Facebookが新型360度カメラを発表、6自由度の撮影が可能に

FacebookのF8カンファレンス2日目、FacebookのCTOを務めるMike Schroepferは、2つの新しい360度カメラを発表した。この2つのカメラは年内にも販売を開始する予定だという。「x24」は24個のカメラを、弟モデルの「 x6」は6個のカメラを内蔵している。どちらも360度コンテンツ用に6自由度の動画が撮影できる。Facebookはこの2つのカメラデザインをライセンス提供し、年内の販売に向けてパートナー企業を探すという。

FacebookのArea 404でプロトタイプが展示された。x24は、FLIRカメラシステムとFacebook独自の設計を組み合わせている。従来、VRを見ている視聴者が頭を傾けた時にも映像が自然であるようにするため、360度動画を作成するのに多くの処理が必要だった。このカメラでは、周りを6自由度(6DoF)で撮影することでその課題がなくなる。

このコンセプトは「volumetric capture(空間全体の撮影)」とも言われるもので、VRで達成すべき大きなマイルストーンに位置付けられていた。スタートアップの Lytroは、ライトフィールドを使ってこれを実現しようとし、 一方で8i はソフトウェア技術を使っている。Facebookの場合は、スパース推定で奥行きを算出することにより、複雑な設備を必要としないという。

「残念ながら、完全な6-DoFの360度動画を撮影するには、カメラアレイやライトフィールドカメラによる複雑なハードウェアの構成が必要です。これは一般ユーザーが手にするには高額で、簡単に使えるものでもありません」とAdobeの研究者は、最近の報告書に記している。

ピクセルレベルで奥行きの情報を取得するメリットは、動画のプストプロダクションで遊べるようになることだ。クリエイターは背景の山々をビーチに変えたりすることができる。

新しいカメラは、以前発表したSurround 360を元に開催したもので、見た目も良い。以前のSurroundは映画インセプションの最後に出てきたコマからインスピレーションを受けたようなデザインだったが、 x24とx6はそれより小さく、シンプルな球状のデザインだ。未来のテクノロジーと聞いて期待する親しみやすいデザインだ。

「私たちがこのカメラの開発とこのエコシステムでの事業は、コンテンツ製作者にツールを提供し、彼らがVRで芸術的な創作を始めることができるようにすることです」とFacebookのエンジニア部門のディレクターを務めるBrian Cabralは話す。

コミュニティーを形成するのは難しいが、Facebookはニュースフィードの360度動画からOculusに至るまで、この分野での成功はコンテンツ製作者のエコシステムを構築することにかかっていることを理解している。そのため、FacebookはAdobe、Otoy、Foundry、Mettle、DXO、Here Be Dragons、Framestore、Magnopus、The Millといったポストプロダクション企業やVFX企業とパートナーシップを締結している。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

F8:Facebookは頭脳直結テキスト入力開発中―「埋込み手術の必要なし」と元DARPA局長がプレゼン

今日(米国時間4/19)、F8デベロッパー・カンファレンスでFacebookは60人のエンジニアのチームが頭脳と直結してテキスト入力などができるコンピューター・インターフェイスを開発していること明らかにした。現在試行されているような頭脳への電極等の埋め込みを必要としないという。このインターフェイスは脳を毎秒100回スキャンして光学画像を生成し、人が声に出さずに思考している内容を読み取ってテキスト化する。

FacebookのR&Dの特別組織、Building 8の責任者、レギーナ・ドゥーガン(Regina Dugan)がF8カンファレンスで説明したところによれば、この研究の目標は、ユーザーがスマートフォンを使って頭脳から直接に毎分100語、つまり現在の5倍のスピードでテキスト入力ができるようになることだ。

頭脳をコンピューターと直結するインターフェイスは、最終的にはVR〔拡張現実〕にも利用され、物理的なコントローラーを操作することなしに、思考だけでVRを操作できるようになるという。今年のF8カンファレンスではCEOのマーク・ザッカーバーグやCTOがこの「直結インターフェイス」テクノロジーが持つ可能性をさまざまな角度から紹介した。

