スペースXがStarlink衛星60機の打ち上げに成功、合計800機以上が軌道上に

SpaceX(スペースX)は米国時間10月18日、衛星インターネット計画「Starlink」を新たに60基打ち上げた。これによりStarlinkの衛星は835基打ち上げられたことになるが、すべてが稼働しているわけではない(いくつかは意図的に廃止されたテスト衛星だった)。フロリダのケネディ宇宙センターからの打ち上げでは、第1段ブースターの着陸と回収が成功し、ペイロードを保護する2つのフェアリングの回収は「半ば成功」した。

「半ば成功」と表現したのは、大西洋上の2隻のスペースXの回収用船舶がパラシュートで落下するフェアリングの半分を実際にキャッチしたものの、途中で回収用ネットの1つが破損したからだ。スペースXによると回収船のクルーは無事だったが、理想的な結果でないことは明らかだ。それでも2つのフェアリングの片方をキャッチできたことは、Falcon 9ロケットの再利用性という意味で同社の努力の勝利であることは間違いない。

これはスペースXが非常に速いペースで打ち上げを行う能力を維持していることを示す印象的な成果であり、2020年は主に自社のStarllink衛星を軌道に乗せることに重点を置いている。同社は6月以来、すでに300機近くの新しいStarlink衛星を打ち上げており、米国時間10月21日に予定されている暫定的な打ち上げがあり、来月中に少なくとも2回の打ち上げを予定している。

StarlinkはすでにスペースXの従業員や技術者による社内でのテストを行っており、2020年末までに一般向けのパブリックベータ版を開始する準備を進めているという。

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タグ:SpaceXStarlinkFalcon 9

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(翻訳:塚本直樹)

FAAが商用ロケットの打ち上げと再突入に関する規定を合理化

FAAが、宇宙への商用の打ち上げと再突入に関する規則を改訂した(FAAリリース)。それにより、大量の複雑な規制の集大成が整理され、わかりやすくなっている。ロケットの打ち上げは、その数も種類もプロバイダーも非常に多くなっているので、官僚主義を排することはきわめて有意義だ。

規則の中では、ロケット打ち上げ事業者のライセンス、個々の打ち上げと再突入計画の承認などが規定されている。ご想像のとおり、このようなルールはそもそも複雑なものでなければならず、急速に変化する業界に対応するために何年にもわたって断片的に組み立てられてきたものであればなおさらだ。

米国運輸省のElaine Chao(イレーン・チャオ)長官は、今回の改定を「歴史的な包括的な更新」と呼ぶ。4つの規制を統合し、免許と安全規則を一体化しながら、異なるタイプの事業者やオペレーションにも柔軟に対応できるようにしている。

FAAからのプレスリリースによれば、新規則で以下の条項だが許可される。

  • 単一の事業者の免許で複数の打ち上げと再突入ができる。それぞれの場所が異なっていてもよい。
  • 免許申請を段階的に行う場合の初期の部分的評価が可能。
  • 申請者は交渉と相互の合意により、提出と申請評価の期間を縮小できる。
  • 安全性承認の申請と事業者免許の申請を、以前のように個別ではなくまとめて行うことができる。
  • 重大事故防止機能のデモンストレーション方法の条件がやや緩くなった。
  • 状況によっては、打ち上げや再突入に際して近くに作業員などがいてもよい。
  • 地上の安全性監督の対象範囲を安全性のリスクに対してさらにフィットしたものにして、連邦サイトにおける要件と同一にする。国と民間での違いをなくす。

商業宇宙産業のリーダーたちと話をする中で、共通のテーマは規制の負担だ。規制を簡素化し、統一化するような改革は歓迎されるだろう。

実際の規制は数百ページにもわたる長い文書であり、免許を取得してロケットの打ち上げを始めるのはまだ難しい。しかしながら、少なくとも500ページもの書類を何セットも同時に対応しなければならないわけではない。

新しい規則は、連邦官報に記載するために提出されており、それが発生した90日後に発効する。これに加えて、FAAはパブリックコメントのためのアドバイザリーサーキュラーを発行する予定だ。これらの情報はこちらでご覧いただけます。これらの情報はここで確認することができる。

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カテゴリー:宇宙
タグ:FAA

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

NASAが極低温技術と月面のイノベーションについて斬新な14社のプロジェクトに助成金を交付

NASAが、宇宙技術を抜本的に変えるかもしれない技術を追究している1ダースあまりの企業と総額4億ドル近い「ティッピングポイント」契約(Tipping Point、転換点)を交わしたことを発表した。これらのプロジェクトは、極低温技術の宇宙内試験から月に建設する4G LTEネットワークに至るまで極めて多様だ。

NASAの補助事業や契約事業はとても多く、年間のどの時期でも少なくとも1つ以上の事業が申し込みを受け付けている。その中でもティッピングポイントは、ある程度の助成を必要としている商用の宇宙技術が対象だ。この事業の説明によると「ティッピングポイントで考慮される技術は、デモンストレーションへの投資がその技術を大きく成熟させ、商用化の機運を高め、その技術の政府と民間双方の応用を市場に導入するものである」という。

プロジェクトは複数年にわたる複数の中途目標のある事業だが、今年は極低温技術と月面技術の2つに限定された。数量は必ずしもその技術の開発費用の計算に含まれないが、しかし次の段階へ進むためには一定の量が必要と見なされる場合もある。以下が、今回の契約事業の概要だ。

極低温技術

  • Eta Space(イータ・スペース):完全な極低温酸素管理システムの宇宙内デモンストレーション、助成額2700万ドル(約28億4600万円)
  • Lockheed Martin(ロッキード・マーティン):液化水素の12種の極低温利用技術のデモンストレーション、助成額、助成額8970万ドル(約94億5500万円)
  • SpaceX:10トンの液体酸素をStarship宇宙船内の複数のタンク間で移送するフライトのデモンストレーション、助成額5320万ドル(約56億700万円)
  • ULA:ヴァルカン・セントールのロケット上段におけるスマート推力極低温システムのデモンストレーション、助成額8620万ドル(約90億8600万円)

月面のイノベーション

  • Alpha Space Test and Research Alliance:月面試験用の小規模な技術とサイエンスのプラットホームを開発、助成額2210万ドル(約23億3000万円)
  • Astrobotic:月面で使用する高速ワイヤレス充電システム「Mature」、助成額580万ドル(約6億1100万円)
  • Intuitive Machines:積載量1kg、航続距離2.4kmのホッパー用着陸船を開発、助成額4160万ドル(約約43億8500万円)
  • Masten Space Systems:月の夜やクレーター用の汎用の化学的熱、動力源をデモンストレーション、助成額280万ドル(約2億9500万円)
  • Masten Space Systems:自社開発のXogdor宇宙船の精密着地と危険回避のデモンストレーション(下降と着地部門の別途契約)、助成額1000万ドル(約10億500万円)
  • Nokia of America:月面通信のための初めての宇宙内LTEネットワークを実用展開、助成額1410万ドル(約14億8600万円)
  • pH Matter:月面でエネルギーを生産し保存する燃料電池のデモンストレーション、助成額340万ドル(約3億5800万円)
  • Precision Compustion:安価な酸素燃料スタックの進歩により推薬から電力を生成、助成額240万ドル(約2億5300万円)
  • Sierra Nevada:太陽エネルギーで月の表土から酸素を取り出すデバイスのデモンストレーション、助成額240万ドル(約2億5300万円)
  • SSL Robotics:月面と軌道、および地球の防衛用に利用できる軽量安価なロボットアームを開発、助成額870万ドル(約9億1700万円)
  • Teledyne Energy Systems:バッテリー寿命が1万時間以上の水素燃料電池による電力システムを開発、助成額280万ドル(約2億9500万円)

申請の手順と、NASAの関心領域については、ティッピングポイント案内ページに詳細が記載されている。

関連記事: NASAが月での採鉱や太陽レンズなど奇抜な研究開発に7億円超の助成金

カテゴリー:宇宙
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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Virgin Orbitが12月に2回目の軌道実証打ち上げを計画中

小型衛星打ち上げサービスを提供予定のVirgin Orbit(ヴァージン・オービット)は、3月に行われた軌道上での重要な実証実験の打ち上げを、今年12月にやり直すことを目指している。同社は、従来の民間ジェット機を改造した中空ロケットを使って、小型衛星を低コストで打ち上げるサービスを提供することを目指している。

今回の打ち上げは、うまくいけば同社にとって初の試みとなるだろう。CNBCが同社の最高経営責任者(CEO)であるDan Hart(ダン・ハート)氏に話を聞いたところ、12月の目標は、テストミッションで飛ばすための新しいLauncherOne(ランチャーワン)ロケットの製造が進行中であることに基づいているスケジュールとのことだ。

LauncherOneは、Virgin Orbitトのキャリアクラフトにドッキングされており、その発射モデルはd747を改造したものだ。ジェット機で約4万5000フィート(約13.7km)まで上昇、その地点でロケットを切り離し、分離後にロケットは自らのエンジンに点火、残りの時間は自らの力で宇宙へと飛行という工程になる。ロケットがこの高度から地球の大気圏を離れるのは、地上打ち上げに比べてはるかに簡単だ。同社は現在利用可能な打ち上げ方法と比較して、コスト面で大きなメリットを提供できるようにしたいと考えている。

3月の打ち上げは、そのミッションに使用されたLauncherOneがエンジンを始動させた直後まで順調に進んだ。しかし、安全確保のためにエンジンが停止する障害が発生。ロケットはその後無事に地球に落下したが、完全に失われてしまった。

最初の軌道上での打ち上げの試みでこのようなミスは珍しいことではなく、実際にはほとんど普通のことだ。同社は、結果にかかわらず多くの素晴らしいデータを得たと説明しているので、うまくいけば次の試みが計画どおりに進むかもしれない。もしそうなれば、同社は来年の商用サービス開始に向けて軌道に乗ることになるだろう。

一方でCNBCの報道によると、同社は1億5000万ドル(約157億円)の新規資金調達も視野に入れているとのことで、今週のウォールストリート・ジャーナル紙の報道に反響している。

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タグ:Virgin Orbit

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Virgin GalacticがSpaceport Americaからの初の宇宙飛行を今秋後半に向けて準備中

Virgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)は、米国ニューメキシコ州にあるSpaceport America(スペースポート・アメリカ)の施設から宇宙へ飛ばす最初のミッションを準備をしている。この施設は、同社がすべての商業便を提供するために使用する場所であり、ここから宇宙に到達することは非常に重要なミッションになる。

今年の初めに、同社はニューメキシコからのSpaceShipTwoロケットの試験飛行に成功したが、宇宙への旅は含まれていなかった。今回の打ち上げは、同社のテストパイロット2人によって、乗客用ハッチのためのいくつかの実験とともに年が明ける前に実施される予定だ。これがうまくいけば、同社は来年には有料乗客への商業サービスの提供を開始するための軌道に乗せられるだろう。

乗船する民間宇宙飛行士には、新たに発表された個人が含まれる。Alan Stern(アラン・スターン)博士は、数々の役職を歴任し、最近ではサウスウエスト研究所の宇宙科学工学部門の副社長を務めている、著名な惑星科学者だ。同博士は、NASAが資金を提供している科学ミッションでVirgin Galacticの民間宇宙船に搭乗する最初の研究者として指名された。

なお今回の打ち上げは、SpaceShipTwoの商業飛行の最初とはならないようだ。スターン博士の旅は、将来的にはSpaceport Americaからの「まだ予定されていない」サブオービタル飛行(弾道軌道を描いて高度100km付近の飛行)で実現することになるだろう。その旅では、同博士がバイタルサインを常時監視する計器を身に着け、低照度カメラを使用してSpaceShipTwoのキャビン内の見晴らしのいい場所から宇宙を観察することがうまくいくか、という2つの需要なミッションが含まれている。

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タグ:Virgin Galactic

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(翻訳:TechCrunch Japan)

ソユーズ宇宙船が超高速の約3時間で国際宇宙ステーションにドッキング成功

一般的に、宇宙飛行士がロケットで国際宇宙ステーション(ISS)に向けて打ち上げられたあと、ISSにドッキングするまでには少し時間がかかる。これは、宇宙飛行士が地球から離陸するまでの軌道と、ISSの離陸地点の相対的な軌道に関係している。しかし、米国時間10月14日打ち上げられた第64次長期滞在クルーは、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から地球を出発、約3時間後にISSへのドッキングに成功した。

NASAのKate Rubins(ケイト・ルービンズ)宇宙飛行士、ロシアのSergey Ryzhikov(セルゲイ・リジコフ)宇宙飛行士、Sergey Kud-Sverchkov(セルゲイ・クド・スベルチコフ)宇宙飛行士を乗せたソユーズ宇宙船は、米国東部夏時間10月14日午前2時前(日本時間10月14日午後3時前)に打ち上げられ、ISSとドッキングしたのは米国東部標準時午前4時48分(日本時間10月14日午後5時48分)で、所要時間は3時間2分。カプセルとステーションの間のハッチが開いたのは米国東部夏時間時午前7時7分(日本時間10月14日午後8時7分)で、3人の新しいISSクルーの運用任務が正式にスタートした。偶然にも、この日はルービンズ氏の誕生日でもある。

今回のドッキングの早さは、ISSへの最後の有人打ち上げである5月のNASAのDemo-2ミッションが、フロリダから打ち上げられたあと、丸1日後にISSにドッキングしたことと比べるとよくわかる。通常、クルーカプセルの速度と高度をISSと一致させるには、もう少し軌道を周回する必要があるが、今回の場合は地球を2周しただけの超高速で宇宙船を正しい位置にドッキングさせるタイミングと条件がそろっていた。

現在、ISSには Anatoly Ivanishin(アナトリー・イヴァニシン)宇宙飛行士とIvan Vagner(イワン・ヴァグナー)宇宙飛行士のほか、すでにISSに滞在していたNASAのChristopher Cassidy(クリストファー・キャシディ)宇宙飛行士も含め、6人のクルーが常駐している。

カテゴリー:宇宙
タグ:NASA、ISS

画像クレジット:NASA

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(翻訳:TechCrunch Japan)

軌道の持続可能性を保つAstroscaleが約54億円を調達、静止衛星長寿命化や軌道上デブリ除去など業務を多様化

軌道上サービスとロジスティクスを提供するAstroscale(アストロスケール)がシリーズEのラウンドで5100万ドル(約53億7000万円)を調達し、これまでの総調達額が1億9100万ドル(約200億円)になった。日本企業であるAstroscaleは、軌道上機器類の寿命終了に関して新たなソリューションを提供する。すなわちそのソリューションとは、耐用年数を終えた宇宙船や人工衛星などを安全に軌道から取り除く容易な方法を提供し、衛星や衛星群を製造する企業の増加にともなって増えつつある軌道上デブリの一部を掃除して、軌道の運用をより持続可能にすることである。

Astroscaleはその後ミッションを拡張して、静止衛星の寿命延長も手がけている。これもまた、軌道上の活動の爆発的な増加が予想される中で、軌道の運用環境をより持続可能にしていくサービスの重要な一環だ。同社は2020年初めに、Effective Space Solutions(ESS)と呼ばれる企業のスタッフと知財の買収を発表したが、それは「宇宙ドローン」を開発している企業だった。その宇宙ドローンは既存の大型静止衛星のインフラに対して軌道上サービスを提供し、燃料の補給や修理を行う。

ESSは、Astroscale Israelのベースで、静止衛星の寿命延長も業務にしてグローバル企業になりつつあるAstroscaleの、新しい国際オフィスでもある。米国時間10月13日の投資はaSTARTがリードし、資金は今後のグローバルオフィスの設立と、チームを140名以上に増員するために使われる。

人工衛星などが軌道上で寿命を終えて発生したデブリを除去するAstroscaleの技術は、その最初のデモを2020年後半に行う予定だ。装置の打ち上げにはロシアのソユーズロケットが使われる。そのシステムは、軌道から除去するターゲットのデブリを見つけて掴まえる2基のスペースクラフトを用いる。

カテゴリー:宇宙
タグ:Astroscale資金調達日本

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

エースタートが宇宙特化型「スペーステック2号ファンド」を運用開始、ファンド規模は38億円

エースタートが宇宙特化型「スペーステック2号ファンド」を運用開始、ファンド規模は38億円

独立系VCのエースタートは10月14日、宇宙特化型「スペーステック2号ファンド」(ASエースタート1号投資事業有限責任組合)の設立・運用開始を発表した。ファンド規模は38億円。同社の累計運用総額は115億円規模となった。

スペーステック2号ファンドは、コロナ渦の影響から当初予定を変更し、約2ヵ月という限定的な募集期間設定となったものの、大手証券会社との連携などによる出資者募集は堅調に推移。宇宙ベンチャー業界への期待の高まりを改めて反映する形となったという。

同社は昨年、日本初となる宇宙特化型投資ファンド「スペーステック1号ファンド」を組成しており、今回はそのコンセプトを引き継いだ2号ファンドとなっている。

同ファンド運営のエースタートは、渡邊一正氏が2015年に設立した独立系VC。「事業家系VC」という独自のポジションを取り、実務経験に基づいて、特にIPOに向けた体制やシナリオ作りなど、出資先企業の要望に応じて伴走することを特徴としているという。

これまでにも、テック系ベンチャー投資ファンド「@tech(エーテック)ファンド」1号(2015年)、2号(2018年)、「スペーステックファンド」1号(2019年)を組成、スペーステック2号ファンドと並行して運用している。今回のローンチにより、同社が運用するファンドの累計総額は115億円となる。

