アラブ首長国連邦が2028年にアステロイドベルトに探査機打ち上げ、小惑星への着陸を目指す

アラブ首長国連邦(UAE)の宇宙機関は、火星と木星の間にある小惑星帯に探査機を送り、2030年代初頭には最終的に小惑星に着陸させることを目指している。これはアラブ首長国連邦の民間宇宙企業にとって、大きな弾みがつくミッションとなることは間違いない。

このミッションは2028年に打ち上げが予定されている。そこから宇宙機は、長く曲がりくねった旅に出る。5年間で36億キロメートルの距離を移動し、金星と地球をブーメランのように回りながら十分な速度を得て、最終的には2030年に火星の先にある小惑星帯に到達する予定だ。UAEでは、2033年に探査機を小惑星に着陸させることを目指している。これは2014年に宇宙機関を設立したばかりの国にとって、野心的な目標だ。

これまで、NASA、欧州宇宙機関(ESA)、そして日本の宇宙機関であるJAXAが、宇宙機を小惑星に着陸させている。今度のミッションが成功すれば、UAE宇宙局はこれらの少数のグループに加わることになる。その明確な科学目標は来年発表される予定だが、探査機が収集するすべてのデータは、宇宙の起源についての理解を深めるのに役立つ可能性がある。これらの小惑星は、太陽系が形成されたときの天空の残り物であると考える科学者もいるからだ。

今回のプロジェクトは、国内の宇宙産業の発展を目指しているUAEにとって、最も新しく最も意欲的な取り組みとなる。重要なのは、UAEが契約や調達の優先権を与えるとしている首長国連邦の企業が、このプロジェクトから利益を得られる立場にあることだ。

UAEは2020年7月、Emirates Mars Mission(エミレーツ・マーズ・ミッション)の「Hope(ホープ)」探査機を打ち上げ、2021年の2月には火星周回軌道へ乗せることに成功した。この探査機は火星を1年(687日)かけて周回し、火星の大気に関するデータを収集することになっている。

また、UAEは2022年に「Rashid(ラシッド)」と名付けられた重量10キログラムほどの小型月面探査車を、月へ送ることも予定している。この探査車は、カナダの民間企業3社の技術とともにペイロードとして、日本の宇宙ベンチャー企業であるispace(アイスペース)の「HAKUTO-R(ハクトR)」ミッションのランダーで月面に輸送される予定だ。

関連記事:日本の宇宙企業ispaceの月着陸船がカナダ宇宙庁とJAXAからペイロード輸送を受託

UAE宇宙庁のSarah Al Amiri(サラ・アル・アミリ)長官によれば、この最新のミッションは、火星へのミッションに比べて「5倍ほど複雑になる」という。その新たなレベルの難しさについて、UAEは声明の中で「宇宙機の設計とエンジニアリング、惑星間航行、複雑なシステム統合」に加えて、宇宙機の通信システム、電力システム、推進システムに求められる性能も高くなると述べている。

画像クレジット: ESA/Rosetta/NAVCAM Flickr under a CC BY-SA 3.0 license. (Image has been modified)

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フェイスブックが「2Africa」海底ケーブルネットワークをさらに4つの地域へ拡張

Facebook(フェイスブック)は米国時間8月16日、アフリカ大陸および中東地域をカバーする「最も包括的」な海底ケーブルを、さらに4つの地域へ拡張すると発表した。

Facebookは、China Mobile International(チャイナ・モバイル・インターナショナル)、MTN GlobalConnect(MTNグローバルコネクト)、Orange(オレンジ)、STC(サウジ・テレコム)、Telecom Egypt(テレコム・エジプト)、Vodafone(ボーダフォン)、WIOCCからなる「2Africa」コンソーシアムと共同でこれを行う。

新たに加わる地域はセーシェル、コモロ諸島、アンゴラ、ナイジェリア南東部だ。最近発表されたカナリア諸島に続き、これらの国々へ新たに海底ケーブルが拡張されることになる。

Facebookは2020年、この2Africaプロジェクトで3万7000kmのケーブルを敷設すると発表した。これらのケーブルは、エジプトを経由してヨーロッパと、サウジアラビアを経由して中東と、そしてアフリカ16カ国21カ所の陸揚局を相互接続する。

関係者は当時、2Africaプロジェクトは2023年か2024年初めには完成するだろうと語っていた。このシステムが稼働すれば、現在アフリカで提供されているすべての海底ケーブルの総容量を超えるサービスが提供できるようになるという。

画像クレジット:2Africa

コンソーシアムから発行されたFacebookの新たな声明によると、計画は依然として2023年後半の稼働を予定しているとのこと。2Africaプロジェクトはいくらか進展しており、海底ルートの調査活動の大部分が完了していると、コンソーシアムは述べている。エジプト海と地中海の接続もほぼ完了していると、声明には書かれている。今回発表された新区間の海洋調査も、2021年末までに完了する予定だという。

コンソーシアムは、新支線の敷設にNokia(ノキア)のASN(アルカテル・サブマリン・ネットワークス)を選定。これによって2Africaの陸揚局は26カ国35カ所となる。

「Facebookによる2Africaへの多額の投資は、南アフリカ、ウガンダ、ナイジェリア、コンゴ民主共和国におけるインフラ投資など、私たちがこれまでに行ってきたいくつかの投資の上に成り立っているものです。新型コロナウイルスの感染拡大は、世界中の何十億もの人々が仕事や学校、大切な人とのつながりを保つためにインターネットに依存し、接続性の重要性を浮き彫りにしました」と、Facebookの広報担当者は、同社によるアフリカへの継続的な投資について述べている。

「2Africaは、アフリカ大陸全体の接続インフラを前進させる重要な要素であるだけでなく、経済回復の重要な時期に行われる大規模な投資にもなります。ますます多くの人々がインターネットに依存するようになる中、常に大事な人やものと確実につながるために、海底ケーブルは不可欠な要素です。Facebookが海底ケーブルに投資するのは、当社の製品を利用する人々により良い体験を提供するためですが、当社の投資はすべての人にコスト効率の良いインターネットを提供することになります」。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Facebookアフリカ中東海底ケーブルヨーロッパ

画像クレジット:ANDER GILLENEA / AFP / Getty Images

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ゲーマー向け動画クリッピングサービスMedal.tvがRawa.tvを買収、ライブストリーミングに参入

ゲーマー向けに短い動画のクリッピングサービスとソーシャルネットワークを提供しているMedal.tvは、Rawa.tvを買収してライブストリーミング市場に参入しようとしている。ドバイに拠点を置くRawa.tvはTwitch(ツイッチ)の競合として、これまでに約100万ドル(約1億1000万円)の資金を調達していた。7桁の金額(数億円)をすべて現金で支払うという今回の買収により、Rawa.tvの創業者であるRaya Dadah(ラーヤ・ダダ)氏とPhil Jammal(フィル・ジャマル)氏の2人はMedal.tvに加わり、今後は2つのプラットフォームの統合を進めていく。

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Medal.tvのCEOであるPim de Witte(ピム・デ・ウィッテ)氏は、同社がRawa.tvに関心を持った理由について「中東・北アフリカ地域(MENA)は、ゲーム業界で最も急速に成長している市場の1つですが、いまだにほとんど相手にされていません」と説明する。

「この市場をターゲットにしている企業の多くは、微妙な違いをよく理解しておらず、欧米や極東の既存モデルを再現しようとしますが、それでは失敗します」と、デ・ウィッテ氏はいう。「現地のチームを吸収することで、Medalがこの地域で成功する可能性が高まります。全体的に見て、MENAはライブストリーミングの分野で明確なリーダーがおらず、十分なサービスが提供されていない市場だと我々は考えています。Rawaは、この好機を生かすのに必要な現地市場の専門知識をMedalにもたらしてくれます」と、デ・ウィッテ氏は付け加えた。

Medal.tvのコミュニティは、以前からライブストリーミングの機能を求めており、経営陣もそれを認めていたものの、既製のサービスを使ってこの技術を構築するには、同社にとってコストが高額すぎたと、デ・ウィッテ氏は述べている。

「人々はライブやリアルタイムの体験でつながるようになってきていますが、これまでの我々のプラットフォームにはそれが欠けていました」と、同氏は指摘した。

しかしRawaは、アラブのゲームに特化した初のライブストリーミングプラットフォームとして、独自のライブネットワークストリーミング技術を構築し、現在ではすべての製品に採用している。その技術がMedal.tvにも導入されることになる。

画像クレジット:Medal.tvmedal

両社は買収以前にもすでに提携しており、RawaのユーザーがMedal.tvにゲームクリップをアップロードしたり、RawaのパートナーがMedalの熟練プレイヤーのプログラムに参加したりということが行われていた。今後もRawaは独立したプラットフォームとして運営されていく予定だが、Medalとの統合はより強固なものになるとのこと。現在、Rawaのサービスには約10万人のアクティブユーザーがいる。

今回の買収完了後も、Rawaの従業員たちは共同創業者であるジャマル氏のリーダーシップのもと、同社のライブストリーミングプラットフォームの運営を継続し、Rawaの本社も引き続きドバイに置かれる。とはいえ、新型コロナウイルスの流行拡大が始まって以来、Rawaの従業員はリモートで仕事を続けている。ウイルスの拡散が不透明であるため、今後それが変更になるかどうかは、まだわからない。

Medal.tvは、Rawaに関するさらなる計画について、自社サイトで詳しく説明している。同社は、視聴者の大半が無料で利用する「汎用」ライブストリーミングプラットフォームの構築は目指していないと説明しているが、これは明らかにTwitchに向けて呼びかけたものだろう。その代わりに同社では、クリエイターの作品を定額を支払って視聴したいと思う視聴者とコンテンツとのマッチングに注力していくという。このことは、Twitchのような大規模なプラットフォームがこれまで直面してきた問題の1つである、小規模なストリーマーにとって軌道に乗るのが難しいという問題を解決するものだ。

また、他社が行っているようなゲーム以外のコンテンツへの進出ではなく、ゲームコミュニティへの貢献に焦点を絞っていくとしている。この点でも、この数年間でブログや古いテレビ番組のストリーミングにまで進出してきたTwitchとは異なる。また、ゲームが広範なビデオネットワークのサブカテゴリーに過ぎないYouTube(ユーチューブ)やFacebook Watch(フェイスブック・ウォッチ)とも大きく異なる。

今回の買収前、Medal.tvは2019年にHorizons Ventures(ホライズンズ・ベンチャーズ)が主導したシリーズA投資ラウンドで900万ドル(約9億9000万円)を調達しており、当時はすでに500万人の登録ユーザーと「数十万人」のデイリーアクティブユーザーを抱えるまでに成長していた。現在では毎日20万人以上がMedal.tvでコンテンツを作成し、毎月300万人のユーザーがそのコンテンツをアクティブに視聴しているという。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Medal.tvRawa.tvライブストリーミング買収中東ゲームゲーム配信ドバイ

画像クレジット:Medal.tv

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

難民救済NPOのBuffaloGridとTechfugeesが資金募集と教育とソーラー充電で協力

電気がない環境で暮らしている人たちに、スマートフォンの充電とデジタルコンテンツを提供しているBuffaloGridが、非営利の難民救済団体Techfugeesとともに、アフリカ東部と中東の故郷に戻れない人たちに無料の教育コンテンツとデバイスの充電を提供しようとしている。

Techfugeesは最初のサービスとして、太陽光発電による「BuffaloGrid Hub」をケニアとウガンダに展開し、教育と健康関連コンテンツへの無制限の無料アクセスを提供、またその他のストリーミングサービスへのアクセスやモバイルの充電サービスも提供する。

この共同キャンペーン「Knowledge is Freedom(知識は自由だ)」は、今後2年間で300万ドル(約3億3000万円)の調達を目標にしている。

BuffaloGridのCEOであるDaniel Becerra(ダニエル・ベセラ)氏は、次のように述べている。「私たちのミッションはインターネットアクセスの障壁を取り除き、次の10億人に情報とエネルギーとデジタルのスキルを提供することです。このキャンペーンで故郷を追われた人たちへの気づきを喚起し、私たちが力を合わせれば状況を変えられることを周知したい。チーム全員がTechfugeesと協力できることを喜んでいます。一緒になることで私たちの技術力も経験も他との結びつきもより強力になり、真の違いを作り出せるでしょう」。

