楽天も利用するECフルフィルメントの仏Cubynが欧州での事業拡大のために45.4億円を調達

パリを拠点とし、EC業者がフルフィルメントやロジスティクスをアウトソースできるようにする物流スタートアップのCubynは、新たに3500万ユーロ(約45億4000万円)の資金を調達した。

今回のラウンドはEurazeoとBpifrance Large Ventureが主導し、First Bridge VenturesとFuse Venture Partnersが参加した。既存投資家のDN Capital、360 Capital、Bpifrance Smart Cities fund、そしてBNP Paribas Développementもフォローオン投資を行った。

Cubynはこの資金調達により、2021年末までに85人のチームを170人以上に倍増させ、より国際的にサービスを展開していくという。まずはスペインとポルトガル(来月サービス開始)、続いてイタリア、英国、ドイツと展開していく予定だ。

印象的なのは、コストと配送時間の削減を目指して、今後数カ月のうちにパリ地区に2万5000平方メートルの「オートメーション化された」施設を開設することだ。

Cubynはもともと集配のみを行っていたが、1年半前、シリーズBで1200万ユーロ(約15億6000万円)の資金を調達した直後に「Cubyn Fulfilment」を立ち上げ、フルフィルメントにも参入した。

当時、「Cubynの倉庫に在庫を置くことも含め、フルフィルメントの全工程をカバーする完全な統合ソリューション」と説明されていたこの動きは、最近のパンデミックだけでなく、継続的なD2Cやマーケットプレイスのトレンドに促されたECブームを背景に、同社の成長を後押しした。例えばBack Market、楽天、Mirakl、FnacなどのマーケットプレイスがCubynを利用している。

その独自技術はマーチャントのロジスティクスを効率化することを目的としており、「ウェブアプリから、アルゴリズムや倉庫ロボティクスによる高度な最適化まで」とCubynはうたっている。その結果、完全に統合されたフルフィルメントソリューションを、業界標準の数分の一のコストで運用できるとしている。これにより、同社は流通取引総額(gross merchandise value、GMV)を3000万ユーロ(約39億円)から2020年には2億5,000万ユーロ(約324億5000万円)まで成長させている。

Cubynの共同創業者兼CEOであるAdrien Fernandez-Baca(アドリアン・フェルナンデス=バカ)氏はこう述べている。「Cubynは、従来のeコマースのサードパーティロジスティクス市場を根底からディスラプトし、より優れた、より速い、国境を越えたサービスを30%低い価格で提供しています。また、マーチャントの皆様には、新たな収益源を提供するだけでなく、国際的な展開により新たな市場を開拓するとともに、コストや配送速度の面で他の選択肢をはるかに凌駕しています」。

Bpifrance Large Venture FundのAntoine Izsak(アントワーヌ・イザーク)氏はこう述べた。「新型コロナウイルスは、信頼性、拡張性、技術力に優れたフルフィルメントソリューションを求めるマーチャントのニーズを加速させまし。Cubynと協力して、今後数ヶ月のうちにヨーロッパ全域でビジネスを拡大できることを楽しみにしています」。

フェルナンデス=バカ氏は次のように付け加えた。「現在、当社の出荷の85%はフランス国内、15%は国際配送です。今回の資金調達により、この比率は半々になると予測されます」。

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カテゴリー:その他
タグ:物流 資金調達

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(文:Steve O’Hear、翻訳:Aya Nakazato)

腸内細菌バイオスタートアップのメタジェンセラピューティクスが9000万円の資金調達

腸内細菌バイオスタートアップのメタジェンセラピューティクスが9000万円の資金調達

マイクロバイオームサイエンスを活用した創薬・医療事業を推進するメタジェンセラピューティクス(MGTx。Metagen Therapeutics)は3月17日、第三者割当増資による総額9000万円の資金調達を発表した。引受先はファストトラックイニシアティブおよび慶應イノベーション・イニシアティブが運営するファンド。

マイクロバイオームとは、微生物の集合(微生物叢。びせいぶつそう)、その遺伝情報の全体、微生物叢が存在する環境を含めた言葉。腸内細菌をはじめ人間の体にも共生的に存在しており、健康状態と密接に関連している。細菌(バクテリア)集団の場合は、バクテリオーム(細菌叢)と呼ばれることもある。

MGTxは、腸内細菌叢研究において国内有数の実績を有するチームからなるマイクロバイオームスタートアップで、腸内細菌移植療法(FMT)に用いる製剤を開発している。

現在FMTは、偽膜性腸炎を対象とした先進医療や炎症性腸疾患に対する臨床研究にて実施されているものの、FMT製剤の品質基準設計やそのサプライチェーン構築など、普及に向けた課題が存在するという。

MGTxはグローバルスタンダードに準じた安全なFMT製剤の安定的なサプライチェーンを構築し、国内におけるFMTの普及を促進するとしている。また、腸内細菌叢データを活用することで、マイクロバイオーム創薬へと事業分野を拡大する。

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カテゴリー:バイオテック
タグ:資金調達(用語)腸内細菌(用語)マイクロバイオーム(用語)メタジェンセラピューティクス(企業)日本(国・地域)

Google ドライブ、TrelloやMiroと統合可能なコラボ重視のビデオ会議「Whereby」がシリーズAで13億円調達

Zoom(ズーム)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)の3社はパンデミックの際にバーチャルミーティングの分野でトップに躍り出たが、ノルウェーの勇敢なスタートアップには独自の構想があった。ビデオ会議のスタートアップWherebyは、ドイツのVCであるPoint Nine、SaaStrファンド、および20人以上のエンジェル投資家からシリーズAで1200万ドル(約13億円)を調達した。

同社のエンジェル投資家には、ProducthuntのCEOであるJosh Buckley(ジョッシュ・バックリー)氏、Hustle Fund(ハッスルファンド)のElizabeth Yin(エリザベス・イン)氏、Saastrの創業者であるJason M. Lemkin(ジェイソン・M・レムキン)氏などが含まれる。

Whereby社のCEOであるØyvind Reed(オイヴィンド・リード)氏は、声明の中で次のように述べた。「この1年で、多くの人が仕事の未来に疑問を持ちました。ビデオ会議は今後も、私たちの生活の大部分を占めることになるでしょう。これまで以上に、私たちがつながるために使用するツールは、効果的で楽しいミーティングを可能にし、フォーカス、コラボレーション、ウェルビーイングを提供するものでなければなりません」。

Wherebyのプラットフォームには3つの料金プラン(無料を含む)があり、他のビデオプラットフォームとは異なり、ユーザーはGoogle ドライブ、Trello、Miroなどのツールを直接ウェブ会議に埋め込むことができる。同社によると昨年、Wherebyのユーザー数は150カ国で450%増加したという。

共同創業者のIngrid Ødegaard(イングリッド・オーデガード)氏は2016年のOslo Innovation Weekで、Wherebyを筆者にコーヒーテーブルの上でデモしてくれた。私は同社がAppear.inから名前を変えた頃から存在していた自分のユーザーネームを瞬時に設定することができた。イングリッドはインタビューの中でこう語っていた。「より人間中心に、リモートでのコラボレーションに伴う人間の問題に焦点を当てようとしました。多くの人々が犯す大きな間違いのひとつは、オフィスでの行動をそのまま再現しようとすることですが、当社は、実際には根本的に異なる方法で仕事をする必要があると考えています。必要なときに簡単に会議に参加できるようにすることで、人々がそのような行動をとれるようにしたいと考えています。しかし、私たちの目標は、人々にもっと多くのミーティングをさせることではなく、むしろその逆です」。

このスタートアップの秘密兵器は、エンタープライズインテグレーションだ。昨年、英国の開業医とビデオ会議をしたとしたら、それはおそらくWherebyのビデオを使ったものだろう(実際、私もそうだった!)。その理由は、Wherebyが同社の最大のAPI顧客のひとつであるAccuRxと契約を結び、英国の国民保健サービス(National Health Service、NHS)がAccuRxのソフトウェアを使用しているからだ(WherebyはAccuRxのプラットフォームの一部としてビデオAPIを提供している)。

Point NineのパートナーであるChristoph Janz(クリストフ・ヤンツ)氏はこう述べている。「昨年はビデオ会議が大々的に導入されましたが、今はユーザーエクスペリエンスを次のレベルに引き上げることが重要であり、それを先導するのがWherebyです。スカンジナビアのスタートアップが、ハイテク巨人たちと肩を並べて活躍しているのは素晴らしいことです」。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:ビデオチャット 資金調達

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

脆弱性矯正修復プラットフォームのVulcan Cyberが22.9億円調達、脆弱性スキャナーを無料で提供

テルアビブのVulcan Cyberは、企業のシステムが抱える脆弱性のプライオリティ探り、それらを修復矯正するセキュリティのスタートアップだ。同社は米国時間3月17日、Dawn CapitalがリードするシリーズBのラウンドで2100万ドル(約22億9000万円)を調達したことを発表した。Wipro Venturesと、既存の投資家であるYL VenturesとTen Eleven Venturesもこのラウンドに参加している。Vulcan Cyberによると、新たな資金はセキュリティ改善のための新しいソリューションの展開と、Vulcan Freeと名づけた、リスクの大きさに基づく脆弱性管理プラットフォームの立ち上げに投じられる。

このラウンドでVulcan Cyberのこれまでの総調達額は3500万ドル(約38億1000万円)になる。。同社によると、2020年には年間経常収益と新規顧客アカウント数が500%増加し、各ユーザーの同プラットフォームのユーザー数は通常10から100人だった。

画像クレジット:Vulcan Cyber

同社が常に重視するのは、ありうる脆弱性に対する顧客への単なる警告ではなく、それらにリスクと企業の事業資産への脅威の重さで優先順を付けることだ。結局のところ企業のセキュリティチームはアラートの多さに圧倒されてしまうが、スキャナーが表している脆弱性のすべてが、事業にとってプライオリティの高いリスクではない。そこでVulcan Cyberのプラットフォームが顧客に約束するのは、これらのチームが最も重視しリソースを割り当てるべき脆弱性を判断できるようにすることだ。

今回のニュースで大きいのは投資の案件だが、Vulcanの最新の無料サービスも注目に値する。Vulcan CyberのCEOであるYaniv Bar-Dayan(ヤニブ・バー・ダヤン)氏の次のように語る。

「サイバーセキュリティのプロは20年近くも、Nessusのようなオープンソースの脆弱性スキャナーを使ってきた。しかし最近では、脆弱性管理プログラムがリスクに基づく脆弱性管理ツールを使って、スキャンの結果に優先順を付け、具体的なリスクを判断して矯正努力にフォーカスしている。成熟度の高い矯正プログラムでは、スキャンと優先順位づけが、基盤となる必要なファンクションだ。しかしこれからの業界は、スキャナーを補う脆弱性の優先順位づけエンジンを無料で利用できる。今回得た資金で私たちはVulcan Freeサービスをサイバーセキュリティの業界に提供し、企業がサイバーの衛生を達成できるようにする。これによって市場の経済性がシフトし、CISOやCIOたちはもっと多くの予算とリソースを、単純なスキャンと優先順の出力だけでなく、実際の矯正修復努力に投じることができるようになる。そして我々の業界は、修復をもっと効果的に行えるようになるだろう」。

今回の新しい無料プロダクトにより、VulcanのフリーミアムにはVulcan Freeが含まれるようになる。それには同社のサービスの中核である脆弱性の優先順位づけと脆弱性管理機能の一部が含まれ、また既存の無料の脆弱性インテリジェンスデータベースも含まれる。

カテゴリー:セキュリティ
タグ:Vulcan Cyber資金調達

画像クレジット:Vulcan Cyber

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ソフトバンク出資のインド保険プラットフォームPolicybazaarが81.7億円調達、UAEと中東に事業拡大

インドのオンライン保険プラットフォームPolicybazaar(ポリシーバザール)は7500万ドル(約81億7000万円)を調達し、UAE(アラブ首長国連邦)と中東に事業を拡大しようとしている。

CEOのSarbvir Singh(サーブビール・シン)氏は、同社は7500万ドルを調達したが、苦労しなかったとTechCrunchに語った。調査会社Tracxnによると、Falcon Edge Capitalがラウンドをリードし、Policybazaarの累計調達額は6億3000万ドル(約686億円)になった。

ソフトバンクグループのビジョンファンドやTiger Globalから出資を受けている創業12年のPolicybazaarは、州や銀行が支援する保険会社が牛耳っているインドの保険マーケットをひっくり返そうと試みている一握りのスタートアップの1社だ。

Policybazaarはユーザーが保険を比較して購入できるアグリゲーターとしてサービスを提供している。従来のエージェントを通さずにウェブサイト上で数十の保険会社の生命保険、健康保険、旅行保険、自動車保険、損害保険などをカバーしている。

Policybazaarのウェブサイトのスクリーンショット

人口13億人のインドでは、ほんのわずかな人だけが保険にアクセスしていて、デジタル企業は保険サービスを大衆に提供することの重要さを証明するかもしれないと一部のアナリストは話す。ICRA(インターネット・コンテンツ・レイティング協会)によると、2017年時点で保険商品は人口の3%弱に提供された。

世界銀行によると、インド人の平均年間所得は2100ドル(約22万8000円)だ。その中で保険を購入した人は2017年に50ドル(約5400円)弱を支出したとICRAは推定した。

Bernsteinのアナリストは直近のレポートで、Policybazaarがオンライン保険販売マーケットのシェア90%を握っていると推計した。Policybazaarはまたローンやクレジットカード、投資信託の商品も販売している。1カ月あたり100万の商品を販売していると同社は話す。

「インドは保険浸透不足のマーケットです。そうした中で、Policybazaarのようなウェブアグリゲーターを通じたデジタル販売は同産業の1%以下を担っています。これは成長する余地が大いにあることを示しています」とBernsteinのアナリストはクライアント向けに書いた。

2022年に予定するIPOに取り組んでいるPolicybazaarは、調達した資金をUAEと中東地域での事業拡大に使うと話した。

「Policybazaarはインドのオンライン保険アグリゲーション分野のマーケットリーダーとしての地位を確立する中で、輝かしいイノベーション、実行、そして絶え間ない努力を示してきました。同社が保険会社のために最も効率的な販売チャンネルにいた過去10年で確立した戦略はGCCでマーケットリーダーシップを獲得するための触媒として作用すると確信しています」とFalcon Edge Capitalの共同創業者Navroz Udwadia(ナブロズ・ウドワディア)氏は声明で述べた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Policybazaarインド資金調達保険ソフトバンク・ビジョン・ファンド

画像クレジット:Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

英フィンテックInvstrが21.8億円を追加調達、ライバルRobinhoodとの競合戦線が激化

投資アプリに対する最大の不満は、ユーザーを適切に指導せず自力で何とかさせようとする無責任な態度だ。その結果多くの人々がお金を失っていることは、Robinhoodを(ロビンフッド)相手取った訴訟が数多くあることが証明している。

現地時間3月18日、これまで8年間金融教育「だけ」に焦点を当ててきた企業が、証券取引と銀行サービスを米国で開始した。

英国・ロンドン拠点のInvstrは、教育プラットフォームを何年にもわたって運営し、投資アカデミーなどのサービス提供してきた。同社が作ったFanatsy Finance(ファンタジー・ファイナンス)ゲームは、ユーザーが100万ドル(約1億1000万円)の架空ポートフォリオを管理して、実際に自分のお金をリスクに晒す前に市場について学ぶことができる。ソーシャルゲーム化することで、Invstrは学習プロセスを楽しみに変えようとした。

さらに同社はコミュニティを作ってユーザーが互いに学びあえるようにしている(別のRobinhood競合であるGatsbyも行っている)。

これまでに全世界で100万人以上のユーザーがInvstrをダウンロードした。

CEOでファウンダーのKerimDerhalli(ケリム・デルハリ)氏によると、Invstrは教育・学習ツールを前面に出すことでライバルとは異なるアプローチをとっている。また、ユーザーに手数料無料の株取引サービスを提供するだけでなく、Invstr+口座を使うことでデジタルバンキングと投資を1カ所で行えるので「お金をあちこち移動する必要がない」。

Invstrは、サブスクライバー向けサービスをさらに一歩進めて、実績データと行動分析などを示す「Invstr Score」を提供している。

会社をこの方向に進めることは、設立当時から彼のビジネスプランの一部だった、とデルハリ氏はいう。

「米国で最も強力なトレンドは、自律志向型投資だと思っています」とデルハリ氏がTechCrunchに語った。「若い世代はアプリの世界で育ち、アプリが自動的に何でも自分のためにやってくれることを期待しています。若者の多くがバンキングシステムを信用しておらず、親のバンキングや金融のやり方を真似たくないと思っています。これは巨大なチャンスだと私たちは思いました」。

新サービスの提供にあたり、3月17日にInvstrは、2000万ドル(約21億8000万円)のシリーズAラウンドを転換社債形式で完了したことを発表した。これまで2度のシードラウンドで計2000万ドルを調達しており、Ventura Capital、Finberg、ヨーロッパのエンジェル投資家であるJari Ovaskainen(ヤリ・オヴァスカイネン)氏、元MastercardのグローバルチェアマンであるRick Haythornthwaite(リチャード・ヘイソーンスウェイト)氏らが出資した。

デルハリ氏は、知識と自信がないために投資を始められない人を間近に見てきたことで、Invstrを設立することを決意したと語った。同氏は30年にわたり、ドイツ銀行、リーマン・ブラザーズ、メリルリンチ、JPモーガンなどの上級幹部を務めた後、「誰でも、どこででも、投資のやり方を学べるように」Invstrを設立した。

Invstrは、新たな投資サービスをApex Clearingとの提携によって提供している。かつて約定・決済サービスをRobinhoodに提供していた企業だ。デジタルバンキングサービスはVast Bankとの提携による。セキュリティ面を強化するために、InvstrはユーザーデータがOktaのテクノロジーによって保護されていると語った。

同社はニューヨークとイスタンブールにもオフィスがあり、新たな資金を元に新たな仲介・分析ツールとポートフォリオビルダーを開発する予定だ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Invstr資金調達

画像クレジット:Somyot Techapuwapat / EyeEm / Getty Images

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nob Takahashi / facebook

「eBayとネオバンクの融合」したフィンテックDiemが約6億円調達、Fasanara Capitalがリード

英国・ロンドンに拠点を置くフィンテックスタートアップのDiemが、Fasanara Capitalとエンジェル投資家であるOutrun Venturesの創業者となるChris Adelsbach(クリス・アデルスバッハ)氏がリードするシードラウンドで、550万ドル(約6億円)を調達した。その他の投資家には、Farfetchの初期投資家であるAndrea Molteni(アンドレア・モルテニ)氏、ファッションテック企業のPlatformEの共同会長であるBen Demiri(ベン・デミリ)氏、ブランドの創始者であるNicholas Kirkwood(ニコラス・カークウッド)氏が含まれる。

Diemはデビットカードで、アプリを使えばすぐに現金にアクセスでき、従来の銀行サービス(デビットカード、国内および海外への銀行送金)が利用できるだけでなく、消費者が商品を処分して最終的に再販することもできる。これはいわゆるサーキュラーエコノミー(循環型経済)につながるもので、エコの観点からも魅力的だ。過去15年間に廃棄された商品の価値は69億ドル(約7500億円)ともいわれている。

その仕組みは次のようなものだ。例えば古い服や携帯電話、本、バッグなどのアイテムをアプリ読み込むと、アプリはその品物の価値を提示する。そしてそれを受け入れるとアカウントに現金が入り、そのアイテムを購入するための環境が整い、再販される。アイテムを捨てて埋立地に加えるのではなく、現金に代えるというインセンティブが働くのだ。「eBayとネオバンクの融合」と考えればいい。

Geri Cupi(ジェリ・キューピ)氏は声明の中で「Diemのミッションは消費者が今まで知らなかった富に価値を見出し、それを開放し、楽しめるようにすることです。これらは循環型経済を促進し、私たちの重要なバリュー・プロポジション(価値提案)である持続可能性へのコミットメントをサポートしながら行われます。Diemは、資本主義と持続可能性の共存を可能にします」と述べた。

Fasanara Capitalのリードインベスター兼CEOのFrancesco Filia(フランチェスコ・フィリア)氏は次のように述べている。「FasanaraはDiemとキューピ氏とのパートナーシップを発表することに興奮しています。【略】(この会社は)循環型経済の原則を原動力とする新世代のフィンテックであり、その成長をサポートすることを楽しみにしています」。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Diem資金調達循環型経済サステナビリティ

画像クレジット:Diem

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(文:Mike Butcher、翻訳:塚本直樹 / Twitter

獣医とその顧客向けアプリDigitailがbyFounders率いるシードラウンドで約2.7億円調達

獣医の手術とその顧客のためのクラウドサービスであるDigitailは、byFoundersとGradient Ventures(GoogleのAIファンド)が主導し、PartechとDr. Ivan Zakharenkov(Smartflow)などの一連のエンジェルが参加したシードラウンドで250万ドル(約2億7000万円)を調達した。このスタートアップは、すでにFast Track Malmoから(2019年のプレシードラウンドにて)支援を受けている。Digitailは現在2000人の獣医によって16カ国で使用されている。

Digitailは自社の動物病院や動物病院向けの「オールインワン」診療管理システムについて「獣医がワークフローを簡素化し、自動化を推進し、診療所にいなくても飼い主がペットと関わることができる」と述べている。

ペットの飼い主のためにDigitalは、PIMSに直接接続され、ペットのデジタルIDとして機能する顧客アプリ「Health Card for pets」を提供する。これにはペットの病歴が記録されており、飼い主はアプリ内のチャットで獣医とコミュニケーションをとったり、次回の予約をしたり、ペットに関するその他の重要な情報を保存できる。

創業者はCEOのSebastian Gabor(セバスチャン・ガボール)、CPOのRuxandra Pui(ルクサンドラ・プイ)らだ。彼らに加えて、社内の獣医師であるAlexandru Gheorghita(アレクサンドル・ゲオルギタ)も参加している。

ガボール氏は声明の中で「ペットケアは今でも90年代のように行われています。全体的なビジョンとアプローチが欠如しているため、データの統合や業界の主要プレイヤー間のコラボレーションが行われていません。その結果、獣医は時代遅れのツールに頼らなければならず、コラボレーションやイノベーションは停止しています」と述べた。

競合にはシリーズAで800万ドル(約8億7000万円)を調達したRhapsody.vetや、EzyvetHippo Managerなどがある。しかしDigitailによると、同社のオールインワン方式は他社よりも優れているという。

ある推計によると、米国のペット所有者の約39%がミレニアル世代だという。Digitailはアプリで獣医の予約や手配をしたい顧客を探している、新しい世代の獣医師に向けビジネスを展開している。医師の手術を目的としたアプリと同様、Digitailのプラットフォームは顧客データを処理し、手術を実行できる。ペットケア業界は2025年までに2000億ドル(約22兆円)規模に達すると予測されている。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Digitail資金調達ペット

画像クレジット:Digitail

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(文:Mike Butcher、翻訳:塚本直樹 / Twitter

企業のR&D戦略をサポートするPatSnapがソフトバンクなどから約327億円調達

世界中の企業が競争力を保つために研究と発明に資金を注ぐにつれ、R&D費用の価値の分析に対する需要も増大している。

そうした役割を担っているのがPatSnap(パットスナップ)だ。共同創業者のJeffrey Tiong(ジェフリー・ティオン)氏は10年以上前に医療機器業界で働いていたとき、知的財産や特許がテックの世界でいかに重要かを認識した。

2007年にティオン氏はグローバルの特許検索データベースを構築するためにシンガポールでPatSnapを立ち上げ、他の特許絡みの分野へと事業を拡大した。同氏が「インベーションインテリジェンス」と名づけたPatSnapの直近のソフトウェアは、R&D戦略の分析、競合相手の追跡、そして科学論文や政府のR&D助成金、スタートアップ資金調達ニュースなどのデータ処理による潜在的パートナーの特定で企業をサポートする。

「わかったのは、多くの企業がイノベーションを部門、機能、そして組織内のKPIとして扱っているということでした」とティオン氏は話した。「企業の多くが、どんなテクノロジーがいまあるのか、それを誰が手がけているか、といったことを調べるスタッフを雇っています。すべてを自分で行うというのは最近は無理です。パートナーが必要です」。

投資家らはR&Dブームに注意を払っている。最新の資金調達ラウンドでPatSnapはリード投資家としてソフトバンクのビジョンファンドⅡとTencent(テンセント)を引きつけた。3億ドル(約327億円)のシリーズEラウンドには、中国の国有コングロマリットCITIC Group(中国中信集団公司)傘下のCITIC Industrial Fund、Sequoia China、Xiaomiの創業者Lei Jun氏のShunwei Capital、そしてVertexの投資部門であるVertex GrowthとVertex Ventures Southeast Asia & Indiaが参加した。

ソフトバンク創業者で億万長者の孫正義氏はPatSnapのディールで決断を下す前にティオン氏と30分弱電話で話した。孫氏は20代前半に、後に100万ドル(約1億900万円)で販売したデバイスを発明して特許を取得した。「なので彼は発明、IP(知的財産)、イノベーションの重要性を理解しています」とティオン氏は述べた。

ティオン氏はTechCrunchとのインタビューの中でPatSnapのポストマネー評価額を明らかにするのは却下したが、10億ドル(約1090億円)を超えたと話した。

特許出願ブームにある中国はPatSnapの売上源として急速に成長しているが、同社にとって最大のマーケットは米国だ。世界知的所有権機関(WIPO)は1999年に中国からわずか276件の申請を受け取った。2019年にはその数は5万8990件に増え、米国の件数を上回った。

しかし欧米に比べて、中国企業はソフトウェアに大金をかけることにさほど熱心ではなく、そのためSaaS企業が中国で収益を上げるのは難しい。PatSnapは中国ではZhihuiyaというブランド名で展開しており、顧客は小売ブランドから研究機関、AI会社、製薬大手など多岐にわたる。

特許の激増はすぐさま技術的影響力に結びつくわけではない。R&D支出という点で米国は依然として中国の先を行っている、とティオン氏は述べた。さらに「中国の特許の質はさほど強固なものではなく、多くは画期的な発明ではなく漸進的なイノベーションです」と付け加えた。

PatSnapは50カ国超に1万超の顧客を抱えると話す。従業員700人は米国、欧州、カナダ、日本、中国に散らばっている。名の知れた顧客にはTesla、General Electric、Siemens、Dyson、PalPal、Spotify、Megviiなどがある。新たに調達した資金でPatSnapはプロダクトをさらに開発して専門性を一層深め、グローバルで存在感を高め、そして人的資本に投資する計画だ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:PatSnap資金調達ソフトバンク・ビジョン・ファンド

画像クレジット:PatSnap’s software

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

電動キックボードのUnagiが新たに米6都市でサブスクサービスを展開

ポータブルでデザイン重視の電動キックボードを手がけるスタートアップUnagi(ウナギ)は調達した1050万ドル(約11億4000万円)を元にサブスクサービスを米国の6都市で新規展開する。

Beats Musicの元CEOであるDavid Hyman(デビッド・ハイマン)氏とMogの共同創業者が2018年に立ち上げたUnagiは米国時間3月17日、サブスクサービスをオースティン、マイアミ、ナッシュビル、フェニックス、サンフランシスコ、シアトルで開始すると明らかにした。同社はまたニューヨークとロサンゼルスの首都圏でもサービスを拡大する予定で、ここにはニューヨーク市の5区、ロングアイランド、ウェストチェスター、北部ニュージャージ、ウェストサイド、南東L.A.、サンフェルナンド・バレー、オレンジ郡などが含まれる。

これらのエリアは潜在消費者が計3000万人のマーケットだ。シリーズAのラウンドはEcosystem Integrity Fundがリードし、Menlo Ventures、Broadway Angels、Gaingelsなどが参加した。

今回のサービス拡大の6カ月前にUnagiは「All Access」サブスクサービスをニューヨーク市とロサンゼルスで試験していた

関連記事:電動キックボードのUnagiがニューヨーク市とロサンゼルス市でサブスクを提供開始

同社はサブスクサービスを提供する唯一の電動キックボード企業ではないかもしれない。同社は急速に知られるようになり、米国で最大のリーチをもつサービスになりつつある。Bird(バード)も2019年に似たようなサービスを立ち上げたが、その後の展開はなかった。

数年前にTechCrunchが「キックボードのiPhone」と名づけたUnagiはデュアルモーター搭載のModel Oneという電動キックボードを月49ドル(約5300円)で提供している。電動キックボードを所有するのに990ドル(約10万8000円)も払いたくない広い階層の人々がにアクセスしやすくするのが狙いだ。ハイマン氏によると、スリークなデザインで頑丈、そして驚くほど軽量な電動キックボードの販売は35歳以上の男性を主なターゲットにしている。一方で、Unagiのサブスクサービスはすてきなものは好きだがコミットメントは好まないというミレニアル世代のヤッピーたちに重きを置いている。

「当社のマーケットは純粋に都市部であり、企業理念は『もしあなたが当社の電動キックボードを持って3階上れなかったら、それは我々がしたいものではない』というものです」とハイマン氏はTechCrunchに語った。「所有以外のアクセスを好み、責任やメンテナンスの懸念を抱えたくないという消費者の世代があると思います」。

これはキックボードで育った世代と同じであり、彼らは路上で見かける電動キックボードの乗り方を直感的に知っている。部分的にはこれが電動キックボードが近年大成功した理由だと同氏は述べた。

グローバルの電動キックボードマーケットは今後10年は年8%ほどで成長し、2030年までに420億ドル(約4兆5720億円)に達すると予想されている。Unagiとカリフォルニア大学バークレー校ハース・ビジネススクールが共同で行った調査に基づいて、シェアリングは電動キックボードマーケットの3分の1を占め、残りが所有とサブスクとなるとハイマン氏は推測している。サブスクモデルは、利用可能な電動キックボードを探したり、見つけても最後のライダーがそこら中にウイルスを咳で撒き散らしたのではないかと心配したりする必要がないため、シェリングモデルよりも魅力的だと同氏は話した。

Unagiのセールスポイントは、前もって価格が決められていること、そしていつでもサブスクをキャンセルできるため、心配いらずのエクスペリエンスとなることだ。月極料金にはメンテナンスや紛失・盗難・ダメージの保険が含まれている。ただ、いくつかの決まりもある。最低3カ月の利用、そしてセットアップ料金50ドル(約5400円)を払わなければならない。

ハイマン氏はサブスクモデルが成長するには少し時間がかかるが、成長すればUnagiの稼ぎ頭になると考えている、と話した。同氏によると、パイロット事業を展開した都市でサブスク電動キックボードの需要があり、2019年から2020年にかけてUnagiは450%成長した。しかし具体的な数字の公開は拒否した。

もしワクチン接種した人々が通常の通勤スタイルに戻ったら、電動キックボード熱は最終的に落ち着くかという質問に対して、同氏は「当社のプロダクトの主要なユースケースは通勤であるため、実際にはパンデミックで当社は打撃を受けたと考えています」と話した。

「都市では人々の乗車の大半は3マイル(約4.8km)以下です。そしてポータブルな電動キックボードを持っていることで何でもできます。持ち運びはかなり簡単で、施錠や盗難、あるいはアパートや地下鉄への持ち込みの心配をする必要はありません」と語った。

電動キックボードの重さは26ポンド(約11.8kg)で、畳んだときにどちらの車輪ででもバランスを取ることができる。ライダーの体重、そして1つのモーターで走行するかあるいは2つのモーターで他のライドシェア電動キックボードを追い抜くかにもよるが、フル充電で8〜15マイル(約12.8〜24km)走行可能だ。

サブスクモデルは電動キックボード販売とうまく噛み合っている。というのも、再利用できるからだ。サブスク利用者は新しい電動キックボードの提供は保証されず、前に誰かが所有していたものが回ってきがちだ。Unagiはハイエンドな材料での製造を約束しているため、定期的なメンテナンスで3〜5年、電動キックボードを利用できると同社は話す。

最終的にApple MusicになったMOGの音楽サブスクのようなサブスクビジネスモデルを作った経歴をもっているハイマン氏は、電動キックボードというかたちでハードウェア・アズ・ア・サービスを提供する個人的な理由がある。クルマより自転車が一般的なアムステルダムに同氏は3年間暮らしたことがある。

「通勤が3マイル以下の人がどれだけいるかを考えると、街にこれほど多くのクルマがあるという事実はばかげたものです。私たちは、街からクルマを追い出すことに夢中になっています」と同氏はいう。

【更新】以前の記事でUnagiは3カ月のサブスクリプションが必要とされていたが、同社はその要件を廃止することを決定した。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Unagiアメリカ資金調達電動キックボード

画像クレジット:Unagi

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

ウェブサイトビルダーのSquarespaceが1.1兆円の評価額で327億円調達、秘かに上場申請済み

ウェブサイトビルダーとして長い歴史を持つSquarespaceが、100億ドル(約1兆1000億円)という驚異的な評価額で3億ドル(約327億円)の資金を調達した。

新たな投資家はDragoneer、Tiger Global、D1 Capital Partners、Fidelity Management & Research CompanyおよびT. Rowe Price Associates, Inc.のアドバイスによるファンドとアカウント、そしてSpruce Houseだ。以前からの投資家であるAccelとGeneral Atlanticもこのラウンドに参加した。

Squarespaceの創業者でCEOのAnthony Casalena(アンソニー・カサレナ)氏によると、新たな資金により同社の成長を促進し、またそのプロダクト群の拡大を図りたいという。

実はこの資金調達の2カ月足らず前、同社は直接上場またはIPOによる上場を秘かに申請している

関連記事:ウェブサイト構築とホスティングサービスのSquarespaceが非公開でIPOを申請

自分のウェブサイトを作りたいという人をこれまで何百万人も助けてきたSquarespaceは2003年に創業され、2010年にAccelとIndex Venturesが共同でリードするシリーズAで3850万ドル(約42億円)を調達するまで自己資本のみでやってきた。

同社のネット上でのウェブサイト制作とそのホスティングをするサービスは、今ではeコマースにも手を広げ、オンラインの店舗もホストしている。2014年には新たに4000万ドル(約44億円)を調達したが、おそらく最もよく知られているのは2017年に多くの人をあっと言わせたGeneral Atlanticによる2億ドル(約218億円)の二次ラウンドだ。そのときの投資前評価額は15億ドル(約1635億円)だった。今回の評価額が100億ドルであるため、3年ほどで5倍以上になっている。

当時TechCrunchは、Squarespaceは黒字企業で売上は前年比50%増の約3億ドル(約327億円)と報じている。しかし今回のラウンドに関してはコメントもなく、同社のウェブサイトにリリースがあるだけだ。

ニューヨークに本社のあるSquarespaceは、1200名ほどの社員がNY本社をはじめアイルランドのダブリンやオレゴン州ポートランド、カリフォルニア州ロサンゼルスなどのオフィスで働いている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Squarespace資金調達新規上場

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Hiroshi Iwatani)

レシート買取アプリのWEDが寄付アプリ「dim.」をリリース、寄付を身近に、簡単に

寄付をより身近に、簡単にするdim.

寄付をより身近に、簡単にするdim.

レシート買取アプリ「ONE」などを提供するWEDは3月18日、スマホから3ステップで簡単に寄付できる無料アプリ「dim.(ディム)」をリリースした。dim.は寄付先に個人情報が共有されない。寄付金額は1000円からとなっており、寄付が初めてのユーザーも気軽に行うことができる。

寄付アプリdim.の開発背景

WEDは2016年に設立し、2018年にリリースしたレシートや画像がお金に変わるアプリのONEは、2020年に100万ダウンロードを超えた。2021年3月8日からは全国の一部エリアでONEのテレビCMを放送するなど、これまでONEに力を入れてきた。

現在、人や社会、環境に配慮した消費行動「倫理的消費(エシカル消費)」が世の中で注目を集めている。「消費の未来を追求する」というコンセプトで事業を展開するWEDは、エシカル消費をより身近なものにしようとdim.を開発するに至った。

dim.の開発にはもう1つ理由がある。WEDの山内奏人代表が2020年末に救急車で病院に搬送され、医療現場のひっ迫した現状を目の当たりしたことだ。幸いなことに山内氏の体調は回復したが、大変な状況下でも人を救う医療従事者の姿を見た時に感じた「自分でも何かできないのか」という想いが開発のきっかけとなったという。

寄付を身近に、簡単にするdim.

 寄付を行うまでの壁を取り払う

寄付を行うまでの壁を取り払う

これまで、テレビやインターネットのニュースなどで大変な状況を知り、寄付をしたいと考えたことはないだろうか。しかし多くの人が「どこに」「どうやって」寄付をすればいいのか、その具体的な方法がわからず、実際に行動を起こせないことも少なくなかった。

そのため、WEDは簡単に寄付ができる仕組みを作り上げた。まずdim.では寄付先を選び、寄付プランを決める。住所やクレジットカードといった支払情報を入力した後、SMSに届いたメッセージから支払いをするだけで寄付が完了する。支払方法はクレジットカードやApple Payでも可能。2回目以降は支払情報の入力をスキップできる。WEDは消費者が寄付を思い立った瞬間に行動を起こしやすくすることで、エシカル消費の普及を促進していく狙いだ。

dim.はリリース時点で、災害支援や人道支援を行うピースウィンズ・ジャパンと、日本動物愛護協会、子供の貧困問題などを支援するフローレンス、民間の国際援助団体のセーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、東日本大震災で被災した子供を支援するハタチ基金の5団体が寄付先として選択できる。

寄付金額の下限は1000円で、上限は100万円とした。ユーザーは寄付プランとして1000円、2000円、5000円、1万円、10万円、50万円、100万円の7つから、希望する金額を選ぶ。また、dim.を介した寄付は、寄付団体ごとの寄付総額や支援者数がアプリ画面からリアルタイムに把握できるようになっている。

寄付を行ったユーザーには、返礼としてWEDから寄付プランごとに異なるオリジナルステッカーが届く。一方、寄付はdim.から一括して行うため、寄付団体からの返礼品などはないという。

なお同社のマネタイズは、WEDは寄付団体からアプリへの掲載料などは取らずに、寄付人数と金額に応じて手数料を取る。

dim.をマーケットプレイスのように

今後は寄付先となる団体を増やしていく他、寄付金額の拡張をユーザーのニーズを踏まえて検討する。この他、3月10日時点でアプリ対応機種はiOS 14以降となっているが、iOSの利用状況などを考慮してAndroid版のリリースを決める。

WEDは「dim.で寄付を身近に、簡単に体験して欲しい。中長期にはdim.を通して世の中の情報と寄付をシームレスに繋げることで、マーケットプレイスのようなカタチになっていくはず。また、我われの理念に共感してくれるメーカーなどとコラボレーションもしていきたい」と語った。

関連記事:ECサイトでのお買い物から最大15%「現金」還元、レシート買取で話題を呼んだWEDの新サービス「C」

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:WEDdim寄付資金調達エシカル消費 / 倫理的消費日本

給与計算と人事のプラットフォームの仏PayFitが約120億円調達

フランスのスタートアップPayFitがシリーズDで1億700万ドル(約120億円)を調達した。現地時間3月17日の今回のラウンドは、Eurazeo GrowthとBpifranceのLarge Venture fundがリードしている。また、既存投資家のAccel、Frst、Xavier Niel(グザビエ・ニール)氏も再び参加した。

PayFitは給与計算および人事管理のSoftware-as-a-Service(SaaS)プラットフォームを構築している。ウェブブラウザーから給与計算を管理し、可能な限り多くのステップを自動化できる。例えば給与明細書の作成を自動化したり、給与データを会計ソフトにエクスポートしたり、年金や健康保険などの支払いリストを取得したりできる。

SssSのプラットフォームであり、すべてが常に最新の状態に保たれる。例えば何らかの規制変更により調整が必要になった場合、PayFitはプラットフォームを更新することで、ユーザーが何も考えなくてもその日からコンプライアンスを維持できる。

時間の経過とともに、PayFitは給与計算以外の分野にも事業を拡大し、人事管理の大きな分野に取り組むようになった。従業員は各自がPayFitにログインして給与明細にアクセスできる。それに止まらず、休暇を申請したり、時間単位で給与を受け取っていれば今週働いた時間を入力できる。PayFitは自動的にマネージャーに通知し、承認を得ることができる。

またPayFitは、経費や領収書の中央保管場所にもなる。会社は全従業員の口座情報を持っているため、従業員に現金を送金することが容易となる。

従業員はPayFitから会社の名簿やマネージメントチェーンを見ることができる。また、人事部はPayFitにオンボーディングフローを設定し、従業員が入社したらすぐにコンピュータやバッジを申請し、個人情報を入力できるようにすることができる。

Workdayのようなサービスを利用している大企業に勤めている人なら、これらの内容はおそらく馴染みがあるだろう。しかしPayFitは、企業と高額な契約を結びたくない中小企業をターゲットにしている。PayFitの顧客は5000社に上り、全体で10万人の従業員を保有している(1社あたり平均20人)。最大の顧客にはRevolut、Starling Bank、Treatwellなどがある。

同社は現在、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア、英国で事業を展開しており、550名の従業員を擁しているが、2021年にはさらに250名の従業員を雇用して成長を促す予定だ。

カテゴリー:HRテック
タグ:PayFit資金調達

画像クレジット:Cytonn Photography / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:塚本直樹 / Twitter

複雑な設定なしに自身のウェブアプリ画面を遠隔で操作してもらえるCohereが3.4億円調達

LogMeIn(ログミーイン)やTeamViewer(ティームビューワー)といった既存のリモートデスクトップソリューションたちは、設定や利用方法が複雑で、時代遅れの感が否めない。現在、Cohere(コーヒア)という新しいスタートアップが、310万ドル(約3億4000万円)のシードファンディングを受けて、リモートデスクトップとスクリーン共有をより魅力的にしようとしている。Cohereの技術を使えば、企業は、顧客側で何のダウンロードや設定を行うこともなく、瞬時に画面をコントロールして顧客を支援することができる。

同社の製品は、その使いやすさから、TechCrunch Disrupt 2020で優勝したCanix(キャニクス)、CopyAI(コピーAI)、Ramp(ランプ)など、すでに50社以上の有料顧客を獲得している。また、Podium(ポディウム)が最初の企業顧客として契約を行った。

関連記事:Disrupt 2020のStartup Battlefieldの勝者は大麻栽培者向けERPプラットフォーム開発のCanix

Cohereの3人の共同創業者であるYunyu Lin(ヤンユー・リン)氏、Jason Wang(ジェイソン・ワン)氏、Rahul Sengottuvelu(ラフール・セングトゥールベラ)氏は、デューク大学在学中に出会った。リン氏はその後、企業カードのスタートアップであるRampに就職したが、他のメンバーが卒業したのはパンデミックの最中だった。

Cohereのアイデアは、パンデミックの最中に開催されたリモートワークをテーマにしたハッカソンの中で生まれた。チームはこのイベントで優勝し、さらに開発をすすめるために、自分たちのプロジェクトをY Combinator(Yコンビネーター)に持ち込むことにした。

基本的にCohereは、小さなスタートアップから大企業までその規模を問わず、顧客の課題解決に貢献することを容易にするためにデザインされている。サポートされる側の顧客はソフトウェアのダウンロードや複雑なインストール作業を必要とせず、ウェブサイト上のボタンをクリックするだけで、自身の画面を遠隔操作させることができるようになる。これにより、サポート担当者は、顧客に対して、今どの画面にいるのか、何を見ているのかなどを尋ねたり、どこをクリックすればいいのかを指示したりといった膨大なやり取りを省略して、そのまま画面操作を引き継ぎ、時間を節約することができるようになる。

セングトゥールベラ氏は「相手が何を見ているのかを、設定なしでそのまま見ることができるようになります」という。「まるで隣に座っているかのように、やり方を見せることができるのです」。

画像クレジット:Cohere

Cohereが他の製品と異なっているのは、相手のコンピューターの操作を掌握するような完全なリモートデスクトップソリューションではなく、相手が現在閲覧している個別のウェブページのコンテンツを転送するだけのサービスである点だ。つまり、アプリケーション開発者は、ユーザーが自分のウェブサイト上で何をしているのか見ることしかできないのだ。タブを切り替えたり、ブラウザを最小化してユーザーのPCを広く探ることもできない。

リン氏は「私たちは、通常の画面共有が行っているような、1秒間に60回も画面を撮影して送信するようなピクセルレベルの操作はしません」と説明する。

このスタートアップの技術自体は、ウェブページの状態のキャプチャの上に成り立っている(専門用語を理解している人向けには、いわばDOMの画像だといえる)。そして、MutationObservers(ミューテーションオブザーバー)やWebSocket(ウェブソケット)などの仕組みを活用して、ウェブページの変更をリアルタイムですばやく確認できるようにしている。また、Cohereはその技術を、React(リアクト)、iframe(アイフレーム)、Canvas(キャンバス)、Vue(ヴュー)、Angular(アンギュラー)などのさまざまなウェブ技術やフレームワークにきちんと対応させるためにも時間を費やしてきた。将来的には、より多くのプラットフォームや技術に対応していきたいと考えている。

リン氏は「私たちはページの内容をキャプチャします」と語り「そのため、クレジットカード情報、パスワード、社会保障番号、その他の個人を特定できるようなセンシティブな情報を、選択的にフィルタリングすることができるのです」と付け加えた。

画像クレジット:Cohere

また、遠隔操作者は、ユーザーが承諾するまで制御を始めることができず、また制御開始後でも、ユーザーが画面上部の「X」ボタンをクリックすることで、いつでも遠隔制御を終わらせることができる。

これらのセキュリティ管理に加えて、CohereはSOC 2 Type 1、GDPRおよびCCPAに準拠している。

現在、CohereはChrome、Firefox、Edge、Safariなどのデスクトップとモバイル両方のブラウザーで動作する。また、Zendesk(ゼンデスク)、Slack(スラック)、Salesforce(セールスフォース)、Intercom(インターコム)といった企業内の既存ツールと統合できるように設計されており、今後もその種類は増えていく予定だ。

この製品は、旧来のリモートデスクトップアプリともある程度競合するものの、新しいCohere Replay(コーヒア・リプレイ)機能を使うことで、利用企業は過去にさかのぼって顧客のセッションを見返すことができる。

画像クレジット:Cohere

この製品はウェブアプリに限定されていて、完全なリモートデスクトップソリューションではないため、主にカスタマーサポートやユーザーのオンボーディングなどに使用される。アーリーステージのスタートアップたちは、最初の顧客に対してツアーを行い、顧客がどのように製品を使用しているかをリアルタイムで学ぶためにも利用している。

有料サービスは、1ユーザーあたり月額49ドル(約5330円)からで、より大規模なチームの場合は39ドル(約4250円)からとなる。

Cohereは約7カ月前にY Combinatorのバッチの途中でローンチし、今回Initialized Capitalが主導する310万ドル(約3億4000万円)のシード資金を調達した。このラウンドにはY Combinator、BoxGroup、Soma Capital、Shrug Capital、Chapter Oneの他、Zach Perret、Elad Gil、Naval Ravikant、Eric Wu、Prasanna Sankaranarayanan、Eric Glyman、Jack Altman、Todd Goldberg、Rahul Vohra、Karim Atiyeh、Vivek Sodera、Dan Romero、Shrav Mehta、Oscar Hongといったさまざまなエンジェル投資家も参加している。

ニューヨークを拠点とするCohereは、現在共同創業者の3名のみで構成されているが、今回の追加資金を使って、セールス、エンジニアリング、プロダクトの各分野で人材を採用する予定だ。また、企業向けセールスプロセスの構築にも資金を投入し、統合機能やユースケースを拡大していく。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Cohere資金調達

画像クレジット:Cohere

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(文:Sarah Perez、翻訳:sako)

大麻の販売関連サービスのDutchieが新たな資金調達で評価額は前回の8倍に

約4年ほど前に米国オレゴン州ベンドで設立されたDutchie(ダッチー)は、大麻薬局に月額料金でウェブサイトの作成と運営、注文の処理、受け取り準備が必要な物の追跡などのサービスを提供している。同社は先日、シリーズCラウンドで2億ドル(約218億円)の資金を調達し、評価額は17億ドル(約1860億円)に達した。これは2020年8月にシリーズBで3500万ドル(約38億円)の資金調達を行った際の評価額の約8倍にあたる。実際、2億ドルという金額は2020年の夏に出資者が考えていた評価額とまったく同じだ。

関連記事:米国で大麻のオンライン販売急増、大麻薬局と顧客を結ぶDutchieが絶好調

なぜこのように短期間で大幅に成長したのだろうか?スタートアップ投資における一般的な熱気に加え、DutchieはGreenbits(グリーンビッツ)とLeaflogix(リーフロジックス)という2つの企業を買収したばかりであり、これによりDutchieは顧客のためのオールインワン技術プラットフォームをさらに強化することができる。Dutchieは、この2社にいくら支払ったかを明らかにしていないが、この2社はそれぞれエンタープライズ・リソース・プランニングとPOSソフトウェアを手がけており、合わせて150人の従業員とともにDutchieに統合されることで、現在300人の従業員を抱える同社の規模を、実質的に倍増させることになる。

また、Dutchieはかなり強い追い風も受けている。新型コロナウイルスによるロックダウンが、多くの新規ユーザーを大麻に向かわせたことに加えて、11月の選挙ではさらに5つの州が娯楽用大麻の合法化を決定した。連邦政府は依然として大麻を違法なドラッグに分類しているため、大麻企業が商業銀行や保険にアクセスすることを拒否してきたが、以前のどの政権よりも大麻の非犯罪化に近づいているように思われる

関連記事:米国の5つの州でカナビス合法化法案が承認

Dutchieが発展していることと、規制が進展していることを受けて、我々は米国時間3月15日、同社の共同創業者でCEOを務めるRoss Lipson(ロス・リプソン)氏に、Dutchieが最終的には薬局との提携ではなく、消費者に直接販売を開始するかどうかについて話を聞いた。Dutchieから大麻が送られてくるようになり、消費者が実店舗に現金を支払う必要がなくなれば、それらの業者は必要がなくなるのではないだろうか?

だが、リプソン氏は、そうはならないと主張した。2020年、明白な原因からオンラインによる注文が急増し、バーチャルで商品を選べる手軽さに慣れた買い物客が増えたものの、リプソン氏は「長期的に見れば、これは小売ファーストのモデルです。この業界の性質は、主に植物を栽培と加工する方法により、ハイパーローカルモデルに適していますので、小売店はそのまま残り、成功し続けると思います」と語った。

それは今後、明らかになるだろう。一方でDutchieは、新製品の開発(発見・教育ツールを含む)と国際的な事業展開のために、上位の支援者からさらに2億ドルの資金を得たとリプソン氏はいう。

今回のラウンドはTiger Global Management(タイガー・グローバル・マネジメント)が主導し、Dragoneer(ドラゴニア)とDFJ Growth(DFJグロース)という大麻関連の投資を始めたばかりの2社が参加した。

Dutchieの初期に投資したCasa Verde Capital(カサ・ヴェルデ・キャピタル)、Thrive Capital(スライヴ・キャピタル)、Gron Ventures(グロン・ベンチャーズ)、スターバックスの元CEOで創業者のHoward Schultz(ハワード・シュルツ)も参加している。

この業界に対する投資家の関心が高まっている中、Dutchieが上場する可能性はあるかと尋ねると、リプソン氏は、Dutchieは今「自分たちのやるべきことに集中している」と答えた。

また、合併によってDutchieを上場させたいと考えている特別買収目的会社との話し合いについて尋ねると「現時点ではそのような話し合いに関わっていません」としながらも「ビジネスチャンスがあれば検討します。私たちは、この決断が薬局とお客様にどのような価値をもたらすかを考えます。それが価値をもたらすものであれば、私たちはその決断を下すでしょう」と、リプソン氏は語った。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Dutchie資金調達大麻

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(文:Connie Loizos、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

