「街の電動化」を目指すRevelが50台のテスラ車で全電動配車サービスを開始予定

Revel(レベル)は2018年、ニューヨーク市ブルックリン区でドックレス方式による電動モペットのシェアサービスを開始した。後にそれは、クイーンズ区、マンハッタン区、ブロンクス区、さらに米国内の他の都市にも拡大された。2021年になり、同社はニューヨーク市内で電動自転車の月間サブスクリプションサービスを立ち上げ、同時にブルックリン区のベッドフォード・スタイベサント地区に電動車両用充電ハブを建設する計画を発表した。そして今、Revelは全電動、全Tesla(テスラ)の配車サービスをマンハッタン区に展開しようとしている。

かつては、方向性が定まらず、いろいろな形態の交通手段に場当たり的に手を出しているように思えたRevelだが、ニューヨーク市を手始めに、各都市に独自の電動化インフラを展開するという、計算された戦略がようやく見えてきた。これは、創設者でCEOのFrank Reig(フランク・レイグ)氏が当初から力強く宣言していたことだった。

「創設初日から、我々のミッションは街の電動化でした」とレイグ氏はTechCrunchに語った。「そのために私たちは、都市で必要とされる電動交通手段を提供し、その実現に必要となる電動車両インフラの構築を行ってきました」。

50台のRevelブランドのTesla Model Yを使って2021年5月末に開始を予定している新配車サービスは「都市内の移動をことごとく電動化する」という目標への次なるステップとしては、ごく自然な流れだとレイグ氏は話す。利用者は、電動モペットの予約に使うアプリで、そのまま配車サービスも受けられる。同社によれば、開始当初はマンハッタン42番街より南の地区で展開され、第1フェーズの需要とデータを見ながら、次第に対象地区を広げていくという。

Revelの配車サービスの立ち上げは、3年前に電動モペットのシェアサービスを開始したときと似たアプローチをとっている。共同創設者のPaul Suhey(ポール・スーイ)氏の話によれば、それはまずは小さい地域から始めて、街全体をカバーするという最終目標に向けて徐々に広げてゆくというものだ。

同社はまだ、ニューヨーク市タクシー・リムジン委員会に認可事業者の申請を出しているところだ。Revelは第一の認可は得たものの、正式な許可証を取得するまでには、まだいくつかの手続きが残されている。

「正式な許可証が交付されて準備万端整うのを待たずに、この段階で計画を公表した理由に、ドライバーの募集があります」とスーイ氏はTechCrunchに話した。「ドライバーを雇い入れるには、まず情報を広めなければなりません。私たちは今の時点で、ドライバーを雇って確保しておきたいのです」。

Revelの対顧客相場は、Uber(ウーバー)やLyft(リフト)と同等になる予定だとレイグ氏は話すが、ドライバーはギグワーカーに頼ることはせず、全員を雇用するという。

「同じ料金で、私たちは完全な電動化を実現し、同時にニューヨーカーを雇用することで、ぎりぎりの生活費でやっているニューヨーク市民に保険リスクと資産減価償却のすべてを押し付けるようなことはしません」とレイグ氏。

給料で支払うかたちは、Revelの利他主義によるものだけではない。ドライバーを雇用することが、TeslaにRevel向け仕様の車両を製造させる大きな条件になるため、理に適っているのだ。Revel向けModel Yは「Revelブルー」で塗装され、室内の温度や音楽をコントロールできる客席用のタッチスクリーンが装備される。助手席は新型コロナの社会的距離ガイドラインに従うためと、後席の乗客が脚を伸ばせるように取り外される。

だが、もっと重要なこととして、カリフォルニア州のProposition 22(住民立法案22号)の問題がある。Uber、Lyft、Postmates(ポストメイツ)といった企業は2億ドル(約217億円)のキャンペーンを展開してカリフォルニア市民に賛成の投票を呼びかけた。この法案とは、アプリベースの企業は労働者を福利厚生が受けられる従業員として扱わなくてよいとするものだ。法案は通過した。しかしレイグ氏には、その金があれば、幻滅したドライバーが抜けた欠員を埋めるために常に人材募集し続ける必要はなくなり、堅実な働き手を惹きつけ確保できたはずだとの持論を掲げている。

「車両に関して言えば、それが安全対策にもなります」とレイグ氏。「私たちが車両を保有しているため、加速、速度、ブレーキングなど、車の詳細な情報を常に把握できるのです。私たちが雇用し訓練したドライバーには、各シフトの終わりに安全スコアが示されるので、運転技術を磨くことができます。さらに、保険費用と保険責任を減らすことにもつながります」。

Revelは、街の電動化を進めつつ、そのビジネスモデルをその先の展開の足場にしようと考えている。配車サービスの提供は、新しい事業の構築という意味に留まらない。これは同社の充電事業の創設を加速する意味も持つ。Revelは、電気自動車のニワトリとタマゴの問題を解決して、独占的な電動化事業を確立を目指している。ニワトリとタマゴとはつまり、電気自動車の潜在的購入者は充電スタンドが拡充されたなら買いたいと考えている一方で、充電スタンドの展開を計画する企業は、電気自動車がもっと売れたなら建設できると考えているという問題だ。

「私たちが企業として行っているのは、都市における電気自動車の導入推進と、利用できる電動交通手段の拡大に尽きます」とスーイ氏。「それが電気自動車、電動自転車、電動モペットであれ、いろいろな形での利用を人々は願っています。私たちは、都市の電動化を、もっと幅広いものとして考えているのです」。

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タグ:RevelTesla配車サービスProposition 22電気自動車ギグワーカー

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:金井哲夫)

スマホ不要のタクシー手配「タクシーダッシュボタン」と電脳交通のクラウド型配車システムが連携開始

スマホ不要のタクシー手配「タクシーダッシュボタン」と電脳交通のクラウド型配車システムが連携開始電脳交通モバイル・コマース・ソリューション(MCS)は、誰でも簡単にタクシーの配車依頼ができる手配環境を目指し、電脳交通が開発・提供するクラウド型タクシー配車システム「電脳交通」と、MCSが開発・提供する配車注文支援用のIoT機器「タクシーダッシュボタン」のシステム連携を発表した。タクシー利用者は、同機器のボタン操作だけでタクシーの配車依頼が可能となるとともに、タクシー事業者側は低コストで円滑な配車業務が行えるようになる。

現在、電話での配車リクエストには、聞き間違いによるトラブルや、配車受付を行うオペレーターの空き時間のコストという課題があり、解決策のひとつとしてタクシーダッシュボタンが活用されているそうだ。同機器は「ボタンひとつでタクシーが呼べる」など高齢者でも使いやすい設計となっており、個人利用に加えて、接客中に操作ができると店舗や病院・薬局などで導入が進んいるという。

スマホ不要のタクシー手配「タクシーダッシュボタン」と電脳交通のクラウド型配車システムが連携開始

今回の連携により、タクシー事業者がタクシーダッシュボタンと電脳交通の配車システムを導入すると、同機器からの配車リクエストが電脳交通の配車システム上にダイレクトに取り込まれ、オペレーターや自動配車機能によるシステム上での配車指示が可能となる。タクシー事業者は、コスト負担と業務負荷を最小限に押さえた形で、近隣の生活者・施設向けに「ボタンひとつでタクシーが呼べる」サービスを提供できるようになる。これにより、タクシーの活用場面が広がるとともに利便性も向上し、利用者数増加や地域交通の安定化・活性化の支援につながるとしている。

スマホ不要のタクシー手配「タクシーダッシュボタン」と電脳交通のクラウド型配車システムが連携開始

今後は両社による導入促進に向けたサポート連携や、タクシーダッシュボタン経由での完全自動配車を目指したシステムの強化を通じ、利用者・事業者双方のタクシー配車コストが低減された「ボタンひとつでタクシー配車完了」という世界の実現および、新しい地域交通サービスの提供に取り組むとしている。

電脳交通は、導入後も最新機能を使い続けられるタクシー事業者向けのクラウド型システム。タクシー事業者の意見をもとにした年100回を超えるシステムアップデートと導入前後の手厚いサポートにより、最新の配車システムを低コストで安心して利用することが可能。2021年4月時点で32都道府県の事業者が導入しているという。

近年、アプリ配車の広まりによりタクシーの配車注文方法が大きく変わり、タクシー利用者また事業者の双方に効率的な配車受付が可能となったものの、依頼回数が多い高齢者においては、いまだに電話注文による割合が大きく占めているという。その背景としては、スマートフォンなどへのデジタル機器への抵抗感や、アプリのインストール・アップデートなどでITリテラシーが必要な点が挙げられ、電話注文への手軽さから離れられない状況もあるとしている。

MCSは、アプリ配車と同等の注文依頼が可能で、高齢者にとっても簡単に操作できるIoT機器としてタクシーダッシュボタンの設計・開発・製造を行っており、事業者・利用者に提供しているという。

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シェアリング旅行の仏スタートアップBlaBlaCarが126億円を調達してプラットフォーム構築へ

フランスのスタートアップBlaBlaCarは9700万ユーロ(約126億円)の大型ラウンドを実施したことを発表した。同社はこれまで長距離移動のためのカープールのスタートアップとして知られていたが、最近Ouibusを買収したことにともない、長距離バスのチケットのマーケットプレイス事業にも進出していた。BlaBlaCarはOuibusに加えてオンラインのバス切符販売サービスBusforも買収している。

既存の投資家であるVNV Globalが今回のラウンドをリードした。新たな投資家としてOtiva J/F ABとFMZ Venturesの2社が参加している。Otiva J/F ABはAvitoの創業者であるJonas Nordlander(ヨナス・ノルトランダー)氏とFilip Engelbert(フィリップ・エンゲルベルト)氏が設立したファンドだ。Avitoはロシア市場向けの求人・案内広告を専門としている。ロシアではクラシファイド広告の大手として知られているが、世界的ハイテク投資家であるNaspersがAvitoを買収した。FMZ Venturesは、Alibabaの投資担当でLyftやTripadvisorの取締役を務めた経験を持つMichael Zeisser(マイケル・ザイサー)氏が創立したしたグロースファンドだ。

資金調達はコンバーティブル・ボンド(転換社債型新株予約権付社債)によったため、会社評価額は確定評価額ベースの資金調達ラウンドや株式上場などを待たねばならない。BlaBlaCarの共同ファウンダーでCEOのNicolas Brusson(ニコラ・ブルソン)氏は、BlaBlaCarがまだ十分な額のキャッシュを銀行口座に保有しており「プレIPOラウンド」だとしている。

同氏は、取材に対して「BlaBlaCarは今回のラウンド以前から十分なキャッシュの用意がありましたが、ラウンド後は2億ユーロ(約260億円)以上となっています」と述べた。

今回のラウンドには同社がすぐに上場しなくても(あるいは資金調達をしなくても)、一定の期限によって作動する条項がある。上場、資金調達ラウンドなどがない場合、社債は20億ドル(約2160億円)の評価額でBlaBlaCarの株式に転換される。

BlaBlaCarが今回調達した資金はカープール事業、バス事業、統合プラットフォーム構築という3つの戦略的分野に集中されるものとみられる。

コアビジネスであるカープール事業についてみる、と同社は15年前に自動車の空席と同じ方向に向かいたい乗客をマッチングさせるというシンプルな相乗りサービスからスタートした。2020年来のパンデミックによるロックダウンが逆風となったのは確かだが、カープール事業に与えた影響は電車や飛行機と比べものにならないほど軽微だった。

ブルソン氏は「BlaBlaCarには多額の固定費がありません。我々は自動車を保有していないので空車を走らせる必要はありません。すべてはコミュニティの力で成り立っています。とはいえ我々はトランザクションにともなう手数料から収入を得ているので2020年のロックダウンで売上は減少ししました」と述べた。

2020年夏には経営は回復したが、以後はパンデミックに対する規制に応じて経営はジェットコースター的に上下を繰り返している。しかし「自動車は鉄道や路線バスのような固定的サービスではなく、柔軟かつ普遍的に人々を結びつける要素です。これは今後もそうでしょう」とブルソン氏はいう。

カープールは安定した強力な収入源だ。2020年だけでもBlaBlaCarには22の市場で5000万人の利用者があった。つまりカープールは負け知らずの賭けだ。

ここ数年、第2の柱はバス事業となっている。バスは特に新興国、東欧で大きな事業がチャンスがある。

現在、バスは大量に運行されているが、多くの場合オンラインでチケットを購入できない。BlaBlaCarはこのカテゴリーでの市場の全体は巨大だとみており同社は現在オフラインでしか入手できない大量のサプライをオンライン化するプラットフォームの構築を目指している。

これが、バス座席の在庫管理システムを開発しているウクライナのスタートアップであるOctobusを買収した理由だ。ブルソン氏は「これによってBlaBlaCarのエンジニアの能力は全方位となります」と述べた。

BlaBlaCarの3つ目の柱は、プラットフォームに囲い込める忠実なユーザーの数を増やすことだ。BlaBlaCarは、カーブール、バス、将来的には電車などすべての移動方法について横断的にシェアリングによる旅行を発見できる「マルチモーダル旅行アプリ」を構築したいと考えている。

BlaBlaCarは、2021年末から2022年初めまでにマーケットプレイスに鉄道事業者を追加する予定だ。私はBursson氏に対しヨーロッパのすべての移動手段を対象とするOmioのような存在になろうとしているのかどうか尋ねた。Omio(以前のGoEuro)では、列車のチケット、バスのチケット、フライトを1つのプラットフォームで予約することができる。

ブルソン氏の戦略はこれと異なるとして「BlaBlaCarはまず特定の国に焦点を当て地域のすべての移動手段をプラットフォームに載せ、人々が期待するものをすべて販売できるようにしたいと考えています」と述べた。

BlaBlaCarアプリで「A地点からB地点への最適な移動手段を見つけることができる」ようにするのが最終的だ。つまり列車のチケット バスのチケット購入、相乗りなどユーザーのニーズ応じてさまざまなオプションがすべてプラットフォーム上で提供される。BlaBlaCarは広範囲な地域をサポートするため「2つの小さな町を結ぶ」最適な旅行手段を見つけるという困難な課題を解決するために非常に有利な立場にあるといえる。

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(文:Romain Dillet、翻訳:滑川海彦@Facebook

Uberがコロナ収束後のドライバー不足対策で総額約274億円の報奨金を用意

新型コロナウイルス感染症が拡大し始めた頃、配車サービスのドライバーは「不可欠な労働者」とされていたにもかかわらず、2020年4月にUber(ウーバー)のビジネスは80%も落ち込んだ。運転手たちは、1日数回の乗車で得られるわずかな収入のために、新型コロナウイルスに感染したり、それを広めたりするリスクを負いたくないと考えた。米連邦政府のCARES法(コロナウイルス支援・救済・経済保証法)が失業支援をギグワーカーにも拡大したため、多くのUber運転手はクルマのキーを置くことにしたのだ。

米国では人口の4分の1以上がすでにワクチンを接種しているため、Uberは現在、ドライバーの数よりも送迎を希望する乗客の数の方が多いという、困った状況におかれている。そこでこの配車サービス大手企業は、ドライバーに再び仕事があることを知ってもらうだけでなく、インセンティブ(報奨金)を用意して契約に誘い込みたいと考えている。

Uberは米国時間4月7日、パンデミックが収束に向かいつつある中、ドライバーの復帰を歓迎し、新しいドライバーを募集するために、総額2億5000万ドル(約274億円)のドライバー刺激策を開始すると発表した。同社の広報担当者によると、復帰したドライバーと新たに就業したドライバーの両方とも、今後数カ月にわたってボーナスを受け取ることができるという。

「2020年には、多くのドライバーが、自分の就労時間に見合うだけの乗客が期待できないため、運転業務を止めてしまいました」と、この刺激策を発表したブログ記事には書かれている。「2021年には、送迎を希望する乗客数が、移動を提供できるドライバーの数を上回っています。ドライバーになるには絶好の時期です」。

乗客の需要が高く、ドライバーの供給が少ないことで、フィラデルフィア、オースティン、シカゴ、マイアミ、フェニックスなどの都市における現在のドライバーの時給は、2020年3月と比べると25%から75%も高く、中央値は26.66ドル(約2930円)となっている。Uberは「これは一時的な状況である可能性が高い」として、ドライバーに今の高収入を利用して欲しいと考えている。つまり、国全体が新型コロナウイルスから回復し、より多くのギグワーカーがハンドルを握るようになれば、収益は現在のレベルよりも低下する可能性が高いということだ。

この現在の高い時給に、さらにドライバー刺激策のボーナスが上乗せされると、同社の広報担当者はTechCrunchに語った。このインセンティブの仕組みは、各人の活動状況と場所に基づいて決定される。例えば、オースティンでは、現在のドライバーが115回の乗客移送を完了すると、1100ドル(約12万円)の出来高ボーナスが保証される。フェニックスでは、200回の運転業務で1775ドル(約19万5000円)の追加報酬を得ることができる。

「これらの都市だけでなく、我々が米国で対象としている他のすべての市場で、より多くの保証金を提供する予定です。金額や送迎回数は、地域的な要因によって若干変わる可能性があります」と、広報担当者は述べている。

この資金は、最低賃金の保証や、新規ドライバーの導入にも充てられる予定で、2億5000万ドル全額がUberの金庫から直接支払われる。この発表を受け、同社の株価は水曜日の取引中に3.6%も下落した。

Uberはまた、米国の薬局チェーンであるWalgreens(ウォルグリーン)と提携し、アプリ内の予約ポータルで、ドライバーがワクチンを接種するプロセスを能率化するための支援も行っている。

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ベルリンの高級車配車サービスBlacklaneが約28億円調達、持続可能な移動手段として事業拡大を目指す

世界的にUber(ウーバー)の規模が拡大し続ける一方で、ドイツではより小規模なオンデマンド交通機関のスタートアップ企業が資金を調達し、特定のサービス分野をターゲットとするスタートアップにチャンスが残されていることを証明した。Blacklane(ブラックレーン)は、ベルリン、ロンドン、ドバイ、ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、シンガポールをはじめとする16都市で、オンデマンドの黒塗りの高級車による運転手サービスを提供しているベルリンのスタートアップで、この度2200万ユーロ(約28億円)の資金調達ラウンドを終了した。

Jaguar(ジャガー)が起ち上げてロンドンで運営している電気自動車を使った配車サービス「Havn」の株式の過半数を2月に取得したBlacklaneは、今回の資金調達を利用して、持続可能な移動への取り組みを継続的に拡大するとともに、より柔軟な乗車オプションを提供し、既存のビジネスを継続的に拡大していくという。

新型コロナウイルスとそれにともなう旅行の減少、特に狭い空間を他人と共有したいと思う人々が減ったことで、Blacklaneの2020年の月次収益は99%減少した。だが、アップラウンドの評価額で行われた今回の資金調達は、そんな1年を経て、同社がいかに成長の兆しを見せているかを示すものだ。

「世界の旅行業界とモビリティ業界は苦境に立たされており、いくつかのプレイヤーは大幅な削減、休眠、事業停止の間で苦闘しています。Blacklaneはこれを、旅行者の新たなニーズに応える機会と捉えています」と、Blacklaneの共同設立者でCEOを務めるDr. Jens Wohltorf(イェンス・ウォルトーフ博士)は声明の中で述べている。「今回の資金調達のおかげで、レイオフをすることなく、イノベーションを迅速に進めていくことができます」。

同社によると、今回の資金は、既存の投資家であるドイツの大手自動車会社Daimler(ダイムラー)、アラブ首長国連邦のALFAHIM Group(アルファヒム・グループ)、btov Partners(ビートゥブイ・パートナーズ)からのものだという。アップラウンドによるとのことだが、Blacklaneはいかなる数字も開示しておらず、評価額も明らかにしていない。これまでの支援者には、日本の大手人材派遣企業であるRecruit Holdings(リクルートホールディングス)の戦略的投資部門も含まれており、2018年には約4500万ドル(約49億円)のラウンドを行うなど、同社はこれまでに約1億ドル(約109億円)を調達している。

今回の資金調達は、新型コロナウイルスの影響から旅行・交通系スタートアップにとって非常に厳しい1年となった後に行われたものだが、Blacklane自身も2020年のパンデミック発生後に月次収益が99%減少したと述べている。

同業他社の中には、フードデリバリーや他の交通手段(自転車やスクーターなど)など、他の分野に多角化することで、より中核的な配車サービス事業を補うことができた企業もある。その一方で、配車サービスは公共交通機関よりも安全な移動手段とも捉えられている。しかし、Blacklaneは、自分たちを「すべての人々が利用する乗り物」とは位置づけておらず、その中心的なユースケースは、高級ハイヤーや空港への送迎(これも死に絶えていた)であった。そのため、人々の移動が止まると、Blacklaneのビジネスは急落した。

パンデミックの前には、集中的なビジネスモデルで利益を上げることができそうだったことを考えると、Blacklaneにとっては特に悪いタイミングだった(2020年の財務状況が明らかになるにはもうしばらく時間がかかるが、同社から発表された直近の決算では、2018年に約1800万ドルつまり20億円近い純損失を計上している)。

しかし、Blacklaneがアップラウンドで資金を調達できた理由は、別の側面にある。

2020年の夏、交通機関や旅行会社が少しずつ回復の兆しを見せ始めたとき、同様に回復の兆しを見せたBlacklaneは、それと同時に多様化に向けて一歩を踏み出した。

2021年3月初めには、22都市で、注文までのリードタイムを30分に短縮した「ショーファー・ハイヤリング」というオンデマンドサービスを追加した(従来のサービスはもっと事前に予約が必要だった)。また、収益の基盤となっていた空港送迎がまだほとんど戻ってきていないことから、短距離サービスの料金体系を競争力を高めるように変更した。

さらに、Blacklaneは、ジャガーが設立した電気自動車サービス「Havn」の株式の過半数を非公開で取得。すでに同社が運用していたTesla(テスラ)の車両と合わせて、より持続可能な移動手段への移行を先導している。「世界的な旅行規制は、我々にとって、安全で持続可能な旅行に対する可能性をリセットするための一度きりのチャンスです」と、ウォルトーフ博士は声明の中で述べている。「Blacklaneは責任を持って回復し、人と地球の両方に配慮しながら成長を続けていきます」。

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アフリカや東欧で交通ネットワーク拡大に取り組むBoltが国際金融公社から約25.8億円調達

Bolt(ボルト)は、欧州とアフリカで、自動車やスクーター、自転車を使って人や食料品などを輸送するサービスの国際的なオンデマンドネットワークを構築している、Uber(ウーバー)の競合企業の1つだ。このエストニアのタリンを拠点とするスタートアップは、新興市場における事業拡大を継続するために、世界銀行グループの一部門である国際金融公社(IFC)から、2000万ユーロ(約25億8000万円)の資金を調達したと、3月4日のブログ記事で発表した。

この資金を使って、Boltは東欧とアフリカでさらなるサービスを展開していくという。中でもそれぞれの地域で最大の経済規模となるウクライナとナイジェリアにおいて、これまであまり重視されず十分なサービスを受けていなかった消費者層、すなわち女性のために革新的なサービスを提供していくと、特に言及している。

IFCからの資金調達は、金額を見ればBoltの幅広い資金調達努力の中では比較的少ない方かもしれないが、同社にとって大きな信用となる。

直近では、Boltは12月に1億8200万ドル(約197億2000万円)を調達し、19億ドル(約2059億円)だった前回の評価額を大幅に引き上げた。同社の広報担当者は「私たちの評価額は、最新の資金調達ラウンドで成長していますが、私たちは更新された数字を開示していません」と繰り返し語っている。我々の計算によると、2020年12月時点における同社の評価額はおそらく43億ドル(約4660億円)前後だと予想される。これは同社の共同創業者でCEOであるMarkus Villig(マークス・ビリグ)氏から提供されたGMV(流通取引金額)の35億ユーロ(約4520億円)という数字から推定したものだが、実際にそれを確認できたわけではない。

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IFCを、SoftBank(ソフトバンク)やSequoia(セコイア)、Index Ventures(インデックス・ベンチャーズ)、Andreessen Horowitz(アンドレセン・ホロウィッツ)などの典型的なVCと同列に考える人は少ないかもしれないが、世界中のスタートアップを支援するという点では、IFCは重要な役割を果たしている。2020年だけでも220億ドル(約2兆3800億円)を企業に投資したという。

これまでIFCのテック分野に向けた関心の多くが、例えば、CurrencyCloud(カレンシークラウド)、Remitly(レミトリー)、CompareAsiaGroup(コンペアアジアグループ)、Kreditech(クレディテック)など、金融サービス関連であったことを考えると、交通機関のスタートアップであるBoltへの支援は注目すべき動きだ。

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特にBoltのような企業は、消費者の移動を支援するという最も明白なサービスに加えて、人々に収入を提供し、企業に(配送というかたちで)インフラを提供するマーケットプレイスのようなものを構築していると考えると、交通機関の改善もIFCの開発目標の1つとなる。

「私たちはIFCと提携して、アフリカと東欧の起業家精神をさらに支援し、女性に力を与え、手頃に利用できるモビリティサービスを充実させるという目標に取り組むことを楽しみにしています」と、ビリグ氏は声明で述べている。「2020年の欧州投資銀行からの投資と合わせて、大規模で戦略的に重要な機関が私たちを支援し、Boltが新興国に提供している戦略的価値を認識していることを、私たちは誇りに思います」。