一方、TechfugeesのCEOであるRaj Burman(ラージ・バーマン)氏は次のように述べている。「デジタル化と気候変動がますます激しくなっている今の世界で、私たちのミッションは強制的に故郷を追われた人たちが取り残されないようにすることです。約40万の難民が、ウガンダおよびケニアのルワムワンジャとカクマ-カロベイエイ救難キャンプで暮らしています。BuffaloGridとのコラボレーションには、私たちのケニアとウガンダの支部からの支援により、革新的で責任性のあるデジタルソリューションが故郷なき人たちに力をつけ、教育と健康のコンテンツへのアクセス障壁を克服して、生計を改善していける機会があります」。

Techfugeesによると、世界の人口の約1%にあたる8000万人が、気候変動や戦争、紛争、経済の悪化、そして迫害によって難民になっている。この数は、2050年には10億を超えると予想されている。

ベルファストに本部のあるBuffaloGridは、これまで640万ドル(約7億円)を調達し、Tiny VCやADV、Seedcamp、Kima VenturesそしてLocalGlobeなどを投資家として迎えている。

情報開示:Mike ButcherはTechfugeesの議長だ。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:BuffaloGridTechfugees難民アフリカ中東ソーラー充電教育

画像クレジット:BuffaloGrid

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hiroshi Iwatani)

WaterfundがOurCrowdと提携、水・農業技術関連の企業に約54.4億円を投資

水関連インフラ資産の取得・管理に特化した投資・取引会社であるWaterfund(ウォーターファンド)は米国時間3月22日、イスラエルを拠点とするクラウドファンディングプラットフォーム「OurCrowd(アワークラウド)」との契約を発表。Waterfundのチームは、水や農業の技術に注力する15社に投資するため、5000万ドル(約54億4000万円)を拠出する予定だ。その第1弾は、多くの資金を集めている垂直農法のスタートアップ企業であるPlenty(プレンティ)に投資される。

関連記事:垂直農園による果物や野菜の室内栽培を手掛けるPlentyが約147億円を追加調達、累計調達額は約526億円に

このような直接的な投資に加え、両社は「Aquantos(アクァントス)」という水に特化した新しいプラットフォームを共同で立ち上げ、Blue Bonds(ブルーボンド)と呼ばれる水事業関連の金融商品の発行を目指す。Blue Bondsは、10年以上前から存在する環境改善に特化した事業を対象としたGreen Bonds(グリーンボンド)に匹敵する新しいアイデアで、海に貢献できる事業を対象とするものだ。

「私たちは、国家や地方自治体の債務者から気候変動対策債として認証され、支援されるブルーボンドの発行に取り組んでいます」と、WaterfundのScott Rickards(スコット・リカード)CEOは述べている。「この新しい金融ツールなどにより、中東の水事業は、水不足に対処するための先進的な技術を、根本的に新しい方法で獲得できるようになるでしょう」。

リカード氏は、民間資本の不足が水分野のイノベーションを妨げており、今回の新しいパートナーシップと、それによってもたらされるエクイティおよびデットファイナンスの機会が、この状況を変える助けになるだろうと主張している。

一方、OurCrowdは、現在約15億ドル(約1631億円)の資金をコミットしており、25のファンドで約250社に投資を行っている。同プラットフォームが投資した企業の中には、Lemonade(レモネード)、Jump Bikes(ジャンプ・バイクス)、Beyond Meat(ビヨンド・ミート)などがある。OurCrowdのポートフォリオには、既存の農業テクノロジー関連のスタートアップ企業も多数含まれており、2020年11月には、(ポートフォリオの1つである)Sprout Agritech(スプラウト・アグリテック)と提携し、ニュージーランドで新たな農業関連のアクセラレーターを運営している。

「アブラハム合意は、中東全体における水不足の課題に、新しい水・農業テクノロジーをもたらす大きな機会を呈出します」と、OurCrowdの創業者でCEOのJon Medved(ジョン・メドベジ)氏は語る。「Waterfundとともに、画期的な技術を持つ企業に投資し、その設立を支援することが我々の使命です。Waterfundと協力して、水に関する重要な課題に取り組む民間資本を増やすための働きができることをうれしく思います」。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:WaterfundOurCrowd農業中東

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)