これまでのナノ工場は、あまりうまく行っていなかった。全ての小さな働き手たちが、同期して素早く動くことに問題があったのだ。しかし、物事をスムーズに実行することならドイツ人にお任せだ!採用されたのは、最新式の「電気」技術の適用だ。
DNAから形成された極小のナノスケール機械が、小さなものを大量に加工するための未来を見せてくれるかもしれない。しかし半マイクロメーターほどの長さの小さな腕のような、単純で再利用可能な機械を操作することは、人間のスケールではとても困難だ。このサイズでは信号を伝えるための配線は不可能だし、もしその腕を2番めの腕で動かしたい場合には、その腕はどうやって動かせば良いのだろう?
これまでは化学的信号の利用が行われていた、特定の溶液でナノボットを洗い、その向きを変えたり、掴むための先端を閉じたり、その他の動作を行うのだ。しかし、これは遅くて不正確な動作だ。
ミュンヘン工科大学(TUM)の研究者たちは、分子スケールで機械を制御する、この状況を改善する手段を検討していた。彼らが検討しているのが「ナノクレーン」だ。これは基盤から突き出た400ナノメートル長のカスタムDNAで、柔軟な塩基から構成されている。またあらゆる方向に回転することができる。これは小さなロボットの指のようなものだが、髪の毛(または塩基ペア)を割いたものではない。
Friedrich Simmelと彼のチームが発見した、もしくはより正確に言えば、その可能性を認識したのは、DNA分子が(よってこれらのナノクレーンが)負の電荷を帯びているということだった。よって理論的には、それらは電場に反応して動く筈だ。それこそが、彼らの行ったことだ。
彼らは小さな蛍光色素分子をクレーンの先端に付けて、リアルタイムでそれが何をしているのかを見ることができるようにした。そして周りの電場を慎重に変化させ、クレーンがどのように動作するかを観察したのだ。
素晴らしいことに、クレーンは計画どおりに動き、左右に移動したり、円形に回転したりした。研究者らによれば、これらの動きは、化学物質を使用していたときの、10万倍の速度で行われているということだ。
「私たちは生化学的なナノマシンから、DNA構造と電場との相互作用によるマシンに完全に切り替えようと考えました」と、TUMのニュースリリースでSimmelは語った。「この実験で、分子機械を電気的に動かすことができることが実証されました。私たちはいまや動作をミリセカンドのスケールで行うことができますが、これはこれまでの生化学的アプローチに比べて10万倍速いことになります」。
そして電場がエネルギーを供給するので、この動作を使って他の分子を押すことができる ―― もっともこちらの方はまだ実証されていない。
しかし、これらの小さなマシンが大量に(それらにとっては)広大な場所で働いている所を想像することは難しくない。Simmelが述べるように、複雑なプロセスの中で分子同士を近付けたり遠ざけたり、あるいは「組立ラインのような」ものに沿って何かを作り上げたりことができる。
チームの研究成果は、憧れのサイエンスのカバーストーリーとして取り上げられた (多くの偉大な研究たちも、振り返ってみればそうした扱いを受けてきた)。
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(翻訳:sako)