職場でのハラスメントと孤立感、不屈の精神について4人の女性エンジニアに聞く

女性エンジニアはしばしば、職場やキャリアに関して男性エンジニアは経験しない障害に直面する。なぜなら、エンジニア人口の中で女性は今でも少数派であるためだ。数え方にもよるが、全エンジニア職のうち、女性が占める割合はわずか13~25%である。この偏りが力関係の不均衡につながり、女性にとって有害な職場を作り出している。

この点で非常に有名かつ悪質な事例は、Susan Fowler(スーザン・ファウラー)氏がUber(ウーバー)で経験したものだ。ファウラー氏は2017年2月に投稿したブログ記事の中で、入社初日に上司が社内チャットでセックスに誘ってきたことを暴露した。その後、ファウラー氏はUberでの体験を詳述した回想録「Whistleblower」(邦題仮訳:「内部告発者」)を出版した。

ファウラー氏の辛い経験は、女性エンジニアが職場で対処しなければならないハラスメントにスポットライトを当てることになった。男性優位になりやすい職種であるエンジニアとして女性が直面するハラスメントは、ファウラー氏の身に起きたような露骨なものから、日常的に起きるマイクロアグレッション(明らかな差別に見えなくとも、先入観や偏見を基に相手を傷つける行為)までさまざまだ。

本稿の執筆に際して、以下の4人の女性が自分の直面した試練について語ってくれた。

  • Tammy Butow(タミー・バットウ)氏、主任ソフトウェアリライアビリティエンジニア(SRE)としてGremlin(グレムリン)に勤務
  • Rona Chong(ロナ・チョン)氏、ソフトウェアエンジニアとしてGrove Collaborative(グローブ・コラボラティブ)に勤務
  • Ana Medina(アナ・メディナ)氏、シニアカオスエンジニアとしてグレムリンに勤務
  • Yury Roa(ユーリー・ロア)氏、SREテクニカルプログラムマネージャーとしてコロンビアのボゴタにあるADL Digital Labs(ADLデジタル・ラブズ)に勤務

ファウラー氏もSREとしてUberでメディナ氏(後にUberに1000万ドル[約11億円]の支払いを求めた差別訴訟の原告団に参加した)と同じチームで働いていたことは注目に値する。女性エンジニアの世界がどんなに狭いかを例証していると思う。上記の4人が受けたハラスメントの程度はそれぞれ異なるが、彼女たちは皆、日常的に試練に直面しており、中には精神的にかなり消耗したものもあると語ってくれた。しかし、彼女たちはまた、目の前に立ちはだかるどんな障害でも乗り越えてみせる、という強い決意を示していた。

職場での孤立感

彼女たちがどの職場でも直面した最大の問題は、少数派であるがゆえの孤立感だった。そのような孤立感は、時には自信喪失や居場所のなさという克服し難い感覚につながる場合があるという。メディナ氏は、男性エンジニアたちが意図的あるいは無意識に取った態度によって、職場で迷惑がられていると感じたことが何度もあったそうだ。

メディナ氏は次のように説明する。「私にとって本当につらかったのはマイクロアグレッションが日常茶飯事だったことです。そのせいで労働意欲が低下したり、出勤したくないと思ったり、ベストを尽くしたいという気持ちが薄れたりしました。その結果、自分の自尊心が傷ついただけでなく、エンジニアとしての自分の成長でさえも自分で認められなくなってしまいました」。

ロア氏は、孤立感はインポスター症候群につながる場合があると述べる。だからこそ、エンジニア職にもっと女性を起用し、職場に女性のメンターやロールモデル、仲間を作ることが重要なのだ。

ロア氏は次のように説明する。「チームの中で女性がたった1人という状況にある私たちの前に立ちはだかる障害の1つがインポスター症候群です。職場に女性が1人あるいは数人しかいない場合、これは本当に大変な試練となります。そのような時、私たちは自信を取り戻す必要がありますが、そのためには女性のロールモデルやリーダーの存在が非常に重要なのです」。

チョン氏も、自分と同じ思いをしつつも乗り越える道を見つけた人がいることを知ることは重要だという意見に同意する。

チョン氏は次のように語る。「他の人が自分の職場での仕事や試練、それを乗り越えた方法について真実を話してくれたのを聞いて、私もテック業界で働き続けようという励みを得られました。テック業界を離れるべきか悩んだ時期もありましたが、個人的に話せる人や先例になってくれる人が近くにいて、先ほど話したようなサポートを得られたことが本当に助けになりました」。

バットウ氏は、エンジニアになったばかりの頃、自分がコードを書いたモバイルアプリが賞を獲得した際にとある記事の取材を受けた時のことを語ってくれた。出版されたその記事を見て、バットウ氏は愕然とした。見出しが「Not just another pretty face……(このエンジニアは顔が美しいだけではない……)」となっていたからだ。

「『え、それが見出しなの?』と思いました。記事が出たら母に見せようと楽しみにしていたのですが、見せるのをやめました。私はあのアプリのコードを書くのに膨大な時間を費やしました。どう考えても私の顔は関係ありません。こういう小さなこと、一般的には大したことではないと言われるようなことの多くが、実は小さなマイクロアグレッションなのです」。

不屈の精神で乗り越える

これらすべてのことを経験してもなお、彼女たちはみんな、自信喪失を乗り越えてエンジニアとして成功するための専門的な技術スキルが自分たちにあることを示したいという強い願いを抱いている。

バットウ氏は10代の頃から前述のような誤解と戦ってきたが、そのせいで自分の進みたい道をあきらめることはなかった。「そのような誤解については気にしないようにしました。実はスケートボードをやっていたせいで、周囲の誤った見方に直面することがよくあったんです。同じことですよね。スケートボードに乗りたくて公園に行くと『トリックの1つでもできるのか?』って言われるので、私は『見てて』って答えて、実際にトリックをやってみせていました。同じようなことが世界中のさまざまな場所で頻繁に起きていて、ただひたすらにそれを乗り越えていかなければならない。私もそうです。やりたいことは決してあきらめません」。

チョン氏は、落胆の気持ちに負けたりはしないが、そんな時は、そういうことを話せる他の女性の存在が大きな力になると語る。

チョン氏は次のように回想する。「忍耐したい、あきらめたくないと強く願うと同時に、もう投げ出したいと思ったことも実際はありました。でも、他の人の経験を知る機会を得たり、自分と同じ経験をしている人が他にもいることを知ったり、そのような人たちが自分に合う環境を見つけて試練を乗り越えていくのを見たりしたこと、そして彼女たちに『あなたなら大丈夫』と言ってもらえたことによって、踏みとどまることができました。そうでなければ、テック業界で働くことをやめていたかもしれません」。

女性同士で助け合う

チョン氏のような経験は珍しくないが、チームの多様性が高まれば、少数派のグループ出身のチームメンバーが増えて、お互いに助け合える。バットウ氏がある時点でチョン氏を採用してくれたことが、チョン氏にとっては大きなきっかけになったという。

チョン氏は次のように語る。「他の女性を同じ職場に採用することによってネットワーク効果が生まれます。そして、その効果を拡大していくことができると思います。そうすることによって、変化を作り出したり、自分たちの望む変化を感じたりでき、より居心地の良い職場環境を作ることができます」。

メディナ氏は、テック業界で働くラテンアメリカ系や黒人の人材を増やすことを目指している。特に女子学生や若い女性たちにテック業界への興味を持ってもらうために、同氏はTechnolachicas(テクノラチカス)という団体を設立し、Televisa Foundation(テレヴィサ財団)と提携して一連のコマーシャル動画を制作した。合計6本の動画のうち、3本は英語、3本はスペイン語で制作された。女子学生たちにSTEM(科学・技術・工学・数学)分野でのキャリアの道を進む方法を紹介することが目的だ。

「どの動画も、18歳未満の女子だけではなく、その子に影響を与えうる大人および親、つまり18歳未満の若者たちの成長にとって絶対に欠かせない大人たちを対象に制作されています。若者たちがSTEM分野に興味を持ち、それをキャリアとして選択するよう励ますためにそのような大人たちができることについて紹介しています」。

バットウ氏によると、重要なのは人々のやる気を引き出すことだという。同氏はこう語る。「私たちは、自分たちの経験について話すことによって、他の女性たちにインスピレーションを与えることができればと思っています。そのようなロールモデルの存在はとてつもなく重要です。共感できるロールモデルが近くにいることが実は最も重要であるということは、多くの研究で証明されています」。

彼女たちは最終的に目指していること、それは、エンジニアとして自分のベストを尽くすことに集中できる職場環境を整えるためのサポートを、本稿で紹介したような苦労をしなくても得られるようにすることだ。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:エンジニアハラスメントインタビュー女性

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(文:Ron Miller、翻訳:Dragonfly)

妊産婦向けメンタルケアサービスを展開し女性の心に寄り添うケアを提供するFloraが約2200万円調達

妊産婦向けメンタルケアサービス「Flora」を展開し女性の心に寄り添うケアを提供するFloraが約2200万円調達

妊産婦のメンタルケアサービス「Flora」(フローラ)を展開し、思春期から更年期までの女性の心に寄り添うFloraは6月28日、Social Entrepreneur 3投資事業有限責任組合をリード投資家とし、ペイフォワード、SK Impact Fund Japanという2つのエンジェル投資家を引受先とした第三者割当増資の実施を発表。総額約2200万円を調達した。

ウクライナ出身で、従姉妹が妊娠中にうつ病を発症し、第二子を亡くし苦しむ姿を見た共同創設者でCEOのクレシェンコ・アンナ氏は、京都大学経営管理大学院在学中に「すべての妊婦さんが安心して妊活・出産・育児を迎えられる社会」を目指して2020年12月にFloraを立ち上げた。同時に「Flora妊娠アプリ」のベータ版をローンチし、2021年4月からは「助産師や心理学者などの専門知識とセラピーメソッドに基づき監修されたオンラインレッスン」の提供も開始している。

Floraは、日本で初めて、フルオンラインのグループセラピーを提供し、自社開発のコーチングメソッドで「自分で自分を大切にしていい」というメッセージを女性に発信している。「自分らしさを応援するコミュニティー」として「性や生、パートナーシップ、食生活、マインド」などを包括的にサポートするコンテンツには、特定のテーマについて講師に相談できるZoom茶話会「Floraサロン」、離乳食やマタニティーヨガなどが学べる「Floraルーム」、専門家によるレクチャーやワークショップ、AIを活用したひとりひとりに合ったセラピープログラムを提供するメンタルサポートといったサービスがある。

今回調達した資金で、サービスの拡充とプロモーション活動を行う。ただでさえ妊娠、出産、育児を行う女性への支援が脆弱な日本で、現在は新型コロナ禍の影響で妊婦が孤独に陥りやすい状況になっていると話すFloraは、サービスを通じて「孤独感のない世界」を目指すとのこと。

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カテゴリー:フェムテック
タグ:女性(用語)妊娠(用語)Flora(企業・サービス)メンタルヘルス(用語)資金調達(用語)日本(国・地域)

分散型投資組織「Komorebi Collective」が女性・ノンバイナリーの暗号分野創業者を支援するために発足

ここ数カ月、分散型通貨の伸びにともない、投資家グループがユニットとして資金を投入し、その投資に対し集合的に議決権を行使する手段として、DAO(Decentralized Autonomous Organizations、分散型自律組織)が注目されている。DAOは、ブロックチェーンの精神に基づき、投資意思決定の透明性を高めることを目的としている。

暗号資産ブームの熱気が高まる中、ここ数カ月の間にハイプロファイルのDAOが続々と誕生している。米国時間5月21日に発足した「Komorebi Collective」(日本語の「木漏れ日」から取ったもの)は、ブロックチェーン分野の女性たちによって設立された新しい組織だ。創設メンバーのManasi Vora(マナシ・ヴォラ)氏がTechCrunchに語ったところによると「卓越した女性およびノンバイナリーの暗号分野創業者」に限定して投資を行うとのこと。

このグループはヴォラ氏をはじめ、Eva Wu(エヴァ・ウー)氏、Kristie Huang(クリスティー・ファン)氏、Medha Kothari(メダ・コータリ)氏、Kinjal Shah(キンジャル・シャー)氏など、主にブロックチェーン関連の非営利団体she256Women in Blockchainの組織から集められたコアチームメンバーで構成されており、彼女らが集団として、投資先を見つけグループに提示するための大部分の作業を行う。厳選されたその他のメンバーは最低5000ドル(約54万円)をコミットしているが、より軽いコミットメントとなる。

それぞれの投資案件は、大多数が女性の主要メンバー36名の投票によって決定される。

暗号資産VC企業Blockchain Capitalの投資家でもあるシャー氏はこう語った。「DAOは、みんなが議決権を持てるようにすることで、ベンチャーファンドのヒエラルキーをより公平にします。私たちは、本当にミッションが合致した支援者にアプローチするよう細心の注意をはらっています」。

DAOの他のメンバーには、Kleiner Perkins(クライナー・パーキンス)、Mechanism Capital、Dragonfly Capital、IDEO CoLab Ventures、Stacks Acceleratorなどの企業に加え、Twitter(ツイッター)、Coinbase(コインベース)、Skynet Labs、Celo Labs、Gitcoinなどで働く多くの個人や創業者が含まれている。

組織自体は、Komorebi Collectiveと一部支援者が共通するプロジェクトであるSyndicate Protocolをベースに構築されている。

同グループは、自分たちの組織の構造が、DAOモデルの持続可能性を証明すると同時に、暗号資産分野における多様性を向上させるようなミッション・ベースのアプローチを取れるようになることを期待している。ここ1年でスタートアップへの投資は爆発的に増加したにもかかわらず、女性が率いるスタートアップは2020年に投資されたベンチャー資金のわずか2.3%しか受け取っていないことが、HBRの調査で明らかになった。

シャー氏はTechCrunchに語った。「女性の創業者が資金を得ることに関しては、まだまだ成長の余地があり、私はそのソリューションの一部になりたいと思っています」。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Komorebi Collective女性ジェンダー暗号資産

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(文:Lucas Matney、翻訳:Aya Nakazato)

女性向けソーシャルネットワーキングアプリPeanutがライブ音声ルームを追加

女性向けモバイルソーシャルネットワーキングアプリを提供するPeanutはこのほど、自社の製品に音声を統合し、Clubhouseの成功に続く最新テック企業へと変貌を遂げつつある。母親に焦点を当ててスタートしたPeanutは、妊娠、結婚、更年期を含むすべてのライフステージを通じて女性をサポートしており、ここ数年で大きく成長した。「Pods」と名づけられたボイスチャット機能を通じて、同社のアプリを利用する女性たちが、他のプラットフォームよりもサポート性が高く安全な環境で、より良質なつながりを築くことができると考えている。

もちろん、新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、音声ベースのソーシャルネットワーキングへの関心が高まったこともあるだろう。家にこもっていた人々が、かつては対面でのネットワーキングやソーシャルイベントが果たしていたギャップの解消にそれが役立つことを見出したからだ。しかし、音声チャットソーシャルネットワーキングをリードするClubhouseは、同社のモデルがFacebookTwitterRedditLinkedInDiscordなどの企業が採用する機能に変わってしまうのを見てきた。

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これまでに生まれてきた数々のClubhouseのクローンと同様、PeanutのPodsもその基本的な機能を備えており、ミュートされたオーディエンスが話すために事実上「手を挙げる」機能や、絵文字リアクション、会話をモデレートして人々を会話に誘うホストなどの機能もある。同社は今のところ、会話が同社の規約に違反しないことを保証するために、音声ポッドの社内モデレーションを行っている。将来的には、他のモデレーターも追加する予定だ。(同社はアプリのその他の部分を管理するために24を超えるモデレーターに報酬を支払っているが、数日前の時点では、そのチームはまだ音声に関するトレーニングを受けていなかった)。

設計にはClubhouseとの類似点もあるが、Peanutが他のサービスとの差別化を図ろうとしているのは、こうした会話が行われる場所についてであり、安全と信頼を念頭に置いて作られた女性のためのネットワークという要素を重視している。また、影響力を追い求めることが参加の理由ではないネットワークという性質もある。

Peanutの創設者兼CEOのMichelle Kennedy(ミシェル・ケネディ)氏によると、従来のソーシャルネットワークは多くの場合、 いいね!の数、フォロワー数、青いチェックマークの認証バッチの付与といったことに依存しているという。

「ステータスと人気度に基づいています」と同氏はいう。「私たちがPeanutで見てきたのは、女性が互いに心から支えあっているという『思いやりの経済』だけです。『私にはX人のフォロワーがいます』というようなものではありません。私たちにはそのような概念すらありません。『私には支援が必要です; この質問があります、私は孤立しています、あるいは友人を探しています』というようなものです」とケネディ氏は続けた。

Peanut Podsでは、女性が安心してソーシャルネットワーキングを利用できるようにするための安全基準を引き続き強化するとしている。この焦点は特に、他の音声ベースのネットワークプラットフォームでハラスメント受けてきた一部の女性、特に有色人種の女性たちを引きつける可能性がある。

「伝えたいのは、私たちはコミュニティであり、基準を有しているということです」とケネディ氏は強調する。「ユーザーが基準を確保し、その内容をすべての人に通知することで、基準は非常に明確なものになります。意見を述べることはできますが、できないことがここに記載されています【略】ユーザーとして期待されることがここに示されています。それを実行した場合には報奨が与えられ、実行しなかった場合には退去を求められます」。

言論の自由についてはPeanutが語ることではない、と同氏は付け加えた。

「当社には基準があり、ユーザーのみなさまにそれを遵守するようお願いしています」とケネディ氏は述べている。

Peanutは将来的に、この音声機能を利用して、新しい母親を支援する授乳コンサルタントや不妊治療医など、特定の専門知識を持つ人々と女性を結びつけることを目指している。ただしこれらは、スピーカーがドローンを飛ばして繰り返し聴衆を拘束するようなレクチャーとはならないだろう。実際、Peanutの設計ではClubhouseの「ステージ」のようなコンセプトは採用されておらず、発言の有無にかかわらずすべての人に平等な地位を与えるものとなっている。

アプリでは、ユーザーがフォローしているトピックに基づいて興味深いチャットを見つけることができる。そして重要なのは、ミュートすることで他のトピックが表示されないようにできることだ。

Pods機能は米国時間4月27日からPeanutアプリに展開され、200万人を超えるユーザーに提供される。Peanutの他のサービスと同様に無料で利用できるが、将来的には、一部の有料プロダクトと合わせてフリーミアムモデルをローンチする予定だ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Peanut女性SNS音声ソーシャルネットワーク

画像クレジット:Peanut

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

よく聞くマルチ商法的なサービスを批判するWest Tenthはアプリで女性の在宅ビジネスえの起業を支援する

シードファンドから150万ドル(約1億6400万円)の資金提供を受けたWest Tenth(ウェストテンス)という新しいデジタルマーケットプレイスは、女性が在宅ビジネスを始め、拡大させていくためのプラットフォームの提供を目的としている。女性は、モバイルアプリを使って、自分のビジネスを地域の人々に宣伝し、アプリに統合されたメッセージングプラットフォームにより問い合わせやリクエストに対応し、アプリの決済機能で取引を完了させることができる。

このスタートアップは、Lyn Johnson(リン・ジョンソン)氏とSara Sparhawk(サラ・スパーホーク)氏により共同で設立された。両氏は、金融機関で働いていたときに出会い、ジョンソン氏は金融業界に残ったが、スパーホーク氏は後にAmazon(アマゾン)に転職した。

ジョンソン氏は、自分の経験から、米国における女性の経済的不平等について理解を深めることができたという。男性が所有する金融資産1ドル(約109円)あたり、女性は32セント(約35円)しか所有していない。その大きな要因となっているのが、女性が育児のために離職し、それに伴い、数年間収入が得られなくなるためだと説明する。

「私たちの社会は、育児のために離職する女性を支援するのは得意だが、復職する女性を支援するのはひどく苦手だ」とジョンソン氏は言い「女性はこのことが分かっていて、当てにならない雇用の代わりに、次々とビジネスを始めている」と話す。

画像クレジット:West Tenth

West Tenthは、こういった起業を奨励することを目的としている。さらに広く言えば、女性たちが家庭で培った多くの才能が、実際にはビジネスになる可能性があることを理解してもらうことも目的としている。

このアプリでは、ホームベーカリーや調理師、フォトグラファー、ホームオーガナイザーやデザイナー、ホームフローリスト、乳幼児睡眠コンサルタント、パーティープランニングやイベントサービス、クラフト教室、フィットネストレーニング、ホームメイドグッズなど、さまざまなビジネスの入口を用意している。

同社は、このアプリが必ずしも男性を閉め出している訳ではないとしているが、子育てのために仕事を辞めるのは女性が多いため、現在の米国のホームビジネス市場は、女性向けになっている。しかし、同社のプラットフォームには男性もいる。

現在、これら起業家の多くはFacebook(フェイスブック)でホームビジネスを展開しているが、地元のグループに積極的に参加したり「いいね!」のリクエストに応えたりしなければ、顧客を獲得する機会を逃すことになる。対してWest Tenthでは、地元のビジネスを1つの場所に集中させることで、発見を容易にしている。

画像クレジット:West Tenth

このアプリでは、顧客は画面上部のボタンを使ってカテゴリー別に地元の店舗を閲覧し、買い物をすることができる。検索結果は提供される商品やサービスの写真、説明、開始価格とともに距離順に表示される。また、アプリのメッセージング機能により、見積もりや詳細情報を直接問い合わせることも可能だ。そして、顧客は、アプリに統合されたStripe(ストライプ)の決済機能を介して購入を完了することができる。West Tenthは、これらの売上に対して9.5%の手数料を取る。

West Tenthのもう1つの重要な側面は、教育部門のThe Foundry(ザ・ファウンドリ)だ。

ビジネスオーナーは、四半期ごとに100ドル(約1万900円)、または年間350ドル(約3万8200円)のサブスクリプション会員になることで、月2回のイベントに参加できる。イベントには、在宅ビジネスを立ち上げるための基礎知識、マーケティング、顧客獲得などに焦点を当てたクラスが含まれている。また、これらのクラスは、セッション単位の支払いとしたい顧客のために、1セッションあたり約30ドル(約3270円)のアラカルトでも提供されている。

さらに、参加者は在宅ビジネス市場での経験を持つゲストスピーカーから話を聞くことができ、同社のマスターマインド・ネットワーキング・グループに参加して会員同士で意見交換をすることもできる。

画像クレジット:West Tenth

教育やネットワーキングとビジネスオーナーシップを組み合わせたこのシステムは、よく見られるMLM(マルチレベルマーケティング、マルチ商法)企業に加入するのではなく、在宅ビジネスの起業家になる女性が増える可能性を秘めている。

「このビジネスを始めた時、MLM企業は、米国における未開拓な巨大人材プールである、離職した女性層に焦点を当てた数少ない産業の1つであることは認識していた」とジョンソン氏は述べ「しかし、MLM業界は非常に搾取的だ。儲かるのは上位1%のディストリビューターだけで、残りの人は損をする。そして、ソーシャルキャピタル(社会関係資本)も失ってしまう。当社は、さまざまな面でMLMに代わる存在になりたいと考えている」と付け加える。

当然のことながら、West TenthのプラットフォームではMLMは許されていない。

画像クレジット:West Tenth

2020年夏にカンザスシティでのTechStars(テックスターズ)のプログラムを終えたこのスタートアップは、今回、プラットフォームを軌道に乗せるためにシードファンドから150万ドル(約1億6400万円)の資金を調達した。今回のラウンドには、主導したBetter Ventures(ベター・ベンチャーズ)に加え、Stand Together Ventures Lab(スタンド・トゥギャザー・ベンチャーズ・ラボ)、Kapital Partners(キャピタル・パートナーズ)、The Community Fund(ザ・コミュニティ・ファンド)、Backstage Capital(バックステージ・キャピタル)、Wedbush Ventures(ウェドブッシュ・ベンチャーズ)、およびGaingels(ゲインジェルズ)が参加している。

West Tenthは、この資金を製品開発とユーザー基盤の拡大に充て、より地域ビジネスに重点を置いた製品機能の拡充を目指している。これには、友人が購入したものを見ることができるといったショッピング支援機能や、動画によるデモンストレーションなどが含まれる。

2019年以降、West Tenthは、アプリに掲載されたわずか20のショップから、現在では主にロサンゼルス郊外とソルトレイクシティにある600以上のショップへとその対象地域を広げている。現在は、フェニックス、ボイシ、北カリフォルニアで展開中だ。

画像クレジット:West Tenth

West Tenthの事業拡大は、女性の従来型の雇用形態を悪化させ続けている新型コロナウイルス感染症危機に遅れて行われた。

学校や保育園の閉鎖と、女性の職に大きな影響を及ぼす雇用の喪失が相まって、これまで男性に比べてより多くの女性が失業に追いやられているMcKinsey(マッキンゼー)によると、パンデミックが始まって以来、労働人口に占める女性の割合は48%しかないにもかかわらず、離職者では約56%を女性が占めている。誰かが名付けた、この新型コロナウイルス感染症による「シーセッション(shecession:女性雇用の不況)」は、有色人種の女性に偏った影響を与えていることも研究で明らかになっている。

「500万人もの女性が職を失っている。解雇や一時解雇を余儀なくされた人もいれば、育児の負担が重くのしかかってきたために離職を選んだ人も数多くいる」とジョンソン氏はいう。

「育児を理由に女性が離職すると、なぜかそれは軽視され、復職がより困難になるという現実がある。そのため、今後1年半から2年の間に、在宅ビジネスを営んで収入を増やそうとする女性たちによる、自宅での経済活動が急増すると思う」と同氏は語った。

West Tenthのアプリは、iOSAndroidの両方で利用できる。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:West Tenth資金調達リモートワーク女性、MLM

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

「フランスの孫正義」も支援する女性のためのヘルスケアスーパーアプリ「Nabla」

フランスのスタートアップNablaは中央ヨーロッパ時間4月7日、女性の健康に焦点を当てた新しいアプリを発表した。同社は、ユーザーの健康維持に貢献するいくつかのサービスを提供している。要約すると、Nablaは医師とのチャットやコミュニティコンテンツを提供し、すべての医療データの一元管理を支援する。近々、遠隔医療の予約も提供する予定だ。

今のところNablaの主な機能は、医療従事者との会話を始められることだ。ユーザーは一般開業医、婦人科医、助産師、看護師、栄養士、理学療法士などにメッセージを送ることができる。

対面のアポイントメントに完全に代わるものではないが、テキストでのディスカッションは間違いなく参考になる。医療従事者との対話の回数を増やすことで、より健康的な生活を送ることができ、さらに対面の予約を増やすことにつながるかもしれない。

フランスの他のスタートアップも、医療従事者とのテキスト会話を提供している。例えば健康保険会社のAlanでは、一般開業医とメッセージのやり取りができるが、Alanの保険に加入している必要がある。また、Bilobaも医師とのチャットを可能にしているが、同社は小児科に特化している。

Nablaの場合は異なる位置づけで、この機能を無料で提供している。ただし、質問を送れるのは月に数回までという制限がある。よくある質問であれば、コミュニティから回答が得られるかもしれない。Nablaの医師がコミュニティコンテンツをキュレーションすることもある。

無料の製品を使って自分の健康について語るのは、怪しい感じがする。しかしそれが可能なのは、このスタートアップが潤沢な資金を持っており、プレミアム機能を立ち上げる予定だからだ。

画像クレジット:Nabla

同社は2020万ドル(1700万ユーロ、約22億円)の資金を調達しており、すでに医師のチームと協力して、同社の最初のユーザー(患者)たちからの質問に答える準備ができている。同社への投資家には、Station F(スタシオン・エフ)を創立しマクロン仏大統領に「フランスの孫正義」と呼ばれたXavier Niel(グザビエ・ニール)氏、Artemis、Zendeskに買収されたBIME Analyticsの共同創業者Rachel Delacour(レイチェル・デラクール)氏、Instagram(インスタグラム)の南ヨーロッパブランド開発リーダーであるJulie Pellet(ジュリー・ペレ)氏、エンジェル投資家でMatch.comに買収されたMeeticの元CEOであるMarc Simoncini(マルク・シモンチーニ )氏、そしてFirstminute Capitalなどが含まれる。

Nablaがアプリをリリースする前にこれだけの資金を調達できた理由の1つは、3人の共同創業者がテックエコシステムで実績を持っていることだ。

共同創業者でCEOのAlexandre Lebrun(アレクサンドル・ルブラン)氏は、これまでにNuanceに買収されたVirtuOzや、Facebook(フェイスブック)に買収されたWit.aiを創業してきた。最近では、FacebookのAI研究チーム(FAIR)に所属していた。

共同創業者でCOOのDelphine Groll(デルフィーヌ・グロール)氏は、2つの大手メディアグループ、AufemininMy Little Parisで事業開発とコミュニケーションを統括してきた。また、共同創業者でCTOのMartin Raison(マーティン・レゾン)氏は、Wit.aiとFacebookの両社でルブラン氏と肩を並べて仕事をした経験がある。

Nablaはテキストでの会話に加えて、過去のやり取りをすべてパーソナルログとして表示する。そのログを、Apple(アップル)のHealthアプリやClue、Withingsなどの他のアプリやサービスと連携させることができる。こうすることで、同じアプリからすべてのデータを見ることができる。

お察しの通り、このスタートアップは、予防医療やホリスティック・ケアに関して、機械学習が役立つと固く信じている。デフォルトでは、機械学習の目的でNablaと共有される情報はない。だがユーザーはオプトインして、プロセスやパーソナライゼーションなどの改善のためにデータを共有することができる。

いずれNablaは、医師とのやり取りを可能な限り最適化したいと考えている。医師に完全に取って代わるのではなく、医師が人間的で共感的な部分に集中できるように、医療現場でのやり取りを向上させたいと考えているのだという。

Nablaは、医師とリアルタイムで対話できる遠隔医療サービスや、より多くの機能を備えたプレミアムサービスの提供を予定している。それは意欲的なロードマップであり、Nablaが当初のビジョンを守り、忠実なユーザーベースを見つけられるかどうか、長い目で見守っていく必要がありそうだ。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Nablaフランス遠隔医療医療女性

画像クレジット:Hush Naidoo / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

女性が率いるベンチャー企業への投資はポートフォリオのパフォーマンスを向上させる

本稿の著者はMichaela Villaroman(ミカエラ・ビジャロマン)氏とAlisee de Tonnac(アリゼ・ドゥ・トナック)氏。ビジャロマン氏は、Seedstarsのメディアリレーションコーディネーター。トナック氏は、テクノロジーと起業家精神を通じて新興市場の人々の生活にインパクトを与えることを使命とするスイスのグループSeedstarsの共同創設者であり共同CEO。Seedstarsグループは、90カ国以上で活動、、新興市場で最大の起業家コンテストなどを行っている。

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我々は投資ポートフォリオにおけるジェンダーの多様性の状況を考察しているが、これは女性が起業分野で過小評価されているためである。いくつかの数字を示しながら、なぜあなたの取引に多様性が欠けているのかを詳しく述べていきたい。

女性起業家と資金調達

国際金融公社が2013年に実施した調査によると、女性が所有する企業の資金調達において、2600億ドル(約28兆2100億円)から3200億ドル(約34兆7200億円)のニーズが満たされていない状態であるという。テック系スタートアップ350社の女性を対象にした調査では、この傾向がさらに強かった。女性回答者の72%が、起業時に金融資本を獲得するのが難しく、80%近くが個人的な資金調達に頼らざるを得なかったと答えている。さらに、VCの全資金のうち、女性創業者が獲得するのは3%にも満たない

男性による資金調達のしやすさと女性のそれとの間には明らかな違いがある。データによると、男性は女性の4倍もエンジェル投資家やVCからのエクイティ・ファイナンスを利用している(14.4%対3.6%)。男性が複数の資金源を簡単に利用できることから、平均で女性創業者の約2倍の資金で会社を設立するのもうなずける。

女性が所有する企業の資金調達では、2600億ドルから3200億ドルというニーズが満たされていないのが現状である

なぜ女性が率いるスタートアップの資金調達が難しいのだろうか?

女性が資本獲得に苦戦している事実は、ファンド運用会社における多様性を見ることで説明できるだろう。ファンドマネジャーの多様性の欠如は、結果としてポートフォリオに関して資金調達の不平等をもたらす。Women in VCのデータによると、米国において、女性が率いるVC企業の割合はわずか5.6%であり、VCパートナーのうち女性が占める割合はわずか4.9%に過ぎない。

「女性や有色系の人々がベンチャーキャピタルの投資戦略を推進できるようにすることは、最も迅速かつ効果的なコース修正である」とWomen in VCのレポートは伝えている。「ベンチャー投資家は、より広い社会規範に影響を与える並外れた力を持っている。彼らはどの創業者が資金を調達し、どの企業が成功のチャンスを得て、どの製品を市場に出すかを決める。これらのことは我々の文化に決定的な影響を与える」。

投資家たちはまず、自らの多様性の問題に取り組まなければならない。女性主導のスタートアップを積極的に調達し、投資しようとする取り組みの強化に向けて、潜在的な偏見を自覚するとともに、発展的な行動を起こしていく必要がある。

多様性のある取引が重要な理由

女性主導のベンチャーを増やして投資ポートフォリオを多様化することは、女性のリーダーシップを信頼することを意味する。企業業績に関する2012年の調査では、ドイツの上場企業のうち150社以上で、取締役会に30%以上の女性が名を連ねていた時期に優れた業績を上げていたことが示された。

さらに興味深いことに、別の調査では、女性の取締役は男性よりも優れていると論じている。研究結果によると、女性は複数の競合する利益に対処し、創造的に問題を解決し、合意を築くことにより効果的であることが明らかになった。対照的に、男性取締役はしばしば規則、規制、伝統に基づいて決定を行うという。

紛れもなく、有能な女性リーダーによって経営されている企業は、収益性の高いROIを提供する準備ができていると言えるだろう。フルブライト研究員で、ペパーダイン大学でマーケティングを教えるRoy Adler(ロイ・アドラー)教授が19年間にわたって実施した研究によると、女性を上級職に昇進させた実績が最も高い企業と、収益性の高い企業との間に相関関係があることが明らかになった。この相関関係は、それぞれの業界のフォーチュン500企業の中央値よりも18~69%上回っている。

これらの数字は、女性の登用が経済的利益となって返ってくることを期待できることを示しているが、ジェンダーの多様性への投資がもたらすより大きな影響と重要性は、その後の全体的な経済成長と繁栄にある。女性起業家のチャンスを高めることで、地域や世界の市場が恩恵を受けるドミノ効果を生み出すことができるのだ。

マッキンゼーは、ジェンダーの完全な平等が達成されれば、世界の国内総生産(GDP)は2025年までに世界全体で最大28兆ドル(約3040兆円)増加する可能性があると予測している。実際、女性に投資しないことによるマイナス面は極めて大きいことが判明している。国連の調査によると、中国や米国を含むアジア太平洋地域では、女性の経済参加が十分に行われていないため、GDPが少なくとも年間420億ドル(約4兆5600億円)減少しているという。

Seedstarsはスイスの投資持ち株会社で、新興市場の高成長テクノロジー企業への投資に注力しており、特に発展途上国において女性起業家がチャンスを与えられることでもたらされる恩恵についてより詳細な見解を提供している。

これらの数字は、ジェンダーの平等が十分に実現できていないが、その価値は非常に高いものであることを明確に示している。Melanne Verveer(メランヌ・ヴェルヴェール)氏とKim K. Azzarelli(キム・K・アザレッリ)氏の著書「Fast Forward」の中で、専門家たちがジェンダーの多様性について論じている。

「富の創造を破壊する最大の要因は家父長制です」とPax World FundsのCEO、Joseph Keefe(ジョセフ・キーフ)氏は語っている。「『身を乗り出す』べきなのは女性たちだけではありません。より良い利益を求める株主は、より多くの女性を雇用し、昇進の機会を与えている企業に力を注ぐべきです」。

バーナード大学のDebora Spar(デボラ・スパー)学長は「この国のあらゆる分野で、女性が権力の座に就く機会は非常に少なくなっています」と指摘する。「私たちはいわゆる『16%ゲットー』に陥っています。航空宇宙工学、ハリウッド映画、高等教育、フォーチュン500の主要ポジション、いずれにおいても女性の割合は最高でも16%程度にとどまっています。これは罪なことで、すばらしい人材を無駄にしていることになります」。

ジェンダーの平等を前進させる

インパクトを生み出すには、女性を十分に取り込むための積極的な対策が必要である。Seedstarsは2018年から、投資先探し、能力開発プログラム、投資活動など、グループ変革の理論で強調されている中核的な活動の中でジェンダーの平等に積極的に取り組んできた。

これまでSeedstarsは600以上の女性主導企業を支援し、女性が共同設立した14の企業に投資してきた。さらにSeedstarsは、メンター、審査員、デリバリー専門家の養成に関してもジェンダーの平等に力を入れている。最近の統計によると、Seedstarsプログラムの全参加者の約30%が女性で、過去数年間で増加(2018年の数字は地域によるが、20%前後となっている)したことを誇りに思っており、今後数年間でその数字をさらに引き上げることを目標としている。

我々自身のイニシアティブと、ジェンダーの多様性を促進する役割を果たす投資家の努力を組み合わせることによって、世界は、未だ完全には受け入れられていない、最も強力な集団の1つとして証明されている層への投資から、恩恵を受けることができるだろう。

あらゆる課題を解決するための第一歩は、問題を認識することにある。意識の向上と対策によって、女性起業家の未来を明るくする重要な発展がもたらされるに違いない。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:コラム女性投資Seedstars

画像クレジット:SEAN+GLADWELL / Getty Images

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(文:Michaela Villaroman、Alisee de Tonnac、翻訳:Dragonfly)

大手VCファンドが共同で250人以上のEU女性起業家にメンタリングを提供、投資家とツテなしAIマッチング

国際女性デーにちなんで、大手VCファンドのグループが、今年5月6日に欧州全域で250名以上の女性創業者を対象にリモートオフィスアワーを提供する。応募を希望する女性起業家は、こちらから詳細情報を参照し、こちらから応募することができる。

このイニシアチブは、「warm introduction(保証人・ツテによる紹介)」の必要性をなくすことを目指している。各創業者は、リモートオフィスアワー1時間を使って4人の投資家と会い、テックビジネスのアイデアについて話し合ったり、アドバイスを求めたり、投資を募ったり、メンターを探したりする機会を得られる。

このイベントは、Playfair Capital、Tech Nation、Google for Startupsが共同で開催する。参加企業は、Atomico(アトミコ)、Creandum(クリーンダム)、Dawn(ドーン)、Balderton(バルデントン)、EQT、Notion(ノーション)、LocalGlobe(ローカルグローブ)、Partech(パーテック)、そしてSequoia(セコイア)を含む。

Playfairの広報担当者によると、過去4回のイベントでは合計2000時間の個別メンタリングセッションが行われ、490人の起業家と105人の投資家が参加したという。これまでに、Organise、SideQuest、Paid、Freyda、そしてJunoの創業者を含め、18%の創業者がイベント参加後に資金調達に進んだ。

Playfairによると、このイベントでは起業家と投資家の間で「AIマッチング技術」を活用し、イベントからの資金調達の成果をさらに最適化していくという。

Playfair CapitalのマネージングパートナーであるChris Smith(クリス・スミス)氏はこのようにコメントしている。「エコシステムからのサポートは信じられないほどのもので、このイベントに力を注いでくれた投資家の方々には大変感謝しています。過去のイベントから出たサクセスストーリーを聞き始めるのは非常にエキサイティングなことであり、規模を拡大して長期的な視点で協力しあうことで、本当にインパクトを与えることができると早くも証明しています」。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:女性

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

Googleが女性と少女のエンパワーメントを支援する27億円の補助金を発表、全世界から応募可

Google(グーグル)はインド時間3月8日、女性と女児のエンパワーメントに取り組む非営利団体や社会事業の活動に資金を提供するため、さまざまな支援プログラムとともに2500万ドル相当(約27億円)の補助金を発表した。

国際女性デーに発表されたGoogle.orgの新しい「Impact Challenge」プログラムは、女性の経済的な平等・自立、そして起業家精神を追求する機会へのアクセスを支援し、システミックな障壁や不公平に対処することを目的としている、とGoogleのCEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏はバーチャルイベントで述べた。

「これらのチームが何を必要としているにせよ、我々は彼らの傍に寄り添い、ビジョンの実現を支援する所存です」と、Google.orgの代表理事であるJacquelline Fuller(ジャクリーン・フラー)氏は同イベントで述べた。同社によると、4月9日まで世界中のチームから応募を受け付けるという。

フラー氏はまた、Google.orgがインドの十分なサービスを受けていない女性を支援するために100万ドル(約1億円)を追加投資することも発表した。インドは世界第2位のインターネット市場であるにもかかわらず、女性のネットユーザーの割合は少ない。

5年前、Googleはインドの農村部の女性にネットリテラシーをもたらすために、「Internet Saathi」と呼ばれるプログラムを開始した(Saathi:ヒンディー語で苦楽を共にするパートナー、仲間)。同社によると、このプログラムはインドのコングロマリットであるTata(タタ)社と共同で実施したもので、インドのインターネットへの女性の参加を大幅に向上させることができたという。

現在ではインドの農村部におけるネットユーザーの10人中4人が女性になった、とGoogleは述べている。2015年にはその数字は10人に1人だった。同社独自の調査結果によれば、Internet Saathiプログラムはインドで3000万人以上の女性に恩恵をもたらしたという。同じミッションを継続するために他の取り組みに注力していくということで、同社はこのプログラムを終了すると述べた。

「このプログラムは連鎖的な効果を生み出しました」と、Google IndiaのトップであるSanjay Gupta(サンジャイ・グプタ)氏はイベントで述べた。

しかし、単にインターネットに接続しただけでは「十分な進歩とはいえません」と、インド・東南アジアのGoogleシニアマーケティングディレクター、Sapna Chadha(サプナ・チャダ)氏は述べている。「インドの女性は伝統的に経済参加を妨げられてきました」。

同社は、影響力のあるインドの業界団体NASSCOM(National Association of Software and Services Companies)の社会事業部門であるNASSCOM Foundation(ナスコム財団)と提携し、インドの10万人の女性農業従事者にデジタル・金融リテラシーをもたらし、さらに100万人の女性による起業を実現し、支援するための「Women Will」というプログラムを立ち上げるという。

Women Willプログラムの一環として、チャダ氏は、英語とヒンディー語でのチュートリアル、事業アイデア、その他の機会を特集するリポジトリのウェブサイトを発表した

Googleはまた、起業家が無料でGoogle Payアプリ内にビジネスページを表示できるようになる新機能の展開に取り組んでいる、とチャダ氏は述べた。そして女性起業家はこれから、Google検索とGoogleマップのリスティングを通して、彼女らのビジネスは女性が主導していると強調することも選択できます、と同氏は語った。

インド政府の女性子供開発省のSmriti Irani(スムリティ・イラニ)大臣はこう述べた。「私たちの娘が誰も性別の重荷に縛られることのない、私たち全員が誇りに思える未来を築くために、皆さんの力を結集していただくよう呼びかけます」。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Google 女性 インド

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)