2021年に急成長した中国のロボタクシー(専門用語と美辞麗句が溢れるリリースから実際のところを解析)

自動運転車を手がける中国のスタートアップは、自社の自律走行車両への乗客を獲得するため、軍拡競争を繰り広げている。数週間ごとに、また1つの大手企業が新しいパイロットプログラムや小規模サービスを開始するための認可を得たというニュースが届く。

これらのプレスリリースは、規制に関する専門用語や、企業の発展を誇示するための美辞麗句が多く、わかりにくい。そこで、中国の主要なロボタクシー事業者であるAutoX(オートX、裹動智駕)、Baidu(バイドゥ、百度)、Deeproute.ai(ディープルートAI、元戎啓行)、DiDi(ディディ、滴滴出行)、Momenta(モメンタ)、Pony.ai(ポニーAI、小馬智行)、WeRide(ウィーライド、文遠知行)の2021年の進捗状況をこの投稿にまとめ、それぞれの発表から実際にどのようなことがわかるのかを解析した。

中国では多くの大手企業が以前から有人車両(保安運転手が乗車する自動運転車)や無人車両の試験運行を行っているため、この投稿では、定期的に行なわれている一般向けサービスに焦点を当てる。これらの企業は、ロボタクシーに関わるコスト、安全性、規制を調整しながら、自動運転トラック、貨物運搬車、市バスなど、より早く規模を拡大できる分野にも乗り出している。とはいえ、やはり長期的にはロボタクシー分野に重点を置いていくことに変わりはない。

中国の自動運転区域について留意すべき点

本題に入る前に、中国の自動運転車事業に特有の状況をいくつか取り上げる。

  • 中国国内の道路事情は場所により大きく異なる可能性がある。例えば、深圳郊外の工業団地で自動運転車の試験走行を行う場合、都市部にある繁華街の蛇行する道路で行うよりも道路状況はずっと楽である。
  • 自動運転車に関する規制は、それぞれの省で異なる可能性に加え、同じ都市であっても地区によって異なる場合がある。ある都市において完全無人の自動運転走行試験を行う承認を得た企業が、必ずしも他の企業より技術的に進んでいるとは限らない。単に、連携する地元の規制当局が自動運転に対して進歩的な姿勢を有しているからだという場合もある。
  • スマート交通を成長戦略として掲げている地方行政もある。当然、自動運転車を手がけるスタートアップの支援にも熱心だ。国や都市レベルの規制が制定されるよりずっと前に、当局がその管轄区域内で無人運転の試験を行うことを非公式に承認する場合もある。
  • 行政支援は、税制優遇措置、有利な土地利用の機会や安価なオフィススペースの提供などの形で現れることもある。これが、中国の主要な自動運転車のスタートアップが、深圳、広州、上海、蘇州などの十分な資金力のある都市に集中している理由の1つだ。
  • 中国の地方行政は、自動運転のような新技術の開発に拍車をかけるため、たびたび実証区を設置する。こうした取り組みにより、企業は成熟産業を規制する通常の制約を受けることなく、試験を行うことができる。
  • 今日現在、中国のどの都市も無人ロボタクシーの許可を出していない。この許可が下りればサンフランシスコで Waymo(ウェイモ)やCruise(クルーズ)が行っているように、自動運転車が保安運転手なしで一般市民を輸送することが可能になる。

AutoX

深圳に本社を置き、カリフォルニアに研究開発センターを持つAutoXは、プリンストン大学の元教授、肖健雄氏により、2016年に設立された。出資者には、Alibaba(アリババ、阿里巴巴集团)、MediaTek(メディアテック、聯發科技)、中国国営自動車メーカーSAIC(サイク、上海汽車集団)などが名を連ねる。

深圳のAutoXのロボタクシー(画像クレジット:AutoX、2021年)

事業状況

2020年8月、AutoXは上海の嘉定区で、有人運転ロボタクシーの一般向けサービスを開始した。利用者はAlibabaのナビゲーションマップ「Amap(エーマップ、高徳地図)」を通じて配車予約ができる。AutoXによると、中国の大手配車サービスプラットフォームでロボタクシーのサービスが利用可能になったのはこれが「初めて」だという。

上海郊外の嘉定区には、上海汽車集団、Volkswagon(フォルクスワーゲン)、NIO(ニーオ、上海蔚来汽車)、トヨタ自動車、Baidu、DiDi、Delphi(デルファイ)といった大手自動車メーカーやOEMがオフィスを構えている。2020年の発表によると、AutoXは100台の「自動運転車」を市内の公道で走らせる契約を上海政府と結んだ。

2021年1月、AutoXは「スマートシティ」として生まれ変わりつつある深圳の工業地帯、坪山区で無人ロボタクシーのサービスを開始した。11月には、同社はこのプログラムが168平方キロメートルの坪山区全域をカバーしたと発表した。これはマンハッタンの約3倍の広さに相当する。

ちょうど1カ月前、AutoXは深圳の公道に25台の無人自動運転車を配備し「試験走行」を実施した。中国の自動車ニュースブログは、AutoXが地元の交通規制当局の許可を得ずにこれを進めたと報じている。一方、同社はTechCrunchに対し「政府の支援」を得たと語った。当時、我々は関連部門と連絡を取ることはできなかった。

AutoXによると、同社は合わせて「数百台」のロボタクシーを路上で走行させているという。

関連記事:自動運転ユニコーンAutoXが中国初のロボタクシーのテストを深センでスタート

米国での試験走行

2021年11月現在、AutoXはカリフォルニア州で無人および有人車両の試験走行を許可されている。

OEMパートナー

AutoXは、ホンダFiat Chrysler(フィアット・クライスラー)と共同で、中国でのロボタクシーの開発を進めている。

Baidu Apollo Go

「Apollo Go(アポロ・ゴー)」は、2000年に設立された北京のインターネット企業である検索エンジン大手Baiduの自動運転車プロジェクトである。Baiduは  2015年末、多くの競合するスタートアップが誕生したのとほぼ同時期に、自動運転車部門を始動させた。

Baidu「Apollo Go」のロボタクシーサービス(画像クレジット:Baidu、2021年)

事業状況

2021年11月、Apollo Goは北京の中国における「初の商用自動運転車実証区」で、有料でのロボタクシーサービスの提供が認められた。

Apollo Goにとって公道での「初の商用展開」となった67台の車両では、乗車した保安運転手が監視を行った。このサービスはApollo Goのアプリから配車が可能で、毎日午前7時から午後10時まで運行が実施された。

Apollo Goは、中国の「初の商用ロボタクシー実証区」に参加できたが、対価を目的とした乗車提供はBaiduのこのサービスが初めてではなかった(ネタバレ:以下のWeRide.aiの項を参照)。とはいえ、このイベントにはかなりの象徴的な重要性があった。60平方キロメートルに及ぶこの実証区は、亦荘郊外における国家レベルの経済プロジェクトである北京経済技術開発区の区域内に位置している。このイベントで、ロボタクシー事業者が乗客のデータを活用し、サービス価格を設定する方法について規定する規制の枠組みが導入されたのだ。首都におけるこのような動きは、中国全土のモデルとなる可能性がある。

亦荘が推進しているのは、ロボタクシーだけでない。「コネクテッドカー実証区」はその他のタイプの自動運転車にも対応している。2021年、JD.com(JDドットコム、京東商城)やMeituan(メイトゥアン、美団)を含む多くの大手テック企業が、実証区での無人配送用ミニバンの試験走行を開始した。

Apollo Goの無料版は、広州、長沙、滄州の一部地域で一般公開されており、現在は上海で早期テスターを募集している

米国での試験走行

2021年11月現在、Apollo Goはカリフォルニア州で無人および有人車両の試験走行を許可されている。

OEMパートナー

Apollo Goのロボタクシー車両は、国営メーカーFAW(第一汽車集団)のHongqi(ホンチー、紅旗)電気自動車(EV)スタートアップのWM Motor(WMモーター、威馬汽車)、国営メーカーGAC(広州汽車集団)のEVブランド「Aion(アイオン)」、国営メーカーBAIC(北京汽車集団)のEV新ブランド「ARCFOX(アークフォックス)」から提供されている。

Deeproute.ai

深圳に拠点を置くディープルートは、設立からわずか2年の企業としてはかなりの進展を遂げている。2019年、創業者の周光氏は、自動運転車ベンチャーのRoadstar.ai(ロードスター・エーアイ、星行科技)を会社の内紛により辞したのち、ディープルートを設立した。この若い起業家は、すぐに新しい試みへの支持を集めた。2021年9月、ディープルートはAlibabaや中国の自動車メーカーGeely(ジーリー、吉利汽車)などの出資者から、シリーズBラウンドで3億ドル(約340億円)もの資金を調達した

Deeprouteのロボタクシーサービス(画像クレジット:Deeproute.ai、2021年)

事業状況

7月、ディープルートは本社に近い深圳の繁華街、福田区の公道に、20台の有人ロボタクシーを配備した。同本社は香港、深圳両行政が設立した  技術協力区の区域内にある。

同社が4月に深圳の交通規制当局から許可を得て開始したロボタクシーサービスは、現在のところ無料で一般利用できる。TechCrunchに語ったところによると、将来的には有料化する予定だという。

2021年3月、中国国営メーカーの東風汽車集団と共同開発したディープルートのロボタクシーが、武漢で一般向けに無料乗車の提供を開始した。中国中部の都市武漢も、中国の自動運転車分野のパイオニアを目指す候補地の1つだ。

米国での試験走行

2021年11月現在、ディープルートはカリフォルニア州で有人自動運転車両の試験走行を許可されている。

OEMパートナー

ディープルートと東風汽車は、2022年までに200台以上のロボタクシーを配備することを予定している。

DiDi

配車サービス大手のDiDiは、2019年に自動運転車の子会社を設立し、新会社のために5億ドル(約570億円)を迅速に調達している(当時業界で唯一最大の資金調達ラウンドだった)。これにもかかわらず、ロボタクシー開発の動きは予想より静かだった。

DiDiが他の問題に気を取られていたとしても、無理はない。2021年、米国で上場した直後、同社は中国の規制当局から徹底的なデータ調査を受けている。この中国配車サービス大手は12月、ニューヨーク証券取引所から上場廃止となることを発表した

DiDiのロボタクシーサービス(画像クレジット:DiDi、2020年)

事業状況

DiDiのロボタクシーは、2020年6月に上海の一部地域で乗車サービスを開始した。同社は、2020年末までにロボタクシーサービスを北京と深圳に拡大し、2021年には中国国外にもこの事業を展開すると述べていたが、その進捗状況はいまだ更新されていない。同社はまた、2030年までに配車サービスプラットフォームを通じて100万台以上の「自動運転車」を運用するという野心的な目標も掲げている

米国での試験走行

2021年11月現在、DiDiはカリフォルニア州で有人自動運転車両の試験走行を許可されている。

OEMパートナー

2021年4月、DiDiはジーリー傘下のVolvo(ボルボ)から同社の海外向けロボタクシー車両の提供を受けると発表した

Momenta

レベル4の完全自動走行技術にのみ注力するロボタクシー事業者が多いなか、創業5年のMomentaは、自動車メーカー向けに先進運転支援システム(ADAS)の売り込みも行っている。このアプローチにより短期的な収入が得られる他、手頃なコストでアルゴリズムの学習用データを蓄積することができる。一方、同社が実際の無人運転技術に十分なリソースを投入しているかどうかについては、業界関係者から疑問の声が上がっている。

Momentaと上海汽車集団が共同開発したロボタクシー(画像クレジット:Deeproute.ai、2021年)

それでも、蘇州に拠点を置くMomentaは、中国で最も資金提供を受けている自動運転車のスタートアップの1つとなっている。General Motors(ゼネラルモーターズ)、Daimler(ダイムラー)、Bosch(ボッシュ)、トヨタ自動車、中国国営自動車メーカー上海汽車集団から、二―オの創業者ウィリアム・リー氏が監督するファンド、Nio Capital(二―オキャピタル)まで、名だたる出資者から合わせて12億ドル(約1370億円)を調達しているのだ。

同業他社の多くが、研究開発部隊の設置や試験走行を米国で行っている一方、Momentaは国際展開の拠点としてドイツを選んだ。2021年、同社は出資者であるダイムラーの本拠地、シュトゥットガルトにオフィスを開設した。

事業状況

2021年12月、Momentaと上海汽車集団は、上海の一部地域で無料のロボタクシーサービスを開始した。利用者は毎日午前8時から午後10時まで、上海汽車集団のアプリを通じて有人運転のロボタクシーを呼び出すことができる。このプログラムでは「20台の車両を用いて将来的な商用利用のための試験と検証を行っている」とMomentaは述べている。同プログラムは、今後数カ月のうちに蘇州と深圳で展開される予定だ。

Momentaは、上海に隣接する豊かな都市、蘇州の政府から多大な支援を得ている。国務院国有資産監督管理委員会(SASAC)蘇州支部と合弁事業を実施し、同市でのロボタクシー展開を「スケールアップ」させる。SASACは、100社あまりの大規模国有企業を監督する、中国の強力な政府機関である。

OEMパートナー

Momentaはロボタクシーの車両に関して上海汽車集団と協業している。両社は2022年までに中国全土に200台の車両を配備することを目標に掲げた

Pony.ai

Pony.aiは、中国で最も評判の高い自動運転車の専門家たちを輩出してきた、Baiduの自動運転車部門のベテラン2人により、2016年に設立された。広州とカリフォルニアにオフィスを構える同社は、トヨタ自動車の支援を受け、これまでに10億ドル(約1140億円)以上を調達している。

PonyのLexusのロボタクシー(画像クレジット:Pony.ai、2021年)

事業状況

Baiduと同様に、Pony.aiも2021年11月、北京のスマートカー実証区で有料のロボタクシーサービス事業を実施するための承認を得た。「PonyPilot+」と呼ばれるこのサービスは、これまで同エリア内で無料の乗車サービスを行っていた。

「PonyPilot+」は、2021年7月、上海の自動車産業の中心地である嘉定区で始動した。6月には、広州で既存のロボタクシーに加え、完全無人の自動運転車を配備している

米国での試験走行

11月、カリフォルニア州車両管理局は、フリーモントで起きた衝突事故の報告を受け、無人自動運転の試験許可を一時停止にするとPony.aiに通知した。Pony.aiが規制当局から許可を得てから6カ月後の決定だった。カリフォルニア州での同社の有人自動運転の試験許可には影響がなかった。

OEMパートナー

トヨタ自動車の「Lexus(レクサス)」、Hyundai(ヒュンダイ)の他、中国のBYD(ビーワイディー、比亚迪汽车)や「アイオン」など、複数のメーカーの車両をPony.aiのロボタクシーとして利用している。

WeRide.ai

WeRide.aiとPony.aiは多くのルーツを共有している。どちらも広州とカリフォルニアに拠点があり、創業者はBaiduの自動運転車チーム出身者だ。WeRide.aiは2017年に設立され、2021年だけで6億ドル(約686億円)以上を調達した。国営メーカーの広州汽車集団やルノー・日産・三菱アライアンスなどが出資者に名を連ねる。

東風汽車が提供するWeRideのロボタクシー(画像クレジット:WeRide、2021年)

東風汽車が提供するWeRideのロボタクシー/写真:WeRide2021年)

事業状況

2019年11月、WeRide.aiの有人運転ロボタクシーは、広州の144平方キロメートルのエリアで一般乗車を開始した。このサービスは、中国南部で最大のタクシー会社である国営の白雲タクシー会社(白雲出租汽車公司)と連携して実施している。

北京でのBaiduやポニーの有料サービスに先駆けて、WeRide.aiはサービス開始当初から、広州のタクシー料金に相当する金額を乗車料として受け取ってきた。

これは、競合同士が自社プログラムに中国で「初」という称号を得るため躍起になるという、よくある状況の例だ。このような主張そのものは有効だが、よく見極める必要がある。ある業界関係者によると「北京の方が政策を先導する上での影響力はある」が、企業にとっては有料ロボタクシーサービスを実施する場所が北京であろうと広州であろうと、その差は「それほど大きくない」という。

「北京でも広州でも、その都市が友好的な政策をとっていれば、それは良いニュースです。つまりは、ロボタクシー企業は実運用のための試験ができればいいのです」と、同関係者は語った。

WeRide.aiは、武漢でも有人運転のロボタクシーサービスを実施している。

米国での試験走行

2021年11月現在、WeRide.aiはカリフォルニア州で無人および有人車両の試験走行を許可されている。

OEMパートナー

WeRide.aiとその戦略的投資家である広州汽車集団が12月に発表したところによると、今後数年で「数万台」のロボタクシーを配備する予定であるという。

画像クレジット:Traffic jam during sunset / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Dragonfly)

中国の配車サービス大手Didiがニューヨーク証券取引所の上場廃止へ

中国の配車サービス大手Didi(滴滴出行)は米国時間12月3日朝、ニューヨーク証券取引所の上場を廃止し、代わりに香港での上場を申請する手続きを開始したことを、Weibo(微博)への投稿で発表した

この決定は、中国政府が安全保障上の懸念からDidiに米国での上場廃止を要請したとBloombergが報じてから数日後のことだ。その際、TechCrunchはDidiにコメントを求めようとしたが、連絡が取れなかった。

上場廃止の動きは驚くべきことではない。ソフトバンクが支援するモビリティ企業Didiは、7月の超大型IPOの前に、データ処理の安全性を中国政府に保証できなかったことから、規制面で大きな圧力を受けていた。

ここ数カ月、中国はユーザーのプライバシー保護を強化したり、国境を越えたデータ転送を制限したりするなど、多くの新しいデータ規制を導入してきた。Didiの幹部は以前、同社がデータを中国国内に保存しており「他の多くの米国上場の中国企業」と同様に、米国にデータを渡したことは「絶対にあり得ない」と述べていた。

Didiの時価総額は現在376億ドル(約4兆2540億円)だ。同社の株式は、デビュー時には1株あたり15ドル(約1700円)を超えていたが、12月2日時点では7.8ドル(約880円)まで大きく落ち込んでいる。

画像クレジット:STR/AFP / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

【中国】Tencentが年齢制限を回避するサイトに対抗策

TechCrunchチャイナ・ラウンドアップへようこそ&おかえりなさい。今週も中国テック業界の近況と世界の人々に与える影響ついてお送りする。

中国政府による新たなゲーム規制の執行はイタチごっこの様相を見せている。同国のインターネット巨人と若きプレイヤーたちは常に相手を出し抜こうと伺っている。Didi(ディディ、滴滴出行)アプリが禁止された後、中小ライドシェアリング・アプリ各社は市場の真空地帯を狙っている。

Tencentと若きゲーマーたち

中国のことわざ「ポリシーのあるところに対抗策あり」は、この国のビデオゲーム環境の規制強化で今起きていることをうまく言い表している。2021年9月、中国は低年齢ユーザーのゲーム時間に関して過去に類を見ない最も厳格なルールを制定した。18歳未満のプレイヤーたちは騒然となり、週3時間の割当てを打開する方法を必死に探し始めた。

関連記事:中国政府が子どものオンラインゲームを週末3時間のみに制限、健康懸念で

数日のうちに、ゲーミングの巨人、Tencent(テンセント、騰訊)は、一連の回避策を一掃する行動を起こした。同社は未成年プレイヤーへの成人アカウントの販売あるいは取引を行う20以上のオンライン・サービスに対して訴訟あるいは声明を発行したことを、今週同社のゲーミング部門がWeibo(微博)に関する発表の中で語った

子どもたちはそのアカウントを2時間当たり数ドルで借りることで通常の年齢確認を行わずにゲームをプレイできる。この手のサービスは「実名ゲーミング・システムと未成年保護の仕組みにとって深刻な脅威」であるとTencentは語り、一連の慣行を中止するよう要請した。

教育的ゲーム

中国政府は中毒を誘発するゲームや、未成年者にとって「身体的および精神的に有害」と考えられるゲームを主な標的としている。しかし「子どもたちにとって良い」ゲームはどうなのか?

TencentとRoblox(ロブロックス)が2019年に中国でジョイントベンチャーを設立した時世間は、クリエイターに焦点を絞ったゲーミングプラットフォームがTencentが教育ゲームを制作して創造性をかきたてたり、テクノロジーをもっと社会を良くするために使うように、という政府の要請との整合性を高める後押しになるだろうと推測した。TechCrunchは以下のように報じている。

Robloxの「創造性」の奨励に焦点を当てたマーケティングは、テック企業は「良いことを行うべし」というTencentが応じた中国政府の要請と調和していると考えられる。Robloxの中国語ウェブサイトは、同社のビジネスには学習とSTEMツールがあり、地域の学校と教育者との協調も計画していると謳っている。

もしRobloxが、若き中国人たちに世界的な人気ゲームをデザインするよう喚起することができるなら、中国当局は同社を中国文化とソフトパワーの輸出ルートとみなすようになるかもしれない。ゲーミング業界は、政府の関心と一致することが国の支援を受けるために必要であることを十分認識している。実際、ゲーム業界を始めとする非政治的団体による政治的、社会的な重要問題に関する提案を支援をするための組織である中国人民政治協商会議のあるメンバーは、ビデオゲームは中国文化輸出の有効な手段であると6月に語った。

Robloxのこの事例は、ゲームの教育および輸出目的利用に対する中国政府の姿勢の変化を見る興味深い題材だ。

Didiへの挑戦

Didiには数年来多くのライバルがいるが、中国ライドシェアリング業界における同社の支配を脅かすものは現れていない。しかし最近、一部のライバルたちは、当局がサイバーセキュリティの懸念からDidiアプリの新規ダウンロードを禁止した後、新たなチャンスを見出そうとしている。Cao Cao Mobility(曹操出行)はその1つだ。

Cao Caoは中国の自動車メーカー、Geely(吉利汽車)傘下の高級ライドシェアリングサービスで、今週5億8900万ドル(約647億6000万円)のシリーズB調達ラウンドを発表した。このラウンドは、Cao Caoがドライバーと乗客の支持を得るための武器を与えるはずだ。しかし、政府による反競争取締りが強化される中、昨今のインターネットプラットフォームは、2015年頃のDidiほど資本注入による成長フェーズに熱心ではないかもしれない。

アプリの禁止がDidiに与えた影響は今のところ限定的だ。むしろアプリによる注文は7月に13%増加したことを運輸局のデータが示している。新たにスマートフォンを手に入れた人はDidiをダウンロードできないが、それでもWeChatで動くミニアプリを使うことができる。WeChatは中国で広く普及しておりサードパーティーアプリのエコシステムを広げている。Didiがアクティブユーザーを何人失ったのかはわかっていないが、同社のライバルが巨人のドライバーと乗客を誘う多額のインセンティブを払うわなくてはならないことは間違いない。

DTCファストファッション

ベンチャーキャピタリストたちは中国のDTC(消費者直接販売)ブランドに資金を注入しており、この国のサプライチェーンの優位性と抜け目ないマーケター集団が欧米消費者を取り込むことに期待している。7月に、ベビー服ブランドのPatPat(パットパット)は5億1000万ドル(約560億7000万円)の大型調達を完了した。2021年9月、Z世代ファストファッションを中国で生産して米国で販売している新進気鋭のDTCブランド、Cider(サイダー)が、シリーズBラウンドで1億3000万ドル(約142億9000万円)を調達し、企業価値は10億ドル(約1099億5000万円)以上だったというニュースがやってきた。中国のテックニュースサイトである36Krが最初に報じ、TechCrunchも独自に確認した。

DST GlobalがCiderの最新ラウンドをリードし、既存の出資者であるA16Z(アンドリーセン・ホロウィッツ)とGreenoaks Capital(グリーンオークス・キャピタル)も参加した。投資家たちはShein(シェイン)の世界中での勢いにはっきり勇気づけられている。同社の新規ダウンロード数は数十の国々でAmazonを超え、業界の巨人Zara(ザラ)と比較されることも多い。純粋なインターネット企業と異なり、輸出志向のEコマースには、デザインから、製造、マーケティング、出荷からアフターサービスまで長くて複雑なバリューチェーン(価値連鎖)があることで知られている。Sheinの物語は多くのフォロワーを元気づけるだろうが、簡単には真似できない。

関連記事:ファストファッション「SHEIN」がアマゾンを抜き米国で最もインストールされたショッピングアプリに

画像クレジット:Visual China Group / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Nob Takahashi / facebook

【中国】政府はテック巨人にもっと社会的責任を負わせたい

TechCrunchチャイナ・ラウンドアップへようこそ&おかえりなさい。中国テック業界の近況と、それが世界の人々に与える影響ついてまとめてみた。

先週、中国ゲーム業界は再び政府の標的となり、未成年プレイヤーに対する世界で最も厳格と思われるルールが施行された。また、中国のテック巨人たちは、社会的責任を取り、束縛のない拡大にブレーキをかけるようにという政府の要請に急いで答えている。

ゲーム制限令

中国政府はこの国の若きゲーマーたちに爆弾を落とした。現地時間9月1日以降、18歳未満のユーザーはゲーム時間が1日当たりのわずか1時間、金曜、土曜、日曜日の午後8時~9時のみに制限される。

この厳格なルールは、未成年に対するすでに締め付けの強いゲームポリシーに輪をかけるもので、政府はビデオゲームが近視の原因であり、精神と肉体両方の健康を害していると信じている。中国が最近、一連の校外学習の制限を発表したことを思い出して欲しい。働く親たちは子どもたちを忙しくさせるのがますます難しくなるというジョークが出回っている。

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新たな規制のいくつかは分析する価値がある。まず、新しいルールを策定したのは国家新聞出版署(NPPA)。同署は中国国内のゲームを承認する規制機関であり、2019年には9カ月間認可を凍結してTencent(テンセント、騰訊)などでゲームの在庫が底をつくことにつながった。

プレイタイムの指針が、ゲームコンテンツの審査と出版ライセンスを発行しているNPPAから出てきたことは興味深い。中国の他の業界と同じく、ビデオゲームは複数の規制機関による承認の対象となっている。NPPAの他、国の最高のインターネット監視機関であるサイバースペース管理局(CAC)、業界標準と通信インフラを司る中華人民共和国工業情報化部がある。

アナリストらは、習近平主席が長を務める中央サイバースペース管理局配下で強大な力を持つCACが、権利を手放したくない他の省庁との官僚的闘争に直面しているところを長年見てきた。これは、裕福なゲーム業界の規制にも当てはまる可能性が高い。

Tencentをはじめとする主要ゲーム会社にとって、新ルールが会社のバランスシートに与える影響は取るに足らない。ニュースが報じられた直後、NetEase(ネットイース)や 37 Games(サーティーセブン・ゲームズ)をはじめとする中国上場ゲーム会社は、未成年プレイヤーは会社売上の1%以下しか寄与していないことをすかさず発表した。

Tencentはこの変更を見越して「中国におけるゲーム売上において16歳未満の占める割合はわずか2.6%、12歳未満はわずか0.3%」であると第2四半期決算で公表している。

こうした数字が現実を反映しているかどうかはわからない。なぜなら子どもたちは、ユーザー登録に大人のIDを使うなどしてゲーム制限を回避する方法を以前から知っているからだ(前の世代が成人の友人からIDを借りてインターネットカフェに潜り込んだのと同様だ)。Tencentや他のゲーム会社は、これらの回避方法を遮断することを約束して、子どもたちにVPNを使って海外版のゲームタイトルを利用するなど高度な技の追求を強いようとしている。いたちごっこは終わらない。

ともに繁栄を

中国はテック巨人の力を削ぎ落とすだけでなく、社会的責任を果たすよう圧力をかけている。ギグワーカーの権利尊重もその1つだ。

先週、中国最高人民法院は「996」と呼ばれる午前9時から午後9時まで週6日働く長時間労働を違法と判断した。この決定は、テック業界のバーンアウト・カルチャーに対する労働者の数年にわたる抗議活動を受けたもので、「996」を実行している企業を列挙するGitHub(ギットハブ)プロジェクトなどが行われてきた。

関連記事:中国の長時間労働にスタートアップが反撃

一方、勤勉で従順な従業員は、中国テック業界の競争優位性であると言われることも多い。それは、シリコンバレー企業、特に中国をよく知る人々が経営する企業が、この国に支社を設置してテック人材を活用している理由の一部だ。

残業が称賛、許容されていた日々は終わろうとしている。ByteDance(バイトダンス、字節跳動)と同社のショートビデオのライバルであるKuaishou(クアイショウ、快手)は、最近それぞれの週末残業ポリシーを廃止した

同様に、Meituan(メイトゥアン、美団)はフードデリバリー配達員のために強制休憩時間を導入することを発表した。オンデマンドサービスの巨人は、ライダーに過酷な労働時間や危険運転を強要する「非人間的」アルゴリズムで非難を浴びていた。

画期的な試みとして、ライドシェアリングの巨人、Didi(ディディ、滴滴出行)とAlibaba(阿里巴巴集団)のeコマースのライバル、JD.com(ジェイディードットコム、京東集団)は、社員のために労働組合を設置した。ただし、新たな組織が従業員の権利を守るために意味のある影響を持つかどうかは不明だ。

TencentとAlibabaも動いた。8月17日、習近平主席は「共同繁栄」を求める演説を行い、この国の大富豪たちから大きな注目を集めた。

「中国が2度目の100年目標に向かって進むにあたり、人民の幸福は、共同繁栄を促進して党の長期支配の基盤を強化することによって実現すべきです」。

今週TencentとAlibabaの両社は「共同繁栄」を支援するために1000億人民元(155億ドル)を拠出することを宣言した。資金の目的は、地方経済の成長から医療システムの改善まで、中国政府の国家開発目標とよく似ていてうまく連携している。

画像クレジット:Photo by Lintao Zhang/Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Nob Takahashi / facebook

中国で企業の個人情報の扱い定める「個人情報保護法」が可決、EUのGDPR相当・個人情報の国外持ち出しを規制

中国で企業の個人情報の扱い定める「個人情報保護法」が可決、EUのGDPR相当・個人情報の国外持ち出しを規制

AerialPerspective Works via Getty Images

中国が、ユーザーデータ保護法(PIPL)案を可決したと新華社が伝えています。PIPLは、企業がユーザーデータをどのように収集、処理、保護するかについての包括的なルールを定めるもので、欧州のGDPR(一般データ保護規則)に相当する法律です。

この法律では、データの最小化(データ収集を特定の目的に必要な情報のみに限定すること)が規定されています。また、個人情報の使用方法をユーザーがコントロールできるようにすることも義務付けられており、例えばユーザーにはターゲティング広告を拒否する選択肢などが得られるとのこと。Reutersによると、PIPLでは「企業は明確かつ合理的な目的のもとで個人情報を取り扱わなければならず、取得する情報は目的のために必要最小限な範囲に限定される」とのこと。

また、この法律には第三国へのデータ転送に関しても規定があり、GDPRに定められるデータ保護責任者 (DPO) 的ポストを設置して、プライバシー保護の堅牢性について定期的な監査が行われるとされます。

中国ではPIPLの他にもデータセキュリティ関連の法律(DSL)が可決され9月1日から施行されることになっており、これらは企業が持つ経済的価値と「国家安全保障との関連性」に応じてデータを管理するための明確な枠組みを定めようという動きで、この点においてPIPLは欧州市民の情報を扱うあらゆる企業に適用されるGDPRとは異なっているようです。

中国がこうした法律を用意するのは、巨大化してきた国内テクノロジー企業への規制を強めるためと考えられます。中国最大のEC企業アリババは今年4月に、その支配的立場を乱用した廉で、182億2,800万元(2916億4800万円:当時)の行政処罰を科せられました。またネット配車サービスのDiDiも7月、ニューヨーク証券取引所への新規株式公開(IPO)をおこなった直後に、中国サイバースペース管理局(CAC)がユーザーのプライバシーを侵害した疑いがあるとして調査に入ったことが伝えられ、その出足を大きくくじかれています。また8月7日にはWeChatの”Youth Mode”が児童保護法に違反しているとして、テンセントが提訴されています。

PIPLは2021年11月1日に発効するため、企業がこの法律に対応するための猶予は2か月ほどしか余裕がありません。

(Source:Xinhua。Via CNBCEngadget日本版より転載)

ソフトバンクG孫社長が中国への投資は「しばらく様子見」、IT大手締め付けに「いずれバランスを取り戻すと信じている」

ソフトバンクG孫社長が中国への投資は「しばらく様子見」、IT大手締め付けに「いずれバランスを取り戻すと信じている」

AI革命を掲げ、多くの中国ハイテク企業に投資しているソフトバンクグループの孫正義社長は8月10日の決算会見で、中国当局のIT大手締め付けについて『長い目でみれば、どこかでもう一度バランスを取り直すと私は信じている』とコメントしました。

孫社長は『6月末を過ぎたあたりで、中国の問題が出てきました。DiDiが上場した直後や、フルトラックアライアンスも上場直後でしたね。その後、アリババもテンセントもバイドゥもメイトゥアンも、中国のハイテク株は今受難のときであります。しかし、長い目で見ればですね、業績は伸び続けているわけですから、もう一度バランスを取り直して、株価も持ち直すと私は信じております』とコメント。

また『世界のAI技術の革新の中心は2つあって、米国と中国であると思っています。ですから、今後とも中国におけるAI技術そしてビジネスモデルの革新はどんどんと続いていくんだろうと強く信じております』と述べました。

一方で投資活動については『新たなさまざまな規制等がはじまっておりますので、どのような規制がどのような範囲で行われるのか、そしてそれが株式市場にどのような影響を与えるのかを、もう少し様子を見てみたい』とし、中国企業への投資は当面見合わせる方針を示しました。

加えて『我々が中国政府の動きに反対しているとか、そういうことは全く考えてませんし、中国の将来性について疑念を抱いているかというと、それも全く違います。ただ、新たな規制、新たなルールが今はじまろうとしているばかりですから、もう少し様子が固まるまで、我々としては様子を見てみたいと。おそらく1年2年すれば、新たなルールのもと、新たな秩序がもう一度しっかり構築されると私は信じておりますので、その状況がはっきりしてくれば、中国での投資活動を活発に行うということは十分に可能性としてはありますが、ここしばらくは様子を見てみたいということです』とも付け加えました。

また、ソフトバンクグループの時価純資産(NAV)の多くを占めるアリババについては『依然として売上1.3倍増くらいが続いていますし、直近もそれが衰えずに伸びておりますので、アリババの株価もいずれ回復すると私は信じております』と述べた一方、「直近ではNAVに占めるアリババ株の割合はソフトバンク・ビジョンファンドを下回っている」とも述べ、アリババ一本足打法とみなされる状況を脱却しつつあるとも強調しました。

時価純資産におけるアリババの割合はビジョンファンドの伸長で低下していると説明

時価純資産におけるアリババの割合はビジョンファンドの伸長で低下していると説明

また、ビジョンファンドにおける中国企業への依存度については、ビジョンファンド1・2のトータルでは『2021年7月末の時価ベースで23%』としたものの、2021年4月以降の新規投資では11%に留まっていることも明かしました。

Engadget日本版より転載)

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Alibaba / アリババ(企業)Ant Group(企業)ソフトバンク / SoftBank(企業)ソフトバンク・ビジョン・ファンド / SoftBank Vision Fund(企業)Tencent / テンセント(企業)Didi Chuxing / 滴滴出行(企業)Baidu / 百度(企業)Meituan / メイトゥアン(企業)中国(国・地域)日本(国・地域)

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また『世界のAI技術の革新の中心は2つあって、米国と中国であると思っています。ですから、今後とも中国におけるAI技術そしてビジネスモデルの革新はどんどんと続いていくんだろうと強く信じております』と述べました。

一方で投資活動については『新たなさまざまな規制等がはじまっておりますので、どのような規制がどのような範囲で行われるのか、そしてそれが株式市場にどのような影響を与えるのかを、もう少し様子を見てみたい』とし、中国企業への投資は当面見合わせる方針を示しました。

加えて『我々が中国政府の動きに反対しているとか、そういうことは全く考えてませんし、中国の将来性について疑念を抱いているかというと、それも全く違います。ただ、新たな規制、新たなルールが今はじまろうとしているばかりですから、もう少し様子が固まるまで、我々としては様子を見てみたいと。おそらく1年2年すれば、新たなルールのもと、新たな秩序がもう一度しっかり構築されると私は信じておりますので、その状況がはっきりしてくれば、中国での投資活動を活発に行うということは十分に可能性としてはありますが、ここしばらくは様子を見てみたいということです』とも付け加えました。

また、ソフトバンクグループの時価純資産(NAV)の多くを占めるアリババについては『依然として売上1.3倍増くらいが続いていますし、直近もそれが衰えずに伸びておりますので、アリババの株価もいずれ回復すると私は信じております』と述べた一方、「直近ではNAVに占めるアリババ株の割合はソフトバンク・ビジョンファンドを下回っている」とも述べ、アリババ一本足打法とみなされる状況を脱却しつつあるとも強調しました。

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また、ビジョンファンドにおける中国企業への依存度については、ビジョンファンド1・2のトータルでは『2021年7月末の時価ベースで23%』としたものの、2021年4月以降の新規投資では11%に留まっていることも明かしました。

Engadget日本版より転載)

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恋に落ちる36の質問(ただし相手は共同ファウンダー)

数カ月間のベータテストを終え、Y Combinator(Yコンビネーター)は共同ファウンダーマッチングプラットフォームを公開した。そこでは起業家たちがプロファイルを作成し、自分自身のことや共同ファウンダーに望むこと、たとえば場所やスキルなどを記入することができる。システムはその情報を分析し、ニーズに合った候補者を何人か選んで提示する。言ってみれば共同ファウンダーのためのTinder(ティンダー)のようなものだ。これまでに4500人の共同ファウンダーの間で9000件のマッチングが出来上がった、とY Combinatorは言っている。

Y Combinatorがこのツールを運用するのに適した立場にあることは明らかだ。このアクセラレーターは、Startup School(スタートアップ・スクール)という人気の無料オンラインプログラムを開設しており、会社を始めたい人なら誰でも、設立に必要なリソースを手に入れ講義を受けることができる。スクールは190か国、23万人のファウンダーからなるコミュニティを作り上げた。このため、マッチングツールの提供はごく自然な流れであり、YCパートナーが新たに芽生えつつある才能を早期に集め、情報収集する場所としても役立っている。中でも、このマッチング・プラットフォームで出会った2つの会社はいずれもY Combinatorの2021年夏学期のメンバーだ。エコシステム万歳!

私の第一感はこうだ。このツールは、気が利いていて需要のあるシンプルなツールとして人々を結びつけることができるだろうが、意味のある形で運用していくのは、みんなが思うよりもはるかに大変だ、YCのように著名で実績のあるアクセラレーターにとってさえも。この後、このツールに関する提案、というよりも私の希望のリストを書いていきたい。January Ventures(ジャニュアリー・ベンチャーズ)の共同ファウンダーであるJennifer Neundorfer(ジェニファー・ニューンドーファー)氏と話して彼女の考えを聞いた後にまとめたものだ。

  1. 共同ファウンダーマッチングツールが最も向いているのは、自分のネットワークを持たず、初期段階で共同作業者を見つける方法を必要としている人たちだ。Startup Schoolは非常に大きいネットワークだが、クラス内の多様化と少数派登用に苦闘しているY Combinatorとしては、ファウンダーをマッチングさせる際にその問題を悪化させない方法を見つける必要がある。性別や民族によるフィルターは可能か?その機能はあるべきなのか? そこは危うい領域だ。
  2. YCは私にこう言った「Startup School参加者には地域年齢に関する情報を、最近追加した性別に関する自由記入テキストボックス以外尋ねていません。そして大部分の人たちは性別情報をまだ記入していません。現在私たちは、この情報を共同ファウンダーのマッチングに使用しています。女性であれば、女性共同ファウンダーを探しているというマークをつけることができ、その場合は共同ファウンダー候補として女性が選ばれる可能性が高くなります」。
  3. 双方が持つ情報が非対称である「逆選択」は実際に起きる。以前ニューンドーファー氏は、共同ファウンダーマッチングツールにはネットワークを持たないファウンダー「のみ」が集まると私に話したが、これは両者の経歴を組み合わせてもまだVCとのミーティングができない場合、あまり意味をなさない。共同ファウンダー・マッチングツールはよい加減の「ゴルディロックス状態」をどうやって見つけるのだろうか。起業家精神に関する鋭いスタートアップ思考を持つスター・プロジェクトマネージャーと、コーディングは大好きだがシリコンバレーにひとりも知り合いのいない大学院生の「両方」をどうやって引きつけるのか?
  4. それは(Tinderのように)右にスワイプするほど簡単ではない。果たしてYCは、マッチングサービス内の共同ファウンダーたちが相性を厳しく吟味する方法を簡単に学べる方法を見つけられるのか?NY Times(ニューヨーク・タイムズ)で人気となった恋に落ちる36の質問は、共同ファウンダー探しにも利用できる。

新ツールを発表したブロク記事で、YCはこの最後の点に言及した。「人はおそらく、1回デートしただけで結婚すべきではないでしょう。同じように、誰かと会社を共同設立するかどうかを決めるためにはビデオ通話が2回以上は必要でしょう」とブログに書かれている。「マッチした候補と実際に顔を合わせ、機会があれば、目的とゴールを明確にした期間限定のテストプロジェクトで一緒に働き、共同ファウンダーとの相性を慎重に吟味することをお勧めします」。

ともあれ、私は応援している。なぜなら、というか、誰でもそうだろう。ニューンドーファー氏はこう言っている「ファウンダーマッチングツールはファウンダーの供給を拡大しファウンダー基盤を多様化する興味深い方法です」。あとはツール群が多様性とアクセシビリティーを考慮して作られているかどうかだけだ。

この記事の後半では、IPO前の会社で起きた珍しい幹部のシャッフル、最新のウェブ・デリバリー・テック・スタックを深堀りしたExtra Crunchの特集EC-1、およびDidi(ディディ)を取り上げる。

Instacartシャッフル

画像クレジット:Instacart

Instacart(インスタカート)は、予定されているIPOを前に、Facebook (フェイスブック)幹部のFidji Simo(フィジー・シモ)氏を新CEOに指名した。食料品デリバリーのスタートアップは最新の評価額が390億ドル(約4兆3040億円)で、現CEOでファウンダーのApoorva Mehta(アプアバ・メフタ)氏は取締役会長に就任する。

関連記事:グローサリー配達のInstacartが新CEOにフェイスブック幹部のシモ氏を指名

注目ポイントはここだ:上場直前の重要な幹部シャッフルは稀でありかつ疑問符がつく。Instacartのメフタ氏は自身が10年近く前に創業した会社を公開する直前に現職を去ることになる。そして、The Information(ジ・インフォメーション)によると、シモ氏のCEO就任は、Instacartで長らく続いているFacebookの「人材漁り」の最新事例だという。同誌の推計によると、2021年にInstacartは、エンジニア、プロジェクトマネージャー、リクルーター、デザイナー、およびデータサイエンティストの計55人以上をFacebookから引き抜いている。もちろん、シモ氏の新しい仕事は、Facebookが最高ランクの女性幹部を1人失ったことを意味しており、すでに多様性に苦闘している会社にとって見っとも良い話ではない。

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EC-1のNS1特集

画像クレジット:Nigel Sussman

TechCrunchがスタートアップの設立から直面する課題への取り組みまで詳細に分析するEC-1の最新号はNS1を特集している。最新ウェブデリバリー技術スタックの中核を破壊しようとしている会社だ。

注目ポイントはここだ:この記事はITや大企業の仕組みの大ファンではない普通の人たちにとっても一読の価値がある。なぜか?そこでは資金豊富なビッグテック企業とVC支援の大物スタートアップでいっぱいの成熟した市場で、どうやってスタートアップが戦っていくかが書かれているからだ。そして、インターネット・トラフィックの再検討の必要性がなぜニッチな話ではないのかも。

EC-1記事

TechCrunchのEquityチームは今週特にすばらしい仕事をした。私はそこにいなかったので、ここでは多少バイアスの少ない私の言葉を読めるだろう。

注目ポイントはここだ:この回で一番興味深い部分は、Didi、および同社のが中国企業の米国上場に与える影響に関する話題だ。規制の問題には投資家の興味を薄れさせる効果があるが、DidiはTechCrunchがそれを指摘しなければならない唯一の事例ではない。

その他のニュース

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Y CombinatorInstacartDidi

画像クレジット:ALFRED PASIEKA/SCIENCE PHOTO LIBRARY / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nob Takahashi / facebook

中国で配車アプリDidiがストアから削除、不正個人情報収集疑いで

中国はアプリストア運営事業者にストアからDidi(ディディ)のアプリを削除するよう命じた。このところ中国最大の配車事業者と中国当局の間では緊張が高まっていた。Apple(アップル)の中国App Storeを含むいくつかのアプリストアからDidiがなくなっているのをTechCrunchは確認している。

現地時間7月4日に削除命令を明らかにした中国のネット規制当局は、Didiが違法にユーザーの個人情報を収集していた、と述べた。

Apple、SoftBank、Tencent、Uberなどを投資家に持ち、2021年6月下旬に上場したばかりのDidiは中国のデータ保護規則を遵守するよう命令されていた。

この動きは、中国のインターネット規制当局が今週初めに「国家安全保障上」の懸念でDidiを調査すると発表したことに続くものだ。Didiは6月30日に米ニューヨーク証券取引所に上場した。米国で過去最大のIPOの1つとなり、同社は少なくとも40億ドル(約4440億円)を調達した。

Didiはさまざまなアプリストアからアプリを削除し「修正」を 開始した、と声明文で述べた。また、7月3日に新規ユーザー登録を停止したとも明らかにした。既存ユーザーはこれまで通りアプリを利用できる。

Didiのようにかなり浸透しているアプリがアプリストアから削除されるのは極めて異例だ。2021年3月までの1年間でDidiは年間アクティブユーザー4億9300万人にサービスを提供し、毎日4100万件の取引があると最近明らかにしていた。

Didiの2021年第1四半期の月間ユーザーは1億5600万人で、Uberの9800万人を上回る。中国の公式データでは、2020年12月時点で配車サービスを利用する人は3億6500万人だった。これはDidiがかなりのマーケットシェアを握っていることを示している。

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カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:中国個人情報Didi

画像クレジット:Didi Chuxing

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(文:Manish Singh、Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

ついにソフトバンク、Uber、テンセントが出資する中国ライドシェア「Didi」がIPO申請

長年の憶測を経て、中国のライドシェアの巨人であるDidi Chuxing(滴滴出行)は、ついに米国でIPOを申請した。これを読むと、これまでの赤字の歴史が垣間見える。

Didiは資金調達の規模を公表しなかった。ロイターは、1000億ドル(約11兆円)近いバリュエーションで100億ドル(約1兆1000億円)程度を調達できるはずだと報じたウォール・ストリート・ジャーナル紙は、バリュエーションは700億ドル(約7兆7000億円)以上になるとしている。Uber(ウーバー)の時価総額は現在900億ドル(約9兆9000億円)を超えている。

目論見書によると、Didiの38歳の創業者であるCheng Wei(程維、チェン・ウェイ)氏は、IPO前で同社株式の7%を所有し、15.4%の議決権を支配している。主要株主であるソフトバンク・ビジョン・ファンドは21.5%を所有しており、Uberが12.8%、Tencent(テンセント)が6.8%と続く。

2016年にUberの中国事業を買収したことで有名な創業9年目のDidiは、今ではライドシェアプラットフォーム以上の存在となっている。バイクシェアリング、食料品、都市内貨物、ドライバー向け金融サービス、電気自動車、そしてコスト削減と安全性向上の可能性を秘めた「未来のモビリティのためのデザインの頂点」と定義するレベル4のロボタクシーなど、事業のラインナップは増えている。

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Didiは2020年5月、ソフトバンクの2つ目のビジョン・ファンドから5億ドル(約550億円)の出資を受けて自動運転車の子会社を設立した。この子会社は現在、500人以上のメンバーで構成され、100台以上の自動運転車を運用している。また、中国では、タクシーやライドシェアリング会社が化石燃料車からの脱却を進める中、同社はライドシェアリング用のEVも設計している。

市場での優位性

2021年3月末までの12カ月間に、Didiは4億9300万人の年間アクティブユーザーにサービスを提供し、1日あたり4100万件の取引を行った。第1四半期の月間ユーザー数は1億5600万人で、Uberの9800万人を大きく上回る。

中国の公式データによると、12月時点で3億6500万人のライドシェアユーザーがおり、Didiがかなりのシェアを占めていることがわかる。

中国でのモビリティーサービスは、一貫してDidiの売上の90%以上を占めている。同社は、ブラジルのライドシェア企業である99 Taxisを買収したように、海外十数カ国でそのプレゼンスを拡大しようとしている。そして、Didiの中国ベースのモビリティー売上の97%以上は、2018年から2020年の間にライドシェアからもたらされたものだ。その中にはタクシー配車、運転手、相乗りなども含まれている。モビリティビジネスは、2件の死亡事故を受けて見直された。

サードパーティのデータもDidiの優位性を物語る。アプリのトラッキング会社であるAurora Mobileによると、Didiの3月のアクティブユーザー数は7760万人だった。最も近いライバルであるGeelyが支援するCaocaoは、その10分の1にも満たなかった。

Didiは2018年から2020年まで赤字経営を続け、2020年は16億ドル(約1760億円)の純損失で1年を終えたが、2021年第1四半期には8億3700万ドル(約920億円)の純利益を計上して流れを変えることに成功した。この純利益は主に、資金を要する食料品のグループ購入を行うChengxin(橙心優選)の非連結化による投資利益と、投資していた株式の売却によるものだと思われる。

また、当四半期の売上高は前年同期比で2倍以上の66億ドル(約7260億円)となった。参考までに、Uberの同四半期の売上高は29億ドル(約3185億円)だった。

Didiは、IPOで得た資金の30%をシェアードモビリティー、電気自動車、自動運転などの技術に使う。また、30%は国際的な事業拡大に、さらに20%は新製品の開発に充てる予定だ。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:DidiIPO中国配車サービス

画像クレジット:Didi Chuxing

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi