【コラム】クリエイティブがグロースマーケティングの決定的なXファクター

今後、グロースマーケティングがプライバシー保護を重視した、ターゲットの曖昧なものに移行するとき、Facebook(フェイスブック)などの有料ソーシャルチャネル上のクリエイティブが最も強力な手段になるだろう。重宝しているiOS 14.5で特定機能が利用できなくなってこの傾向は加速されたが、さまざまなチャネルで広告プラットフォームの自動化に向けた取り組みが強化されている。

それで筆者は、シードステージのスタートアップであれ、Google(グーグル)のような巨大企業であれ、グロースマーケティングを推進する場合は常に、クリエイティブをテストする適切なフレームワークの準備を整えるべきだと思う。

筆者は、Postmates(ポストメイツ)で3年間働き、さまざまなスタートアップのためにコンサルティングをし、直近ではUber(ウーバー)で仕事をして、多くの点でマーケティングが変化する様子を見てきた。しかし、我々が今目にしているものは我々の制御を超えたファクターによって動いており、今まで見てきたどんなものとも異なる変化が始まっている。続いて、有料のソーシャルアカウントでクリエイティブが最も強力な手段として登場した。

基本

クリエイティブの力を活用し、有料のソーシャルマーケティングで成功を収めようと考えているなら、その考え方は正しい。必要なのは、クリエイティブをテストするフレームワーク、つまり新しいクリエイティブアセットをテストする構造化された一貫性のある方法である。

次に、クリエイティブをテストするフレームワークを成功させるために必要な基本要素を示す。

  • 決められたテストスケジュール
  • テーマを構造化したアプローチ
  • チャネルに特化した戦略

クリエイティブのテストは、決められたテストスケジュールに従った、持続的で反復的なプロセスにする。目標と構造は、毎週5つの新しいクリエイティブアセットをテストするシンプルなものにできる。逆に、複数のテーマとコピーバリエーションから成る60の新しいアセットをテストする複雑なものにもできる。

出費があまり多くないアカウントの場合、イベントシグナルが限られているのでクリエイティブのテストは比較的限定的なものにする。出費の多いアカウントの場合はその逆にする。最も重要なことは、次の「優れた」アセットを探す際、テストを継続して目ぼしいものを見つけることである。

4つのテーマ×テーマごとに3つの変化形×5つのコピーバリエーション=60のアセット(画像クレジット:Jonathan Martinez)

テストのスケジュールを設定したら、思いつきのアイデアを大量にテストするのではなく、ビジネスとバーティカル市場の主要なテーマを定義する。これは、コピーや、製品とサービスの主要な価値提案と同様に、クリエイティブアセットにも当てはまる。クリエイティブのデータ分析を始めると、この構造を活用してテストすることで、何を強化し、何をカットするか、簡単に決定できることがわかるだろう。これは、テストの過程を通じて拡張または縮小するワイヤーフレームと考えることができる。

MyFitnessPal(マイフィットネスパル)のようなフィットネスアプリの場合、次のように構造化できる。

  • テーマ(製品のスクリーンショット、製品を使っている人の画像、UGCのユーザーの声、事前・事後の画像)
  • メッセージ(セグメント化された価値提案、宣伝広告、FUD)

チャネルは、クリエイティブのベストプラクティスやテストの機能がそれぞれ異なるので、チャネルに特化したアプローチになっていることを確認することは非常に重要である。フェイスブックでうまくいくことが、Snapchat(スナップチャット)やその他多くの有料ソーシャルチャネルでもうまくいくとは限らない。クリエイティブのパフォーマンスがチャネルによって異なるとしてもがっかりすることはないが、筆者は等価性テストを推奨する。あるチャネル向けのクリエイティブアセットがすでにある場合、残りのチャネル向けにサイズ変更して体裁を整えても問題はない。

何が成功かを判断する

適切なイベント選択と、テスト全体を通じて守る統計的に有意なしきい値は、クリエイティブにとって等しく重要である。クリエイティブのテストに使うイベントを選択する際、CACのレベルによっては、必ずしも自社のノーススターメトリックを使えるとは限らない。例えば百単位のCACで高額のアイテムを売る場合、各クリエイティブアセットで統計的に有意な値に達するには、多額の出費が必要になるだろう。代わりに、ファネル上部寄りのイベントと、ユーザーの転換の可能性を示す信頼性の高い指標を選ぶことができる。

ファネル上部寄りのイベントを使うと、学習の迅速化につながる(画像クレジット:Jonathan Martinez)

使用する統計的に有意な割合を決める際、クリエイティブのテスト全体にわたって一貫した割合を選択することは重要である。経験上、筆者は80%以上の確実性を好む。それによって、十分な確認と決定の迅速化が可能になるからだ。Neil Patel(ネール・パテル)氏のA/Bテスト向け有意性計算ツールは、便利な(無料の)オンライン計算ツールである。

成否を分けるもの

ソーシャルフィードをスクロールしていて、光沢のあるゴールドのペンダントに目が留まったとしよう。しかし、メッセージはブランド名と製品の仕様だけである。注意を引かれはしたが、引き寄せられるものが何かあっただろうか。考えてみて欲しい。人の注意を引くだけでなく「クリエイティブ」、つまり有料のソーシャルグロースマーケティングで成否を分けるファクターを使って、引き寄せているだろうか。

iOS 14.5のデータロスを迂回する

iOS 14.5でユーザーデータがわかりにくくなり、モバイルキャンペーンにおいてクリエイティブのテストは厳しくなる一方だが、不可能というわけではなく、ただもっと賢くなる必要があるということである。クリエイティブのパフォーマンスに関する明瞭なインサイトを得るのに役立つアイデアはいろいろあり、長続きしないものもあれば、ずっと残るものもあるだろう。

プライバシー保護のための制限はたくさんあるが、膨大な数のAndroid(アンドロイド)ユーザーには依然としてアクセス可能であり、これを活用しない手はない。クリエイティブのテストをすべてiOSで実施する代わりに、インサイトを収集する明瞭な方法としてアンドロイドを使うことができる。プライバシー保護のための制限はまだアンドロイドデバイスに課されていないのだ。アンドロイドでのテストで収集されたデータは、次にiOSでのキャンペーンに適用できる。アンドロイドでのデータにも制限が課されるのは時間の問題でしかないので、iOSでのキャンペーンに情報を提供できるこの回避策を活用するのは今である。

アンドロイドでのキャンペーンが実行可能なオプションでない場合、手早く簡単な別のソリューションは、Webサイトのリードフォームを断念し、クリエイティブアセットから記入済みフォームへの転換率を測定することである。ユーザーエクスペリエンスは確かにエバーグリーンコンテンツと比べればまったく驚くほどのものではないが、これを使えば短期間でインサイトを得ることができる(しかも、予算のほんの一部で)。

リードフォームを作成する場合は、エバーグリーンエクスペリエンスの重要な指標となるイベントを完成させるユーザーを見極めて明らかにする質問を考えよう。ユーザーがリードフォームに記入し終えたら、コミュニケーションを取ってユーザーの転換を図り、広告費を有効に使うことができる。

アカウントステージに基づいて取り組む

クリエイティブアセットのタイプに応じたテストの取り組みはアカウントステージアカウントステージによって大きく異なり、模倣、反復、イノベーションの3つに分けることができる。

クリエイティブのテストのタイプは時間とともに変化する(画像クレジット:Jonathan Martinez)

アカウントステージが初期であればあるほど、クリエイティブの方向性が他の広告主によって有効であることが証明されたものに依存する度合いは大きくなる。それらの広告主は、アセットのパフォーマンスの証明に多くの出費をしてきており、そこから強力なインサイトを得ることができる。時間の経過とともに、他の広告主から導き出す速度をわずかに落とし、ベストパフォーマンスの反復に重点を置くことができる。筆者が割合を決めるとすれば、初期段階では取り組みの80%を模倣に置く。成功事例が明らかになるにつれて自然と反復の勢いが増し、イノベーションが大きく遅れて最後の柱になる。

これは、すばらしいアイデアがある場合でも初期段階ではイノベーションを試すことはできないということではが、一般に、十分に成長した企業の方が革新的なアイデアの検証に多額の出費をする余裕がある。また、社内にデザインチームがあるにしても、フリーランスのデザイナーと一緒に取り組むにしても、50の異なる革新的なアセットを考えてデザインするより、50のバリエーションを考える方がはるかに簡単である。模倣と反復により、初期のテストは大幅に効率的になる。

競合他社のインサイトを活用する

ブレインストーミングをして、最高に美しく、目を引いて、人を引き付けるクリエイティブを思い描くことは、必ずしも数秒でできることではなく、数分でも、数時間でもできるとは限らない。ここで、競合他社のインサイトを利用することが関係してくる。

最も充実したリソースはフェイスブックの広告ライブラリである。そこには、プラットフォーム全体であらゆる広告主が使っているすべてのクリエイティブアセットがある。実際のところ、この無料の強力なツールのことを知っている人がほとんどいないことに、筆者はいつも驚かされる。

このライブラリで競合他社やクラス最高の広告主を参照すると、広告主が長く使ってきた具体的なアセットに、優れたパフォーマンスのクリエイティブの証拠を見ることができる。どうしてそれがわかるかというと、便利なことに、広告主がクリエイティブを使い始めた日付のスタンプが各アセットにあるのだ。これは非常に役に立つ。筆者は、何時間でもクリエイティブアセットを調べていられる。それぞれの広告主が、情報とひらめきをさらに提供してくれる。

有料のソーシャルグロースマーケティングで努力を傾ける分野を考えるときは、クリエイティブをリストのトップに置く必要がある。データがますますわかりにくくなるにつれ、アイデアに富んだ考え方をする必要がある。そうした考え方が、成功と失敗の分かれ目になる。実行する戦略のタイプは時間とともに変わるが、変わらないのは、強力なクリエイティブ、つまり成功を左右するファクターの重要性である。

編集部注:本稿の執筆者Jonathan Martinez(ジョナサン・マルティネス)氏は、元YouTuberで、カリフォルニア大学バークレー校の卒業生であり、Uber、Postmates、Chimeをはじめとするさまざまなスタートアップ企業の成長を支援してきた成長マーケティングのオタク。

画像クレジット:MirageC / Getty Images

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(文:Jonathan Martinez、翻訳:Dragonfly)

次期iOS 15のアップデートは9月21日から

米国時間9月14日の発表イベントの直後、Apple(アップル)はiOSの次期メジャーバージョンがまもなく登場することを明らかにした。iPhoneユーザーは日本時間9月21日にiOS 15にアップデートできるようになる。同社は2021年6月のWWDCでiOS 15を初めて紹介した

iOS 15の最大の変更点は新機能の「集中モード」だ。「おやすみモード」以外にもさまざまなモードを設定できる。アプリや、通知を許可する連絡先を選び、何に集中するかを設定する。例えば「作業」「睡眠」「ワークアウト」などのモードを自分で作成できる。

新しくなった「天気」や地図が更新された「マップ」、機能が充実した「FaceTime」など、全般にわたって新機能がたくさんある。「Safari」も外観が新しくなる。発表直後はやや物議を醸していたが、その後Appleはフィードバックに耳を傾けて調整した。

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iOS 15では写真に写っている文字が認識される。テキスト認識表示と呼ばれているこの機能により、写真の中のテキストを選択し、コピー&ペーストできる(訳注:テキスト認識表示は英語、中国語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、ポルトガル語、スペイン語に対応)。アクセシビリティの機能としても有効だろう。iOSはこの情報をSpotlightで利用する。写真の中のテキストをSpotlightで直接検索し、関連する写真を探せる。これらの機能はデバイス上で処理される。

iPhone 6s以降、iPhone SEの第1世代と第2世代、iPod touch(第7世代)はiOS 15にアップデートできる。アップデートは無料だ。

iOS 15のベータ版が動作しているデバイスには、9月21日の正式リリースを前にRC版が公開されている。

現状のままiPhoneを使いたい場合は、iOS 15にアップデートしない選択肢もあるとAppleは公表している。当面はiOS 14向けのセキュリティアップデートが引き続き提供される。

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(文:Romain Dillet、翻訳:Kaori Koyama)

iPhoneのセキュリティ対策もすり抜けるスパイウェア「Pegasus」のNSOによる新たなゼロクリック攻撃

2021年初め、バーレーンの人権活動家のiPhoneが、国家に販売されている強力なスパイウェアによってハッキングされ、Apple(アップル)が不正アクセス対策のために設計した新セキュリティ保護機能が破られたとCitizen Lab(シチズン・ラボ)の研究者らが発表した。

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匿名希望の同活動家は、湾岸諸国の人権を促進する非営利団体として受賞歴のあるBahrain Center for Human Rights(バーレーン人権センター)に所属しており、現在もバーレーンを拠点としている。同センターは2004年に当時の首相を批判したディレクターが逮捕された後、バーレーン王国から禁止令が出されたものの、現在も活動を継続している。

トロント大学のインターネット監視機関であるCitizen Labは、同活動家のiPhone 12 Proを分析。ユーザーの操作を一切必要としない、いわゆる「ゼロクリック攻撃」を用いて2月からハッキングされていたという証拠を発見した。ゼロクリック攻撃は、AppleのiMessageに存在する未知のセキュリティ脆弱性を利用したもので、これがイスラエルのNSO Groupが開発したスパイウェア「Pegasus」を同活動家のiPhoneに送り込むために利用されたとみられている。

Citizen Labの研究者によると、攻撃者は当時最新のiPhoneソフトウェアであるiOS 14.4とAppleがその後5月にリリースしたiOS 14.6を悪用してゼロクリック攻撃を成功させているため、今回のハッキングはなおさら重要な意味を持つという。今回のハッキングでは、iOS 14のすべてのバージョンに組み込まれ、iMessageで送信された悪意のあるデータをフィルタリングすることでこの種のデバイスのハッキングを防ぐことを目的とする新しいソフトウェアセキュリティ機能(BlastDoorと呼ばれる)が回避されているのだ。

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BlastDoorを回避できることから、研究者らはこの最新のエクスプロイトを「ForcedEntry」と呼んでいる。

Citizen LabのBill Marczak(ビル・マーザック)氏がTechCrunchに話してくれたところによると、最新のiPhoneをターゲットにして悪用しようとする試みが起きているという事実を研究者らはAppleに伝えてあるという。TechCrunchの取材に対してAppleは、NSOが悪用している脆弱性を発見して修正したかどうかについて明確に言及していない。

Appleのセキュリティ・エンジニアリング・アーキテクチャ部門の責任者であるIvan Krstic(イヴァン・クルスティッチ)氏は、米国時間8月24日に再度発表された定型的なステートメントの中で次のように述べている。「Appleはジャーナリストや人権活動家、その他の世界をより良い場所にしようとしている人々に対するサイバー攻撃を強く非難します【略】今回のような攻撃は、開発に莫大な費用がかかる非常に高度なもので、有効性が短いことが多く、また特定の個人を標的にしています。そのため圧倒的多数のユーザーにとってこれは脅威ではないといえますが、私たちはすべてのお客様を守るためにたゆまぬ努力を続けており、お客様のデバイスやデータを守るための新しいセキュリティ機能を常に追加して参ります」。

Appleの広報担当者は、iMessageの安全性を確保するため、同社はBlastDoor以外の対策にも取り組んでおり、2021年9月以降にリリースされる予定のiOS 15では防御をさらに強化していると伝えている。

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2020年6月から2021年2月の間にバーレーンの人権活動家をはじめとする8名のバーレーン人活動家が標的にされた背景には、バーレーン政府が存在する可能性が高いとCitizen Labは話している。

バーレーンは、サウジアラビア、ルワンダ、アラブ首長国連邦、メキシコなどと並び、Pegasusの政府顧客として知られている権威主義国家の1つである。ただし、NSOは機密保持契約を理由に、数十社にのぼる顧客名の公開を繰り返し拒否し続けている。

対象となったバーレーン人のうち5名の電話番号が、スパイウェアPegasusの監視対象となりうるとしたPegasus Project の5万件の電話番号リストに掲載されていた。つまり政府顧客は対象者のデバイスにほぼ完全にアクセスでき、個人データ、写真、メッセージ、位置情報などを取得できるということである。

これらの電話番号のうちの1つは、バーレーン人権センターの別のメンバーのもので、Citizen Labによると、同センターはForcedEntryよりも前から存在する、Kismetと呼ばれる別のゼロクリック・エクスプロイトの標的に数カ月前からなっていたという。Citizen Labによると、BlastDoorが導入されて以来KismetはiOS 14以降では動作しなくなっているものの、iPhoneの古いバージョンを使用しているデバイスにはまだリスクがあるとのことだ。

現在ロンドンに亡命している他の2人のバーレーン人も、iPhoneをハッキングされている。

以前、バーレーン政府に販売されたスパイウェア「FinFisher」の標的となったフォトジャーナリストのMoosa Abd-Ali(ムーサ・アブドアリ)氏は、ロンドン在住中にiPhoneをハッキングされている。Citizen Labは、バーレーン政府のスパイはバーレーン国内と隣国のカタールでしか確認されていないとし、Pegasusにアクセスできる別の外国政府がハッキングを行ったのではないかと伝えている。最近の報告では、バーレーンの友好同盟国であるアラブ首長国連邦が、英国内の電話番号を選択している「主要な政府」であることが判明している。アブドアリ氏の電話番号もまた、5万件の電話番号リストに含まれていた。

バーレーン人活動家であるYusuf Al-Jamri(ユスフ・アルジャミリ)氏も2019年9月より前に、バーレーン政府によるものと思われるiPhoneのハッキングを受けているが、同氏のiPhoneがバーレーンにいるときにハッキングされたのか、ロンドンにいるときにハッキングされたのかはわかっていない。アルジャミリ氏は2017年に英国への亡命が認められている。

人権侵害、インターネット検閲、広範な抑圧が長年にわたって行われてきたにもかかわらず、この7名のバーレーン人は同王国で活動を続けている。国境なき記者団は、バーレーンの人権問題を、イラン、中国、北朝鮮に次ぐ世界で最も制限の厳しい国の1つとして位置づけている。米国務省が2020年に発表したバーレーンの人権に関する報告書では、同国がかなりの違反や乱用を行なっており、同政府が「コンピュータープログラムを使って国内外の政治活動家や反対派のメンバーを監視している」と指摘している。

NSO Groupに問い合わせたところ、彼らは具体的な質問に答えることはなく、またバーレーン政府が顧客であるかどうかについても言及することはなかった。NSOの広報担当者とされる人物が外部の広報会社であるMercury(マーキュリー)を通じて発表した声明の中で、同社はCitizen Labの調査結果を見ていないとし「システムの悪用に関連する信頼できる情報」を受け取った場合には調査を行うと述べている。

NSOは最近、人権侵害を理由に5つの政府顧客のPegasusへのアクセスを遮断したと主張している

バーレーン政府の広報担当者であるZainab Al-Nasheet(ザイナブ・アルナシート)氏は、TechCrunchに対して「これらの主張は、根拠のない主張と見当違いの結論に基づいています。バーレーン政府は個人の権利と自由を守ることを約束します」と伝えている。

バーレーンで逮捕され、拷問を受けたというアブドアリ氏。英国に来ればこれで安全だと思っていたが、スパイウェアの被害者の多くがそうであるのと同様に、同氏も未だデジタル監視だけでなく物理的な攻撃にも見舞われているという。

「英国政府は私を守るどころか、イスラエル、バーレーン、アラブ首長国連邦という3つの同盟国が共謀して私や他の数十人の活動家のプライバシーを侵害している間、ただ沈黙を貫いているのです」と同氏はいう。

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画像クレジット:Jaap Arriens / NurPhoto / Getty Images

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Dragonfly)

アップルがWWDC21のスケジュールやOSアップデートを多数発表

Apple(アップル)は米国時間5月24日、iOS、macOS、watchOS、tvOSなど数多くの新しいOSアップデートと、そして6月7日に(バーチャルで)開幕するWorldwide Developers Conference(WWDC)スケジュールに関する情報を公開した。

ほとんどのデバイスに影響を与えるという理由もあり、やはりiOSとiPadOSがアップデートの主役だ。今回公開されたiOS / iPadOS 14.6には、先日のハードウェアイベントで発表された有料ポッドキャスト配信サービスApple Card Familyの追加など、いくつかの大きな更新がある。

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前者はポッドキャスト配信者が番組の定期購読を有料化でき、アップルは初年度に30%の手数料を取る。そして1年後には手数料は半分になる。後者はApple Cardの所有者がカードを実質的に分割し、利用することを可能にする。

Tim Cook(ティム・クック)CEOは発表時にこう述べている。

(Apple Cardを立ち上げた)当初に明らかになったことの1つは、クレジットカードの所有者が2人いる場合、業界がクレジットスコアを算出する方法に公平性が欠けていることでした。1人は良好なクレジットヒストリーを構築するメリットがありますが、もう1人はそうではありません。私たちは、この仕組みを再構築したいと考えています。

macOS 11.4では追加のグラフィックカードのサポート、いくつかのバグ修正、そしてiOSと同様に有料ポッドキャスト購読のサポートが追加されている。また新バージョンのwatchOS 7.5では、前述のポッドキャストとApple Card Family機能、さらにマレーシアとペルーでの追加の健康機能のサポート、Apple Cardの支出追跡機能が追加された。一方でtvOS / HomePod 14.6では、前者ではバグの修正とカラーバランスの変更が行われている。

これらに加えて、2021年のバーチャルWWDCのプログラムも発表された。2021年の同イベントは6月7日午前10時(日本時間6月8日午前2時)より基調講演で幕を開ける。ここでは上記すべての最新バージョンのOSに関するビッグニュースだけでなく、もしかするとハードウェアも発表されるかもしれない。また午後2時(日本時間6月8日午前6時)からは、恒例の「Platforms State of the Union」でさらに詳しい情報が提供される予定だ。

WWWDCの詳しいスケジュールはこちらを参照して欲しい。

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カテゴリー:イベント情報
タグ:AppleWWDCWWDC21アップデートmacOSiOS 14iOSApple Cardバーチャルイベント

画像クレジット:Apple

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(文:Brian Heater、翻訳:塚本直樹 / Twitter

ついにアップルが導入開始した「アプリのトラッキングの透明性」について知っておくべきこと

Apple(アップル)のモバイルOSの最新バージョン「iOS 14.5」が、米国時間4月26日に配信開始となった。これに伴い、多くの議論を巻き起こした「App Tracking Transparency(アプリのトラッキングの透明性)」という新しいプライバシー保護機能が導入される。

この機能は約1年前に発表されたが、アップルはアプリ開発者に準備期間を与えるために導入を延期していた。以来、この機能への対応はすでにiOSで始まっており、いくつかのアプリがすでに採用している。例えば、Duolingo(デュオリンゴ)やVenmo(ベンモ)では、ユーザーにデータ追跡の許可を求めることが確認されている。だが、アップルは今回のアップデートから実際に新しい規定の施行を開始すると述べている。

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つまり、iPhoneユーザーは一般的なアプリケーションを使用していると、何度もプライバシーに関するプロンプトを目にするようになる。アプリごとに「他社のAppやウェブサイトを横断してあなたのアクティビティを追跡する」許可を求めて来るのだ。追跡(トラッキング)許可を求めるすべてのアプリは、iOSの広範な「プライバシー」設定の中の「トラッキング」メニューに表示され、個々のアプリまたはすべてのアプリについて、トラッキングのオン / オフをいつでも切り替えることができる。

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トラッキングのオン / オフを切り替えると、実際にどのような効果があるのだろうか?トラッキングをオフにすると、そのアプリケーションは、アップルのIDFA識別子を使ってあなたの行動に関するデータをデータブローカーやその他の第三者と共有し、広告のターゲットにすることができなくなる。また、アプリが他の識別子(ハッシュ化されたメールアドレスなど)を使ってあなたを追跡することもできなくなるが、アップルにとって実際にポリシーのこの部分を施行することは、より困難になるかもしれない。

画像クレジット:Apple

App Tracking Transparencyについては、リリースに向けて激しい議論が交わされてきた。賛否両論あるものの、賛成派の説明は簡単だ。これまで膨大な量の個人情報や活動が、消費者の同意なしに収集されていた(アップルは「あなたのデータの1日」と名づけられた報告書でその概要を説明している)が、その共有を簡単に制御できるようになるということである。

しかし、Facebook(フェイスブック)は、この新ポリシーが広告ターゲティングに深刻な打撃を与えることから、手頃な費用で効果的な広告キャンペーンを行うためにターゲティングを利用している中小企業に損害を与えると主張している。

さらにFacebookは、The New York Times(ニューヨーク・タイムズ)、The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)、The Washington Post(ワシントン・ポスト)に「世界中の中小企業のためにAppleに立ち向かう」と宣言する広告まで掲載した(電子フロンティア財団は、このキャンペーンを「Facebookのビジネスに悪影響を与えるアップルのプライバシー保護強化に向けた変更を阻止しようとしつつ、自社の反競争的な行動やプライバシー問題に関する失態から人々の目を逸らさせようとする、Facebookの笑えない試み」と断じた)。

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なお、このような変更は一部の開発者や広告主に「存亡の危機」をもたらす一方で、アップルには利益をもたらすことにもなるという意見もある。

これがどれほどの影響をもたらすかということは、どれだけ多くの人がトラッキングの拒否を選択するかにかかってくるだろう。アプリ開発者はトラッキングの有無に応じて何らかの機能を制限することができないため、このようなプロンプトが表示されたときに、一般的なiPhoneユーザーの多くが「許可」を選択するとは考えにくい。しかし、モバイルアトリビューション分析会社のAppsFlyer(アップスフライヤー)によると、初期の調査結果によれば、「許可」選択率は39%にも達する可能性があるという。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleiOSiOS 14IDFAApp Tracking Transparency広告Facebook個人情報プライバシー

画像クレジット:Getty Images

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

iOS 14.5でマスク着用時でのApple WatchによるiPhoneのロック解除、アプリ追跡の透明化、キス絵文字が追加

先週開催されたビッグイベントで、Apple(アップル)はiOSの最新アップデートが間もなく登場することを予告した。そして米国時間4月26日、すべてのユーザーに向けてiOS 14.5が公開された。このアップデートは、モバイルOSの中でも特に大きなアップデートの1つになりそうだ。

ユーザーから最も待ち望まれていたアップデートは、Apple Watchを使ってiPhoneのロックを解除できるようになったことだろう。これはアップルのウェアラブルデバイスにとって便利な機能が追加されたのはもちろんだが、それよりも重要なのは、マスクをしているユーザーがフェイスアンロックの回避策を期待していたことを考えると、このアップデートは1年間待ち望まれたものだと言えるだろう。

関連記事:マスク着用中でもApple WatchでiPhoneのロック解除が可能に

画像クレジット:Apple

マスクを装着すると、iPhoneはデフォルトでApple Watchに接続され(watchOS 7.4がインストールされた後に)、触覚的なブザーとともにApple Watchに通知が送られる。

セキュリティ面でも、アプリのトラッキングの透明性が追加され大きな話題となった。TechCrunchのAnthony記者は2021年4月初めの投稿で、この機能について解説している。

Apple(アップル)が新しいルールを施行することになるため、iPhoneユーザーはおそらくより多くのリクエストを目にするようになるだろう。これらのリクエストはアプリを利用しているさまざまな時点で表示されるが、すべてのリクエストではアプリが「他社のアプリやウェブサイトでのあなたの行動を追跡できるかどうか」を尋ねる標準的なメッセージが表示され、その後に開発者からのカスタマイズされた説明が表示される。

そのため多くのポップアップ通知が表示されるようになるだろうが、それには正当な理由がある。

画像クレジット:Apple

その他の追加点は以下のとおりとなる。

  • たくさんの新しい絵文字が登場する。キスをするカップル、燃えるようなハート、性別の追加など。
  • 追加の声(現在はデフォルトの声の設定はない)と、緊急電話番号のダイヤル機能などを含むSiriのアップデート
  • AirTagへの対応
  • Apple Podcastアプリのデザイン変更
  • AirPlay 2を有効にしたデバイスにFitness+をストリーミングできるようになった
  • リマインダーに日付、優先度、タイトルを指定できる
  • 音声コントロールのアクセシビリティに関するアップデート
  • 「この先で事故が起きています」「道路に何かがあります」などのSiriコマンドを使って、ユーザーは交通事故をマップに直接報告できる。また、スピードチェックも搭載された
  • News+ タブが再編成され、関連する記事や出版物を見つけやすくなった

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleiOSiOS 14アップデートAirTagポッドキャストFitness+絵文字Apple Watch

画像クレジット:Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:塚本直樹 / Twitter

アップルの「Find My(探す)」がサードパーティーの電動自転車とイヤフォンをサポート

TechCrunchは米国時間4月6日、Apple(アップル)が新しいアプリ「Find My Certification Asst.」の提供を開始したと報じた。サードパーティーのハードウェアのサポートをテストするためのアプリだ。もちろんFind MyはiPhoneやAirPods、MacなどAppleのハードウェアで長年使われてきた。しかし前回のWWDCで同社は、この機能をサードパーティーメーカーにも開放する計画を発表していた。

関連記事:アップルが「Find My(探す)」対応アクセサリのテスト用アプリを公開、互換性のある他社製アクセサリーも対応

そして米国時間4月7日、AppleはFind My Network Accessoryプログラムを正式に発表し、新しいMade for iPhone (MFi)関連サービスを利用できるひと握りのハードウェアを明らかにした。ユーザーはAppleのFind Myアプリ経由で起き忘れたデバイスの場所を特定できる。

画像クレジット:Apple

リストのトップにはVanMoof(ヴァンムーフ)の電動自転車2種がある。S3とX3はトラッキング機能を擁するようになり、クロスバーの底面には「Locate with Apple Find My」のロゴがくる。一方、Belkin(ベルキン)のSoundform Freedomイヤフォンもこの機能でAppleのiPodsの仲間となるが、Chipolo ONE Spotは長らく噂されているAirTagsの機先を制するようだ。

関連記事:アップルが未発表の忘れ物防止タグ「AirTags」の存在をうっかり証明してしまう

Appleによると、新しいプロダクトは来週から展開される。解説文書には、Appleが考える多くのさまざまなプライバシー懸念とともに、企業が順守しないければならない仕様がある。興味深いことに、前提条件の1つはこの機能を使うためにデバイスは音を出せる必要があることだ。ヘッドフォンのようなものにとってはどうということはないが、電動自転車のようなものはこの目的のために音を出す必要があることを意味する。

チップメーカー向けのドラフト仕様書は春にリリースされる予定で、企業はU1チップを搭載するAppleデバイスのウルトラ・ワイドバンド(超広帯域無線通信)を利用できる。数ある潜在的メリットの中でも、方向追跡は特に向上するはずだ。承認されたプロダクトは前述の「Works with Apple Find My」バッジを表示することができる。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleiOSiOS 14トラッカーVanMoofBelkin

画像クレジット:VanMoof

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップルが導入間近のデータトラッキング規制「App Tracking Transparency」の詳細をさらに公開

Apple(アップル)は米国時間4月7日、近く導入される「App Tracking Transparency(ATT)」機能についてさらに詳しい情報を発表した。この機能によりユーザーは、自分のデータが広告ターゲティングの目的で共有されるかどうかを、アプリごとにコントロールできるようになる。

現行バージョンのiOSを使用しているユーザーであれば、ある意味、App Tracking Transparencyがどのように機能するか確認できる。というのも、iOSにはすでに「プライバシー」設定の中に「トラッキング」メニューが含まれており、一部のアプリはすでにユーザーにトラッキングの許可を求め始めているからだ。

しかし、iOS 14.5(現在は開発者向けベータ版)が初春に一般公開されると、Appleは新しいルールを実際に適用し始めるため、iPhoneユーザーはより多くのリクエストを目にするようになるだろう。これらのリクエストはアプリ使用中にさまざまな場面で表示されるが、いずれも、アプリが「他社のAppやウェブサイトを横断してあなたのアクティビティを追跡することを許可」するか問う標準的なメッセージが表示され、その後、開発者からカスタマイズされた説明が表示される。

アプリがこの許可を求めると「トラッキング」メニューにも表示されるようになり、ユーザーはいつでもアプリのトラッキングをオン / オフに切り替えることができる。また、スイッチの切り替えでこれらのリクエストを一度にすべてオプトアウトしたり、すべてのアプリでトラッキングを有効にすることもできる。

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Appleの開発者向けウェブサイトにはすでに記載されているものの、メディアの報道(TechCrunchも含め)では完全には明らかにされていないことで、強調に値するポイントが1つある。このルールは、IDFA識別子に限定されるものではないという点だ。確かにAppleが直接管理しているのはIDFAだが、同社の広報担当者によると、ユーザーがトラッキングを拒否した場合、Appleは開発者に対して、広告ターゲティング目的でユーザーを追跡するための他の識別子(ハッシュ化されたメールアドレスなど)の使用を中止し、そうした情報をデータブローカーと共有しないようにすることも求めるという。

ただし、開発者が複数のアプリをまたいでユーザーを追跡することは、それらのアプリがすべて1つの会社によって運営されている場合には妨げられない。

Appleの広報担当者は、同社自身のアプリはこのルールを遵守するとも述べている。しかし、Appleは広告ターゲティングを目的にサードパーティーのアプリ間でユーザーを追跡することはないため、AppleからのATTリクエストはないという(以前の記事で触れたように、Appleが自社のファーストパーティーデータを使って広告をターゲティングできるかどうか設定する、独立した「パーソナライズされた広告」オプションはある)。

Facebook(フェイスブック)はこの変更によって、効果的な広告キャンペーンを行うためにターゲティングを利用している中小企業が打撃を受け、Appleの収益にもつながると主張し、特に声高に批判してきた

Appleはそれに対し、プライバシーに焦点を当てた講演や「A Day in the Life of Your Data」と題されたレポートの中で、ユーザーが実際にどのように追跡されターゲティングされているのかを説明し、批判に反論していた。さらに加えて同社は最近、広告オークション、広告アトリビューション、Apple独自の広告製品に関する情報を追加して同レポートを更新した。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Apple広告IDFAiOSiOS 14プライバシートラッキング

画像クレジット:Emmanuel Dunand / AFP / Getty Images

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(文:Anthony Ha、翻訳:Aya Nakazato)

アップルが「Find My(探す)」対応アクセサリのテスト用アプリを公開、互換性のある他社製アクセサリーも対応

Apple(アップル)が「Find My Certification Asst.」と名づけられた新しいアプリの提供を開始した。これは、MFi(Made for iPhone)のライセンスを受けたサードパーティーのアクセサリー開発者が、Appleの「Find My(探す)」ネットワークと自社アクセサリの相互運用性をテストするためのものだ。Find Myネットワークは現在「探す」アプリでiPhone、AirPods、Macなど、紛失したApple製デバイスを捜索するために使われているが、互換性のあるその他のサードパーティー製アクセサリーも、間もなく探すことができるようになる見込みだ。

今回のテストアプリの公開は、Appleが近い将来、サードパーティ製デバイス向けプログラムの開始を発表する準備が整ったことを示唆している。

このアプリの説明によると、MFiライセンス取得者は、Find My Certification Asst.を使用して、AppleのFind Myネットワーク技術を組み込んだアクセサリの「検出、接続、その他の主要な必要条件」をテストできるという。また、AppleのMFiポータル(mfi.apple.com)に掲載されているFind Myネットワーク認証プログラムに関する情報も紹介されている。このポータルでは現在、Find MyネットワークがMFiプログラムのテクノロジーとして「launching soon(間もなく提供開始)」と書かれている。

この新しいアプリのスクリーンショット見ると、デバイスメーカーは、接続性、サウンド(例えば、アイテムが置き忘れられたときに音を出すなど)、ファームウェア、キーマネジメント、NFC、電源などの分野に関してさまざまなテストを行うことができるようだ。

画像クレジット:App Storeのスクリーンショット

Sensor Tower(センサータワー)のデータによると、このアプリは米国時間4月4日に、iOSのApp Store(アップストア)で一般公開されている。新しいアプリなので、まだApp Storeのどのカテゴリー(「開発ツール」も含め)にもランクインしていない。また、現時点では評価やレビューもない。

このアプリのリリースは、AppleのFind Myネットワークをサードパーティーに開放するという大きな目標に向けた第一歩だ。Apple自身もまた、新しいアクセサリー「AirTags」の発売を計画している。

Appleは2020年のWorldwide Developer Conference(世界開発者会議)で、Find Myをサードパーティのデバイスに開放することを初めて発表したが、これは米国や欧州の規制当局から圧力を受けていたためでもある。各国の規制当局は、AppleがTile(タイル)の探し物検索デバイスの競合製品となるAirTagsの発売を控え、自らを優位に立たせようとしているのではないかということを(他の数多くの件と並んで)調査していた。

画像クレジット:FMCAアプリのスクリーンショット

Appleを批判していたTileは、AirTagsがUWB(超広帯域無線通信)を使ったAppleのU1チップと接続すれば、より正確な捜索が可能になると訴えていた。また、米国議会の公聴会では、AirTagsがAppleのデバイスにデフォルトで搭載されている独自の「探す」アプリと連動することを指摘した。これによってAppleは、Tileが何年もかけて確立し支配してきた探し物発見機器市場において、ファーストパーティとしての優位性を得ることができると、Tileは主張していた。

これを受けてAppleは2020年「NearbyInteraction(ニアバイインタラクション)」フレームワークを通じて、サードパーティーの開発者にU1チップへのアクセスを開放。その結果、Tileは2021年1月、UWBを利用した新しいトラッカーを発売する計画を発表した。

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さらにAppleは最近、「探す」アプリをアップデートし「Items(持ち物を探す)」という新しいタブを追加した。これは同アプリが、AirTagsやTileなどのサードパーティー製アクセサリーのサポートを拡大することに備えたものだ。この「持ち物」タブは、最新のApple iOS 14.5ベータ版で有効になっており「『探す』に対応しているアクセサリー」を含む「毎日使う持ち物の所在場所を確認できます」と説明されている。

しかし、AppleのFindMyプログラムに参加するには、サードパーティーのデバイスメーカーが既存のアプリを放棄し、代わりにAppleの「探す」アプリの使用を顧客に要求しなければならないことを意味するため、事実上、顧客とそのデータをAppleに引き渡すことになり、Appleの譲歩は依然として、自分たちのビジネスに不利益をもたらすと、Tile(およびその他の企業)は感じている。

また、このアプリの起動時に、ヘッドフォン、バックパック、スーツケースの3つのアイテムを示すアイコンが表示されることにも注目しておく価値があるだろう。偶然かもしれないが、Tileが最初に統合したのは、Bose(ボーズ)のヘッドフォンとAway(アウェイ)やHerschel(ハーシェル)といった鞄・バッグメーカーだった。

Appleには新アプリのリリースに関するコメントを求めているが、回答はまだ得られていない。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleiOSiOS 14Tileトラッカー

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フランスの競争委員会がアップルのプライバシー保護施策に対する阻止要求を却下

Apple(アップル)は、サードパーティのアプリケーションがユーザーを追跡する前にユーザーの同意を得ることを義務づけるiOSのプライバシー保護施策の導入を予定しているが、これを競争法に違反すると申し立て、阻止しようとしていたフランスの広告業界による企てを回避した。

フランスの競争委員会(FCA)は現地時間3月17日、アップルの動きを阻止するために先手を打って介入するよう求めるIAB France、MMAF、SRI、UDECAMの申し立てを拒否したと発表した。App Tracking Transparency(ATT)機能の導入が、同社による支配的地位の乱用であるとは現時点では考えていないと述べた。

しかし同委員会は「本案に基づいて」アップルの調査を継続すると述べ、同社が自社のアプリにサードパーティーの開発者よりも制限の少ないルールを適用してるのではないかという疑いについて確認するとしている。

Reuters(ロイター)によると、フランス競争委員会は同国のプライバシー監視機関であるCNILと緊密に連携し、ATTの停止要求を却下したとのこと。

CNILにコメントを求めているところだ。

アップルの広報担当者は以下のように語った。

「iOS 14で導入するApp Tracking Transparencyが、フランスのiOSユーザーの利益になると認めてくれたフランス競争委員会に感謝しています。ATTは、アプリ開発者が広告目的で他社とデータを共有したり、データブローカーとデータを共有したりする前に、ユーザーの許可を得るように義務づけることで、ユーザーに強力なプライバシー保護上の利点をもたらします。私たちは、ユーザーのデータはユーザーのものであり、そのデータがいつ、誰と共有されるかはユーザーが管理すべきであると確信しています。当社は、ユーザーのプライバシーと競争に関するこの重要な問題について、FCAとのさらなる協力を期待しています」。

アップルは2021年1月、同年の春よりiOSにATTを適用すると発表した。

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その後、フランスのスタートアップのロビー団体であるFrance Digitale(フランス・デジタル)が、同国のプライバシー監視機関に苦情を申し立て、アップルがプライバシーに関する「偽善的」行動を取っていると非難した。

関連記事:アップルのプライバシー対策にフランスのスタートアップのロビー団体が苦情

この苦情も同様に競争上の問題を提起している。アップルは、サードパーティのアプリケーションがiOSユーザーを追跡する前に同意を得ることを義務づけるのに対し、自身のアプリケーションについてはiOSのデフォルト設定で追跡を許可するようになっているというのだ。しかしアップルは、この申し立てを「まったくの誤り」とし、ATTは「アップルを含むすべての開発者に等しく適用される」と述べた。

デフォルトで「許可しない」ようになっているiOSのATT設定は、Facebook(フェイスブック)のようなアドテクノロジー企業には非常に不評で、それらの企業は開発者のアプリの収益化に悪影響を与えると主張している。また、フェイスブックは、アップルの動きが自社の収益を著しく低下させるであろうことも認めている。

関連記事:Facebookは2021年のターゲティング広告と収入に大きな障害を予測する

一方、アップルはこれを、アドテック業界のヒステリーと間違った主張であると非難し、インターネットユーザーに忍び寄って個人情報を搾取し、利益のために人々を操ろうとする「データ産業複合体」を糾弾し続けている。

アップルが自社アプリでiOSユーザーにパーソナライズされた広告を提供できることは事実だが「パーソナライズされた広告のための限定的なファーストパーティデータの使用」と称して、ユーザーにそのオプトアウトを許可しているため、アドテック業界のデータ産業複合体よりも「高い基準」を保っていると同社は主張し、その機能が「当社を一線を画したものにしている」と強調している。

Google(グーグル)に関しても最近同じような動きがあった。2020年末に英国では、Googleが同社のChrome(クローム)ブラウザで、ユーザーがサードパーティーから追跡される方法を変更するのを阻止しようと、競争法違反の申し立てが行われた。

Googleのいわゆる「Privacy Sandbox(プライバシー・サンドボックス)」計画は、広告主からも非常に嫌われている。広告主は、Googleがユーザーを追跡する機能を廃止しながら、自らは追跡を続けることで、支配的な立場を乱用していると非難している。

関連記事:Googleはウェブのプライバシーとフィンガープリントの新たな対策を提案

同時に、アドテクノロジー業界では、ウェブユーザーの行動を追跡する代替手段を考案するためのさまざまな取り組みが行われている。これは、市場で圧倒的なシェアを占めているChromeで、近い将来サードパーティcookieのサポートが廃止されるという見通しによって加速している。

英国の競争・市場庁は1月、プライバシーサンドボックスに関する多くの苦情を受けて、Googleによる競争法違反の疑いについて調査していると発表した。

この調査は現在も続いている。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Appleフランス広告iOSiOS 14プライバシー

画像クレジット:Apple (livestream)

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

AppleがiOS 14.4を公開、ハッカーが悪用した3カ所の脆弱性を修正

Apple(アップル)はセキュリティ上の脆弱性3カ所を修正したiOS 14のアップデートであるiOS 14.4を公開した。修正されたバグはすでにハッカーによって攻撃に利用されていたという。

Appleは、iOSとiPadOS 14.4のセキュリティアップデートのページで「3つのバグが悪用された可能性がある」と述べている。 脆弱性の詳細は明らかにされていない。Appleの広報担当は公式発表の内容を超えるコメントを避けた。

誰が脆弱性を積極的に悪用していたのか、攻撃の犠牲になったのは誰かといった詳細は不明だ。 Appleは攻撃が特定のユーザーを標的にしたのか、広汎な無差別攻撃だったのかについても明らかにしていない。Appleは「バグ報告者の身元は明らかにしない」と述べた。

バグのうち2つは、SafariブラウザのエンジンであるWebKitとOSのカーネルでそれぞれ発見された。単一の脆弱性ではなく、一連の脆弱性を連鎖的に利用するものもある。攻撃者がOSにアクセスする突破口としてまずデバイスのブラウザの脆弱性を突くことは珍しくない。

Appleは詳細を間もなく発表すると述べたが、具体的な時期は述べなかった。

Appleは自社のデバイスがセキュリティに強いというイメージを維持したいためか、ユーザーがハッカーによる攻撃の被害を受けた可能性があることを認めたことはほぼなかった。

2019年にGoogle(グーグル)のセキュリティチームは、ユーザーに気づかれずにiPhoneをハッキングできるコードを含む悪意あるウェブサイト多数を発見している。 このときTechCrunchは、「これはウイグルのイスラムに対する中国政府によるスパイ行為の一部だった可能性が高い」と結論を出した。これも珍しいことだったが、AppleはGoogleの調査結果に異議を唱える公式声明を出している。しかし「攻撃の深刻さを過小評価するもの」としてさらなる批判に直面することとなった。

2020年12月、市民によるインターネット監視グループであるCitizen Labは、詳細不明の脆弱性によって数十人のジャーナリストがiPhoneをハッキングされていたことを発見した。この攻撃はイスラエルを拠点とするNSOグループが開発したスパイウェアをインストールするために行われたという。

述べたとおり詳細はまだ不明だが、iPhone、iPadのユーザーは早急にiOS 14.4にアップデートすべきだろう。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:AppleiOSアップデート

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

iPhoneはボタンやUI要素を自動認識して視覚障がい者向けにラベル付けしている

Apple(アップル)は障がいをもつユーザーのための機能開発に関して常に努力している。iOSのVoiceOver(ボイスオーバー)は目の不自由な人にとってかけがえのないツールだ。ただし、インターフェースの要素すべてに手動でラベルが付けられている必要がある。しかしアップルは、機械学習を使ってあらゆるボタンやスライダーやタブを識別してラベル付けする新機能を公開した。

Screen Recognition(画面認識)はiOS 14に導入されたコンピュータービジョンシステムで、現在利用されている何千種類ものアプリの画像から、どんなボタンがあるかアイコンは何を意味するかを学習している。システムは柔軟性が高く、与えるデータによって、ネコや表情、そして今回のケースではユーザーインターフェースのさまざまな部分を認識するエキスパートになることができる。

その結果、どんなアプリでも、ユーザーが立ち上げてから1秒と経たないうちに画面上のあらゆるアイテムにラベルが付けられる。そして、「どんなアプリでも」は文字通り「どんなアプリでも」という意味だ。つまるところスクリーンリーダーは、写真(iOSはしばらく前から1文の要約を作ることができている)やよくあるアイコン(「ホーム」「戻る」など)からありとあらゆる場面に登場する「…」メニューのようなコンテキスト特有のものまで、目が見えるユーザーが見て、触れることのできるものすべてを認識しなければないない。

これは、手動のラベル付けが不要になるといっているのではない。デベロッパーは自分のアプリにどうラベル付をするのが良いかを最もよく知っている。しかし、アップデートや標準の変更、困難な状況(ゲーム内のインターフェースなど)によって、本来よりもアクセシブルではなくなることもある。

私はアップルのiOSアクセシビリティ技術チームのChris Fleizach(クリス・フライザック)氏とAI / ML(人工知能 / 機械学習)チームのJeff Bigham(ジェフ・ビガム)氏の2人から、この驚くほど有益な新機能の起源について話を聞いた(この内容は来年発表される論文に記載される)。

alt= スマートフォン画面にふたりの女性が微笑んでいるところとボイスオーバーがそれを説明している写真が表示されている。

画像クレジット:Apple

「私たちは自分たちがアクセシビリティに貢献できる分野を探しました、画像の説明はその1つです」とフライザック氏はいう。「iOS 13ではアイコンに自動でラベル付けをしました。Screen Recognitionはそれをさらに一歩前進させました。画面のピクセルを見て触れることのできるオブジェクトの階層を認識することを、デバイス上で1秒の何分の一かの間に行います」。

この考えは、厳密にいえば新しくない。ビガム氏が名前を挙げたOutspoken(アウトスポークン)というスクリーンリーダーは、ピクセルレベルのデータを使ってUI要素を識別する方法を数年前に試みている。しかし、そのシステムが正確な一致を必要としていたのに対して、機械学習のファジー理論とiPhoneの内蔵AIアクセラレーターを利用するScreen Recognitionは、はるかに柔軟で強力だ。

ほんの数年前には不可能だった。機械学習の当時の状況に加え、それを実行する専用ユニットがなかったことを踏まえると、システムに多大な負荷を与え、はるかに時間がかかり、バッテリーをたちまち消費させていただろう。

しかし一度、この種のシステムが可能になったとみるや、チームはプロトタイピングをスタートし、アクセシビリティの専門スタッフとテスティング・コミュニティの力を借りた。

「VoiceOverは長年、視覚アクセシビリティの先陣を切ってきました。Screen Recognitionの開発過程を見てもらえば、さまざまなチームのコラボレーションに基づいていることがわかるでしょう。アクセシビリティチームは何から何まで、そしてデータ収集と注釈付けのパートナーたち、AI / MLチーム、もちろんデザインチームも。私たちは自分たちの機械学習開発が完璧なユーザー体験に間違いなく進むためにこれをやってきました」とビガム氏はいった。

それは人気のアプリやゲームのスクリーンショットを何千枚も撮り、それぞれをいくつかの標準UIエレメントの1つとして手動でラベル付けすることによって行われた。このラベル付けされたデータを与えられた機械学習システムは、すぐに同じエレメントを自力で選り分けることに熟達した。

これはいうほど簡単ではない。我々人間は、グラフィクスやテキストの断片が何を意図しているかを理解するのがかなり得意であり、抽象的や創造的なデザインのインターフェースであってもほとんど操作に困らない。それは機械学習モデルにとっておよそ明確ではなく、スクリーンリーダーの解釈が意味を成すために、開発チームは複雑なルールや階層の組み合わせを作らなければならなかった。

この新機能が、無数のアプリを目の不自由な人たちにとってもっとアクセシブルに、あるいは初めてアクセシブルにする一助となることは間違いない。iOSの設定アプリで「アクセシビリティ > VoiceOver > VoiceOver認識」を開くと、画像説明、画面認識、テキスト認識をそれぞれオン / オフできる。

画面認識をMacなどほかのプラットフォームに移植することは容易ではないので、すぐには期待しないように。原理はしっかりしているが、モデルそのものはデスクトップに適用できない。デスクトップアプリはモバイルアプリと大きく異なっているからだ。おそらくほかの誰かがその仕事を引き受けるだろう。AIを利用したアクセシビリティ機能の可能性はまだ認識され始めたばかりだ。

関連記事:障がい者が開発段階から参加して使いやすい製品デザインを目指すFableプラットフォームとは?

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:AppleiOSiOS 14アクセシビリティiPhone

画像クレジット:NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GoogleがGmail、ドライブ、FitのiOSウィジェットを公開、近日中にカレンダーとChromeも

Google(グーグル)は同サービスの看板iOSアプリ群をアップデート(Googleブログ)し、iOS 14の新機能であるホーム画面ウィジェットに対応した。米国時間11月19日に同社は、Gmail、Googleドライブ、Google Fit(フィット)のウィジェットを新たに公開し、GoogleカレンダーとChromeも近く対応することを発表した。ホーム画面に有用な情報を掲載したり、よく使う機能をすばやくアクセスするためだ。すでにGoogle検索アプリのウィジェットは9月(Googleブログ)から提供されている。

新しいウィジェット群はグーグル製品を日常的に使っている人にとってはホーム画面を便利にすると思われる。ただし、Gmailのウィジェットは少々もの足りない。

Googleドライブのウィジェットでは最近使ったドキュメントをタップ1つで簡単にアクセスできるのに対して、Gmailウィジェットはメールをプレビューすることができない。メールの検索や新規メッセージの作成はできるし、未読数を表示するボタンもある。もちろんアプリのアイコンに表示されるバッジ(小さな数字)を見れば、そもそもウィジェットを使わなくても自分を待っているメールの数はわかる。

画像クレジット:Google

比べてiOSウィジェットに関しては他のメールアプリの方がGmailを上回っている。Basecamp(ベースキャンプ)のメールアプリ、Hey(ヘイ)はさまざまなウィジェットを提供していてメッセージのプレビューもできる。

Gmailがメッセージプレビューを提供できないとしても、ユーザーがカスタマイズしてもっと便利にする方法があればおもしろいと思う。

例えば特定の相手、自分の上司からあるいは職場のドメインからの未読メールが何通あるかを通知するのはどうだろう。あるいは、特定のラベルに関連するメールの数とか。受信箱の設定で「重要」とされた優先トレイのメール数を通知することも考えられる。

画像クレジット:Google

一方、GoogleドライブのiOSウィジェットにはファイルと検索ボックスのクイックアクセスがある。Google Fitウィジェットでは、Heart Points(ハートポイント、強めの運動)やSteps(歩数)などのアクティビティをホーム画面から簡単に確認できる。

画像クレジット:Google

期待のGoogleカレンダーウィジェットはまだ提供されていないが、本日、グーグルはデザインのサンプルを公開した。ウィジェットはミニカレンダーとでもいえるもので、その日の予定がカラーコードされて見やすく並んでいる。タップしてカレンダーアプリを開くこともできる。

画像クレジット:Google

Chromeウィジェットも近日公開予定で、検索バー、シークレットモード、音声検索、QRコードリーダーなどがあり、現在提供されているメインのGoogle検索ウィジェットとほぼ同じだ。

GoogleカレンダーとChrome以外のウィジェットはすでに公開されている。Calendarは「今後数週間」のうちに、Chromeは「年明け」にやってくるとGoogleは述べている。

画像クレジット:Google

カテゴリー:ネットサービス
タグ:GoogleGoogle DriveGoogle CalenderGoogle FitGoogle ChromeウィジェットiOSiOS 14

画像クレジット:Google

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

iOS 14がホーム画面カスタマイズに対応、「ショートカット」アプリの機能を修正

Apple(アップル)はiOS 14の次期リリースで、アプリのショートカット機能を変更する予定だ。iOS 14.3ベータ2では、iPhoneのホーム画面でアプリ「ショートカット」をタップしても表示されなくなる。つまり、iOS 14で、お気に入りのアプリのカスタムアイコンを作成したユーザーは、アプリが起動する前にショートカットアプリが先に開くステップで煩わされなくなる。

この変更は、MacStoriesのファウンダーであるFederico Viticci(フェデリコ・ヴィッチ)氏が発見した(Twitter投稿)。

Apple Terminalのツイートでは、このアップデートにより、アプリが開くと小さなポップアップが表示されるが、ショートカットアプリの完全な起動が省略されている実際の様子が紹介されている。

この変更はわずかなものではあるが、iOS 14のリリース時にホーム画面をカスタマイズした人には歓迎されるだろう。

2020年9月にリリースされたiOS 14は、インターフェイスに関してここ数年で最大級のアップデートだった。ユーザーはようやく、あまり使われていないアプリをAppライブラリに追いやったり、カスタマイズ可能なウィジェットをホーム画面に追加したりして、ホーム画面を好きなようにカスタマイズできるようになった。ウィジェットは本来、次の予定やToDo、今日の天気といった重要な情報をホーム画面に直接表示できるようになっていたが、すぐにもっと多くの情報を表示するために使われるようになった。

WidgetsmithやColor Widgetsといったウィジェット作成アプリにより、フォント、サイズ、色などを選択することで、自分のウィジェットをデザインできるようになった。ユーザーはユーザーはこれらのツールを使って、特定の写真を選んでホーム画面にピン留めすることもできる。

さらなるカスタマイズとしてアップルのアプリ「ショートカット」を使って自分の好きなアプリアイコンを作成するという、これまでも可能だったがあまり利用されていなかったトリックを使う。このやや面倒なやり方は、TikTokユーザーによって詳細に説明された(未訳記事)が、これがホーム画面のカスタマイズブームに火をつけた。簡単に説明すると、このトリックは、アプリ「ショートカット」の機能を使って任意にアプリに自分で用意したアイコンを割り当てるというものだ。

これにより壁紙、カスタムウィジェット、ひと握りのアイコンだけで構成される自分好みのホーム画面にマッチしたアイコンを作成できるようになった。

しかし、カスタムアイコンに対するユーザーの不満の1つが、アプリを起動するためにタップすると、その前にアプリ「ショートカット」が一度起動してしまうことだった。それは、やはりうざったい。

アップルは「ショートカット」の問題に取り組んでいるようだ。iOS 14.3のベータ版では、アプリは直接開く。

アップルがユーザーにウィジェットのラベルを隠すことを許してくれさえすれば、我々は喜んでその設定をするだろうが、残念ながら、その変更は進んでいないようだ(Twitter投稿)。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleiOSiOS 14ウィジェット

画像クレジット:Contrast/Launch Center Pro

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(翻訳:TechCrunch Japan)

アップルがiOS 14.2をリリース、100以上の絵文字とLiDARで近くの人を検知する新機能を搭載

Apple(アップル)は米国時間11月15日、iOS 14.2をリリースした。アップデートには複数の新機能だけでなく、いくつかの重要なバグ修正とセキュリティの更新が含まれているが、特に今回のリリースでは100以上の新しい絵文字の追加がアピールされている。

絵文字にはトランスジェンダーの旗、涙を浮かべた笑顔、つままれた指、2人が抱き合う姿、いくつかの昆虫や動物、変装した顔などが含まれている。新バリエーションとしては、サンタクロースやミセスクロースの代わりに、性別を問わないMxクロースが追加された。タキシードは男性に限定されなくなり、ベールは女性に限定されなくなっている。タキシードを着た女性とベールをかぶった男性の絵文字を一緒に送ることができる

今回のリリースでは、iPhone 12 ProとPro Maxを使う目が不自由なユーザーのためのアクセシビリティ機能も追加されている。内蔵するLiDARセンサーにより、iPhoneのカメラの視界にいる人の存在と距離を検出することができるようになっている。

目の前に6フィート以上離れた人がいる場合や人が近づいてきた場合にそれぞれ別のアラートを出す機能は新型コロナウイルスのパンデミックが収束しても有用だろう。ステレオオーディオのアラートだけでなく、人が近づくにつれて速くなる触覚パルスを設定することも可能だ。

またiOS 14.2では、新しい壁紙や、音量が大きすぎる場合のヘッドフォンのオーディオレベル通知、AirPlayのコントロールのデザイン変更といったマイナーな機能も追加されている。

アップルはHomePod Miniを発表した際、同社は家にいる別のアップルユーザーと会話ができる新しいインターカム機能について触れたが、今回のソフトウェアアップデートではiPhone、iPad、Apple Watch、AirPods、CarPlayのインターカムサポートが追加されている。

AirPodsは最適化されたバッテリー充電ができるようになった。これは、iPhoneの最適化されたバッテリー充電と同じように動作するものだ。寝る前にAirPodsの電源を入れても、フルスピードで充電されることはない。その代わりに、iPhoneに目覚める直前にAirPodsを100%に充電するように指示できるため、バッテリー寿命が改善するはずだ。

またアップルは、iPadOS 14.2とwatchOS 7.1もリリースしている。韓国とロシアのApple Watchユーザーは、最新のApple Watchで心電図機能を試せるようになっている。

アップデートの際は、必ずデバイスのバックアップをとっておこう。iPhoneまたはiPadで設定アプリを開き、上部のアカウント情報をタップし、iCloudのバックアップが最新のものであることを確認しよう。または、iOSデバイスをコンピュータに接続して、iTunesまたはFinderで手動バックアップを行うこともできる。設定アプリを開き、「一般」から「ソフトウェアアップデート」を選択することでアップデートを始めることができる。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleiOSiOS 14

画像クレジット:Apple

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(翻訳:TechCrunch Japan)

iPhoneが目が見えない人に他人の接近とその距離を知らせる機能を搭載する

Apple(アップル)がiOSの最新のベータに、興味深いアクセシビリティ機能を組み込んだ。それは、iPhoneのカメラの視野内に人がいると、その距離を検出するシステムだ。この機能により、現在、何より重要な目が不自由なユーザーが効果のあるソーシャルディスタンスを保つことができるようになる。

この機能はアップルよ拡張現実(AR)システムARKitにあるもので、画像処理の技術用語で「people occlusion」と呼ばれ、人間の形状を検出してバーチャルアイテムがその前や後ろを通るというものだ。この技術に、iPhone 12 ProとPro MaxのLiDAR装置を組み合わせると、目の不自由な人にとって便利なツールができる、とアクセシビリティのチームは気がついた。

一般的に、人が店や横断歩道を歩くときは他の人がどれだけ近く、あるいは遠くにいるかを、目が絶えず判断し注意している。しかしパンデミックの間にまず思いつくのは、他の人と約2mの距離を保つことだ。

この新しい機能は、拡大鏡(Magnifier)アプリ内のもので、iPhone 12 ProおよびPro MaxのLiDAR機能と広角カメラを使って、さまざまな方法でユーザーにフィードバックを行う。

赤外線ビデオに映るiPhone 12 ProのLiDAR。1つひとつの点が、それが反射するモノの正確な距離を教える

第1のフィードバックは、ユーザーに視界に人がいるかいないかを教える。誰かいたら最も近い人までの距離をフィートかメートルでアナウンスし、近づいたり遠ざかったりすると距離を頻繁に更新する。その人がいる方向からの音もステレオで拾う。

第2のフィードバックは、距離を知らせる音をユーザーにセットさせる。例えば6フィート(約183cm)にセットしたら、その人が6フィートよりも離れていたらある音が鳴り、6フィート以内であれば別の音が鳴るようセットさせる。ユーザーが知りたいのは、正確な距離が頻繁にわかることではなく、現在、人と十分な距離が保たれているかどうかということであるためだ。

そして第3のフィードバックは、ユーザーの皮膚に届く振動(周波数)で、人が近づいていることを教えるというものだ。これは目と耳の両方が不自由な人に便利だろう。この機能は検出した人を画面上の矢印で指して教える。視覚が不自由な人にもその程度はさまざまで、どうしても人の助けを必要とする場合も少なくない。これは介護者の役に立つものかもしれない。

このシステムには広角カメラの高画質な画像が必要であるため、暗闇では使用できない。また、ハイエンドのiPhoneに限定されていることも、利用を妨げるかもしれない。

視覚補助ツールは、以前から存在している。多くのスマートフォンや専用デバイスに人やモノを見つける機能が搭載されているが、いずれも標準として活用されているものではない。

この人検出機能は、米国時間10月30日に公開されたiOS 14.2のベータ版が動作するiPhone 12 ProとPro Maxで利用できる。もうすぐ詳細が、AppleのiPhoneアクセシビリティサイトに掲載されるだろう。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleiOS 14iPhoneLiDAR

画像クレジット: Apple

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

お気に入りのボードから写真をiOS 14 のホーム画面へと表示可能にするPinterestの新ウィジェット

iPhoneのオーナーたちが新しいウィジェットとカスタムアイコンでiOS 14のホーム画面をカスタマイズし始めたために、iOS版Pinterest(ピンタレスト)のダウンロードと検索が急増した。米国時間10月26日Pinterestは、独自のiOS 14ウィジェットを発表し、ホーム画面のカスタマイズトレンドへの直接参加を果たした。

2020年9月にPinterestは、1日で60万回以上のダウンロード数を記録し、1日当たりのダウンロード記録を破った。新しい記録が達成された日がいつだったのかに関する、第三者の推定は一致していないものの、複数の企業がPinterestのモバイルアプリをダウンロードした新規ユーザー数が膨大だったことを報告している。この需要は#ios14homescreenリデザイントレンドに直接結びついている。このトレンドでは、iOS 14の新しいウィジェットを使って、ホーム画面に新しい「美的デザイン」を与えるために、アプリショートカット用の壁紙やカスタムアイコンをユーザーがどのように使っているかが、ソーシャルメディアを横断して共有されている。

Pinterestによれば、このトレンドの中で「インディーズ、ios、14 ホームスクリーン」のようなアイデアの検索がiOS 14のローンチの翌週には15倍に急増し、「iPhone、エステティック」の検索は19倍に増加した。

また、このトレンドはWidgetsmith(ウィジェットスミス)、Color Widgets(カラー・ウィジェット)、Photo Widget(フォトウィジェット)などのカスタムウィジェットメーカーをApp Store(アップストア)のトップに押し上げた。それらのツールが写真やカラフルなウィジェットをホームスクリーンに追加させてくれるからだ。

それらのツールと同様に、新しく提供が始まったPinterestのウィジェットは、静的な写真ウィジェットの良い代替手段だ。

他の写真ウィジェットの場合はiOS 14のホーム画面の写真のソースとして指定するためにカメラロールに保存された写真またはアルバムを選択する必要があるのに対して、新しいPinterestウィジェットではPinterestボードを写真ソースとして選択することができる。選択できるボードは、ユーザー自身のものか、もしくはユーザーがフォローしているものになる。

例えばお気に入りのモチベーションを上げる文章や、旅行のインスピレーションやスタイルのアイデアのための写真を提供するボードを追加できる。またハロウィン、秋、クリスマス、冬などの季節のボードを作成することで、ホーム画面の「美的デザイン」を、季節ごとに違うものへと簡単に切り替えることができる。

Pinterestによれば、新しいウィジェットは、ユーザーの好みに応じて1時間ごと、あるいは1日ごとに、フィーチャーされる写真をアップデートする。同社によれば、ウィジェットの写真は、スモールまたはラージとして設定することもできるが、ミドルサイズはピンの長さに適していないため、オプションはないという。

ウィジェットはインタラクティブでもある。このPinterestウィジェットをタップすると、アプリ内のそのピンが直接起動される。

ユーザー自身のホーム画面の美的デザインにふさわしい、新しい写真を見つけたなら、ホーム画面に最新の写真が表示されるように、それをボードに追加することができる。

ウィジェットを搭載するようにアップデートされたアプリは、すぐに世界中のiOSユーザーに配信され始めるとPinterestは述べている。

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タグ:PinterestウィジェットiOS 14

画像クレジット:Pinterest

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(翻訳:sako)

SpotifyのiOS 14用ウィジェットはジャケットに合わせて自動的に色が変わる

10月14日、Spotifyは最新のアップデートで待望のiOS 14用ウィジェットを公開した。新しいウィジェットにはスモールとミディアム2つのサイズがあり、最近再生したアーティストやアルバム、ポッドキャストを1タップでアクセスできる。

小さいほうのウィジェットは直前に聞いた曲だけを表示するのに対して、ミディアムサイズのウィジェットは最近の5曲を表示する。4曲が横一列、最新がトップにある。ユーザーは5曲のうち今すぐ聞きたい曲の小さなサムネイルをタップするとSpotifyアプリのページに直接飛べる。

画像クレジット:Spotify widget, screenshot via TechCrunch

もうひとつこのウィジェットで面白いのが、背景の色がサムネールの画像に合わせて自動的に変化することだ。アーティストが赤を着ていると、ウィジェットも赤に変わるといった具合だ。アルバムがブルーならウィジェットもブルーになる。

ただし色の種類は限られているようだ。例えば、サムネール画像のカラースキームがグレイとホワイトの曲、テイラー・スウィフトの「フォークロア」などをストリームしたとき、ウィジェットはデフォルトのSpotify風グリーンシェードになった。

画像クレジット:Spotify widget, screenshot via TechCrunch

ウィジェットのカラフル体験は、ホーム画面で目立たせる効果がありそうだ。ただし、iOS 14ホーム画面を特定のデザインにカスタマイズしている人には問題になるかもしれない。たとえばアプリアイコンをニュートラルシェードやピンク、紫、ブルー、ブラックなどに統一している人などだ。

Etsyトレンドによると、iOS 14パックではニュートラルと秋シェードが現在のベストセラーで、明るいピンクと黒のダークテーマも人気だ。Spotifyのウィジェットはこの種のデザインと衝突する可能性がある。

Spotifyウィジェットへの期待は非常に高く、 ユーザーがiOSホーム画面のカスタマイズを始めると、正式版の公開前にあるサードパーティ音楽ウィジェットメーカーがApp Storeで急上昇した。そのTuneTrackというウィジェットメーカーは、2020年9月19には全体で8位、音楽ジャンルで1位にまで上りつめ、カスタマイズのトレンドに後押しされて数百万ダウンロードを記録した。

新しいSpotifyウィジェットは10月14日からApp StoreでアップデートされたSpotifyアプリの一部として公開される。

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カテゴリー:ネットワービス
タグ:Spotify、iOS 14、ウィジェット

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

iPhoneのホーム画面カスタマイズアプリがiOS 14リリース以降、インストール数激増

iOS 14ホーム画面カスタマイズがトレンドとなり、一連の新しいアプリがApp Storeチャートの上位に押し上げられている。そしてPinterest(ピンタレスト)のようなインスピレーションを得られるサービスのダウンロードも記録的な多さとなっている。アプリストアマーケット調査会社Sensor Tower(センサータワー)の新たなデータによると、ホーム画面カスタマイズの上位20アプリのインストール数は、iOS 14がリリースされた9月16日以降の4日間で全世界で570万回だった。

アップデート:当初の9月17日から20日の推定回数は、その後再度計算された。そしてSensor Towerは9月17日から23日までの最新の数字を盛り込んでレポートをアップデートした。iOS 14リリース後の7日間でトップ20のホーム画面カスタマイズアプリのダウンロードは1370万回に達し、App Storeでの世界の消費者支出は100万ドル(約1億500万円)を超えた。Widgetsmith、Color Widgets、Photo Widgetがトップ3のアプリで、7日間で合計1260万回超インストールされた。

以下、当初の記事となる。

最もダウンロードされたのはWidgetsmith、Color Widgets、Photo Widgetで、この3つで570万回の95%を占めている。これは3社以外のカスタマイズマーケットはかなり小さいことを示している。しかしより多くのアプリがトレンドを取り込んでイノベーティブでユニークな機能を有するようになれば、今後変わり得る。

Sensor Towerのホーム画面カスタマイズマーケットに関する調査は、ホーム画面のウィジェットを作ったり、カレンダーや時計、メモといった既存の主要サービスに絡むものにフォーカスしている。

アプリがホーム画面のカスタマイズツールを提供しているか分別するのにSensor Towerは9月16日以降のApp Storeにランクインした全アプリのアプリメタデータを分析し、機能がホーム画面カスタマイゼーションに関連していると確認されたアプリを手作業でレビューした。

調査は、ユーザーがカスタムアイコンを作成できるアプリや、ウィジェット機能が加えられた既存のアプリよりも、ウィジェットアプリにより力点が置かれていた。メタデータを基にいくつ調査するか決定することができないと考えたからだ。また一部のケースでは、ウィジェット以外の機能を提供しているアプリが、ウィジェットを加えたばかりであるためチャートで上位にきているかどうかを見極めるのは困難だった。

上位20のアプリはランク順に次の通りだ。

Widgetsmith、Color Widgets、Photo Widget、Photobox Widget、MemoWidget、Home Photo Widget、Motivation Widget、Ermine、Date Today、Hey Weather、TimeDeck、Widgeridoo、Glimpse 2、Widget Wizard、Widget Web、Locket、ItemMemo、OMDZ、Clock Widget for Home Screen、Photo Widgets。

画像クレジット:Sensor Tower

9月17日から20日にかけての4日間、20のアプリでの消費者支出は計40万ドル(約4200万円)だった。Sensor Towerの推計によると、この中で最多はWidgetsmithの37万ドル(約3900万円)だった。そしてDate Todayが約2万ドル(約200万円)で続いた。

Sensor Towerの調査のフォーカスは狭いものの、ウィジェットメーカーを超えて多くのアプリがカスタマイズ機能の恩恵を受けていることを示している。

前述したように、デザインのインスピレーションを得るリソースのPinterestはデイリーダウンロード数が過去最多となった。米国App Storeの無料アプリランキングで18位につけているTuneTrackは、公式のSpotify(スポティファイ)ウィジェットがない間に人気を集めているようだ。TuneTrackアプリはお気に入りの音楽をホーム画面に表示する、Apple Music(アップルミュージック)とSpotifyのウィジェットを提供している。

Sensor Towerは9月17日から20日にかけてTuneTrackが55万2000回インストールされたとしている。この数字は前週(9月10〜13日)から1840%の増加だ。Motivationウィジェットのインストールは43万1000回で、798%の増加となった。

一方、デザインツールのProcreate Pocketは米国App Storeの有料アプリランキングで第2位、PicsArtは無料アプリランキングで第31位だ。アイコンの変更を簡単にできるアプリIcon Changer+は無料アプリランキングで第40位で、Shortcutsというアプリがそれに続く。このアプリはApple(アップル)のShortcutsアプリとは別のものだ(同じ名称の使用が許されているというのは驚きだ)。

画像クレジット:Sensor Tower

ホーム画面カスタマイズツールという部門はないため、一部の新しいアプリは生産性カテゴリーに分類され、その一方で他のアプリはユーティリティアプリあるいはまったく異なるものに分類されている。その結果、ホーム画面カスタマイズ機能を提供する全アプリを1カ所で比較するのはかなり難しい。

iOS 14が事実上、完全に新しいアプリのカテゴリーを作ったことを考えると、もしこの傾向が長期的に続くようなら、アップルが将来カスタマイゼーション部門をApp Storeに追加することを検討するというのはあり得る話だ。

しかし差し当たっては、アップルは新たなApp Store編集コンテンツでアプリ発掘方法の問題に対処している。たとえばApp Storeの「Today」ページにある特集は「どうやってウィジェットを設定するか」というテーマで、Widgetsmithに加えてTodoist、Carrot Weather、Timepage、Apollo、Spark Mailなどウィジェットを追加した数多くのアプリを勧めている。

デベロッパーがiOS 14アップデートを展開するにつれ、新しいウィジェットがどんどん追加されつつある。たとえばFantasticalは9月23日に12のホーム画面ウィジェットを立ち上げた。

残念なことに、アップルはデベロッパーコミュニティに立ち上げ前に十分な時間を与えなかった。同社はiOS 14リリースまで24時間を切ってから発表した。しかもデベロッパー向けのXcodeの最終バージョンなしでだ。そのため、ユーザーがホーム画面をカスタマイズし始めた時、使いたいウィジェットが見つからない、ということがあったかもしれない。

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カテゴリー:ソフトウェア

タグ:Apple iOS iOS 14 App Store

画像クレジット:Sensor Tower

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(翻訳:Mizoguchi

iOS 14のホーム画面でアイコンをカスタマイズできるLaunch Center Pro

iPhoneのホーム画面でウィジェットとカスタムアイコンが公式に使えるようになるずっと前から、iOS上で提供されていたユーティリティのLaunch Center Pro(ランチ・センター・プロ) が、そのデザインツールをiOS 14に対応させた。このアプリは、最近の流行であるホーム画面のパーソナライゼーションを利用することを目的としている。アプリは7000種類を超える字体や絵文字を提供し、利用者はそれを使ってカスタムアイコンを作成し、Apple(アップル)のショートカットアプリと一緒に使うことができる。

さらにこのアプリは、それぞれ15色の13種類を超えるアイコンの背景スタイルや、字体のスタイル、バッジなどのカスタマイズされたエクスペリエンスを作成できる、その他のツールを提供する。合計すると、組み込みのツールを使用して13兆とおりものアイコンを作成可能だ。さらに、アイコンを作成する際に自分の写真を使えば、さらに種類を増やせる。

Launch Center Proの開発者であるDavid Barnard(デビッド・バーナード)氏は、これらの実現に可能なための作業の多くは、昨年のiOS 13ですでに行われていたと語る。しかし、iOS 14が登場する今月までは、iPhoneのホーム画面のカスタマイズが本格的に始まることはなかった。OSが更新されたことで、開発者はついに、アプリと一緒にさまざまなサイズのウィジェットを出荷して、より魅力的なエクスペリエンスをユーザーのホーム画面に直接提供できるようになった。

当初の目的は、既存のアプリから、ホーム画面に最新情報を表示することだったが、何人かの開発者たちが新機能を利用して(未訳記事)、専用のウィジェットデザインツールを開発した。こうしたウィジェット作成アプリを使って、ユーザーはさまざまな色やスタイルを使用して、さまざまな種類やサイズのウィジェットを作成することができる。たとえばWidgetsmith(ウィジェットスミス)は、ユーザーがホーム画面のカスタマイズを始めたことで、App Storeチャートでトップ(未訳記事)となっている。

さらには多くのユーザーが、アップルのショートカットを利用してお気に入りのアプリに関連付けられたアイコンを置き換え、完全にユニークなテーマのホーム画面エクスペリエンスを作成する方法を考え出した。人々がiPhoneのイメージチェンジ結果を共有するにつれて、チュートリアルがTikTokに登場し、ハッシュタグ#iOS14homescreenがTwitterでトレンドになり始めた。

しかし、ホーム画面を再デザインする際の困難の1つは、使用できるカスタムアイコンのセットを見つけるか、あるいはPicsArtやPhotoshopといったアプリを使用して独自にアイコンをデザインする必要があったことだ。それは、日頃クリエイティブなツールを利用していない人にとっては難しいことだったかもしれない。そこでLaunch Center Proの出番となる。

@launchcenterpro

Build your own custom icons for iOs 14! More tips to come! #ios14homescreen #ios14 #homescreen

♬ original sound – Launch Center Pro

iOS 14用のカスタムアイコンを作成しよう!新しいヒントが続々と!

このアプリには、デザインの専門家でなくても自分のアイコンを作成できる、シンプルなツールが用意されている。ゼロからデザインする代わりに、ユーザーはアイコンの形、色、字体を選び、オプションでフレームまたはバッジを追加する。アップル自身のショートカットアプリも、同様のツールセットを提供しているが、選択肢ははるかに少ない。

作成したアイコンは、アイコンをカメラロールにエクスポートしてショートカットアプリで使用するか、Launch Center Proの従来の「今日の表示」(Today View)ウィジェット内で使える。これらのウィジェットには、お気に入りのアプリだけでなく、特定のアクションやタスクを含めることができる。たとえば、仲の良い友人にメッセージを送る、道案内を呼び出す、その他携帯電話を使って日常的に行っていることなら何でもだ。

残念ながら、現時点ではLaunch Center ProはiOS 14互換のホーム画面ウィジェットをまだリリースしていない。

ただし、チームは他の大きなアップデートとともに、それらを今秋の後半に準備する予定だ。それまでは、現在のアイコンデザイナーがiOS 14の初期のカスタマイズに役立つことを同社は期待している。また、今後数週間のうちには、アイコンデザインのエクスペリエンスを改善することに焦点を当てた小さなアップデートをリリースする予定だ。

Launch Center ProはApp Storeから無料でダウンロードできる。

画像クレジット: Contrast/Launch Center Pro

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(翻訳:sako)