Airはホームビデオをクラウドに保存するアプリ――空き容量を気にせず赤ちゃんをどんどん4Kで撮れる

最近ではユーザーがビデオを撮影するときにビデオカメラよりスマートフォンを使う場合が圧倒的に多くなった。しかしスマートフォン、特にmicroSDカードを使えないiPhoneの場合、ビデオを撮影しているとあっという間にストレージの空き容量がなくなってしまう。

こうした悲劇を防ぐために止むなく低画質での撮影を余儀なくされた読者も多いだろう。iPhoneには4K撮影能力があるが、途方もなくスペースを食うため往々にして宝の持ち腐れになっている。 今回紹介するAirはこのジレンマに対して解決策を提供するのが目的だ。

Airアプリは動画ファイルを、ローカルではなくクラウドに自動的にアップする。 4K(Ultra HD)で撮影されたビデオファイルもクラウド上のプライベートなスペースに保存される。つまり高画質、長時間のビデオを撮影してもモバイルデバイスの空き容量を心配する必要がない。

もちろんビデオファイルをクラウドに保存するというのは新しいアイディアではない。iCloudは事実上iOSデバイスの一部になっているし、Googleフォトに加えてAmazon、Dropboxのサービスもユーザーに人気がある。

しかしAir Labsの共同ファウンダー、CEOのShane Hegdeは「こうしたライバルはビデオ録画に特化したサービスではないところが問題だ」という。

「ビデオには特有の問題がある。写真と比べてサイズがはるかに巨大でファイル構造も複雑だ。しかし現在市場にあるソリューションのほとんどはビデオを静止画と同様に扱っている。その結果アップロードすると画質が劣化し、再生すると悲惨なことになる。われわれのプロダクトはNetflixやYoutubeの最新のテクノロジーと同様のレベルにあり、ユーザーが簡単にシームレスにビデオを撮影できる方法を提供する」とHegdeはいう。

Airのサービスはデジタルビデオをアダプティブ・ストリーミングができるよう自動的にトランスコードする。つまり接続速度が十分でない場合はそれに応じてで画質を調節するので、ほぼリアルタイムで再生される、延々とロードを待つ必要がない。Airの大きなセールスポイントは、共有の際に勝手に圧縮をかけないことだ。ユーザーは友達なり家族なりにAirのギャラリーに保存されたビデオのURLを送るだけでよい。受け手はそれぞれの接続環境に応じて最適な画質で再生できる。

またAirにはReelsと呼ばれる共同編集の機能もある。これはカンファレンス、コンサート、フェスティバル、ウェディングなど大勢が参加したイベントのビデオ編集するためのスペースだ。Reelsには誰でも自分のビデオクリップを投稿できる。編集後の成果物は、ソーシャルメディアその他の場所で公開可能だ。

Airは月額4.99ドルの有料サービスで、無料のものもある他のエントリーレベルのクラウド・サービスの中では多少高めに感じられるかもしれない。たとえばiCloudの場合、50GBが月0.99ドルだ。Googleだと100GBが月1.99ドル(これにはGoogleフォトだけでなくGmail、Googleドライブも含まれる)。しかしひんぱんにビデオを撮影するユーザーなら月5ドルで無制限のビデオストレージにアクセスできるのは価値があるだろう。

Airが赤ちゃんや小さい子どものいる両親をターゲットして売り込みを図っているのはそのあたりに理由がある。そうした若い両親は大量のビデオを撮影する傾向にある。もちろんセミプロのビデオグラファーにとっても空き容量を気にせずに4Kビデオを長時間撮影できるというのは便利だ。

Airが提供するもうひとつのサービスは物理メディアへの書き込みだ。まず50ドルを仮払いする必要があるが、HDD、DVD、USBメモリーはもちろん、必要ならVHSテープや映画フィルムにも動画を記録してくれる。料金はデジタイズにかかった時間とターゲット・フォーマットによって異なる。

Hedgeはスタンフォード大学出身で、同窓のTyler Strand(CTO)と共同でAirを創業した。Hegdeによれば、このサービスを作ることを思い立ったのは、子どもの頃、両親がソニー・ハンディカムでたくさんのビデオを撮ったのに、テクノロジーが変化して簡単に見ることができなくなってしまった経験からだという。

「今私はカムコーダーを持っていない。最新のノートパソコンにはDVDプレイヤーが内蔵されていない。つまりビデオファイルはそこにあるのに時代遅れのハードに閉じ込められてアクセスができなくなっている。2016年後半には私は勤めを辞めてホームビデオを生き返らせる仕事を始めることにした。Airは実は私のこうした個人的体験の上に作られたものだ。容量やフォーマットを気にせずに貴重なシーンをホームビデオを撮影できるようにしたい」とHegdeはいう。

HedgeはAir以前にスタンフォード大学時代にSwapというスタートアップを立ち上げている。卒業後はHPS Partnersで投資に携わり、 ロサンゼルスのRevolt TVでは最高デジタル・テクノロジー責任者を務めた。共同ファウンダーのTylerはスタンフォード時代にhostess.fmを創業し、SFX Entertainmentに売却している最近ではPostlightの創立パートナー、取締役を務めた。

現在ブルックリンに本拠を置くAirは2017年10月にシードラウンドを実行し、メディア企業、テクノロジー投資家から資金を調達している。金額は明らかになっていない。

Airアプリは当面iOS版が公開されており、App Storeから入手できる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

世界初のバーチャルリアリティー・ジェットコースターで宇宙へ行こう

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先週ラスベガスで行われたCESを終え、VRはITおよびゲーム業界全員の脳裏に焼きついている。しかし、バーチャルリアリティーはこれまでに知られているどのエンターテイメント形式よりも没頭性が高いものの、五感すべてを同時に操作することはまだできていない。

Alton Towers Resortは、VR体験をもっと真に迫ったものにする方法を開発した。VRヘッドセットを着用したまま、体をジェットコースターに固定する。

これは、宇宙空間に飛び出す体験を、目と耳だけでなく、体全体で感じようというアイデアだ。

そのジェットコースターの名前はGalacticaと言い、英国のアミューズメントパーク、Alton Towers Resortの中で4月にオープンする予定だ。

その名が示す通り、これは宇宙旅行会社、Galacticaの最初の顧客として宇宙を旅する物語だ。3分間にわたり、ライダーは宇宙へ飛び出し、新たな銀河に続くワープトンネルを通って様々な惑星やワームホールを旅行する。

このコースターは元々Alton Towersの「エア」ローラーコースターで、VRヘッドセット加えるという単純な方法によって再利用している。

同リゾートによると、特別なショルダーストラップを付加することでライダーの頭の動きを制限し、乗り物酔いになることを防いでいるという。

Engadgetの説明によると、これによってシステムはジェットコースターの位置だけを追跡すればよくなり、ライダーの体の動きを考慮しなくて済むという。ヘッドセットは、位置がずれないための耐汗性ストラップも備えている。

ジェットコースターにリアルなリアリティーで乗りたい人のために、「非バーチャル」オプションも用意しているとAlton Towersは言っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook