Harness、ソフトウェアデリバリープラットフォームにGitOpsを導入

AppDynamicsの共同創業者であるJyoti Bansal(ジョティ・バンサル)氏が率いる、MLで強化したソフトウェアデリバリープラットフォームHarnessは今、GitOpsのバスに乗り遅れまいと頑張っている。

同サービスは継続的デリバリー(CD)にフォーカスしてスタートし、その後の機能拡張で、スタートアップやエンタープライズが利用するフルスタックのDevOpsプラットフォームになった。現在の同社の主なサービスは、継続的インテグレーション(CI)、クラウドのコスト管理、機能フラグなどとなる。

バンサル氏によると、同社の全体的なミッションは変わっていない。「Harnessは高い志を持ってスタートしました。今ではあらゆる企業が実質的にソフトウェア企業になろうとしています。それに対して私たちは、彼らのソフトウェア技術者たちに、GoogleやFacebookやAmazon、Netflixなどと同レベルの高度なツールを提供できるだろうか、と考えました。挙げたような企業は、他の企業が持ってないような、非常に良くできたソフトウェアエンジニアリングのやり方とツールを備えています」という。

同社は現在、600名の社員を抱えており、今回はそのプロダクトリストにGitOpsサービスのローンチで新たな機能を加えようとしている。伝統的なエンタープライズでもKubernetesの利用がますます増えている現在では、アプリケーションをそのクラスターへと開発する方法として、GitOpsの採用が増えている。そこで世界最大のリテイラーや銀行を顧客に抱えるHarnessが、このモデルをサポートしたくなるのも当然だ。

HarnessはそのGitOpsプラットフォームをArgoCDの上に構築している。それは最初、その後2018年にIntuitに買収されたApplatixが開発し、今ではCloud Native Computing Foundationの傘下にある、Kubernetes用の宣言的GitOpsツールだ。Bansal氏によれば「それはとても強力ですが、軽量であることが好まれています。これを使ってデベロッパーのワークフローと、デプロイの仕組みの多くを自動化できます。しかしGitOpsの難点は、実際の複雑なエンタープライズ環境で運用していくことが、非っ常に難しいことです」。

しかし、そのことがまさにHarnessの出番となる要因だ。同社はSaaSのような形でGitOpsサービスを提供し、ArgoCDの上にエンタープライズの能力を載せていく。

「私たちはGitOpsを、アクセスしやすく、すべてのエンタープライズにとって実用性に富んだものにしています。いわばそれは、エンタープライズ級のGitOpsです。GitOpsは今、多くの人に好まれていますが、でもそれを実用化するには、たくさんのバンドエイドやガムテープが必要でした。しかしこれからは、本物のエンタープライズソリューションと、GitOpsの初めてのSaaSがあるのです」。

画像クレジット:Cavan Images/Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ハードウェア開発者のための「GitHub」を目指すコラボハブAllSpice

AllSpiceの創業者、カイル・デュモン氏とヴァレンティナ・ラトナー氏(画像クレジット:Harvard Innovation Labs)

AllSpice(オールスパイス)はハードウェア開発のためのコラボレーションハブだ。GitHub(ギットハブ)に触発され、DevOpsエコシステムを構築することを使命として、プライベートベータ版から登場した。

創業者のValentina Ratner(ヴァレンティナ・ラトナー)氏とKyle Dumont(カイル・デュモン)氏は、2019年にハーバード大学で出会い、2人とも工学修士とMBAの両方を取得した。2人は、物事を進めるのにPDFや電子メールに頼るという、ソフトウェア開発に比べて遅れているハードウェア業界でのそれぞれの仕事に対するフラストレーションで意気投合した。

「ソフトウェア業界は強力なコラボレーションと自動化を備えている優れた開発者ツールで一斉にスタートしているように感じていました」とデュモン氏はTechCrunchに語った。「私がヴァレンティナに会ったとき、私たちはどのようにこの業界を修正することができるか、市場の規模にどのような影響を与えることができるか、アイデアを出し始めました」。

未だに手作業で行われているタスクが多く、エンジニアは書類作成やスプレッドシートにかなりの時間を費やしているため、エンジニアがハードウェア製品の設計や構築に大半の時間を割けるようにすることが、AllSpiceの背景にある考え方だとラトナー氏は話した。

AllSpiceのデザインレビュー機能(画像クレジット:AllSpice)

リモートワークや近年のチップ不足を背景に、AllSpiceや他の企業は「ハードウェアのためのGitHub」が必要だと考えている。リモートでほとんど何でも作ることを可能にするコラボレーションツールを作っているWikifactory(ウィキファクトリー)は、2020年末に300万ドル(約3億5000万円)の資金調達を発表した。2021年10月に1200万ドル(約13億8000万円)を調達したFlux(フラックス)は、ブラウザベースのハードウェア設計ツールを開発中だ。

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AllSpiceのツールで、エンジニアリング専門の人は自分のプロジェクトを管理し、チーム内の関係者と共同作業ができるようになる、とデュモン氏は話す。AllSpiceは、GitHub、GitLab(ギットラボ)、Bitbucket(ビットバケット)などのツールと互換性があり、ハードウェアチームが修正、レビュー、リリースを1カ所で管理するための一種のホームベースとして機能する。

AllSpiceは2020年にプレシードラウンドを調達した。そして、Bowery CapitalとRoot Venturesが共同でリードし、Flybridgeとエンジェル投資家が参加した320万ドル(約3億7000万円)のシードラウンドをこのほどクローズした。累計調達額は380万ドル(約4億4000万円)となった。

2021年は、数百の企業向けユーザーコメント、30以上のプロジェクト、数百のプロジェクトリポジトリが作成され「信じられないような採用」があったとラトナー氏は述べた。この勢いを維持するために、新しい資本は継続的なインテグレーションとデリバリーのためのエンジニアリングとマーケティングの新規雇用に投入される予定だ。

「私たちは、開発者主導のアプローチをとっています。これは、ソフトウェア業界ではしばらく前からしっかりと確立されていることですが、ハードウェア業界では、まだかなり営業が強いのです。業界に追いついていない販売手法もあるため、私たちはまずエンジニアに役立つ製品を提供することを心がけています」。

AllSpiceはツールに依存しない。幅広い企業にアピールできるよう、統合のための別のCADツールをもたらし、そしてより多くのものがデジタルで非同期であることから、環境の変化にハードウェアチームが迅速に対応できるようにする、というのがAllSpiceの計画だとラトナー氏とデュモン氏は話す。

一方、Bowery CapitalのゼネラルパートナーであるLoren Straub(ローレン・ストラアブ)氏は、AllSpiceを紹介されたとき、同社は製品主導の成長アプローチに注目していたと述べた。ストラアブ氏が最もよく目にしたものは、サプライチェーン、製造、オートメーションと関係があり、ハードウェアも含まれていた。

ストラアブ氏は、創業者たちがソフトウェアとハードウェアのエンジニアリングの経験を持ち、ハードウェア開発がいかに困難で時代に遅れを取っているかを目の当たりにし、それを経験していたことに魅力を感じたという。

「事前調査を進めていくなかで、今まで見たこともないようなフラストレーションが溜まっているのを目にしました。人々は、そのエクスペリエンスがいかにクリエイティブな体験であるかを聞いて、いくつかのソフトウェアツールに自分達のワークフローを無理やり取り込もうとしたが、うまくいかなかった、とさえ言っていました」と付け加えた。「ヴァレンティーナとカイルは、ハードウェアのために適切なツールが作られれば、どれだけ良くなるかを深く理解していたのです」。

「VCになる前、私は10年以上ハードウェアエンジニアリングに携わっていました」と、Root Venturesのパートナー、Chrissy Meyer(クリッシー・メイヤー)氏は電子メールで述べた。「Appleのような大企業がスタートアップと共通していたのは、スクリーンショットを使ってデザインレビューをまだ行っていたことです。ハードウェアエンジニアがGitHubやJIRAのようなソフトウェアツールを寄せ集めるのを見たことがありますが、それらのツールはコードのために作られたもので、CADのためのものではありません。ヴァレンティーナとカイルに初めて会ったとき、私はすぐさま興奮しました。というのも、あったらいいなと私がいつも思っていたツール を彼らが説明してくれたからです」。

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

透明性の高いソフトウェアサプライチェーン構築を支援するCodenotaryが約14.2億円調達

開発チームが透明性の高いソフトウェアサプライチェーンを簡単に構築できるサービスを提供するCodenotary(オープンソースでイミュータブルで人気のimmudbの開発元でもある)は米国時間1月24日、Bluwat、Elaiaなどの新規および既存の投資家から1250万ドル(約14億2000万円)のシリーズBラウンドを調達したことを発表した。この新ラウンドにより、2021年7月に行われた550万ドル(約6億2000万円)のシリーズAラウンドを含め、同社の資金調達総額は1800万ドル(約20億2000万円)に達した。

Codenotaryは、以前Qumranetを共同設立したCEOのMoshe Bar(モシェ・バー)氏とCTOのDennis Zimmer(デニス・ジマー)氏によって設立され、DevOpsサイクルにおけるすべてのコンポーネントを識別・追跡できるよう支援する。つまり、サプライチェーンに対する攻撃やLog4jのような脆弱性がある場合、企業がこれらのライブラリがどこで使われているかを把握し、潜在的な被害の広がりを最小限に抑えることがはるかに容易になる。これらの情報はすべて、改ざん不可能な履歴システムを提供する台帳データベースであるimmudb上にあるため(ブロックチェーンを頼らずに)、ユーザーはこれらの情報を完全に信頼することができるはずだ。Codenotaryをソフトウェアのサプライチェーンに追加すると、サービスはそれに基づいて自動的に部品表を作成する。

画像クレジット: Codenotary

バー氏によると「私たちのミッションは、オープンソースでも、エンタープライズの内製でも、企業のどのようなアプリケーション開発でも、そのすべての成果物を信頼できるようにすることだ。会社を始めたときは、誰がどこを担当しているか、彼らがいつ何をしたかなど、すべての開発関連情報が安全で不正アクセスが起こり得ないことを目指した」という。当時、Codenotaryにはそのような要求を満たすデータベースがなかったので、チームがそれを自作した。バー氏によると、immudbはブロックチェーンから得られるものと同じような暗号検証を、はるかにパフォーマンスの良いデータベースの形で提供する。

 

「Codenotaryは、DevOpsサイクルにおけるすべてのコンポーネントを迅速に識別・追跡し、無数のアプリケーションの信頼性と完全性を回復するためのソリューションを提供しています」と、同社の初期投資家であるスイスのBluwat AGのシニアパートナーであるPascal Blum(パスカル・ブルーム)氏はいう。「Codenotaryの主要なイミュータブルデータベースであるimmudbと組み合わせることで、同社はこの新たな市場でリーダーの地位を獲得しています」。

現在、同サービスの顧客は100社を超え、そのほとんどを公表することはできないが、世界最大級の銀行も含まれていると同チームはいう。

CTOのジマー氏によると、Codenotaryの顧客の多くは、まずソフトウェアパイプラインにこのサービスを導入し、ソースから製品までのソフトウェアの出所を証明できるようにする。その顧客層は、小規模なソフトウェア開発会社から大規模なERP企業までさまざまで、例えば、新しいリリースにかけた品質保証作業を公開したり、自社のソフトウェアを使用する外部顧客に部品表を提供するために、このサービスを利用することが多いと、同氏は指摘している。バー氏が付け加えたように、こうした問題を最前線で考えているのは、金融機関や政府機関であることが多い。

Codenotaryは、今回の資金調達により、製品開発を加速させ、マーケティングと販売を世界的に拡大する計画だという。

画像クレジット:boonchai wedmakawand/Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

絶えず変化するモバイルアプリ開発を支援、特化するBitriseが約68億円調達

世界中でますます多くの人々が、スマートフォンからあらゆることを行うようになっているため、それに合わせて、より優れたアプリをiOSおよびAndroid向けに構築する能力も必要とされている。Bitrise(ビットライズ)は、このような人々のモバイルに対する需要と、企業がアプリを迅速に提供する能力との間にあるギャップを解消し、すべての調整要素と複雑さのバランスをとるために役立つ最適な企業となることを目指している。

モバイルDevOps(デブオプス)企業のBitriseは、米国時間11月23日、シリーズCラウンドで6000万ドル(約68億円)の資金を調達したことを発表した。このラウンドは、Insight Partners(インサイト・パートナーズ)が主導し、既存投資家のPartech(パーテック)、Open Ocean(オープン・オーシャン)、Zobito(ゾビト)、Fiedler Capital(フィードラー・キャピタル)、Y Combinator(Yコンビネータ)などが参加した。

このリモートファーストの会社は、2014年10月にBarnabas Birmacher(バルナバ・バーマチャー)氏、Daniel Balla(ダニエル・バッラ)氏、Viktor Benei(ヴィクター・ベネイ)氏が共同で設立した。2017年に320万ドル(約3億6000万円)のシリーズAラウンドを実施し、2019年にはシリーズBで2000万ドル(約22億7000万円)の資金を調達している。今回の新たな調達は数週間で計画・実行され、Bitriseの資金調達総額は1億ドル(約113億円)近くになったと、CEOのバーマチャー氏はTechCrunchに語った。

ブダペストに本社を置くBitriseは、2年前にY CombinatorのGrowth Program(グロース・プログラム)を経て会社の規模を拡大。現在では従業員を3倍に増やし、ロンドン、サンフランシスコ、ボストン、大阪にオフィスを開設している。

「モバイルは、この12カ月で2年分も3年分も進歩しました」と、バーマチャー氏はいう。「このことは、企業が競争力を維持するために、モバイルを利用しなければならないことを意味します。しかし、モバイルの開発はますます複雑になっています」。

開発者はプロセスの実行に追われ、顧客のために新しい価値を創造することに十分に集中できないと、同氏は付け加えた。

Bitriseが目指しているのは、モバイル開発のためのエンド・ツー・エンドのプラットフォームを構築することだ。このプラットフォームは、中核となるワークフローを自動化して、リリースサイクルを短縮し、新しいコードの部分が、実行中のアプリにどのような影響を与えるかをリリース前に把握できるようにすることで、企業が次のビッグリリースを顧客に提供することに集中できるようにする。

現在までに、6000以上のモバイル企業から、10万人以上の開発者がBitriseを利用している。同社の収益は前年比で倍増しており、エンジニアリング、プロダクト、セールス、グロースの各チームで働く従業員を、現在の160人から300人に増やすことを計画している。

新たに調達した資金を使って、Bitriseは人材の採用に加え、開発者が継続的インテグレーションとデリバリーの領域で、より容易に業務を行うことができるように、また、DevOpsのライフサイクル全体で可観測性を高められるように、製品を拡大していく予定だ。

今回の投資の一環として、Insight PartnersのバイスプレジデントであるJosh Zelman(ジョシュ・ゼルマン)氏がBitriseの取締役に就任し、同じくInsight PartnersのバイスプレジデントであるMatt Koran(マット・コラン)氏が取締役会のオブザーバーとして参加する。

「Bitriseは、8年前に設立されて以来、モバイルにおける現在の状況に向けて事業を築き上げてきました」と、ゼルマン氏は書面による声明の中で述べている。「モバイルは、世界中の人々にとって、コミュニケーション、エンターテインメント、商取引の主要な手段となっています。そしてBitriseは、企業がかつてないほどのペースでモバイルのイノベーションに対応していくことを可能にしてきました。Bitriseはモバイルのために設立された企業であり、同社はモバイルDevOps分野のリーダーとなっています」。

画像クレジット:Anna Lukina / Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

機械学習運用基盤(MLOps)スタートアップの話をよく聞くようになってきた

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター、The TechCrunch Exchangeへようこそ。

ああ、先週の金曜(米国時間11月19日)の午後はちょっと苦労していた。米国にいない人には、ちょっと説明が難しい。簡単に言えば、先週の終わりになって、私たちの警察と司法のシステムのある種の欠陥が明るみに出たのだ(訳注:警察のヘリコプターから撮影されたとみられる大量の監視映像が米国で流出した)。というわけで、今回のExchangeニュースレターは予定よりも短くなる。

DevOps(デブオプス)の市場は多忙で、資金も豊富だ。例えば先日はOpslyft(オプスリフト)の話を聞いた。インドと米国にまたがるこの企業は、ソフトウェアを作成する際のポストデプロイメント側のツールをまとめた統合DevOpsサービスを開発している。すばらしい企業なので、もし資本調達を発表したら、もっと時間をかけて記事を書くことになるだろう。最近の記憶に残る別の例を挙げるなら、先日公開されたプレデプロイメントDevOpsサービスであるGitLab(ギットラボ)がある。

つまり、大小を問わずのハイテク企業はDevOpsツールを構築しているということだ。そして、機械学習運用基盤(MLOps、エムエルオプス)の市場は、大きな兄弟(DevOps)と同じように急速に成長し始めている。TechCrunchは、MLOpsスタートアップのComet(コメット)が今週資金調達したことを記事にしたが、これを読んでThe Exchangeは、MLOpsスタートアップの別の資金調達イベントであるWeights & Biases(ウエイツ&バイアス)のラウンド、を取り上げたことを思い出した。

関連記事:企業の機械学習利用の空隙を満たすMLOpsのスタートアップCometが約57億円調達

こんな話を持ち出したのは、先日私たちがSapphire VenturesのJai Das(ジェイ・ダス)氏にインタビューを行い、AIによる資金調達のトレンドについての情報を収集したからだ。その対話の中で、私はAIOps(エーアイオプス)のアイデアを持ち出し、それが私たちが注目すべき第3の「Ops」カテゴリーになるのではないかと口にした。しかし、ダス氏によれば「MLOpsは基本的にAIOpsです」ということなので、2つの大きなカテゴリーに考え方をほぼ限定することができる。

とはいえ、AI(人工知能)とML(機械学習)は正確には同じものではない(ここであまり争うつもりはない、大まかな話なので)よって、2つの異なるタイプの仕事が、同じソフトウェアの中に収まるかどうかは興味深いところだ。

さらにAIについて

AIのテーマに沿って、今回はAI市場についてもう少し触れてみよう。Anna(アンナ)記者が、世界の人工知能投資の動向を論じた最近のエントリーを踏まえて、メモを用意した。彼女は、今日のAIファンドがどこに使われているのか、また「AI」という呼び名にふさわしいものの定義が変わることで、スタートアップ活動のための資金量がどのように増えていくのかについて考えている。

地理的な格差が私たちの注意を引いたが、AIの定義や応用が広がれば、資金はより均等に分配されると考えている。例えば第3四半期に新たにラテンアメリカのAIユニコーンに選ばれたのは、フードテックのNotCo(ノットコ)とデジタルIDを提供するUnico(ユニコ)の2社だった、またメキシコの融資会社Kueski(キュースキー)も大規模なラウンドを行った。私たちはこれをフィンテックと呼んでいたが、これもまたAIを活用したも企業だ。それがAIの新たな現実だとすれば、ラテンアメリカやアフリカなど、世界のあらゆる場所で、AIを活用して現実の問題に取り組むスタートアップに資金が集まるようになるのも不思議ではない。

来週はカナダにお住まいの方にはぜひ読んでいただきたいものがあるのだが、今回のAI記事の締めくくりとして前回のAI記事には少し遅れてしまったPoint72 VenturesのSri Chandrasekar(スリ・チャンドラセカール)氏からの回答をご紹介しよう。

AIに特化したスタートアップの経済性についての質問に答えて、投資家であるチャンドラセカール氏は以下のようなコメントを寄せてきた。

最近のAIへの関心のほとんどは、大規模なラウンドを調達している企業たちの収益の成長によってもたらされているのだと思います。しかし、その増収の背景にあるのは、商品の需要の高さと労働参加率の低さという極めてシンプルなものなのです。これは、Point72 Venturesのディープテック・ポートフォリオ全体に見られることです。AIは人間を補強して生産性を向上させ、場合によっては自動化に適した作業を人間に代わって行い、人間はより付加価値の高い戦略的な活動に専念できるようになります。これまでは、こうした自動化を導入するための労力が大きかったのですが、(人材不足によって)カスタマーサービスのリクエストに対応する人や受付を担当する人を雇うことができなくなると、自動化が俄然意味を持ち始めます。

最近私たちは、マクロ環境がスタートアップにどのような影響を与えるかについて、多くのことを学んでいる。インフレの進行でインシュアテックの利益が損なわれたり、「the Great Resignation(大退職時代)」が進んだりすることで、AIソフトウェアの需要が高まっているのだ。心に留めておきたい。

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その他のあれこれ

  • ユタ州を拠点とするPodium(ポディウム)の最近の巨額ラウンドを受けて、私たちは同州のより大きなスタートアップシーンを掘り下げたPitchBookの最新記事をご紹介する。ご想像の通り、数字は上向いている。
  • また、巨額ラウンドといえば、Faire(フェア)が今週、シリーズG調達を行った。だから?紹介したい興味深い成長の統計データがあったのだ。Faireは、自らの表現では「オンライン卸売市場」であり、かなり急速に成長しているビジネスだ。同社が「3倍」の収益成長と「年間10億ドル(約1141億円)以上のボリューム」を自己申告したことで、私たちの注目を集めた。もし非公開市場が、この会社をベンチャーキャピタルのフォアグラにしようと太らせているのでなければ、この会社はIPOの候補になるだろう。
  • さて他には?OKRスタートアップのKoan(コーアン)は、シリーズA調達に失敗した後、Gtmhub(ジーティーエムハブ)に売却されることになった。私たちは長年にわたってOKRソフトウェア市場について多くの記事を書いてきたので、この出来事を紹介しておきたいと思う(KoanのCEOは、公の場とメールの両方で、会社の終わりについてのメモを共有してくれたので、この件については、時間があれば来週お伝えすることになるかもしれない)。
  • そして、最後はBraze(ブレーズ)だ。ニューヨークを拠点とするソフトウェアのユニコーン企業であるBrazeは先週上場した。The Exchangeは上場日に同社のリーダーにインタビューを行った。すべてのIPO発表会と同様に、対象となる会社は、発言できること(あまり多くない)とできないこと(ほとんどすべて)に関して、かなり厳しい指導を受けていた。それでも、IPOの準備を始めたのは数年前で、実際に上場するためのプロセスを開始したのは約1年前であったという、準備プロセスについての情報を得ることができた。私たちは、2018年以降資金調達の必要がなかった同社が、なぜ直接上場を目指さなかったのかを知りたいと思った。BrazeのBill Magnuson(ビル・マグナソン)CEOは興味深い話をしてくれた。つまり最近の変化を踏まえれば、従来のやり方のIPOは一部の人々が考えているほど柔軟性に欠けるものではないというのだ。これから数週間、2021年の最後の公開を眺めながら、そのことを考える価値はあると思っている。なお、Brazeは、1株あたり65ドル(約7415円)で上場した後、現在は1株あたり94.16ドル(約1万700円)となっている。

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文: Alex Wilhelm、翻訳:sako)

AIを活用したエンジニアリング卓越性プラットフォームのPropeloがシリーズAで約13.6億円を調達

ここ数年、DevOpsツールの数は飛躍的に増加しており、それにともない、企業がソフトウェア開発プロセスを改善するためにそうしたツールが生み出すデータの量も増加している。しかし、ほとんどの場合、これらのデータは単にダッシュボードの中でばらばらに分析されている。Propelo(旧社名:LevelOps)は、この混沌とした状況に秩序をもたらしたいと考えており、機械学習(ML)を活用した分析サービスとノーコードのロボティックプロセスオートメーション(RPA)ツールを組み合わせた「AI駆動のエンジニアリング卓越性プラットフォーム」を構築し、ユーザーがこれらのデータポイントを実用的なものに変えられるようにすることを目指している。

同社は米国時間11月4日、Decibel Partnersが主導するシリーズAラウンドで1200万ドル(約13億6000万円)の資金調達を実施したと発表した。このラウンドには、Fike Ventures、Eniac Ventures、Fathom Capitalも参加した。

Propeloの創業者兼CEOであるNishant Doshi(ニシャント・ドーシ)氏は、2015年にPalo Alto Networks(パロアルトネットワークス)が買収したSaaS型セキュリティサービス、CirroSecureを共同創業した経験がある。その後、Palo Alto Networksに数年間在籍し、シニアディレクターやエンジニアリング担当VPとして、DevOpsツールの爆発的な普及を身をもって体験した。開発プロセスをよりよく把握するために、チームはJira、GitHub、Salesforceなどのソースからデータをつなぎ合わせる必要があった。

画像クレジット:Propelo

「これは手作業が多く、多大なリソースを必要とします」と同氏は語る。「ビジネスの核心にフォーカスしていないのに、解決策を探そうとすると、いつも別のツールが必要になってしまうのです。また、それらのツールを手に入れても、何を測定すればよいのかわかりません。当社のような専用のソリューションがもたらす進歩にアクセスできず、さらに重要なのは、行動可能性がないということです」。

画像クレジット:Propelo

そして、最後の部分がキーポイントだとドーシ氏は強調する。優れたデータや分析結果があっても、その情報に基づいて実際に行動を起こすことができなければ、開発プロセスを改善することはできない。PropeloのRPAツールを使えば、ユーザー(同社によれば、主にエンジニアリング・リーダーシップ・スタックのユーザーを対象としている)は、企業内のDevOpsプロセスを改善するための多くのタスクやワークフローを簡単に自動化することができる。

このサービスは現在、Jira、GitHub、GitLab、Jenkins、Gerrit、TestRailsなど、約40種類のDevOpsツールと連携している。Propeloは、AIを活用することで、ユーザーが隠れたボトルネックを発見したり、スプリントが失敗しそうなタイミングを予測したりできる。実際、データの衛生管理やJiraチケットの更新は、ほとんどの開発者があまり考えたくないことなので、Propeloは定期的に開発者にそれを促すことができる。

現在のPropeloのユーザーには、Broadcom(ブロードコム)やCDK Globalなどがいる。Broadcomでセキュリティ技術とエンドポイントソリューションを担当するエンジニアリングVPのJoe Chen(ジョー・チェン)氏はこう述べている。Propelo は、DevOps の摩擦を減らし、無駄な動作を減らす方法について、スクラムチームごとの非常に細かいレベルで、データに基づいた洞察を提供してくれます。これは、追加技術投資の効率を最大化し、エンジニアのペインポイントを取り除くのに役立ちます」。

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

DevOps SaaSプラットフォームを提供するEsperが需要に応え、早くもシリーズCで約66億円を獲得

画像クレジット:Esper / Esperの創業者ヤドゥ・ゴパラン氏とShiv Sundar(シブ・スンダー)氏

DevOps SaaSプラットフォームである「Esper(エスパー)」は、カテゴリーの構築を進め、接続されたデバイスの数が増える中、需要を先取りするために新たな資金調達に挑むこととなった。

シリーズBで3000万ドル(約33億4000万円)の資金調達を発表してからわずか5カ月後、Insight Partners(インサイト・パートナーズ)が主導するシリーズCで6000万ドル(約66億8000万円)というさらに大きな資金調達を行った。シリーズBのリード役であるScale Venture Partners(スケール・ベンチャー・パートナーズ)、Madrona Ventures(マドローナ・ベンチャーズ)、Root Ventures(ルート・ベンチャーズ)などの既存の投資家も参加している。この投資により、Esperの資金調達総額は1億ドル(約110億円)に達した。

関連記事:IoT DevOpsプラットフォームのEsperがシリーズBで約33億円を調達

共同創業者でCEOのYadhu Gopalan(ヤドゥ・ゴパラン)氏はTechCrunchに対し、現在すでに数十億台のIoTデバイスが存在しており、毎年指数関数的に増加していると述べている。この成長は、技術革新と、特に世界的なパンデミックの中で、技術革新を行うことを最優先する企業よってもたらされている。

「その理由は、リモートで新たな用途を顧客に提供するための代替手段を必要としているからです。この傾向は、デバイスがクラウドに接続されるようになったときから始まっています。企業がクローズドなソリューションからクラウドに移行し、優れた顧客体験を提供したいと考えるようになったことが重要です。私たちは、その課題を解決しています」と彼は付け加えた。

Esperを使用することで、企業はこれらのデバイスやカスタムアプリをリモートで拡張、管理、保護、更新することができるようになる。ゴパラン氏によると、DevOpsの手法は今や標準的なオペレーションとみなされているそうだ。

しかし同氏は、この業界は「本来あるべき姿からまだ10年ほど遅れている」と指摘しており、それこそがEsperが取り組んでいるニーズだという。

遅れているとはいえ「モノのインターネット(IoT)」は誰もが追いつける速度に減速しているわけではない。2027年には1兆1000億ドル(約122兆円)の分野になると予測されており、IoT接続されたアクティブなデバイスの数は2025年に309億台に達すると予想されている。そのうち企業側には、旅行、レストラン、倉庫で使用されるタブレット、医療機器、フィットネス機器、店舗内キオスクなどのデバイスが含まれる。

現在、シアトルを拠点とするEsperは、200社以上の有料顧客と、2000人以上の開発者がプロダクト開発のために同社のプラットフォームを利用している。収益の伸びは2020年の4倍を目標にしており、人員も2021年は4倍に増やしたとゴパラン氏は述べている。

Esperが需要に応えるために行っていることの一部を紹介すると、Esperは、企業が100台のデバイスから無料で登録して始められるようにし、プラットフォームの機能を確認できるような仕様にしている。また、パートナー企業と協力して、他のチャネルも構築している。

「用意されているものはもちろんですが、私たちは潜在的なお客様に、その機能を体験していただいてから、本格的な導入を検討していただきたいと考えています。これにより、お客様は機能やその違いを実感することができます。もし継続することになった場合、同じツールを使うことができ、切り替えの必要もありません」と同氏は付け加えた。

これには新しい資本も関係してくる。Insightが積極的にアプローチを進めたため、Esperは「当社の軌道を加速させ、市場の成長をより早く予測するために、彼らと提携する機会に飛びつきました」とゴパラン氏は語る。

同氏は、今回の資金調達は、より多くの顧客を獲得するために活用したいと考えている。同社はこの分野ではリーダー的存在だが、常に改善の余地があり、Esperはマーケティングとパートナーシップを通じてそれを実現していくと説明している。

同社の次のステップは、製品の開発を継続し、顧客体験とカスタマーサポートを向上させることだ。

「近い将来、何百万台ものデバイスが単一のまとまりとして存在するようになり、それらのデバイスをどのように管理するのか、現在行っていることとどのように違うのかをお客様がイメージできるようにしなければなりません。我々は、この分野のリーダーであると自負しており、我々が構築しているカテゴリーは、ミッションクリティカルなデバイスに対応しています。お客様は、継続的に動作し、継続的に改善していくことを必要としており、我々はそれを可能にすることができます」とゴパラン氏は付け加えた。

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(文:Christine Hall、Akihito Mizukoshi)

システム障害に対応するエンジニアのための共同作業ノートブック「Fiberplane」

アムステルダムを拠点とするFiberplane(ファイバープレーン)は、Googleドキュメントのグループ編集に似た方法で、SRE(サイト・リライアビリティ・エンジニア)がインシデントに取り組むための共同作業ノートブックを構築している。このアーリーステージのスタートアップ企業は現地時間9月16日、シードラウンドにおける750万ユーロ(約9億7000万円)の資金調達を発表した。

この投資ラウンドは、Crane Venture Partners(クレーン・ベンチャー・パートナーズ)とNotion Capital(ノーション・キャピタル)が共同で主導し、Northzone(ノースゾーン)、System.One(システムワン)、Basecase Capital(ベースケース・キャピタル)が参加した。

通称Mies(ミース)と呼ばれているMicha Hernandez van Leuffen(ミシャ・ヘルナンデス・ファン・ロイフェン)氏は、Fiberplaneの創業者でCEOだ。以前起ち上げたスタートアップのWerker(ワーカー)が2017年にOracle(オラクル)に買収されたことをきっかけに、ヘルナンデス・ファン・ロイフェン氏はより大きな会社の一員となり、そこで(どこの会社でも起こる)障害への対応に苦労している人々を目にした。

関連記事:WerckerをOracleが買収、コンテナベースのデベロッパープラットホームに既存大手も着目

「私たちは常にメトリクス、ログ、トレースの間を行ったり来たりして、私はいつもこれを宝探しと呼んでいるのですが、機能停止やダウンタイムの根本的な原因を突き止めていました」と、ヘルナンデス・ファン・ロイフェン氏は筆者に語ってくれた。

同氏はこの経験から、インシデント対応に関するいくつかの重要な洞察が得られたという。1つ目は、すべてのインシデントデータを集めておく集中的な場所が必要だということ。2つ目は、分散したシステムを管理する分散したチームが、しばしば異なるタイムゾーンを越えて、リアルタイムに協力する必要があるということだ。

2020年8月にOracleを退職した同氏は、DevOps(デブオプス)チームやSREに、組織内の他のチームがGoogleドキュメントやNotion(ノーション)などのツールで行っているのと同じようなグループ編集機能を与えることができないかと考え始め、新会社のアイデアを具体化させていった。

同氏がFiberplaneで作り上げたものは、SREがさまざまな種類のデータを取り込み、インシデントを解決するために共同作業を始めるためのコラボレーションノートブックだ。同時にこのノートブックには、何が起き、どのように問題を解決したかという自然な監査証跡を残すことができる。Googleドキュメントを複数の人が編集できるように、このノートブックにもさまざまな人が参加できるようにすることで、当初の構想を実現している。

複数の人が関わっているFiberplaneのコラボレーションノートの例(画像クレジット:Fiberplane)

しかし、彼はそこで止まるつもりはない。長期的なビジョンとしては、SREやDevOpsチームが障害のあらゆる側面に対応できる運用プラットフォームを目指している。「これは私たちの出発点です。しかし、ここからさらに拡大して、いわばSREのワークベンチとして、インフラを指揮・管理できるものにしたいと考えています」と、同氏は述べている。

現在、Fiberplaneでは13名の従業員が働いており、今も成長を続けている。彼らは、今の彼らがそうであるように、多様性のある会社を作るための方法を模索しており、より多様な候補者を見つけるための具体的な戦略を検討している。

「私たちは多様な人材を雇用するために、当社のトップ・オブ・ザ・ファネルのプロセスを再検討しているところです。当社の取り組みとしては、社会的弱者のコミュニティに求人情報を掲載したり、求人情報の記述をジェンダーデコーダにかけたり、求人情報の公開期間を長くしたりしています」と、Fiberplaneのマーケティングマネージャーを務めるElena Boroda(エレナ・ボロダ)氏は述べている。

ヘルナンデス・ファン・ロイフェン氏はアムステルダムを拠点としているが、同社は英国、ベルリン、コペンハーゲン、そして米国でも人材を雇用しているという。従業員の大半がアムステルダムに住んでいるため、オフィスが再開される際にはアムステルダムを中心拠点とする計画だ。

画像クレジット:lemono / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

システム障害に対応するエンジニアのための共同作業ノートブック「Fiberplane」

アムステルダムを拠点とするFiberplane(ファイバープレーン)は、Googleドキュメントのグループ編集に似た方法で、SRE(サイト・リライアビリティ・エンジニア)がインシデントに取り組むための共同作業ノートブックを構築している。このアーリーステージのスタートアップ企業は現地時間9月16日、シードラウンドにおける750万ユーロ(約9億7000万円)の資金調達を発表した。

この投資ラウンドは、Crane Venture Partners(クレーン・ベンチャー・パートナーズ)とNotion Capital(ノーション・キャピタル)が共同で主導し、Northzone(ノースゾーン)、System.One(システムワン)、Basecase Capital(ベースケース・キャピタル)が参加した。

通称Mies(ミース)と呼ばれているMicha Hernandez van Leuffen(ミシャ・ヘルナンデス・ファン・ロイフェン)氏は、Fiberplaneの創業者でCEOだ。以前起ち上げたスタートアップのWerker(ワーカー)が2017年にOracle(オラクル)に買収されたことをきっかけに、ヘルナンデス・ファン・ロイフェン氏はより大きな会社の一員となり、そこで(どこの会社でも起こる)障害への対応に苦労している人々を目にした。

関連記事:WerckerをOracleが買収、コンテナベースのデベロッパープラットホームに既存大手も着目

「私たちは常にメトリクス、ログ、トレースの間を行ったり来たりして、私はいつもこれを宝探しと呼んでいるのですが、機能停止やダウンタイムの根本的な原因を突き止めていました」と、ヘルナンデス・ファン・ロイフェン氏は筆者に語ってくれた。

同氏はこの経験から、インシデント対応に関するいくつかの重要な洞察が得られたという。1つ目は、すべてのインシデントデータを集めておく集中的な場所が必要だということ。2つ目は、分散したシステムを管理する分散したチームが、しばしば異なるタイムゾーンを越えて、リアルタイムに協力する必要があるということだ。

2020年8月にOracleを退職した同氏は、DevOps(デブオプス)チームやSREに、組織内の他のチームがGoogleドキュメントやNotion(ノーション)などのツールで行っているのと同じようなグループ編集機能を与えることができないかと考え始め、新会社のアイデアを具体化させていった。

同氏がFiberplaneで作り上げたものは、SREがさまざまな種類のデータを取り込み、インシデントを解決するために共同作業を始めるためのコラボレーションノートブックだ。同時にこのノートブックには、何が起き、どのように問題を解決したかという自然な監査証跡を残すことができる。Googleドキュメントを複数の人が編集できるように、このノートブックにもさまざまな人が参加できるようにすることで、当初の構想を実現している。

複数の人が関わっているFiberplaneのコラボレーションノートの例(画像クレジット:Fiberplane)

しかし、彼はそこで止まるつもりはない。長期的なビジョンとしては、SREやDevOpsチームが障害のあらゆる側面に対応できる運用プラットフォームを目指している。「これは私たちの出発点です。しかし、ここからさらに拡大して、いわばSREのワークベンチとして、インフラを指揮・管理できるものにしたいと考えています」と、同氏は述べている。

現在、Fiberplaneでは13名の従業員が働いており、今も成長を続けている。彼らは、今の彼らがそうであるように、多様性のある会社を作るための方法を模索しており、より多様な候補者を見つけるための具体的な戦略を検討している。

「私たちは多様な人材を雇用するために、当社のトップ・オブ・ザ・ファネルのプロセスを再検討しているところです。当社の取り組みとしては、社会的弱者のコミュニティに求人情報を掲載したり、求人情報の記述をジェンダーデコーダにかけたり、求人情報の公開期間を長くしたりしています」と、Fiberplaneのマーケティングマネージャーを務めるElena Boroda(エレナ・ボロダ)氏は述べている。

ヘルナンデス・ファン・ロイフェン氏はアムステルダムを拠点としているが、同社は英国、ベルリン、コペンハーゲン、そして米国でも人材を雇用しているという。従業員の大半がアムステルダムに住んでいるため、オフィスが再開される際にはアムステルダムを中心拠点とする計画だ。

画像クレジット:lemono / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Atlassianは同社Jira Software Cloudの開発工程に新インサイト機能を追加

DevOpsのチームは、常に社内のソフトウェアのデリバリーをもっと速くし、しかも信頼性を高めたいと頑張っているが、そのために必要な知識や現場の情報が得られないことも多い。

Atlassianは目下、同社のプラットフォームJira Software Cloudのユーザーに、開発工程の現状データに基づいた洞察を提供する一連の新機能を提供する。Jiraは課題やプロジェクトのトラッキング技術として人気があり、開発者やそのチームがワークフローのどこにいるのかを把握するのに役立つ機能を備えている。

それらの新しい洞察は、Jiraがユーザーに従来提供していたものの一歩先を行き、アジャイルソフトウェア開発のさまざまな側面への洞察が得られる。この新たな洞察の目標は、組織が今自分たちのやってることをよく理解でき、チームはどこを改良できるかわかるようになることだ。それにより、全体的に効率がアップする。

Jira SoftwareプロダクトのトップMegan Cook(ミーガン・クック)氏は「データは至るところにあるが、しかしそれと同時に、あなたが行なうアクションの洞察と理解はどこにもない。その意味では、賢く仕事をすることは困難であり、私たちが今挑戦しようとしているのも、そうした大きな問題だ」という。

クック氏は、AtlassianがJira Cloudで行っている大きな変化の1つとして、異なる開発トラッキングツールからのデータを1つの場所にまとめ、開発チームが意思決定できるようにすることを挙げている。

Jira Cloudが今ユーザーに提供している洞察の1つの例として、スプリントコミットメントに関連しているものがある。アジャイルソフトウェア開発のアプローチでは、デベロッパーが競走状態になる、いわゆる「スプリント(短距離走)」になることがある。しかしそんなスプリントコミットメントに洞察が伴えば、チームは過去のパフォーマンスに基づいて、自分たちが処理できる仕事の量を理解できる。ここでビジネスゴールは、そのスプリントに対してチームがコミット過多 / 過少になってないか理解することだ。

もう1つの例はイシューのタイプ別分類だ。クック氏の説明によると、各チームのイシューのカテゴライズのやり方は、個人の好みで偏重することがある。今プロジェクトがやっているのがバグフィックスか技術の借用かなどにより、プロジェクトのそんなタイプがカテゴリーになることもあれば、タイプというか性質が、イノベーションか成長製品か、機能の段階的なアップデートかという違いでタイプが分かれることもある。イシューのタイプの分類に向けた洞察は、チームが今取り組んでいるイシューやプロジェクトのタイプをより直感的に理解するために視覚化を導入させるだろう。クック氏によると、前のように検索機能によってユーザーはイシューの違いを同定できたかもしれないが、しかし彼女が強調するのは、新しい洞察方式の方がずっと容易だ、という点だ。

画像クレジット:Atlassian

クック氏によると、今後の数週間で洞察を増やし、スプリント燃え尽き洞察なども加わる。アジャイルソフトウェア開発のアプローチでは、燃え尽き洞察でスプリントをフィニッシュするために何が残されているかを知る。スプリント燃え尽き洞察は映像や画像によって、まだやり残している仕事の量や、割り当てられている時間内に仕事が完了するかなどを知ることができる。

デベロッパーのチームがもっと効率的に仕事をできるようにするためのAtlassianのやり方は、同社が何年もかけて築いてきた主要な価値の1つだ。それは、同社の強力な成長に貢献した。Atlassianの第4四半期の決算報告では、売上は5億6000万ドル(約615億円)で前年比30%の増だが、特に貢献量が大きいのは、強力なデベロッパーコラボレーションツールとマネージメントツールだ。

画像クレジット:Andrei Stanescu/Getty Images

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(文:Sean Michael Kerner、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Kubernetesベースの開発で面倒なDevOps部分をPaaSとして引き受けるPorter

Porter共同創業者アレクサンダー・ベレンジャー氏、トレバー・シム氏、およびジャスティン・リー氏(画像クレジット:Porter

Porterの共同創業者であるTrevor Shim(トレバー・シム)氏とAlexander Belanger(アレクサンダー・ベレンジャー)氏とJustin Rhee(ジャスティン・リー)氏がDevOpsに関する企業を作ろうと決心したとき、彼らはすでにKubernetesのリモート開発を良く知っていた。そして他のユーザーと同様に、彼らも頻繁にその技術で痛い思いをしていた。

リー氏によると、確かに技術というレベルではすばらしいが、ソリューションをホストするときの面倒さや大きなDevOpsチームを維持する費用の負担もユーザーの仕事になる。

そこで彼らは、ソリューションを外で作ることにしたが、2020年にY Combinatorの夏季に参加したとき、同じやり方をしているスタートアップがいくつもあることに気づいた。

米国時間7月30日、PorterはVenrockやTranslink Capital、Soma Capital、および数名のエンジェル投資家からの150万ドル(約1億6000万円)のシードラウンドを発表した。その目標は、どんなチームでもそれを使ってアプリケーションを自分のクラウドで管理でき、Herokuのような体験を通じてKubernetesの完全な柔軟性を提供できるような、PaaSを開発することだ。

なぜHerokuか? それはデベロッパーが使い慣れているホスティングプラットフォームであり、しかも小企業だけでなく、後期段階の企業も使っている。シム氏によると、Amazon Web ServicesやGoogle Cloud、DigitalOceanなどに移行したくなったら、Porterはそのための橋になるだろう。

しかし、Herokuは依然として広く使われてはいるものの、企業はそのプラットフォームがもう古い、昔から何も変わっていない、と感じている。リー氏によると、毎年のように、技術的限界と費用を理由としてこのプラットフォームから他へ移行する企業が絶えない。

彼によると、Porterで重要なのはホスティングに関しては課金しないことだ。その費用は純粋にSaaSプロダクトのそれだ。彼らはプラットフォームの再販を志向してはいないので、ユーザー企業は自分のクラウドを使えるが、しかしPorterはオートメーションを提供し、ユーザーはAWSやGCPのクレジットで払えるから、柔軟性がある。

最もよくあるパターンはKubernetesへ移行することだが、しかし「あえて皮肉を言えば」、もしもHerokuが2021年に作られていたら、Kubernetesを使っていただろう。シム氏はそう付け加えた。「自分たちはHerokuの後継者を自負している」。

シム氏はさらに、「そんな橋になるために今度の資金で技術の幅を広げて、『すべてのスタートアップのためのデファクトスタンダードになる』ことを目標にしたい」という。

VenrockのパートナーであるEthan Batraski(イーサン・バトラスキー)氏によると、Porterのプラットフォームが動き始めたのは2月で、それから6カ月後には6番目に速く成長しているオープンソースのプラットフォームとしてGitHubでダウンロードされている。彼はYCでPorterに会い、リー氏とシム氏のビジョンに感銘を受けたという。

バトラスキー氏はこ「Herokuには10万名のデベロッパーがいますが、今では停滞していると思います。Porterのプラットフォーム上にはすでに100社のスタートアップがいます。彼らが達成した4倍から5倍の成長は、現時点ではむしろ当然の現象です」という。

彼の会社は長年データのインフラストラクチャにフォーカスしてきたが、そのスタックは今や相当に複雑だ。そして「それなのに、1週間ほどでアプリを作ってそれを数百万人のユーザーにまでスケールしたい、と考えるデベロッパーがますます増えている。でもそのためには人がたくさん必要だ。しかしKubernetesを使えば、誰もが知らない間にエキスパートのデベロッパーになれる」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:PorterDevOpsKubernetesPaaS資金調達

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

「はやい、やすい、巧い」エッジAIのフツパーと高速なアノテーションを提供するFastLavelが協業し国内産業のAI化推進

「はやい、やすい、巧い」エッジAIのフツパーと高速なアノテーションを提供するFastLavelが協業し国内産業のAI化を推進

AI開発に欠かせないアノテーション作業の高速化を行うFastLabel(ファストラベル)は7月29日、中⼩企業向けエッジAIシステムを提供するフツパー(Hutzper)と7月より協業し、システム連携を開始すると発表した。高速アノテーションとエッジAI技術を組合せることで、目視検査業務の効率化を目指す。

FastLabelは、AIの機械学習に用いられる「教師データ」作成に必要なアノテーション(データに関連するメタデータを埋め込む作業)の高速化を行っている。AIの産業利用では、教師データの不足や品質の低さで十分な性能が発揮できず、「実用化のボトルネック」になっているという。「AI開発を10倍速くする」をミッションとするFastLabelは、教師データの作成、分析、管理を効率化し、精度を向上させるアノテーションプラットフォーム「FastLabel」を開発・提供している。

一方、フツパーは、「はやい、やすい、巧い、AIを」をミッションに、目視検査業務を効率化する画像認識エッジAI特化型SaaS「Hutzper Insight」(フツパー・インサイト)と、画像認識AIモデル開発「Hutzper Vision」(フツパー・ビジョン)を開発・提供している。どちらも2020年設立の新しい企業だが、大手から中小まで、国内の企業に貢献している。

この協業では、両社の技術を組み合わせて、データアノテーションをエッジAIの運用オペレーションに組み込み、継続的に教師データの蓄積が可能となる機械学習基盤MLOpsを構築する。MLOpsは、機械学習用のDevOpsといった意味合いで、「機械学習」(ML。Machine Learning)とソフトウェア分野における継続的な開発手法「DevOps」を組み合わせた造語。

具体的には、フツパーの技術で認識した画像データをFastLabel側に連携し、アノテーターによるアノテーション完了後のデータをリアルタイムでフツパー側に連携するというものだ。アノテーションの難易度やデータ量に応じて、内部で処理するか、外注するか、両方を組み合わせるかが選べるという。

フツパー代表取締役CEOの大西洋氏は、「FastLabelと連携することにより、弊社のはやい・やすい・巧いAIがさらに速くなりました」と話している。今後も、エッジとクラウド間での「AIモデルの最適運用」を追究していくとのこと。

またFastLabel代表取締役CEOの鈴木健史氏は、「両者の強みを活かして製造業へのAI導入をさらに加速させていきます」と述べている。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:アノテーション(用語)エッジAI(用語)エッジコンピューティング(用語)MLOps(用語)機械学習 / ML(用語)製造業(用語)DevOps(用語)FastLabel(企業・サービス)フツパー(企業)日本(国・地域)

IoT DevOpsプラットフォームのEsperがシリーズBで約33億円を調達

今日使われているIoTデバイスは数十億個に上る可能性があるが、それらを動かすソフトウェアを開発(および更新)するためのツールには、まだまだ多くの要望がある。開発者とエンジニアがAndroidベースのエッジデバイスのフリートを展開・管理できるツールを開発するEsper(エスパー)が、シリーズBラウンドで3000万ドル(約33億円)を調達したと発表した。Scale Venture Partnersがラウンドをリードし、Madrona Venture Group、Root Ventures、Ubiquity Ventures、Haystackも参加した。

同社は、Androidだけでこの種のデバイスを開発しているデバイスメーカーは数千社あるが、そのスケーリングと管理には多くの課題がともなうと主張している。ここでの中心的なアイデアは、ソフトウェアの開発者が期待するDevOpsエクスペリエンスをデバイス開発にもたらすということだ。同社は、自社のツールを使用することで、企業が自社内部にDevOpsチームを用意することから解放され、代わりにEsperのツールを利用して、デジタルサイネージから、キオスク、ヘルスケア、小売、物流などのカスタムソリューションに至る利用場面に合わせ、AndroidベースのIoTフリートを拡張できると主張している。

「パンデミックにより、コネクテッドフィットネス、デジタルヘルス、ホスピタリティ、フードデリバリーなどの業界を変革し、インテリジェントエッジデバイスの採用がさらに加速しました。しかし、新しい利用場面ごとに、より優れたソフトウェアの自動化が必要です」と、COOのShiv Sundar(シブ・スンダー)氏とともに会社を創業したCEOで共同創業者のYadhu Gopalan(ヤデュー・ゴパラン)氏は語る。「Esperの成熟したクラウドインフラには、クラウド開発者が期待する機能が組み込まれており、それはデバイス向けに再考されています」。

画像クレジット:Esper

モバイルデバイス管理(MDM)は決して新しいものではないが、Esperチームは、同社のツールはその種の利用を想定して開発されたものではないと主張する。「MDMは現在市場に出回っているソリューションですが、ある環境に持ち込まれるデバイス用に作られています」とゴパラン氏は述べる。「そうしたソリューションのDNAは、企業を保護し、ネットワーク内で企業にアプリケーションを展開することに根ざしています。私たちの顧客はデバイスを世の中に送り出しています。まったく異なる利用方法とモデルです」。

Esperはこれらの課題に対処するため、開発者向けの完全な開発スタック、デバイス管理用のクラウドベースのサービス、カスタムデバイスの開発を始めるためのハードウェアエミュレーターなど、さまざまなツールとサービスを提供している。

「Esperのおかげで、3種類のハードウェアでFusionに接続するフィットネス製品を6カ月足らずで立ち上げることができました」とInspire Fitnessの創業者であるChris Merli(クリス・メルリ)氏は述べた。「フルスタック接続のフィットネスAndroidプラットフォームは、さまざまなハードウェアプラットフォームでアプリケーションをテストし、クラウド上ですべてのデバイスを構成し、仕様どおりにフリートを管理するのに役立ちました。彼らは、スピード、Androidの専門知識、それに私たちのアプリケーションが顧客に楽しい体験を提供するという信頼を私たちに与えてくれました」。

Esperはまた、このハードウェアの寿命を延ばすために、古いx86 WindowsデバイスでAndroidを実行するためのソリューションも提供している。

「私たちはインフラの構築に約1年半を費やしました」とゴパラン氏はいう。「『絶対に』。これが難しい部分ですが、それこそが信頼性が高く堅牢なメカニズムを築きます。そうしたメカニズムで、顧客はビットがデバイスに流れると信じることができます。また、必要に応じてロールバックすることもできます」。

Esperは、ハードウェアパートナーと協力して、同社のサポートを組み込んだデバイスを最初から用意している。

Esperによると、2020年は売上高が70倍、有料顧客が8倍、Esperを実行しているデバイスが15倍増加した。元々の水準がわからないため、そうした数字に意味はないが、投資家はEsperが何かに取り組んでいるとはっきり信じている。現在の顧客には、CloudKitchens、Spire Health、Intelity、Ordermark、Inspire Fitness、RomTech、Uberなどが含まれている。

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カテゴリー:IoT
タグ:IoTEsper資金調達DevOps

画像クレジット:Esper

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nariko Mizoguchi

GitLabが有料サブスクリプションプランの構成を変更、Bronze / Starterを廃止

ますます人気のあるDevOpsプラットフォームであるGitLabは米国時間1月26日、サブスクリプションモデルのメジャーアップデートを行った。同社はまず、月額4ドル(約420円)のBronze / Starterパッケージを廃止する。ユーザーは現在の料金でもう一度更新するか、または上位のティアへ移動することになる(移行後、最初の3年は大幅な割引がある)。

なお、同社の無料ティアはなくならない。GitLabによると「Bronze / Starterにあった機能の89%が無料ティアにある」という。

GitLabの創業者でCEOのSid Sijbrandij(シド・シジブランダイ)氏によると、これはチームにとって難しい決断だったという。特にBronzeプランの人たちにとって大きな変更であることを、彼も認めている。「私たちにとって以前からの宿題だったことを、ご理解いただきたい。それに、すばらしいレガシーの料金体系は現在でも残っている」とシジブランダイ氏はいう。ユーザーからのフィードバックは大歓迎だそうだ。

ショックを和らげるためにBronzeのユーザーは2022年1月26日までこれまでのサブスクリプションプランを更新し、さらに1年間利用できるようになる。また、今後3年間はPremiumプランに割引価格で移行することも可能で、最初は1年目にはユーザーあたり月額6ドル(約630円)から始まり、2年目にはユーザーあたり月額9ドル(約940円)、3年目にはユーザーあたり月額15ドル(約1570円)になる。新規ユーザーの場合、Bronzeパッケージは現在提供されていない。

画像クレジット:GitLab

結局のところ、今回の値上げはGitLabにとって純粋に財務的な意思決定だ。シジブランダイ氏によると、Bronzeの顧客は一人ひとりがGitLabにとって赤字になっている。「Bronzeでは損をして販売しています。売れるたびに、私たちはお金を失っています。ホスティングとサポートの費用も出ない。持続可能なビジネスであるためには、今回の措置が必要でした。顧客にとって大きな変化ですが、弊社を持続可能な企業にし、今後の投資も続けたいと考えています」とシジブランダイ氏はいう。

同氏によると、チームはBronzeの料金を上げる方に傾いていたという。しかし「あらゆるオプションを検討した結果、値上げすればPremiumと変わらないようなものになってしまう。この2つがあまりにも重複していても意味がない」とシジブランダイ氏は説明した。

今回の変更でGitLabが提供するティアは3つになる。それらはFree、PremiumそしてUltimateだ。なお「Silver / Premium」と「Gold/ Ultimate」も廃止になる。

Freeは、ユーザー数が最も多い人気プランでありそのまま残される。GitLabにとって最も損をしているティアであることは確かだが、CI / CDのクレジットは限られているしサポートのオプションもない。だからロスだとしてもGitLabにとって価値のあるロスだ。シジブランダイ氏によると、同社は本来オープンソース企業であるため、無料でオープンなサービスがあることはいわば義務だという。

関連記事:DevOpsプラットフォームのGitLabが6240億円の評価額で200億円のセカンダリーセールを実施

カテゴリー:ネットサービス
タグ:GitLabオープンソースDevOps

画像クレジット:GitLab

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

DevOpsプラットフォームのGitLabが6240億円の評価額で200億円のセカンダリーセールを実施

GitLabはTechCrunchに、60億ドル(約6240億円)のバリュエーションをベースに1億9500万ドル(約200億円)のセカンダリーセール(株主間の株式売買)を実施したと認めた。CNBCが1月15日に最初に報じた

印象的な評価額は、直近の2019年のシリーズEの後にやって来た。シリーズEでは27億5000万ドル(約2860億円)のバリュエーションで2億6800万ドル(約290億円)を調達した。つまり、その後18カ月足らずで評価額が32億5000万ドル(約3380億円)増加した。共同創業者でCEOのSid Sijbrandij(シッド・シジブランディジ)氏は、評価額の上昇はプラットフォームへの機能追加が進んだためだと考えている。

「過去1年間のバリュエーションの上昇は、当社の完全なDevOpsプラットフォームの進歩を反映していると信じています。このプラットフォームで、数十億ドル(数千億円)規模で成長するソフトウェア開発市場でのシェア拡大を狙っています」と同氏はTechCrunchに語った。

同社はこれまで4億3400万ドル(約450億円)以上を調達したが、このラウンドは従業員からのストックオプションの購入だった。これにより従業員は公開前に株式の一部を現金化できる。CNBCは、株式を購入した企業にはAlta Park、HMI Capital、OMERS Growth Equity、TCV、Veritionが含まれていると報じた。

次の論理的なステップはIPOであるように思われる。同社が決して排除しなかった選択肢だ。実際、ある時会社のwikiに、IPOの目標日として2020年11月18日という提案が載っていたこともあった。その目標がそのまま達成されることはなかったが、シジブランディジ氏はまだ、将来のある時点で同社が株式を公開すると考えている。同氏は以前ほど具体的に言及しなかったが、前回の資金調達ラウンドから十分なランウェイ(この先資金調達せずに経営できる期間)が残っており、タイミングが合えば公開できると示唆した。

「ミッションを実現するには公開会社であることが不可欠だと引き続き信じています。公開企業になれば、GitLabはブランド認知度の向上、資本へのアクセス、株主の流動性、自律性、透明性といった恩恵を受けられます」と同氏は述べた。

そして「とはいえ、適切なタイミングを選び、結果を最大化したいと考えています。直近の2019年の増資は、すでに健全になったバランスシートに貢献しました。強力なバランスシートとビジネスモデルにより、長期的な目標を実現するのに最適なタイミングを選択します」と同氏は続けた。

GitLabはWikiでIPOの目標だけでなく、会社全体の哲学、目標、OKRを誰もが見られるよう公開している。シジブランディジ氏は9月のTechCrunch DisruptパネルでTechCrunchのAlex Wilhelm(アレックス・ウィルヘルム)に、透明性が従業員を引きつけ、引き留めるのに役立つと信じていると語った。新型コロナウイルス(COVID-19)以前から、同社は完全にリモートで働く組織であったため、今も問題はない。

「私たちはGitLabの周りの広いコミュニティーとつながるためにこのレベルの透明性を始めましたが、それは素晴らしい才能を引き付けるのにも非常に有益であることがわかりました」とシジブランディジ氏は2020年9月にウィルヘルムに語った。

2014年創業の同社は、プログラミングのライフサイクルを通じてアプリケーションを移動するのに役立つDevOpsプラットフォームを提供している。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:GitLabDevOps

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi