ブロックチェーン分析ツール「Dune Analytics」がCoatue主導で約80億円調達、従業員16名でユニコーンに

暗号批判者の多くは、Web3分野はミームマネーに支えられていると主張する。それらの人々にとって、Coatue(コーチュー)がブロックチェーンスタートアップの6942万ドル(約80億円)のシリーズBをリードしたニュースは、あまり驚くことではないだろう。

今回投資を受けたのは、ノルウェーの暗号分析プラットフォームであるDune Analytics(ドゥーンアナリティクス)。同スタートアップの評価額は10億ドル(約1152億円)に達した。このクラウドソースデータプラットフォームは、暗号の世界の動きを分析するダッシュボードとして、より好まれるものに成長した。Multicoin CapitalとDragonfly Capitalも、従業員16名のこのスタートアップの資金調達ラウンドに参加した。

ブロックチェーンには膨大な量のトランザクションデータが蓄積されており、Duneのようなプラットフォームは、投資家がそのデータからより多くの洞察を得られるように、Ethereum(イーサリアム)、Polygon(ポリゴン)、Optimism(オプティミズム)、Binance Smart Chain(BSC、バイナンススマートチェーン)、xDAIの各ブロックチェーンの動きを分析しようとしている。

Duneの創業者たちは、ラウンドを発表するブログ記事で「暗号データには膨大な情報が含まれていますが、インセンティブのある有能なアナリストと優れたツールがなければ、この情報は表面に出てこないままです」と述べている。「今回の資金調達により、我々は暗号データをよりアクセスしやすいものにするという当社のミッションをさらに強化し、100万人のDuneウィザード(Web3データアナリスト)をWeb3にもたらすことを約束します」。

Coatueの今回の投資は、2021年8月に実施されたDune Analyticsの800万ドル(約9億2000万円)のシリーズAに続くものだ。

関連記事:分散型「マーベル」のようなNFTメディア帝国を目指すPixel Vault、約115億円の資金を調達

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

原文へ

(文:Lucas Matney、翻訳:Aya Nakazato)

中国の新興EVメーカーXpengが海外進出、ノルウェーを足がかりに多くの欧州市場を目指す

Nio(ニオ)と同様に、中国の電気自動車メーカーXpeng(シャオペン)も海外展開を開始した。しかし、ノルウェーで派手なキャンペーンを展開したライバルとは異なり、Xpengは2021年10月にスカンジナビアの国で静かにスタートした。

同社はノルウェーで、SUVの「G3」とセダンの「P7」の出荷を開始した。2022年にさらに多くの欧州市場に参入することを目指していると、同社の広報担当者はTechCrunchに語った。

Xpengが海外展開を控えめにしているのは、おそらく11月18日発表した最初の「国際的」モデルであるSUVの「G9」の発売を待っていたからだろう。

「G9は、国際市場と中国市場の両方に向けて一から構想を練って開発された当社初のモデルであり、当社の最も洗練されたデザインを世界中の顧客にお届けします」と、同社の共同創業者で社長のHenry Xia(ヘンリー・シャ)氏は11月19日の自動車展示会で述べた。

このSUVは、Xpengの4番目の生産モデルであり、同社の最新の先進運転支援システム(ADAS)を搭載した初のモデルとなる。Xpilot 4.0と呼ばれるこのADASは、2021年10月のTech DayでXpengが説明したように、都市部での運転を想定して作られている。Xpilot 4.0を乗用車に搭載するのは野心的であり、完全な自律走行に近づくために「車両の始動から駐車まで」を支援することを目的としている。

Xpilot 4.0のコンピューティングパワーは、2つのNVIDIA Orin-Xシステムオンザチップユニットで構成されている。そのハードウェアには、カメラ、ライダー、ミリ波レーダー、3D視覚認識ネットワークが組み込まれている。

言い換えると、G9にはセンサーが何層にも重なっていることになる。しかし、Xpengはそれらを目立たないようにしている。例えば、デュアルライダーユニットはヘッドライトに組み込まれている。従来、ライダーは量産車には高価なものだったが、Xpengや業界関係者はセンサー技術を手頃な価格にすべく取り組んでいる。

この件に詳しい人物によると、G9が中国で発売されるのは2022年の第3四半期で、そのため欧州の顧客がSUVを試すことができるのは2023年以降になりそうだ。

一方、Xpengは、高度な自律走行乗用車を国際展開できるようにするために多くの課題を抱えている。同社は、ターゲットとする市場で充電ネットワークを構築する必要があるが、このプロセスは新型コロナウイルス感染症で中断されがちだ。また、Xpilotは高精細な地図に頼っているため、おそらく中国国内のナビゲーション会社との連携が必要になる。

また、Xpengはスマートカーの安全性について、各国政府から疑問を投げかけられるかもしれない。自動車の自動運転に対する各国政府の姿勢は異なり、Tesla(テスラ)のADASが絡んだ衝突事故の件で、この技術が準備万端かどうか懐疑的な見方が強まった。

Xpengはこの点に関していくつかの準備をしている。例えば、ドライバーにXpilotを起動させる前に、ドライバーをテストして安全性のスコアを与えることにしている。また、車両に搭載されたモニタリングシステムがドライバーの審査を行い、ドライバーが無責任な行動をしていると判断した場合には、Xpilotへのアクセスを取り消すこともある。

その他の仕様

G9は、Xpengの「スーパーチャージャー」に対応している。このスーパーチャージャーは800Vの高電圧の量産型SiC(シリコンカーバイド)で、5分もかからず最大200km走行分を充電することができる。

また、G9には故障カ所を特定できる「故障検知」システムが搭載されている。そして、システムは在庫があるサービスセンターを表示するとともに、修理時間と費用の見積もりも案内する。

最後に、G9にはギガビット・イーサネット通信アーキテクチャが採用されていて、より高いレベルの自律走行、スマート・コックピット、OTAアップグレードのために「通信とサポートを向上」している。

画像クレジット:Xpeng’s G3

原文へ

(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

ノルウェー企業Nordic Unmannedが「線路検査」ドローンを開発中、列車が接近すると浮上して回避

ノルウェー企業Nordic Unmannedが「線路検査」ドローンを開発中、列車が接近すると浮上して回避

Nordic Unmanned

鉄道の安全な運行を維持するためには、延々と続く線路を検査し異常がないかを確認する作業が必要です。そのため鉄道会社は線路検査用の専用車両を、列車が走らない時間帯に走らせ、レールにクラックなどがないか、また寸法に狂いが出ていないかなどを確かめています。

ノルウェーの技術企業Nordic Unmannedは、このレール検査もっと手軽にするため、軌道台車にマルチコプタードローンの機能を融合させた無人線路検査機「The Staaker Railway Drone」を開発しています。

ノルウェー企業Nordic Unmannedが「線路検査」ドローンを開発中、列車が接近すると浮上して回避

Nordic Unmanned

このドローンは線路を走行しながら、鉄道インフラの重要な部分を検査します。燃料電池を動力源とするインホイールモーターによって7時間の連続走行が可能。最大航続距離は200kmで、その間にカメラやその他センサーを使って線路に異常がないかを確認、必要ならばポイント分岐器への給脂(グリスアップ)も可能とのこと。

そしてこのドローンの最も重要な特徴は、列車が接近したらすぐにレールから飛び立ち、線路脇で列車をやり過ごすことができるところ。列車が通過すれば再び浮上してレールに乗り、検査を再開できます。

この機動性は、通常の列車と同様の大きな車両を用いた検査では決して得られません。また、いくつもの線路が並行して敷かれている車庫や大きな駅などでは、いちいちポイントを切り替えて移動せずとも簡単に線路を乗り換えることができます。

Nordic Unmannedは、この軌道台車兼ドローンは欧州の大手鉄道会社と共同で開発中だと述べており、2022年前半から商用サービスを展開することを計画していると述べています。

写真や映像を見た感じではドローンに軌道走行用車輪を付けただけにしか見えず、本当に2022年前半に商用サービスを提供できるの?というのが正直な感想ですが、とりあえずは実用化が実現するのを楽しみに待ちたいところです。

(Source:Nordic Unmanned。Via New AtlasEngadget日本版より転載)

テスラがノルウェーでの判決を受け最大約243億円の補償金支払いに直面

ノルウェーの調停委員会は、Tesla(テスラ)の電気自動車「Model S(モデルS)」がソフトウェアのアップデートによって充電時間が長くなったことが判明したため、テスラに対しモデルSの所有者に1人あたり200万円を超える補償金を支払うように命じたと、ノルウェーのオンライン新聞「Nettavisen(ネッタビースン)」が報じた。この判決により補償の対象となったオーナーは、各々13万6000クローネ(約243万円)を受け取ることになる。

2020年12月、テスラの車両を所有する30人のドライバーが、同年のソフトウェアアップデート後に充電速度が遅くなったとして、調停委員会に苦情を申し立てた。この性能低下は、2013年から2015年に製造されたテスラ モデルSに生じている。

テスラはこの期間に、ノルウェーで約1万台のモデルSを販売した。これはつまり、テスラが全体で最大13億6000万クローネ(約243億円)の支払いに直面することを意味する、とNettavisenは述べている。

テスラは判決が出る前にはこの苦情に応じていなかった。罰金の支払期限は5月30日までとなっている。同社は6月17日までに、判決を不服としてオスロ調停委員会に訴えることができる。

テスラが充電速度に関する苦情で訴えられたことは、今回が初めてではない。2019年には米国のあるテスラ車オーナーが、ソフトウェアのアップデート後に航続距離の減少や詐欺行為があったとして、カリフォルニア州北部地区の連邦裁判所にこのEVメーカーを提訴した。

ノルウェー道路交通情報評議会(Opplysningsradet for Veitrafikken)によると、新車販売台数に占めるEVの割合がノルウェーは欧州で最も多く、2020年に同国で販売された全新車のうち、54.3%がバッテリー電気自動車だったという。販売台数が最も多かったのはAudi(アウディ)の「e-tron(eトロン)」で、2番目がテスラの「Model 3(モデル3)」だった。

関連記事
イーロン・マスク氏がビットコインでのテスラ車購入停止を指示、ツイート後ビットコインは下落中
運転席に誰も乗っていなかったテスラの事故、Autopilotは作動していなかった可能性があると国家運輸安全委員会
マスク氏の「年末までに自動運転を実現」という発言は「エンジニアリングの現実とは一致しない」とテスラ社員

カテゴリー:モビリティ
タグ:Tesla裁判Model Sノルウェー電気自動車

画像クレジット:Tesla

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

バーやレストラン向けシンプルなPOSプラットフォームのOrdrがコロナ禍で成長

バーやレストラン向けの「オーダー&ペイ」プラットフォーム「Ordr」がシリーズAでIdekapitalとOpenOceanから1000万ユーロ(約13億3000万円)を調達した。

ノルウェーで2020年に創業したOrdrは、IKEA、Nordic Choice、REKOM、Color Lineを顧客として獲得し、スウェーデンやフィンランド、デンマーク、英国にも進出している。Ordrの競合にはFlipDish、Onvi.com、WeOrderなどがある。

Ordrのプラットフォームはデジタルメニュー、注文、支払い機能を備える。同社は、バーやレストランの売上が増え、待ち時間が減るとしている。

同社のスマートフォン用ソリューションは、レストランやホテルが注文をとって支払いを受け取る、これまでのPOSに代わる「バーチャルPOS」となっている。ウェイターも使用できる。Ordrによれば、利用客は新たにアプリをダウンロードする必要はなく、ホテルやパブは地元のレストランのメニューを提供するのに使える。

創業者でCEOのEdwin Fjeldtvedt(エドウィン・フェルドベット)氏は「多額の費用がかかり顧客を縛りつけるキャッシュレジスターシステムに対して、我々は古いPOSシステムを不要としバーチャルにする次世代のキャッシュレジスターシステムを開発しました。同時に利用客が求めるエクスペリエンスに基づいて、利用客を中心に置いたまったく新しいカスタマージャーニーを作りました」と述べている。同氏はさらに、コロナ禍でホテルやレストラン、ケータリング業界に新しい感染症対策が求められたことから、同社のアプリが「離陸した」とも語った。

IdekapitalマネージングパートナーのKristian Øvsthus(クリスチャン・オブストゥス)氏は「我々はビジョン、ソリューション、マネジメント、雇用する人材、そして実行能力にたいへん魅力を感じてきました」と述べている。

OpenOceanゼネラルパートナーのPatrik Backman(パトリック・バックマン)氏は「Ordrは、同社のプラットフォームが効果的に機能し、さまざまな市場に通用するスケーラブルなソリューションであることを証明してきました。同社は国際的なベンチャーとして優れた位置にいます。ケータリング業界は今後の競争力のために新しいテクノロジーを切実に必要としていますが、これがまさに求められているものです」と述べている。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:OrdrレストランPOS資金調達ノルウェー

画像クレジット:d3sign / Getty Images

原文へ

(文:Mike Butcher、翻訳:Kaori Koyama)

職場や業務プロセスの3Dシミュレーションを活用する企業研修スタートアップAttensiが約28億円調達

ノルウェーのオスロで生まれた企業研修のスタートアップのAttensiは、ニューヨークのLugard Road Capital、DX Ventures(Delivery Heroが支援するVCファンド)、そして既存の株主であるViking Ventureから2600万ドル(約28億円)を調達した。今回調達した資金は、北米および欧州での事業拡大に充てられる。

Attensiは企業研修に「ゲーム化されたアプローチ」を採用しており、従業員を職場や業務プロセスの3Dシミュレーションに参加させる。競合他社にはGoSkills、Mindflash SAP Litmos Skilljarなどがある。

パンデミックですべてのオフィスワークがリモートに移行する中、このようなデジタルトレーニングプラットフォームにはメリットがある。

今回の資金調達は、米国のベンチャーキャピタルが欧州の新興企業を「狩り」にいき、現地のベンチャーキャピタルに圧力をかけていることを示す最近の例でもある。

Attensiの共同創業者であり、共同CEOでもあるTrond Aas(トロンド・エース)氏は「ゲーム化されたシミュレーショントレーニングにより、私たちは職場心理学の長所と、シミュレーションとゲーム化の専門知識を組み合わせて、新しいカテゴリーのトレーニングソリューションを生み出しました」と述べている。

Attensiは年間経常収益で63%の年平均成長率(CAGR)を達成したとしている。同社のクライアントにはDaimler Mercedes Benz、Circle K、Equinor、BCG、ASDAなどがある。

Lugard Road CapitalのパートナーであるDoug Friedman(ダグ・フリードマン)氏は次のように述べている。「Attensiのソリューションを通じて、企業の学習と開発を永遠に変え、改善させようとしているAttensiのチームに投資できることを、これ以上ないほどうれしく思います」。

カテゴリー:HRテック
タグ:Attensi企業研修ノルウェー資金調達

画像クレジット:attensi

原文へ

(文:Mike Butcher、翻訳:塚本直樹 / Twitter

欧州企業2社が二酸化炭素隔離のための直接空気回収サービスへ道を開く

スイスを拠点とし、ベンチャーキャピタルに支援された直接空気回収技術を開発するClimeworks(クライムワークス)は、ノルウェー政府とヨーロッパの大手エネルギー企業数社とによる合弁事業と提携し、大気中の二酸化炭素の直接回収に加え、二酸化炭素の地下隔離と貯留を事業化する道筋を探ることになった。

Climeworksと、新しく創設された企業Northern Lights(ノーザン・ライツ)との合弁事業がうまくいけば、この契約により、世界中の営利企業に向けた二酸化炭素回収と隔離のサービスを提供する新規事業への道筋が開かれる可能性が生まれる。つまりこれは、地球の気候変動を逆転させるためには必要不可欠だとこの2社が主張する、完全な二酸化炭素除去サービスが実現することを意味している。

Northern Lightsは、回収した二酸化炭素の処理、移動、地下隔離を目的に、Equinor(エクイノール)、Shell(シェル)、Total(トータル)の合弁事業として2021年3月に創設された。その事業は、ノルウェー政府が「Longship Project(ロングシップ・プロジェクト)」と名づけた回収した二酸化炭素を地下に貯留するための取り組みの1つの柱になっている。

「大気中から二酸化炭素を除去して2050年までに実質ゼロを実現するには、その能力を構築しなければならないという認識が広まっています。私たちはClimeworksとの共同事業に大変に期待を寄せています。安全性と恒久的な貯留を両立させる直接空気回収には、炭素循環のバランスを取り戻せる可能性があります」と、Northern Lightsの業務執行取締役Børre Jacobsen(ボーレ・ヤコブセン)氏は声明で述べている。

この2つの企業は、Northern Lightsの施設とClimeworkの直接空気回収技術との合体がネガティブエミッション技術の開発推進につながり、非工業分野の企業にも、カーボンニュートラルやカーボンネガティブになるチャンスを与えることになればと願っている。

だがこの事業には注意すべき点が数多くあり、直接空気回収の取り組みや、隔離および監視プロジェクトの可能性と落とし穴の両方が露呈されている。

第1の問題は、二酸化炭素排出量の国際価格を設定する必要があることだ。それによってこのプロジェクトは、経済的に実行可能となる。

「二酸化炭素の直接空気回収に料金を支払う法律が、世界に1つだけあります。それが、カリフォルニア州の低炭素燃料基準です」と、Climeworksの共同最高責任者であり共同創設者であるChristoph Gebald(クリストフ・ゲバルド)氏はいう。「1トンあたり最大200ドル(約2万1800円)が支払われます。【略】これは、まさに、大気、直接空気回収、地下貯留、監視をひとつなぎにした完全なシステムを成り立たせるために必要となる価格帯です。そのインフラを整備し資金面を支えるために必要な価格帯です」。

さまざまな二酸化炭素回収技術に関連するコストの内訳。上から植林、BECCS、二酸化炭素を吸着するケイ酸塩岩を土壌に撒く方法、直接空気回収(画像クレジット:Climeworks)

この価格は、世界の指導者たちが議論して算出した炭素排出産業の潜在的コストの中でも最上ランクのものだ(特筆すべきは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの中国の排出量を考慮すると、中国が設定した二酸化炭素排出に対する価格は低すぎる)。

直接空気回収と貯留のための技術を実用化する価格設定の心配の他にも、このプロジェクトをどれだけの規模で展開すれば地球全体の二酸化炭素を目に見えて減らせるのかという問題がある。

ここでもまたゲバルド氏は、同社の能力と規模の問題について明確な評価を与えている。

「科学的に示された排除すべき二酸化炭素の量は100〜200億トンです」とゲバルド氏。「直接空気回収の場合、ギガトンの規模に拡大させる必要があります。この予定地区では、メガトン規模に発展できる可能性があります。これはNorthern Lightsと協力すれば必ず実現できる範囲です。私たちは、メガトン規模を目指します」。

Climeworksでは、再生可能エネルギーを使用し、排熱はさまざまなサイズで機械に装着できるモジュラー式回収装置の動力源となる。同社の二酸化炭素回収能力で、唯一足かせになるのが電力だとゲバルド氏はいう。

同社はすでに、アイスランドの企業Carbfix(カーブフィックス)と協力関係にあり、Climeworksの技術で玄武岩が二酸化炭素を鉱化し貯留している。声明で同社が述べたところによると、二酸化炭素を永久貯留する候補地を世界中で探しているが、Northern Lightsが深地層隔離の場所として提案した、北海の海底にある塩水帯水槽が理想的な代替地とされているという。

Climeworksは、その技術開発のために、1億5000万ドル(約163億円)をスイスのチューリッヒ州立銀行などの投資家から調達した。

今回のプロジェクトの一環として、Northern Lightsは、二酸化炭素排出の点源であるオスロの工業地帯でその回収を行う計画を立てていたのだが、ノルウェーの海岸に拠点を移すことになった。そこに建設される施設で二酸化炭素を液化し、北海の沖合、海底から深さ約2.6キロメートルの地層の貯留地点へパイプラインで送り込む。

「Nortthern Lightsは、二酸化炭素回収と隔離をサービスとして提供しています。このプロジェクトを実行に移そうと考えたときから、また政府に協力してきた初期のころから、【略】最大の驚きは、ヨーロッパの二酸化炭素排出業者の回収と隔離に対する関心の高さでした」とヤコブセン氏。「この意識、この関心、そして解決策を探し出す必要性がますます高まっています。議論は、どんな可能性があり、どんな解決策があるかに移っています。Northern Lightsは、このバリューチェーンで大きな役割を担うことになります」。

すでに一部の企業が、同プロジェクトの最初の顧客になりたいと関心を示しているとヤコブセン氏は話す。「顧客企業からたくさんの覚書や秘密保持契約書、それに支援の書簡を受け取っています。私たちと話がしたいという、強い興味を感じます。大切なのは、この対話を契約に結びつけ、事業を前進させることです」。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:ClimeworksNorthern Lights二酸化炭素ノルウェー

画像クレジット:Northern Lights

原文へ

(文:Jonathan Shieber、翻訳:金井哲夫)

ノルウェーのチャレンジャーバンク「Lunar」がシリーズCで約50億円を調達、BNPL(信用販売)に進出へ

ノルウェーのチャレンジャーバンクで、個人資産管理アプリ(PFM)としてスタートした後、2019年に一般銀行ライセンスを取得したLunarが、シリーズCラウンドで既存投資家から4000万ユーロ(約50億円)を調達した。

今回の資金注入は、2020年4月に発表された2000万ユーロ(約25億円)のシリーズBラウンドに続き、Lunarの有料Proサブスクリプション(欧州の複数のチャンジャーバンクがすでに実施している)や消費者ローン、8月に開始したビジネス向け口座などを支えるものだ。

ビジネス向け口座はすぐに成功したようで、当地には(英国と同様に)個人事業主にとって使い勝手のよい銀行口座に対する抑圧された需要があった証拠だろう。デンマークに進出してからわずか数カ月後、同国で新たに登録された個人事業主の50%以上が同サービスに口座を開設したとLunar Businessはいう。

私はLunarについて、ユーサーの平均カード利用金額が1100ユーロ(約13万6000円)と、EU平均の212ユーロ(約2万6000円)を大きく上回り、ユーザー愛着度が「業界最高」とされているとも聞いている。現在Lunarにはデンマーク、スウェーデン、ノルウェーを合わせて5000口座のビジネスユーザーと20万口座の個人ユーザーがいる。

一方、最も注目すべきなのは、同社初の消費者向け金融商品の提供を開始した後、Lunarは 「buy now, pay later(BNPL。「今すぐ購入支払いは後」。信用販売)」市場への参入を見据えていることだ。これは、会社価値106億5000万ドル(約1兆1167億円)のKlarnaや、つい最近上場した米国のAffirmの領域に進出することを意味している。BNPL分野にはPayPalという巨人もいる。

LunarのファウンダーでCEOのKen Villum Klausen(ケン・ヴィルム・クラウセン)氏は、ノルウェー銀行市場の「矛盾状態」が、同社がBNPLに進出する理由だという。「ここは世界で最も利益を上げやすい銀行環境ですが、最も防御がかたい市場でもあり、外部からの競合がほとんどありません」と同氏はいった。「つまり、個人事業主である銀行顧客はすべての金融商品を取引銀行から購入する、という意味です」。

これはLunarのBNPL商品が「post-purchase(ポストパーチェス、購買後)」商品として作られていて、Lunarはユーザーが何かを買った後に声をかける仕組み(Curveのプランドクレジット商品と似ている)であることと関連している。例えば新しいテレビを買おうとすると、アプリはユーザーに分割支払したいかどうか尋ねる。「ユーザーはこのために売り主と契約する必要がなく、実店舗でもeコマースでもあらゆる取引に利用できます」とクラウセン氏は説明する。

「私たちはKlarnaを直接の競合と考えていません、彼らはノルウェーの決済システムに所属していないからです」と同氏は付け加えた。「つまり、請求書の支払いや、給与の受け取り、日々の銀行取引などに利用することはできません。Klarnaはスウェーデンでは巨大ですが、デンマーク、ノルウェー、フィンランドでは比較的小規模なのです」。

Lunarはこれまでに合計1億400万ユーロ(約130億円)を、Seed Capital、Greyhound Capital、Socii Capital、Chr. Augustinus Fabrikkerらの投資家から調達している。同チャンジャーバンクはデンマークのオーフス、コペンハーゲン、スウェーデンのストックホルム、ノルウェーのオスロに拠点を持ち、180名以上の従業員がいる。2021年前半にはフィンランドでバンキングアプリを公開する計画だ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Lunar資金調達ノルウェー

画像クレジット:Lunar

原文へ

(翻訳:Nob Takahashi / facebook