気象災害に備える企業にAIを組み合わせた天気予報分析を提供するAtom

「地球上のほぼすべてのビジネスは天候の影響を受けています」と、投資家で連続起業家のAlexander Levy(アレクサンダー・レビー)氏はいう。同氏の最新の会社は、新しい天気予報スタートアップのAtmoだ。

2020年初めにY Combinatorを卒業した同社は、予測ソフトウェアのためにSignia Venture PartnersとSound Venturesから200万ドル(約2億800万円)を調達した。時にビジネスでは、ボブ・ディランの歌とは違って、風向きを知るために天気予報士が必要になることもあるからだ。

Atmoは元Google Xの社員で、Project Loon(プロジェクト・ルーン)に携わっていたJohan Mathe(ヨハン・マテ)氏によって設立された。Project Loonとは、新興国市場でワイヤレスネットワークを構築するために、気球を使ったインターネット接続を提供することに注力した事業部門だ。

「私は天候に取り組むことに多くの時間を費やしました」とマテ氏はいう。彼の仕事は、様々な地域で気球をナビゲートする方法を見つけることだった。そのナビゲーションの多くは、気象パターンによって複雑だった、と彼は語った。

「天候と膨大な量のデータが非常に複雑に絡み合う中で、私はそれを構築しなければなりませんでした」と、マテ氏はいう。「そこで私は考えたのです、天気とAIの交差点を、もっと誰もが利用できるようにするために、何かを構築しなければならないと」。

これが4年間におよぶ旅の始まりだった。やがてそれは、Atmo (以前はFroglabs.aiとして知られていた)というカリフォルニア州バークレーを拠点とするスタートアップに結実した。同社は現在、再生可能エネルギーからアイスクリームショップまで、さまざまなビジネスに天気予報分析を提供している。

創薬会社Atomwiseの共同創業者であるレビー氏は、マテ氏を社会的に知っており、彼の会社がまだアイデアだけの時に最初に投資した。しかし、気象データに価値を見出したレビー氏は、投資家やアドバイザーから共同創業者へと跳躍することにした。

現在、マテ氏とレビー氏そして最高技術責任者のJeremy Lequeux(ジェレミー・ルキュー)氏は、バークレーにあるレビー氏の家で、ソフトウェアを開発し、会社を次のレベルに引き上げるために働いている。

そして最近の出来事が同社のサービスの必要性を十分に明らかにしている。全米海洋大気庁がまとめたデータによると、2019年以降、気候関連の出来事は米国におよそ890億ドル(約9兆2500億円)ものコストをかけているという。

「すべてのビジネスは、天候に左右されます」とレビー氏はいう。「たとえばアイスクリームを販売する場所について考えてみましょう。気温が1度、高くなるか低くなるかによって、売り上げは10%も影響を受けます。私たちは汎用的な予測システムの作成に向けて取り組んできましたが、気象データを使用する一方で、世界中から集めた過去の天気のデータも用います。この2つを比較して、主要なビジネス指標のすべてが天候によってどのように影響を受けるかを分析します」。

レビー氏によると、同社はすでに、再生可能エネルギーやeコマース、物流業界の20億ドル(約2000億円)規模の企業を含む半ダースほどの顧客を抱えているという。

「私たちが取り組んでいる分野の1つに、リスクと異常気象があります。たとえばほとんど人間が介入できない異常気象を、どうやって予測するのかということです」とレビー氏はいう。「私たちは、このような予測を、比較的正常な状態にあるときに最適化する方法とは切り離して行っています」。

このような異常気象が増えるにつれ、需要は増加する一方だ。政府や企業はこれらの破局的な状況に耐え、適応する能力を向上させる方法を模索しているからだ。

「ニーズはあります。最近では、誰もがレジリエンス(回復力)について話しているからです」とレビー氏は語る。「Atmoは、現在そんな問題について不安を抱えている大企業に、これらの洞察を提供する会社だと、私は考えています」。

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Atmo天気Y Combinator資金調達

画像クレジット:Justin Sullivan / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

飲食店向けオーダーデータプラットフォーム「LOOP」提供のShock Techが約5700万円調達

飲食店向けオーダーデータプラットフォーム「LOOP」提供のShock Techが約5700万円調達

「外食業界の平均給与水準を50万円上昇させる」をビジョンに飲食業界のあらゆる問題をITで解決するShockTechは、総額約5700万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、TEORY、バンク・オブ・ストラテジー、メニューデザイン研究所、および複数の個人投資家。

今回調達した資金は、オーダーデータプラットフォーム「LOOP」(ループ)のさらなる開発強化に投資する。「フランチャイズチェーン展開店舗向け機能開発」「売上管理システムとの連携強化の開発」を予定しているという。

飲食店向けオーダーデータプラットフォーム「LOOP」提供のShock Techが約5700万円調達

LOOPは、モバイルオーダーを活用したオーダーデータプラットフォームを提供するサービス。来店客のスマホからQRコードを介して料理の注文を可能にするモバイルオーダーを基本機能として搭載し、「人件費の適切化」や「感染症対策」などの課題解決を実現する。

LOOPのモバイルオーダーの特徴は、キッチンディスプレイを導入している点にあるという。これにより、オーダーの振り分けや、優先順位付けなどのオーダー管理をサポート可能な上に、提供時間データを取得することが可能となる。取得した提供時間データを元に、時間帯別や商品別の提供遅延率を算出することで、飲食店の営業状況の可視化を可能としている。

またあわせて、業務支援コンサルティングを行うことで、スムーズな導入支援と店舗ごとの商品提供時間などのデータ活用を実現し、導入店舗と店舗利用者の双方が便利な世の中に導くとしている。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:資金調達(用語)ShockTechモバイルオーダー日本(国・地域)

eコマースの支払いシステム統合を支援するフィンテック「Primer」が19.4億円調達

英国のフィンテック、Primer(プライマー)は、小売業者が支払いレイヤーを統合し、新たな支払い方法を容易に追加できるようにするサービスだ。このほどシリーズAラウンドで1400万ポンド(約19億4000万円)を調達した。ラウンドをリードしたAccelは、Primerに自社の資金を受け取るようかなり強く働きかけたといわれている。

若きスタートアップはこれまで積極的な資金調達を行っておらず、静かに380万ポンド(約5億3000万円)調達したことを5月に発表した(未訳記事)。同社はプロダクト開発と潜在顧客の獲得に注力すべく、100社の小売業者を対象に、技術ワークショップと詳細なインタビューをZoomで実施してきた。そんな活動が見過ごされることはなかった。

シリーズAには既存出資者のBalderton、AppedInvest、Seedcampに加え、新たな出資者としてRTP Globalが参加した。AccelのパートナーであるSonali De Rycker(ソナリ・デ・リッカー)氏はPrimerの取締役に就任する。

(PayPalのBraintree買収にともなう)元PayPal社員によって設立されたPrimerは、1つの支払いAPIで(願わくば)すべてを支配したいと考え、売り手の支払いスタック(支払いにともなうさまざまな階層)の透明性を高めることを明確な目的として掲げている。

大規模な小売業者、特に複数の地域で運営している会社はさまざまな支払い方法に対応する必要があり、その結果著しい技術負担と貧弱なユーザー体験や透明性の欠如が生まれているという考えだ。

Primerは、最近「ローコード」プラットフォームと呼ばれている仕組みにより、小売業者に代わって力仕事を引き受け、支払い方法に依存しない堅牢なサービスを提供している。市場に登場した新しい支払い方式をスムーズに導入するとともに、それぞれのチェックアウト方法がどのように利用されているかを明瞭に見渡せるようにすることが狙いだ。

同プラットフォームは支払いサービスプロバイダー(PSPs)としてだけてなく、不正防止、支払い取り消し、サブスクリプション請求エンジン、BI(ビジネスイン)ツール、ポイント・報酬プラットフォームなどのサービスとの接続も行っている。支払いサービス、非支払いサービスとも「ワークフローを通じてチェックアウト・支払いフローとスムーズに接続することで、売り手は不正行為の報告、高度なトランザクションルーティング、複雑なフローの解決などをコードを書くことなく統合できます」とPrimerは説明した。

追加の資金は国際ビジネス開発とチームの拡大に使うとPrimerはいう。リモートファースト企業を謳うPrimerでは、6カ国で23名の社員が働いていて、すでに欧州全体で中規模から大規模企業のeコマース業者の取引を扱っているといっている。

「PayPal在籍中、オンライン小売業者が全世界の顧客に最高の支払い体験を提供するために技術的な負担を強いられているのを目の当たりにしました。私たちのローコードアプローチは、小売業者の支払いチームが彼らの支払いエコシステムを拡張し、高度な支払いロジックを使い慣れたワークフローUIで維持できるようにするものです」とPrimerの共同ファウンダーでプロダクトおよび技術責任者のPaul Anthony(ポール・アンソニー)氏は語る。

同社プラットフォームのサービス開始からまだ数週間しか経っていないにも関わらず、新たな投資によってPrimerの総調達額は1780万ポンド(約24億7000万円)となった。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Primer資金調達

画像クレジット:Primer

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

友人とのつながり・会話を楽しみつつグループ購入できる「シェア買い」の「カウシェ」が約1.8億円調達

友人とのつながり・会話を楽しみつつグループ購入できる「シェア買い」の「カウシェ」が約1.8億円調達

友人や家族などとコミュニケーションを楽しみながらグループ購入を行える「シェア買い」アプリ「カウシェ」(KAUCHE。Android版iOS版)開発・運営のX Asiaは11月30日、約1.8億円の資金調達を発表した。取引先はANRI、グローバル・ブレイン、千葉道場ファンド。調達した資金は、カウシェの機能開発、人材採用などの強化に用いる。

また、11月30日のAndroid版リリースを記念し、「Androidアプリ リリース記念キャンペーン」も開始した。先着300名限定の特別クーポン(1人1回利用可能)のプレゼントを行っている。期間は12月6日23時59分まで。

友人とのつながり・会話を楽しみつつグループ購入できる「シェア買い」の「カウシェ」が約1.8億円調達

カウシェは、ショッピングの醍醐味ともいえるコミュニケーションをオンラインで実現するアプリ。買い物可能な商品は食品や酒類を含む飲料など。

X Asia 代表取締役CEO 門奈剣平氏によると、従来ECサービスのように(ひとりだけで)目的の商品を購入できればよいという形態ではなく、ショッピングセンターやデパ地下などで魅力的な商品を偶然見つけて、「この商品、よくない?」「一緒に買おうよ!」といったやり取りやつながりを楽しみつつ、購入できるショッピング(醍醐味)アプリを目指しているという。買い物ならではの楽しさの実現のため、あえて検索機能を用意していないそうだ。

カウシェでは、購入したい商品を選び、割引価格での購入を決定後に、「シェア買いURL」情報をLINE・Twitter・InstagramなどのSNS上でシェアすることになる。この時、24時間以内に(自分以外の購入者として)友人・家族など1人以上が商品の購入を決めると「シェア買い」が成立し、価格の最大70%引きの値段で商品を入手できる(商品により割引率は異なる)。24時間以内に「シェア買いが成立しなかった場合」は、全額返金となる。なお、シェア買いは匿名参加も可能で、個人情報を他の希望購入者に明かすことなく買い物を行うこともできる。

シェア買いが成立した製品については、個別決済・個別配送が行われるため、集金や割り勘などの手間がない。9月25日よりApple Payに対応し、iOS版の場合よりスムーズに買い物を楽しめる。

友人とのつながり・会話を楽しみつつグループ購入できる「シェア買い」の「カウシェ」が約1.8億円調達

2020年4月創業のX Asiaは、カウシェ(iOS版)を2020年9月より提供開始。リリース初日に1000リットル以上の水が「シェア買い」されたという。iOS版リリースから現在までに、購買者数が約4倍に増えたほか、カウシェ掲載商品数は1500点以上に到達。より多くの方に「シェア買い」購入体験を届けたいとしている。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:X Asiaカウシェ資金調達(用語)食品(用語)ネットショッピング / eコマース(用語)日本(国・地域)

新方式植物工場のプランテックスが農業機械大手クボタから資金調達、大規模マザー工場を建設

新方式植物工場のプランテックスが農業機械大手クボタから資金調達、大規模マザー工場を建設

人工光型植物栽培装置「Culture Machine」および植物成長管理システム「SAIBAIX」の開発を手がける植物工場スタートアップのプランテックスは11月30日、第三者割り当て増資による資金調達を発表した。引受先は、農業機械メーカー大手のクボタ

今回調達した資金は、同社事業の旗艦となる新方式植物工場(マザー工場)を建設・運営するための資金として活用。マザー工場の建設・運営を通じて、同社植物生産システムが、効率的・安定的であることを実証する。またクボタとの連携を強めることで、植物工場の企画・建設事業を国内外で推進する。

同社では、2019年より東京都中央区京橋に密閉方式の大型栽培装置を設置し、葉物野菜を生産。その野菜は、東京都内の大手スーパーマーケットで販売され、買い物客から高い評価を得ているという。今回調達した資金を活用してマザー工場を建設・運営し、野菜の生産量を拡大する。

