Puffcoが最上位ヴェポライザー「Peak Pro」の喫煙体験を向上させる新しいチェンバーを発表

Puffco(パフコ)は、そのヴェポライザーの最上位モデル「Peak Pro(ピーク・プロ)」に、喫煙体験を向上させ、バッテリー継続時間を改善する新しいアップグレードを発表した。


このアップグレードには、Peak Proのクッキングチェンバーを交換する必要があるが、洗練されたデザインにより簡単に交換できる。

この新しいチェンバーは、Puffcoがベイプを清潔に簡単に装填することができるバッテリー駆動の「Hot Knife(ホット・ナイフ)」を発表した直後に登場した。喫煙がここまでハイテクになるべきだとは、誰も言っていないのだが。

3D Chamber(3Dチェンバー)と呼ばれるこのチャンバーは、Puffco Peak Proの重要な部分である(ここで魔法が起こるのだ)。内部では、大麻素材がすばやく加熱されて蒸気になる。Puffcoはこの部分を、ユーザーがチェンバーのネジを外して掃除や交換、アップグレードができるように設計した。

3D Chamberは、その名の通り、素材をすべての面から加熱できる。この効率的な加熱方法により、Peak Proのバッテリーライフが30%向上したと、Puffcoはいう。3D Chamberを使用するためには、ユーザーはPeak Proのファームウェアをアップデートする必要がある。

この新しいチェンバーは、米国では2021年10月下旬より、89.99ドル(約1万200円)という価格で発売になる。

画像クレジット:Puffco

これは、Puffcoの第2世代の濃縮eリグ(電動ダブリグ)であるPeak Proに初めて用意された主要なアクセサリーだ。このデバイスにユーザーは濃縮された少量の大麻を入れて、そこですばやく加熱し、その蒸気を水パイプを通して吸引する。すばやく、簡単に、すばらしい味と蒸気を得ることができる仕組みだが、新しいチェンバーはその体験をさらに向上させる。Puffcoからこの3D Chamberが送られてきたので試してみたが、筆者はこれが大変気に入った。3D Chamberは、Puffco Peak Proをあらゆる面で向上させる。

同社は先頃、セラミックチップがすぐに加熱されて濃縮液が滑り落ちるという斬新なバッテリー駆動のダブツールを発表している。

2013年にRoger Volodarsky(ロジャー・ヴォルダルスキー)氏によって設立されたPuffcoは、現在も非公開会社として運営されている。同社によると、2021年には売上高が1億ドル(約114億円)に達する勢いだという。同社の主な製品ラインは2つ。249ドル(約2万8000円)の「Peak」と399ドル(約4万5000円)の「Peak Pro」が揃う携帯型ウォーターリグと、89ドルの小さなペン型濃縮ヴェポライザー「Puffco Plus(パフコ・プラス)」だ。メーカーによると、Puffco Plusは2016年の発売以来、100万個以上が販売されており、新製品はより速いペースで売れているという。

Puffcoの製品は、そのデザインと機能が広く評価されている。フィット感と質感は、どの会社のトップレベルの電子機器にも劣らない。同社は大麻をより身近に感じたいという層をターゲットにしているという。

Puffcoに対する評価の高さは、サードパーティ製アクセサリーのエコシステムが拡大していることや、非常に熱心なファンが多いことからもわかる。特にInstagram(インスタグラム)では、44万8000人ものフォロワーがいる。

画像クレジット:Puffco

原文へ

(文:Matt Burns、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

米国で大麻関連企業への投資が急増、2021年の平均投資額は昨年比165%増に

大麻関連企業のエクイティ資金調達額が、急速に過去最高を更新している。Crunchbaseのデータを分析すると、大麻企業はエクイティ資金調達でより大きな額の小切手を手にしていることが明らかになった。ラウンド数はシードラウンドから後期段階のラウンドへと移行しているようだ。

米国時間10月14日、大麻関連のテクノロジー企業として業界をリードするDutchie(ダッチー)が、新たに大規模な資金調達を行ったというニュースが報じられた。今回の3億5000万ドル(約400億円)を調達したシリーズDラウンドは、2021年3月に実施された2億ドル(約230億円)のラウンドに続くもので、同社の評価額は37億5000万ドル(約4290億円)に達した。Dutchieはこれまでに総額6億300万ドル(約690億円)を調達している。

関連記事:大麻の販売関連サービスのDutchieが新たな資金調達で評価額は前回の8倍に

Dutchieの他にも、2021年には大規模な資金調達ラウンドを実施する大麻関連企業が続出している。例えば、Jane Technologies(ジェーン・テクノロジーズ)は8月にシリーズCラウンドで1億ドル(約114億円)を調達し、Kadenwood(カデンウッド)は5000万ドル(約57億円)を調達したシリーズBをクローズした。また、私募投資で1億ドルを調達したMedMen(メッドメン)のように、IPO後の株式に目を向けている企業もある。Weedmaps(ウィードマップス)の親会社は、SPACと同時に3億2500万ドル(約372億円)の投資を受けている。

2021年の最初の5カ月間に大麻関連企業が実施した資金調達は132件で、その1件あたりの平均調達額は1500万ドル(約17億円)にのぼる。しかし、資金調達の激しさはその後も加速し、直近の5カ月間に大麻関連企業は73件の資金調達を実施しているが、平均調達額は2800万ドル(約32億円)と86%も増加した。これらの中には、シリーズDまでのプレシード投資の他、IPO後のエクイティ資金調達、エクイティクラウドファンディングなどが含まれる。

2020年の水準と比較すると、大麻関連の平均投資額は、2020年の750万ドル(約8億5800万円)から、2021年には1990万ドル(約22億7600万円)へと165%増加している。資金調達イベントの数も飛躍的に増加しており、2021年は現在までの10カ月足らずの間に、205件の資金調達ラウンドが報告されている。2020年は通年で176回だった。

投資額は、ほぼすべてのステージで増大している。Crunchbaseのデータによると、2021年のシードステージの平均投資額は186万ドル(約2億1300万円)で、2020年の平均約100万ドル(約1億1400万円)から85%増加。シリーズBとシリーズCの投資額は、それぞれ128%と154%増加し、平均投資額は1896万ドル(約21億7000万円)と1億167万ドル(約116億3000万円)となっている。ただし、この傾向には1つだけ例外がある。シリーズAの投資額は、前年同期比で25%減少しているのだ。全体的な傾向は増加しているにも関わらず、特定のステージのみが減少している明確な理由は見当たらない。

大麻は依然として連邦政府には違法薬物とされているが、企業は増え続ける規制に直面しながらも成長するための新しい方法を見出している。新型コロナウイルスの流行はそれを後押しした。感染流行初期の頃は、全国の薬局が必要不可欠なビジネスとみなされ、消費者受容が急激に高まった。2021年後半には、以前にも増して多くの米国人が大麻に慣れ親しんでおり、これには明らかに投資家も含まれている。

画像クレジット:Kimberly Delaney / Getty Images

原文へ

(文:Matt Burns、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アルコールやマリファナなど検査のために「目」のスキャンデータベースを構築するEyeGage

LaVonda Brown(ラヴォンダ・ブラウン)氏はジョージア工科大学在学中にアイトラッキング(目の動きの追跡)に関心を持つようになった。「心の窓」と言われる目をスキャンすることで得られる情報に魅了され、これが2021年のDisrupt Startup Battlefieldで競っている20社のうちの1つ、EyeGage(アイゲージ)の礎となった。

TechCrunchコンペティションへのEyeGageのエントリーは、同社初のプロダクトである、運転できるほどには酔っ払っていないかどうかを確認できるアプリを立ち上げようとしている中でのものだ。アプリでは、酔っ払っている場合には「Do Not Drive(運転してはいけません)」という大きな赤い文字の警告と、UberかLyftにつながるリンクが案内される。アプリは無料で、2つの目的がある。消費者へのサービス提供、そしてEyeGageの拡大中の目のデータセットに参加してもらうというものだ。

「アプリをダウンロードし、目の写真を撮ると、アプリは消費者がライドシェアサービスを使うべきかどうかを提案します。究極的には目に基づき、運転を不可とします」とブラウン氏は説明する。「アプリは無料です。バーターのサブスクサービスと呼びましょう。アプリユーザーは当社に自身の目の写真やビデオを提供し、当社はユーザーに適切な判断をくだせるようテクノロジーへのアクセスを提供します」。

このアプリは今のところ、同社事業の中で最も目立つ要素だ。同社が行っていることのほとんどは目のデータセットの構築に向かう。同社は目のさまざまな面へのアルコールの影響の測定を始める。ここには、連邦政府が承認したテスト施設で同社が現在行っている研究も含まれる。テスト参加の申し込みにサインした人はアルコールを飲み、その間に同社は目の写真やビデオを撮り、血液サンプルも採取する。

現在いくつかの州で合法であることを考えると、次に来るのがマリファナだ。オピオイド、アンフェタミン、ベンゾジアゼピンのような他のドラッグはデータを収集するのがより難しいが、こうした物質の合法バージョンを扱っている病院やクリニックが、きちんとした同意をともなうデータ収集の良い源になるかもしれない。

労働環境が論理的な次のステップでもある、とブラウン氏は話す。法執行当局もリストに載っているが、そうした種の提携を得るにはさまざまなハードルがある。「建設や製造、輸送などリスクの高い職場をターゲットとしています。そうした産業では特にドラッグやアルコールの使用率が高くなっています」とブラウン氏はTechCrunchに語った。

また、体内の物質を検出するための緊急使用以外でのデータセットの潜在的な使い道があるかもしれない。

「目の動きのモニタリングは多くの分野で使用することができます」とブラウン氏は付け加えた。「そしてもちろん、目を見て識別することができます。脳しんとうや糖尿病など特定の病気を診断するのに使え、また異なるマーケットの分野でも使えます。目は体の中で何が起こっているのかについての情報を多く持っています。目が光にどのように反応するかをみることでカフェインを摂取したかどうかわかります。目の動きがあまりに速い場合は刺激物のようなものの摂取となります。そしてあまりにも動きが遅ければ、抑制剤のようなものの摂取が考えられます」。

EyeGageはこれまでに14万2455ドル(約1560万円)を調達した。友人や家族からの4万2455ドル(約465万円)のプレシード資金、そしてこのほどGoogle Black Founders Fundから贈られた賞金10万ドル(約1095万円)だ。

画像クレジット:EyeGage

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

WeedmapsのiPhoneアプリで大麻購入が可能に

Apple(アップル)のApp Storeガイドライン緩和によって、Weedmaps(ウィードマップ)ユーザーは人気アプリの中でカナビス(大麻)を購入できるようになった。これは、Weedmapsのユーザーがカナビスを一覧、選択、購入し、受取りあるいは配達までをアプリ内で行えるという意味だ。これまでユーザーは、地元小売店を探してメニューを見ることしかできなかった。それはApple(アップル)および地方、国のガイドラインのためだった。

アップデートされたアプリはすでに公開中だ。

関連記事:アップルが詐欺撲滅を目指してApp Storeガイドラインを改訂

この変更は、Appleが一部のカナビスアプリのためにApp Storeの規制を緩和した結果だ。新しいガイドラインの下では、ライセンスを受けたカナビス販売業者はライセンスを受けた薬局と同じ制限を(Appleから)受けるため、Weedmapsのようにライセンスを受けたカナビス業者を掲載しているアプリは販売サービスの提供が可能になる、という意味だ。

「当社のiOSアプリから購入できる機能は、当社の顧客とビジネスパートナー双方にとっての利便を改善する画期的な出来事です」とWM Technology, Inc.の最高技術責任者であるJustin Dean(ジャスティン・ディーン)氏はいう。「Appleのような会社が業界のリーダーたちと強力して私たちの業界のイノベーションを進めるソリューションを見つけてくれたことに感謝します。カナビスに対するポリシーや姿勢が目覚ましい成長を約束する形で変化していることに勇気づけられるとともに、当社プラットフォームを通じて小売店にカナビスを注文するもっと簡単な方法を提供できることを期待しています」。

Weedmapsはこの市場で独特の位置にいる。カナビス・アプリの第1人者として、すでに全米を通じて利用されている。競合するデリバリーサービスのEaze(イーズ)などと異なり、Weedmapsは配達に関与していない。ライセンスを受けたディスペンサリー(販売薬局)が商品とサービスのリストを載せるためのプラットフォームを提供しているだけだ。

新しいApp Store規則の下では、Weedmapsのようなアプリはユーザーがカナビスの販売が合法である限定地域内でのみ注文できるように制限しなければならない。これは、カナビス販売が違法な場所に住んでいるユーザーは、合法地域内のディスペンサリーから購入できないことを意味している。

以前のApple App Storeポリシーは以下のとおりだ。

たばこや電子タバコ(関連製品を含む)、違法な薬物、過度のアルコールの摂取を助長するAppは、App Storeでは許可されません。未成年者にこれらの摂取を促すAppは却下されます。また、規制薬物の販売(許認可を受けた薬局を除く)、およびたばこの販売を幇助することは認められません。

米国時間6月7日に改定されたポリシーは以下のとおり、変更部分を強調してある。

たばこや電子タバコ(関連製品を含む)、違法な薬物、過度のアルコールの摂取を助長するAppは、App Storeでは許可されません。未成年者にこれらの摂取を促すAppは却下されます。また、規制薬物の販売(許認可を受けた薬局、または許認可済みかその他の合法的な大麻ディスペンサリーによる販売を除く)、およびたばこの販売を幇助することは認められません。

規制の多い分野(バンキングや金融サービス、ヘルスケア、ギャンブル、合法大麻の使用、航空旅行など)でのサービスを提供するApp、機密性の高いユーザー情報を必要とするAppは、個人のデベロッパではなく、そうしたサービスを提供する法人によって提出される必要があります。大麻の合法的な販売を促進するためのAppは、それが合法とみなされる法的管轄地域でのみ利用できるよう、地域制限を設定する必要があります

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Weedmaps大麻AppleiOSApp Storeアメリカ

画像クレジット:Weedmaps

原文へ

(文:Matt Burns、翻訳:Nob Takahashi / facebook

大麻大手のLeaflyがSPAC合併経由で上場へ、評価額は約590億円

Leafly(リーフィー)は公開企業となるのにMerdia Merger Corp. IとのSPAC合併に目を向けている。Leaflyを約5億3200万ドル(約590億円)と評価し、上場で1億6150万ドル(約180億円)の調達を見込んでいるこの取引には、同社がMerida Capital Holdingsなどの投資家からこのほど調達した3150万ドル(約35億円)も含まれる。

MeridaはLeaflyの社名を受け入れ、Leaflyはティッカーシンボル「LFLY」でNASDAQに上場する。Leaflyの既存の株主は合併会社の約72%の株を保有する。取引は2021年第4四半期に完了する見込みだ。

Leaflyは2010年に創業され、大麻のマーケットプレイスとリソースのリーダーとして成長した。同社は痛みや小売店、最近のイベントなどに関する詳細な情報を含む、消費者向けコンテンツの専門ライブラリーを提供している。小売店向けとしては、7800のブランドと4600の小売購読者が利用しているサブスクベースのプラットフォームを運営している。報道によると、Leaflyは2021年に4300万ドル(約475億円)、2022年には6500万ドル(約720億円)の売上高を見込んでいる。

成功しているにもかかわらず、同社は解雇や経営陣の交代など不安定な2020年を送った。2020年8月にYoko Miyashita(ミヤシタ・ヨウコ)氏がCEOに就任し、より良いオンラインショッピング体験の構築に注力してきた。2021年2月に同社はeコマースツールを改善すべくJaneと提携した

SPAC合併経由で上場することで、Leaflyはまさに米政府が大麻規制を緩和しようとしている時期に成長段階へと足を踏み入れていることを示している。

関連記事
米アマゾンが従業員の薬物検査項目からマリファナを除外
大麻関連企業に融資を行うBespoke Financialが約8.7億円調達
デザイナーズカンナビスをより多くの州で展開、Connected Cannabisが約33億円調達

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Leafly大麻SPACNASDAQ

画像クレジット:

原文へ

(文:Matt Burns、翻訳:Nariko Mizoguchi

米アマゾンが従業員の薬物検査項目からマリファナを除外

Amazon(アマゾン)は、同社の薬物検査プログラムからマリファナを除外することを短いブログ記事で発表した。つまり、今後会社はマリファナをアルコールと同様に扱い、仕事時間以外に従業員は、ビールやマリファナたばこを安心して楽しめるという意味だ。もちろんアルコールと同じく、業務上事故が起きた際には、機能検査および薬物スクリーニングを行うとAmazonは述べている。

唯一の例外は、運輸省の規制を受けている職種、すなわちトラック運転者と重機操縦者だ。これらの仕事の求職者は、引き続きマリファナのスクリーニング検査を受ける。

この変更は、米国社会が国の大麻合法化に急速に寄り添い始めたことを受けたものだ。全米の有権者は、保守の牙城を含め、市民の大麻使用を許す法案を次々と通過させている。医療から娯楽的使用まで、米国は合法薬物に目覚めつつあり、Amazonも歴史に逆行したくない。

Amzonは、Worldwide Consumer(全世界消費者)部門CEOのDave Clark(デーブ・クラーク)氏の書いた声明で、政治状況が変化したことで大麻の合法化と犯罪記録抹消への道が開かれたとの認識を示した。

そして私たちはこれがAmazonだけにとどまらない問題であることを認識し、当社のパブリックポリシーチームは、The Marijuana Opportunity Reinvestment and Expungement Act of 2021(MORE Act)を積極的に支持いたします。これはマリファナを国レベルで合法化し過去の犯罪記録を抹消するとともに影響受けた人々に投資する連邦法案です。他の雇用者も我々に合流し、立法府が迅速に動いてこの法案を通過させることを願っています。

このポリシー改訂は、同社の労働者による組合結成が近づく中、Amazonが実施している最新の取り組みだ。

関連記事
アマゾンが労働組合結成をめぐる投票で勝利確定、RWDSUは結果に異議
ニューヨーク州が娯楽用大麻の合法化へ前進
2020年は大麻にとって決定的な年だった、今後の展開は

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Amazon大麻アメリカ

画像クレジット:Bloomberg Creative / Getty Images

原文へ

(文:Matt Burns、翻訳:Nob Takahashi / facebook

大麻関連企業に融資を行うBespoke Financialが約8.7億円調達

大麻関連の金融会社であるBespoke Financial(ビスポーク・フィナンシャル)は、米国時間4月19日、シリーズA投資ラウンドで800万ドル(約8億7000万円)の資金を調達したと発表した。大麻関連企業に資金調達ソリューションを提供するために奮闘している同社は、今回の資金調達により、重要な投資家を新たに迎え入れることになった。

Bespoke Financialはダイレクト・レンディング会社であり、大麻を扱う企業にいくつかの融資ソリューションを提供している。Bespokeからの短期融資を受けることで、企業は信用を築くことができ、その後の融資や商品でより良い条件を提供できるようになる。

同社によると、融資の実行件数は飛躍的に伸びており、過去1年間で予測を25%上回るペースで推移しているとのこと。同社は2000を超える大麻ライセンス保有者に、1億2000万ドル(約130億円)の融資を提供しているが、これまでに債務不履行はゼロだという。

今回調達した資金を使って、Bespokeは新たな資金調達の仕組みを導入し、さまざまな販売チャネルにおける資金調達の選択肢を拡大することを計画している。

同社共同創業者でCEOのGeorge Mancheil(ジョージ・マンケイル)氏は、今回のラウンドを、会社にとって極めて重要な瞬間であり、Bespoke Financialの方向性と商品を承認する印であると述べている。今回のラウンドでは成長中の同社にとって重要なパートナーを複数得ることができたと、同氏はTechCrunchに語った。

今回の資金調達ラウンドは、Snoop Dogg(スヌープ・ドッグ)のCasa Verde Capital(カサ・ベルデ・キャピタル)とSweat Equity Ventures(スウェット・エクイティ・ベンチャーズ)が共同で主導し、Ceres Group Holdings(セレス・グループ・ホールディングス)、Greenhouse Capital Partners(グリーンハウス・キャピタル・パートナーズ)、DoubleLine Capital(ダブルライン・キャピタル)の共同創業者で元社長のPhilip Barach(フィリップ・バラック)氏、ニューヨーク在住の投資家Robert Stavis(ロバート・スタビス)氏が参加した。

Sweat Equity Ventures(SEV)にとって、これが大麻関連企業への初めての投資となる。SEVは、LinkedIn(リンクトイン)の創業者であるReid Hoffman(リード・ホフマン)氏が出資して設立し、Dan Portillo(ダン・ポーティロ)氏がリーダーを務めている。同社は従来のベンチャーファンドとは異なる仕組みを持っており、創業者と協力してエンジニアリングやビジネスの分野で優れた人材を投資先企業に送り込んでいる。単に小切手を切るのでなく、SEVはこれらのサービスを提供することで、企業の株を受け取る。

「今回は当社にとって初めての大麻産業への投資であり、ますます多くの州で大麻の使用が合法化され、連邦政府も全国的な合法化を検討している中、Bespokeと提携できることをうれしく思います。今回の提携により、Bespoke社の金融および大麻に関する知見と、当社チームの革新的なハイテク企業の規模拡張に関する専門知識が融合し、大麻企業が合理的な資金調達にアクセスできるようになると同時に、投資家にとっても透明性の向上とリスクの監視が可能になります」と、Sweat Equity Venturesのマネージングパートナーであるダン・ポーティロ氏は声明の中で述べている。

Casa Verde CapitalのマネージングパートナーであるKaran Wadhera(カラン・ワドヘラ)氏は、Bespoke Financialが成長を続ける業界の真のニーズに対応していると述べている。Casa Verde Capitalは以前、2019年の700万ドル(約7億6000万円)のラウンドを含め、Bespoke Capitalに投資したことがある。

BespokeのCEOであるマンケイル氏はTechCrunchに対し、同社は単なる貸し手ではなく、大麻業界の真のパートナーとして活動できるような、現代的な融資会社になりたいと考えていると語った。

今回の800万ドルの資金調達を含め、Bespoke Financialはこれまでに2800万ドル(約30億円)を調達した。2019年に設立された同社は、現時点で12名の社員を抱えている。

関連記事:ニューヨーク州が娯楽用大麻の合法化へ前進

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Bespoke Financialカンナビス資金調達

画像クレジット:Getty Images under a Getty Images license.

原文へ

(文:Matt Burns、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

デザイナーズカンナビスをより多くの州で展開、Connected Cannabisが約33億円調達

Connected Cannabis Co.は2009年に設立され、その後にデザイナーズカンナビスのリーディングカンパニーとして成長してきた。そして米国時間4月14日に同社は、3000万ドル(約33億円)の負債および株式による資金調達を発表した。Connected Cannabisは2019年にシリーズAで2500万ドル(約27億円)を調達しており、今回のラウンドはNavy CapitalやOne Tower Groupなどの既存の投資家が主導し、Bryant Park Capitalの系列会社であるEmerald Park CapitalとPresidio View Capitalも参加した。

Connected Cannabisは現在、カリフォルニア州とアリゾナ州で栽培施設と小売施設を運営している。そして今回の追加の資金調達により、他の地域にも拡大していく予定だ。同社によると、ネバダ州やミシガン州などの大麻の文化が強く、成長が期待できる州に注力する計画だという。

「Emerald Park CapitalとPresidioをConnectedのファミリーに加え、創業当初から当社のミッションを支えてくれた長期的なパートナーを歓迎します」と、Connected CannabisのSam Ghods(サム・ゴーズ)CEOは語る。「私たちはクラス最高の新しい遺伝学を開発し、最高品質の花を生産することで、目覚ましい成長と揺るぎない顧客ロイヤルティを獲得しました。私たちが初日から誇りに思ってきたこのコミットメントと品質は、他の州に進出しても変わらないでしょう。当社の真の製品とブランドを新しい市場の消費者に提供できることを、楽しみにしています。これは、事業拡大を検討する際の最優先事項です」。

Connected Cannabisは特定の地域以外への事業拡大に先駆けて資金調達を行う、増えつつある大麻に特化した企業の中の1社だ。米国で大麻を合法化する州が増えるにつれて、より多くの企業が事業拡大の選択肢を模索している。しかし連邦政府の規制が厳しいため、Connected Cannabisのような大麻栽培企業はプロセスを遅らせ、異なる州で事業を展開することになる。州によって規制が異なり、連邦法では州間取引が禁止されているためだ。

大麻の栽培は簡単だ。そして丈夫で心が広く、寛大だ。しかし大麻を大規模に栽培することは、決して容易なことではない。だからこそConnected Cannabisは、国内での成長を促すために追加の資金を調達したのだ。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Connected Cannabis資金調達大麻アメリカ

画像クレジット:Konstantinos Tsakalidis/Bloomberg / Getty Images

原文へ

(文:Matt Burns、翻訳:塚本直樹 / Twitter

ニューヨーク州が娯楽用大麻の合法化へ前進

ニューヨーク州当局はAndrew Cuomo(アンドリュー・クオモ)知事と、大麻の娯楽使用を認める合意に達した。この動きは東海岸最大の合法大麻市場を創出し、潜在的に数万人の雇用と大きなスタートアップの機会を創出するだろう。

これは大きな一歩だが、2021年内に娯楽用大麻の販売が行われる可能性はまずなさそうだ。この枠組みは最終的な見直しを必要としており、議員たちは商業的な販売に関する規則を作る必要がある。ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、民主党が多数を占める州議会は早ければ来週、2021年3月第5週にも法案を可決する可能性がある。

この法案は、ニューヨークで大麻を導入しようとして何度か失敗した後に提出されたものだ。隣の州であるニュージャージー州は、2020年の選挙で娯楽用大麻法案を可決した。

今回の法案にはいくつかの興味深い点がある。提案された法案では、大麻の配達とクラブのようなラウンジでの大麻の消費は認められるが、アルコールと一緒に消費することはできない。家庭内での栽培も認められており、個人使用の場合は6本までとなっている。NYTによると、この案は麻薬撲滅戦争の失敗の影響を受けた同地域に数百万ドル(数億円)の税収を還元するものだという。これには小規模事業主のために多くのビジネスライセンスを確保することや、小規模農家への融資、助成金、インキュベータープログラムの提供などが含まれる。

またニューヨーク州の議員は大麻の所持に関する法律を見直し、3オンス(約85グラム)以下の大麻に対する罰則を廃止するつもりだ。これにより、現在は合法的な活動で有罪判決を受けた人の記録も抹消される。

関連記事
2020年は大麻にとって決定的な年だった、今後の展開は
大麻株がバイデン氏勝利で高値更新中
米国の5つの州でカナビス合法化法案が承認

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:ニューヨーク大麻

画像クレジット:Getty Images

原文へ

(文:Matt Burns、翻訳:塚本直樹 / Twitter

大麻の販売関連サービスのDutchieが新たな資金調達で評価額は前回の8倍に

約4年ほど前に米国オレゴン州ベンドで設立されたDutchie(ダッチー)は、大麻薬局に月額料金でウェブサイトの作成と運営、注文の処理、受け取り準備が必要な物の追跡などのサービスを提供している。同社は先日、シリーズCラウンドで2億ドル(約218億円)の資金を調達し、評価額は17億ドル(約1860億円)に達した。これは2020年8月にシリーズBで3500万ドル(約38億円)の資金調達を行った際の評価額の約8倍にあたる。実際、2億ドルという金額は2020年の夏に出資者が考えていた評価額とまったく同じだ。

関連記事:米国で大麻のオンライン販売急増、大麻薬局と顧客を結ぶDutchieが絶好調

なぜこのように短期間で大幅に成長したのだろうか?スタートアップ投資における一般的な熱気に加え、DutchieはGreenbits(グリーンビッツ)とLeaflogix(リーフロジックス)という2つの企業を買収したばかりであり、これによりDutchieは顧客のためのオールインワン技術プラットフォームをさらに強化することができる。Dutchieは、この2社にいくら支払ったかを明らかにしていないが、この2社はそれぞれエンタープライズ・リソース・プランニングとPOSソフトウェアを手がけており、合わせて150人の従業員とともにDutchieに統合されることで、現在300人の従業員を抱える同社の規模を、実質的に倍増させることになる。

また、Dutchieはかなり強い追い風も受けている。新型コロナウイルスによるロックダウンが、多くの新規ユーザーを大麻に向かわせたことに加えて、11月の選挙ではさらに5つの州が娯楽用大麻の合法化を決定した。連邦政府は依然として大麻を違法なドラッグに分類しているため、大麻企業が商業銀行や保険にアクセスすることを拒否してきたが、以前のどの政権よりも大麻の非犯罪化に近づいているように思われる

関連記事:米国の5つの州でカナビス合法化法案が承認

Dutchieが発展していることと、規制が進展していることを受けて、我々は米国時間3月15日、同社の共同創業者でCEOを務めるRoss Lipson(ロス・リプソン)氏に、Dutchieが最終的には薬局との提携ではなく、消費者に直接販売を開始するかどうかについて話を聞いた。Dutchieから大麻が送られてくるようになり、消費者が実店舗に現金を支払う必要がなくなれば、それらの業者は必要がなくなるのではないだろうか?

だが、リプソン氏は、そうはならないと主張した。2020年、明白な原因からオンラインによる注文が急増し、バーチャルで商品を選べる手軽さに慣れた買い物客が増えたものの、リプソン氏は「長期的に見れば、これは小売ファーストのモデルです。この業界の性質は、主に植物を栽培と加工する方法により、ハイパーローカルモデルに適していますので、小売店はそのまま残り、成功し続けると思います」と語った。

それは今後、明らかになるだろう。一方でDutchieは、新製品の開発(発見・教育ツールを含む)と国際的な事業展開のために、上位の支援者からさらに2億ドルの資金を得たとリプソン氏はいう。

今回のラウンドはTiger Global Management(タイガー・グローバル・マネジメント)が主導し、Dragoneer(ドラゴニア)とDFJ Growth(DFJグロース)という大麻関連の投資を始めたばかりの2社が参加した。

Dutchieの初期に投資したCasa Verde Capital(カサ・ヴェルデ・キャピタル)、Thrive Capital(スライヴ・キャピタル)、Gron Ventures(グロン・ベンチャーズ)、スターバックスの元CEOで創業者のHoward Schultz(ハワード・シュルツ)も参加している。

この業界に対する投資家の関心が高まっている中、Dutchieが上場する可能性はあるかと尋ねると、リプソン氏は、Dutchieは今「自分たちのやるべきことに集中している」と答えた。

また、合併によってDutchieを上場させたいと考えている特別買収目的会社との話し合いについて尋ねると「現時点ではそのような話し合いに関わっていません」としながらも「ビジネスチャンスがあれば検討します。私たちは、この決断が薬局とお客様にどのような価値をもたらすかを考えます。それが価値をもたらすものであれば、私たちはその決断を下すでしょう」と、リプソン氏は語った。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Dutchie資金調達大麻

原文へ

(文:Connie Loizos、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

大麻マーケティングプラットフォームのspringbigがBudTenderを買収してユーザー体験向上へ

米国時間2月1日、大麻マーケティングプラットフォームのspringbig(スプリングビッグ)はカナダ拠点の大麻小売業者向け顧客体験プラットフォームのBudTender(バッドテンダー)を買収したことを発表した。

この動きは、大麻小売業者が顧客ベース拡大の新たな方法を探っていることを受けたものだ。ほとんどの地域で大麻業者は、ソーシャルメディアを使った近代的広告手法を活用できていない。BudTenderを獲得したことで、springbigはマーケティングと顧客管理の新たなツールを手に入れた。springbigによると、BudTenderはまもなく同社プラットフォームに統合される予定で、ユーザーはBudTenderのレポートや調査結果を利用できるようになる。

「BudTenderはカナダの大麻テック分野をリードしてきました。同社のビジョンとプラットフォームは、大麻小売りと顧客体験の向上というspringbigの継続的コミットメントに無理なく寄与するものです」とspringbigのファウンダーでCEOのJeffrey Harris(ジェフリー・ハリス)氏は語った。「大麻合法化が進むなか、ブランドや小売業が競争力をもつためには顧客の維持と満足度向上のための総合的ソリューションが必要になります」。

2017年にJake Crow(ジェイク・クロウ)氏が設立したBudTenderにとって2020年は目覚ましい年だった。springbigによると、BudTenderの成長は対前年比800%、売上成長は対前年比1200%だった。

「この買収は北米全体の大麻小売業者にとって朗報であるだけでなく、数百万人の顧客体験を豊かにするものです」とクロウ氏はいう。「これでより近代的な大麻業界が生まれることはまちがいなく、srpingigと正式に力を合わせられることを大いに楽しみにしています」。

契約の内容は公開されていない。

関連記事:大麻マーケティングのFylloが同業DataOwlを買収、2021年の大麻ビジネスの爆発的成長に期待

カテゴリー:ネットサービス
タグ:springbig買収大麻

画像クレジット:Bloomberg / Contributor / Getty Images

原文へ

(文:Matt Burns、翻訳:Nob Takahashi / facebook

大麻マーケティングのFylloが同業DataOwlを買収、2021年の大麻ビジネスの爆発的成長に期待

Fyllo(フィロ)は、大麻小売業者のためのマーケティングとロイヤルティのツールを提供しているDataOwl(データアウル)を買収した。

25州(そしてプエルトリコとジャマイカ)にまたがる320の大麻小売業者とすでに協業している、とFylloは述べた。マーケティング最高責任者のConrad Lisco(コンラッド・リスコ)氏によると、DataOwlの買収によって消費者データ、デジタル広告、企業コンプライアンスを組み合わせた業界「初のエンド・ツー・エンドマーケティングソリューション」を、CRMとロイヤルティを事業者のPoSシステムに組み込んだDataOwlを通じて提供できる。

Fyllo創業者でCEOであり、以前はデジタルマーケティング会社Amobeeで最高売上責任者を務めていたChad Bronstein(チャド・ブロンステイン)氏は、例として小売業者が販促テキストを通常の顧客に送るのにFylloプラットフォームを使うことができるようになり、さらに重要なことにそうした販促が州や地元自治体の規制に完全に則ったものにできる、と述べた。同氏はまた、ゆくゆくは規制がかかっている他の産業で、大麻以外のものにもプラットフォームを使うことができる、と付け加えた。

「美容、ギャンブルなど、規制がかかっているあらゆる産業で同じことが起こる必要があります。そうした産業はすべてロイヤルティとコンプライアンスの自動化の恩恵を受けます」とブロンステイン氏は述べた。

加えて、Fylloが委託したForrester調査に裏づけられているように、主要ブランドは大麻とCBD(カンナビジオール)コンシューマーに関するデータを使うことにますます興味を持っていると主張した。

リスコ氏は、今回の買収は大麻産業にとって大事な時期に行われると話した。多くの州で大麻販売は必要不可欠な事業と分類され、マリファナの合法化を背景に引き続き勢いがある。

「2020年に大麻は成熟しました」と同氏は指摘した。「10カ月で、違法なものから必要不可欠なものに変わりました。2021年は地域的な(マリファナ)ブランドが大規模展開しようとするのを目の当たりにすることになるでしょう。なので、そうしたブランドは爆発的な成長に投資することができます。彼らは歴史的に、大手ブランドが市場開拓をするときに使うことができた統合マーケティング能力のようなものから除外されてきました」。

FylloはDataOwlのプロダクトにコンプライアンス能力を組み込むことで、そうした能力をマリファナブランドに提供することを目指している、とブロンステイン氏は述べた。同社はまた、全国大麻ロイヤルティープラットフォームを作ることも目指している。このプラットフォームが実現すれば、ある州のマリファナ小売事業者が法に準拠した方法で他の州へとマーケティングを簡単に拡大できるようになる。

買収の金銭的条件は明らかにされなかった。DataOwlの共同創業者Dan Hirsch(ダン・ハーシュ)氏とVartan Arabyan(ヴァータン・アラビアン)氏は残りのチームメンバー同様Fylloに加わり、Fylloの従業員数は110人になる。

「Fylloに合流することでDataOwlのソリューションは、業界で最もイノベーティブなマーケティングプラットフォームを通じて可能な限り幅広い人にアクセスします」とハーシュ氏は声明文で述べた。

関連記事
大麻マーケティングのFylloがCannaRegsを約11億円で買収
2020年は大麻にとって決定的な年だった、今後の展開は

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Fyllo大麻買収

画像クレジット:Bloomberg Creative / Getty Images

原文へ

(翻訳:Mizoguchi

2020年は大麻にとって決定的な年だった、今後の展開は

新型コロナウイルス(COVID-19)がこの1年を支配した、との表現は控えめだ。パンデミックは私たちのビジネス、他の人間、周りの世界との関わり方の方向性を変えた。eコマースからデジタル決済まで、ビジネスの多くのトレンドが数カ月で数年分進んだ。

大麻業界も例外ではない。大麻はすでに米国内で最も急速に成長している産業だが、2020年は次の段階へ進む年となった。現在、大麻の合法化を支持する米国人は記録的な割合に達している。

誰に聞いても、大麻は大統領選挙の日の最大の勝者の1つだった。アリゾナ州、モンタナ州、ミズーリ州、ニュージャージー州、サウスダコタ州で合法化されたのだ。現在、米国の3分の1以上(1億1100万人以上)が娯楽用の大麻が合法化された州に住む。合法的なこの業界の規模は2021年までに245億ドル(約2兆5000億円)になると見込まれている。

今や大麻が米国のメインストリームの定番となったことはかつてないほど明白だ。この上昇軌道は2021年に向け、業界だけでなく経済全体にも新たな扉を開く。イノベーション、投資、雇用の機会がこの分野に流れ込む。

「グリーン」エコノミー

3月以来、5700万人以上の米国人が失業保険を申請した。大麻に関連する経済的機会や雇用の機会は特効薬ではないが、無視すべきではないことは確かだ。

合法大麻の売上高は2019年に200億ドル(約2兆800億円)近くに達し、今後4年以内に年間400億ドル(約4兆1600億円)を超えると予想されている。業界の成長に合わせ、企業は採用を進めている。合法的な大麻の市場はフルタイム換算で24万3700人の米国人の仕事を支えている。その数は2018~2028年に250%の増加となる見込みだ。大麻業界は米国で最大の新規雇用を生み出す源となる。

大麻はまた、州の経済を強くする。特に州と地方の予算が減少する中で、税収を増やす機会を生み出すことができる。たとえばアリゾナ州は新しい合法化措置の下、大麻の販売に16%の税金を課す。この税金はコミュニティーカレッジ、警察、消防署、公衆衛生プログラムに向けられる。

大麻eコマースの進化

2020年に強まった傾向が1つあるとすれば、それは大麻の需要が非常に高く、不可欠な消費財だということだ。

この春の外出禁止令の広がりの中で食料品店、ガソリンスタンド、薬局と並んで、多くの州で大麻を扱う小売店が「エッセンシャル(生活に不可欠)」に分類された。デパートで買い物をしたり映画館に行ったりすることはできなかったが、大麻を扱う近くの小売店で買うことはできた。政府のこの承認は、大麻業界がメインストリームに引き上げられたという市場への強いシグナルとなった。

消費者からの強い反応が記録的な大麻の売り上げにつながった。前例のない需要により、大麻の小売業者はビジネスのやり方や顧客の商品購入方法に革命を起こすことを余儀なくされた。ウイルスを広める可能性のある人と人との直接の接触を最小限に抑えるため、大麻を扱う小売店ではビジネスを最新化するため、また従業員と消費者の安全のため、eコマースとデジタル決済ソリューションにすばやく目を向けた。

こうした業界全体での変化の結果、オンライン売上高は年末までに7億9450万ドル(約830億円)に達する。これは当初の見積もりをはるかに上回る。専門家はパンデミックがeコマースへのシフトを5年早めたと推測する。この傾向はDutchieでも見られた。3月以降、オンライン注文は700%増加し、平均注文数量は32%増加した。

2021年に向けて

こうした政治やビジネス上の変革は驚異的なスピードで早送りされたマイルストーンだった。では次に来るのは何か。

合法的な業界の最前線でテクノロジーの革新が進んでいる。大麻を扱う小売店は、コンプライアンスが不可欠であり高度に規制された業界における業務をテクノロジーにより合理化できる。次に、小売店がより積極的に情報に基づく意思決定を行うにはデータをもっと理解する必要があるため、データがますます重要になる。これは、あらゆる規模の小売店で重要になるが、特にオンライン体験をより高いレベルに引き上げたい大規模小売店で重要になる。

このニーズを満たす新しい法人向けソリューションがついに市場に登場しつつある。小売店はこうしたソリューションでデータをフル活用し、オンラインでの独自性をデザインすれば、もっと多くのプレーヤーが業界に参入したとしても競争力を維持できる。

合法化が広がるにつれ業界もさらに合法的になり、大麻の販売と使用は後ろめたいものではなくなる。大麻を扱う企業はメインストリームの様々な業界の最も著名な企業から多くの優秀な人材を引きつけるようになるはずだ。以前はこの分野への参入をためらっていたソフトウェアプラットフォーム、企業、投資家が大麻関連企業と協力し、投資を始めると思われる。また、大麻の連邦レベルでの合法化は流動性を高め、より多くの投資取引へ扉を開く可能性を秘めている。

さらに、すでに見え始めた動きとして、小売業者が大規模な買収や合併を続け、業界全体で統合の傾向が高まっている。複数の州で営業する多くの企業が小さなプレイヤーを飲み込む。小さなプレイヤーは力を合わせてまとまり、業界のプレイヤーは集約されていく。

大麻の未来

大麻産業はまだ揺籃期にあるが、その可能性は非常にはっきりしている。

より多くの州で合法化され、業界が成長・成熟するにつれ、方位磁針の向きは私たちが望む方向と近くなるだろう。合法的な大麻の産業は他のメインストリームの産業と同じようにテクノロジーと資金にアクセスできる業界になる。イノベーターはもっと自由に集まり、業界を前進させる最新のテクノロジーソリューションを開発できるようになる。そして、消費者と患者は望むものをもっと容易に手に入れられるようになる。

【Japan編集部注】筆者Ross Lipson(ロス・リプソン)氏はオンライン大麻市場であるDutchie(ダッチー)の共同創業者でCEO。同氏はオンラインでの料理の注文を含むさまざまな業界向けの高度で公平なデリバリーサービスで10年以上の経験を持ち、2つの事業のイグジットに成功した。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:大麻アメリカ

画像クレジット:Helen H. Richardson/Media News Group The Denver Post / Getty Images

原文へ

(翻訳:Mizoguchi

米大麻業界回復でラッパーのスヌープ・ドッグの投資ファンドCasa Verde Capitalが103億円調達

米証券取引委員会(SEC)に提出された書類によると、Calvin Broadus(カルビン・ブローダス)としても知られる大麻通のラッパーであるSnoop Dogg(スヌープ・ドッグ)が共同設立した投資ファンドであるCasa Verde Capitalが、第2の投資ファンドのために1億ドル(約103億円)を調達した。

同ファンドのマネージングディレクターであるKaran Wadhera(カラン・ワデラ)氏はこの記事へのコメントを控えたが、大麻関連製品市場が再び拡大期を迎えているように見える中、資金調達に成功した。

「大麻業界に対する一般の認識は、90年後半のドットコム・バブルと似ていないわけではありません。このバブルでは、誇大な宣伝がたくさん行われましたが、その多くは上場企業によって推進されました。また、多くの投機的な取引や評価は、実際には確立されていませんでした。(私たちが話しているのは)将来の予測と、その上での収益がクレイジーにも何倍にもなるということです」と、ワデラ氏は7月にTechCrunchと話した際、最後の破産について語った。「物事がバブルだらけになり、最終的には破裂しました。2019年4月か5月がその頂点でした。状況が悪化し始めたのはそのときです」。

それ以来、再び業界は活気づき始めている。

「新型コロナウイルスが蔓延してから4カ月以上経った現在、大麻は非循環型産業であることが証明されました。大麻は全米で重要なビジネスとみなされています。3月、4月、5月に記録的な売り上げを記録し、その傾向は続いています」とワデラ氏は7月に述べている。「政府が新たな税収源を求めている中、大麻合法化の潜在的な緊急性は業界にとって非常にポジティブなものになるでしょう」。

新しいベンチャーキャピタルファンドの目標は明らかにされていないが、新たな資金調達により、Casa Verdeは当初の投資ビークルの2倍以上の規模になった

ブロードス氏、ワデラ氏そして第3のパートナーであり、Cashmere AgencyとStampede Management Ted Chungの創設者でもあるTed Chung(テッド・チョン)氏が2018年にデビューファンドを立ち上げて以来、大麻ビジネスはブームと不況というジェットコースターのようなビジネスサイクルに耐えてきた。

こうした市場の気まぐれさにもかかわらず、Casa Verdeは現在、少なくとも2億ドル(約207億円)相当のポートフォリオを構築することに成功したと、同社に詳しい関係者は述べている。その資金はフラッグシップファンドとともに調達された、いくつかの特別目的会社や、その他の資金調達メカニズムを通じてもたらされている。

投資銀行のCowenから入手したアナリストレポートによると、大麻とカンナビノイド誘導体の市場規模は2025年までに340億ドル(約3兆5135億円)に達する見込みだ。

アリゾナ州、モンタナ州、ニュージャージー州、サウスダコタ州では、いずれも成人向け大麻の合法化法案が可決されており、Cowenの予測では、市場全体で約30%の成長が見込まれている。

Casa Verdeは、大麻とその化合物が獲得できる潜在的な市場について常に広い視野で見てきた。

同社による最近の睡眠企業Properへの投資以上に注目されているものはない。

「(大麻)はインプットであり、その使用例は、人々が大麻が汚名を着せられている方法を超えています」とワデラ氏は述べた。「Properは睡眠の流行をターゲットにした支援を行っている企業です。CBD(カンナビジオール)や大麻全般は、従来の製品では実現できなかった方法で、この問題に対処する際の大きな役割を果たせると考えています」。

ワデラ氏は過去に、睡眠に関していえることは、他のさまざまなアプリケーションにも当てはまると述べている。

Casa Verdeはすでに、デリバリー、サプライチェーン・ロジスティクス、ブランド、小売に至るまで大麻に特化した事業機会に対し多額の投資を行っている。

しかし、カンナビノイドがあらゆる種類の病気に対して持つ健康上の利点は、はるかに大きな市場を切り開くことになり、議会が米国の有権者の60%以上からの要望に応じて、レクリエーション用大麻の全国的な使用を合法化すれば、幅広い消費者機会を得ることができる。

そして、7月にワデラが語ったように、バイデン政権は、以前のトランプ政権よりもはるかにポジティブな規制環境を業界にもたらす可能性がある。

「バイデンはとても助けになると思います。彼は彼が望む多くのことを述べていて、それを全面的な合法化とまでは考えていないが、確実に全面的な非犯罪化に賛成している。(これは)州が自分たちのビジネスに何が起こるかについて完全な権限を持つようにすることと、現在のスケジュール1レベルから大麻のスケジュール変更をすることを意味する」とワデラ氏は述べている。「そのため、すべてのことは信じられないほど有益であり、より多くのプレーヤーがこの分野に対して潜在的に安心して投資し、いくつかのビジネスを買収してくれるだろう」。

関連記事:ラッパーのスヌープ・ドッグの大麻産業向け投資会社がProperを支援、睡眠産業に参入

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Snoop DoggCasa Verde Capital大麻資金調達

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

女性とマイノリティが大麻薬局を開く支援を行う31億円の基金をCurio Wellnessが立ち上げ

「私たちは多様性が大麻産業の要だと考えています」とCurio WMBE FundのマネージングディレクターであるJerel Registre(ジェレル・レジスター)氏はTechCrunchとの対談で語った。レジスター氏のこのプログラムに対する信念は、ファンドが取り組んでいる問題について説明していることからも明らかだ。

メリーランド州に本拠を置く医療用大麻企業Curio Wellnessが立ち上げた新しいファンドは、大麻市場に参入する十分なサービスを受けていない起業家を支援することを目的としている。Curio WMBE Fundは3000万ドル(約31億3000万円)の投資で女性、マイノリティ、障害を持つ退役軍人(Rewire News Group記事)のうち最大50人への投資を行いCurio Wellnessのフランチャイズをオープンして運営し、3年間で100%の所有権を得ることを目指している。

レジスター氏は、実績のあるビジネスモデルを通じて、より多様なオーナーシップを生み出すことが目標だという。プログラムの参加者は、資本と経営資源を利用することができる。

Curio Wellnessはメリーランド州で有名になり、市場シェアで最大の大麻栽培業者だ。2014年に設立されたこの家族経営の企業は、患者中心のアプローチに根ざした診療所を運営している。Curio WMBE FundはCurio Wellnessと法的には独立しているが、加盟店にCurio秘伝のソースを提供することを目的としている。

「女性、マイノリティ、障がいを持った退役軍人が資本にアクセスする際に直面する組織的な障壁に着目し、私たちはこの大きな経済格差への直接的な解決策を開発することにしまし。」とCurio WellnessのCEOでありMichael Bronfein(マイケル・ブロンファイン)氏はいう。「ファンドは、Curio Wellness Centerのフランチャイズ加盟者になるために必要な投資資金を必要な起業家に提供するとともに、クラス最高の事業運営を通じてその成功を保証しています」。

「成功を瓶詰めしましょう」とレジスター氏は付け加えた。彼はフランチャイズモデルをMcDonald’s(マクドナルド)に例えている。マクドナルドは、国営企業が実証済みの標準的な運営手順と継続的なサポートを運営者に提供している。

「私たちのファンドは業界の他のファンドと異なります」とレジスター氏はいう。「資格のある起業家は、最短3年で100%の所有権を得るための明確な道筋をつけることができます。他の多くのファンドは、ライセンスを取得する手段として少数民族の起業家を利用するモデルに依存している。Curio Wellnessのアプローチは、多様な起業家に権限を与え、その過程にある彼らをサポートすることで、このモデルを反転させている。投資資金で運営されているフランチャイズに何かが起こり債務不履行に陥った場合には、他のマイノリティや女性オーナーと入れ替わらなければなりません。これは、多様な起業家を支援するというファンドの最終的な使命を確実に達成しながら、ライセンシーが立ち上げに必要な財政的支援を受けることを保証するものです」。

レジスター氏は、多様性がCurio Wellnessにとっても重要だと説明する。同社200人の従業員のうち、40%が女性で半数以上がマイノリティだ。リーダーシップレベルでは、管理職の38%が女性で、44%がマイノリティコミュニティのメンバーであると認識している。

「多様性は、私たちの成功と将来に不可欠な資産であると認識しており、それがこの投資ファンドを設立することを決めた理由です」とレジスター氏はいう。

基金は2段階の支援を提供する。1つはフランチャイズ加盟者がCurio Wellness Centerを開設し、ライセンスの取得、場所の選定、従業員の雇用・トレーニングを支援するための資金を提供するものだ。開設後は管理、販売およびマーケティング、店舗運営、従業員が製品情報の更新といった継続的なサポートを提供していく。

同社は、そこをただ大麻を扱う医療機関以上のものだと考えている。そのため同社はそれらをCurio Wellness Centerと呼んでいる。

「Curioの店舗は、医療大麻を扱う薬局でこれまで人々が経験してきた以上のものであり、免許を持つ薬剤師が主導する総合的な健康の場です」とレジスター氏は説明する。「患者の健康は、私たちが行うすべてのことの中心であり、私たちが提供するさまざまな総合的な健康製品、サービス、および教育プログラムによって実証されています。医療大麻の患者体験に加えて、医療大麻カードを持っている人だけに医療体験を制限するのではなく、地域社会全体に店舗伊を開放しています。薬剤師主導のモデルを通じた患者第一の考え方を実践することで、私たちは正面玄関から入ってくるすべて人のための健康の追求を本当に主導することができます」。

本稿執筆時点で、同ファンドは目標額の3000万ドル(約)の半分を調達している。同社によると、このファンドは意図的に女性やマイノリティを含む投資プールをターゲットにし、売り込み、確保したという。同ファンドは2020年末までに終了し、申請は2021年初めに開始される予定だという。

関連記事
大麻株がバイデン氏勝利で高値更新中
米国の5つの州でカナビス合法化法案が承認

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Curio WellnessCannabis / 大麻

画像クレジット:Curio Wellness

[原文へ]

(翻訳:TechCrunch Japan)

大麻株がバイデン氏勝利で高値更新中

カナビス(大麻)は米国選挙で大きな勝利を得た。業界各社の株価は選挙結果と最新の収益両方によって高騰している。Canopy Growth Corporation(キャノピー・グロース)やTilray(ティルレイ)、Aurora Cannabis(オーロラ・カナビス)などの企業は、業界の吉報が増えるにつれ時間外取引で高値をつけている。

市場が正式に始まる前に2桁の伸びを見せている会社もある。Aurora Cannabisは本稿執筆時点で50%以上値上がりしている。これは、有望な新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンのニュースに世界の株式市場指標が爆発している中の出来事だ。

Aurora Cannabis、Tilray、Canopy Growth Corporation各社の最新決算報告は、業界改革の実態をよく表している。パンデミック下、各社は大麻への関心が高まる中で労働力コスト削減に苦闘してきた。中には前の四半期より減収した会社もあるが、投資家は明るい未来をはっきり見すえている。

例えばCanopy Growthは時間外取引で10%高、Tilrayは25%高だった。もしこのレベルが市場開始後も維持されれば、2020年の株価水準は2018年に上場した直後のカナビス株高騰に匹敵する。

ほとんどの大麻企業がカナダに本社を置いており、大麻に対する米国の連邦品目分類は、カナダ企業による米国消費者との自由なやりとりを妨げている。それが変わる可能性がある。先週、大麻合法化法案が5つの州で提出されすべて州で勝利した。米国時間11月7日土曜日、Joe Biden(ジョー・バイデン)氏は大統領選挙に勝利宣言し、同氏は以前、大麻法制度の改訂を検討すると発言していた。

米国で合法大麻がこれほど実現に近づいたことはない。投資家は民主党によるホワイトハウスを明確に望んでいる。

今後数カ月間、議会は大麻に関する重要議題をいくつか取り上げ、銀行が国の法的措置を恐れずに大麻企業と取引できるようにするSAFE Banking(安全で公正な執行)法もその1つだ。別の法案(STATES Act)では州が国による介入のリスクなしに大麻を合法化できるようにする。さらに、MORE Actは国のControlled Substance Act(規制物質法)から大麻を除外する。議員の中には、死に体の議会はこれらの問題を会期終了直前に取り上げるだろうと予想する向きもある。

関連記事:
米国の5つの州でカナビス合法化法案が承認
コロナ禍に大麻吸入器メーカーの売上が急増、全米での合法化を見据え転換期を迎える大麻業界

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Cannabis / 大麻

画像クレジット:CasarsaGuru / Getty Images

原文へ

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米国の5つの州でカナビス合法化法案が承認

カナビス(大麻)合法化の住民投票が、米国時間10月4日、米国の5つの州で締め切られた。すでにカナビスが合法化されているオレゴン州でも、ドラッグの街頭販売の解禁とマジックマッシュルームの治療目的の使用許可が承認された。

カナビス関連の住民投票が行われた5つの州のうち4つの州で、21歳以上の成人の嗜好用マリファナの使用が法的に認められた。ミシシッピ州では医療目的での使用が認められたが、サウスダコタ州は医療目的と嗜好目的の両方が一度に承認された。

新たな市場を探るカナビス関連スタートアップにとって、いまが肝心なときだ。消費者とビジネスを獲得しようとこの分野の多くの企業が、新たに解禁されたこれらの州でゴールドラッシュが起こると注目している。だが、いますぐとはいかない。カナビス企業が学習し準拠しなければならないルールと規制が、州ごとに異なるからだ。

10年前、カナビスは米国全土で禁止されていた。そこに変化が起きたのは、2012年にコロラド州とワシントン州の有権者が嗜好用マリファナを合法と認めたときからだ。国レベルでは違法のままだが、これらの新たに合法化された州では、3人に1人の米国人が合法的に大麻を買えるようになる。

ニュージャージー州

  • ニュージャージー州の有権者は嗜好用カナビスの合法化を承認し、2021年1月1日より解禁となる。
  • ニュージャージー州議会は、現在、消費者向け市場のためのルールと規制の制定に取り組んでいる。
  • ニュージャージー州は中部大西洋岸でこの法案を通過させた最初の州となった。

モンタナ州

  • モンタナ州の有権者はこの法案と大麻合法化のための州憲法修正を承認し、21歳以上の成人の使用を認めた。
  • モンタナ州の住民は、2021年1月1日午前12時1分より、マリファナの所有、使用、栽培が認められる。新年おめでとう!
  • 嗜好用の販売は2022年1月から開始できる。

サウスダコタ州

  • サウスダコタ州の有権者は、全国で初となる医療用と嗜好用のカナビスの合法化を同時に承認した。これは、州憲法修正と住民投票によって実現した。
  • カナビスは2021年7月1日までは違法。それ以降は、サウスダコタ州の住民はマリファナの所有、使用、そして3本までの栽培が許される。
  • 医療用の販売は2021年7月1日から解禁される。
  • 同州は、2022年4月1日までに、嗜好用カナビスの販売に関するルールと規制の制定を行う。

アリゾナ州

  • 2016年に合法化法案が否決されたアリゾナ州だが、有権者は嗜好用カナビスの合法化法案を承認した。カナビスの所有が合法化される時期は不明。
  • 販売は2021年4月5日までに許可される予定。

ミシシッピ州

  • ミシシッピ州の有権者は医療用マリファナの合法化を住民投票で承認した。
  • 同州は、2021年7月1日までにルールと規制を制定する。

オレゴン州

  • オレゴン州は全国で初めて、一般にはマジックマッシュルームとして知られているシロシビンの規制下での医療用使用の合法化を認めた。
  • 医療用使用は、2年間の開発期間の後に解禁される。
  • オレゴン州の有権者は、少量の街頭販売ドラッグを違法物から除外する法案も通過させた。違反しても交通違反程度のものとなる。

関連記事:コロナ禍に大麻吸入器メーカーの売上が急増、全米での合法化を見据え転換期を迎える大麻業界

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Cannabis / 大麻

画像クレジット:Kirill Vasikev/EyeEm / Getty Images

原文へ

(翻訳:金井哲夫)

Navisが合法大麻の流通プラットフォーム拡大に向けて約5億円を調達

大麻ビジネスが今、米国で急成長している。そして、この業界で重要な役割を果たしているのが、サンフランシスコに本社を置くNabis(ナビス)のような企業である。ナビスは米国時間10月16日、事業拡大とサービス拡充を目的とするシリーズAラウンドで500万ドル(約5億2700万円)を調達したと発表した。

ナビスはB2Bの流通事業者で、配送、支払い、倉庫管理に関するサービスを顧客に提供している。とはいえ、扱っているのはビールやスナック、ペット用品などの商品ではなく、大麻だ。ナビスは大麻の生産者と小売業者の中間に立ち、両者にユニークなサービスを提供している。大麻を従来の物流網で流通させるのは違法であるため、大麻の生産者や小売業者のほとんどは、その流通を、認可を受けた専門業者に頼っている。

Vince Ning(ヴィンス・ニン)氏とJun Lee(ジュン・リー)氏によって2017年に創業されたナビスは、カリフォルニア州だけで毎年2億5000万ドル(約260億円)に相当する大麻を流通させているという。このほど調達した資金によって、ナビスはカリフォルニア州における合法大麻の流通量の25%を取り扱えるようになるそうだ。この目標を実現するため、ナビスは現在、生産者や栽培者が小売業者にまとまった量を直接卸せるようにするオンラインB2Bマーケットプレイスを構築している。

ナビスの共同創業者でCEOでもあるヴィンス・ニン氏が今回の資金調達ラウンドと今後の計画についてTechCrunchに語ってくれた。

ナビスはカリフォルニア州の大麻ビジネスにとって必要不可欠なサービスを提供している。生産者や栽培者は、ナビスのサービスを利用することにより、自らのブランド・アイデンティティーを訴求しながら販売店や小売業者に商品を卸せる。小売業者も、ナビスのおかげで、発注や配送、そして現金送金が簡単に行える。特に、金融業界の規制により大麻の売買にクレジットカード決済が使えない現状では、ナビスが提供する現金送金サービスは重要な存在だ。

大麻商品は産地から倉庫へと送られ、厳重なセキュリティの下で品質検査を受けた後、小売業者からの発注を待つ。商品は発注を受けてから36時間以内に小売業者へ配送される。商品の配送時にナビスが小売業者から商品代金を現金で回収し、それを一時的に預かることも可能だ。

ニン氏は次のように語る。「商品を発送するだけでなく、配送の度に新規注文の代金を回収することもできる。受注から配送までを36時間で回しているので、Amazon Prime(アマゾン・プライム)のような配送サービスを提供している感じだ。一週間に何度も同じディスペンサリー(大麻調剤薬局)に行くので、請求と代金回収を同時に行うこともできる。しかも、現金、小切手、電子送金に対応している。当社は銀行ときちんとした関係を築けているので、現金の預かりも心配ない」。

「[現金預かりサービスの]手数料は結構高額だ」とニン氏は言う。「それでも、大麻ビジネスにとっては許容範囲のはずだ。当社が商品代金を現金で預かって、それを電子送金で生産者へ届ける」。

現在ナビスがサービスを提供しているのはカリフォルニア州のみだ。全米の合法マリファナの売り上げの3分の1がカリフォルニア州に集中しており、しかも急速に増え続けている。ニン氏は、カリフォルニア州限定で事業を展開していても、ナビスはいずれ10億ドル(約1100億円)を売り上げる企業に成長できると見込んでいる。

ニン氏は次のように語る。「カリフォルニア州の合法大麻の市場規模は現在、小売りベースで40億ドル(約4200億円)ほど。毎年10億ドル(約1100億円)から20億ドル(約2100億円)のペースで市場は拡大しているから、カリフォルニア州から出ていかなくても当社の売り上げを10億ドルに乗せることは可能だ。カリフォルニア産大麻にはブランド力がある。全米を見渡しても、カリフォルニア州以上に優れた生産地はない。例えて言えば、カリフォルニア産の大麻は、信頼性と評判の点で、ナパバレー産ワインのようなものだ。カリフォルニアほど品質の高い大麻を作れるところはない」。

法律の高い壁が立ちはだかるものの、ナビスはいずれ事業を全米に拡大したいと考えている。とはいえ、米国の法律では、州境を超えて大麻を流通させることが禁じられている。さらに、大麻に関する規制や認可は州ごとに異なる。ニン氏いわく、「ビジネスモデルはコピペ」で済むが、新たに進出する州ごとに物流拠点を設け、その州内に限定して流通業務を行うことが必要になるのだという。

今回500万ドル(約5億2700万円)を調達したシリーズAラウンドの投資者には、スタートアップ向け投資ファンドのY Combinator(Yコンビネーター)や、Doordash(ドアダッシュ)の共同創業者であるStanley Tang(スタンレー・タン)氏、Gmail(Gメール)を開発したPaul Buchheit(ポール・ブックハイト)氏、Twitch(トゥイッチ)の共同創業者であるJustin Kan(ジャスティン・カン)氏、Babel Ventures(バベル・ベンチャーズ)、Liquid 2 Ventures(リキッド・ツー・ベンチャーズ)、そしてSoma Capital(ソマ・キャピタル)が名を連ねる。2017年の創業から今回のラウンドまでにナビスは合計1000万ドル(約10億5400万円)を調達している。

ナビスが初めて現金を調達したのは2019年3月にYコンビネーターの起業家養成スクールを卒業したときだ。ナビスによると、同社は現在、カリフォルニア州で流通している合法大麻の7%を扱っているが、今回の資金調達によってこれを25%まで増やすことができるという。具体的には、今回調達した500万ドル(約5億2700万円)を、ソフト開発と、大麻事業者への融資を行うための金融サービス強化に投じる予定だ。

現在ナビスは、カリフォルニア州内にある1000件の大麻調剤薬局および200件の配送業者と取引している。さらに、小売業者が生産者に直接発注できるオンライン発注システムを開発することも計画中だ。新しい発注システムが完成すれば、小売業者と営業担当者が商談を通じて商品を調達・発注する従来のシステムが覆される。このプラットフォームは、ブランドが自社の商品を思い通りにアピールできる場になる、とニン氏は考えている。

ニン氏はこう語る。「今は商談のためだけに(営業担当者が)販売店に直接出向くか、Zoomで会って話す必要がある。そして、発注を受けると、その内容を営業担当者が当社のシステムに入力する。ところが、当社が作ろうとしているオンラインのマーケットプレイスではこの流れが逆になり、小売業者が当社のシステムに直接アクセスして生産者に発注できるようになる。さらに、発注するだけでなく、チャット機能を使って色々な生産者のことをより深く知ることも可能になる」。

このようなチャネルが大麻業界に存在したことは今までなかった、とニン氏は言う。同氏はナビスが構築しようとしているシステムを、医薬品のサプライチェーン管理ソリューションを提供するMcKesson(マッケソン)になぞらえ、ナビスは同様のソリューションを医薬品よりもはるかに規制が多くて厳しい業界で提供しようとしている、と語る。
大量の大麻と現金を回収、保管し、流通させているナビスにとって、安全とセキュリティ対策は死活問題である。

ニン氏によると、ナビスはカリフォルニア州での事業認可を取得しており、取得条件をクリアするために、配送用の車両には様々な装備が施されているという。また、すべての車両に保険がかけられている。全車両に複数のカメラが装備されていて、金庫は床にボルトで固定され、常時GPSで追跡されている。それだけではない。車両での運搬担当者は預かった現金を入金することしかできない。現金を引き出すことができるのは倉庫のスタッフだけであり、こちらは入金することはできない。

米国で社会不安が高まったのをうけて、ナビスはセキュリティ対策をさらに強化した。
ナビスのような事業者が今、急速に成長しており、大麻ビジネスが直面する課題に対処できるだけの実力をつけてきている。変化の激しい規制の海を巧みに泳ぎながら業績を伸ばし続けるこれらの新しい事業者たちが業界の主要プレイヤーとなる日は近い。しかし、この成長も、連邦政府の古臭い考え方のせいで州境を超えることができずにいる。多くの大麻事業者は、この状況がいずれは変化すると信じているが、それがいつになるのかは誰にもわからない。

関連記事:コロナ禍に大麻吸入器メーカーの売上が急増、全米での合法化を見据え転換期を迎える大麻業界

カテゴリー:ネットサービス
タグ:大麻 資金調達

[原文へ]

(翻訳:Dragonfly)

コロナ禍に大麻吸入器メーカーの売上が急増、全米での合法化を見据え転換期を迎える大麻業界

世界的なパンデミックで大麻に興味を持つ人が急増しており、吸入器メーカーは記録的な売上を達成している。TechCrunchの取材に対し、スタートアップから大手メーカーまで複数の主要メーカーが、「コロナ危機が始まって以来、売上が増加している」と語った。供給量が制限されていることもあって、一部の上位モデルの吸入器は品薄となっており、各メーカーは増産対応に追われている。

一部のメーカーのCEOらは、パンデミックによって大麻が消費者に広く受け入れられるようになり、全米での合法化を求める声が高まっている状況を目の当たりにしている。合法化されれば、新たな消費者が市場に入ってくるため、Canopy Growth(キャノピー・グロース)、PAX(パックス)、Grenco Science(グレンコ・サイエンス)などの企業は市場トップ水準の大麻吸入器メーカーとして利益を享受することになるだろうが、肝心の製品が品薄ではそれもかなわない。

こうした品薄の原因の一部はサプライチェーンにあるが、品薄に苦しんでいる大麻関連製品だけではない。米国市場では現在、自転車からカヤックまで、多くの製品が品薄になっている。そうした製品は、もともと供給量が少なかったが、需要が増大したため、品薄に拍車がかかっている状態だ。

2012年に創業されたグレンコ・サイエンスは、ドライハーブの吸入器市場では早期参入組である。同社は2019年、シリーズAで資金を調達し(金額は非公開)、革新的な製品を開発、リリースした。さらに、安価な水ろ過式携帯型コンセントレート吸入器DashとRoamを2020年の初めに市場に投入する準備を整えていた。

ちょうどそのタイミングで新型コロナウイルスのパンデミックが発生した。

CEO兼共同創業者のChris Folkerts(クリス・フォルカーツ)氏によると、RoamとDashのリリースは延期されたが、製品を市場に投入する余力はまだ残っていたという。

フォルカーツ氏は次のように語る。「(パンデミック発生後も)引き続き成長を維持し、製品パイプラインを大幅に拡張できたと思っている。今年の後半にいくつか製品をリリースする予定になっており、買収後に新しいデザインのStundenglassを投入できると思う」。

実際、グレンコは、パンデミックの最中でも2つの製品のリリースや他メーカーの買収で大忙しだった。そして、その忙しさはまだ続くようだ。消費者のドライハーブへの興味が急速に高まっている一因は、同社がリリースしたDash吸入器ではないかとフォルカーツ氏は言う。グレンコは、さらに3つのドライハーブ吸入器をリリースする予定だ。

フォルカーツ氏は、現在に至るまでに、特に顧客サポートや製品出荷に関して問題に直面してきたことを認めている。オンラインショップや代理店経由で注文が殺到したが、それに対応する準備が整っていなかったのだ。そこで、かなりの人数の社員を再教育して、製品・出荷サポート担当として直接、顧客対応を行わせた、と同氏は語る。

キャノピー・グロース傘下の有名な吸入器販売会社Storz & Bickel(ストーズ・アンド・ビッケル)も顧客サポートの問題に頭を悩ませている。どのユーザーフォーラムを見ても、同社の顧客対応が追いついていないことは明らかだ。出荷が遅いとか、顧客対応が悪いといったクレームが購入者から寄せられている。同社のウェブサイトstorz-bickel.comに掲載されている商品の大半には、正規代理店には在庫があるにもかかわらず、「残りわずか」の警告が表示されている。

キャノピー・グロースのグローバル吸入器部門担当副社長Andy Lytwynec(アンディ・リトイネック)氏によると、ストーズ・アンド・ビッケルは予想を越えて急速に成長し、急ピッチで生産拡大が行われ、「ドイツの工場では、高まる切迫感の中で30人の社員が追加採用された」という。

2000年、 ストーズ・アンド・ビッケルは、世界初のデスクトップ型ドライハーブ吸入器と言われているVolcanoをリリースした。同社は現在、2種類のVolcano、およびVolcanoと同じ技術を用いた数種類の携帯型吸入器(いずれも医療用として認可済)を販売している。2018年、キャノピー・グロースはストーズ・アンド・ビッケルを買収し、他の吸入器ブランドをストーズ・アンド・ビッケルに統合した。

リトイネック氏は、ストーズ・アンド・ビッケルは新型コロナウイルスの影響度を判断するためのある種のバロメーターだ、と指摘する。キャノピー・グロースの最新の四半期報告によると、売上は増加しており、第1四半期が終了する6月末までに71%の売上増を記録した。財務報告書によると、この売上増の主な要因は、ストーズ・アンド・ビッケルの売上増と代理店販路の拡大であるという。

パンデミックの最中、消費者が購入したのはドライハーブだけではない。濃縮大麻吸入器のメーカーの売上も増加している。

Puffco Peak e-rigという優れた吸入器を製造するPuffco(パフコ)も売上が急増した。パフコの創業者Roger Volodarsky(ロジャー・ボロダスキー)氏はTechCrunchに次のように語った。「パンデミック発生以降、多くの新規嗜好者が大麻市場に入ってきたようだ。パフコでは、この期間、創業以来最大の売上を記録した。さまざまな課題に直面している中で、継続的に成長できていることに感謝している」。

パフコの製品は、粉ではなく、濃縮大麻で使用するように設計されている。濃縮大麻というカテゴリーは、大麻の吸入器市場でこれから大きく伸びることが予想される。乾燥粉末と、いわゆる携帯用ペン型吸入器との中間にあたるカテゴリーだ。

Jupiter Research(ジュピター・リサーチ)は、CCELL吸入ハードウェア販売の最大手で、米国を含む世界の規制された大麻市場でビジネスを展開している。事前にパッケージングされた自給型THCカートリッジであるCCELL市場で、ジュピター・リサーチは新型コロナウイルスの影響をほとんど受けなかった。

ジュピターの最高執行責任者兼社長のTim Conder(ティム・コンダー)氏は次のように述べている。「少なくともデータを見る限りでは、吸入器市場全体で新型コロナウイルスの影響による大きな変化はなかった。実際、当社は吸入器カテゴリー全体で市場シェアを伸ばし続けている。吸入器(ベイブ)は、大麻ヘナ粉末で2番目に大きなカテゴリーで、3番目は食用だ」。

コンダー氏は、新型コロナウイルスがきっかけとなって、大麻に対する政府の姿勢が変化する可能性があると見ている。「大麻合法化の動きが連邦レベルで勢いを増しているように感じる」と語る同氏は、各州政府にも連邦政府にも、全米の合法大麻市場によってもたらされる財政上のメリットに注目してほしい、と考えている。

他の大麻関連機器メーカー企業も、新型コロナウイルスによって米政府が大麻をさまざまな角度から見るようになった、という見方に同意している。

ウィスコンシン州に本社を置くDynaVap(ダイナバップ)によると、大麻に対する一般大衆の認識は、社会的な受容に向けた機運の継続的な高まりと同調する形で拡大してきたという。DynaVapの創業者兼CFOのEric Olson(エリック・オルセン)氏は、「大麻草にはプラスの効能さえあり、新型コロナウイルスの影響を軽減するのではないかと思う」と指摘する。さらに同氏は、

「業界が州および国レベルでの合法化を推進し続けることができれば、パンデミック後、大麻草をめぐる動きは肯定的で影響力のある住民運動となるだろう」と語った。

ウィスコンシン州を拠点とする従業員50人のダイナバップは、5月に人員を増強し始め、最近、「Orion」と呼ばれる誘導加熱器など、いくつか新しい製品をリリースした。

世界的なパンデミックの発生から6か月が経過した今、前述の各メーカーは需要増に対応すべく増産と人員増を図っており、大麻市場は勢いよく拡大しているようだ。

キャノピー・グロースのリトイネック氏は、ここ数か月間が大麻業界のターニングポイントになったと考えている。それは、大麻の合法化(および課税)による経済的影響のみを指しているのではない。消費者が大麻に対して洗練された感覚を持つようになっている、と同氏は言う。

「消費者は違法の雑草にではなく、より高級な商品にお金を使うようになっている。パンデミックの最中にカテゴリーが成熟していくのは良い傾向だ。吸入器や高品質の消耗品が売れるようになっている。これは大麻が受け入れられている証だ。今後業界が追い風に乗って、この暗黒の時期を可能な限り早く脱出できることを祈るばかりだ」とリトイネック氏は語った。

関連記事:大麻栽培者の規制上のデータ入力をRFIDスキャナーとBluetooth対応の測量器で容易にすることを目指すCanix
カテゴリー:ヘルステック
タグ:新型コロナウイルス 大麻

[原文へ]

(翻訳:Dragonfly)

大麻栽培者の規制上のデータ入力をRFIDスキャナーとBluetooth対応の測量器で容易にすることを目指すCanix

工業規模で大麻を栽培するには、コンプライアンス法を遵守しながら利益を管理する必要がある。大小を問わず、多くの生産者にとって、これは種から販売までのデータ入力の継続的な作業となっているのだ。

Canix(カニックス)のソリューションは、データ入力にかかる時間を短縮することに重点を置いた、堅牢なERP(エンタープライズリソースプランニング)プラットフォームだ。このプラットフォームは、RFIDスキャナーとBluetooth対応の測量器を使用することで、一般的な会計ソフトや業界全体の規制プラットフォームであるMetrcとうまく統合されている。

Canixは2019年6月にローンチし、新型コロナウイルスの感染拡大のありながら、1年ちょっとで1000以上の栽培施設にまたがる300社以上の顧客を獲得し、250万本の植物の動きを追跡している。

創業者は、このソフトウェアの目標である人件費の削減を率直に語っている。TechCrunchとのインタビューの中で「人件費を改善することで生産者がどのようにして利益を上げることができるか」を力説していた。

生産者は一般的に、作物の追跡と予測を行うためにERPプラットフォームに頼っているが、Canixは会社のコンプライアンスを維持しながら、請求書の発行、原価計算、レポートを処理する。現在の在庫を監視するだけでなく、予測機能も備えている、植物のクローンだけから始めて、これらの予測機能は、生産者が90日先の収量を予測するのに役立つとのこと。

Canixを理解する前に、米国の合法大麻栽培の状況を知ることが不可欠だろう。生産者は、植物が施設内を移動するたびに書類を提出するなど、厳格な監視体制を守らなければならない。これには多くのデータ入力が必要で、ほとんどの州では生産者がMetrcでこの情報を提出することを要求している。

Metrc自体もスタートアップだ。2013年創業で、現在では13州で大麻のオペレーションを追跡している。2018年10月、Metrcは5000万ドル(約5230億円)を調達した。このプラットフォームは、コンプライアンスに深くフォーカスしており、種から販売までの大麻を追跡するように設計されている。一部の生産者はシンプルさのためにそのように使用していますが、それはERPプラットフォームではない。Metrcは現代の農業経営のための詳細に構築されており、一部の生産者にとっては、Metrcにデータを入力するのは、多くの場合、コンプライアンスを維持するために栽培者がスタッフを雇用しなければならない、労働集約的な作業です。

 

このプラットフォームは、大麻の種子から販売までを追跡するように設計されており、コンプライアンスを重視している。これはERPプラットフォームではないが、単純化のためにそのまま使っている生産者もいる。Metrcには近代的な農業経営のために詳細なシステムが構築されているのだが、一部の栽培者にとっては、Metrcへのデータの入力はコンプライアンスを維持するためにスタッフの雇用が必要な、労働集約的な仕事になってしまう。

Canixは、大麻のライセンスを持っている商業運営のために設計されている。MJ PlatformやBioTrackなど、いくつかのスタートアップがこの市場向けに同様のプラットフォームを構築しているが、Canixはデータ入力の改善に重点を置いていることが他社との差別化を図っているという。

Stacey Hronowski(ステイシー・フロノウスキー)氏とArtem Pasyechnyk(アルテム・パセチニック)氏は、Metrcの欠点を発見した後に同社を設立した。

フロノウスキー氏は「私が最初にCanixを始めたのは、ベイエリアの大麻会社のコンサルティングをしていた時でした」と話してくれた。「私は、同社のCRMと流通システムを接続し、請求書を作成するたびに行っていた二重のデータ入力を減らすソフトウェアを書いていました。その会社から、私が作ったシステムをMetrcに接続することを検討してほしいと頼まれました。Metrcを見始めた私は、生産者が紙にバーコードを書き込んでいることに非常に驚きました。Canixの最初のアイデアが出たのはその時でした」と続ける。

v氏は、Facebookの共通の友人を通じてパセチニック氏と知り合い、2人はプラットフォームの構築を始めた。ベータ版が好意的なフィードバックを受けた後、2人は本格的な運用にまで拡大した。

Canixは、その短い期間に何人かの重要な投資家の目に留まった。同社はY Combinatorの2019年夏のプログラムに参加し、2020年5月にはFloret Ventures、Yleana Venture Partners、Altair VC、Mava Ventures、Nano LLC、元コロラド州大麻取締官のAndrew Freedman(アンドリュー・フリードマン)氏から150万ドル(約1億5600万円)のシードを調達した。

画像クレジット:Canix

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)