ドゥーガンは「頭脳から直接完璧にタイピングできたら素晴らしいだろう」と言う。ドゥーガンは麻痺の障害を持つ患者が脳に埋め込まれたセンサーを利用してタイピングしているビデオを紹介した。続いてFacebookでは脳の手術の必要なしに同じことを実現しようとしていると述べた。

Building 8が頭脳インターフェイスによるタイピングの研究を始めてからまだ6ヵ月しかたっていないという。しかし開発チームはカリフォルニア大学サンフランシスコ校、同バークレー校、ジョンズ・ホプキンス医科大学、ジョンズ・ホプキンス応用物理学ラボ、ワシントン大学セントルイス医学校などの研究者の協力を得て、機械学習による言語解析、高度な空間解像力も有するテクノロジーによる脳活動の光学画像化、次世代神経科学などを適用して開発を進めている。

Facebookは最終的には脳への埋め込みなしに脳と直結するインターフェイスの実現を目標としているのは大規模な採用を目指しているからだ。またプライバシーへの当然な懸念が生ずるが、Facebookは私のインタビューに対して、「これはあらゆる考えでを読み取ってしまうようなテクノロジーではない。これは直接入力のためにユーザーが意識的に言語中枢に送った言葉だけを解読する。われわれはスマートフォンでたくさん写真を撮るが、公開するのはそのうちの何枚かに過ぎない。われわれのハードウェアが実用化しても、内心の自由を妨げることはない。このインターフェイスが読み取るのはユーザーが入力しようと決めた考えだけだ」という。

一方、 Building 8では「皮膚を通じて聞く」テクノロジーも研究中だ。プロトタイプが完成しているこのハードウェアは特定の振動を脳に伝えることにより皮膚に内耳の役割を果たさせようとするものだ。これが実用化されれば耳に障害を持つ人々も耳をバイパスして皮膚で音を「聞く」ことができる。

Facebookのエンジニアが16の周波数帯域に設定したアクチュエーターを用いて被験者の1人は9つの単語を皮膚を通して認識することができるようになったという。

Building 8の求人情報によれば、電気生理学的情報の収集、神経活動の非侵襲的画像化などの専門家が求められている。【略】

Tesla、SpaceXのファウンダー、イーロン・マスクもNeuralinkという新しいスタートアップを立ち上げて独自の頭脳コンピューター・インターフェイスの開発に取り組んでいる。

FacebookのBuilding 8研究開発チームの責任者、レギーナ・ドゥーガン(Regina Dugan)

Facebookは秘密のベールに覆われた新しい研究組織、Building 8の責任者として昨年ドューガンをスカウトした。ドゥーガンはGoogleの Advanced Technology And Products事業部の責任者で、その前はDARPA〔国防高等研究計画局〕の責任者を務めていた。

Facebookはメンローパークの本社キャンパス内にArea 404という施設を持ち、大量の先端的メカニカル・エンジリングの装置と専門家を擁している。このArea 404がドウーガンのチームがハードウェアのプロトタイプを作ることを助けている。 昨年12月にFacebookはスタンフォード、ハーバード、MIT等の大学から素早く協力を得られる規約を結んだ

今日のプレゼンテーションまで、Building 8が正確にはどういう組織か誰も知らなかった。もっとも、Business InsiderはBuilding 8の求人情報を探り出して、推測を試みていた。

Facebookのハードウェア・プロジェクトには成功したものも失敗したものもある。HTCと協力して作成した FirstというAndroidスマートフォンは失敗だった。Facebookの本来的なユーザーはコミュニティーとの交流に興味があり、専用ガジェットには興味がなかった。FacebookはTerragraph Wi-FiノードProject ARIESアンテナソーラー発電ドローン、Aquilaなどを開発してきた。また途上国でのインターネット・アクセスの容易化を図る通信衛星の打ち上げも試みたが、残念ながらSpaceXが打ち上げに失敗してしまった。【略】

FacebookのArea 404ハードウェア・ラボ。メカニカル・エンジニアリングの楽園

Facebookが巨大化するにつれて、新しいハードウェアを開発するための資源、人材ともに拡大した。18億人のユーザーを持つFacebookは頭脳インターフェイスであれ、その他どんな新しいアプローチであれ、実験の志望者にもこと欠かないはずだ。

〔日本版〕Regina Duganのテクノロジーに関するTEDでのプレゼンテーション。こちらはDARPA局長時代。なおこのビデオでも分かるとおり、ファーストネームのReginaは「レギーナ」が本人の採用している読み方。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

F8:Android版Instagramにオフラインモード―iOS版は数ヶ月後

6億人のInstagramユーザーの80%はアメリカ国外の居住者だ。こうしたユーザーの多くはネットワーク接続性が低く定額制のデータ・プランも得にくいような環境に置かれている。そこで今日(米国時間4/18)、サンノゼで開催中のF8デベロッパー・カンファレンスでInstagramは機能のほとんどをネットワーク接続がない環境でも利用できるようにしたことを発表した。

新機能の大部分は最新のAndroid版ですでに利用可能だ。iOSバージョンについても数ヶ月以内にリリースされる模様だ。ただしデベロッパー・コミュニティーでは圧倒的にAndroid環境が好まれている。

Instagramのエンジニア、Hendriによれば、ユーザーはオフライン環境でもあらかじめデバイスに読み込まれたフィードを閲覧することができるという。ユーザーはコンテンツにコメントや「いいね!」をつけるなどのリアクションが可能だ。保存やアンフォローなどもできる。これらは次にインターネットに接続されたときにアップロードされる。以前に閲覧していればプロフィール・ページを見ることもできる。Exploreタブやユーザー自身のプロフィールも同様だ。

こうしたアップデートはインターネット接続が得られない環境でも便利だが、途上国でデータ接続プランが高価すぎたり、接続が安定しなかったりする場合に特に効果を発揮する。Instagramが途上国でユーザーを増やすために有効だろう。昨年、 途上国の環境を考慮してFacebookが開発した軽量版のFacebook Liteアプリは1年で2億人のユーザーを獲得した。Instagramがオフライン・モードをサポートしたことに大きな可能性を感じさせる数字だ。Snapchatが途上国ユーザーの存在を無視しがちなのに比べて、Instagramは世界中あらゆる場所で誰もがビジュアル・コミュニケーションへの参加を望んでいることを忘れていないようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

F8:FacebookがMessengerを大幅更新、QRコードをサポート、M仮想アシスタントを通した食品注文も可能に


Facebookは本日(米国時間18日)Messengerプラットフォーム向けにいくつかの新機能の提供を開始した。中でもM仮想アシスタントに対するアップデートが重要なものだ。今やdelivery.comを通して食品の購入を助けてくれるようになり、またMessenger Codesの開始によって、QRコードをMessengerの中でスキャンすることが可能になった。またゲームポットとターンバイターン(分岐点で行き先を指示する)ゲームに対するサポートが改善された。

M仮想アシスタントは、今年の初めに助言機能のサポートを追加したが、今回の更新によって、あなたが友達と夕食の相談をしているとその内容を認識して、delivery.comを通した注文を提案してくるようになった。Facebookによれば、この体験にはグループ注文と支払いも含まれているということだ。この新機能は、delivery.comによってサービスが提供されている所なら、米国内のあらゆる場所で利用可能だ。

FacebookのMessengerにはGameタブも登場した(本日開始)。このタブからGameボットとRich Gameplay(つまりターンバイターンゲーム)にもアクセスすることができる。facebookによれば、過去90日の間に、Messengerの中でゲームが15億回プレイされたそうだ。

QRコードに関しては、その内容はほ想像通りだ。QRコードをコンサートや、バスケットボールの試合や、その他のイベントでスキャンすることが可能で、スキャン後にはMessengerボットが立ち上がって更に情報を提供してくれるという仕掛けだ。Facebookがあっさり認めているように、QRコードはほとんど普及してはいないが(少なくとも米国内では)、この使い方は興味深く、おそらくこのコードを少々有名なものにして行くことだろう。

ビジネス向けに、当然FacebookはQRコード生成ツールの提供も始めた。そうしたビジネスは、いまや様々な開発者たちと協力して様々なMessenger体験を提供することが可能になった。これは、例えば、あるビジネスがショッピングならびにカスタマーサービスの両方のボットを提供することが可能であることを意味する。そして異なるベンダーたちと異なる開発者たちがこれらを別々に管理することが可能なのだ。

そうしたビジネスたちは、自分のFacebookページ上に、Wit.aiボットエンジンによって駆動されるスマートリプライのサポートを追加することができる。それらを通して、顧客が繰り返し尋ねる質問に応答することができる(営業時間や、行き方案内や、電話番号の問い合わせなどに対する問い合わせを考えてみて欲しい)。

このすべてに加えて、Facebookはまた、そのグループボットに対するメジャーアップデートも発表した。これによって適切なボットの発見がより簡単になった。

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(翻訳:Sako)

FacbookがMessengerにグループボットとボット発見タブを追加

Facebookは本日、ユーザーが使いたいMessengerボットを見つけるための 2つの便利な方法を実装した。これでMessengerプラットフォームを活用する10万人の開発者を悩ませていた課題を解決したい考えだ。

Facebookの新たなChat Extensionsで、グループチャットでもMessengerボットを利用できるようになる。例えば、theScroreのボットで友人とスポーツの試合の得点を共有したり、Spotifyのプレイリストを編集したり、SnapTravel で泊まりたいところを相談したり、Kayakで予約する飛行機の便を決めたりすることができる。NBA、Food Network、WSJ といった開発企業がグループボットを本日より提供する。Apple Musicも近々リリース予定だ。

TechCrunchでは先月の時点で、Facebookが今回のF8でこれらのグループボットをローンチすると伝えた。これまで、ボットの体験は個人とボットの1対1で利用するものだった。しかし、ボットは人のような応対をするのは難しい。Chat Extensionsではボットは話し相手というより、機能やアシスタントに位置づけ、現在のテクノロジーに見合った機能を提供する。

2つ目の施策として、MessengerにDiscoveryタブを追加した。ユーザーはここから最近使ったボットを確認したり、ボットのカテゴリーから流行っているボットや特定のボットを見つけることができる。ボットと会話を始める前に、ボットがどんな機能を持っているかを確認できる画面もある。このキュレートタブにボットを掲載するには、開発者は作成したボットのプレビュー情報をあらかじめ提出しておく必要があるという。

最後に、FacebookはM Suggestions(Mによるおすすめ)機能を拡張する。これは、AIで会話の内容を解析し、使うべきMessengerのボットを提案するものだ。Mはユーザーが話している内容から理解したニーズに応じて、外部の開発者が作成したボットを提案できるようになった。例えば、誰かが「食事を注文しようか」と言ったのなら、Mはそれができるdelivery.comのボットを勧めるといった具合だ。

こうした機能を提供することで、グループの中からMessngerボットは普及するかもしれない。また、Facebookが良いボットを提案することにはメリットもある。優良な開発者をこのプラットフォームに惹きつけることができるだろう。FacebookはMessengerボットを昨年ローンチしたが、ユーザーは良いボットを見つけるのを難しく感じていた。多くのボットはAIが未熟だったり、使い方が難しかったりしてユーザーの期待に応えられるものではなかった。本日のFacebookのF8のカンファレンスでMessengerを率いる David Marcusは「ベータ版だと言っておいてよかった」と話していた。

Facebookはテキスト入力ではなく、メニューから選択できるようにするなどボット機能の改善に取り組んできた。そして、F8ではMessengerに現実世界ではQRコードを通じて、特定のボット機能を呼び出せるようにしたり、企業を助ける機能なども提供する。また、SnapTravelのMessengerボット経由ではこれまでに100万ドル相当のホテル予約が行われたという。チャット内コマースが機能し始めていることを示唆していると言えるだろう。

今回のアップデートで、ボット開発者はチャーン率やユーザーの理解が進まないという課題に再挑戦する理由ができたと言える。Messengerには12億人のユーザーがいて、それらのボットを試そうと思うユーザーは十分いるだろう。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

ザック曰く、FacebookのARプラットフォーム戦略の一環としてSnapchatの類似機能をリリースした


「それについてはあまり心配していません」。FacebookはSnapchatをコピーしているという批判に対し、マーク・ザッカーバーグはそう話した。それはFacebookが本日ローンチした開発者向けCamera Effects Platformの準備のための機能だったと、世間に「誤解」された戦略を擁護した。

「最初の施策として、人々がすでに馴染みのあるプロダクトをリリースすることが理にかなっていました。しかし、私たちが他と違うところは、単に純粋なカメラを作っているのではなく、初のメインストリームとなるARプラットフォームを構築することにあります」。

SnapchatはアニメーションのARセルフィーマスクやフィルターを普及させることに成功したが、開発者プラットフォームはなく、開発者が自分たちのクリエイティブなツールを広くユーザーに提供することはできない。Facebookは10年に及びプラットフォームを運営してきた経験を活かし、現実世界にあるオブジェクトや場所をきっかけに起動するARの特殊効果やインタラクティブな体験を開発者が際限なく作り出し、人々に提供できる環境を整えたい考えだ。

ここ数週間の間に、Facebookがイノベーションを止め、Snapchatのクローンになったと揶揄する声が高まっていた。 FacebookはSnapchat風のストーリーズ機能とカメラの特殊効果をFacebookで提供する4つの主要なソーシャルアプリFacebook、Messenger、WhatsApp、Instagramの全てに実装した。これは、競合であるSnapを抑え込むことための過剰な施策で、Facebookが必死に対抗しているかのように見えた。優秀な人材の獲得競争にある同社の魅力が下がったようにも感じられた。

Facebookはイノベーションを止めたという批判に対してコメントを求めたところ、ザッカーバーグは批判を一蹴し、これまでの機能の実装は、全てのプロダクトでクロスアプリに対応する1つのCamera Effects Platformを準備するためのものだったと主張した。Facebook Storiesは今月ローンチしたばかりだが、この戦略自体はしばらく前から取り組んできたことだという。

1年ほど前から開始しました。動画や写真がサービスの中心になりつつあり、カメラが必要になると感じていたのがこの構想の軸にあります。しかし、私たちが他と違うところは、単に純粋はカメラを作っているのではなく、初のメインストリームとなるARプラットフォームを構築することにあります。

しかし、現実的には特定の機能を徐々にリリースすることを考えました。この戦略についてはF8で公表するとしても、全てを一度にリリースすることはないでしょう。それにこの構想は次の段階のものです。最初の施策としては、人々がすでに馴染みのあるプロダクトをリリースすることが理にかなっていました。プラットフォームを構築する前に、プロダクトを定着させることを考えています。プロダクトとプラットフォームを同時に構築するのは非常に難しいからです。

社内ではどこに向かっているかを理解できていたと思います。異なる機能を少しづつ展開するということです。全ての機能を実現するインフラを構築しながら、素早く展開していくつもりです。

つまり、Facebookの各種アプリに基本的なARエフェクトを楽しめるアプリ内カメラを実装したのは、より大きなプラットフォーム戦略の一環だったということだ。しかし、それでもこの施策で世間はFacebookがSnapchatをコピーしたと感じたことには変わりない。何年も前にSnapがFacebookの買収提案を断って以来、FacebookはSnapchatのアプリから度々インスピーレションを得ている。Facebookはイノベーティブでなくなってきているという世間の見方についてザッカーバーグは次のように話した。

「それについてはあまり心配していません。というのも、私たちはいろいろな分野でいろいろな事業を行っています。私たちが作っているソーラー電気の飛行機や人工衛星を見た人が、そうしたものが面白くないと感じることはないと思うのです。