またスペーステック2号ファンドは、アストロスケールホールディングスのシリーズEのファイナンスにおいて、リードインベスターとしてすでに出資を行っている。

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スペースデブリ問題に取り組むアストロスケールがシリーズEで累計210億円を調達

カテゴリー: VC / エンジェル
タグ: 宇宙エースタート日本

スペースデブリ問題に取り組むアストロスケールがシリーズEで累計210億円を調達

スペースデブリ問題に取組むアストロスケールがシリーズEで累計210億円を調達

持続可能性な宇宙環境を目指し、スペースデブリ(宇宙ごみ、デブリ)除去サービスに取り組むアストロスケールホールディングスは10月14日、シリーズEの追加調達として、第三者割当増資により総額約55億円の調達を実施し、累計調達額約210億円を達成したと発表した。

引受先は、リードインベスターのエースタートが運用するASエースタート1号投資事業有限責任組合をはじめ、アイネット、清水建設、スパークス・イノベーション・フォー・フューチャーが運営する宇宙フロンティアファンド、ヒューリック。

アストロスケールは、宇宙機の安全航行の確保を目指し、次世代へ持続可能な軌道を継承するため、スペースデブリ(宇宙ごみ)除去サービスの開発に取り組む世界初の民間企業。 2013年の創業以来、軌道上で増加し続けるデブリの低減・除去策として、今後打ち上がる人工衛星が寿命を迎えた際や恒久故障の際に除去を行うEOLサービスや、既存デブリを除去するためのADR(Active Debris Removal)サービス、衛星寿命延命措置(LEX。Life EXtension of geostationary satellites)、宇宙空間上での宇宙状況把握(SSA。Space Situational Awareness)、軌道上サービスの実現を目指し技術開発を進めてきた。

また、長期に渡り安全で持続可能な宇宙環境を目指すため、技術開発に加え、ビジネスモデルの確立、複数の民間企業や団体、行政機関と協働し、規範やベストプラクティスの策定に努めている。

現在アストロスケールは、本社・R&D拠点の日本をはじめ、シンガポール、英国、米国、イスラエルの5ヵ国約140名を擁し、グローバルに事業を展開。

英国では、軌道上でのサービス業務を行うミッション運用基盤として、最先端の国立軌道上サービス管制センターをオックスフォードシャー州ハーウェルに構築。2020年度打ち上げ予定としている大型デブリ除去実証衛星機「ELSA-d」(エルサディー)の運用に向け準備を進めている。ELSA-dでは、回転状態に対するデブリの捕獲や、非協力物体に対する近傍接近、ランデブ・ドッキング、軌道離脱を一連のシステムとして世界で初めて実証実験を行う予定。

また2019年開設の米国拠点では、デブリ問題に事業開発や法規制の面から取り組み、各業界リーダーや政策立案者と密なコミュニケーションを醸成。加えて、2020年6月には子会社のイスラエル拠点を設け、LEX技術の発展を担っている。

カテゴリー: 宇宙
タグ: アストロスケール(Astroscale)資金調達スペースデブリ日本

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Blue OriginのNew Shepardが打ち上げ、NASAの技術テストを実施

Blue Origin(ブルー・オリジン)は2019年12月の最後の打ち上げから約1年の休止を経て、米国時間10月13日にミッションを再開した。

打ち上げは、同社の再利用可能なサブオービタルロケット「New Shepard」(ニュー・シェパード)のミッションで、同ロケットは2017年12月に最初に飛行して着陸し、今回が6回目のフライトとなる。また今日の打ち上げには、NASAの「Deorbit, Descent and Landing Sensor(軌道離脱・下降・着陸センサー)」技術をテストするためのシステムが含まれており、これは将来の月面・火星着陸に使用するための自動化技術を提供し、目標着陸ゾーンにおける潜在的な危険を自動で識別し回避できる。

この試験には、New Shepardのロケット本体とカプセルの回収が含まれる。ロケットはエンジン噴射によりウエスト・テキサスの発射着陸地点に着陸し、カプセルはパラシュートで降下する。カプセルにはさまざまな実験やその他のペイロードが入っており、その中にはBlue Originの非営利団体「Club for the Future」が全米の子どもたちに提供しているポストカードも含まれている。

打ち上げは米国中部夏時間10月13日午前8時35分(日本時間10月13日午後10時25分)に実施され、ライブストリームは米国中部夏時間午前9時05分(日本時間午後10時05分)から始まった。ストリームにはNASA長官のJim Bridenstine(ジム・ブライデンスタイン)氏からのメッセージも含まれている。Blue OriginはNASAとの緊密な協力関係を深めており、その中には次の宇宙飛行士を月の表面に到達させる手段となり得る有人着陸システムも含まれている。

カテゴリー:宇宙
タグ:Blue Origin、NASA、New Shepard

画像クレジット:Blue Origin

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(翻訳:塚本直樹)

英Selphim Capitalの宇宙技術アクセラレーターが最新コホートを発表

英国で唯一の宇宙技術アクセラレーターSelphim Capital(セルフィム・キャピタル)は、先週のWorld Space Week(世界宇宙週間)の最終日に、そのSpace Camp(スペース・キャンプ)プログラムに参加する最新コホートの詳細を発表した。

4pi Lab(フォーパイ・ラボ)
現在までの調達額:金額は非公開。Creative Destruction Lab(クリエイティブ・ディストラクション・ラボ)から非株式支援。
事業内容:「4pi Labは地球低軌道(LEO)衛星コンステレーションを開発し、山火事のリアルタイム検出、監視および報告を行います。衛星に搭載した独自のセンサーには、10mの解像度で山火事を検出し、山火事による甚大な被害を地球規模で根絶できる能力があります」。

Clutch Space Systems(クラッチ・スペース・システムズ)
現在までの調達額:FSE GroupのEnterprise M3エクスパンション融資30万ポンド(約4100万円)。
事業内容:「Clutch Space Systemsは、衛星通信用ソフトウェア無線(SDR)地上基地局を提供します。ソフトウェア無線基地技術は、ダウンリンクの通信を改善し、大幅なコスト削減を実現すると共に、衛星通信市場の加速度的な拡大をもたらす企業として積極的な役割を果たします」。

Helix Technologies(ヘリックス・テクノロジーズ)
現在までの調達額:なし
事業内容:「Helix Technologiesは、10cmレベルの精度を誇る精密GPSアンテナを提供します。製造技術とRF技術の飛躍的な進歩により、Helixは必要とされる通信およびナビゲーションを効率的に行うスペースを残しつつ、動的位置の正確な測定を高い精度で行うセラミックコアを採用した新しいGNSSアンテナを開発しました。またこのアンテナは、インフラからの反射や電波妨害を受けにくい設計になっています」。

Kinnami(キナミ)
現在までの調達額:金額は非公開。2020年6月25日にICE71 Accelerateよりシード投資を受ける。
事業内容:「Kinnamiは分散システムでのデータ共有、継続的なデータ移行、管理の安全性を独自の技術で確保し最適化します。Kinnamiは、AmiShare(アミシェア)という、データを断片化し暗号化するという独自のストレージおよびセキュリティーシステムを有します。デバイスの分散ネットワークで暗号化された断片化データを保管することにより、危険な場所で収集されるデータの安全を確保できるため、衛星通信、防衛、企業に適用できます」。

Starfish Space(スターフィッシュ・スペース)
現在までの調達額:金額は非公開。2019年12月1日にシード投資を受ける。
事業内容:「Starfish Spaceは、軌道上の人工衛星のためのオンデマンド宇宙輸送とメンテナンスサービスの事業化を目指しています。そのProximity Operations Software(近接作業ソフトウエア)は、画期的な軌道工学、マシンビジョンAI、低推力電気推進システムを組み合わせることで、軌道上の衛星の小規模な牽引サービスを安価に提供します」。

Sust Global(サスト・グローバル)
現在までの調達額:なし
事業内容:「Sust Globalは、気候リスク解析のためのアセットレベルでのリアルタイム地理空間モニタリングを提供します。そのプラットフォームは、複数の人工衛星と地上の拠点からデータを収集し、フルスタックのアセットレベル地理空間解析情報を生成します。Sustはこのデータを最新の気候モデルと標準的リスク評価に統合し、リスク分析から定量的で実用的な解析情報を引き出し、金融サービス企業に提供します」。

Vector Photonics(ベクター・フォトニクス)
現在までの調達額:2018年にICUReより金額非公開の資金を調達、2019年に英工学物理化学研究評議会より7万ポンド(約690万円)、同評議会から贈られた賞の賞金としてグロスローの企業から3万ポンド(約410万円)を調達。
事業内容:「Vector Photonicsの革新的にして革命的なフォトニック結晶レーザーは、従来の半導体レーザーの限界を押し広げ、端面発光レーザーの性能を同等のコストと柔軟性で提供します。その独自のビームステアリング能力は市場に変革をもたらし、データ通信市場はLIDAR市場などと肩を並べるまでになるでしょう」。

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カテゴリー:宇宙
タグ:アクセラレータープログラム

画像クレジット:Aleksandar Georgiev / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

米宇宙軍が「マンダロリアン」制作のVFXスタジオに没入型のトレーニングツールを発注

米宇宙軍(U.S. Space Force)は、所属隊員のほとんどを実際の宇宙で訓練することはできない。そこで米国防軍の比較的新しい部門である同軍は、Slingshot AerospaceにThe Third Floorと協力してVR空間のシミュレーションを作るよう依頼した。

Slingshot Aerospaceは、航空宇宙と地上情報の両方に関連するデータ分析、ツール、コンピュータビジョンを提供している企業。The Third FloorはハリウッドのVFX会社で、Gravity(ゼロ・グラビティ)、The Martian(オデッセイ)、The Mandalorian(マンダロリアン)などの大ヒット作に取り組んでいた企業だ。両社の目標は、現実世界の物理現象を再現できるシミュレーターを生成し、米宇宙軍のインタラクティブなトレーニング機能を提供すること。

Slingshot Aerospaceは、宇宙軍自身からの100万ドル(約1億500万円)の契約とATX Venture Partnersからの100万ドルの資金提供を含め、合計で200万ドルをこのシミュレーターの開発に向けて確保している。最終的な成果物はSlingshot Orbital Laboratory(スリングショット軌道研究所)と呼ばれ、宇宙軍のメンバーに宇宙空間という特殊な場所で、物体や宇宙船がどのように動作し、どのように振る舞うのかをより深く理解してもらうために使用される予定だ。

米国空軍国家安全保障宇宙研究所のMax Lantz(マックス・ランツ)中佐はリリースで「宇宙飛行士は、宇宙力学、軌道上のさまざまな物体の影響、宇宙空間での他の物体間での宇宙船の操縦方法などの複雑な概念を理解する必要がありますが、これらはすべて現在使用しているものよりも、より適応性が高くインタラクティブで、カスタマイズ可能な教育ツールが必要です。これらの基礎理論の理解を深めるための没入型の環境を構築することは、宇宙軍をサポートするために不可欠です」とコメントしている、

Slinghot Aerospaceは、このプロジェクトでシステムのすべての情報学的コンポーネントを扱う。一方The Third Floorは、没入型のビジュアル作成を担当する。同研究所は、あらゆるレベルの教育と技術的理解を持つサービスメンバーが利用できる最終製品を作成することを目標に、使いやすいツールの開発を目指している。

この発表でEnderのGame Battle Roomの雰囲気を感じた人はいるだろうか?

カテゴリー:宇宙
タグ:米宇宙軍、U.S. Space Force、マンダロリアン

画像クレジット:Warner Bros.

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(翻訳:TechCrunch Japan)

英国拠点のスタートアップSpacebitがNASAの商業月探査機プログラムで2度目のペイロード輸送を獲得

英国を拠点とするロボットローバーのスタートアップであるSpacebit(スペースビット)が、月への2回目のペイロード輸送の権利を獲得した。NASAの商業向け月輸送サービス(Commercial Lunar Payload Services、CLPS)プログラムの一環として、Intuitive Machinesが2021年に月面に送ることを計画している着陸船「Nova-C」に搭載されることになる。

Spacebitはすでに、2021年7月にVulcan Centaurロケットを使って月への打ち上げが予定されているAstrobotic Peregrine着陸機で月にペイロードを輸送する権利も持っている。これは、2021年10月に予定されているSpaceXのFalcon 9を使ったIntuitive Machinesの着陸機の打ち上げに続くものとなる。

同社の4本足歩行ローバーのASAGUMO(あさぐも)は、最初のCLPSミッションで飛行することになった。NASAは、最初のCLPSミッションを、アルテミス乗組員による月面ミッションに先立って、民間の貨物と一緒に実験やペイロードを月に届けるための商業的パートナーを調達するために立ち上げている。

今回発表された2回目のNova-C着陸機の打ち上げに向けて、SpacebitはNASAの小型科学モジュールを搭載する車輪付きローバーを準備している。この車輪付き探査車と歩行用探査車はどちらも、Artemis(アルテミス)計画を支援する目的で、月面で利用可能な資源の種類を評価に役立つように設計されている。

これによりSpacebitは、ミッションの主要な目的であるレゴリス(他の惑星の土壌に相当)の構成を評価する機会を何度も提供可能になる。また、ローバーのデザインを変えることで、どちらが任務に適しているかをよりよく評価できるようになる。4本脚のデザインは、歩行型ローバーが凹凸のある表面にも対応できるようにすることを目的としており、溶岩流のチューブなど自然のシェルターや将来の月の生息地創出に適した洞窟のようなエリアを探索することも可能だ。

カテゴリー:宇宙
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(翻訳:TechCrunch Japan)

SpaceXが米国ミサイル追跡衛星ネットワーク開発支援の契約を獲得

SpaceXは、米国の宇宙防衛能力を構築することを任務とする米軍の宇宙開発局から、1億5000万ドル(約158億円)弱の契約を獲得した。契約の対象となるのは、「宇宙輸送機」(Space Vehicles)、つまり実際の衛星を作成して提供することで、ミサイルの事前警告や追跡を世界規模で提供するコンステレーション(衛星群)を形成する。

SpaceXと並んで、SDAはL3Harrisにも同様の機能を提供する契約を約2億ドル(約2億円)で結んだ。L3Harris社は、米国を拠点とする防衛関連業者であり、昨年、HarrisとL3社が合併して設立されたハイテク企業だ。旧来の請負業者を2社を統合して世界の防衛関連企業のトップ10に入る企業になった。L3Harrisがこの仕事に抜擢されても不思議ではないが、SpaceXの契約獲得は間違いなく同社の新しい事業の柱になるだろう。

これらの衛星は、ペイロードは異なるものの、SpaceXが自社のブロードバンドインターネットコンステレーションを構成するために配備しているStarlink衛星に似ている。Starlinkは、体積と冗長性によって全世界をカバーすることができる低地球軌道のコンステレーションとして設計されており、従来の静止衛星と比較してコストとカバー率の面でメリットがある。

米国は、小型衛星を利用した宇宙防衛資源の構築に何度も関心を示してきた。その理由としては、展開の迅速性や対応力、潜在的な敵対勢力による攻撃を受けた場合に役立つ冗長性の構築能力などが挙げられる。

SpaceXが打ち上げサービスだけでなく、人工衛星を含む宇宙船のプロバイダーとしてより頻繁に利用されるようになれば、特に防衛や国家安全保障の契約に関連して、新たな有利な長期的な収益機会がたくさん生まれる可能性がある。

米国は、小型衛星を利用した宇宙ベースの防衛資源を構築することへの関心を繰り返し表明している。その理由として、配備の迅速さ、即応性、潜在的な敵によるあらゆる資源への攻撃に有用となり得る冗長性の観点からの利点を挙げている。

もしSpaceXが打ち上げサービスだけでなく、衛星を含む宇宙船の提供者としてもより頻繁に利用されるようになれば、特に防衛や国家安全保障の契約に関して、収益性の高い長期的な収益機会が数多く生まれる可能性がある。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

SpaceXがStarlink衛星の12回目のミッションに成功、700機以上のブロードバンドインターネット衛星が宇宙に

SpaceXは、Starlinkブロードバンドインターネット衛星60機の打ち上げに成功した。ロケットは、米国東部夏時間10月6日午前7時29分(日本時間10日6日午後8時29分)、フロリダのケネディ宇宙センターから発射された。これまで2回は天候で、1回はセンサーの異常値で打ち上げが延期されていたが、今回は12回目のStarlinkミッションであり、これで700機以上のStarlink衛星が打ち上げられたことになる。

このミッションでは、SpaceX初の人間のクルーとなったNASAの宇宙飛行士のBob Behnken(ボブ・ベーンケン)氏とDoug Hurley(ダグ・ハーリー)氏を乗せたCrew Dragon Demo-2(クルー・ドラゴン・デモ2)号の打ち上げを含む、2つのミッションで飛行したFalcon 9のブースターが再利用された。SpaceXは、このミッションのために海上のドローン船「Of Course I Still Love You」に制御された着陸でブースターを回収することにも成功している。異なる回収船を使ったフェアリングの回収も試みられたが、半分のうちの1つは計画どおりに船に捕まり、2つ目は失敗して海に落ちた。SpaceXはその部分の回収も今後試みる予定だ。

SpaceXは現在、Starlinkのプライベートベータテストを行っており、レイテンシーと接続の最適化を進めている。同社によると、非常に低いレイテンシーでも下り最大100Mbpsの速度を達成しているという。同社は、今年後半からベータサービスを一般公開する予定だ。

ロケットの打ち上げから約1時間後、Starlink衛星の配備も計画通りに進んだ。

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タグ:SpaceX、Starlink

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(翻訳:TechCrunch Japan)

宇宙遊泳を初めてVR撮影する3Dカメラが国際宇宙ステーションに到着、映像はOculus Storeで公開予定

米国時間10月2日に打ち上げられた国際宇宙ステーション(ISS)向けの補給ミッションに搭載されたペイロードの1つは、最も特異な体験の1つである宇宙遊泳の新たな視点を提供する。これは宇宙空間で360度コンテンツを撮影するために設計されたカスタムメイドの3Dカメラで、今後のISSでの宇宙飛行士によるミッションで、宇宙遊泳を初めて没入型映画のようなVR(仮想現実)で撮影するために使用される。

このカメラはFelix&Paul Studios、Time Studios、および宇宙関連技術を専門とするNanoracks(ナノラックス)とのコラボレーションの成果だ。最終的にこの映像は「Space Explorers:The ISS Series」 と呼ばれるシリーズの完結エピソードの制作に使用される。カメラはNanoracksの「Kaber MicroSatellite」放出装置に搭載され、電力が供給され、外部貨物の操作に使用されるISSのロボットアーム「Canadarm 2」を介して制御される。運用チームによるとCanadarm 2は基本的には映画撮影でのクレーンのように使用され、ISSに滞在する2人の宇宙飛行士の宇宙遊泳を撮影するという。

VRカメラには9個の異なる4K解像度センサーが搭載されており、没入的な360度画像を8K解像度でレンダリングできる。Z-Cam V 1 Proと名付けられたこのカメラはNanoracksの専門知識を活用して改造されたもので、宇宙の過酷な環境下でも作動し、耐えられる構造となっている。具体的には真空状態や紫外線、電離放射線、プラズマ、日射量に応じてマイナス250度から250度まで変化する極端な温度など、宇宙の過酷な環境でも動作する。カメラの筐体は密閉されており、アルミニウム製の放射線シールドで囲われ、アクティブな加熱システムとパッシブな冷却システムの両方を備えているため、1週間の宇宙空間での曝露に耐えることができる。

宇宙遊泳の映像は最終的にOculus Storeで公開される予定で、もし互換性のあるVRヘッドセットを所有していれば、最初の2つのSpace Explorersのエピソードを視聴できる。

関連記事:NASAがトム・クルーズの映画に協力、ISS宇宙ステーションで撮影

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タグ:NanoracksVRISS

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(翻訳:塚本直樹)

SpaceXが米宇宙軍のGPS衛星を打ち上げ、日本時間10月3日午前10時43分からYouTube生中継

SpaceXは、米国東部夏時間午後9時43分(日本時間10月3日午前10時43分)の目標打ち上げ時間に、Falcon 9ロケットを使用して米国宇宙軍のためのGPS-III衛星を打ち上げる予定だ。打ち上げ時間は15分で、現時点では天候は比較的良好だ。

今回の打ち上げによってSpaceXは、最近不運にも続いてきた一連の打ち上げ中止から脱却できるかもしれない。その中には、今週初めに予定されていた衛星インターネット構想のStarlinkミッションも含まれる。

今回の打ち上げ用のFalcon 9は最近では珍しく、ブースターを含む真新しい機体が初めて使われる。今回の試みには、SpaceXの「Just Read the Instructions」と呼ばれるドローン着陸船に乗って、その第1段ロケットを大西洋に着陸させるミッションも含まれている。

SpaceXが以前に飛行したブースターを使用しないのには理由がある。SpaceXと米宇宙軍との契約では、国家安全保障宇宙発射(NSL)ミッションには、新品で改修されていない車両のみを使用できると規定されているからだ。しかし宇宙軍は最近、SpaceXが将来のフライトで再利用された第一段階を使用することを可能にする、更新された契約も発表している。

ウェブキャストは、打ち上げ開始15分前の午後9時28分頃(日本時間10月3日午前10時28分)にライブ配信が始まる。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

イーロン・マスク氏が「Starship宇宙船開発プログラムのアップデートは3週間後に来る」と発表

SpaceXの創業者でCEOのイーロン・マスク氏によると、SpaceXは約3週間後にStarship(スターシップ)宇宙船で何が起こっているかについての最新情報を提供する予定だという。Starshipは完全に再利用可能な次世代宇宙船で、同社はFalcon 9やFalcon Heavyを含むすべてのロケットに取って代わることを目的に開発を進めている。地球の軌道上、さらには月、そして最終的には火星へのミッションを目指す。

Starshipは、SpaceXがテキサス州にある開発施設で一度に複数のプロトタイプを組み立てたため、ここ数週間で急速な進歩を遂げている。Starship SN6は、その前の同SN5と同様にホップテストを完了し、150m(500フィート弱)まで上昇した後、制御された着陸のために再び降下した。Starship SN8は現在、高高度飛行の準備を進めており、数週間後のアップデートでは「V1.0」のプロトタイプを発表する予定だとマスク氏は表明している。

SpaceXはStarshipに多くのことを依存している。Artemis(アルテミス)プログラムの一部として、将来的にNASAからの有人飛行のための月面着陸ミッションのための潜在的な契約を含む。スペースXは、ブルー・オリジンの業界をリードするチーム、ダイナティクスと並んで、これらの契約に入札するためにNASAから選ばれた3社のうちの1社である。

SpaceXは、Artemis(アルテミス)計画の一環として、将来NASAからの有人飛行のための月面着陸ミッションの契約を含む、多くのものをStarshipに乗せている。同社は、Blue Origin率いる業界横断チーム、そして応用科学および情報技術企業のDynetics(ダイネティクス)とともに、これらの契約に入札するためにNASaによって選ばれた3社のうちの1社だ。

一方でマスク氏は、SpaceXのStarlink(スターリンク)インターネットサービスは、テキサス州でStarshipの開発が進められているブラウンズビル地区では技術的には到達可能だが、米国のはるか南から接続品質が実際に良好になるのは約3カ月後だと述べた。

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タグ:SpaceXイーロン・マスクStarshipStarlink

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(翻訳:TechCrunch Japan)

SpaceXのStarlinkが山火事で壊滅的な被害を受けた町の災害救助隊員にインターネット接続を提供する

SpaceXのStarlinkは、多くの山火事が農村部に甚大な被害をもたらしている西海岸のワシントン州で、遠く離れた場所を迅速かつ簡単にインターネット接続する機能の有用性を示した。同州のいくつかの小さな町では、地元の人々や救急隊員を助けるためにStarlink接続を利用している。

モールデンの町はほとんど完全に破壊されたが、復旧作業は進んでおり、もちろん住民や当局とのコミュニケーションのためにインターネットにアクセスできるのは助かっている。電力や携帯電話サービスが不安定なため、衛星インターネットは一時的な選択肢としては最適でありStarlinkの出番となった。

SpaceXの創業者であるElon Musk(イーロン・マスク)氏はTwitter(ツイッター)で語ったように、同社は緊急時対応要員とインターネットのない地域を優先しているという。

ワシントン州:緊急時対応要員による今月初めに山火事に破壊された町の住民救助と再建努力において、SpaceXのStarlinkインターネットのサポートが得られたことは喜ばしい。イーロン・マスク:SpaceXがお役に立ててうれしい。私たちは緊急時対応要員と、インターネット接続がまったくない地域を優先している。

この取り組みは州の緊急時監理課(Emergency Management Division、EMD)を通じて組織化されており、予想どおり、緊急事態の管理に役立つ軍の一部である。

EMDの広報担当であるSteven Friederich(スティーブン・フリーデリッヒ)はメールで、Starlinkを数週間利用して住民のためのインターネット接続を提供したと説明している。また、町では「かなり大きな家事が発生し、消防署や郵便局を含む地域のかなりの部分が焼けてしまった。高速で信頼性の高いインターネット接続を一般の人が利用できるようにする方法がなかった」という。

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さらに「Space Xがボランティアで機材を提供してくれたので、緊急時通信スタッフは感謝している。7台の端末が提供され、無料で使えるところであればどこでも使え得ようにしてもらった。ご存知のようにSpaceXは米国全域をカバーしているわけではないが、幸いにも私たちの州はカバーされていた」と述べている。

Starlinkは最終的には数千の人工衛星で構成される衛星コンステレーションになるはずだが、現在は約600基「だけ」であるため米国全域をカバーできていない。SpaceXの信頼性が圏域は、今のところ特定の地域に制限されている。

EMDはこれまでも、災害時(あるいはパンデミック時)の接続性(ワシントン軍事省リリース)を維持する方法の問題にしばらくの間取り組んできた(ワシントン軍事省リリース)が、たまたま今回はStarlinkが彼らがテストのために選んだ方法になった。

「山火事が今後さらに広がったり、カスケイディア地震のような大規模な災害があれば、このようなデバイスが絶対に必要だ」とフリーデリッヒ氏はいう。

カスケード沈み込み帯による地震は、住民から「The Big One」と呼ばれているマグニチュード9の大地震だ。その際、衛星インターネット接続は復旧に役立つだろう。

関連記事:SpaceXが高速ブロードバンドインターネット衛星群Starlinkの60機打ち上げに成功

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Blue Originが軌道上生活に実現に向けたスタッフを募集中、商業目的で滞在する人向けの居住空間目指す

Blue Origin(ブルー・オリジン)の創業者でアマゾンのCEOであるJeff Bezoz(ジェフ・ベゾス)氏は、最終的には人々が生活したり仕事をしたりする場所として機能する軌道上の宇宙ステーションを作りたいという野心を持っている。そして現在、Blue Originは「軌道上の居住地の定式化」を中心とした取り組みをリードする人材を募集する求人広告を出しているSpace News記事)。

この求人広告では「何百万人もの人々が宇宙で生活し、働く」という最終的なビジョンの策定を担当する人材を募集しているが、近い将来の目標は既存の国際宇宙ステーション(ISS)をヒントにしながらも、「価値創造的な経済活動」を促進することによって、既存の国際的な共有研究構造を「超えた」ものにすることのようだ。

以下に募集リストからの重要な点を抜粋した。

Blue Originの軌道上居住空間ラインの設計リーダーとして、技術コンセプト、製品戦略、ビジネスケース、顧客関係、市場形成のアウトリーチ、産業パートナーシップ、実装アプローチ、サプライチェーンの開発をリードしていただきます。事業開発の専門家と協力して、NASAやほかの政府機関、企業のニーズを詳細に理解し、製品戦略の反復的な開発を導きます。2020年代に実行可能なLEOデスティネーションシステム(観光資源の有効活用を促進するための手法)を確立するために、外部および内部のスポンサー資金を獲得する責任があります。あなたは、人類の宇宙飛行の歴史に直接影響を与えることになります。

Blue Originはまた、彼らが作っているのはISSのようなステーションとは「根本的に異なる」だと説明している。ISSは「小さいうえ、プロの訓練を受けた乗組員」のために設計されているが、同社が考えているものは、専門家でないユーザーにとっても、居住性が高く実用的なものにしたいようだ。つまり、宇宙飛行士になるためではなく、主に商業目的で滞在する人向けの居住空間を目指す。

ベゾス氏が昨年5月のイベントで語った理想的なコンセプトビジョンには、現実とはまだかなりの距離があると思われる。しかし、同氏がどれだけ実現させたいのかによってはBlue Originの商業宇宙居住区を軌道上に置くことができるようになるかもしれない。

画像クレジット:Blue Origin

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(翻訳:TechCrunch Japan)