結果として、暗号資産アプリの中でCoinbaseだけが成功を収めたわけではない。広告によってダウンロード数が大きく伸びた上位5つのアプリのうち、3つが暗号資産アプリだった。Coinbaseに加え、暗号資産取引プラットフォームのeToroは、2月13日にアプリのインストール数が前週比132%増となり、翌14日は82%増だった。一方「Curb Your Enthusiasm(ラリーのミッドライフ クライシス)」のスター、Larry David(ラリー・デヴィッド)氏を広告に起用した暗号資産取引所FTXは、13日にダウンロード数が前週比130%増、翌日には81%増となった。
@coinbase just saw more traffic than we've ever encountered, but our teams pulled together and only had to throttle traffic for a few minutes. We are now back and ready for you at https://t.co/ZUJqRlnZPH. Humbled to have been witness to this. #WAGMI
このレトロ美は実際どこかクールだ。弾むQRコードはリスキーだが、私は他のどれよりもこのCMを覚えている、ということはうまくいっている。しかしQRコードの行き先は、特典情報が書かれたウェブサイトで、そのウェブサイトが少々イタい。Coinbaseはサイトに「WAGMI」と書いていて、これは暗号資産界のスラングで、「we are gonna make it」(私たちは成功します)のことで「我々は数年のうちに燃え尽きて多くの人々に損をさせるスタートアップではありません」という意味だ。しかし、WAGMIと言っているということは、実はNGMI(not going make it、うまくいくわけない)を恐れていることを暗示しているのかもしれない。
CMの設定は「Curb Your Enthusiasm(邦題:ラリーのミッドライフ★クライシス)」のスターが何事にも懐疑的なあまり、大きな投資のチャンスを逃したというもの。彼はEdison(エジソン)に、彼の電球はNGMI(直接の引用ではない)だと言い、さらに食洗機なんて使う意味はない、なぜなら食器にシャワーを浴びせればいいのだから、という。
The New York Times(ニューヨーク・タイムズ紙)によると、FTXと広告代理店のdentsuMBは、80本の脚本を検討し、分散型金融を電球の発明に位置づけるこのコンセプトに決定したそうだ。そして、「Seifeld」(となりのサインフェルド)の共同クリエイターでもあるデヴィット監督による4日間の撮影と、280時間にわたる編集の結果、7時間半の撮れ高を60秒に凝縮した。そして、さらに200時間を費やしてこのCMのティーザーを制作した。
Miley Cyrus(マイリー・サイラス)氏と彼女の名付け親、Dolly Parton(ドリー・パートン)氏が、揃ってT-Mobile(ティー・モービル)の5Gネットワークを2本の30秒スポットで宣伝した。最初の1本でドリー・パートン氏はPSA(公共サービス広告)風に登場し、自分たちの携帯電話のためにAT&T(エーティーアンドティー)やVerizon(ベライゾン)から乗り換えましょう、と人々に推奨する。次に彼女はマイリーを呼び、あなたの声で携帯電話を救うように促す。次のCMでは、マイリーが録音スタジオで「携帯電話たちのために行動しましょう / 彼らはとても多くのことをしてくれました」といった心のこもった歌詞を大きな声で歌っている。彼女はさらに、黒のブレザーと革手袋姿ではっきりと「T-Mobile」の名前も歌った。
しかしAmazonは、もしAlexaが人の心を読めたら何が起きるかを数百万人の視聴者に見せることにした。女優のScarlett Johansson(スカーレット・ヨハンソン)氏が夫で”Saturday Night Live”(サタデー・ナイト・ライブ)のColin Jost(コリン・ジョスト)氏の横で目を覚ました時、Alexaは彼の心を読んでマウスウォッシュのエクストラ・ストロングを注文した。ヨハンソン氏がジョスト氏にしゃべるのをやめて欲しいと思った時、Alexaは大きな音のするブレンダーを動かした。