Facebookはビデオ共有サービスが成長中だとしていくつかの数字を発表した。中でもFacebook Watchは毎月12億5000万人の訪問者を獲得しているという。
Netflixなどのビデオサービスの場合は驚くほどの成長(未訳記事)だったが、Facebookはこの数字が新型コロナウイルスの感染蔓延以前と比較してどのように変化したか詳しく明らかにしていないが、プロダクト責任者のParesh Rajwat(パレシュ・ラジワト)氏はロックダウンとソーシャルディスタンスの導入時に「非常に大きな増加があった」と述べた。社会活動は徐々に再開されているが、ブームが去る傾向はみられないようだ。
Facebook Watchは2018年にスタートしている。昨年6月に同社は1分以上このサービスを利用するユーザーは月間7億2000万人だと発表(Variety記事)した。
ラジワト氏は「WatchはFacebookのソーシャルネットワークをベースとして構築されている」と述べ、投稿されたビデオがFacebookの数多くのサービスで共有可能であることを指摘した。ただし統計数字はWatchそのものへの訪問者だ。
ラジワト氏は「投稿可能なビデオサービスを持つことはFacebookにとって極めて重要だ」と述べた。一方には人気のビデオクリエイターや製作者があり、他方には友達や家族と情報を共有するFacebookのユーザー体験がある。「これらを統合したことでまったく新しいプロダクをトユーザーに届けることができた」という。
Facebookは単なるユーザー数の拡張を目指しているのではないという。「ビデオに対してユーザーがどう反応しどれだけ共有するかによってサービスの効果が確認できる」とする。一方で広告主はFacebook Watchのユーザー・エンゲージメントの詳細を知りたがっている(CNCB記事)。
昨年テクノロジー企業メディア企業はビデオプラットフォームの構築に特に力を入れた。FacebookはFacebookのあらかじめ脚本を用意していないビデオのサービス(未訳記事)は他の同種のサイトに比べて魅力に乏しいと評価した。しかし同氏によればWatchはNetflixやDisney+を目指したわけではなかった。ラジワト氏は「ソーシャルメディアで共有され会話を活発にするようなコンテンツを重視した」と述べている。
例えば、Red Table Talkというシリーズは「マトリックス」シリーズなどで知られる女優のJada Pinkett Smith(ジェイダ・ピンケット・スミス)一家をテーマにしたトークショーで、Will Smith (ウィル・スミス)とジェイダが結婚問題を論じたエピソードがこの夏メディアのトップニュースになった(Jezebel記事)。Facebookでは来たる10月にRed Table Talkの新しいシリーズ「Red Table Talk: The Estefans」を準備している。これは歌手のGloria Estefan(グロリア・エステファン)と姪のLily(リリー)、娘のEmily(エミリー)が登場する。
Facebook Watchで成功を収めたもう1つの例としてラジワト氏が挙げるのはエミー賞を獲得したReturning the Favorというプログラムでトークショー・ホストのMike Rowe(マイク・ロウ)が日常生活で活躍する女性たちを取り上げる。
ラジワト氏はパンデミックによってライブ放送の比重が大きく高まったという。これにはスポーツも含まれ、1370万人がUEFAチャンピオンズリーグの決勝戦を見た。Facebook Watchのサッカー中継で最大の視聴者数となった。最近Facebookはビデオパブリッシャーやメディアは有料でライブイベントを中継できるが、Facebookは今後1年間手数料を課さないと発表している(ただしiOS上では30%課金される)。
またこのサービスにはこの夏からライセンスのある音楽やビデオのアップが始まっている(未訳記事)。Katy Perry(ケイティー・ペリー)の音楽ビデオであるSmileは、Facebook Watchで先行独占配信された。視聴者は数百万人に上ったという。
Facebook はまたFacebook Watchで成功を収めたパブリッシャーとして、総合格闘技のUFC、オンラインメディアのBuzzFeedに加えて、Benito Skinner(ベニト・スキナー)やメイクのアーティスト、BraannxoことBrandi Guice(ブランディ・ギス)などの個人を挙げている。Braannxoは収入の98%をFacebook Starsとファンのサブスクリプションから得ている。
このサービスの今後については「ユーザーが本当に関心を持つテーマにまさらに多くの投資が必要だ」という。この方向でFacebook Watchはユーザーがフィードをカスタマイズできるよう表示アルゴリズムとインターフェイスの改良を続けている(未訳記事)。
画像:Facebook
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(翻訳:滑川海彦@Facebook)