最も信頼できる位置情報データの情報源を目指すSafeGraphが約49.1億円を調達

物理的な位置情報に関するデータを販売する企業はたくさんあるが、SafeGraphについて同社CEOのAuren Hoffman(オーレン・ホフマン)氏は「データサイエンスチームに位置情報関連データを販売している数少ない企業の1つ」と説明する。

大抵の場合、位置情報データはこれまでマーケッターに販売されてきた。ホフマン氏は「マーケティングの世界では、データが40%か50%ほど事実であれば実にすばらしいことです」という。しかし複雑なモデルやアルゴリズムを構築するためにデータを使うデータサイエンティストにとっては、それでは役に立たない。

そこでSafeGraphは、ホフマン氏がいうところの「非常に厳密なアプローチ」で企業のリスト、歩行者のトラフィック、ビルのポリゴンといったデータを2万種類の情報源からクロールしてまとめている。同氏は、他社はこうしたデータを「本業のかたわらで販売している排気ガス」として扱っているがSafeGraphの収益にとっては「100%」にあたると補足した。

ホフマン氏は筆者に対し、SafeGraphの顧客はGIS(地理情報システム)やマッピング、ローカル検索、金融サービス、ロジスティクスなどさまざまな分野で同社のデータを活用していると説明した。顧客には投資会社のAres Management、食品流通会社のSysco、Choice Hotelsなどがある。発表の中でSyscoのマーケティング・顧客・競合情報担当シニアマネージャーであるBen Anderson(ベン・アンダーソン)氏は、SafeGraphを「最も包括的で実用価値のあるPOIのデータセット」と表現した。

SafeGraphは、同社のデータは7000人以上のデータサイエンティストに利用され、300以上の学術論文に引用されたとも述べている。

画像クレジット:SafeGraph

米国時間3月16日、SafeGraphはSapphire Venturesが主導するシリーズBで4500万ドル(約49億1000万円)を調達し、これまでの調達金額の合計が6100万ドル(約66億6000万円)となったことを発表した。以前に投資したRidge VenturesのAlex Rosen(アレックス・ローゼン)氏、DNX Ventures、Peter Thiel(ピーター・ティール)氏も参加した。

Sapphire PartnerのCathy Gao(キャシー・ガオ)氏は発表の中で「SafeGraphが傑出している点は、地理空間データ業界で主要プレイヤーの位置を短期間で獲得したことです。場所に関する最高品質のデータをデータサイエンスチームに提供することに特に集中して、大手の公的機関や民間企業から信頼を得ています」と述べた。

ホフマン氏は、SafeGraphはこれまで「キャッシュの効率が極めて良く」この2年間の損失はわずか300万ドル(約3億2700万円)だったことと「成長のスピードをもっと上げる」ために資金を調達したことを説明した。成長のための計画には、海外進出も含まれる。SafeGraphはこれまで米国とカナダに集中していたが、2021年4月には英国で事業を開始する計画で、買収の可能性もある。

さらに同氏は、特に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大で多くの企業が休業や時短営業を強いられていることから「本当に正確なデータを持つことの重要性がポストコロナの世界では大幅に増していきます」と述べた。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:SafeGraph資金調達位置情報

画像クレジット:Amin Yusifov / Getty Images

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(文:Anthony Ha、翻訳:Kaori Koyama)

ロンドンのJiffyが3.9億円のシード投資を調達しダークストア競争に参入

また新たなオンライン食料品宅配と「ダークストア」を運営する業者が、米国時間3月16日に姿を現した。ロンドンを拠点とするJiffy(ジフィー)だ。生鮮食料品と生活必需品をほぼ15分以内に配達することを目指す同社は、260万スターリング・ポンド(約3億9000万円)のシード投資を調達し、サービス開始の準備を整えた。

すでに多額の投資に支えられた数多くの競合他社と対峙しているこの新興企業を支援するのは、ベンチャー投資ファンドLVL1 Group。その他、AddVenture、TA Ventures、Vladimir Kholiaznikov(ウラジミール・コリアズニコフ)氏そしてエンジェル投資家のOskar Hartmann(オスカー・ハートマン)氏、Alexander Nevinskiy(アレクサンダー・ネビンスキー)氏、Dominique Locher(ドミニク・ロッカー)氏がラウンドに参加している。

Jeffyは、この資本注入で、早ければ2021年3月中にロンドンに最初の店舗を立ち上げると話している。サービス対象地域はウェストミンスター、ウォータールー、ラムベス、バタシー、クラパム・タウン、ショアディッチ、ベスナル・グリーン、ハックニー、ホワイトチャペル、ステップニー・グリーン、レイトンストーンとなる。

同社はそれに続き、2021年後半には英国全土に20カ所のローカルフルフィルメントハブを開設する予定だ。すでに次の資金調達に動き出しているものと思われる。そのセールスポイントとして、Sainsbury’s(セインズベリーズ)やDeliveroo(デリバルー)の元マネージャーなど、オンラインおよびオフラインの小売り業に精通した幹部チームにスポットを当てているようだ。

「私たちは、火星行きチケットも買える2021年に暮らしていますが、欲しいときに欲しい食料品を手に入れることが、いまだにできません」とJiffyの創設者Artur Shamalov(アーター・シャマロフ)氏は話す。シャマロフ氏は、これまでに食料品と配達分野でいくつもの企業を立ち上げてきた人物だ。「食料品のオンラインショピングには、英国のほぼすべての消費者がフラストレーションを感じています。何日も何週間も予約枠が埋まっていたり、特別料金を取る高速サービスでさえ2時間も待たされることはざらです。それは間違っていると私たちは考えています。食料品は、実店舗で買うときと同じぐらい便利で安くなければいけません。そこに超高速配達サービスの利便性も不可欠です」。

それを実現するために、シャマロフ氏は、昔ながらの毎日利用する食料品店を一部肩代わりできると確信するサービスをJiffyが構築するのだと話す。つまり、多種多様な果物、野菜、肉、調理食品、人気ブランドや地元メーカーの生活必需品などを、1店舗につき総製品範囲2000SKUを「超える」商品を提供するということだ。

「私たちの目標は、仕事や子育てや社会活動に追われる忙しい親から、必要な買い物のために工面した時間が、心底楽しめる自由時間となる都会の忙しい職業人まで、非常に幅広いオーディエンスにとって、できる限り便利なもサービスを作ることです」とJiffyの創設者は話す。「また私たちは、近ごろスーパーに買い物に行くことを不安に感じる弱い立場の人たちのことも考慮しています。そうした人たちに、パンや牛乳が切れたときのことを心配させたり、注文したものが届くのを何時間も何日間も待たせたりしてはいけないのです」。

Jiffyは、食料品や日用品を購入してから10〜20分間で配達することを約束し資金調達したヨーロッパの数多くのスタートアップに仲間入りすることになる。それらの企業は、配達地域を小さく限定して、配達専用のフルフィルメントセンター、いわゆる「ダークストア」を設け、専属の配達要員を雇い入れることでそれに対処している。同社が提供するこのフルスタックまたは垂直アプローチと高い視認性が、まだまだ実証はされていないが、ユニットエコノミクスを実現する十分なサプライチェーンの創出と効率的な物流につながるものと期待される。

明確にはされていないが、そうした企業は増え続けており、その中には、エクイティーと融資の混合で5200万ドル(約56億7000万円)のシード資金を調達したベルリンのFlink(フリンク)、シリーズA投資4400万ドル(約48億円)を調達し、ドイツ、オランダに続いてこのほどロンドンに進出したベルリンに本社を構えるGorillas(ゴリラズ)、その他ロンドンで営業している企業には、Weezy(ウィージー)、Getir(ゲッティアー)、Dija(ディジャ)、Zapp(ザップ)がある。米国のユニコーン企業goPuff(ゴーパフ)もヨーロッパ進出を計画し、英国のFancy(ファンシー)の買収または投資を交渉中だと伝えられている。

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このモデルは何よりもインフラが重要な役割を果たすため、土地の確保だけでなく、資本の確保も欠かせない。店舗を建設し、ロスリーダーを使った集客キャンペーンには多額の資金が必要になる。すでにロンドンでは盛んに行われるようになっているが、そした競合他社と対照的にJeffyは、サービス開始前ながら資金が足りていないように見える。

「資金不足だとは思っていません」とシャマロフ氏は反論する。「資金提供者の希薄化を考慮し、また実現困難な約束でチャンスを逃すよりは一歩ずつ着実に会社を築いていくほうが効率的だとの考えからすれば、私たちは計画どおりの資金を調達しています」。

「多額の資金を調達し、企業買収と拡張に過剰なまでの支出を行えば、自動的にこの業界で大成功できるという考えには、必ずしも同意しません。ごく限定的な地域を対象とするビジネスモデルでは、あらゆるものが地域限定のアプローチとなります。そのため私たちは、グローバルな展開ではなく、1つの市場の中での拡大に重点を置いています」。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Jiffyフードデリバリーイギリス資金調達

画像クレジット:Jiffy

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(文:Steve O’Hear、翻訳:金井哲夫)

⾃⾛型ロープウェイ「Zippar」設計・開発のZip Infrastructureが3000万円を調達

⾃⾛型ロープウェイ「Zippar」設計・開発のZip Infrastructureが3000万円を調達

⾃⾛型ロープウェイ「Zippar」の設計・開発を行うZip Infrastructure(ジップ・インフラストラクチャー)は3月16日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資による3000万円の資金調達を発表した。引受先はANRI。

調達した資金により、駆動部試験用4人乗りモデルの設計・開発を行う。現在設計中の試験線おいて4人乗りモデルの走行実験を行い、データを収集を実施する。またこの4人乗りモデルでは、現在組成中である第三者委員会での安全性の認証も目指しているという。

Zipparは、都市部の渋滞解消や新興国のインフラとして期待されている自走型ロープウェイ。「低コスト」「自動運転」「自由設計」「安全対策」という4点の特徴を備えている。

  • 低コスト:既存モノレールに比べ、約1/5のコスト・期間で建設が可能
  • 自動運転:自動運転のため、運転士不足に悩むことはない。時間帯や路線など、旅客需要に応じて車両数を増減可能
  • 自由設計:Zipparはロープとゴンドラが独立しており、カーブや分岐を自由自在に設けられるなど、柔軟な路線設計が可能(既存の都市型ロープウェイでは不可能)
  • 安全対策:支索を2本とすることで、風速30m/s(通常ロープウェイの1.5倍)まで運行可能
カテゴリー:モビリティ
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コロナ禍でのオンラインシフト加速を受けてID認証のSocureが109億円調達

新型コロナウイルスパンデミックは、これまで誰も想像できなかった方法でデジタルの浸透を加速させてきた。そして人々がオンラインやモバイルデバイス経由でサービスを利用するにつれ、事業者はユーザーやセキュリティの確認に一層取り組まなければならなかった。そうした需要に応えようとしている企業がある。IDを認証するのにAIと機械学習を使っているSocure(ソキュア)は米国時間3月16日、13億ドル(約1417億9800万円)の評価額で1億ドル(約109億800万円)をシリーズDラウンドで調達したと発表した。

One World Identityによると、2019年に150億ドル(約1兆6360億円)弱だった米国のデジタルIDマーケットは2023年までに300億ドル(約3兆2720億円)超へと成長する見通しだが、我々の暮らしがいかにオンラインにシフトしたかを考えると、これは驚きではない。そしてこの成長はID認証企業が提供するサービスに対する急増する需要につながっている。

Socureはこれまで金融サービス業界を専門としてきた。しかし同社は調達した資金をオンラインゲーミング、ヘルスケア、通信、eコマース、オンデマンドサービスなどを含む「消費者向けのあらゆる業界」へと拡大するのに使う計画だ。

同社の予測分析プラットフォームは、ユーザーがさざままなアカウトに申し込むとき、実際に名乗っている人物なのかどうかを確認するのに、人工知能と機械学習のテクニックをオンライン / オフラインデータインテリジェンス(電子メールから、電話、住所、IP、デバイス、ベロシティとより広範なインターネット)に適用する。

同社は現在、銀行トップ5行のうち3行、カード会社トップ10社のうち6社「トップの」信用調査会社、Varo MoneyやPublic、Chime、Stashといったフィンテック75社超を含む350社超を顧客に抱える。

最新のラウンドはAccelがリードし、既存投資家のCommerce Ventures、Scale Venture Partners、Flint Capital、Citi Ventures、Wells Fargo Strategic Capital、Synchrony、Sorenson、Two Sigma Venturesなどが参加した。

今回の資金調達は、Sorenson Venturesがリードするラウンドで3500万ドル(約38億1825億円)を調達してから6カ月も経っていない。Socureの2012年の初回からの累計調達額は1億9600万ドル(約213億8200万円)となった。

Socureの創業者でCEOのJohnny Ayers(ジョニー・アイヤーズ)氏は、B2C企業がKYC(顧客確認)自動承認率97%を達成するのを同社のID管理プロダクトがサポートできると話す。これは、例えば金融機関がSocureのたった1つのAPIを通じてより簡単に詐欺を見つけ出せることを意味する。同社はまた、少ない情報(さほどクレジット履歴がないもの)や若い消費者を簡単に認証することで、金融サービスを十分に受けられていない人口を減らすのに役立つとも主張する。

同社は今後も特許を開発しつつ、提供するプロダクトを強化するのにも調達資金を使う計画だ。

資金調達ラウンドの一環として、AccelのパートナーであるAmit Jhawar(アミット・ジャウォル)氏がSocureの取締役会に加わる。

ブログ投稿でジャウォル氏は「機械学習モデルがすでに見たあらゆるIDから学んだため、新しいオンラインユーザーを扱うためにデザインされた特別目的のためのソリューション」とSocureを形容した。

Braintreeの元COO、そしてVenmoの元ゼネラルマネジャーとして、ジャウォル氏はID認証の重要性、特に金融サービス分野での重要性について多少は知っている。

「Socureのソリューションはゲームチェンジャーになることをすぐに悟りました。というのも、決済のためのアカウントの作成からログインまで、顧客のライフサイクルのあらゆる局面で使われるからです」と。同氏はブログで述べている。

Socureはまた、将来のIPOもほのめかした。

声明でアイヤーズ氏は次のように述べた。「イノベートする機会、そして問題解決に向け世界で最もすばらしい企業との提携に信じられないほど感謝しています。特にIPOに向けて歩みを進めるこの時、前途に広がる機会に力をもらっています」。

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

メキシコのチャレンジャーバンクFondeadoraがシリーズAを延長しさらに約15.3億円調達

メキシコシティに拠点を置き、チャレンジャーバンクを構築しているフィンテックスタートアップのFondeadora(フォンデアドラ)が、シリーズAの資金調達ラウンドを延長した。筆者は2020年8月に、同社のオリジナルのラウンドを取材しているが、今回はすでに調達していた当初の1400万ドル(約15億3000万円)に加え、さらに1400万ドルを追加。現在は2800万ドル(約30億5000万円)の資金調達ラウンドとなっている。

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この延長でPortag3 Ventures(ポーテージ・ベンチャーズ)がFondeadoraに投資した。以前から投資していたGoogle(グーグル)のGradient Ventures(グラディエント・ベンチャーズ)は、さらに資金を投入している。Gokul Rajaram(ゴクル・ラジャラム)氏とAnatol von Hahn(アナトールフォン・ハーン)氏も、ビジネスエンジェルとして投資を行っている。

なお、シリーズAの初回には、Y Combinator(ワイ・コンビネーター)、Scott Belsky(スコット・ベルスキー)氏、Sound Ventures(サウンド・ベンチャーズ)、Fintech Collective(フィンテック・コレクティブ)、Ignia(イグニア)も参加していた。

「シリーズAの3カ月後に、予想外のタームシート(投資条件の概要書)が送りつけられてきたのです」と、Fondeadoraの共同創業者で共同CEOを務めるNorman Müller(ノルマン・ミュラー)氏は筆者に話してくれた。同社の評価額も、ラウンド延長によって倍増している。

画像クレジット:Fondeadora

メキシコでは、いまだに多くの人々が現金に頼っているため、チャレンジャーバンクの設立は好機といえる。レガシーバンクの顧客に加え、多くの人にとってFondeadoraが初めての銀行口座となる可能性もあるからだ。

Fondeadoraは、銀行サービスのための支店は一切構えていない。口座を開設すると、数日後にはMastercard(マスターカード)のデビットカードが届く。月々の会費や外国為替手数料は不要だ。

他のチャレンジャーバンクと同様、口座残高は瞬時に更新される。取引の際にプッシュ通知を受信する選択もできる。また、アプリを使ってカードのロックとロック解除も可能だ。

最近では、ちょうど米国のApple Card(アップルカード)のように、個人情報やカード番号のないカードをFondeadoraは発行した。カードの裏面にはQRコードがあるだけなので、誰かに見せても番号を知られることはない。このQRコードをスキャンすると、個人間送金を行うことができる。

Venmo(ベンモ)も米国でQRコードつきのクレジットカードを発行している。この方法は、物理的な世界とアプリとの間のすばらしい架け橋となるので、世界中のチャレンジャーバンクやピア・ツー・ピアの決済アプリはすべてやるべきだと思う。

Fondeadoraは銀行の認可を取得し、今ではその銀行口座にたくさんの預金がある。これまでのところ順調にいっているようで、改めて銀行はグローバルな産業ではないことを証明している。つまり、世界中にたくさんのローカルなプレイヤーが参入する余地があるということだ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Fondeadoraメキシコチャレンジャーバンク資金調達

画像クレジット:Fondeadora

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hirokazu Kusakabe)