AppleがGoogleに対抗する検索を開発中か、同社検索クローラーの動きが活発に

Financial Timesによると、Apple(アップル)は米司法省と議会の両方で反トラストの機運が盛り上がっていることに乗じて、Google(グーグル)に対抗する検索を開発しているかもしれない。

これは、極めて皮肉な動きといえるかもしれない。というのも、反競争的な行為に終止符を打とうとする努力が既存の企業とより身軽な新興企業との間の競争を活発にするというよりも、すでにテクノロジー業界を支配している巨大企業の間に、さらに激しい競争を作り出そうとしているからだ。

Financial Timesによると、アップルの検索技術への関心の再燃は、iPhoneのオペレーティングシステムの最新バージョンiOS 14の一見些細だが重要な変化と、アップルのスパイダリングツールの活動の増加から察することができるという。「スパイダリングツール」は「ウェブクローラー」とも呼ばれ、ウェブ全体のあらゆる細部を探り検索の性能を上げるツールだ。

現在、ユーザーがiOS 14のホーム画面でクエリ(検索項目)をタイプすると、アップル自身が行った検索の結果が表示され、ウェブサイトのリンクを教えてくれる。この機能は、これまでのiOSのベータバージョンでもポップアップしていたため、よく知られていた機能でもある。CoywolfのJon Henshaw(ジョン・ヘンショウ)氏は、アップルのクローラーによる検索量の増大を8月という早い時点で気づいていた(Coywolf記事)。

Financial Timesが引用している情報筋によると、この変化は、社内的な開発だったアップルの検索が新しい段階に入ったことを物語っている。すなわち同社はこれから、検索に本格的に力を入れていくのかもしれない。

カリフォルニア州クパチーノに本社のある企業には、確かに検索の専門的技術がある。同社は3年ほど前にグーグルの検索のトップだったJohn Giannandrea(ジョン・ジャナンドレア)氏をスカウトした。それは、アップルの人工知能技術の基盤を支え、Siriの音声検索を改良するためだと一般的に思われていた。そのときのアップル社内の組織構造を見ると、ジャナンドレア氏が未来の「検索プロダクト」とSiriの両方をフルタイムで担当していることはあり得なかった。しかし可能性としては、別の機能を手がけているチームを彼の専門知識と技能が助けていたこともあり得る。

どんな検索ツールにせよ、自力開発はアップルが検索を導入するための第三の方法だ。現在、同社はグーグルとの高額契約により、グーグルをデフォルトとする検索サービスを利用している。これもまた、検索をめぐるグーグルのいわゆる反競争的行為に対する司法省の調査の中核にある。市場の他のメジャーな検索サービスだけが、MicrosoftのBingを利用して彼らの検索結果を補強している。

たしかに活動が活発化している兆候はあるが、アップルのクローラーの活動に対しては、企業が秘密裏に行っている開発に対する煙幕であるという説よりも、アップルがすでに相当明確に述べている目標に沿った活動だという説の方が、妥当かもしれない。

アップルが検索でグーグルと正面衝突するという話は、たしかに大きな見出しにはなるが、活動の活発化はもっと合理的に説明できる。それは、Siriが検索のクエリをもっとうまく扱えるようになり、アップルとグーグルやMicrosoft Bingのような検索サービスとの間の仲介ができるようになるためという説だ。このような人間を介さない検索、いわゆる中抜きは、数年前にグーグルが始めて、Siriの同じような機能と競合するために拡張を続けてきた。

その一部は、セマンティクス(意味論)に行き着く。「検索エンジン」という言葉の意味は、「人びとが質問をタイプするウェブサイト」だろうか、それともウェブの結果をホワイトレーベルのように扱って独自の目的に使う音声アシスタントのことだろうか。自分のプラットフォームで、グーグルのような怪物的なブランドにのさばられたくない。どんな分野でもそれが、競合する者の強力な動機だ。Siriの上での検索はSiriのサービスでありたい。

そうやって、Siriだけであらゆる用を済ませたいとアップルが欲するのは、最近の規制によってOS、ここではiOSの初期化においてユーザーが、検索プロバイダーを選べるようにするべきだと声を上げている(Axios記事)ことへの対応でもある。しかしそれは、グーグルの助けにはならない。それでなくてもグーグルはアップルに数十億ドル(数千億円)を払って、世界最大のモバイルウェブユーザーであるiOSユーザーを確保しようとしている。グーグルとしては、人びとが検索を選べるようになっても、依然としてグーグルを使うというだろう。Siriを検索でも出しゃばり屋にしたいもう1つの理由は、それによってグーグルでなくアップルが上になるからだ。

TechCrunchは現在、アップルにコメントを求めている。回答が届き次第、本記事をアップデートする。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:AppleGoogleiOS検索

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

第3四半期のアプリ消費額は過去最多の3兆円、コロナ禍で利用増

新型コロナウイルスパンデミック下でも、モバイルの使用は変わらず多い。新型コロナによりソーシャルディスタンス維持やロックダウンが導入され、消費者は仕事、学校、社会交流のためにオンラインに移行した。これは過去最高のアプリ支出額につながり、使用時間も急増した。App Annieの新たなレポートによると、消費者は第3四半期に世界で330億ものアプリを新たにダウンロードし、アプリで280億ドル(約3兆円)使った。この額は前年同期比20%増だ。消費者はまた、2020年7月から9月にかけて計1800億時間超をアプリで費やし、これは前年同期比25%増だ。

App Annieはこれより前に、新型コロナパンデミックが消費者のモバイル行動に長期的な影響を与えるかもしれないとの分析を示していた(App Annieレポート)。少なくとも新型コロナでモバイルの使用が2、3年先に進んだ。この傾向は第3四半期でもみられ、モバイルの使用は主要アスペクトで増えている。

画像クレジット:App Annie

画像クレジット:App Annie

第3四半期に330億回のアプリダウンロードがあり、うちGoogle Playのダウンロードは250億回で前年同期比10%増だった。一方、iOSは90億回で前年同期比20%増だった。Google Playでのアプリダウンロードの55%は非ゲームアプリで、iOSではもう少し多い70%だった。

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ダウンロードが多かったマーケットは、Google Playではインドとブラジル、iOSでは米国と中国だった。インドとブラジル、メキシコがGoogle Playのダウンロード回数を押し上げ、iOSではインドと韓国が成長要因となった。

ダウンロード回数の増加は、部分的にはパンデミックと直接結びついている。

例えばメキシコでは学生がリモート学習を余儀なくされ、教育アプリのダウンロード回数は25%増え、ライブラリー&デモのアプリは270%増となった。米国の消費者はロックダウンや事業閉鎖の期間中にアクティビティを求めてアウトドアに目を向け、旅行アプリのダウンロードが50%増え、ナビゲーションアプリは25%、天気アプリは15%増えた。

全体をみると、最もダウンロードが多いゲームを除くとゲーム、ツール、エンターテインメントのカテゴリーで増加がみられた。そしてiOSのゲーム、写真・ビデオ、エンターテインメントが5四半期連続で上位を占めた。

消費者は第3四半期に過去最多の280億ドル(約3兆円)をつぎこみ、これは四半期としてこれまでで最も大きな額でもある。

支出額はiOSで前年同期比20%増の180億ドル(約1兆9000億円)、Google Playでは35%増の100億ドル(約1兆600億円)だった。支出額に占める非ゲームアプリの割合はiOSでは35%、Google Playでは20%で、これは主にサブスクリプションのおかげだ。

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iOSとGoogle Playの両方で消費者の支出額が最も多かったマーケットは米国と日本で、Google Playだけみると韓国の支出額も多かった。

アプリでの消費者支出額の増大はパンデミックとその影響に密接に結びついているとみることができる。例えばゲーム、ソーシャル、エンターテインメントが消費者がGoogle Playで最も金を使ったカテゴリーだった。エンターテインメントの中では、Disney+、Twitch、Globo Play、HBO Maxなど消費者が家にいながらして楽しめるストリーミングアプリが支出額を押し上げた。

iOSではゲーム、エンターテインメント、写真・ビデオでの支出額が最も多かった。米国ではスポーツがテレビに戻り、スポーツアプリでの支出額は前四半期から55%増えた。一方、TikTokはゲーム以外のカテゴリーで消費者支出額が2番目に多かった。しかしゲーム以外のカテゴリーで過去最多の支出額増加に貢献したのは、コミックアプリのpiccoma、YouTube、Tinder、AbemaTVだった。

画像クレジット:App Annie

Tinderは第3四半期に回復力を見せた。パンデミックにもかかわらず、Tinderは消費者支出額で第1位の座を獲得した。Disney+も第4位へと躍進した。

しかし月間アクティブユーザーの点では、Facebook(フェイスブック)がまだ上位を牛耳っている。第1位から第4位までがフェイスブック、WhatsApp、Messenger、Instagramの順だった。次いでAmazon(アマゾン)、Twitter、Netflix、Spotify、TikTokそしてTelegramがくる。Telegramは第2四半期からランクを2つ上げて今回初めてトップ10入りした。

ゲーム部門はパンデミックの影響で引き続き利用が多い。ロックダウン中の消費者がエンターテインメントを求め、週間ダウンロード回数は約10億回を維持し、これは前年同期よりも15%多い。

画像クレジット:App Annie

消費者はまた、第3四半期に過去最多の200億ドル(約2兆1000億円)をゲームに費やした。年末までにモバイルゲーミングはデスクトップの2.8倍、コンソールゲームの3.1倍になるとApp Annieは予想している。

第3四半期のゲームのダウンロード回数は140億回に達し、うち110億回がGoogle Playでのもので、これは前年同期比20%増だ。iOSでは26億回のダウンロードがあった。このダウンロード回数を反映して、ダウンロードが最も多かったゲームの45%がGoogle Playのもので、iOSは30%だった。

今回のApp Annieのレポート内容は、2020年10月初めに発表された調査会社Sensor Towerの第3四半期レポートとほぼ同じ傾向を示している。Sensor Towerはアプリの売上高が第3四半期に290億ドル(約3兆600億円)を超え、アプリのダウンロードは365億回だったと推定した。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:新型コロナウイルスiOSApp StoreAndroidGoogle Playアプリ

画像クレジット:TechCrunch

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(本訳:Mizoguchi

アップルがiOS 14.2で男女兼用のMxクロースやタキシードを着た女性などの新絵文字を追加、忍者もあり

iOSの現在のバージョンはiOS 14.0.1だが、アップルはすでにiOS 14.2をテストしており、米国時間9月29日に初期ベータ版をリリースした。そのベータ版からEmojpediaが新しい絵文字を発見した(Emojpedia記事)。

同社すでに7月に新しい絵文字の初期の外観を公開している(Emojpedia記事)。全体としては、今年は数十種類の新しい絵文字が追加される。また、既存の絵文字の新しいバリエーションも加わり、これまで以上に多様で包括的なものになる。

今年初め、新しい絵文字の承認を担当する管理機関であるUnicodeコンソーシアムは、Unicode 13.0の一部として117種類の新しい絵文字を承認した。アップル、グーグル、マイクロソフト、Twitter、Facebook、Mozillaなどのオペレーティングシステム開発者やソーシャルネットワーク企業は、新しい絵文字の独自バージョンを作成し、それぞれのプラットフォームで公開している。

今回のリリースでは、トランスジェンダーの旗、涙を浮かべた笑顔、つままれた指、二人が抱き合っている姿、虫や動物、変装した顔などが収録されている

私のお気に入りは、間違いなく変装した顔だ。

Emojipediaは、これらの新しい絵文字を1つの画像にまとめている。

新しいバリエーションになると、サンタクロースやクロース夫人の代わりとなる男女兼用の 「Mxクロース」が登場する。タキシードはもはや男性に限定されず、ベールももはや女性に限定されない。タキシードを着た女性とベールをかぶった男性の絵文字を送ること可能になる。

これらの絵文字が利用可能になる、iOS 14.2、iPadOS 14.2、macOS Big Surの正式リリースは1~2カ月後になる見込みだ。

画像クレジット:Apple

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(翻訳:TechCrunch Japan)

iPhoneのホーム画面カスタマイズアプリがiOS 14リリース以降、インストール数激増

iOS 14ホーム画面カスタマイズがトレンドとなり、一連の新しいアプリがApp Storeチャートの上位に押し上げられている。そしてPinterest(ピンタレスト)のようなインスピレーションを得られるサービスのダウンロードも記録的な多さとなっている。アプリストアマーケット調査会社Sensor Tower(センサータワー)の新たなデータによると、ホーム画面カスタマイズの上位20アプリのインストール数は、iOS 14がリリースされた9月16日以降の4日間で全世界で570万回だった。

アップデート:当初の9月17日から20日の推定回数は、その後再度計算された。そしてSensor Towerは9月17日から23日までの最新の数字を盛り込んでレポートをアップデートした。iOS 14リリース後の7日間でトップ20のホーム画面カスタマイズアプリのダウンロードは1370万回に達し、App Storeでの世界の消費者支出は100万ドル(約1億500万円)を超えた。Widgetsmith、Color Widgets、Photo Widgetがトップ3のアプリで、7日間で合計1260万回超インストールされた。

以下、当初の記事となる。

最もダウンロードされたのはWidgetsmith、Color Widgets、Photo Widgetで、この3つで570万回の95%を占めている。これは3社以外のカスタマイズマーケットはかなり小さいことを示している。しかしより多くのアプリがトレンドを取り込んでイノベーティブでユニークな機能を有するようになれば、今後変わり得る。

Sensor Towerのホーム画面カスタマイズマーケットに関する調査は、ホーム画面のウィジェットを作ったり、カレンダーや時計、メモといった既存の主要サービスに絡むものにフォーカスしている。

アプリがホーム画面のカスタマイズツールを提供しているか分別するのにSensor Towerは9月16日以降のApp Storeにランクインした全アプリのアプリメタデータを分析し、機能がホーム画面カスタマイゼーションに関連していると確認されたアプリを手作業でレビューした。

調査は、ユーザーがカスタムアイコンを作成できるアプリや、ウィジェット機能が加えられた既存のアプリよりも、ウィジェットアプリにより力点が置かれていた。メタデータを基にいくつ調査するか決定することができないと考えたからだ。また一部のケースでは、ウィジェット以外の機能を提供しているアプリが、ウィジェットを加えたばかりであるためチャートで上位にきているかどうかを見極めるのは困難だった。

上位20のアプリはランク順に次の通りだ。

Widgetsmith、Color Widgets、Photo Widget、Photobox Widget、MemoWidget、Home Photo Widget、Motivation Widget、Ermine、Date Today、Hey Weather、TimeDeck、Widgeridoo、Glimpse 2、Widget Wizard、Widget Web、Locket、ItemMemo、OMDZ、Clock Widget for Home Screen、Photo Widgets。

画像クレジット:Sensor Tower

9月17日から20日にかけての4日間、20のアプリでの消費者支出は計40万ドル(約4200万円)だった。Sensor Towerの推計によると、この中で最多はWidgetsmithの37万ドル(約3900万円)だった。そしてDate Todayが約2万ドル(約200万円)で続いた。

Sensor Towerの調査のフォーカスは狭いものの、ウィジェットメーカーを超えて多くのアプリがカスタマイズ機能の恩恵を受けていることを示している。

前述したように、デザインのインスピレーションを得るリソースのPinterestはデイリーダウンロード数が過去最多となった。米国App Storeの無料アプリランキングで18位につけているTuneTrackは、公式のSpotify(スポティファイ)ウィジェットがない間に人気を集めているようだ。TuneTrackアプリはお気に入りの音楽をホーム画面に表示する、Apple Music(アップルミュージック)とSpotifyのウィジェットを提供している。

Sensor Towerは9月17日から20日にかけてTuneTrackが55万2000回インストールされたとしている。この数字は前週(9月10〜13日)から1840%の増加だ。Motivationウィジェットのインストールは43万1000回で、798%の増加となった。

一方、デザインツールのProcreate Pocketは米国App Storeの有料アプリランキングで第2位、PicsArtは無料アプリランキングで第31位だ。アイコンの変更を簡単にできるアプリIcon Changer+は無料アプリランキングで第40位で、Shortcutsというアプリがそれに続く。このアプリはApple(アップル)のShortcutsアプリとは別のものだ(同じ名称の使用が許されているというのは驚きだ)。

画像クレジット:Sensor Tower

ホーム画面カスタマイズツールという部門はないため、一部の新しいアプリは生産性カテゴリーに分類され、その一方で他のアプリはユーティリティアプリあるいはまったく異なるものに分類されている。その結果、ホーム画面カスタマイズ機能を提供する全アプリを1カ所で比較するのはかなり難しい。

iOS 14が事実上、完全に新しいアプリのカテゴリーを作ったことを考えると、もしこの傾向が長期的に続くようなら、アップルが将来カスタマイゼーション部門をApp Storeに追加することを検討するというのはあり得る話だ。

しかし差し当たっては、アップルは新たなApp Store編集コンテンツでアプリ発掘方法の問題に対処している。たとえばApp Storeの「Today」ページにある特集は「どうやってウィジェットを設定するか」というテーマで、Widgetsmithに加えてTodoist、Carrot Weather、Timepage、Apollo、Spark Mailなどウィジェットを追加した数多くのアプリを勧めている。

デベロッパーがiOS 14アップデートを展開するにつれ、新しいウィジェットがどんどん追加されつつある。たとえばFantasticalは9月23日に12のホーム画面ウィジェットを立ち上げた。

残念なことに、アップルはデベロッパーコミュニティに立ち上げ前に十分な時間を与えなかった。同社はiOS 14リリースまで24時間を切ってから発表した。しかもデベロッパー向けのXcodeの最終バージョンなしでだ。そのため、ユーザーがホーム画面をカスタマイズし始めた時、使いたいウィジェットが見つからない、ということがあったかもしれない。

関連記事:iOS 14のホーム画面デザイン機能搭載でPinterestが驚異的なダウンロード数を記録

カテゴリー:ソフトウェア

タグ:Apple iOS iOS 14 App Store

画像クレジット:Sensor Tower

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(翻訳:Mizoguchi

iOS 14が正式公開,ダウンロード可能に

Apple(アップル)はiPhone(アイフォーン)の最新バージョンOSであるiOS 14をさきほど公開した。ダウンロードは無料でiPhone 6s以降、両世代のiPhone SE、およびiPod touchの最新モデルで利用できる。iOS 13が動作していルデバイスならiOS 14に対応している。今すぐダウンロードできるかどうかには個人差はあるが、すでにアップデートを受け取っている人たちがいるのでチェックしてみてほしい。

同社はiPad(アイパッド)、Apple Watch(アップルウォッチ)、およびApple TV(アップルティービー)でも主要アップデートを本日公開したのでiPadOS 14、tvOS 14、およびwatchOS 7の新機能にも期待できる。

今回のアップデート公開は多くのデベロッパーを驚かせた(未訳記事)。Appleは昨日(米国時間9月15日)、iOS 14を16日のプライムタイムに公開すると発表した。通常同社は公開の1週間か2週間前にアナウンスを行う。そうすることで、デベロッパーは最後に残っていたバグを修正してアップデートをApp Storeに提出する時間を取れる。

今日iPhoneをアップデートした人は、サードパーティーアプリのあちこちにバグがあっても驚かないでほしい。見えないところに大きな変更があり、これほど急に公開されるとは誰も思っていなかったからだ。

アップデートはすでに配信中で、設定アプリからWi-Fi経由でも、iTunesと有線でつないでもどちらでも可能。ただしまず、バックアップを取ること。iCloudのバックアップが最新かどうかを、iPhoneやiPadの設定アプリのトップにある自分のアカウント情報を開き、デバイス名をタップして確認できる。iOSデバイスをパソコンにつないでiTunesでバックアップすることもできる(両方することも可能)。

iTunesのバックアップを暗号化するのを忘れないように。誰かにコンピューターをハックされたとき、ずっと安全だ。しかも暗号化されたバックアップには、パスワードとヘルスデータも入っているので、オンラインのさまざまなアカウントを再設定する必要がない。

バックアップが終わったら設定アプリを開き、一般 > ソフトウェアアップデートへと進む。「アップデートを要求」が出ているはずだ。ダウンロードが可能になれば、自動的に開始される。

iOS 14でいちばん大きい変更は、ホーム画面のウィジェット、全アプリを一覧できるAppライブラリー、そしてApp Clipの実行だ。App Clipはアプリのごく一部の機能を実行できるもので、一切インストールせずに使える。

ほかにも多くの改善がなされていて、メッセージアプリにはグループ機能や@メンションとリプライ、デバイス上で動作する翻訳アプリ、Appleマップの一部で使える自転車用行き先案内、ノート、リマインダー、天気、ホームなどにもさまざまな改善が加えられている。

画像クレジット:Apple

関連記事:
iOS 14 gets rid of the app grid to help you find the app you’re looking for

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップルが開発者によるユーザー追跡の明示的許可強制を来年まで延期

6月に開催されたWWDC(世界開発者会議)でアップルは、今秋リリース予定のiOS 14 アップデートでユーザーがアプリ内広告のトラッキングをオプトアウトできるようになると述べた。しかしこのプライバシー機能は、ターゲット広告をユーザーに配信するのが難しくなるのではないかとの懸念から広告大手からすぐに反発が噴出した。

こういった状況を受けてか同社は現在、同機能の適用を「来年の初めに」まで延期していることを認めた。

iOS 14には、この種のターゲット広告トラッキングを希望するかどうかをユーザーに尋ねる新しいプロンプトが含まれる予定だ。開発者はiOS 14がリリースされ次第、このプロンプトを自分のアプリに組み込めるが、アップルが以前に説明したように必須ではない。

声明でアップルは以下のようにコメントしている。

アップルは、技術はプライバシーへのユーザーの基本的な権利を保護すべきであると信じています, そして、それはユーザーがどのアプリやウェブサイトが広告や広告測定の目的のために他の企業と自分のデータを共有している可能性があるかを理解するためのツールを与えることを意味します。同様に、このトラッキングのための許可を取り消すためのツールを提供します。この機能を有効にすると、システムプロンプトが表示され、ユーザーはアプリごとにトラッキングを許可したり拒否したりすることができるようになります。アップルは、開発者が必要な変更を行うのに必要な時間を与えたいと考えており、その結果このトラッキング許可の使用の要件は来年初めに発効することになります。

アップルは開発者に時間を与える必要性を挙げているが、Facebookなどの大手広告会社は、この変更が自社の運営に深刻な影響を与える可能性があると警告している。「アップルのアップデートにより、Facebookの広告収益化ツールであるAudience NetworkはiOS 14で提供する意味がほぼなくなる可能性があります」と同社は先週の声明で述べていた。

こうした収益性の高い提携関係を危うくすることは、アップルの収益にも打撃を与え、一部のアプリやサービスが利用可能かどうかにも影響を与える可能性がある。

ポリシーが施行される正確な日付、そのほかの詳細は後日発表される。
画像クレジット:Apple

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(翻訳:TechCrunch Japan)

アップルがiOS 14導入予定の広告トラッキング規制にFacebookは不満を表明

アップルが、現在公開ベータテスト中の次期オペレーティングシステムであるiOS 14は「Facebook(フェイスブック)の広告ネットワークを頼りにしているパブリッシャーに多大な影響を及ぼす」とFacebookは主張している。

Facebookは米国時間8月27日、アップルがWWCDで発表したプライバシー規約の大幅な変更が与える影響について、Audience NetworkFacebook for Businessのブログ記事で概要を説明した。具体的には、ターゲット広告に使用するIDFA(広告識別子)をアプリ開発者に公開したいか否かを、アップルからユーザーに明示的に問うというものだ。

これに対してFacebookは、同社のアプリでは当該データは収集していないがパブリッシャーが自社サイトやアプリでターゲット広告を行う際にFacebookデータが利用できるFacebook Audience Network(オーディエンスネットワーク)(未訳記事)に与える影響は大きいと指摘している。

「iOS 14上のすべての広告ネットワークと同じく、Audience Networkにおいても広告主の正確なターゲティングと広告キャンペーンの効果測定の能力に影響がおよび、その煽りを受けたパブリッシャーは自身の能力を効果的に収益化する力を低下させます」とFacebookは話している。「結果として、私たちの最善の努力にもかかわらず、アップルの変更によりiOS 14におけるAudience Networkの利点は損なわれ、iOS 14上での展開は難しくなります」。

事実、ターゲティングとパーソナライズを禁止したテストの結果、モバイルアプリのインストールキャンペーンによるパブリッシャーの収益は50%減少することが判明しており、「iOS 14でのオーディエンスネットワークの場合はさらに深刻」だと警告している。

その深刻さがどれほどのものなのか、私はアドテク業界のいくつかの企業や投資家に話を聞いてみた。調査会社のApp Annieの分析部門ゼネラルマネージャーを務めるRon Thomas(ロン・トーマス)氏は、これを「IDFAが完全に消滅し、このIDFA後の世界のアトリビューション(メディアごとのコンバージョン貢献度を計測すること)が変化することへの最大手パブリッシャーからの謝辞」と表現している。

関連記事:iOS 14でアプリの広告トラッキングの拒否が可能に、セキュリティとプライバシーをさらに強化

モバイル広告のアトリビューション企業であるAppsFlyerの社長兼ゼネラルマネージャーのBrian Quinn(ブライアン・クイン)氏は、Facebookの発表は「市場への明解なメッセージ」だと話す。

「主要な収入源としてのFacebook Audience Networkを失う可能性は、中小のパブリッシャーや開発者のコミュニティーを世界的な規模で破壊する恐れがあります。これは反対に、日常生活をナビゲートしてくれるアプリの価値を認め、利用している世界中のユーザーに影響を与えます」とクイン氏は私に電子メールで伝えた。「ユーザーに合った広告を提示する能力と、そしてアトリビューションを通じて効率性を提供することは、パブリッシャーと開発者がアプリとユーザーが好む質の高いコンテンツを軸に事業を継続させるためには不可欠なのです」。

さらに同氏は「ユーザーには自身のデータの管理能力を与えつつ、プライバシーを重視したアトリビューション・ソリューションを通して開発者に透明性を提供することは可能です」と提案した。

それに対して、この問題だけを切り取るFacebookのやり方に懐疑的な人たちもいる。例えば、著名なガジェット評論家であるWalt Mossberg(ウォルト・モスバーグ)氏はTwitter投稿で、今後「Facebookやプライバシー窃盗産業である有害なアドテク業界のリーダーたちからの、この問題への不平」をもっと聞くようになると指摘。さらにiOSの変更はすべて、パブリッシャーを虐めるためではなく「消費者に明確な選択肢を与える」ためのものだと話した。

New York TimesやCondé Nast(コンデナスト)などのパブリッシャーを代表する事業者団体であるDigital Content Next(デジタル・コンテント・ネクスト)のJason Kint(ジェイソン・キント)氏は、Facebookは「パブリッシャーの利益を代弁するメッセンジャーを装っている」とTwitterで非難し、同社はAudience Networkのパブリッシャーを利用して、広範なデータ収集業務から目を逸らさせようとしていると指摘した。

「Facebookのデータ収集の大半は同社のサービスの中で行われ、最終的には本体を肥やしている」とキント氏はツイートしていた。同時に同氏とその団体は、アップルがエコシステムを支配する懸念(Wall Street Journal記事)も示している。

Facebookは今回に限らず、この数週間で何度もアップルを批判している。今月の初め、Facebookは有料オンラインイベントの開催を可能にする発表を行ったが、アップルが30%の手数料を免除しないと不満を漏らしている。いずれの場合も、Facebookの口調はずっと穏やかだった。しかし、決まり文句の羅列である企業PRとなると、あからさまなアップルへの敵意が顕著に感じられる。

報道関係に送られた電子メールで、ベンチャー投資企業NFXのJames Currier(ジェームズ・カリアー)氏は、この衝突は歴史の繰り返しの兆候だと示唆した。

2009年、Facebookプラットフォームがスタートした当初、誰もがFacebook上でアプリを制作して、大人気を獲得して、何百万人ものフォロワーを集めることができました。しかし、Facebookは徐々にすべての人気チャンネルを閉鎖してゆき、そこに広告サーバーを挟み込みました。つまり、アプリ開発者はトラフィックを確保するために金を払わなければならなくなったのです。Facebookは、アプリ開発者から徴収できる限りの金を抜き取りました。同じようにFacebookも、iOSプラットフォームのオープン当初、iOSアプリとして大量のユーザーを獲得していました。現在、アップルは、自身の利益のために、徐々に酸素を抜こうとしています。これはジャングルの掟です。このネットワーク効果は、誰が権力を握っているかをじつに明確に示しています。iOSです。

マーケティングとメディアに特化したベンチャー投資企業であるMathCapitalのEric Franchi(エリック・フランチー)氏はプライバシーと広告トラッキングを取り巻く状況の変化について「Facebook、アップル、Audience Networkのパブリッシャーだけでなく、スタートアップにも新たなチャンスをもたらす」と指摘する。ちなみにそのスタートアップには同氏が支援するzeotopとID5も含まれる。

「Facebookの主張は、マーケティングエコシステムがひと握りのオペレーティングシステムとプラットフォームに依存していること、デジタルマーケティングを成立させるためのユーザー識別が重要であることを強調しています」とフランチー氏はコメントしている。「我々は、今こそ、新しい形の同意主導型識別ソリューション構築のチャンスだと考えています」と同氏は続けた。

関連記事:iOS 14の「News+」アプリは記事提供元のトラフィックを横取りする

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(翻訳:金井哲夫)

新型コロナ下の第2四半期のモバイルアプリはダウンロード数、利用時間、売上いずれも新記録達成

新型コロナウイルス(COVID-19)による危機に世界が対処を続ける中、2020年第2四半期のテクノロジービジネスはモバイルアプリのダウンロード数、使用時間、消費者支出のいずれも新記録を作る結果となった。

モバイルビジネスのアナリティクス企業であるApp Annieの最新レポートによれば、第2四半期にモバイルアプリの使用量は前年比40%アップした。トータルの利用時間は2020年4月に過去最高の2000億時間以上となった。消費者支出は270億ドル(約2兆8900億円)でこれも過去最高となった。アプリのダウンロード数は約350億を記録した。

世界中でソーシャルディスタンスの確保とロックダウンによって新型コロナの流行を抑え込もうとしていることが、モバイルアプリの利用に強い追い風となったようだ。

画像クレジット:App Annie

例えばインドでは2020年第2四半期のアプリ滞在時間は2019年第4四半期以降35%増加している。イタリアで30%、インドネシアでも25%の増加だ。米国ではアプリの滞在時間が15%増加している。

App Annieによると、平均的ユーザーはスマートフォンを毎日4時間20分使っているという。

画像クレジット:App Annie

消費者はスマートフォンにあるアプリを起動するだけでなく、新しいアプリをダウンロードする。第2四半期の新アプリのダウンロードは350億回に上ったがこれも史上最高だった。

このうちGoogle Playが250億回を占め、前年比10%の成長だった。今四半期、Google Playの最大のマーケットはインドとブラジルだった。

画像クレジット:App Annie

iOSのダウンロード数は前年比20%アップで100億回近くとなった。iOS最大のダウンロード市場は米国と中国だった。伸び率が大きかったのは米国とサウジアラビアだった。これは、全国的なロックダウンと学校閉鎖に原因があるだろう。アプリのダウンロード数は2020年4月に史上最高となり、iOSで前年比100%アップとなっている。

App Annieによれば、この四半期のゲームのダウンロードは記録的なものとなり合計140億回となった。第2四半期の第1週はモバイルゲームのダウンロード数が12億回を超えて新記録になった。四半期を通しての週あたり平均ダウンロード10億回、対前年比で20%増加した。

画像クレジット:App Annie

ゲーム以外のアプリは、Androidにおける新規ダウンロードの半数(55%)、iOSにおける70%を占めている。

ゲーム以外のトップカテゴリは、Google Playでは「ツール」と「エンターテインメント」、iOSでは「写真とビデオ」と「エンターテインメント」だ。しかし他のカテゴリーの伸びも大きかった。Google Playのダウンロードでは、直前の四半期と比較して「ビジネス」が115%、「健康とフィットネス」が75%、「教育」が50%それぞれアップしている。

一方、iOSでは前四半期に対して「健康とフィットネス」が30%、「ショッピング」が25%、「医療」が20%と大幅に増加している。

記録的なダウンロードと使用時間が新記録となったので消費者支出、特にストリーミングビデオに対する支出も大幅に増加した。

画像クレジット:App Annie

第2四半期の消費者のアプリへの支出額は過去最高の270億ドル(約2兆8900億円)で、iOSが前年比15%アップの170億ドル(約1兆8000億円)、Androidが25%増の100億ドル(約1兆1000億円)だった。

ゲーム支出は190億ドル(約2兆円)、前四半期に対して15%アップとなった。Google Playは25%と大幅に成長しており、これはiOSの成長率の2倍だった。

画像クレジット:App Annie

iOSへの支出額のうちゲーム以外が35%を占めた。この四半期のiOSのゲームアプリ、ゲーム以外のアプリの双方で最大の貢献をしたのは米国と中国の市場だ。これまで消費者向けゲームの最大市場は中国だったが、今回は米国がトップの座を奪い返した。第2四半期の対前四半期の成長は30%に達した。

Google Playでは非ゲームが支出の15%だった。ゲームとゲーム以外の双方で米国、日本、韓国がトップ市場だった。

Google Playのトップカテゴリーは「ゲーム」以外に「ソーシャル」「エンターテイメント」が含まれた。App Annieでは「エンターテインメント」のアップは主としてDisney+とTwitchによるものとみている。

iOSでは「ゲーム」「エンターテイメント」「写真とビデオ」が最大のカテゴリだった。「写真とビデオ」の拡大はTikTokが牽引し、ビデオストリーミング制作者に対する投げ銭に使うバーチャルギフトの販売によって売上高のトップを占めた。

画像クレジット:App Annie

パンデミックを追い風としたモバイルデバイスの大半はビデオストリーミングやゲームなどエンタテインメイント関連だったが、ビジネスアプリもいくつか四半期のランキング入りしている。例えばZoomはこの四半期にダウンロードされたアプリの2位に入った。Google Meetは7位だった。

ショートビデオのTikTokはダウンロード数と支出でトップとなり、月間アクティブユーザーでも7位だった。しかしインドでのTikTokの禁止は次の四半期に大きな影響を与えるはずだ。また米国でもTikTokの締め出しが検討されていることがショートビデオのライバルに勢いを与えている。この波乱のなかで、インドではローカルのライバルの利用が急増している(Reuters記事)。他の地域ではByteやLikeeのような競合サービスが成長している。

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アップルがiOS 14、iPadOS 14の公開ベータをリリース

アップルはiPhoneとiPadのOSについて今秋のメジャーアップデートを予定しているが、そのiOS 14とiPadOS 14の最初の公開ベータ版がリリースされた。これはiOS、iPadOSがこれからどうなるのか知るいい機会だ。

デベロッパー向けベータ版とは異なり、99ドルが必要なデベロッパーアカウントを持っていなくても誰でも今回のベータ版をダウンロードできる。しかしベータ版だということは忘れないほうがいいだろう。

iOSおよびiPadOS 14.0の製品版のリリースはあくまでこの秋だが、同社は今後数週間ごとに新しいベータをリリースする。 これはできるかぎり多数のバグを修正すると同時に、ユーザーから大規模にフィードバックを得るためだ。

これまで同様、アップルの公開ベータはデベロッパー向けベータのリリースサイクルに連動している。同社は今週初め、iOSとiPadOS 14の2番目のデベロッパーベータをリリースしている。両者を比較すると、公開ベータはデベロッパーベータのバージョン2とほぼ同じビルドのようだ。

日々利用しているメインのアップルデバイスにはベータ版をインストールしないほうが安全だ。単なるバグではなく、まったく作動しないアプリや機能もあるし、レアケースではあるが、デバイス自体が反応しなくなる可能性もある。iCloudに保存したデータを失うリスクさえあるかもしれない。利用には充分な注意を払う必要がある。

と、断ったうえで、ダウンロードは次のような手順となる。アップルのベータ版サイトにアクセスして、コンフィギュレーション・プロファイルをダウンロードする。 これは製品版アップデートと同じように、アップデートの通知をiPhoneとiPadに送ってくる小さいプログラムだ。

インストールしたいiOSデバイスのSafariからコンフィギュレーション・プロファイルを直接ダウンロードしてもいいし、ほかのデバイスにダウンロードしてからAirDropを使ってターゲットデバイスに転送してもいい。デバイスを再起動して「設定」を開く。9月にデバイスは自動的にiOSおよびiPadOS 13の最終版に更新される。その後はコンフィギュレーション・プロファイルを削除できる。

すでに説明したように、iOS 14の最大の変更はホーム画面でウィジェットが使えるようになった点だ。これにともない、すべてのアプリを表示するアプリライブラリが導入され、アプリをダウンロードしてインストールせずに一部の機能をその場で実行できるApp Clipsが使えるようになった。

これ以外にも当然広範部分で改良されている。メッセージでは@メンションと返信によるグループ機能に重点が置かれているようだ。翻訳アプリはクラウドにデータを送り返さず、デバイス内で作動する。一部の都市では純正の「マップ」アプリに自転車ルートのナビ機能が加わる。メモ、リマインダー、天気、ホームなどもアップデートされている。

今回リリースされたiOS 14の公開ベータについては別記事(未訳記事)で詳細を紹介している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

iPhone/iPadアプリは本当にそのままApple Silicon Mac上で動くのか?

先日のアップルのWWDCのキーノートでは、後半のかなり長い時間を使ってMacが採用することになったアップル独自のCPU「Apple Silicon」に関する発表があった。その中では、ちょっと意外なことも語られた。Apple Siliconを搭載したMac上では、iPhone用やiPad用のアプリが「まったく変更を加えることなくネイティブに」動作するというのだ。そこでは詳しい話はいっさいなく、「Monument Valley 2」というゲームなど、2、3本のアプリがMac上で動く様子がデモされた。この話は、時間にして全部で40秒ほど。そのときは、なんだか狐につままれたような気がした人も多かったのではないだろうか。

本当にiPhone/iPad用のアプリがMac上でそのまま動くのだろうか。確かに今後のMacは、iPhoneやiPadと同じARM系のCPUを採用するようになるのだから、基本的なコードがネイティブで動くのはわかる。また、すでにMac Catalystを使えば、iOSやiPadOSのAPIが、部分的にせよ、macOS上で利用可能になっているのも確かだ。しかし、当然ながらすべてが共通というわけではない。それに、そもそもiPhone/iPadアプリは、専用のApp Storeからダウンロードしてインストールするしかない。Macからはアクセスすらできないようになっている。なんとかアプリのバイナリを持ってくることができたとしても、ライセンスの問題もありそうだ。このように疑問は噴出する。

結論から先に言えば、答えはほぼイエスだ。ここで「ほぼ」を付けるのは、どうしても制限と選択があるから。制限とは、動くアプリは、そのままでまったく問題なく動くが、完全には動かないアプリもあるということ。そして選択とは、アプリのデベロッパーがそれを望まない場合、macOS上では使えないようにすることもできるからだ。どういうことなのか、少し詳しく見ていこう。

Mac上でiPhone/iPadアプリが動く仕組み

キーノートの後のWWDCのセッションの1つに「iPad and iPhone apps on Apple Silicon Macs」というものある。17分程度の短いセッションだが、求める答えはズバリこの中にありそうだ。

このビデオでは、まず現状のmacOS Catalinaのアプリケーションアーキテクチャを確認している。大別すると、現状のMacでは4種類のアプリケーションフレームワークが動いているとしている。つまり、通常のMac用アプリのためのAppKit、元はiPad用のものをMac Catalystを使ってMacに移植したアプリのためのUIKit、ウェブアプリのためのWebKit、そしてゲーム用のMetalというわけだ。

引用:Apple

Apple Siliconを搭載したMacのmacOS Big Surでは、そこにもう1つのフレームワークが加わるのではなく、iPhoneやiPadのアプリをそのまま動かせるように、macOS上のUIKit部分を拡張するかたちを取るようだ。

引用:Apple

確かに、macOS上の実行環境がiOSやiPadOSに近づけば、そしてアプリから見て実質的に同等なものになれば、何も変更していないモバイルアプリがMac上でも動作することになる。それでも、macOSのアプリ実行環境にはiOSやiPadOSとは異なる部分も多い。顕著な例は、指によって直接画面をタッチする操作と、マウスやトラックパッドを使ってカーソルを動かしてクリックする操作の違いがある。また、macOSの画面には必ずメニューバーがあって、アプリの終了など、基本的な操作を担当しているが、iOSやiPadOSにはMacのメニューバーに相当するものはない。逆にiPhone/iPadのホームボタンに相当するものはMacにはない。

そうした基本的な操作環境がうまくコンバートされなければ、アプリは恐ろしく使いにくいものとなったり、操作不能になったりしてしまう。そこでBig Surでは、モバイルアプリがMac上で動くために必要なリソースやインターフェースは、自動的に追加されたり、変換されたりするようだ。例えば、すでに述べたメニューバーの利用、環境設定パネルの表示、Dockへのアクセス、ファイルを開く/保存ダイアログの利用、スクロールバーの表示と操作といったものだ。iOSやiPadOS上での標準的なマルチタッチ操作も、可能な限りmacOSのマウスやトラックパッド操作に置き換えられる。

さらに、マルチタスクに対応したiPadOSアプリなら、macOS上でも自由にウィンドウのリサイズが可能となる。フルスクリーンでの動作も可能だ。またマルチウィンドウに対応したアプリなら、Mac上でも複数のウィンドウを開いて動作できる。macOS上のファイルにもアクセスできるようになり、macOSによる「共有」機能も利用可能となる。細かいところでは、macOSのダークモードにも追従する。

このような自動的な環境への対応がどんな感じになるのかを知るために、一例として現状のMac Catalystのアプリを見てみよう。iOSやiPadOSにもあって、現在のmacOSにもある「ボイスメモ」は、Mac Catalystアプリの代表的なもの。iPadOSの「設定」には「ボイスメモ設定」がある。そこに配置されているのは「削除したものを消去」するまでの日数、「オーディオの品質」、そして「位置情報を録音名に使用」するかどうかのスイッチだ。

それに対してmacOS上の「ボイスメモ」では、「ボイスメモ」メニューの「環境設定…」を選ぶことで、「ボイスメモ環境設定」のウィンドウが開く。そして、その中に並ぶ設定項目は、文言も含めて、iPad用アプリとまったく同じなのだ。

これはあくまでも、現在のMac Catalystアプリのユーザーインターフェースの自動変換の例だが、このようなインターフェースに関しては、Big Sur上のiOS/iPhoneアプリも、Mac Catalystアプリも、だいたい同じ環境になると考えていいだろう。

Apple Silicon Mac上で動かないiPhone/iPadアプリ

一般的なアプリの多くがAPIの利用を含めて自動的に変換されるとしても、どうしても変換しきれない機能もある。そうしたモバイルデバイス特有の機能に大きく依存しているようなアプリは、Mac上でそのままうまく動かすことはできないだろう。少なくとも、iPhoneやiPadとまったく同じような機能を発揮することは期待できない。

そのようなアプリの代表的なものとしては、iPhone/iPadが備えている多様なセンサー類を使ったものが挙げられる。加速度、ジャイロスコープ、磁気、気圧、といったセンサーや、深度センサー付きのカメラ、GPSといったものはMacにはない。そうしたものに依存するアプリは、そのままの機能をMacで発揮するにはどうしても無理がある。

ただし、例えばGPSのハードウェアはMacにはないが、その代わりになる機能はある。位置情報を提供するCoreLocationフレームワークだ。iOSやiPadOSのアプリでも、GPSのハードウェアに直接アクセスしているものは、まずない。通常はmacOSともほぼ共通のAPIであるCoreLocationを利用して位置情報を検出している。そうしたアプリが必要とする位置情報は多くの場合、Mac上でもCoreLocationによって供給され、支障なく動作するものも少なくないだろう。

またMacにはない背面カメラに関しても、最初から背面カメラの存在を前提として動作するiPhone/iPadアプリを、そのままMac上で動かすのは確かに厳しい。しかし、アプリが非常にマナーよく作られていれば、MacにUSB接続された外部カメラなどを利用することも可能になる。AVFoundationフレームワークのAVCaptureDeviceDiscoverySession機能を利用して、デバイスに接続されたカメラを確認してから利用するようなアプリなら、柔軟に対応できる可能性が高い。

Macという新たなプラットフォームを得たことで、今後iPhone/iPadアプリのデベロッパーの意識改革が進み、デバイスへの依存性の低いアプリが増える可能性にも期待できるだろう。

iPhone/iPadアプリはどうやってMacにインストールする?

Mac上で動作するiPhone/iPadアプリがあっても、それらを実際にどうやってMacにインストールするのか。というのも、キーノートではまったく触れられず、大きな疑問が残る部分だった。これについては、実は何も心配はいらない。Apple Siliconを搭載するMac上で動作するiPhone/iPadアプリは、ほぼ自動的にMac App Storeに表示されるからだ。Macユーザーは、通常のMac用アプリとまったく同じようにダウンロードしてインストールできるようになる。

デベロッパーが新たなアプリをiOS(iPadOS)のApp Storeに掲載する際、デフォルトではMac App Storeにも掲載されるようになる。ただし、上で述べたような理由でMac上では十分な機能を発揮できないアプリや、同じデベロッパーがすでにMac用のアプリを別にMac App Storeに掲載しているような場合には、そのアプリをMac App Storeでは公開しないように設定できる。それも、チェックを1つ外すだけだ。

有料アプリについては、もちろんユーザーはMac App Store上で購入手続きを済ませてからダウンロードしてインストールするようになる。また、インストールしたアプリのApp内課金も可能なので、デベロッパーはiPhoneやiPadとまったく同様に、Macユーザーからも収益を得ることができる。

アプリをMacにインストールする際には、特定のモバイルデバイスに特化したようなリソースは、自動的に排除され、Macに最適なリソースのみを含むようになる。このようなApp Thinningのメカニズムも、これまでと同じように動作する。Macが非常に強力なiPad類似の新たなデバイスとして加わるだけだ。

macOSにインストールしたアプリのアイコンは、通常どおりmacOSの「アプリケーション」フォルダーに入る。ただし、これを別の場所に移動しても動作する。例えばデスクトップに移動して配置することも可能だ。現状のCatalinaでは、アプリのアイコンをアプリケーションフォルダーから別の場所にドラッグするとエイリアスが作成されるが、Big Surでは「移動」となるようだ。また、新しいApp Bundleフォーマットの採用によって、ユーザーがアプリの名前を変更することも可能になるという。このあたりは、iOSやiPadOSでは得られなかった新たな動作環境だ。こうしたユーザーに大きな自由度を与える動作環境は、macOS Sierraで導入されたApp Translocationを利用することで可能となっている。

Macにアプリを提供する3つの方法

こうして、Apple Silicon搭載MacでiPhone/iPadアプリが利用可能になることで、言うまでもなくMacのアプリケーション環境は、これまで類を見ないほど充実することになる。そして、デベロッパーとしてMacにネイティブなアプリを提供する経路も、大きく3種類が利用できることになる。

1つは、これまでのMacアプリと同様の、macOSのオーソドックスなアプリで、もちろんMacならではの機能や操作性がフルに活用できる。それから、これまでにも利用可能だったMac Catalystを利用して、iPadからMacに移植したアプリがある。この記事では述べなかったが、Mac Catalystは、Big Surで大幅にアップデートされ、より強力なものとなる。

いずれにせよ、Macならではの機能をできるだけ利用できるようにiPadアプリをカスタマイズしたければ、Mac Catalystの利用が効果的だ。そして3つ目は、iPhone/iPadアプリを、そのまま提供すること。もちろん、その場合にはMac上での動作を事前に十分テストして、不自然なことにならないか確認することは必要だ。しかし、デバイスに大きく依存したアプリでなければ、コードもほとんど修正する必要はないだろう。

以前は、iPhone/iPadとMacは、2つの似て非なる世界だった。同じアプリを両方の世界に提供する場合、基本的には両者をまったく別のアプリとして開発する必要があった。それがMac Catalystの登場で、iPad用を簡単にMacに移植できるようになり、さらにApple Silicon Macの登場で、1種類のソースコードからビルドしたアプリを、そのまま両方の世界に供給できるようになる。デベロッパーにとっては、マーケットが大きく拡がるチャンスであることは間違いない。

ユーザーとしては、今後登場するApple Silicon搭載Macを準備して、ただ待っているだけでいい。そうすれば、iPhone/iPadの世界から、魅力的なアプリがどんどんMacに流入してくる。面白すぎて笑いが止まらない状況が、もうすぐそこに迫っている。Macユーザーとしては、まったくいい時代になったものだ。

iOS 14のApp ClipsはApp Storeに行かずに機能が利用できるApple版インスタントアプリ

AppleのApp Storeは今や200万近いアプリが登録された巨大なエコシステムとなっている。 つまり必要なアプリを見つけてダウンロードするのが非常に難しくなっているわけだ。 アプリのデベロッパーが新しいユーザーを獲得するにはApp Storeを対象とする検索広告、伝統的SEO、各種デジタル広告などにますます多額の投資をしなければならないい。

今年後半にリリースされるiOS 14に搭載されるApp Clipsはデベロッパーの新ユーザー獲得に新しいオプションを提供する。AppClipsでアプリを公開した場合、ユーザーは必要に応じてアプリの一部の機能をオンデマンドで即座に読み込むことができる。利用が終了するとApp Clipsのアプリはデバイスから消える。

App Clipsのコンセプトは目新しいものではない。GoogleのAndroidプラットフォームでは数年前からInstant Appと呼ばれるオンデマンドのミニアプリを提供している

App ClipsはInstant AppsのiOS版で、アプリをウェブページなみに手軽に扱えるようにすることを目的としている。スピーディーかつ一時的で、特定の機能を利用したいだけなのにApp Storeからアプリをダウンロードしてデバイスにインストールしなければならないというハードルを取り除く。

現在多くのユーザーは急いでいるときにアプリをまるごとダウンロードしたがらない。たとえば市営パーキングで駐車料金を支払いたい場合、パーキングメーターにクレジットカードを通すだけですめば好都合だ。市の駐車アプリをダウンロードしてインストールするよりはるかに時間と手間の節約になる。

ファーストフード店で行列を作っている人々もいちいち店のアプリをダウンロードしてメニューを見て注文しようとはしない。ほとんどの客はカウンターでスタッフに注文し、料金を払う。自転車をレンタルするならスマートフォンを一回タップするだけですませたいだろう。

 

App Clipはウェブサイトを開くのと同じくらい手間でアプリの特定機能を利用できるようにすることを狙っている。上に挙げた例のように一度タップするだけでApple Payでチェックアウトするという他にも多数のシナリオが想定される。

AppleはQRコードを読み取るだけでClipsを起動できるようにする予定だ。今年後半に登場するApp Clip CodeはClip体験をさらにアップグレードする。NFCとQRコードのスキャンを組み合わせた機能でユーザーはタップないしQRコードのスキャンでApp Clipにアクセスできる。

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たとえば、パーキングメーターにApp Clip Codeを表示すればユーザーはコードをスキャンするだけでアプリの一部機能を即座に読み込み、駐車時間に応じた支払いを行うことができる。ApplePayが利用できるシステムであればクレジットカードのスワイプを省略することもできまる。

App Clipのサイズは10MB未満に制限され、App Storeアプリにバンドルされる形で公開される。デベロッパーはUIKit、SwiftUIなどの現在アプリ開発に用いている開発環境を利用してApp
Clipを書くことができる。ただしApp Clipsを起動してもアプリ本体がデバイスにダウンロードされることはない。

App Clipsが提供する重要なメリットはプライバシー保護の面で優れていることだ。App Clipsは簡単にいえばオンデマンドでアプリのコードを実行する仕組みだ。このためiPhone上に健康、フィットネスなど機密性の高い個人データへがあってもアクセスは制限されている。またApp Clip自身と使用したデータは、一定時間再利用されないと自動的に消去される。

逆にユーザーが特定のApp Clipを頻繁に利用する(行きつけのコーヒーショップなど)と、App Clipsが消去されるまでの時間が延長され、機能も拡大される。コーヒーショップの例でいえば、App Clipsはオーダーの際にユーザーが前回した注文を記憶し、候補として提示する。これにより注文のプロセスがスピードアップできるわけだ。このユーザーはやがてアプリ全体をダウンロードしてインストールすると決めるかもしれない。

この場合、Appl Clipsから本体アプリへの移行もシームレスに実行される。iOSは、App Clipsがすでに得ていたカメラ、マイク、Bluetoothアクセスなどへのアクセス許可を記憶しており、アプリ自動的に適用する。またアプリで使用されたデータも移行される。

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もちろユーザーはこうした実世界での利用以外にもオンラインでApp Clipsを発見して利用することがあるだろう。Appleはむしろこちらを主なユースケースと考えいるかもしれない。

Appleは、App ClipはiMessageのリンクとして送信できるとしている。またSafariでモバイルサイトを閲覧しているときにポップアップとして表示されるし、Appleマップのビジネスの説明ページにも表示できる。Siriの「この周辺」の候補にも表示される可能性があるとAppleは述べてる。

「デバイスの中であれ、現実世界であれ、世界のどこにいいようと常にユーザーのそばにあって即座に利用できる」というのがApp Clipsの考え方のようだ。

画像:Apple
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滑川海彦@Facebook