eBayがトレカ鑑定サービス開始、まずは約8.6万円以上の価値があるカードが対象

オンラインマーケットプレイスのeBay(イーベイ)は、またも鑑定サービスを拡張し、今回は高価なトレーディングカードの鑑定に対応する。収集価値のあるカードゲームやスポーツカード、その他スポーツ以外のカードで750ドル(約8万6000円)以上のものの鑑定が可能になるという。2022年半ばまでには、250ドル(約2万9000円)以上で販売されるグレード付きカード、サインカード、パッチカードへと対象を拡大する。こうした追加により、eBayは、すでにスニーカー、時計、ハンドバッグなどで行っている高額アイテムの鑑定を顧客に保証する能力を拡大する。

同社は、自社サイト上での活発な動きから、鑑定が利用できる他の分野と同様にトレーディングカードへの鑑定サポートに価値を見いだした。同社によると、トレーディングカードのカテゴリーは同社のマーケットプレイス全体よりも「著しく速く」成長しており、2021年上半期の同カテゴリーの取引額は20億ドル(約2300億円)に上ったという。参考までに、これは2020年に行われたトレーディングカードの全取引額に匹敵する。

これまでに、eBayの内外を問わず購入された約400万枚のカードが、顧客のCollectionに追加された。Collectionは、トレーディングカードのコレクターがサイト上で自分のポートフォリオを把握できるよう、2021年追加されたツールだ。このツールを使ってコレクターは、自分のカードコレクションを閲覧・管理し、ポートフォリオに影響を与えるリアルタイムの市場評価額の変化をモニターすることができる。一方、eBayでは、25万人近い購入者が、お気に入りのトレーディングカードのトレンドを可視化するために、Price Guideツールを検索で利用していると、同社は述べた。

2021年上半期に最も伸びたカードカテゴリーは、テニス(1797%の伸び)、サッカー(852%)、ポケモン(536%)、マーベル(437%)、ゴルフ(436%)などだった。

画像クレジット:eBay

eBayのコレクティブル・エレクトロニクス・ホーム担当副社長のDawn Block(ドーン・ブロック)氏は、この発表についての声明の中で「当社のトレーディングカード事業は過去6年間成長を続けており、最近の急増はこのカテゴリーの文化的意義が計り知れないことを物語っています」と述べた。「趣味が投資に変わるにつれ、価値の高いカテゴリーの鑑定サービスはコレクターにとって優先事項となっています。トレーディングカードの真贋保証の導入により、愛好家が求めるものを正確に提供し、マーケットプレイスの信頼性を継続的に向上させることができます」と付け加えた。

トレーディングカードの鑑定はCertified Collectibles Groupの関連会社であるCGC Trading CardsとCertified Sports Guaranty(CSG)の専門家が担当している、とeBayのウェブサイトでは紹介されている。

Facebook Marketplaceなどのサービスや他のローカルな購入アプリによる日用品の売買競争が激化する中、eBayは入手困難な収集品や中古の高級品をオンラインで探せる場所として、より良い地位を確立しようと取り組んできた。

ハンドバッグを対象としたAuthenticate(鑑定)プログラムを2017年に開始した後、同社は高級ジュエリー時計といったものにも対象を広げた。2021年11月には、既存パートナーのSneaker Con Digitalからスニーカー鑑定事業を買収し、この戦略にさらなる投資を行った。鑑定の追加はビジネス上も有利に働く。高額スニーカーの売買に真贋保証を追加したところ、このカテゴリーが前四半期比で伸び、スニーカー鑑定サービスの自社提供を決定した時点で鑑定件数は155万件を突破した。

2021年第3四半期時点では、米国のスニーカー事業は2桁の成長率で、高級ハンドバッグの売上の伸びは米サイト全体を2桁の数字で上回っていると同社は述べた。

eBay真贋保証の対象商品は、他のカテゴリーと同様、自動的にプログラムに追加され、オプトインやオプトアウトはできない。買い手が購入すると、販売者はeBayが案内する鑑定者の住所に発送する。時計やトレーディングカードは2日、スニーカーやハンドバッグは3営業日以内に鑑定士が鑑定を行う。審査に通れば、所要2日の配送で購入者に届けられる。不合格の場合は、商品は販売者に返送され、購入者には代金が返される。現在、鑑定にかかる費用はeBayが負担しているが、将来的には変更される可能性もある。

同社は、熱狂的な消費者をマーケットプレイスに呼び込むことが、結果的にカテゴリーを超えた高額商品の購入につながると考えている。CEOのJamie Iannone(ジェイミー・イアンノーネ)氏は、第3四半期決算会見で次のように説明した。「……当社の戦略の一部は、愛好家を信頼できる新しい体験に導き、そうした購買者を当社の他のカテゴリーの膨大な商品に向けることです。スニーカーや高級時計を購入する平均的な購買者は、他のカテゴリーでそれぞれ約2000ドル(約23万円)、8000ドル(約92万円)を費やしています【略】高級カテゴリーで当社の成長が加速した理由の1つは、購入者と販売者の信頼が向上したことです」と述べた。

しかし、トレーディングカード分野では、eBayはAltWhatnotLoupeToppsなど、トレーディングカードを専門とするさまざまなアプリやサービスとの新たな競争に直面している。コレクターが所有するカードの価値を決めるのをサポートするWorthPointCollXなどもある。

1年以上前に鑑定プログラムを「真贋保証」としてリニューアルして以来、カテゴリーを問わず140万点超のアイテムを鑑定し、顧客満足度は90%を超えている、とイアンノーネ氏は述べた。

画像クレジット:eBay

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

Dapper Labsも支援するTiblesがドクター・スースのキャラをNFTトレーディングカードに

2012年、ブルックリンに拠点を置くモバイルアプリ開発のスタートアップ企業が、83年の歴史を持つトレーディングカード会社Topps(トップス)に仕事を依頼された。UCLAで経済学を専攻し、トレーディングカードをこよなく愛していた社長のErich Wood(エリック・ウッド)氏にとって、この仕事は楽しいだけでなく、彼の人生を大きく変えるものとなった。

その当時、Toppsは、メジャーリーグベースボール、ナショナルフットボールリーグ、スターウォーズとライセンス契約を結んでいた。当時の同社デジタル部門責任者に見出されたウッド氏の小さな会社は、これら3つの最初のデジタルトレーディングカードプラットフォームを構築するために招かれたのだった

このデジタルトレーディングカードはすぐに好評を博した。実際、ウッド氏によると、あまりにも上手くいったので、同氏は2016年、デジタル部門責任者だったMichael Bramlage(マイケル・ブラムレッジ)氏と一緒に、自分たちのデジタル収集品会社Quidd(クイッド)を設立することに決めた。

それから現在にまで早送りすると、ブラムレッジ氏はまだQuiddのCEOを務めているが、Quiddは2019年にAnimoca Brands(アニモカ・ブランズ)に買収され、現在は独立した子会社として運営されている。一方、ウッド氏は静かにTibles(ティブルズ)という新しい事業を13人で起ち上げており、
Cadenza Ventures(カデンツァ・ベンチャーズ)が主導するシード資金調達で300万ドル(約3億4300万円)を調達したばかりだ。このラウンドには、2021年初めに「NBA Top Shot(NBAトップショット)」で世界に旋風を巻き起こしたDapper Labs(ダッパーラボ)も、前回に続いて参加した。

関連記事:NFTとは何か?デジタル収集家たちのなぜ今、熱狂しているのか?

興味深いことに、TiblesはQuiddとあまり変わらないように見えるが、Quiddはまだコレクターズアイテムを「オフチェーン」、つまり中央のサーバーに保管しているのに対し、TiblesはDapper Labsが開発したブロックチェーン「Flow(フロー)」のみで動作するNFT(非代替性トークン)マーケットプレイスを構築している(ちなみにQuiddは、ホームページ上で「間もなくブロックチェーンに移行する」と言っている)。

また、Tiblesがポップカルチャーやエンターテインメント系のブランドに特化しているのに対し、Quiddはスポーツに関するコレクターズアイテムも販売しているという違いもある。

だが、おそらく最も重要な点は、ウッド氏の話から推察すると、TiblesはQuiddや他のデジタル収集品マーケットプレイスとは異なり、既存の画像をデジタル化してNFTにするだけではなく、ブランドと協力して、オリジナルのライセンスを受けたアート、トレーディング体験、コミュニティを備えたエコシステムの構築を計画しているということだ。同社の究極的な目標は、デジタルでの収集体験を、物理的な収集体験と同じくらい本物にすることだという。

それが計画通りにうまくいくかどうかはまだわからないが、まずはその出発点としてTiblesは、同社とDr. Seuss Enterprises(ドクター・スース・エンタープライズ)、Dapper Labsが協力して制作する「Seussibles(スースィブルズ)」を発表した。これはTheodor Geisel(セオドア・ガイゼル)のファンが、ドクター・スースの生み出したキャラクターであるLorax(ロラックスおじさん)や、Grinch(いじわるグリンチ)、Horton the Elephant(ぞうのホートン)などのNFTを所有し、他のファンと交流できるというものだ。

ウッド氏の説明によると、このNFTはPokémon(ポケモン)カードのような5枚組のブラインドパックとして販売されるという。「ステッカー」と呼ばれるこれらのカードは「ステッカーブック」で閲覧でき、他のユーザーたちとお互いのコレクションを見せ合うことができる。

また、ファン同士の交流の場であるクラブハウスや、保有しているカードを交換することができるトレーディングエリアも用意される。

今のところ、すべてのパックの価格は同じで「限定版」のNFTはないが、Tiblesはファンにとってどのキャラクターが他のキャラクターよりも価値があるのかを知るために、人々がどんなふうに交換するかを調べるに違いない。

このスタートアップ企業のロードマップでは、当然のことながら、まずは雇用が優先される。また、TiblesはDapper Labsと緊密に協力して、より多くのコンテンツを生み出せるように、より多くのライセンス契約を獲得する予定だ(具体的な内容を聞かれたウッド氏は「ライセンス契約のロードマップは長い」「秘密だらけだ」と答えている)。

開発面に関しては、ウッド氏によれば、計画は非常に単純だという。Tiblesは「他のApple(アップル)アプリ内課金と同じように、誰もが簡単に購入できるようなユーザー体験を提供することに非常に注力している」とのこと。また、ウッド氏は、ユーザーがコミュニティに参加したり、共有したり、整理したり、交換したりすることを、非常に簡単にしたいと考えている。「私たちは、これを楽しいものにして、(その成功を)いくつかの異なるパブリッシャーやライセンス、異なる体験で再現することに力を入れています」。

確かに、ウッド氏はデジタル収集品市場における長年の経験から、ファングループごとに評価が異なる傾向があることを知っている。Dapper LabsとDr. Seuss Enterprisesとの契約は、カードのようなステッカーを中心とするものだが、他のクライアントのための将来のプロジェクトでは「動画やアニメーション、あるいはインタラクションになるかもしれません」と、同氏は語る。

共通しているのは、すべてが収集可能なウェブオブジェクトになるということだ。あとはプロパティ次第である。「私たちは、IP、ブランド、ファン、そして彼らが好むものを理解することに多くの時間を費やします」と、ウッド氏はいう。「そして、それがうまくいくことはほとんどありません」。

Tiblesの最近の資金調達は、2021年初5月に実施された119万ドル(約1億3600万円)のシードラウンドに続くものだ。

前回のラウンドを主導したDapper Labsに加え、CoinFund(コインファンド)とWarburg Serres(ウォーバーグ・セレス)が両ラウンドに参加している。

画像クレジット:Tibles

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(文:Connie Loizos、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

電子トレカ事業ORICAL中心にスポーツ・エンタメ領域のファンビジネスを提供するventusが2.75億円調達

電子トレカを用いたファンシステム「ORICAL」(オリカル)などを展開するventusは12月20日、第三者割当増資による総額2億7500万円の資金調達を2021年9月に実施したと発表した。引受先は、既存株主のANOBAKA、サムライインキュベートと、新規投資家のユナイテッド、ソニー・ミュージックエンタテインメント、オー・エル・エム・ベンチャーズ、VOYAGE VENTURES、SMBCベンチャーキャピタル、みずほキャピタル、G-STARTUPファンド。

2017年11月設立のventusは、プロ野球チームなどの国内大型スポーツ・エンタメコンテンツと協業し電子トレカシステムORICALの運営を行っている。ORICALは、選手の魅力を最大限に引き出せるよう「動くデザイン」を実現したほか、ファンの熱量を逃がさない「リアルタイム発行」、来場限定トレカ、ファンクラブなどとの連動といった機能でファンエンゲージメントツールとして浸透しているという。今後は、トレカサービスにとどまることなく、スポーツ・エンタメ界に新しい「デジタルコンテンツ×ファンシステム」を構築していくため事業拡大を行う。

具体的には、2021年12月現在で3チーム・団体が導入しているORICALを、より多くの国内外のスポーツチームに提供していく。現在はスポーツチーム向けに最適化されているORICALシステムを、スポーツ以外のあらゆるコンテンツにも拡大する。加えて、電子トレカをきっかけに新たなデジタルコンテンツの作成、デジタルコンテンツを中心とした新たなファンシステムの仕組み作りを開発していく。

ファンに寄り添った企画・機能開発をベースに、デジタルコンテンツからファンシステムまで、ファンビジネスの上流から下流までをカバーする総合的なエンタメテック企業へ進化するとしている。

カード取引プラットフォームAltが約85億円調達、代替資産カテゴリー拡大とモバイルアプリを準備中

3月にAlt(アルト)を取材したとき、同社は代替資産プラットフォームのために3100万ドル(約35億3500万円)を調達したばかりだった。同プラットフォームはこれまで、主に高価値のスポーツカードの調査、取引、安全管理を求める人々に利用されてきた。

それからわずか数カ月後、Altは、一流の投資家やプロスポーツ選手から7500万ドル(85億5400万円)のシリーズBを調達し、大規模な雇用を行い、モバイルアプリの立ち上げを準備している。その一方で、カバーする代替資産の範囲を拡大し始めている。

Altは当初、創業者のLeore Avidar(レオレ・アヴィダー)氏がよく知るスポーツカードというカテゴリーに焦点を当てていたが、最近では他の種類のトレーディングカードにも対応している。Altの取引所を覗いてみると、Charizards(リザードン)やYu-Gi-Oh!(遊戯王)の初版カードに加え、レアなKobe(コービー)氏やKaepernick(ケパーニック)氏のサイン入りカードなどが混ざっている。将来的には、カードだけでなく、他の代替資産への展開も視野に入れている。

「私たちの目標はスニーカー、時計からNFT製品まで扱うことです」とアヴィダー氏は語っており、スポーツカードを彼らの「証明書」として言及してくれた。

Altでカードを販売するためには、まずPSA、BGS、SGCといった定評あるグレーディング団体の審査を受け、その後、同社がよく「カードのFort Knox(フォート・ノックス)」と呼んでいる、光と温度をコントロールし、防火対策を施したAltの施設「金庫」へ送られる。ここでは、購入者から購入者へ、所有権を即座に移すことができる(Altは販売額の1.5%を受け取る)。デフォルトでは、購入したカードはこの金庫に保管される。所有者は自由にカードを金庫から取り出して発送することができるが、アヴィダー氏によると「99%」のカードは取引後も金庫に保管されているそうだ。彼らはほとんどの場合、これらのカードを展示するためではなく、投資として購入している。また、Altのユーザーはこれまでに7000万ドル(約79億8200万円)相当のカードを金庫に保管していると聞いている。

Altでは、カードに関するデータの多くを共有している。市場動向のページでは、ここ数週間で最も人気のあったカテゴリーを表示し、過去7日間でカードの価値が最も大きく変動したプレイヤーを紹介している。個々のリストには、そのカードが過去1年間に販売された価格が表示され「Altバリュー」と呼ばれる、Altが入手した最近の取引データに基づくZestimate(ゼスティメイト)スタイルの価値推定値が表示される。

Altのチームは急速に成長しており、アヴィダー氏によると、現在の従業員数は約60名だそうだ。特に最近では、eBay(イーベイ)のコレクターズアイテムおよびトレーディングカード部門のゼネラルマネージャーを務めていたNicole Colombo(ニコル・コロンボ)氏を初代社長として採用している。

では、同社のロードマップで次の課題はなんなのか?それは、モバイルアプリの立ち上げだ。これまでブラウザ上で展開してきたAltは、今月末にiOSとAndroidのアプリをリリースする予定だ。トップ画像はそのアプリのイメージだが、こちらの画像もある。

画像クレジット:Alt

その一方で、同社は新たな収益源を静かに模索している。それは、ユーザーがAltに保管しているカードを担保にして、ユーザーにお金を貸すという機能だ。アヴィダー氏は、銀行は一般的にスポーツカードのコレクションのようなものを「本物の担保」とは見なさないと指摘している。一方で同社は、あるカードが日々どれくらいの価値があるのかをかなり深く理解しており、カードはAltの金庫に保管されているため、カードが突然消えたり破損したりすることはないと想定している。このプログラムを「Alt Lending(アルト融資)」と呼んでいるが、現在はベータ版で、一部のユーザーにしか公開されていないとのことだ。

今回のラウンドは「3億2500万ドル(約370億円)以上」の評価額で調達されたとのことだ。今回のラウンドは、Spearhead(スピアヘッド)(Jeff Fagnan[ジェフ・ファグナン]氏とNaval Ravikant[ナヴァル・ラヴィカント]氏が共同で設立した新しいタイプのファンドだ。Spearhedに関しての情報はこちら)。また、Seven Seven Six(セブン・セブン・シックス)、Vibe Capital(バイブ・キャピタル)、Breyer Capital(ブライア・キャピタル)、Shrug Capital(シュラグ・キャピタル)、Apollo Projects(アポロ・プロジェクト)(Max[マックス]氏とSam Altman[サム・アルトマン]氏の会社で、別の似たような名前の新しい親会社のことではない)、Hyperguap(ハイパーグァップ)、A*、および多数の個人投資家(Tom Brady[トム・ブレイディ]氏、Giannis Antetokounmpo[ヤニス・アデトクンポ]氏、Alex Morgan[アレックス・モーガン]氏、Candace Parker[キャンデース・パーカー]氏、Marlon Humphrey[マーロン・ハンフリー]氏など、スポーツ界の大物を含む)が支援した。

画像クレジット:Alt

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Akihito Mizukoshi)

NFTカードゲームとウォレットのHorizon Blockchain Gamesはブロックチェーンの大衆化を目指す

Horizon Blockchain Gamesは、その名のとおりブロックチェーン上にゲームを開発している企業であり、そのためのツールも提供している。

同社は米国時間7月29日、新たに450万ドル(約4億9000万円)を調達したことを発表し、調達総額は1300万ドル(約14億3000万円)強になった。

Horizonの最初のゲーム「Skyweaver」は、デジタルトレカのゲームで、ブロックチェーンを利用してプレイヤーに、バーチャルカードのリアルな所有権を与える。他のプレイヤーに勝ったら、そのカードは売ったり交換したりシステムから取り去ったり、ストレージに置いたりできる。

以前、Horizonについてこう書いたことがある。

Horizonは2つの事業に並行して取り組んでいる。1つ目は「Arcadeum」というイーサリアムベースのプラットフォームを構築してゲーム内のアイテムを扱うことだ。アイテムのインスタンスを取得したら、そのアイテムを実証できるかたちでプレイヤー間で交換、販売、贈与できるようにする。プレイヤーが所有したアイテムはそのプレイヤーのもので、使用、交換、販売をすることができる。Horizonが取り上げることはできない。ゆくゆくはこのプラットフォームを他のデベロッパーが利用できるように公開する計画だ。

もう1つは、自社でのゲーム開発だ。「SkyWeaver」というデジタルトレーディングカードゲームは、同社を成長させるものであるのと同時にプラットフォームの見本でもある。

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上の「Arcadeum」では「Sequence」と改名され、統合を簡単に行えるウォレットシステムとして、ブロックチェーンの複雑さにおさらばすることを狙っている。同社は、ユーザーがそれを使ってブロックチェーン上でデジタルグッズを買ったり保存したりすること、その際ユーザーやアプリのデベロッパーはブロックチェーンについて何も考えないことを期待している。Horizonの共同創業者であるMichael Sanders(マイケル・サンダース)氏によると、改名は全体的なフォーカスを広げるために行った。「Arcadeum」内の「Arcade」は、ゲーム関連であることを示すが、同時に、デジタルゲームのバーチャルグッズからNFTアートなど、あらゆる種類のデジタルアートの管理を助ける。

Horizonのチームは「Web3」をサポートするために開発したとよくいう。最近この言葉を何度も聞かされた。私の理解力の範囲内で手短にいうと「Web3」はオンラインでしかも分散化されたアプリやサービスやゲームがブロックチェーン(この場合はEthereum)を軸に構築され、個々のユーザーが自分のデータをより完全にコントロールできるようになる、という新しいカテゴリーのことだ。イーサリアム財団のウェブサイトに、そのコンセプトの解説がある。

Skyweaverの対戦(画像クレジット:Horizon Blockchain Games)

Horizonは当初、2020年にはSkyweaverをさらにオープンにするつもりだった。しかし、それは今朝ですら非公開ベータで、オープンになるのは2021年後期の予定だ。サンダース氏によると、現状でプレイヤーは6万6000人ほどいる。

今回のラウンド(「プレシリーズAラウンドSAFE」)には、CMT Digital、The Xchange Company、BITKRAFT Ventures、Khaled Verjee(ハレド・ヴェルジー)氏、Zyshan Kaba(ザイシャン・カバ)氏などが出資しているとのこと。

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Hiroshi Iwatani)