私たちは、ハイエンドなコミュニティー以外の人たちにもサービスを提供するためにイノベーションを起こしていて、それについて人々はあまり考えていないと思います。例えば、Facebook Liteのような施策に注力しています。Liteの最近の進捗ですか?年2億人くらい増えました。私たちのコミュニティーが本当に欲している要素は何かについていつも考えていて、それが私の気にしていることです」。

「ハイエンドなコミュニティーだけではない」という発言は、暗にSnapのことを指しているのかもしれない。Snapは新興国などでのグローバルのグロースではなく、資金が潤沢なアメリカをはじめとする欧米市場に注力することを決めた。Snapの元社員は、Evan Spiegelが「Snapchatは裕福な人のためのサービス」であり、「インドやスペインなどの貧しい国には展開したくはない」と発言したとしてSnapを訴えている。SnapはSpiegelはそのような発言をしていないと異議を唱え、インドのユーザーには感謝していて、「スナップチャットはみんなのためのもの」と表明している。

ザッカバーグは、本日ARプラットフォームを発表することで、FacebookはSnapをコピーしているというのではなく、Facebookが目指していることが理解され、同社への評価が正されることに期待していると言う。

「長期的にみれば、評判は会社に相応しいところに収まるのではないかと思います。そして会社を作るには、毎回正しい行動が取れるとは限らないということを認める必要があるでしょう。人々はいつも会社に対して好意的であるとは限りませんし、毎回会社が行っていることを理解しているわけでもないと思います。しかし、短期的にしか物事を見ないのなら、長い期間かかる事業で正しいことを追求できないと思うのです。長期の視点でどこに向かいたいかが分かっていて、人々に理解されなかったり、時には間違いを犯したりすることも許容できるなら、そうしたことは価値あることを追求するのにかかるコストなのだと思います。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

F8:Facebook、React Fiberを発表―JavaScriptのUIフレームワークを完全リニューアル

Facebookはユーザー・インターフェイスを書くために利用されているJavaScriptライブラリ、Reactを根本的にリニューアルしたことをF8デベロッパー・カンファレンスで発表した。これまでFacebookからまったく発表がなかったが、React Fiber(これが新しいReactのプロジェクト名)はしばらく前からFacebookのインターフェイスを動かしていた。Fiberについての噂は昨年から流れていたが、今回FacebookはFiberについて公に語ることができる段階に来たと判断したようだ。

Facebookによれば、この後React16がリリースされればデベロッパーもFiberベースのインターフェイス・ライブラリを利用できるようになるという。すでにFacebook.comで作動しているということは、新しいライブラリはサードパーティーに公開できるレベルに達しているとFacebookでは判断しているはずだ。

これに関連してFacebookではデータ量の大きいアプリケーションを書くためのRelayフレームワークもリニューアルした。

React Fiber

Facebookにインタビューしたところによれば、まずReact Fiberは完全に後方互換性を保っており、現行Reacで書かれたアプリケーションを作動させることができるという。その上でReactをリリースして以来の経験を取り入れて新しいフレームワークを作ったという。Facebookによれば、React Fiberは今後のReactの発展、改良の基礎をなすという。

特に力が注がれたのが、Reactの反応性を高めることだった。私は今週、FacebookのエンジニアでReactのコア・チームの一人、Ben Alpertにインタビューした。AplertによればFacebookのチームは「Reactを開発するときいつも心がけているのはデベロッパーができるだけ素早くアプリを開発できる環境を作ることだ。アプリを開発労力を軽減すると同時にパフォーマンスと反応性を改善できるよう努力している」という。【略】

しかしなぜReactをゼロから書き直したのか?  Alpertは「現行のコード・ベースに問題があったわけではない。しかし将来の拡張を考えると全く新しいコード・ベースに切り替えるのがよいと考えた」と語った。つまり新しいReactは拡張性に優れているということなのだろう。

Alpertは Fiberが基本的に後方互換だとしたが、同時にこれまでのReactのメジャー・アップデートでもそうだったが、現行システムと互換性がない新しい機能がいくつか含まれることも強調した。ただしチームはこれがデベロッパーにとって問題をもたらすことはないだろうと考えている。

Relay Modern

今日、FacebookはFiberに加えて新しいRelayも発表した。これはデータ・ドリブンのアプリを書くためのJavaScriptフレームワークで、Fiberの場合と同様、アップデートの中心は反応時間の短縮などパフォーマンスの改善と拡張性の強化に置かれている。デベロッパーはFacebookのソーシャルグラフ、GraphQLに対してRelayとReactを組み合わせて検索を行っている。

今回発表されたRelay Modernを利用することによってパフォーマンスが改善されるだけでなく現行Relayのいくつかの制限が取り除かれるという。今日の発表で開発チームは「Relay Modernは現行Relayの良い点、つまりコロケーションされたデータやデータ定義を簡単に参照でき、デクララティブなデータのフェッチが可能だという点を維持しながら、APIの使い勝手を改善し、新機能を追加した。さらにパフォーマンスを改善し、フレームワーク自体のサイズも小さくした」と述べた。多くの改善の中で、特に重要なものはスタティック・クエリーと事前のオプティマイゼーションをサポートしたことだという。

スタティック・クエリーというのは簡単にいえば、ランタイムの条件によって結果がそのつど変化しないような検索を意味する。こうした検索は事前に準備してFacebookのサーバーに作動を任せることができる。つまりローカル・アプリで構成された複雑な検索条件をネットワークを介してFacebookに送る必要がなくなる。アプリはクエリー名の文字列を送信するだけ多くの変数を含む複雑な検索結果を素早く得ることができる。これと関連して、事前オプティマイゼーションはRelayのコンパイラがクエリーの構造を事前に知ることができるため、あらかじめ最適化を行いサーバに格納された検索を高速に実行できるようにする。つまりユーザーは検索結果をこれまでより速く得ることができる。この他React Modernにはビルトインのガーベージ・コレクションなどの機能が追加されている。

古いRelayを利用していたデベロッパーにはRelay Modernに移行するための互換性APIが提供される。

Facebookによれば、AndroidアプリのMarketplaceタブを現行Relayから新しいRelay Modernに置き換えたところ、反応時間が平均して900ms短縮されたという。それだけ聞けばたいした改善ではないように思うかもしれないが、モバイル環境では1秒1秒がものをいう。0.9秒の短縮はユーザーがアプリの反応性が良くなったことに十分気づくレベルだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


【以上】

FacebookのF8デベロッパー・カンファレンス、オンライン受付開始―現地時間4月18-19日開催

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われわれはデベロッパー・カンファレンスが大好きだ。さきほどFacebookが恒例のF8カンファレンスの(いわば)ドアを開いたところだ。今年のf8は4月18-19日〔日本時間で19-20日〕だ。参加は抽選となり、2月21日以前に応募しなければならない。当選した場合チケットは595ドルで購入できる。

Facebookは今年からF8のフォーマットを多少変えたことを発表している。2017年のF8は初めてサンフランシスコではなくサンノゼで開催される。サンフランシスコにはもはやF8を開催できるような大きな会場がなかったらしい。

例年どおりF8のキーノートでは真新しいプロダクトや機能がお披露目されるはずだ。これに加えてFacebookは50以上のデベロッパー・セッションのプログラムを発表している。読者のチームがFacebookのAPIやツールを利用しているなら、情報をアップデートするよいチャンスだ。

そしてもちろん参加するデベロッパーはFacebookのエンジニアと直かに話ができる。興味ある問題に関して直接フィードバックが得られるし、APIやプロダクトに関して質問もできる。残念ながら抽選にもれた場合でもライブのビデオストリーミングが予定されている。

〔日本版〕F8の会場はサンノゼ中心部のMCENERY CONVENTION CENTER。公式ウェブサイトでREGISTER TO ATTENDをクリックすると応募フォームが表示される。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+