テスラのライバルだったFaraday Futureが電気自動車のプロトタイプをオークションに出品

Faraday Future(ファラデー・フューチャー)はまだ量産車を製造していない。この会社は2015年に、Tesla(テスラ)が支配する電気自動車市場をひっくり返すという大胆な目標とともに突如出現した。しかし、それもまだ起きていない。代わりに創業者は破産を宣告し、会社は設立メンバーの大半を失い、未だに量産車を生産する資金を確保できていないという期待はずれの状態だ。

それでもFaraday Futureは、これまでに何台かのプロトタイプをなんとか作ってきた。その1つが近々オークションを通じて販売(Worldwide Auctioneersリリース)される。出品される車は、Faraday Futureがスピードテストで時速60マイル(約96km)に2.3秒で到達したのと同じものだと言われている。同社がPikes Peakのヒルクライムレースに挑戦した車とも同じだ。オークションの出品リストには、かつてEPA(環境保護庁)がこの車を航行距離378マイル(608km)と認定したことも書かれている。

プロトタイプの内装は最小限の仕上げで、座席は床にボルトで止められ、ドアパネルは床と同じ材質で覆われている。それでも、ハンドルと大画面はついているが、その画面が動作するかどうかはわからない。

画像クレジット:Worldwide Autcioneers

もちろんこれは、日常で使用するために買うような車ではない。そもそも、運転すべきでもない。保証はついていない。

初期のプロトタイプは、 車のコレクターが熱望することが多い。量産車とは違う歴史があり、人々をワクワクさせるからだ。かつてFaraday Futureは、最も声の大きいTeslaのライバルだった。カリフォルニア拠点のスタートアップは大胆な主張を掲げたが、目に見える形で実現したものはなく、2020年になってもそれは変わっていない。このためこのプロトタイプは電気自動車の歴史で興味深い脚注となることはあっても、初代Model Tのように値段のつけられない価値をもつ車になることはないだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Ustreamの元CEOが高効率電動モーターのスタートアップLinear Labsを創業

電動モーターを開発しているLinear Labsが、Science Inc.とKindred Venturesが率いるシードラウンドで450万ドル(約5億円)を調達した。同社のモーターは、自動車やスクーター、ロボット、風力タービン、そして空調機など、さまざまな用途に使われている。

投資家のChrisおよびCrystal Sacca、Saltwater VenturesのRyan Graves、Dynamic SignalのCEO Russ Fradin、Masergyの常勤会長で元CEOのChris MacFarland、Ustreamの協同ファウンダーGyula Feherらも、このラウンドに参加した。

創業4年になる同社の創業者であるBrad Hunstable氏とFred Hunstable氏によると、彼らはこれまでよりも軽くて柔軟性のある電動モーターを発明した。彼らは世界各地の低開発国の小さなコミュニティで、きれいな水を汲み上げたり、水力発電に使うデバイスを設計しているときそのモーターを着想し、Hunstable Electric Turbine(HET)と名付けた。

Linear Labsは現在50の特許を出願しており、内21件には特許が下りて、29件はまだ審査中だ。

二人の創業者には、起業家と電気工学の経歴がある。Brad Hunstable氏は、ライブのビデオストリーミングサービスUstreamの元CEOで創業者だが、それは2016年に1億5000万ドルでIBMに売った。Fred Hunstable氏には電気工学と原子力技術の経歴があり、EbascoとWalker Engineeringで、電気のインフラストラクチャや、環境およびエンタープライズのプロジェクト、また高度な安全性評価事業の、設計とアップグレードを担当した。

同社によると、HETは状況の変化や多様な状況に適応できる複数のローターを使っている。永久磁石を使ったモーターに比べてトルク密度は2倍、電力密度は3倍ある。出力は同じサイズのモーターに比べて2倍、レンジは10%以上大きい。

HETの設計は電気自動車のようなモビリティ用途に向いている。ギアボックス不要で高いトルクを産出するからだ。そのため、電気自動車の生産コストも低くなる、と同社は主張する。

「電動モーターが長年追い続けてきた夢は、ギアボックスなしで高いトルクを生むことだ。HETはそれを、小型軽量でかつ、従来のモーターよりも効率的なパッケージで実現している」とLinear LabsのCTOであるFred Hunstable氏が声明の中で言っている。

これにより、航続距離の長い電気自動車や、より強力な電気スクーターが実現するだろう。

テキサス大学の再生エネルギーと自動車技術に関する研究所(Renewable Energy and Vehicular Technology、REVT)を創設したBabak Fahimi氏によると、「この電気モーターはエネルギーの節約と信頼性の向上、および自動車の製造コストの削減に大きく寄与する」という。

同社はこのシード資金を、自分たちの発明を顧客に広めるマーケティング活動に使いたい、と考えている。同社はまた、人材も求めているし、最近確保した新しい人びとを同社のリーダーシップチームに加えたい、としている。具体的には、John Curry氏を社長に、Jon Hurry氏をバイスプレジデントにしたい。Curry氏はこれまで、KLA-TencorやNanoPhotonicsにいた人だ。Hurry氏は、TeslaとFaraday Futureで高い地位にあった。

画像クレジット: Linear Labs

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Faraday Futureの工場建設が中断:電気自動車の出荷にかなりの遅れ

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Financial Timesが木曜日(現地時間)に発表した記事によると、Faraday Futureが2017年に予定していた同社初の電気自動車の出荷が大幅に遅れる可能性が出てきたという。製造工場の建設自体がまだ終わっていなければ、クルマを出荷するのは難しいだろう。Faradayがネバダ州に建設中の工場は4月に着工を開始しているものの、その後の建設作業は中断している。Fネバダ州財務官のDan SchwartzがFTに語ったところによれば、その中断の理由は建設工事費がまだ建設業者に支払われていないからだという。

製造工場の建設を受託しているAecomによれば、この遅れは一時的なものであり、2017年初めには建設が再開される見通しだという。それでも、製造工場の完成が当初の予定よりも大幅に遅れてしまうことには変わりがない。Faradayが予定している製造タイムラインに間に合わせることはかなり難しくなるだろう。Financial Timesが取材したFaradayの元従業員によれば、予定通り2017年に出荷開始するのは「可能ではない」とのことだ。

この問題の原因の1つとして、同社の財政的な後ろ盾であるLeEcoが現金の調達に苦労していることが挙げられる。LeEcoが単独で行う自動車プロジェクトや、Faradayのようなパートナ企業との同様のプロジェクトへの多額の投資が事の発端だとされている。先日LeEcoは6億ドルの資金調達を完了したところではあるが、Faradayが財政面でLeEcoに大きく依存していることを踏まえると、これでLeEcoの現金不足と工場建設の遅延が解決するかどうかは分からない。

Faraday FutureがBatmobileに似たFFZERO1のコンセプトを発表したのは昨年のことだ。その後Faradayは、同社初の電気自動車(トップの隠し撮り写真にうつる車両)を来年1月に開催されるCESで披露すると約束している。このクルマの出荷がいつになるのかは、今後明らかになるだろう。そして、CESでのFaradayの出展品にも大きな注目が集まりそうだ。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

電気自動車のFaraday Future、インバーターで初の特許取得

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【本稿の執筆者はKristen Hall-Geisler】
Faraday Futureは、小型で強力なインバーターで初の米国特許を取得した。これは同社がCES 2016で披露したバットモービルのようなコンセプトカーではないが、間違いなく有用だ。

まず、これはFaraday Futureの最初の自動車の中核部品として使われる現実世界の装置であり、次のモデル、そのまた次のモデルでも使われていく。Faraday Futureは、コンパクトカーからピックアップトラックまで、同社が作る全車種を支えるバリアブル・ブラットフォーム・アーキテクチャーに賭けている。「われわれは、このプラットフォームの基礎をなすテクノロジーを持つ必要がある」と広報担当のEzekiel Wheelerは言った。

Faraday Futureの電気駆動担当シニアディレクター、Silva Hitiは、インバーターは「バッテリーのエネルギーをモーターが消費できる形に変換する」と説明する。つまりバッテリーに蓄積されているDC電力がインバーターに流れ込み、AC電力としてモーターに送り込まれる。

FF Echelonインバーターと呼ばれるこの新しい装置は、電動車用の「既製」インバーターよりも信頼性が高く製造が容易で出力密度が高い。多くの問題に対する解決策は、少ない部品で単純なシステムを作ることだった。これは故障する部品が少なく、使用する材料が少ないことを意味する。「できる限り軽く、かつ小さくすることで信頼性の問題に対処した」とHitiは言う。

小さく、シンプルにすれば効率も良くなる。「インバーターの効率を最大限にして最大の走行距離をバッテリーから引きだしたい」と、FFの技術フェロー、Steven Schultzは言う。「例えば、入力が100ワットなら、できる限り100ワットに近い出力が欲しい」。

Wheelerによると、これは同社が創業以来出願した約100件の中でも最初の特許だという。FFは、一般公開直前まで車両を公開しない計画なので、製品に近いプロトタイプやコンセプトカーを見られる時 ― 2017年かもしれない ― までに、こうした特許や部品を数多く見ることになりそうだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook