Instagram、スポンサード投稿を明示するフォーマットをテスト

Instagramではユーザーがスポンサード投稿を明確に識別できるようにする 標準的なフォーマットを作成してテスト中だ。

スポンサード投稿は、広告主が直接Instagramからスペースを買い取って表示する広告とは異なる。スポンサード投稿はいわゆるインフルエンサー・マーケティングの一つだ。スポンサード投稿では、企業はセレブその他オンラインで大きな影響力のある人物に料金を支払ってブランドやプロダクトをプロモートしてもらう。

テクノロジー系メディア系のビッグ・ビジネスはいずれもこうした手法に強い感心を抱いている。しかし同時に情報開示や透明性に関する疑問も引き起こす手法だ。

実際、FTC〔アメリカ通商委員会〕は最近、90人以上のインフルエンサーに対し、スポンサード投稿について「明確かつ目立つような方法で」そのことを表示すべきだと警告する書面を送った。つまり情報開示をmoreボタンの向こう側に隠したり、「ありがとう、[スポンサー名]!」というようなあいまいな語句を用いたりしてはならないということだ。

Instagramのクリエイティブ・プログラム・ディレクター、Charles Porchは私のインタビューに答えて、多くの広告主やインフルエンサーはわかりやすく、ストレートな情報開示の方法を望んでいると述べた。

「世界中でInstagramをベースにビジネスをしている人々が大勢いる。その規模は大小さまざまだ。こうしたユーザーはスポンサーと提携して投稿していることをはっきり示す透明性の高い情報開示の方法を求めている」とPorchは語った。

Aimee Song sponsored post

〔画像はインテリアデザイナーのAimee Songのスポンサード投稿例〕

このフォーマットを用いればインフルエンサーはスポンサー名を明記してスポンサード投稿であることを表示できる。これによって2つのことが可能となる。

まず、このフォーマットでは投稿のトップに“Paid partnership with”〔有料の提携〕の語句が表示される(この情報開示はInstagram Storiesの場合も同様)。広告であることを示す巨大なバナーほど目立つわけではないが、それでもこの投稿が広告の一種であることを理解させるためには十分だろう。語句は明確で紛れがない。トップの投稿者名の直下に表示されるので見落とされる可能性も少ない。同時に、スポンサード投稿を示すこのフォーマットを用いると、投稿したインフルエンサーと同様にスポンサーにも情報へのアクセスが可能となる。つまりリーチやエンゲージメントといった重要なデータをスポンサーも共有することができる。データは広告主のFacebook広告ダッシュボードに他の広告の分といっしょに表示される。

Instagramでは新しいタグをBuzzFeedAimee Songなど一部のユーザーでテスト中だ。そこでInstagramは近い将来すべてのスポンサード投稿にこのフォーマットの使用を義務づけるのかどうか尋ねてみた。

「現在はまだ第一段階だ。目的その1は人々を教育すること、2はフィードバックを得ること。 … 将来は義務付けもあり得るが、当面はフィードバックを得て新しいフォーマットに人々がどう反応するか研究したい」とPorchは述べた。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

SNS横断でフォロワーの属性も絞り込めるインフルエンサーのキャスティング基盤「iCON Suite」

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YouTube、Instagramなどのソーシャルプラットフォームで多くのファンを獲得し、大きな影響力を持つようになった「インフルエンサー」。YouTubeに投稿した動画の広告収入で生計を立てるYouTuberや、Instagramでリクエストに応じて商品を紹介することで収入を得るInstagrammerという名前も良く聞くようになってきたが、彼らは従来のメディアとは違うチャネルで顧客との有効な接点を見つけたい企業にとっても重要な存在となりつつある。

2015年1月にYouTubeクリエイターと広告主をマッチングさせるサービス「iCON CAST(アイコンキャスト)」を提供したTHECOO(ザクー)は8月25日、動画メディアを展開するC Channelの子会社でインフルエンサーマーケティング企業のYellow Agencyと業務提携。ソーシャルプラットフォーム横断でインフルエンサーを検索、キャスティングする「iCON Suite(アイコンスイート)」を開始した。

iCON SuiteはYouTubeに加え、InstagramやTwitter、Snapchatといったソーシャルプラットフォームに横串で対応。インフルエンサーの影響力やファンの属性(デモグラフィック情報)を機械学習と自然言語解析を用いることで分析可能にした。これにより、クライアントのニーズも高まるInstagramについても、従来利用してきたYouTube APIでは取得できなかった情報を提供。感覚ではなくデータに基づいたインフルエンサーのキャスティングを実現する。

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iCON Suiteでは、インフルエンサーをファッション・コスメ・ペット・ゲームなどのカテゴリと、ファンの性別・年代、ファン(フォロワー)数から絞り込むことが可能だ。サービス開始時は、全インフルエンサーの検索ができ、キャスティングはYellow Agency所属のインフルエンサーのみに対応する。

「iCON CAST提供から1年半、YouTuberと企業とのマッチングでは日本最大のサービスとすることができた。Google出身者の多いTHECOOでは、AdWordsの営業時代も含めて、クライアントがいかに効果を求めるものなのか、データの力がどれだけ大切かということにかけては、ノウハウがかなり蓄積されている。」とTHECOO代表の平良真人氏は語る。「iCON Suiteでは、対象をYouTubeから他のプラットフォームに広げても、実際に使っていただける企業・インフルエンサーの数で日本最大を目指したい」(平良氏)

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THECOOでは、iCON Suiteの利用企業を2016年内に100社以上、インフルエンサーではInstagramユーザーのうち5000人の利用を目標としている。また、アジアをはじめとした海外への展開も年内に予定。その際には、各国で主に使われている、日本とは異なるソーシャルプラットフォームにも対応していくという。

平良氏は「ソーシャルプラットフォーム上で、自分のアカウントできちんとファンとのコミュニケーションを取れる人をインフルエンサーと定義している」とした上で、日本ではゲームやファッション・コスメ、あるいは“やってみた”動画などに人気が偏るインフルエンサーのカテゴリについて、こう話す。「発展途上だが今後に期待できる。中国やタイでは、インフルエンサーがクルマやゴルフ、スポーツなど、自分の好きなことを突き詰めた結果、カテゴリとして成立するテーマが増えた。その結果、自動車業界やラグジュアリブランドなどにも、クライアントが増えている。誰でもインフルエンサーになれる時代だ」(平良氏)

左からC Channel代表取締役社長の森川亮氏、Yellow Agency代表取締役社長の平本誠二郎氏、THECOO代表取締役CEOの平良真人氏

左からC Channel代表取締役社長の森川亮氏、Yellow Agency代表取締役社長の平本誠二郎氏、THECOO代表取締役CEOの平良真人氏

YouTuberと企業を結ぶプラットフォーム「BitStar」、運営のBizcastがコロプラから資金調達——海外展開も視野に

Googleの積極的なプロモーションもあって、言葉としても定着した感のある「YouTuber」。そのYouTuberとクライアントとなる企業を繋ぐマッチングプラットフォーム「BitStar」を運営するBizcastが8月1日、コロプラを引受先としたシリーズAの第三者割当増資を実施したことを明らかにした。調達額は非公開だが、関係者の話によると億単位の調達だと見られる。

BitStarは2015年9月のリリース。YouTuberをインフルエンサーにして商品のマーケティングを行いたいクライアント企業と、動画広告での収益化を図りたいYouTuberをマッチングするプラットフォームだ。MCN(マルチチャンネルネットワーク:YouTubeチャンネル運営者と提携してコンテンツ作成やプロモーション、権利管理などを行う組織)やタレント事務所に所属していない、事務所無所属のYouTuberの登録が中心となっている。

UUUMやiCON CASTなどYouTuberと企業を結び付けるサービスはほかにもある。Bizcast代表取締役の渡邉拓氏いわく(1)3200万チャンネル登録者とインフルエンサーのネットワーク規模が大きい、かつジャンルも多岐にわたること、(2)YouTuberとともに最適な企画を作るほか、機材貸与やファン向け施策の支援なども実施した「YouTuber寄り」な運営をしていること、(3)YouTuberごとのクリック単価や再生回数、再生数ベースの効果分析など、企業向けに効果測定のレポーティングを充実させていること——の3点がBitStarの特長だという。

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同社は7月で第3期目を迎えたが、1期から2期での売上は10倍以上(売上の金額は非公開だが、動画の単価は数万円から1000万円以上、数百万円規模が中心)に成長しているそう。クライアントは大手企業が中心で、たとえばゲームだとスクウェア・エニックスやフジテレビジョン、アプリならペロリ(MERY運営)、美容ならアルビオン、ユニチャームなどの名前が挙がる。例えば競馬好きのYouTuberが競馬ゲームの紹介とあわせて馬券を購入、実際に120万円の馬券を当てて話題になった動画などがあるそうだが、この動画を通じて約5000件のアプリダウンロードが発生。CPI(インストール単価)数十円という好調な結果を得た事例などがあるという。

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Bizcastは今回の調達をもとに新商品開発やシステム開発強化、人材拡充を含めた経営基盤の強化を進めるとしている。渡邉氏いわく、いわゆるタレントマネジメント業までは行わないものの、システムや制度面で事務所無所属のYouTuber向けの支援施策も強化するという。クライアント企業に対しては、戦略立案から企画、調査、実行、効果測定までをサポートできる体制を拡充するとしている。

また今後はアジア圏を中心にしたビジネスの拡大を進める。具体的には、国内企業のアジア向け施策のマーケティング・プロモーション支援や現地企業と現地YouTuberのマッチングなど。これに向け、グローバル戦略向けの人員体制も強化する予定だ。加えて、YouTuber以外のプラットフォームでのインフルエンサー獲得についても検討しているという。同社では今期目標について「売上で前期比5〜10倍を目指す」(渡邉氏)としている。