキャンバスのように感じられるのだ。だが大抵の十分なお金を持っていない場合には、結局その場所を古い家具で埋め尽くしてしまうことが多い。

私は何年にもわたって、このような経験を何度もしてきた。実家を出てから、私が手に入れた家具はすべて、安物を買ったり、リサイクルしたり、誰かにもらったりしたものだった。時代もスタイルもごちゃまぜだったが、私が手に入れたときには十分使えていた。結婚して引っ越しをしてからも、同じ家具をたくさん持ち歩いていた。

しかしそのうちに、多くのものに違和感を感じるようになって、それらを譲り渡し、自分たちの家庭を表現するような、そして自分たちの心に響くようなものを注意深く買ったり作ったりするようになった。しかし、表面の凹んだダッチモダンのコーヒーテーブルのように、一風変わったものもまだ持っている。それを見ると、20代の頃のカラオケパーティー後のベタベタしたカクテルの散乱や、30代の頃の子どものおやつ(これもやはりベタベタだが)を思い出す。

それが今のiPadなのだ。これは、毎年おそろしい勢いで働き続けている、Appleのエンジニアリングチームとハードウェアチームによる美しく新しいモニュメントだ。だがそこには、まだ使えはするものの、古さを感じさせるiPadOSソフトウェアが詰めこまれているのだ。そしてそれらは日に日に場違いな感じを増している。

この記事は、もちろんAppleが現在出荷している、現在注文すると手に入る製品について書いている。しかし、Appleの世界開発者会議(WWDC)がわずか2週間強後に迫っている現在、私は基本的にこのiPad Proを、もう一度新たな視点でレビューしたいと考えている。

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画像クレジット:Matthew Panzarino

皮肉なことだが、このモデルの最大のハードウェアアップグレードの1つに対する反応は、私の中では比較的控え目なものとなる。M1チップは本当にすばらしいものだ。ベンチマークテストでは、M1 MacBook Pro(M1マックブックプロ)と同等の性能を発揮しており、この意味でもAppleのラインナップは、パワーよりも大きさとユースケースの違いと考えることができる。しかし、率直に言って、たとえ2020年のモデルでも、私がテストしたほとんどすべてのアプリケーションや、私の日常的なワークフローのすべてにおいて、同じくらい速かったと感じている。

確かに新製品は超高性能で、最新のシリコンを搭載しているが、アップグレードしてもすぐには違いがわからないだろう。これはある意味、意図的なものだ。2021年4月、AppleのJohn Ternus(ジョン・テルヌス)氏とGreg Joswiak(グレッグ・ジョスウィアック)氏に、iPad Proについてインタビューした際に、彼らは新しい統一されたプロセッサー戦略と極めて優れたディスプレイは、開発者が活用することを期待して余裕を持たせているのだと語っていた。

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画像クレジット:Matthew Panzarino

新しいiPad Proのカメラはとてもすばらしく、前面と背面の両方が非常に使いやすくなっている。特に新しい前面カメラは、解像度の向上と新しい広角光学系の恩恵を受けている。この広角のおかげで、iPad Proを使ったビデオ通話がよりリラックスして行えるようになった。

これに加えて、Appleの新しいML(機械学習)駆動機能であるCenter Stage(センターステージ)が、ユーザーの頭と肩を捉えて自動的に中央に配置し、カメラの視界内で、ユーザーが体を傾けたり、立ったり、さらには部屋の中を移動したりしても、スムーズでまあまあなレベルのパンとズームでユーザーを追いかけ続ける。この機能は、機械学習フレームワークを使って、カメラフレーム内の人物のシルエットを検出し、フレーム内での移動に合わせてそのビューに「カメラムーブ」を適用するというものだ。他で見られるような自動ズーム機能とは異なり、Center Stageでは、あたかもバーチャルカメラの操作者が、適切なフレーミングを手助けしてくれているように感じられる。これは実に巧妙で、非常にうまくできており、iPad Proの使い勝手を向上させる今回の最大のポイントの1つとなっている。

画像クレジット:Matthew Panzarino

そしてまた、ご想像のように、この機能はiPad Proのカメラ配置の問題を大幅に軽減してくれる。カメラは、垂直方向に置かれたiPad Proの「上部中央」に置かれているので、キーボードを使う水平方向の配置ではカメラは「中央左」にあることになる。このため、iPadのビデオ通話にはぎこちなさがつきまとっていた。まあCenter Stageを使っても、これらの問題を完全に取り除くことはできず、手の置き場所が問題になることもあるが、より使いやすくするための大きな役割は果たしている。新しいAPIは、この機能をすべてのビデオ通話アプリで利用できるようにしている。また、Zoom(ズーム)アプリの利用中にビデオ通話を空白にすることなくマルチペイン設定が使用できるように、マルチタスクが若干改善されている。

Appleの「Pro Display XDR」で外付けのThunderbolt(サンダーボルト)接続をテストしたところ、問題なく動作した。この2つのディスプレイは非常に近い能力を持っているので、スケーリングは別として、色補正のためにXDRディスプレイを使うパイプラインで作業するプロにとって、この機能は非常に便利なものになるだろう。だがiPad Proがミラーモードにしか対応していないというソフトウェア上の制限は残念ながらまだそのままで、ほとんどの状況でこの機能の使い勝手を少し疑わしいものとしている。

画面について言えば、ミニLEDを採用したLiquid Retina XDRディスプレイは、これまでモバイルコンピューターに搭載されたディスプレイの中で、おそらく最も優れたものだ。とにかくすばらしい。日常的に使用する輝度も平均で最大600ニト(カンデラ平方メートル)と良好だが、動画や写真などのフルスクリーンのHDRコンテンツでは、平均で1000ニト、ピーク時には1600ニトまでディスプレイを明るくすることができる。これはとても「明るい」。昼光下におけるHDRコンテンツの視聴が大幅に改善されている。さらに、120Hz ProMotion(プロモーション)機能などの標準的な機能もすべて搭載されている。

1万個のミニLEDをディスプレイに搭載することで、黒の定位がより正確になり(それらを完全にオフにすることができるため)、過度の反射(ブルーム)も少なくなった(ただし極端なテストを行うとまだ表示される)。また、画面の端から端までの輝度の均一性が格段に向上し、画面上のコンテンツの斜め方向からのビューが改善された。すべての面で優れている。間違いなくディスプレイのすばらしい標準だ。

画像クレジット:Matthew Panzarino

Appleの新しいMagic Keyboard(マジックキーボード)は、基本的には従来のものと同じだが、新たにホワイトが加わった。またうれしいことに、これまでのMagic Keyboardが、新しいiPad Proモデルでもまったく問題なく動作したことを報告したい。2つのデバイスの寸法が同じではないため、古いキーボードが完全にフィットしない可能性があることをAppleが発言したために、ちょっとした騒ぎがあった。だが基本的にはまったく同じフィット感で、機能も同じなので安心して欲しい。両者の違いに気がつくのは、ケースを閉じて、開いている方の端をとても注意深く見たときに、ケースの縁とiPad Proの端の間のクリアランスが約1mm短くなっていることがわかったとき位だ。Appleは、ともかく過剰なほどの情報開示をしておいた方が良いと考えたのだろう、しかし実際には問題はない。

特にシルバーモデルのiPad Proとの組み合わせでは、ホワイトカラーの見栄えは素晴らしく、白いアンテナウィンドウがアクセントになっている。とても「2001年宇宙の旅」的だ(キューブリック監督のiPadは黒だったが)。しかし、私はこの製品がすぐに傷つき汚れていくことが予想できる。箱に「color may transfer」(色落ちすることがあります)という注意書きがあるが、私もそうだろうと思う。私のデモ機には、まだ目立った汚れはついていないが、それも時間の問題だと思う。

キーボードの全体的な使用感はこれまで同様に素晴らしく、とても快適なタイピングができる。またiPad Proの購入を計画する際には、このキーボードが必要不可欠であることを考慮に入れて価格を考慮すべきだ。

さて、あまり輝いていないコインの裏側が、老朽化したiPadのソフトウェアだ。それらは2020年にiPad Proのレビューを書いたときと同じようなままだが、その時点での私の結論は要するに「慣れることはできるが、もっと良くできたはずだ」だった。それが1年前のことだ。この2年半の間、iPad Proを唯一のポータブルマシンとして使用してきた私には、ソフトウェア機能の大きな飛躍をずっと待ち続けているのだという資格がある。

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iPadのソフトウェアには、とてもシンプルな願いがある。ハードウェア側が見せてくれるようなエネルギーの躍動感や、ピークパフォーマンスのための純粋な能力を感じたいのだ。

AppleのiPad Proのハードウェアは、まるで身体3つ分リードしている絶好調のアスリートのようなパフォーマンスを見せてくれる。M1チップとミニLEDディスプレイは得難いものたちだ。これほどの優れたものが1つのデバイスに詰め込まれていることには感動する。

