ドイツの金融スーパーアプリVivid Moneyが評価額約1020億円で130億円調達、欧州全域で展開へ

50万人の顧客を持つベルリン発のチャレンジャーバンクVivid Money(ビビッドマネー)は、基本的な当座預金と資金管理のサービスに加え、株式や暗号資産投資も扱う金融ワンストップショップの「スーパーアプリ」として有名になった。そしていま、同社はプラットフォームにサービスを追加し、欧州全域で事業を展開しようと、1億ユーロ(約130億円)を調達した。同ラウンドはGreenoaks Capitalがリードし、Ribbit Capitalと新規投資家のソフトバンク・ビジョンファンド2が参加した。

今回の資金調達でのVividの評価額は7億7500万ユーロ(約1020億円)だ。参考までに、この数字は同社が6000万ユーロ(約79億円)を調達した2021年4月の前ラウンド時の評価額(約473億円)の2倍以上だ。また、この間にユーザー数は5倍、売上は25倍になったという。Vividはプラットフォームへの預け入れ総額や取引件数など詳細については公表していないが、Vividの共同創業者であるAlexander Emeshev(アレクサンダー・エメシェフ)氏は、2022年中にユーザー100万人達成を目標としている、と述べた。

Vividは現在、ドイツ、フランス、スペイン、イタリアの4つの市場で事業を展開しており、2022年中に新たに5つの市場に進出し、2023年末までに欧州全域で利用できるようにする計画だ。新商品としては、保険商品の展開が初期段階にあり、エメシェフ氏によれば、2022年後半に初のクレジット商品を導入する予定だ(Vividは現在、ユーザーにVisaデビットカードを提供している)。

2020年にスタートしたVividは「COVIDネイティブ」のスタートアップと言えるかもしれない。モバイルファーストのサービスは、従来の銀行や投資サービスからすでに遠ざかっていただけでなく、パンデミックのために自宅で過ごす時間が増え、金融面の管理方法を再考していた30代のユーザーに訴えるものだった。

他の多くのネオバンクと同様、Vividの基本となるフリーバンキングは、他のプロバイダー(Vividの場合は、ドイツの組み込み型金融の大手Solarisbank)のインフラの上に構築されている。顧客が目的に応じて資金を最大15個の「ポケット」に分けることができ、ポケット間の移動も簡単にできるなど、よりカスタマイズされた資金管理サービスやその他のパーソナリゼーションサービスを加えている。

こうした基幹サービスとともに、暗号資産やETF(上場投資信託)などの新しい取引形態の金融サービスの波も押し寄せてきており、Vividはこれらも取り込むつもりだ。

Vivid Moneyのもう1人の共同創業者であるArtem Iamanov(アルテム・アイアムノフ)氏はインタビューで「当社のビジョンは、投資と貯蓄の巨大市場であるヨーロッパ大陸をターゲットにすることでした」と語った。「我々は、分散型金融や他の種類の代替投資アプローチがブームとなっていて、それらが従来型の銀行の世界とあまりよくつながっていないことを知っていました」。

そのつながりのなさは、理解という点でだけでなく、消費者の金融生活全体が伝統的なプラットフォームに基づいているときに、新しいサービスに足を踏み入れる方法という点でもそうだった。

Vividのソリューションは、ユーザーが既存のフィアット口座を使って簡単に株式や通貨について学び、その後投資できるような一連のサービスを作ることだった。例えば、同社は現在50の暗号資産と3000の株式やETFを選択できるポータルを提供し、分散型金融の分野に慣れておらず、さまざまなことを試しているかもしれないユーザーにアピールするように設計されている(これらの新しい投資ビークルの中にはSPACもあり、Vividは欧州で一般消費者がこれらのビークルに投資できる数少ないプラットフォームの1つだ)。

「古いものと新しいものの間に大きなギャップがあることがわかったので、この2つの世界の間で交わる商品にユーザーがアクセスできるようなスーパーアプリを作ることにチャンスを見出しました」とアイアムノフ氏は話した。

Vividのプラットフォームでの投資は無料で、ユーザーが米国株に投資する場合など、為替レートやその他の手数料でVividは利益を得る仕組みになっている。また「Prime」(Amazonはどう思っているのだろう)として販売するサブスクリプションを設け、月額9.90ユーロ(約1300円)を払えば、ユーザーはそうした手数料を払わなくてもいいようになっている。

チャレンジャーバンクがひしめく市場で、Sequoiaの支援を受けたネオブローカーのTrade Republicなど、Vividと非常に近い競合相手もいるが、Vividの出資者は同社の牽引力と、新しい消費者投資家にアピールするオールインワンで簡単なアプローチにより、同社が事業を拡大するにつれ、ユーザーと利用が増えるだろうと考えている。

「Vivid Moneyはわずか1年余りで、すでに欧州で最も愛されている消費者向けバンキングプラットフォームの1つを構築し、ユーザーは金融生活全体を1つのアプリで管理できるようになりました。2021年投資して以来、Vivid Moneyの新製品開発のペースの速さを目にして感激しており、Vivid Moneyは既存ユーザーを喜ばせ、新規顧客を引き付け、プラットフォームの価値提案を深化させています」とGreenoaksのパートナー、Patrick Backhouse(パトリック・バックハウス)氏は声明文で述べた。「我々は消費者金融における革命のまだ初期段階にいると考えており、事業を拡大し続けるVividとのパートナーシップをさらに深化させることをうれしく思っています」。

画像クレジット:Vivid Money

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

東南アジアの多通貨ネオバンクYouTripが約34億円調達、法人カードも発行

多通貨取引のコスト削減と効率化に特化した、シンガポールを拠点とするオンライン銀行のYouTrip(ユートリップ)は現地時間11月30日、シリーズAで3000万ドル(約34億円)を調達したと発表した。

同社創業者でCEOのCaecilia Chu(カエシリア・チュー)氏によると、今回のラウンドは、アジアの著名なファミリーオフィスがリードしたもので、このファミリーオフィスは匿名を希望しているが、前ラウンドにも参加している。

今回のシリーズAにより、YouTripの資金調達総額は6000万ドル(約67億円)を超えた。同社によると、これまでに全世界で8億ドル(約902億円)超のカード利用を処理し、取引数は約2000万件、アプリのダウンロードは150万回を超えている。

チュー氏はTechCrunchに対し、YouTripが資金調達に踏み切ったのは「変曲点」に達しているからだと述べた。

「東南アジアがパンデミックから脱却し、シンガポールがワクチン接種率で先頭に立っていることから、消費者の間では、旅行に対する大きな需要の高まりと、消費者心理の回復が見られました。eコマースへの支出は確実に増加しており、旅行に関しては、シンガポールのワクチン接種済みトラベルレーンが始まって以来、1日の取引額が少なくとも2〜3倍に増加しています」。

YouTripはこうした追い風を楽観視しているが、旅行の回復については現実的なアプローチをとっている。中期的には、個人消費と、YouBizと呼ばれる複数通貨対応の法人カードを含む新しいB2Bビジネスに最も期待しているとチューは述べた。

YouTrip共同創業者でCEOのカエシリア・チュー氏

2022年、YouTripは地理的拡大にも注力する計画だ。現在、シンガポールとタイで事業を展開している同社は、フィリピンとマレーシアに進出するためにVisa(ビザ)と提携した。さらにチュー氏は、インドネシアとベトナムでのサービス開始に向けて、パートナーと話し合いを進めていると付け加えた。

TechCrunchが2019年にYouTripを取り上げたとき、コアな顧客層の1つは海外旅行者だった。そして新型コロナに見舞われ、同社は非常に迅速に適応しなければならなかった。

YouTrip Perksのような新機能を追加し、LazadaやShopeeといった業者と協力して最大15%のキャッシュバックを提供するパートナーシップチームを立ち上げた。「パンデミックの間、人々はオンラインで多くのものを購入していただけでなく、健康への意識も高まっていたため、スポーツ用品や健康補助食品の購入が増えました」とチュー氏は話す。「私たちは、ユーザーにとって最も関連性の高い業者をターゲットにして提携を促進してきました」。

同社によると、現在、取引額はパンデミック前のレベルに戻っている。YouTripは、消費者の支出や旅行の増加にともない、さらなる牽引力を期待しており、2022年初めに消費者向けアプリのブランドイメージを一新し、新たな決済機能を導入する予定だ。

また、法人向けカードであるYouBizも2022年初めに導入する予定だ。チュー氏は、同社がB2B分野に参入した理由の1つとして、フィンテックサービスを導入する中小企業が増えていることを挙げる。

「私たちは、パンデミックに強い企業になることがどれほど重要かを知っています」と同氏は付け加えた。「国境がいつ再開されるかと毎日ニュースを読むのはやめようと心に誓いました。私たちは、新しい旅行対策に関わらず乗り越え、成功させ続けます」。

同社はまた、中小企業におけるパラダイムシフトを目の当たりにした。

「彼らはフィンテック商品や新しい銀行商品に対して、よりオープンマインドになっています」とチュー氏は指摘する。「当社に関連して言えば、在宅勤務やハイブリッドモデルの普及により、企業の分散化が進んでいます。給与支払い、ベンダーへの支払い、さらには売上の受け取りや消費者への請求までもが世界中に広がっており、外貨のニーズは確実に高まっています。ですので、この市場に参入するには最適な時期だと感じています」。

YouBizの提供が始まれば、YouTripは、AspireSpenmoVolopayなど、法人カードを提供したり、中小企業分野に焦点を当てたりしているVCが支援する東南アジアのフィンテック企業数社の仲間入りをすることになる。しかしチュー氏は、中小企業向けのサービスは消費者向けのサービスに比べて巨大であるだけでなく「サービスが十分に行き届いていないため、大きなチャンスがある」と話す。

特にYouTripは、従業員数1人から1000人までの企業にフォーカスする計画だ。このセグメントを選んだ理由は、YouBizが従来の銀行口座の代わりになるものではないからだ。YouBizは、中小企業の外貨取引にかかる費用を削減することを主な付加価値としている。また、出張の再開を見据えて、経費管理ツールの導入も予定している。

「中小企業の部門では、1人勝ちにはならないと感じています。しかし、競争の話に戻ると、私たちはこの分野に注意深く参入しています。当社には、際立った2つの優位点があります。1つは、テックインフラとライセンスインフラをエンド・ツー・エンドで所有している唯一のネオバンクであることです」。

YouTripは「消費者向け決済サービスではマージンが非常に小さいため、最高のコストと価値を提供するためには、製品のロードマップを含めて、バリューチェーンを完全にコントロールできるレベルまで最適化する必要がある」として、自社の技術スタックに多くの投資を行った。

YouTripの2つ目の強みは、すでに強いブランド認知があることだ。「ビジネスオーナーと話をしていると、多くの人が自分の買い物のためにすでにYouTripを利用しています」とチュー氏はいう。この実績は、YouTripが中小企業に売り込む際に役立っており、チュー氏によれば、B2Bサービス開始に向けてすでに1000件の申し込みがあるという。

画像クレジット:YouTrip

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(文:Catherine Shu、翻訳:Nariko Mizoguchi

中南米の女性にデジタル口座を提供するチャレンジャーバンクJefaが2.2億円調達

フィテックスタートアップのJefa(ヘファ)は、中南米とカリブ諸国に住む女性向けに特別にデザインされた商品を構築するため、200万ドル(約2億2000万円)のシード資金を調達した。同社は11万5000人の女性をウェイティングリストに呼び込むことに成功し、2020年のTechCrunchのStartup Battlefieldにも参加した

Jefaの投資家には、The Venture Collective、DST Global、Foundation Capital、Amador Holdings、The Fund、FINCA Ventures、Rarebreed VC、Siesta Ventures、Springbank Collective、Bridge Partners、Hustle Fund、Foundation Capital、Latitude、J20などが含まれる。また、Daniel Bilbao(ダニエル・ビルバオ)氏、JP Duque(J・P・デュケ)氏、Ricardo Shaefar(リカルド・シェーファー)氏、Jean-Paul Orillac(ジャン-ポール・オリラック)氏、Allan Arguello(アラン・アルゲロ)氏など、複数のビジネスエンジェル投資家もラウンドに参加した。

今回の創業ラウンドに加えて、JefaはVisa(ビザ)と契約を結んだ。複数年の戦略的パートナーシップだ。JefaはVisaのリソースや製品を活用して決済製品などを作ることができるようになる。

「Visaは女性を力づけることを信じています」と、Visa中南米・カリブ地域のフィンテック・パートナーシップ担当シニアディレクターのSonia Michaca(ソニア・ミチャカ)氏は声明で述べた。「金融とデジタルインクルージョンは経済を変革します。毎日の家計支出の大半を管理する女性は、この変革の中核を担うべき存在ですが、従来の銀行では女性はサービスを十分に受けられていません。中南米・カリブ地域の女性主導のプラットフォームであり、この地域の女性の金融ニーズに明確に応えているJefaと提携できることをうれしく思います」。

Jefaのチームは、銀行があまりにも長い間、女性を軽視してきたと考えている。そもそもチャレンジャーバンクでさえ、ほとんどが男性顧客向けに設計されている。女性がチャレンジャーバンクで口座を開設できないというわけではない。しかし、女性にとって不親切な要件もある。

Jefa創業者でCEOのEmma Smith(エマ・スミス)氏は、TechCrunch Disruptに参加した際、ラテンアメリカで現在銀行口座を持っていない人の多くが女性である理由をいくつか挙げた。例えば、最低残高要件は、統計的に男性よりも収入が少ない女性にとってハードルとなっている。

Jefaが事業を開始すると、モバイルアプリから無料で銀行口座を開設できるようになる。銀行の支店に行く必要はない。数日後には、Visaデビットカードが送られてくる。サービスには貯金機能や報酬プログラムも組み込まれる。

Jefaはまずメキシコで製品を展開し、次にコロンビアと中米に広げる予定だ。一元的な銀行サービスからの脱却を試みるチャレンジャーバンクはJefaが初めてではない。例えば、子ども向け銀行(GreenlightStep)、気候変動に焦点を当てた顧客向けの銀行(Aspiration)など、専門性を持つ銀行を作ろうとしているスタートアップがいくつかある。そして今、Jefaが女性に特化した銀行を作っている。

画像クレジット:Jefa

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

日本のチャレンジャーバンク目指すナッジが次世代型クレジットカード「Nudge」の一般受付を開始

日本のチャレンジャーバンク目指すナッジが次世代型クレジットカード「Nudge」の一般受付を開始

日本におけるチャレンジャーバンク(新規に銀行免許を取得し金融サービスを提供する企業)を目指すナッジは9月2日、「少額包括信用購入あっせん業者」の登録が完了し、第1弾サービスとなる次世代型クレジットカード「Nudge」(ナッジ)の一般受付を同日開始したと発表した。Android版およびiOS版アプリが公開されている。

登録少額包括信用購入あつせん業者とは、2020年6月改正・2021年4月施行の割賦販売法により新設された登録事業者のこと。極度額(きょくどがく)10万円以下の範囲内でクレジットカード発行などの包括信用購入あっせん業を営める事業者となっている。

事前・事後チェックによる過剰与信防止措置を前提に、従来の包括支払可能見込額調査に代わるビッグデータやAIなど、先端的な技術を活用した与信審査手法が認められている。「クレジットカード番号などの適切な管理」といったセキュリティ面に関しては、従来の信用購入あっせん業者との規制面での違いはない。

次世代型クレジットカード「Nudge」(ナッジ)

サービス第1弾のNudgeは、申し込みや発行手続き・各種問い合わせなどがスマホアプリで完結可能(無料で発行できるカードのデザインは3種類)。利用状況などアプリでリアルタイム管理が可能で、不正利用や使い過ぎを防止しできる機能も採用。プリペイドカードとは異なり事前の入金は不要で、都度チャージの手間や、利用時の残高確認・使い残しの心配もない。

またすべてのカードにIC機能を搭載しており、世界中のVisa加盟店で利用が可能。日本を含む世界約200の国・地域で展開されている「Visaのタッチ決済」もサポート。

利用金額の返済は月に1度の口座引き落としではなく、好きなタイミングでセブン銀行ATM(全国2万5000台以上)から実施可能で、引き落とし日の口座残高を心配する必要がないという。また、最短で決済の翌日から返済が可能。月の途中で利用枠が足りなくなっても、返済後即時に利用枠が回復する。

なおNudgeでは、Visaブランド対応や与信システム構築、クレジットカードの製造・発行に関してはクレディセゾンおよび凸版印刷、 TISとの協業により実現。ATMからの返済についてはセブン銀行との提携により実現している。また、eKYCはLiquidの最新ソリューションを活用しているという。

好きな「クラブ」を選び、好みのチームやアーティスト、クリエーターを応援

Nudge利用者は、Nudgeと提携する企業や団体が開設する「クラブ」を選択することで、好きなチームやアーティスト、クリエーターを応援できる。

また普段の買い物でNudgeカードで支払いを行うことで、クラブからの特典を受け取られる。特典は、主にクラブに関連した画像や動画・音声データなどで、将来的にはNFT(非代替性トークン)形式での提供も検討しているという。

サービス開始時点で開設予定となっているクラブは、約20クラブ。アスリート・スポーツチーム系では、「ブラウブリッツ秋田(サッカー)」「アースフレンズ東京Z(バスケットボール)」「岩手ビッグブルズ(バスケットボール)」「福島レッドホープス(野球)」「堀口恭司(総合格闘技)」「チームケンズ(トライアスロン)」など。またアーティスト・クリエーターでは、「MILIYAH Loveheart Club」がある。「D.D.マーケット」などのECサイト、「A-TOM」のような地方創生プロジェクトなども用意されている。日本のチャレンジャーバンク目指すナッジが次世代型クレジットカード「Nudge」の一般受付を開始

サービス開始以降に開設予定のクラブには、「ラスカル(キャラクター)」「ラグナドール(オンラインゲーム)」などがあるという。今後もクラブ開拓を進め、利用者と提携先(スポーツチームやアーティストなど)双方に新たな金融体験を提供することを目指すそうだ。

2020年2月設立のナッジは、「ひとりひとりのアクションで、未来の金融体験を創る」をミッションとし、チャレンジャーバンク事業を通じて、日本におけるフィナンシャルインクルージョン(金融包摂)を実現していくことを目指している。

給料日を待たずに給与の一部が引き出せる新機能をRevolutが英国で導入

フィンテック(金融テクノロジー)スタートアップのRevolut(レボリュート)は「Payday(ペイデイ)」と呼ばれる新機能の導入を開始する。これはクレジットカードローンやキャッシングでお金を借りる代わりに、給料の一部を早期に受け取ることができるというものだ。企業がRevolutとの統合を決めれば、ユーザーは同社の金融スーパーアプリから、直接この機能を利用することができる。

現時点で、この機能は英国の企業に限定されているものの、欧州経済地域や米国でも導入が計画されているという。ここがややこしいところなのだが、給与をRevolutの口座に直接振り込んでもらっているすべての人が、Paydayを利用できるわけではない。

Revolutは、従業員がどの時点でいくら稼いでいるかを知るために、まず雇用主の給与システムに接続する必要がある。だが、Revolutによると、雇用主は給与システムを変更する必要はないという。

これが完了すると、従業員は好きなときに、これまで稼いだ給料の一部を受け取ることができるようになる。ユーザーはまだ支払われていない給料の最大50%までの金額を、給料日よりも前に引き出すことができる。この機能は企業にとっては無料だが、Revolutはユーザーに少額の定額料金を請求する。

「私たちは、すべての人が経済的健康でいられることの重要性を信じています。これには、経済的な安定が従業員の精神的な健康に与える影響を重視することも含まれます」と、Revolutの共同創業者でCEOのNik Storonsky(ニック・ストロンスキー)氏は、声明の中で述べている。「2020年の困難な状況を経て、いま従業員が最も忌むべきものは、経済的な不安やストレスです。多くの従業員が給料日ローンや高金利のキャッシングに依存している状況から脱却することが重要です。この依存は毎月の給料サイクルによってさらに悪化します」。

給料日から給料日へ綱渡りのような生活をしている人は、予定外の出費にPaydayを活用することができる。例えば急にクルマを修理しなければならなくなり、月末まで待っていられない人は、今すぐ給料の一部を引き出すことができる。

これは借金ではないし、クレジットスコアにも影響しない。自分で稼いだ給料の一部だからだ。ということは、月末の給料日には受け取る金額が少なくなるわけだが。

給料の前払い機能を使っていなくても、Paydayでは今月いくら稼いだかを確認することができる。多くの企業がこの機能を採用するかどうか、注目したいところだ。英国には何百万人ものユーザーがいるので、企業は自社の従業員からPaydayについて知ることになるだろう。

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画像クレジット:Revolut

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

日本のチャレンジャーバンクを目指すナッジが資金調達、次世代型クレジットカード「Nudge」今夏発行予定

日本のチャレンジャーバンクを目指すナッジが資金調達、次世代型クレジットカード「Nudge」今夏発行予定

日本におけるチャレンジャーバンク(新規に銀行免許を取得し金融サービスを提供する企業)を目指すナッジは8月11日、第三者割当増資による資金調達を行うと発表した。引受先は、共同リード投資家のSpiral CapitalとHeadline Asia、既存投資家のジェネシアベンチャーズなど。2月発表の第三者割当増資と合わせて、累計調達額は10億円超となった。また2021年秋ごろの最終クローズに向けて、国内外の投資家や事業提携先との協議を継続する。

2020年2月設立のナッジは、「ひとりひとりのアクションで、未来の金融体験を創る」をミッションとしており、サービス第1弾となる次世代型クレジットカード「Nudge」の発行を2021年夏開始予定という。これは、Android・iOSアプリから簡単に申し込める、使いすぎ防止機能などを備えた提携カード。提携企業や団体が開設する「クラブ」を選んで、カードを使うごとに好きなチームやアーティストを応援できる「クラブ機能」もある。AIを活用した独自の審査手法により。学生や非正規社員、兼業・副業、フリーランスなどでもカード発行が可能になるとのこと。また、利用金額の返済は月に1度の口座引き落としではなく、好きなタイミングでセブン銀行ATM(全国2万5000台以上)から実施可能。

「新たな価値観と行動様式をもつ金融機関のあり方」を模索しつつ、未来の金融体験を作り上げると語るナッジは、現在、チャレンジャーバンクになるために必要な各種事業者登録の準備を進めている。今回の資金調達には、一般向けサービス開始を見据えた関係者向けのクローズドベータサービスの開始と、体制強化を図る目的がある。また、サービス運用体制、顧客ニーズに合わせた機動的な機能増強、サービス開発、人員採用に継続的に取り組んでゆくという。さらに、社外取締役2名を増員して「金融機関に相応しいガバナンスの強化」も行うとしている。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:クレジットカード(用語)チャレンジャーバンク(用語)ナッジ(企業・サービス)FinTech / フィンテック(用語)資金調達(用語)日本(国・地域)

フランスの10代向けチャレンジャーバンクVybeが約3.1億円調達

フランスを拠点とするスタートアップのVybeは、ティーンエイジャー向けのチャレンジャーバンクを構築するために240万ユーロ(約3億1000万円)の資金調達を行った。同社は現在、ソフトローンチで製品をテストしている。ユーザーはデジタルウォレットとペアになったMastercardの支払いカードを受け取る。

Vybeの各口座には専用のIBANが設定されており、ユーザーは送金やお金の受け取りができる。18歳未満が口座を開設する場合は、親と一緒にKYC(本人確認)の手続きが必要だ。

保護者はカードの支払いに制限を設けたり、カードをブロックしたりできる。さらに、保護者は取引を表示することもできる。Vybeはブランドとの提携や報酬システムに加え、交換手数料から収益を得る計画だ。

Vybeは技術的には稼動していないが、すでに37万5000件のダウンロードを達成している。そして全体では26万人の10代の若者がすでにカードを予約している。すでに何千枚ものカードが配送されており、最初の指標は有望である。早期利用者は2日に1回カードを使用する傾向がある。

米国時間4月9日のファンドは、既存の投資家からのラウンドの延長だ。投資家にはCréditMutuelArkéaの前CEOであるRonan Le Moal(ロナン・ル・モアル)氏、Kick Club、Manoel Amorim(マノエル・アモリム)氏らがいる。

ティーンエイジャー向けの金融商品は収益性の高いセグメントだ。フランスではKardPixPayXaalysなどの企業がこのセグメントに参入しようとしている。これらの企業のほとんどは、サービスにアクセスするために加入料を請求している。

特に若者をターゲットにしていない他のフィンテック企業も、ティーンエイジャー向けのビジネスで成功する可能性がある。例えば年齢の若いユーザーはRevolut JuniorLydiaのアカウントを作って、親からお金を受け取ることができる。

米国では、子ども向けのデビットカードを提供するスタートアップがユニコーンになろうとしている。The InformationのKate Clark(ケイト・クラーク)氏が報じたように、GreenlightCurrentStepは10億ドル(約1100億円)から20億ドル(約2200億円)の評価額で新たな資金調達ラウンドを行っている。

画像クレジット:Vybe

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カテゴリー:フィンテック
タグ:フランス10代チャレンジャーバンクVybe資金調達

画像クレジット:Amir Hosseini / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:塚本直樹 / Twitter

メキシコのチャレンジャーバンクFondeadoraがシリーズAを延長しさらに約15.3億円調達

メキシコシティに拠点を置き、チャレンジャーバンクを構築しているフィンテックスタートアップのFondeadora(フォンデアドラ)が、シリーズAの資金調達ラウンドを延長した。筆者は2020年8月に、同社のオリジナルのラウンドを取材しているが、今回はすでに調達していた当初の1400万ドル(約15億3000万円)に加え、さらに1400万ドルを追加。現在は2800万ドル(約30億5000万円)の資金調達ラウンドとなっている。

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この延長でPortag3 Ventures(ポーテージ・ベンチャーズ)がFondeadoraに投資した。以前から投資していたGoogle(グーグル)のGradient Ventures(グラディエント・ベンチャーズ)は、さらに資金を投入している。Gokul Rajaram(ゴクル・ラジャラム)氏とAnatol von Hahn(アナトールフォン・ハーン)氏も、ビジネスエンジェルとして投資を行っている。

なお、シリーズAの初回には、Y Combinator(ワイ・コンビネーター)、Scott Belsky(スコット・ベルスキー)氏、Sound Ventures(サウンド・ベンチャーズ)、Fintech Collective(フィンテック・コレクティブ)、Ignia(イグニア)も参加していた。

「シリーズAの3カ月後に、予想外のタームシート(投資条件の概要書)が送りつけられてきたのです」と、Fondeadoraの共同創業者で共同CEOを務めるNorman Müller(ノルマン・ミュラー)氏は筆者に話してくれた。同社の評価額も、ラウンド延長によって倍増している。

画像クレジット:Fondeadora

メキシコでは、いまだに多くの人々が現金に頼っているため、チャレンジャーバンクの設立は好機といえる。レガシーバンクの顧客に加え、多くの人にとってFondeadoraが初めての銀行口座となる可能性もあるからだ。

Fondeadoraは、銀行サービスのための支店は一切構えていない。口座を開設すると、数日後にはMastercard(マスターカード)のデビットカードが届く。月々の会費や外国為替手数料は不要だ。

他のチャレンジャーバンクと同様、口座残高は瞬時に更新される。取引の際にプッシュ通知を受信する選択もできる。また、アプリを使ってカードのロックとロック解除も可能だ。

最近では、ちょうど米国のApple Card(アップルカード)のように、個人情報やカード番号のないカードをFondeadoraは発行した。カードの裏面にはQRコードがあるだけなので、誰かに見せても番号を知られることはない。このQRコードをスキャンすると、個人間送金を行うことができる。

Venmo(ベンモ)も米国でQRコードつきのクレジットカードを発行している。この方法は、物理的な世界とアプリとの間のすばらしい架け橋となるので、世界中のチャレンジャーバンクやピア・ツー・ピアの決済アプリはすべてやるべきだと思う。

Fondeadoraは銀行の認可を取得し、今ではその銀行口座にたくさんの預金がある。これまでのところ順調にいっているようで、改めて銀行はグローバルな産業ではないことを証明している。つまり、世界中にたくさんのローカルなプレイヤーが参入する余地があるということだ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Fondeadoraメキシコチャレンジャーバンク資金調達

画像クレジット:Fondeadora

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

英国のチャレンジャーバンクStarlingが約4.4億円を調達、評価額は2063億円に

小規模で動きの速いテック系銀行スタートアップのチャレンジャーバンクに、多額の資金注入が続いている。強気の投資家たちが、そうしたチャレンジャーバンクには大手のライバル銀行から顧客を引きつけるチャンスがあると考えているからだ。その最新の動きとして、英国に拠点を置くStarling(スターリング)が、11億ポンド(約1653億7000万円)の事前評価額で、2億7200万ポンド(約408億9000万円)を調達したことを発表した。

このシリーズDラウンドによって、同社の事後評価額は13億7200万ポンド(約2063億円)となった。

旧来の銀行だけでなく、Monzo(モンゾ)やRevolut(リボルト)のような他のチャレンジャーバンクとも競合しているStarlingは、調達した資金を成長の継続のために使うと述べている。Starlingはすでに利益を出している。米国時間3月8日に投稿された最新の財務書類では、Starlingは2021年1月の収益が1年前に比べて400%増加した1200万ポンド(約18億円)だったと報告している。これは1年分に換算すると1億4500万ポンド(約218億2000万円)となる。4カ月連続で営業利益を計上し、1カ月あたりの純利益は現在150万ポンド(約2億3000万円)を超えている。

2017年に設立されたStarlingは、現在200万以上の口座を保持しており、その中にはビジネスアカウントも30万口座含まれている。これらの口座のうち、どれくらいの数がアクティブかははっきりしない。Starlingによれば、上の数字は開設された口座数だ。貸出残高は20億ポンド(約3010億円)を超え、預金残高は54億ポンド(約8126億円)となっている。

Starlingは、調達した資金を、英国での融資業務の拡大、欧州の他の地域への拡大、戦略的買収のために使用する予定だと述べている。

Starlingの創業者でCEOのAnne Boden(アン・ボーデン)氏は声明の中で「デジタルバンキングは転換点に達しました」と語る。「今やお客様は、これまでの銀行に代わるより公平で、よりスマートで、より人間的な代替手段を期待しています。それこそが、成長を続け新しいプロダクトやサービスを加える私たちが、ご提供しているものなのです。新しい投資家のみなさまは、次の成長段階に入る当社に豊富なご経験をもたらして下さいますし、既存の支援者のみなさまの継続的なご支援は、多大な信頼をお寄せ頂いている証拠です」。

今回のラウンドはFidelity Management & Research Companyが主導し、そこにQatar Investment Authority (QIA)、310億ポンド(約4兆6650億円)規模のRailways Pension Schemeの投資マネージャーであるRPMI Railpen (Railpen)、国際投資企業のMillennium Managementが参加している。またこのラウンドは私たちが11月に報告した少なくとも2億ポンド(約300億円)の調達に続いて行われた。

今回の資金調達は、消費者バンキングにとって非常に重要な時期に行われた。Starlingが活動している市場である英国では、ここ数年の傾向として、オンラインバンキングやモバイルバンキングへの移行が徐々に進んでいたが、それらの傾向が、新型コロナウイルス(COVID-19)の拡大を抑えるためのロックダウンや強制的なソーシャルディスタンスによって急速に加速した。

チャレンジャー(ネオ)バンクは、進化している消費者行動の中にあって、最大の勝者となっている。チャレンジャーバンクたちは、バンキングインフラプロバイダー(Rapyd、Plaid、Mambu、CurrencyCloudといった企業が含まれるまた別のスタートアップカテゴリー)から、APIを介してホワイトラベルサービスとして提供される手段を利用し、引き出しや預金などの基本的なサービスを提供するが、通常はその柔軟性はかなり高く、追加の貯蓄や財務のヒント、顧客への貯蓄サービスなどを、デジタルプラットフォーム上で提供している。

旧来の大手銀行たちは、こうしたイノベーションに追いつこうと躍起に努力してきたが、とりわけ過去10年間の銀行危機によって、既存銀行が世間で思われていたほど強力でも盤石でもなかったことが顕になったことによって、新しい世代のユーザーたちはそのブランドや権威への信頼感を弱めている。

またその大きな市場イメージによって、多くのネオバンクの急増も予想されている、つまりStarlingは旧来の銀行以外とも競合していくということになる。そうした競合相手には、Monese(マネーズ)、Revolut、Tide(タイド)、Atom(アトム)、Monzoなどがあるが、特に最後の企業はStarlingの元CTOによって設立された、手強い競争相手だ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Starlingイギリスチャレンジャーバンク資金調達

画像クレジット:Starling

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:sako)

オランダ拠点の中小企業向けチャレンジャーバンクのFinomがシードラウンドだけで総額20億円超を調達

ヨーロッパの中小企業、フリーランス、自営業者向けにオンライン金融サービスを提供するB2B金融サービススタートアップのFinom(フィノム)は、昨年4月のシードラウンドで調達した650万ユーロ(約8億円)に加え、1030万ユーロ(約12億6300万円)を追加調達した。これにより2020年の資金調達総額は1680万ユーロとなった。これは同社がシリーズAラウンドを行う前の話だ。投資家には、ドイツのTarget GlobalとAvala Capital、ポーランドのCogito Capital、イスラエルのEntree Capital、インドのTal Capital、米国のAdfirst Ventures FJ Labsなどが名を連ねている。

今回の追加投資ラウンドにより、Finomはライセンス活動の拡大、製品開発、欧州の新市場への参入を目指す。2019年設立の同社はオランダを拠点とし、以前はロシアのB2Bオンライン銀行Modulbankを担当していたチームによって設立された。これまでのところ、それはイタリアで電子請求書発行サービスを提供しており、今年10月にはフランスでサービスを立ち上げる予定だ。

中小企業を対象としたほかのオンライン・チャレンジャーバンクと同様に、同社もポーランド、スペイン、オーストリア、スイスなど、中小企業向けオンライン・バンキングの普及率が比較的低い国をターゲットにしている。

画像クレジット:Tero Vesalainen / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)