新興市場におけるBoltの取り組みは長い間、同社がUberとの差別化を図るための重要な方法の1つとなっている。2013年の創業以来、同社は40カ国で5000万人以上の利用者と150万人以上のドライバーを抱えてきた。その中にはアフリカ大陸の70都市における40万人のドライバーも含まれる。

これまで光が当たっていなかった地域で、光が当たっていなかった人々に向けたサービスを展開するという同社の戦略は、時間とともに成長してきた。Boltは南アフリカで、運転手も乗客も女性に限定した「女性専用」の配車サービスを試験的に実施しており、女性の雇用機会と一般的な安全性を向上させている。これもIFCの資金が支援するプログラムの1つだという。

「テクノロジーは、持続可能な開発と女性のエンパワーメントのための新たな道を切り開くことができますし、そうすべきです」と、IFCのオペレーション担当シニアバイスプレジデントであるStephanie von Friedeburg(ステファニー・フォン・フリーデバーグ)氏は声明の中で述べている。「Boltへの投資は、テクノロジーを活用して既存の輸送業界に風穴を開け、環境に優しく、女性のためのより柔軟な仕事の機会を創出し、新興市場においてより安全で手頃な価格の交通アクセスを提供することを目的としています」。

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タグ:Bolt資金調達ライドシェアアフリカ世界金融公社

画像クレジット:Bolt under a license.

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

シンガポール拠点のライドシェアSWAT Mobilityが資金調達、日本におけるサービス開発に投資

シンガポール拠点のライドシェアSWAT Mobilityが資金調達、日本におけるサービス開発に投資

シンガポール拠点のモビリティスタートアップ「SWAT Mobility」の日本法人SWAT Mobility Japanは2月8日、資金調達を発表した。調達額は非公開。引受先はグローバル・ブレインが運営するグローバル・ブレイン7号投資事業有限責任組合(GB7号ファンド)など。またグローバル・ブレインは事業開発や知財戦略など多面的に成長支援を行う。

調達した資金により、日本におけるサービス開発への投資や、モビリティに関する国内の様々な課題解決を主導していく。

日本では、地方の人口減少と付随する移動人員の減少、路線バスの撤退などによる地域公共交通の利便性低下といった課題を抱えており、それら解決のため、独自アルゴリズムの開発強化からサービス展開までさらに投資していくという。

また、都市部を中心とする営業員・保守員の「移動」効率化、営業車両の削減によるコスト最適化を実現する、都市型法人向けライドシェアサービスの展開も進める。

SWAT Mobilityは、テクノロジーの力で「移動」に関する様々な課題解決を進め、効率的で消費者にとって最適な移動を実現する社会に向けて取り組む。

SWAT Mobilityは、最小の車両台数で、複数の乗客を効率良く相乗りさせる高精度のルーティングアルゴリズムを保有し、オンデマンド相乗りサービスを世界7カ国(シンガポール、日本、フィリピン、タイ、ベトナム、インドネシア、オーストラリア)で展開。

オーストラリアでは、オンデマンド公共バス(MetroConnect)を運行。トヨタ・モビリティ基金との協力の下、コロナ禍における医療従事者の通勤負担削減のためオンデマンド送迎サービスをタイ、フィリピン、インドネシアで運行した。

日本では、新潟市における市街地オンデマンドバス導入に向けた実証実験や、J:COMと共同で営業社員を対象とした都市型法人向けライドシェアサービスの活用を進めるなど、MaaS(Mobility as a Service)の観点から日本の市場環境に合わせた取り組みを実施済み。

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カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:資金調達(用語)SWAT MobilityJ:COM MaaS配車サービス / ライドシェア(用語)MaaS(用語)モビリティ日本(国・地域)

ライドシェアから食品の配達まで、Boltが欧州やアフリカでの事業拡大に向け190億円調達

欧州全域で新型コロナウイルス感染の大規模な第二波が広がる中、食品や人々を自動車やスクーター、そして最近では自転車で移動させるオンデマンドネットワークを構築しているエストニアのスタートアップ企業が、資金調達の大規模なラウンドを発表した。

ライドシェアから食品の配達まで、交通サービスを40カ国200都市で展開しているBolt(ボルト)は、エクイティラウンドで1億5000万ユーロ(約190億円)の資金を調達した。同社CEO兼共同創業者のMarkus Villig(マーカス・ヴィリグ)氏は、この資金が事業地域の倍増と、欧州で最大の電動スクータープロバイダになるために使われるとインタビューで語っている。

現在は約5000万人の顧客がBoltのサービスを利用しており、ヴィリグ氏は世界各地のUber(ウーバー)との差別化を図るために、主に2つの分野を中心に事業を構築してきた。1つは強力な資本効率、同氏がいうところの「倹約」。そしてもう1つは、ロンドンやパリ、そして近々事業が開始されるベルリンなどの都市とともに、新興市場向けのサービスに重点を置いていることだ。

「今回のラウンドは、新型コロナウイルスの圧力にもかかわらず、まだ前回のラウンドで調達した資金のほとんどが銀行に残っている状態で初めて行った資金調達でした」と、ヴィリグ氏は語っている。「これは当社の倹約家ぶりを示しています。ロックダウンのため、我々は望んでいたほど攻めることはできませんでしたが、財務的には2021年に向けて非常に良い状態になっています」。

今回のラウンドはD1 Capital Partnersが主導し、Darsana Capital Partnersも参加した。D1は2020年になってから、超大手スタートアップ企業の成長ラウンドで大きな活躍を見せている。メガネ大手のWarby Parker(ワービー・パーカー)、ゲームエンジンメーカーのUnity(ユニティ)、自動車販売ポータルのCazoo(カズー)、フィンテック企業のTransferWise(トランスファーワイズ)などに投資しており、その評価額は合計で数十億ドル(数千億円)に達している。

ヴィリグ氏はBoltの評価額を明らかにしなかったが、GMV(総流通額、Boltのプラットフォーム上で取引された総額)の1.5倍の倍数に近いと述べ、GMVの0.5倍に近い評価額と見られる「他の」輸送分野の企業よりも、最近上場したDoorDash(ドアダッシュ)に近いと語った。

彼はまた、Boltが現在、年間約20億ユーロ(約2530億円)のGMVを上げていることを認めた。彼のほのめかした計算によれば、評価額は35億ユーロ(約4420億円)程度ということになる。私が上げたこの数字に対し、ヴィリグ氏はコメントしなかったが、異を唱えることもなかった。

参考までに挙げると、2020年の5月にBoltは1億ドル(約104億円)あまりの資金を調達した後、19億ドル(約1970億円)と評価された。当時は3000万人のユーザーを抱えていると言っていたので、約半年で2000万人のユーザーを加えたことになる。

同社の成長は、Uberのように短期間で積極的に、そしてその結果として、非常に多くのコストをかけて、事業を構築してきた企業と比べると対照的で興味深い。Uberは複数の市場や製品分野で成長を遂げてきたが、最近ではその中のいくつかが売却されている。他の例としてはこれこれこれをご覧いただきたい。

当初はTaxify(タクシファイ)として設立されたこの企業は、比較的規制が緩い新興市場で数年間、配車送迎サービスを中心としたビジネスをゆっくりと成長させてきた。2019年にBoltと社名やサービス名を変更した同社は、ロンドンのような都市での事業開始や、主に電動スクーターを中心としたマイクロモビリティへの移行など、その戦略をより高いギアへと蹴り上げた。現在、同社にとって最大の市場となっている国名のリストには、それらのミックスが反映されている。ヴィリグ氏によれば、それは英国、フランス、南アフリカ、ナイジェリアであるという。

とはいえ、その積極的すぎる動きがすべて順調に進んだわけではない。最初の起ち上げに失敗したロンドン(Wired記事)は、ライセンスを取得するために抜け道を利用しようとしたら規制当局が早急に対応し、会社はすぐに焦げついてしまった。そしてこのことは、ヴィリグ氏にとって今後も肝に銘じるべき教訓となった可能性もある。

このような事業の変化があっても、新たな投資や成長の方法を検討する際に、ヴィリグ氏が目指していることは、変わらぬ質素な精神で会社を運営し続けることだと、同氏は語っている。そしてこれはBoltがスクーターの新型モデル(Boltブログ)を発表、炭素削減に取り組む(Boltブログ)というニュースに、潜在的に異なる役割を与えることになる。

彼は、特にユーザー数と使用量の大幅な減少が見られた大企業では、非常に多くの雇用が失われた年に、Boltは誰も解雇していないことを指摘した。

それは確かに興味深い。多くの企業が「ジグ」を選択するとき、どの企業がどのように「ザグ」を選択するのだろうか。

フードデリバリー事業はその一例である。UberがPostmates(ポストメイツ)を買収したり、Just Eat Takeaway(それ自体が大きな合併)がGrubhub(グラブハブ)を買収したりと、この業界では現在多くの統合が進行中だ。それと並行して、規模を拡大しようとするとあまりにもコストがかかることを発見した多くの小さな企業が、次々と撤退している。そのような状況の中で、Boltは16カ国33都市でBolt Foodsを展開しており、2021年にはさらに多くの都市での展開を計画している。

「ほとんどの人が気づいていないのですが、食品の分野は私たちが最も楽観視しているところです」とヴィリグ氏はいう。「現在、私たちは毎日のようにレストランを追加しています。ドライバーが乗客だけでなく食べ物を運ぶという供給側を含め、多くの面でコストの相乗効果があります。これまでは自動車をベースにしたサービスだったため、自動車運転免許を持たない人はお断りしなければなりませんでしたが、今では自動車運転免許を持っていない人にも、スクーターや自転車で商品を運ぶ仕事を提供できるようになりました。今までできなかったことを、提供できるようになる。それが意味するものは、ドライバーを見つけるためにお金を使う必要がないということです」。

ヴィリグ氏によれば、2019年以降でさえも、Boltは食品業界に参入して「ラッキー」だったという。すでに人気のあったレストランにも、ウイルスの流行による新たな波が押し寄せ、店内で食事する客が全体に減少したり、閉鎖を余儀なくされているからだ。「彼らはみんな、副収入を得ることに熱心で、新しいプラットフォームを試してみたいと思っていました」とヴィリグ氏はいう。

濁っていたり厳しいように見える市場でも、先を見通そうとするその意欲こそが、今回の投資家を呼び寄せたのだ。ヴィリグ氏は、すでに多くの投資家と話をしていたので、2021年に備えてラウンドを閉じることは理に適っていたと述べている。

D1 Capitalの創設者Dan Sundheim(ダン・サンドハイム)氏は声明の中で次のように述べている。「欧州とアフリカで市場をリードするモビリティ・プラットフォームを構築し続けているBoltとパートナーを組むことに興奮しています。チームは困難な1年の間に信じられないほどの成果を上げ、何百万人ものユーザーに安全性、柔軟性、そして優れた価値を提供し続けています。我々は新型コロナウイルス流行後のBoltの成長機会を楽観視しており、今後数年間にわたるイノベーションへの投資としてチームをサポートすることを楽しみにしています」。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Bolt資金調達ライドシェアフードデリバリー

画像クレジット:Bolt

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(翻訳:TechCrunch Japan)

公共交通機関にライドシェアリングサービスを提供するThe Routing Companyが500万ドルを確保

James Cox(ジェームズ・コックス)氏は、Uberでのキャリアの大半をライドシェアリングによる渋滞緩和の問題解決に費やしてきた。

Uber Poolサービスの設計者の一人で、自動車の排気ガス削減の手段としてライドシェアリングを長年提唱してきたコックス氏は、MITで開発された技術を活用するチャンスに飛びついた。公共交通機関のための動的ルーティングと車両管理システムをより洗練されたものにするという技術である。

この技術は現在コックス氏が率いるスタートアップ、The Routing Company(ザ・ルーティング・カンパニー)の中核をなすものだ。これは同社の共同創設者で最高技術責任者を務めるAlex Wallar(アレックス・ウォーラー)氏がMITの博士課程時代に開発したソフトウェアをベースにしており、車両分布の最適化に焦点を当てている。同氏はMITのコンピューターサイエンス・人工知能研究所の所長であるDaniela Rus(ダニエラ・ルス)氏やポスドク研究員のJavier Alonso Mora(ハビエル・アロンソ・モーラ)氏などの共同研究者と協力し、リアルタイムの最適化を公共交通機関に適用できるプラットフォームを開発した。

ウォーラー氏は4月にMenno van der Zee(メノ・ヴァン・デル・ジー)氏のもとへ研究を持ち込み、The Routing Companyの基盤となるプラットフォームを共同開発している。
コックス氏は当初同社のアドバイザーとして参加していたが、ウォーラー氏とヴァン・デル・ジー氏が開発した技術を見て、同氏は全面的に参加することを決意する。

MITのディープテックファンドであるThe Engine(エンジン)がリードする500万ドル(約5億2000万円)の新規資金を始め、合計650万ドル(約6億7000万円)の資金を獲得した同社は、そのテクノロジーを世界中の交通機関に提供しようとしている。

「The Routing Companyをサポートできることを嬉しく思います。彼らは大規模な動的シェアライドのコードを解読しました」とThe EngineのゼネラルパートナーであるReed Sturtevant(リード・スタートバント)氏は語る。「都市のためのスマートなライドシェアリングソリューションは波及効果を生み出します。移動手段の革新により混雑が迅速に低減され、勤務先の都市に居を構える余裕のない人々の通勤時間を短縮し、その環境を改善してくれるでしょう」。

これまで民間企業が消費者に対して提供しようとしてきたサービスを、誰もが享受できるようにするというものだ。

スタートアップによる民間の通勤サービスは数多く失敗に終わっている。The Routing Companyは、公共の都市交通機関と競合するのではなく協働することで、直面する問題を回避したいと考えている。

アメリカだけでも公共交通機関は740億ドル(約7兆6500億円)のビジネスとなっているが、新型コロナウイルスの影響を受けて苦しい状況が続いている。

「過去に当社や他のライドシェアリング会社がシェアライドアルゴリズムを構築していたとき、シェアライドにおける問題を解決する複雑さはリアルタイムで対処できませんでした」とコックス氏はUber在籍時の経験を語った。「リアルタイムでは解決できないものであると認識していましたが、私たちは交通機関を顧客にすることにしたのです。彼らは大容量のルートと需要への対応力はありますが、低密度および中密度のエリアではその要素が弱くなります。そこに支援の機会が存在します」。

コックス氏は新会社について、低所得で低密度の地域社会に特に影響を与える問題を解決するものだと考えている。これらのエリアは概して従来の公共交通機関によるサービスが行きわたっていない。The Routing Companyが提供するツールを使用することで、これらのエリアにサービスを提供するための新しい車両群の編成が可能となる。

The Routing Companyは、乗客のためのアプリ、ドライバーのためのアプリ、交通機関のための車両管理プラットフォームを含むパッケージを販売し、様々な価格オプションを試している。コックス氏は初期の顧客にいくら課金しているかについて明らかにしなかったが、収益モデルは1台の1か月当たりの料金、または1台当たりの収益のパーセンテージに基づいていると述べている。

「各ドライバーはアプリをダウンロードするリンクを受け取ります。乗客はワンプッシュワンボタンのシャトル方式でそのアプリにアクセスすることができます。また電話でオペレーターに予約を入れることができるツールを作りました」と同氏は続ける。

過去にライドシェアリングのために開発されたアルゴリズムは、個人の位置情報と目的地を使ってピックアップのパラメータを設定するというものだ。The Routing Companyのモデルは真逆のアプローチをとっており、まず車両全体の位置と既に確立されたルートに焦点を当て、どの車両が乗客をピックアップするのに最も適しているかを判断する。

待ち時間は都市および配備した車両の数により異なってくるが、コックス氏によると乗客の待ち時間を10分以内に抑えることが目標だという。すでにスコットランドの1都市がこのサービスを利用しており、非公開の米国4都市およびオーストラリア1都市と契約済みである。

「多くのスタートアップがシャトル分野の起業を試みてきましたが、その多くが抱える問題はユニットエコノミクスが機能しないということです。当社のアプローチは確固とした適切な技術を有しており、これにより公共交通機関と競合するのではなく、彼らを強化することができるのです」とコックス氏は述べている。

関連記事:電動モペット配車サービスRevelがオースティン撤退、根強い自動車文化に敗北

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:ライドシェア 資金調達

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(翻訳:Dragonfly)

電動モペット配車サービスRevelがオースティン撤退、根強い自動車文化に敗北

電動モペット配車サービスのRevel(レベル)は米国時間12月4日、今月中にテキサス州オースティンでの配車サービスを終了すると発表した。

同スタートアップのCEOであり共同創設者のFrank Reig(フランク・レイグ)氏は、この撤退の判断の責任を、公共交通機関と並んでマイクロモビリティー・サービス全体の利用者を減らしてしまった新型コロナのパンデミックに丸ごと被せることはしなかった。レイグ氏はむしろ、オースティンに「深く根付いた」自動車文化との兼ね合いだと言及した。さらに新型コロナの影響で、人々はますます自動車に依存するようになってしまった。同サービスは、12月18日にオースティンから撤退する。

「オースティンでRevelの展開を始めるときから、厳しいことになるとわかっていました」とレイグ氏はTwitter(ツイッター)に投稿された声明で述べている。「私たちの他の市場に比べて都心の密集度が低いことに加え、ここに深く根付いた自動車文化に食い込むことが、とくに新型コロナの間は困難であると認識しました」

同社にコメントを求めたがまだ返事がない。TechCrunchでは返事があり次第、この記事を更新する予定だ。

Revelは、2018年、フランク・レイグ氏とPaul Suhey(ポール・スヒー)氏によって創設された。ニューヨーク市ブルックリン区での試験プログラムからスタートし、後にクイーンズ区、ブロンクス区、マンハッタン区の一部に拡大した。2019年10月にIbex Investors主導のシリーズAラウンドで276万ドル(約2億8800万円)を調達(未訳記事)したおかげで急速な成長路線に乗っていた。このエクイティ投資には、新たにToyota AI Venturesが参加し、さらにBlue Collective、Launch Capital、Maniv Mobilityからの資金も加わった。

Revelは、事業開始から18カ月でオースティン、マイアミ、ワシントンD.C.に進出。1月には、カリフォルニア州オークランドでサービスを開始し、7月にはサンフランシスコでの営業許可を取得した。

この1年はRevelにとって厳しい年となったが、それは新型コロナのパンデミックのせいだけではない。7月28日、ユーザーが数件の事故で亡くなったことから、同社はニューヨークでの事業を自主的に終了させた。その後、アプリの新機能による安全性強化策などを盛り込んだ同社の事業再開計画をニューヨーク市が認可し、4つの区で3000台強のモペットを投入したサービスの再開にこぎつけた。Revelでは、運転教習動画、安全確認テスト、さらにヘルメットをかぶったことを証明する自撮り写真の提出を求める機能、第三者からも違反を通報できるツールなどを追加している。

カテゴリー:モビリティ
タグ:ライドシェア、Revel

画像クレジット:Ron Adar/SOPA Images/LightRocket via Getty Images / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

配車サービスを提供している都市では性的暴行の発生率が低いとの調査結果

著者紹介:

Min-Seok Pang(パン・ミンソク)博士は、テンプル大学フォックスビジネススクールで経営情報システムの准教授、ミルトン・F・シュタウファーの主任研究員を務めている。

Jiyong Park(パク・ジヨン)博士は、ノースカロライナ大学グリーンズボロ校ブライアンスクールオブビジネスアンドエコノミクスの情報システム助教授である。

ーーー

2010年のUberのローンチ以来、配車サービスは多くの都市で最も主要な交通手段の1つに成長している。配車サービスのおかげで、旅行者は手を振ってタクシーを拾う労力から解放された。幸運にも都市で車を所有することができていたとしても、飲酒運転をする必要がなく、宝くじを当てるほどの確率ともいえる駐車場を探す必要もない選択肢が用意されている。

しかし、急成長を遂げたUberやLyftのような企業は、数々の批判やスキャンダルにもさらされている。このような危機の要因の1つは、ドライバーによる性的暴行やその他の犯罪事件が数多く発生していることにある。しかし、私たちの研究は驚くべき発見を示している。配車サービスは実際、性的暴行の発生を減少させるというものだ。

The Deterrent Effect of Ride-Sharing on Sexual Assault and Investigation of Situational Contingencies(性的暴行に対する配車サービスの抑止効果と状況的偶発事象の研究)」という論文の中で、私たちは2015年のニューヨーク市のUberの取引記録と犯罪報告に関する分析を行った。調査では、Uberの利用数の増加に応じて性的暴行事件が報告される可能性は低くなることが示されている。Uberの利用が1%増加すると性的暴行の認知件数が年間48件も減少するという結果がニューヨーク市で得られた。

私たちの詳細な分析によると、より興味深い知見が明らかになっている。具体的には、次のような交通手段の供給が需要をほとんど満たさない地域や状況において、配車サービスは性的暴行事件の大幅な減少に寄与することがわかった。

  • タクシーを拾える機会が少ない地域
  • マンハッタン以外のニューヨーク市行政区(ブルックリン、クイーンズ、スタテン島、ブロンクス)
  • 非白人居住者の割合が高い地域
  • 夜の時間帯
  • 平日の夜より金曜日や土曜日の夜の方がアルコールを提供する場所が多い地域
  • より多くの犯罪が発生している地域

それでは、配車サービスが性的暴行事件の報告件数の減少につながる要素は何であろうか。端的に言えば、犯罪被害者になりそうな人々をできるだけ早く安全な場所である自宅に移動させることである。

路上でタクシーを待ったり、地下鉄の駅まで8ブロック歩いたり、地下鉄に一人で乗車するというような、夜遅い時間帯には望ましくない状況から逃れる選択肢を配車サービスは提供する。私たちのデータによると、Uberの待ち時間はタクシーよりもかなり短く、都市郊外ではUberの方がより広く利用されている。2015年にはニューヨーク市の外側の区で乗車の約23%をUberが提供しており、これはマンハッタン(12%)のほぼ倍にあたる。マンハッタンから最も遠い地域であるベンソンハースト、クイーンズビレッジ、カンブリアハイツなどでは91%まで増加した。

Uberのモバイルプラットフォームを通じた需要(乗客)と供給(ドライバー)のリアルタイムマッチングがこうした状況を後押ししている。プラットフォームは乗客と運転手の位置を正確に把握しており、乗客と最寄りの運転手を瞬時に照合し、乗客の正確な位置を指示することができる。また、動的な価格設定により、ドライバーは市場の需要に即座に対応することができ、需要と供給の密接なマッチングに役立つ。

このプラットフォームのリアルタイムマッチングと動的価格設定は、配車サービスの犯罪抑止効果がマンハッタン郊外の方で強くなっている理由も説明している。前述の通り、乗客が路上でタクシーを見つけるのは難しい。同様に、タクシードライバーが通りで乗客を見つけるのも困難である。タクシードライバーは通常、空港、駅、ホテルなど人気のある送迎スポットの周囲を車で回ったり、その場所で待ったりするが、郊外でこれをするのは経済的とは言えない。乗客を見つけることが難しいため、ほとんどが人口密集地でサービスを提供する傾向がある。配車サービスはこうした交通輸送のギャップを埋め、犯罪被害者になりそうな人々が自宅まで簡単に移動できる環境を生み出している。

私たちは2005年から2017年の間にアメリカの他の都市でもこの影響について観察し、Uberがそれらの都市でサービスを開始したときに性的暴行事件の報告数が最大6%減少したことを確認した。

では、私たちの調査結果は政策立案者にとってどのような意味を持つだろうか。この研究で示されているのは、公共の安全と交通は相互に関連しており、市民のための信頼できる便利な交通インフラは犯罪を抑止するメカニズムになり得ることである。

例えば、恵まれない人々が住む多くの地域では犯罪が絶えず、公共交通機関も十分に行き届いていない。すでに述べたように、郊外や経済的に恵まれない地域において配車サービスの犯罪防止の役割が大きくなっている。これらの地域の交通インフラを整備することで、防犯をはじめとする多面的な価値を市民にもたらすことができると考えられる。

一部の地方自治体は、交通輸送ギャップの対策としてオンデマンド輸送サービスを開始している。このサービスでは、あらかじめ決められたスケジュールで路線を走るバスの代わりに、乗客はどこでも乗車をリクエストでき、バスがそれに応じて乗客を輸送する。学内の学生のための安全運転プログラムを運営する大学も多くなっている。この種の柔軟な交通システムは、自治体にとってより費用対効果が高いかたちで犯罪抑止の役割を果たすことができる。

顧客や従業員に信頼できる交通手段を提供することを目的とする企業は、ITを活用した交通プラットフォームの恩恵を受けており、新技術系スタートアップがその役割を担っている。例えば、医療機関と主要な配車業者の提携により患者に信頼性の高い移動手段を提供するUber HealthやLyft Healthなどがあり、患者と医療機関とのつながりに貢献している。

配車サービスのドライバーが危険な人物であることもあり得る。彼らが犯罪を犯すことはないと言っているわけではない。しかし一方では、UberやLyftで働く善良な人々によって、罪のない人々から危険な人物を遠ざける機運がもたらされることだろう。

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カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:配車サービス Uber Lyft

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(翻訳:Dragonfly)