だが残念ながらソフトウェアがその能力を活かすことができないので、このiPad Proはまるで同じ古い家具を備えた完成した家のように感じられるのだ。

画像クレジット:Matthew Panzarino

Appleは、2021年版iPad Proのハードウェアについては、文句なしにすばらしい仕事をしたが、ソフトウェアについてはレベルアップが必要だ。1年の大半をiPad Proを使って過ごしている「パワー」ユーザーとして、私はその場しのぎの解決法や動きの癖には慣れている。しかしここで、必要とされているのはiPadのパラダイムにじっくりと時間をかけて取り組むことだ。現在のペインスタイルのインターフェイスは、非常に高速で流れるような作業方法として推奨できる点が多いのだが、最後までの連続性が存在していない。「これが新しい仕事のやり方だ、このやり方を学ぶべきだ」という熱意が感じられないのだ。

現在のiPad Proのソフトウェアの多くが、あまりにも「アフォーダンス(表現)の谷」にはまり込んでいる。そこでは、いまでもユーザーが、あたかもタッチファーストの仕事のやり方を習得する能力がないかのように扱われている。むしろ、そうしたアフォーダンスのやり方が逆に進歩の妨げになっているのに。

これは、iOS 7時代の頃に行われた「アニメーションを減らす」アフォーダンスを思い起こさせる。かつてAppleがiOSを刷新したとき、新しいペインベースのインターフェイスをタップしているときに何が起こっているのかをユーザーに明確に伝えるために、アニメーションを大幅に増やし過ぎたことがある。ハードウェア的には「遅い」ということはなかったが、彼らが入れたアニメーションのアフォーダンスが凝りすぎていて、遅く感じられたのだ。それらのアニメーションをオフにすると、瞬時にインターフェイスが軽快になり、使いやすくなった。

Appleは最終的に、人びとがより高度なタッチユーザーになる準備ができているのかもしれないと認めることで、これらのアニメーションを抑制した。

これが現在のiPad Proの置かれている状況で、最も腹立たしいのはそのハードウェアとソフトウェアの格差なのだ。iPad Proはこれまでに製造された中で最も優れたコンピューティングハードウェアの1つであり、現在見せているもの以上の能力を持っていることを私たちは知っている。Appleはソフトウェアに関して常に編集者的な視点を持っており、私はその点は評価している。しかし現在、iPad Proに関しては、その姿勢があまりにも保守的であるように感じられる。

だからこそ、私は固唾を飲んでWWDCを待っているのだ。ハードウェア側でこれだけの成果を上げているのだから、iPadのソフトウェア側でもAppleが真に次のステップに進む時期が来ていると考えるべきなのではないだろうか。もしそれが本当に起こり、iPadの次の仕事に対するAppleのビジョンがしっかり見えてきたら、私はまた新しい視点で議論したい。

画像クレジット:Matthew Panzarino

カテゴリー:ハードウェア
タグ:AppleiPadiPad OSApple M1レビューUI / UX

画像クレジット:Matthew Panzarino

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(文:Matthew Panzarino、翻訳:sako)

【レビュー】新しいiPad Pro 12.9インチモデルを動画でチェック!M1、5G、ミニLEDなど進化点盛りだくさん

【レビュー】新しいiPad Pro 12.9インチモデルを動画でチェック!M1、5G、ミニLEDなど進化点盛りだくさん

いよいよ発売となりますApple新iPad Pro 2021年モデルに少し早く触れる機会がありましたので、動画も交え、実機の細部を一緒にチェックしていけましたらと思います。

新しいiPad Proは、これまで同様11インチ(第3世代)/12.9インチ(第5世代)の2サイズあり、それぞれシルバー/スペースグレイの2色、Wi-Fiモデル/セルラーモデルが用意されています。価格は11インチが9万4800円〜、12.9インチモデルは12万9800円〜となっています。

本稿で紹介するのは12.9インチ、シルバーのセルラー(5G)・メモリー1TBモデルで、価格は23万1800円(税込)

本稿で紹介するのは12.9インチ、シルバーのセルラー(5G)・メモリー1TBモデルで、価格は23万1800円(税込)

パッと見は2020年発売の第4世代とさほど変わりませんが……

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セルラーモデルはついに5G対応。引き続きeSIMもサポートしますので、キャリアだけでなくMVNOの豊富なプランから選択できるわけですね

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M1チップを搭載したiPad Pro発表。Thunderboltに5G対応
M1搭載の新 iPad Pro vs 前世代比較。12.9インチ版はLiquid Retina XDR搭載

最新Macと同じM1チップを搭載

AppleのM1チップを搭載し、2020年ProのA12Z Bionicと比較しパフォーマンスは約2倍、グラフィック性能は40%向上しています。2020年10月に発売されたiPad Air(第4世代)はA14 Bionicを搭載し、一部ベンチマークテストでiPad Proを超えることで話題となりましたが、M1チップの搭載で首位奪還です。

Geekbench 5によるテスト結果(平均値ではありません)

Geekbench 5によるテスト結果(平均値ではありません)

内蔵ストレージの容量は128GB、256GB、256GB、512GB、1TB。それに加え、今回は2TBのモデルも用意されます。価格は跳ね上がりますが、1TB・2TBモデルはRAM(メモリー)がほかのモデルの2倍となる16GBに。

私のような仕事(記者)で、16GBのRAM(メモリー)をフル活用するシーンがなかなか思い浮かばないのですが、解像度の高い動画を何本も編集したり、レイヤーを何重にも重ねて作業したりするプロ・クリエイターの方にとって、上位モデルはより魅力的となったのではないでしょうか

私のような仕事(記者)で、16GBのRAM(メモリー)をフル活用するシーンがなかなか思い浮かばないのですが、解像度の高い動画を何本も編集したり、レイヤーを何重にも重ねて作業したりするプロ・クリエイターの方にとって、上位モデルはより魅力的となったのではないでしょうか

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60万円相当の画質

【レビュー】新しいiPad Pro 12.9インチモデルを動画でチェック!M1、5G、ミニLEDなど進化点盛りだくさん
12.9インチのモデルは、Liquid Retina XDRディスプレイ(ミニLED)を搭載しています。すごく簡単に言うと、液晶と有機ELの「いいとこ取り」をしたモノです。ピーク輝度は1600ニト、100万対1のコントラスト比となっており、60万円近くするAppleのPro Display XDR(32インチ)とほぼ同じクオリティーで映像を楽しんだり、実物に近い色味で写真や動画の編集作業が行なえたりします。

Liquid Retinaディスプレイを液晶を搭載した前モデル(右)と並べると、黒の部分とその周囲がよりハッキリ出ているのがわかります。肉眼だと部屋を暗くしなくてもわかるくらい結構違っています

Liquid Retinaディスプレイを液晶を搭載した前モデル(右)と並べると、黒の部分とその周囲がよりハッキリ出ているのがわかります。肉眼だと部屋を暗くしなくてもわかるくらい結構違っています

繰り返しになりますが、このLiquid Retina XDRディスプレイを搭載するのは、大きいほうの12.9インチモデルのみ。ミニLEDを採用したことで、12.9インチは従来より0.5ミリほど本体の厚みが増しています(左が新モデル)

繰り返しになりますが、このLiquid Retina XDRディスプレイを搭載するのは、大きいほうの12.9インチモデルのみ。ミニLEDを採用したことで、12.9インチは従来より0.5ミリほど本体の厚みが増しています(左が新モデル)

関連記事:12.9インチM1 iPad Pro、「Liquid Retina XDR」採用。1万個以上のミニLEDバックライト搭載

なお、厚みが増したことで、12.9インチ用の純正キーボード・カバー類に関しては、第3世代のものは非対応となっています(第4世代のものは第3世代にも対応)。

……のはずですが、第3世代用Magic Keyboardを第4世代で試したところ、問題なく使えてしまいました。カバーもちゃんと閉まります。経年劣化で緩んでいた可能性もありますし、Appleが非対応としているのですから、お高いですが本体を買い替えた方は、一緒に新バージョンを買っておくのが無難かと

……のはずですが、第3世代用Magic Keyboardを第4世代で試したところ、問題なく使えてしまいました。カバーもちゃんと閉まります。経年劣化で緩んでいた可能性もありますし、Appleが非対応としているのですから、お高いですが本体を買い替えた方は、一緒に新バージョンを買っておくのが無難かと

カメラもiPhone級に

【レビュー】新しいiPad Pro 12.9インチモデルを動画でチェック!M1、5G、ミニLEDなど進化点盛りだくさん
背面のメインカメラは、2020年モデルと同じ仕様のデュアルレンズ構成ですが、iPhone 12と同じSmart HDR 3に対応。AIが細部を自動調整してくれます。

空などをAIが判別し、より自然に見えるよう処理してくれます

空などをAIが判別し、より自然に見えるよう処理してくれます

ビデオ会話が快適に

フロントカメラは従来の700万画素から1200万画素になりました。視野角も122度と広くなっています。新たにセンターフレーム(一部地域ではセンターステージ)という機能が備わり、FaceTimeやZOOMなどのビデオ会議で、発話者が自動で中央に表示されるようになっています。

センターフレームはデフォルトでオンに(設定でオフにもできます)

センターフレームはデフォルトでオンに(設定でオフにもできます)

実際に、お友達と試してみました。

FaceTime

FaceTime

Zoom

Zoom

センターフレームは、サードパーティアプリ向けにAPIが公開されていて、ZoomやWebexなどがすでに対応しています。純正アプリのFaceTimeでは、話者に向かって迫っていく感じで、インタビュー映像のようになりましたが、Zoomだと左右調整がメインに行なわれるようです。ユーザーはオン・オフしかできませんが、デベロッパーは細かくカスタマイズできるのかもしれません。

センターフレームは、カメラが広角になり、かつ解像度が上がったため、自動で顔をトリミングしても画質が荒くならないよう常に調整できるようになったため実装できた機能です(なので、オフにすると画角が広角になります)。

モバイルデータ通信の設定で、5Gのデータ使用量を「より多く」に許可し、FaceTimeで会話してみたところ、遅延がなく画質も綺麗、そのうえ自然に顔がフォーカスされてるので、まるで実際に会って話しているような感覚。ほとんどストレスを感じませんでした。ビジネスでFaceTimeを使うシーンは少ないかもしれませんが、ご家族やお友達とぜひ試していただきたいです。

LAN直差しで10Gbps

端子は最大転送速度40GのThunderbolt 3対応に

端子は最大転送速度40GのThunderbolt 3対応に

USB端子がThunderbolt 3対応になり、外部ストレージからの高速転送や6Kディスプレイへの出力も行なえるようになりました。また、LANアダプターを介せば有線イーサネットも10Gbpsの速度で接続できます。

Magic Keyboardにホワイトが新登場

【レビュー】新しいiPad Pro 12.9インチモデルを動画でチェック!M1、5G、ミニLEDなど進化点盛りだくさん
アクセサリーは、これまで通りApple Pencil、Magic Keyboard、Smart Folioカバー、Smart Keyboard Folioが用意されます。このタイミングからMagic Keyboardのホワイトが登場しました。

【レビュー】新しいiPad Pro 12.9インチモデルを動画でチェック!M1、5G、ミニLEDなど進化点盛りだくさん

ホワイトになっただけで、雰囲気がずいぶん違ってきますね

ホワイトになっただけで、雰囲気がずいぶん違ってきますね

一緒に持ち歩くと1.4キロ近くと相変わらず重量級ではあるのですが、5Gも搭載しているので性能から考えたら十分コンパクトなモバイルワークマシンと言えるかと

一緒に持ち歩くと1.4キロ近くと相変わらず重量級ではあるのですが、5Gも搭載しているので性能から考えたら十分コンパクトなモバイルワークマシンと言えるかと

【レビュー】新しいiPad Pro 12.9インチモデルを動画でチェック!M1、5G、ミニLEDなど進化点盛りだくさんニューiPad Pro、ポイントはM1になったことによるパフォーマンスの向上と細部のパワーアップ、5G対応、そして12.9インチは液晶と有機ELのいいとこ取りとしたミニLEDを初登載している点です。

私は個人的に音楽のライブ配信をよく見るのですが、音質、画質、それと互換性(サービスによってはTVなどに飛ばせない)といったあらゆる面から、この新しい12.9インチのiPadが現状、最もライブ配信の視聴環境として優れていると確信しています。また、ゲームもよくするのですが、暗所の表現が多いゲームは、より引き締まった絵で楽しめるので大迫力です。

World of Demons - 百鬼魔道

World of Demons – 百鬼魔道

よりモバイルの機動力を重視する方には11インチモデルもオススメです。iPad Airと迷いそうですが、さらに高パフォーマンス、5G、4スピーカーシステムにセンターシフト、パワーアップポイント満載です。

<オマケ情報その1>

動画には入れてない細かいお話。フロントカメラ周りのセンサー類は、微妙に位置が変わっています。保護フィルム等を貼られる方が多いと思いますが、お買い求めの際は「2021年モデル対応」の表記を確認されることをオススメします。

前モデル用を貼ると、センサーに少し被ってしまいます

前モデル用を貼ると、センサーに少し被ってしまいます

<オマケ情報その2>

iMacに付属するMagic Keyboardを、新iPad Proとペアリングしたらフツーに使えました。ただ、Touch IDは動きません(M1 Macなら動きますが、M1 iPadはNGのようです)

いずれにせよ単体売りはされないキーボードなので、あまり意味はありませんが……

いずれにせよ単体売りはされないキーボードなので、あまり意味はありませんが……

新iPad Pro 12.9を試す、大画面とLiquid Retina XDRディスプレイは正義

iPad Pro 2021 はスマホ以上に5Gの重要性を感じた1台

Engadget日本版より転載)

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:iPad(製品・サービス)Apple / アップル(企業)Apple M1(製品・サービス)Appleシリコン / Apple Silicon(製品・サービス)レビュー(用語)日本(国・地域)

【レビュー】新iPad Pro 12.9を試す、大画面とLiquid Retina XDRディスプレイは正義

【レビュー】新iPad Pro 12.9を試す、大画面とLiquid Retina XDRディスプレイは正義iPad Pro 12.9インチ(第5世代)をアップルから借用し、ひと足早く試す機会を得た。

12.9インチモデルを触る前は、正直言って「次に買い換えるとしたら、11インチモデルで十分かも」と思っていた。そもそも、12.9インチは携帯するにはちょっと大きすぎる。かつて12.9インチモデルを購入して持ち歩いていたが、その大きさを持て余していた。結局、出先で気軽に使うには11インチの方がしっくり来るというのが結論に辿り着いたのだ。

しかし、実際に第5世代のiPad Pro 12.9インチモデルを触ってみると、その信念が大きく揺らいでしまった。

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【レビュー】新iPad Pro 12.9を試す、大画面とLiquid Retina XDRディスプレイは正義
12.9インチが持ち歩くにはちょっと大きいというのは間違いのない事実だが、使い勝手の面において、やはり「大画面は正義」と感じてしまう。ここ最近、増えてきた動画処理をする上でも画面は大きい方がいいに決まっている。

今回、12.9インチモデルを実際に触って、信念が揺らいだ理由の一つがLiquid Retina XDRディスプレイだ。ミニLEDを1万個以上内蔵し、コントラストを100万対1に引き上げている。実際に触る前は大したことないとたかをくくっていたが、実物を目にすると確かに良い。

【レビュー】新iPad Pro 12.9を試す、大画面とLiquid Retina XDRディスプレイは正義
映像や写真などでは暗い部分がしっかりと暗くなっており、明暗がハッキリした表現になっているのだ。自分で撮った映像や写真のみならず、動画配信サイトの映画やドラマ、さらにビデオ会議や記者会見の映像までもパッキリと見えるから不思議だ。

今までのiPad Proと見比べてみると、全体的に明るくなってしまっているのだが、新しい12.9インチモデルは、黒い部分がしっかり黒い。有機ELディスプレイのiPhone 12シリーズに近いといえよう。もちろん、iPad Proの方が大画面なので、視聴しやすいメリットもある。

すでに新しい11インチモデルを予約済みであり、「12.9インチの方が良かったなぁ」とかなり迷い始めた。

そしてもう一つ、iPad Pro 12.9インチモデルを触って、悩ましいと感じたのが処理のレスポンスだ。

新しいiPad Proは、11インチと12.9インチ、いずれもM1チップを搭載している。もともと、iPadOSはサクサクと処理をこなせるのが魅力だが、チップセットがMacBook Proと同等になったことで、さらにサクサク度が増した。

LumaFusion利用イメージ

LumaFusion利用イメージ

実際にすでに使い倒しているiPad Pro 11インチモデル(第2世代、メモリ容量6GB)と、新しいiPad Pro 12.9インチモデル(第5世代、メモリ容量16GB)で動画編集(LumaFusion)を比較してみると、第5世代iPad Pro 12.9インチモデルの方が遥かに快適に動く。

第2世代iPad Pro 11インチモデルでは、写真や動画を読み込む際、最初にボケた状態で出たのちにクッキリとした写真や動画が表示されるのだが、第5世代iPad Pro 12.9インチモデルであれば、最初からクッキリとした写真が動画が出てくるのだ。一瞬の違いなのだが、このストレスがあるかないかは意外と大きい。

ちなみに今回のiPad Proは、本体容量が128GB、256GB、512GB、1TB、2TBの5モデルが存在する。容量の小さい3つはRAM容量が8GB、1TBと2GBは16GBだ。

文書作成やメール処理などであれば8GBで十分だろうが、アプリを頻繁に切り替える、例えば、写真アプリで加工し、その画像や映像などの素材を動画編集アプリで編集する、といったiPad Proの性能をフルに引き出す使い方をするのであれば、本体容量1TB以上を選ぶのが望ましいのかもしれない。

個人的にこれまでiPad Proを長年使ってきているが、iCloudを活用していることもあり、256GBモデルであっても、あと100GB以上の容量が余っている。今回も11インチモデルの256GBで十分かな、と思いつつ、今触っている12.9インチ 1TBモデルの快適さを実感すると、どれを買うべきか、改めて悩ましくなってしまっているのだ。

【レビュー】新iPad Pro 12.9を試す、大画面とLiquid Retina XDRディスプレイは正義
さらにiPad Proを選ぶ上で、絶対に揺らがないのが「買うならセルラー版」という信念。人によっては「Wi-Fiのみか、セルラーも使える方か、どちらかにしようか」と悩む人も多いだろう。

価格差が2万円弱あるので、コストを考えたらWi-Fi版となるかもしれないが、使い勝手を考えるとやはり携帯電話のネットワークに繋がった方が便利なのは間違いない。

今回のiPad Proは5Gにも対応する。自宅ではかろうじてソフトバンクの5Gが繋がるのだが、だからと言って、劇的に高速というわけでもない。どうやら、4G周波数帯の転用らしく、5Gと表記はされるが、中身は4Gみたいなものだ。とはいえ、4Gでもそれなりの速度が出るから快適だ。

今は緊急事態宣言で、自宅で5Gに繋いで喜んでいるだけだが、あと数か月もすれば、街中に出て、5Gに繋ぎ、iPad Proで仕事をしまくることだろう。公衆Wi-Fiはセキュリティ面でどうしても不安があるだけに「いつでもどこでも安心して繋がるキャリアネットワーク」にすぐにアクセスできるiPad Proのセルラー版が手放せないのだ。

【レビュー】新iPad Pro 12.9を試す、大画面とLiquid Retina XDRディスプレイは正義
iPad Proには「センターフレーム」というテレビ会議の際、自分をセンターに映し出してくれる機能が備わった。これまで自分を正面に映そうとする場合、パソコンやiPad Proを机の上だけでなく、さらに台を持ってきて、その上に置くなどの工夫が必要だった。しかし、センターフレーム機能があれば、そうした努力は不要。自動で自分の顔をセンターにして相手に映し出してくれる。コロナが落ち着いても、ビデオ会議は続きそうなだけに、これからも便利な機能として使えそうだ。

今回のiPad ProはM1チップが載り、本体容量も2TBまで選べるなど、もはやパソコンと比較する製品となった。iPadシリーズ全体で見ると幅広い価格帯となっており、エントリーモデルは、それこそ、GIGAスクール構想など、文教市場を狙った製品と言える。一方で、iPad Proはその名の通り、Proユースを意識したスペック、使い勝手となっている。

1秒でも無駄にしたくない、出先でも俊敏に仕事をこなしたい人には、iPad Proが心強い相棒になってくれることだろう。

iPad Pro 2021 はスマホ以上に5Gの重要性を感じた1台
新しいiPad Pro 12.9インチモデルを動画でチェック!M1、5G、ミニLEDなど進化点盛りだくさん

(文:石川温、Engadget日本版より転載)

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【レビュー】iPad Pro 2021 はスマホ以上に5Gの重要性を感じた1台

12.9インチ版のiPad Proで、5G通信機能を試した

12.9インチ版のiPad Proで、5G通信機能を試した

MacBook Airなどと同じM1チップを採用し、5Gにも対応したiPad Proの発売が迫ってきています。発売に先立ち、筆者も実機を試用することができました。パフォーマンスの高さやディスプレイの美しさは別の記事に譲るとして、ここでは、シリーズ初となる5G対応に関してあれこれレビューしていきたいと思います。筆者が今回、もっとも注目していたのもこの機能です。
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と言っても、ユーザーが何か特別なことをする必要はありません。セルラー版を購入して、5Gに対応するキャリアのSIMカードを挿せばOK。ドコモ、au、ソフトバンクの大手3キャリアの場合、スマホのメイン回線と組み合わせることができる「データプラス」などのいわゆるシェアプランがあるため、料金的にはそれを利用するのが手っ取り早いでしょう。2枚目のSIMカードは1枚目と容量をシェアする形ですが、主回線が無制限の場合、30GB前後の制限があります。

設定項目は、ほぼほぼiPhone 12シリーズと同じ。「設定」の「モバイルデータ通信」で「通信のオプション」を選ぶと、「データ」と「データモード」で5G接続の挙動を変更することができます。前者のデータは、5G対応のSIMカードを挿すと、常時5Gが有効になる「5Gオン」と、自動で5Gをオフにすることがある「5Gオート」を選択可能。何らかの理由でオフにしたい時には、「4G」を選択すればOKです。

5Gの設定項目は手順などが少々異なるものの、ほぼiPhoneと同じ

5Gの設定項目は手順などが少々異なるものの、ほぼiPhoneと同じ

「データモード」は、5G接続時にコンテンツの画質を自動的に向上させるための項目です。初期設定では、データ容量を節約するためか、「標準」になっていましたが、「5Gでより多くのデータを許容」をオンにすると、5Gで接続している際に、FaceTimeやビデオの画質が向上します。おそらくこの初期設定は、キャリアや加入しているプランによって変わるはずで、iPhoneと同じだとすると、KDDIの無制限プランに加入している場合は、デフォルトで「許容」になると思われます。

「5Gでより多くのデータを許容」をオンにすると、5G接続時に一部アプリの画質などが自動的に上がる

「5Gでより多くのデータを許容」をオンにすると、5G接続時に一部アプリの画質などが自動的に上がる

設定をオンにしていると、高画質化するコンテンツは、以前より増えています。この機能をプッシュするKDDI関連のサービスが多い印象ですが、スポーツコンテンツでおなじみのDAZNも、動画品質の自動アップグレードに対応しています。試しに、編集長とWi-Fi環境下でFaceTimeを使って雑談してみましたが、肌の質感までよく分かるほどの映像で、通常のFaceTime以上に臨場感が高いと感じました。試用したiPad Proは、12.9インチと画面サイズが大きいため、迫力はiPhone以上。スマホ以上に、5Gエリアで通信することの重要性を感じました。

編集長とFaceTime HDで楽しい時間を過ごした。大画面のiPad Proなら、iPhone以上に画質の違いが分かりやすい

編集長とFaceTime HDで楽しい時間を過ごした。大画面のiPad Proなら、iPhone以上に画質の違いが分かりやすい

そのメリットを体感するには、5Gのエリアが広い必要があります。現時点では残念ながら、4Gのように全国くまなくというわけではありませんが、KDDIやソフトバンクについては、以前とは様相が変わってきています。4Gから5Gへの周波数転用を開始したからです。iPad Proには主にソフトバンクのSIMカードを挿していましたが、筆者の事務所がある渋谷では、様々な場所で5Gがつながります。路上はもちろん、よく行くカフェや事務所の喫煙所(屋外)も、5Gのエリアになっていました。

転用のため、通信速度に関しては4Gとそこまで変わらず、数十Mbpsという場所も多々ありましたが、上記のような、画質向上機能がオンになるのはメリットの1つと言えるでしょう。逆に、周波数転用を現時点では導入していないドコモは、5Gにつながったときの速度には以下のように、目を見張るものがあります。一方で、元々の5Gの周波数は4.5GHz帯や3.7GHz帯と非常に高く、屋内浸透もしにくいのが難点。KDDIやソフトバンクのように、とりあえず入ったカフェの中で5Gを使うというシチュエーションには、なかなか出くわさない印象があります。

転用5Gのエリアは広く、導線がしっかりカバーされている印象を受ける。ただし、速度は4Gと大差なし

転用5Gのエリアは広く、導線がしっかりカバーされている印象を受ける。ただし、速度は4Gと大差なし

【レビュー】iPad Pro 2021はスマホ以上に5Gの重要性を感じた1台(石野純也)

ドコモはエリアこそ狭いが、つながると爆速になるケースが多い。同じ場所でも、4G(下)と5G(上)では速度がこれだけ違う

ドコモはエリアこそ狭いが、つながると爆速になるケースが多い。同じ場所でも、4G(下)と5G(上)では速度がこれだけ違う

iPad Proの利用シーンや、上記のように5Gでコンテンツの画質を向上させる機能があることを踏まえると、やはり転用であっても、エリアが広い方が嬉しいのではないでしょうか。いくら高速でも、スマホと違って、iPad Proを路上で使うことはあまりありません。最近は、駅などで歩きタブレット(!)をしている人を見かけることもありますが、あくまでレアケース。カフェなどに入って、Webや動画を見たり、ビデオ会議をしたりするシーンの方が、シチュエーションとしてリアリティがあります。

そもそもの話として、通信速度ではなく、4Gか5Gの区分だけでコンテンツの品質を分けてしまうのはどうなのかという議論もありますが、同様の機能はiOSだけでなく、Androidにも採用され始めていて、業界標準になりつつあります。特に腰を据えてじっくり使うiPad Proでは、その恩恵が大きいため、ドコモは屋内対策をぜひともがんばってほしいと思いました。ただ、iPad Proは作成した動画をアップロードするといった用途も考えられるため、ほか2社も転用だけに頼らず、Sub-6のエリア整備は強化してほしいところです。

ここまで、あえて名前を挙げていませんでしたが、4月にiPhoneの取り扱いを開始した楽天モバイルも試してみました。オチのように使ってしまうのは大変恐縮ですが、残念ながらiPad Proは、同社の5Gには非対応のようです。楽天モバイルのeSIMプロファイルをインストールしてみたところ、iPhone 12シリーズを取り扱っていなかったころと同様、設定メニューに5Gの文字が現れませんでした。

楽天モバイルのeSIMを設定してみたところ、「データ」で5Gを選択できなかった

楽天モバイルのeSIMを設定してみたところ、「データ」で5Gを選択できなかった

選択できるのは4Gのみで、アンテナピクトの表記は「LTE」になります。また、APNは入力なしで通信できましたが、空欄のままだとインターネット共有(テザリング)の設定も表示されません。これは、楽天モバイルがiPad ProやiPadを取り扱っていないためだと思われます。キャリア設定も降ってこなかったため、取り扱いを開始するまで、同社の5Gはお預けということになりそうです。段階制の料金プランは、サブデバイスとしてのタブレットと相性がよさそうなだけに、今後の展開に期待したいところです。

APNは空欄のままでもつながったが、インターネット共有を利用する際には手動での入力が必要

APNは空欄のままでもつながったが、インターネット共有を利用する際には手動での入力が必要

M1チップを搭載したiPad Pro発表。Thunderboltに5G対応

M1搭載の新 iPad Pro vs 前世代比較。12.9インチ版はLiquid Retina XDR搭載

(文:石野純也、Engadget日本版より転載)

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【インタビュー】アップル幹部がM1搭載の2021年版iPad Proに寄せる思い、Macとの統合と新しい統合プロセッサー戦略

Apple(アップル)が開催した2021年1発目の製品イベント。開始後3分にしてすでに3つの発表がなされた頃には、発表づくしのイベントになることを確信した。Appleは今週、わずか1時間もの間にAirTag(エアタグ)、新しいApple Card(アップルカード)のファミリーシェアリング、新しいApple TV(アップルティービー)、カラフルなiMacの新シリーズ、そして新色パープルのiPhone 12など、数多くの新製品を発表したのだ。

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Appleが新たに発表したデバイスの中でも、市場ポジションの面で最も目を引くのは新しい12.9インチのiPad Proだ。

今週、筆者はAppleのワールドワイドマーケティング担当上級副社長Greg Joswiak(グレッグ・ジョズウィアック)氏とハードウェアエンジニアリング担当上級副社長John Ternus(ジョン・ターナス)氏とともに、最新版のiPad Proと、コンピューティング関連の仕事を扱う業界でのその立ち位置について話す機会を得た。

さまざまな面で、新しいiPad Proは、最終ラップにダントツ1位で突入しているのに、アフターバーナーを点火して後ろの集団をさらに引き離すスプリンターのようだ。2020年のモデルはいまだに最高レベルのコンピューターであり、強力なコンピューティングツールのほか、バッテリー性能、ポータビリティがすべて備わっていた。それなのに2021年のモデルには、さらにM1プロセッサー、RAM、ストレージ速度、Thunderbolt(サンダーボルト)接続、5Gラジオ、新しい超広角前面カメラ、さらにはLiquid Retina XDRディスプレイ搭載といった数々のアップグレードがなされている。

市場ではまだ2020年のiPad Proが席巻しているが、これほどの飛躍は驚きだ。その中心にあるのは、ディスプレイである。

Appleは、5000ドル(日本では税込58万2780円)の超高性能Pro Display XDRにわずかな機能改善を加え、それを12.9インチのタッチ版に移植した。とはいえ、その仕様ははっきり言って最高だ。1000ニトの輝度はHDRではピーク時に1600ニトに達し、フルアレイのローカルディミングゾーンは2500個にのぼる。Pro Display XDRの576個と比べるとケタ違いだ。

2021年最初のApple製品発表はオンラインで行われたため、やはりメディアはiPad Proを含め、新作デバイスをその場で入手できていない。つまり、筆者自身もまだこの目でXDRディスプレイを見ていないというわけだ。残念ながら、スペックが本当に高いためスクリーンを見ずにそのルックを推測しようとするのは、頭の中で「1兆個」をイメージしようとするようなものだ。理論的には可能だが、あまり役に立つものではない。

このスクリーンは市場に出ているどのMacデバイスやiOSデバイスよりも明るく、仕事でHDRの動画や写真を扱う人にとっては大きな決定打になるだろう。しかしそれでも、市場にあるどのディスプレイよりも高密度かつ高輝度のマイクロLEDディスプレイを何百万個あるいは何千万個もの単位で搭載するには、大々的な投資が必要だ。

そこで筆者は、すでに史上最高の携帯ディスプレイ、ないしはディスプレイ全体で見ても史上最高の1つとされるものがありながら、この性能強化に踏み切った理由についてお2人に伺った。

「私たちは常に最高のディスプレイを追求してきました」ターナス氏は続ける。「最高のディスプレイをすべてのデバイスに搭載し、それをさらに良くしていくこと。それが私たちの仕事であり、私たちが毎日職場に来て、大きなことを成し遂げるために働きたいと思う理由です」。

「覚えていらっしゃるかもしれませんが、Pro Display XDRについて私たちが話したことの1つは、このディスプレイと性能を仕事環境にもっと取り入れることでした。今までの仕事の流れでは、プロジェクトの最終段階になってやっと、非常に高価なリファレンスモニターを1つだけ目にするのが普通でした。ですがこのディスプレイがあれば、もうスタジオに足を運ぶ必要はありません。外出先へどこでも持って行って、同じ性能で使えるため、クリエイティブな仕事をする人にとっては非常に大きな価値になるはずです」。

筆者自身がPro Displayを使う中で、また専門職のユーザーとPro Displayについて話す中で共通して感じたことは、作業段階のさまざまなポイントで色彩と画像を仕様に合わせて正確に処理できるようになったことで、全体的なワークロードが削減されたという点だ。一般的なシステムでは制作ステージのかなり遅い段階でリファレンスモニターが登場するため、多くの場合、高コストで時間のかかるリレンダリングや新色のパスが必要となる。Liquid Retina XDRディスプレイを非常に低価格で作業環境に組み込めば、制作ライン上の数多くのポイントを格段に速く通過できるようになるはずだ。

「なぜ強気でスペックを高めるのか」という質問の主な回答は今回の話し合いの後半で登場するが、この流れで少し触れておきたい。ジョズウィアック氏は、頭上スペース、つまりユーザーにとっての頭上スペースとデベロッパーにとっての頭上スペースを確保することがポイントだというのだ。

「ジョン(ターナス氏)が話したように、iPad Proが実現したことの1つは限界に挑んだことです。さらなる高みを追求したことで、デベロッパー側に頭上スペースが生まれ、彼らのクリエイティビティを試せるようになりました。最初にiPad Proを生み出したときは、Photoshop(フォトショップ)もなかったんですよ」ジョズウィアック氏は次のように続ける。「すぐに使えるようなクリエイティブ向けのアプリがなかったんです。それが今では数えきれないほどの種類になりました。それらを生み出すためのキャパシティーや性能を私たちが確保したからこそ、そしてたくさん売りさばいたからこそ、デベロッパーがこのツールを活用できたというわけです。十分な顧客がいて、十分なパフォーマンスがある。じゃあ、これを活用しようじゃないか、というようにね。どの世代も、このように新しいものが生まれていきます。私たちがパフォーマンスの頭上スペースをもっと確保すれば、デベロッパーは自然とその活用方法を考えるものです」。

「自分が買おうとしているものに頭上スペースがあれば、顧客にとってはこの上なしです。実際、デベロッパーにとても気に入ってもらっています」。

今回のiPad ProにはM1チップが搭載されており、Aシリーズのネーミングからは手を引いた格好だ。このプロセッサー部分は、今週発表されたiMac、そして2021年の初めに発売されたMacBookに搭載されたものと同一(メモリー構成が類似)となっている。

「同じM1の部品ですからね」ターナス氏はこう述べる。「iPad Proには常に、Appleが持つ最高のシリコンを搭載してきましたから」。

「デスクトップに入っているチップをそのままiPadに入れられるなんて、すごいですよね」ジョズウィアック氏は話す。「これほどの電力効率でこのレベルのパフォーマンスを発揮できるなんて、ものすごいことです。しかも、それに加えてテクノロジーもそろってる。ニューラルエンジン、ISP、サンダーボルト、他にも数多くのテクノロジーが搭載されていますから、他のどの会社よりも圧倒的な技術です」。

M1の本格展開が始まり、筆者自身でテストを実施するようになると、エネルギー消費効率が圧倒的な点を実感した。これこそが、M1の一番の差別化要因だ。何十年にもわたり、ノートパソコンのユーザーは電力消費を抑えるために、膨大で負荷の大きいワークロードはパソコンをコンセントにつなぐまで後回しにすることが習慣になっていた。そんなノートパソコンに対する期待値を、M1はデスクトップクラスのプロセッサーを使うことで引き上げようとしている。事実、Appleは最も強力なCPUを提供するだけでなく、市場で最も電力効率の良いCPUを提供しているのだ。このCPUは、700ドル(約7万6000円)のMac Miniの他、同時に1700ドル(約18万5000円)のiMac、そして1100ドル(約12万円)のiPad Proにも搭載される。かなり大胆な動きではあるが、10年以上にわたって独自のアーキテクチャとシリコンを築いてきた製品だからこそ実現できることだ。

関連記事:AppleのM1搭載MacBook Proは特にバッテリー駆動時間が驚異的

「バッテリー寿命は、バッテリー容量とシステム効率によって変わりますよね。だから私たちはシステム効率の向上に力を入れて、チームがお分かりのとおりすばらしいパフォーマンスのM1を生み出してくれたわけです。ですが、ディスプレイも忘れてはいけません。私たちはこのディスプレイ用に、効率と、名前のとおりパッケージサイズに注力した新しいミニLEDを設計し、iPadの使い勝手に合った、そしてバッテリー寿命の長いディスプレイを実現しました」。

「この点だけは、妥協したくなかったのでね」ターナス氏は付け加える。

新しいiPad Proの大きな目玉機能は、Center Stage(センターステージ)機能搭載の、12MPの超広角カメラだ。自動センタリング機能やビデオのトリミング機能により、文字通り人間中心のFaceTime(フェイスタイム)が可能になる。フレーム内で人を検知すると自動的に顔が画面の中心に映されるよう調整し、その人が動いたり立ち上がったり、ストレッチをしたり、左右に傾いたりしても、フレームの中心から外れないように調整してくれるのだ。また、別の人が12MPの超広角前面カメラの枠内に入ると、その人にも自動でフレーム調整が適用される。この機能は、フェイスタイムだけでなくZoom(ズーム)やWebex(ウェベックス)にも対応しており、この機能のAPIも提供されるという。

筆者は実際の動きをもう少し詳しく見ることができたため、それを踏まえてこれが業界の被写体フォーカス機能の標準実装になると断言できる。トリミング機能はスマートに作られており、突然どアップのカットに飛ぶのではなく、安定した手でスムーズに拡大縮小をしているカメラマンを思わせた。まさに、目に見えない機械学習エンジンが監督を務めるテレビ番組を見ているような感覚だ。

「私たちが大好きな仕事の良い例が、この機能ですね。ハードウェアとソフトウェアをうまく融合することです」ターナス氏は続ける。「もちろん主役はカメラですが、人の検知やパン、拡大などを実現しているのは、その周りにあるSOCとアルゴリズムです。これにはセンスがいりますよね。動きが速すぎてもいけないし、遅すぎてもいけない、心地よい感覚を生み出すわけですから。Appleには、Appleらしい製品を作るためにセンスにあふれたクリエイティブなメンバーがたくさん集まっているんです」。

この機能は、Magic Keyboard(マジックキーボード)を使ってiPad Proを操作する際の、カメラが不自然に天井を映してしまう問題の解決にも大いに役立つ。このご時世、ビデオ会議に参加することが非常に増えたが、今まではこの問題のせいでiPad Proを外出先でのビデオ会議用に使えずにいた。そこで筆者は、センターステージがこの角度を修正するために設計されたのかターナス氏に伺った。

「iPadはどの角度でも使えますよね。そこで、使い方によってその使い心地も変わります。ですがこの機能のすごいところは、常にフレームを修正できるところです。ビデオ会議に1日中参加していると、立ち上がって足を伸ばしたくなります。カメラを消さなくても、立ち上がってストレッチをしたり、部屋の中を歩き回ったりできる。今までにない圧倒的に新しい技術で、本当にすばらしいことです」。

確かに、Portal(ポータル)などの他のビデオチャット用デバイスに加え、Teams(チームズ)などのビデオソフトウェアがすでにトリミング形式の模倣機能を提供していることは事実だが、一度に何百万ものユーザーにこのようなソフトウェアを提供する際には、ユーザーエクスペリエンスがすべてだ。実際に市場に展開したセンターステージ機能がどのように競合と戦うか楽しみだ。

さて、機能の面でiPad ProとMacがどのように一体化するかについて延々と議論が続いていることを受け、筆者はiPad ProとMacBookそれぞれの購入者にどのような違いがあるかお2人に伺った。この質問にいち早く答えたのは、ジョズウィアック氏だ。

「とてもいい質問ですね。世の中にはiPadとMacが互いに戦争していて、どちらかが倒れるまで戦い続けると考えている人がいる。その一方で、『いや、Appleはこの2つを一体化しようとしているんだ、2つとも1つのプラットフォームに強制的にまとめようとたくらんでいるんだ』という人もいます」ジョズウィアック氏は続ける。

「この2つの声は真逆の思考から生まれていて、実際にはこのどちらも正解ではありません。私たちはそれぞれの分野で最高の製品を作ろうと本当に一生懸命努力していることを誇りに思っています。Macははっきり言って最高のパソコンです。顧客満足度を見れば、長期的にこれが実証されていることが分かります」。

ジョズウィアック氏は、パソコン分野全体が成長していることに触れ、それをうれしく思うと話す一方で、Macはパソコンという概念をはるかに上回る製品で「売れ行きも上々だ」と付け加えている。また、iPadのビジネスも依然として(iPadをタブレット扱いすることは拒否しながらも)タブレット分野を逸脱していると述べる。

「それに、iPadとMacの『どちらか』という考えも間違っています。Macを購入されるユーザーの大半がiPadを持っています。うれしいことですね。Macの代わりに使っているのではなく、適切なときに適切なツールを使っているのです」。

「彼(ターナス氏)とそのチームがiPad Proで実現したすごいところは、一番満足してもらうのが難しい、クリエイティブな仕事をする人にも引き続き喜んでもらえる製品を作ったことです。Macを使って、自宅でも同じように専門的な作業をしながら、iPad Proも活用できる。今までも、何世代にもわたってこのような使い方がクリエイティブのワークフローの一部になってきました」ジョズウィアック氏はこう続ける。「この分析を見ているとワクワクします。どちらか一方ではなく、どちらもクリエイティブ職の人にとって役割があるのです」。

持ち歩き用のコンピューターをiPad Proのみに絞って以来、筆者はよくマルチモーダルの観点から専門的な仕事について考えるようになった。Appleもまた、2018年にProワークフローチームの立ち上げを行っている。ワークフローはここ10年で大幅に変わっており、そこには、いうまでもなくiPhoneやiPadがダイレクト操作の実例を普及させたことが大きく関係している。今の社会では「この新しいものは何だ」とか「すごいね、これが当たり前になったんだ」などという感覚さえ昔のものと化し「これは自分には不可欠だと思う、自分に必要だろう」と思うようになっているのだ。

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「一部の人の考えとは違って、私たちはMacの領域を侵害しないようにiPadで何をすべきでないか考えたり、その逆をMacで考えたりすることはありません」ターナス氏はこう述べる。「私たちが重視しているのは、何が最高のやり方かということです。私たちが作れる最高のiPadとは何だろう、最高のMacとは何だろう、というようにね。iPadとMacを両方使う人もいれば、自分のニーズに合わせてそのどちらかを好む人もいる。どちらも良いと思うんです」。

ここまで読んでいただいた読者のみなさまは、Appleが断固としてiPad対Macの議論をしようとしないことがお分かりだろう。そのうえ、AppleはiPadを市場で対抗者のいない独自のポジションに据えようとしていることも見て取れる。ジョズウィアック氏はよく、タブレットという言葉を使うことさえ嫌だと話している。

「iPadとタブレットは別物です。タブレットはいま1つですが、iPadは最高です」ジョズウィアック氏はこう続ける。「私たちは常にiPad Proで限界を押し上げています。リーダーにはそうあって欲しいと思いますよね。リーダーは限界を突破する存在で、リーダーこそ、XDRディスプレイのように今まで見たことがない世界へ連れていってくれる存在です。私たち以外に、この役割を担える人はいません。そして、一度新しいものを目にして、使ってみれば、疑う気持ちは晴れるでしょう。作ってくれてよかったと思うはずです」。

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(文:Matthew Panzarino、翻訳:Dragonfly)

Apple M1搭載Mac miniに「10ギガビット Ethernet」オプションが追加、価格は税込1万1000円

アップルがApple M1搭載Mac miniに「10GB Ethernet」オプション追加、価格は税込1万1000円アップルが21日(日本時間)に開催した「Spring Loaded」イベントでは新型iMacなどが発表されましたが、その後ひそかにM1 Mac miniに10ギガビットEthernetオプションが追加されました。

上記のイベント終了後、公式オンラインストアでM1 Mac miniをカスタマイズする際に、標準のギガビットEthernetオプションよりも高速な「10ギガビットEthernet」を注文できるようになりました。このオプションは、2020年末にM1 Mac miniが販売開始された当初は用意されていなかったものです。

アップルがApple M1搭載Mac miniに「10GB Ethernet」オプション追加、価格は税込1万1000円

10ギガビットEthernetにアップグレードする場合、価格は+1万1000円(税込)。実はM1 Mac mini発売直後からアップル認定サービスプロバイダ向けの部品発注リストに10ギガビットEthernetに対応したロジックボードが掲載されていたことが明らかになっており、何らかの事情でストアでの提供が遅れていた模様です。

日々のWeb閲覧からクリエイティブな協働作業に至るまで、10ギガビットEthernetはスピードや生産性に貢献するはず。新iMacの予約開始は4月30日〜と少し先のため、こちらの方がすぐに役立つアップグレードと言えそうです。

M1 Mac mini

(Source:9to5MacEngadget日本版より転載)

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Apple M1搭載新24インチiMacは8コアCPU/7コアGPU版が15万4800円、8コアCPU/8コアGPU版が17万7800円

Apple M1搭載新24インチiMacは8コアCPU/7コアGPU版が15万4800円、8コアCPU/8コアGPU版が税込17万7800円Apple(アップル)は米国時間4月20日、Apple M1チップ搭載24インチiMacを発表した。カラーバリエーションとしてグリーン、イエロー、オレンジ、ピンク、パープル、ブルー、シルバーの7色を採用している。直販価格は、Apple M1のGPUコア数により違いがあり、8コアCPU/7コアGPU版が税込15万4800円から、8コアCPU/8コアGPU版が税込17万7800円からとなっている。4月30日から注文を受け付け、5月後半に発売する。

Apple M1搭載新24インチiMacは8コアCPU/7コアGPU版が15万4800円、8コアCPU/8コアGPU版が税込17万7800円

Apple M1搭載新24インチiMacは8コアCPU/7コアGPU版が15万4800円、8コアCPU/8コアGPU版が税込17万7800円

  • 8コアCPU/7コアGPU版Apple M1モデル:税込15万4800円から。256GB SSD。8GBユニファイドメモリー。24インチ4.5K Retinaディスプレイ。Thunderbolt/USB 4ポート×2。Magic Keyboard。カラーバリエーションはブルー、グリーン、ピンク、シルバーの4色のみ
  • 8コアCPU/8コアGPU版Apple M1モデル(256GB SSD):税込17万7800円から。8GBユニファイドメモリー。24インチ4.5K Retinaディスプレイ。Thunderbolt/USB 4ポート×2。USB 3ポート×2、ギガビットEthernet。Touch ID搭載Magic Keyboard
  • 8コアCPU/8コアGPU版Apple M1モデル(512GB SSD):税込19万9800円から。8GBユニファイドメモリー。24インチ4.5K Retinaディスプレイ。Thunderbolt/USB 4ポート×2。USB 3ポート×2、ギガビットEthernet。Touch ID搭載Magic Keyboard

24インチiMacは、8コアCPU/7コアGPUまたは8コアCPU/8コアGPUのApple M1チップを搭載。どちらも16コアNeural Engineを内蔵している。

21.5インチiMacの標準的なモデルに比べてCPUパフォーマンスが最大85%高速化、またGPUパフォーマンスが特定のアプリケーションで最大で2倍高速化したという。最速の21.5インチiMacの最もパワフルなディスクリートグラフィックス(外部GPU。dGPU)より最大50%速くなっているそうだ。これは、Apple M1チップ(8コアGPU)搭載24インチiMac試作モデルと、Radeon Pro 560X(4GB GDDR5)を装備したIntel Core i5-8500B(6コア/3.0GHz)搭載21.5インチiMacを使用し、2021年3月にAppleが実施したテスト結果という。

Apple M1搭載新24インチiMacは8コアCPU/7コアGPU版が15万4800円、8コアCPU/8コアGPU版が税込17万7800円

マザーボードは、ディスプレイ下部に内蔵。Apple M1により、冷却用ファンなども含め小型化を実現

メモリーは8GBで、16GBに変更可能。ストレージは256GB SSD。8コアCPU/7コアGPUの場合、512GB/1TB SSDに変更可能。8コアCPU/8コアGPUの場合は512GB/1TB/2TB SSDに変更できる。

ディスプレイとしては、最大解像度4480×2520ピクセル(218ppi)の24インチ4.5K Retinaディスプレイ採用。色域は色域はDCI-P3準拠。最大輝度500nit。周囲の光環境に合わせてディスプレイのホワイトバランスを動的に調整するTrue Toneもサポート。

また新たに、1080p FaceTime HDカメラを搭載。Apple M1の画像信号プロセッサー(ISP)と連携することで、各ピクセルを分析して補正するなど画質を向上させられるという。またM1のNeural Engineと連係して露出とホワイトバランスを調整するため、どんな明るさの場所でも美しく撮影できるとしている。

無線機能は、Wi-Fi 6(11ax)、Bluetooth 5.0対応。接続端子としては、DisplayPort/Thunderbolt 3/USB 4対応のUSB Type-Cコネクターを採用。

Apple M1搭載新24インチiMacは8コアCPU/7コアGPU版が15万4800円、8コアCPU/8コアGPU版が税込17万7800円

またキーボードは、Magic KeyboardまたはTouch ID搭載Magic Keyboardを利用可能。Touch ID搭載Magic Keyboardの場合、キーボード上の専用セキュリティコンポーネントがApple M1のSecure Enclaveに直接つながり、エンドツーエンドで指紋データを守るため、暗号化されたチャンネルを形成する。Touch IDはファストユーザスイッチにも利用可能で、指で押すだけで違うユーザーのプロファイルに変更できる。

Apple M1搭載新24インチiMacは8コアCPU/7コアGPU版が15万4800円、8コアCPU/8コアGPU版が税込17万7800円

24インチiMacのサイズは54.7×46.1×14.7cm。重量は、8コアCPU/7コアGPU版Apple M1モデルが4.46kg、8コアCPU/8コアGPU版Apple M1モデルは4.48kg。

Apple M1搭載新24インチiMacは8コアCPU/7コアGPU版が15万4800円、8コアCPU/8コアGPU版が税込17万7800円

M1 iMacの電源アダプターはEthernetポートも搭載。iMac側には磁石で取り付けられる新しい電源コネクターで接続

画像クレジット:Apple

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アップルがM1チップ搭載iPad Proを5月後半発売、12.9インチが12万9800円から、11インチは9万4800円から

アップルがM1搭載iPad Proを5月後半発売、12.9インチが税込12万9800円から11インチは税込9万4800円から

Apple(アップル)は米国時間4月20日、Apple M1チップ搭載iPad Proを発表した。直販価格は、11インチ・Wi-Fiモデルが税込9万4800円から、12.9インチ・Wi-Fiモデルが税込12万9800円から。4月30日から注文可能となり、5月後半に販売を開始する。

アップルがM1搭載iPad Proを5月後半発売、12.9インチが税込12万9800円から11インチは税込9万4800円から

  • 11インチ・Wi-Fi:128GB版9万4800円(税込)、256GB版10万6800円、512GB版13万800円、1TB版17万8800円、2TB版22万6800円
  • 11インチ・Wi-Fi+Cellular:128GB版11万2800円(税込)、256GB版12万4800円、512GB版14万8800円、1TB版19万6800円、2TB版24万4800円
  • 12.9インチ・Wi-Fi:128GB版12万9800円(税込)、256GB版14万1800円、512GB版16万5800円、1TB版21万3800円、2TB版26万1800円
  • 12.9インチ・Wi-Fi+Cellular:128GB版14万7800円(税込)、256GB版15万9800円、512GB版18万3800円、1TB版23万1800円、2TB版27万9800円

12.9インチモデル

新しいiPad Proは、8コアCPU・8コアGPU・16コアNeural EngineのApple M1チップを採用。従来のiPad Proと比べCPUは最大50%パフォーマンスが向上、GPUは最大40%向上しているという。メモリーは、128/256/512GBストレージ搭載モデルが8GB、1/2TBストレージ搭載モデルが16GBとなっている。

アップルがM1搭載iPad Proを5月後半発売、12.9インチが税込12万9800円から11インチは税込9万4800円から

ディスプレイとしては、最大解像度2732×2048ピクセル(264ppi)のLiquid Retina XDRディスプレイを採用。色域はDCI-P3準拠。コンテンツの動きに合わせて自動調整を行うProMotionテクノロジーによりリフレッシュレート最大120Hzに対応。最大輝度600nit(フルスクリーンの最大輝度1000nit、ピーク輝度1600nit)。周囲の光環境に合わせてディスプレイのホワイトバランスを動的に調整するTrue Toneもサポート。

1万個以上のミニLEDを利用したバックライトにより100万:1のコントラスト比を実現したという。2596のローカルディミングゾーンに画面を分割し、表示コンテンツに応じて各ゾーンの輝度を正確に調整しているそうだ。

アップルがM1搭載iPad Proを5月後半発売、12.9インチが税込12万9800円から11インチは税込9万4800円から

背面カメラとしては、1200万画素および絞り値f1.8の広角カメラ、1000万画素および絞り値f2.4・視野角125度の超広角カメラを搭載。前面には、TrueDepthカメラとして、1000万画素および絞り値f2.4、視野角122度の超広角カメラを採用している。カメラ類は、すべてスマートHDR 3をサポートしている。

TrueDepthカメラでは、センターフレーム機能により、被写体がフレームの中心から外れないように自動で水平方向に調整(パン)する。またビデオ通話時などに他の人がフレーム内に入ると、自動ズームイン・ズームアウトを行うとしている。

無線機能は、Wi-Fi 6(11ax)対応。またWi-Fi+Cellularモデルは5G通信に対応しており、nano SIM(Apple SIM対応)とeSIMを利用できる。センサーは、Face ID、LiDARスキャナー、3軸ジャイロ、加速度、気圧計、環境光を採用。

接続端子としては、DisplayPort、Thunderbolt 3およびUSB 4対応のUSB Type-Cコネクターを採用。本体カバーにもなる薄型キーボード「Smart Keyboard」および「Smart Keyboard Folio」を利用可能。このほかBluetooth 5.0をサポートしている。また、Apple Pencil(第2世代)を利用できる。

アップルがM1搭載iPad Proを5月後半発売、12.9インチが税込12万9800円から11インチは税込9万4800円から

サイズは280.6×214.9×6.4mm。重量はWi-Fiモデルが682g、Wi-Fi+Cellularは684g。バッテリー駆動時間は、最大10時間(Wi-Fiでのインターネット利用、ビデオ再生)。またWi-Fi+Cellularモデルの場合、携帯電話データネットワークでのインターネット利用時は最大9時間としている。

11インチモデル

11インチモデルは、最大解像度2388×1688ピクセル(264ppi)のLiquid Retinaディスプレイ採用。最大輝度は600nit。ProMotionテクノロジー、True Toneなどをサポート。色域はDCI-P3準拠。

サイズは247.6×178.5×5.9mm。重量はWi-Fiモデルが466g、Wi-Fi+Cellularは468g。バッテリー駆動時間は、最大10時間(Wi-Fiでのインターネット利用、ビデオ再生)。またWi-Fi+Cellularモデルの場合、携帯電話データネットワークでのインターネット利用時は最大9時間としている。

この他の仕様は、12.9インチモデルと共通。

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アップルが「Spring Loaded」で発表した新製品まとめ、新iMac、iPad Pro、AirTagなど

Apple(アップル)のイベントの日だ。

Apple Cardの改良から新しいiMacやiPadまで、Appleは1時間のイベントでたくさんのニュースを発表した。しかし、すべての発表に目を通している時間がない方のために、それぞれのポイントをまとめてご紹介しよう。

Apple Card

画像クレジット:Apple

Appleはまず「Apple Card」の仕組みの変化について、簡単だが重要な説明を行った。「Apple Card Family」では、13歳以上の家族なら誰とでもカードを共有でき、追加ユーザーごとに利用限度額をカスタマイズできる。また、Appleカードを他の大人と「共同所有」することもできるようになり、両方の所有者が等しくクレジットを蓄積できるようになる。

Appleはまず、Apple Cardの仕組みの変更について、簡単に、しかし重要な説明を行った。「Apple Card Family」では、13歳以上の家族であれば誰でもカードを共有することができ、追加ユーザーごとに利用限度額をカスタマイズできる。また、他の大人とApple Cardを「共同所有」することも可能になり、2人の所有者が同じようにクレジットを貯めることができるようになる。

Apple Podcasts

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Appleは、Podcastアプリのデザインを一新し、それぞれのPodcastを有料購読(月額または年額)できるオプションを提供する。

パープルのiPhone

画像クレジット:Apple

今回、新しいiPhoneは発表されなかったが(iPhoneは通常、年内に発売される)、既存のiPhone 12とiPhone 12 miniに新色「パープル」が加わった。彼らはWilly Wonka(ウィリー・ウォンカ)の歌が使われたが……、まぁそれはパープルだからだろう。

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AirTag

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Appleはついに、ソファーで紛失したさまざまなAppleデバイスを探すのにときと同じく「Find My」アプリを使って、鍵やお財布、バッグなどを追跡するためのアクセサリーを正式に発表した。

AirTag」(不思議なことに「AirTags」ではない)と名づけられたこのアクセサリーは、1個29ドル(日本では税込3800円)、4個入りで99ドル(日本では税込1万2800円)、4月30日に発売される予定だ。バッテリーはユーザーが自分で交換できるが、奇妙なことにアタッチメントループは付属しない。キーホルダーなどに取り付けたい場合は、ケースを追加する必要がある。もちろん、Appleはそれを作り、販売する。

AirTagにはそれぞれスピーカーが内蔵されており、紛失したアイテムを見つけるのに役立つ。オンラインで購入すると、テキストや選択した絵文字を無料で刻印することができる。

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次世代Apple TV 4 K

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Appleは、2017年に初めて発売した「Apple TV 4K」を大幅に刷新する。その内訳は以下のとおりだ。

  • AppleのA 12 Bionicチップ搭載。
  • iPhoneを使って映像のキャリブレーションが行える。キャリブレーションプロセスを開始し、iPhoneの前面カメラをテレビに近づけると、Apple TV 4Kはそれに応じて自らのカラー / コントラスト出力を自動的に最適化する。
  • リモコンのデザインも一新。これまでのタッチパッド付きのリモコンから、iPodのようなスクロールホイールを備えた5方向のクリックパッド付きのリモコンに変更された。ボタンを押す代わりにテレビに話しかけたくなったときのために、側面にはSiriボタンが付いている。このリモコンは、前世代
  • Siri RemoはApple TV 4KおよびApple TV HD用として59ドル(日本では税込6500円)で別売りされる。
  • 32GBモデルが179ドル(日本では税込2万1800円)、64 GBモデルが199ドル(日本では税込2万3800円)。

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新しいiMac

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iMacがM1にシフトするときが来た!Appleは、iMacの新ラインナップを発表した。往年のiMacを彷彿とさせる、ファンシーなカラーバリエーションが特徴だ。その概要は以下のとおりだ。

  • Appleが2020年にノートPCに初導入した驚異的に高速な「M1」チップセットを搭載。
    24インチの「4.5K」ディスプレイ。
  • ついに、まともなウェブカメラが登場!新iMacには1080pのFaceTimeカメラが搭載される。
    予約注文は4月20日から始まり、出荷は5月下旬。
  • 1299ドル(日本では税込15万4800円)で8コアCPU / 7コアGPU、1499ドル(日本では税込17万7800円)で8コアCPU / 8コアGPUにアップグレードできる。
  • カラーはグリーン、イエロー、ピンク、オレンジ、ブルー、パープル、シルバーの7色。一部の色は、より高額なモデルでのみ提供される。
  • どちらのモデルも256GBのSSDとThunderboltポートが2つ備えている。1499ドルのモデルでは、USB 3ポートが2つ追加される。
  • Appleは、Touch ID指紋認証センサーを搭載したBluetooth Magic Keyboardの新バージョンも発表。高額なモデルに同梱される。

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新しいiPad Pro

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iPad ProもM1を搭載する!Appleによると、この移行により従来のiPad Proと比べてパフォーマンスが50%向上したという。新機能は以下のとおりだ。

  • 8コアGPU / 8コアCPU。
  • 11インチモデルは799ドル(日本では税込9万4800円)から、12.9インチモデルは1099ドル(日本では税込12万9800円)から。
  • セルラーモデルは5Gをサポート。
  • USB-Cポートを介してThunderboltおよびUSB 4をサポート。
  • 12.9インチモデルは「Liquid Retina XDR」ディスプレイを搭載。Appleによるとフルスクリーン輝度は1000ニト、ピーク輝度は1600ニトとのこと。
  • Appleが「Center Stage」と呼ぶ機能は、FaceTime通話中に、部屋の中を動き回っても自動的に自分の顔をフレームの中央に保つ。
  • 最大2TBの内蔵ストレージと16GBのRAMを搭載。

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Katsuyuki Yasui)