世界初のクローズド・タイプ(密閉方式)の植物栽培装置「Culture Machine」。物の量産に最適な型装置タイプの「Type M」

世界初のクローズド・タイプ(密閉方式)の植物栽培装置「Culture Machine」。物の量産に最適な型装置タイプの「Type M」

棚ごとに機密・断熱されており、環境パラメーターを個別に制御可能

棚ごとに機密・断熱されており、環境パラメーターを個別に制御可能

密閉方式の栽培装置のプロトタイプ

密閉方式の栽培装置のプロトタイプ

また同社では、小型栽培装置を多数設置した植物栽培研究所(仮称)の設立を予定。大学、企業、研究機関と連携し、栽培品種の多様化、機能性野菜や薬用植物などの高付加価値植物の栽培に関する研究開発を加速。プランテックスは、密閉方式の栽培装置を用いて、従来の植物工場にはできない植物生産を実現し、植物工場産業を革新するとしている。

Culture Machineの小型装置「Type XS」。サイズは1.8×2.0×1.6mで、植物の栽培環境の条件の研究開発を小回りよく進める際に最適

Culture Machineの小型装置「Type XS」。サイズは1.8×2.0×1.6mで、植物の栽培環境の条件の研究開発を小回りよく進める際に最適

小型栽培装置を多数設置した植物栽培研究所(仮称)のイメージ

小型栽培装置を多数設置した植物栽培研究所(仮称)のイメージ

クボタは2019年6月、「イノベーションセンター」を立ち上げ、国内外のスタートアップ企業への出資や、協業交渉などを推進。プランテックスとの連携を強め、人工光型植物工場の事業化を共に推進することで、食料生産の効率化・供給安定化の実現に貢献する。

プランテックス独自開発の栽培装置Culture Machineは、栽培棚ごとに独立した密閉方式を採用し、装置内部に空調や養液循環システムを組み込んでおり、これにより各棚の栽培環境を高精度に制御可能。同社では、用途別に植物工場向けの大型栽培装置Type M、研究開発向けの小型栽培装置Type XSの2種類を提供する。

まず、大型栽培装置を用いることで、一般的な人工光型植物工場に比べ、生産の安定性と面積あたりの生産性を同時に高めることが可能。また、栽培装置を複数台並べることで、同一工場内で複数の栽培環境を設定できるため、一般的な人工光型植物工場では難しかった多品種栽培に対応できる。

また小型栽培装置を用いて、機能性野菜や薬用植物などの高付加価値植物の栽培に関する研究開発を実施。栽培環境を高精度に制御することで、植物の栄養成分や薬用成分を高めることを目指しているという。

さらにプランテックスの小型栽培装置と大型栽培装置とは、独自開発の植物成長管理システムSAIBAIXと連動することで、栽培環境および植物生育に高い再現性を備える。その結果、小型栽培装置で見出した高付加価値植物の栽培条件を、大型栽培装置による植物生産にただちに適用可能という。これら同社の栽培装置を用いることで、研究開発から生産までをシームレスにつなげられるとしている。

センサー、ソフトウェア、コントローラーからなる、植物成長制御システム「SAIBAIX」を開発。電気・種・CO2・肥料・水といったインプットと、植物成長というアウトプットを紐付けたシステムとなっており、センサー測定値・コスト指標値・植物の成長指標値をリアルタイムでコントロールできる

センサー、ソフトウェア、コントローラーからなる、植物成長制御システム「SAIBAIX」を開発。電気・種・CO2・肥料・水といったインプットと、植物成長というアウトプットを紐付けたシステムとなっており、センサー測定値・コスト指標値・植物の成長指標値をリアルタイムでコントロールできる

植物工場は、「省スペース・省資源で農村・都市を問わず、異常気象等の外部環境に左右されることなく、食と健康と安全・安心を提供できる」能力を特徴としている。食糧不足や環境問題など人類が抱える諸課題の解決に貢献する可能性を持つ一方、実用化して間もないことがありその生産技術は発展途上にあるという。

プランテックスは、高度なスキルを持つエンジニアリング企業として、植物工場の可能性を引き出した植物栽培装置と植物成長管理システムを開発するとともに、植物生産事業および研究開発事業の両面で利用されるプラットフォームを、様々な産業界に提供する。

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カテゴリー:フードテック
タグ:クボタ(企業)資金調達(用語)食品(用語)農業(用語)プランテックス日本(国・地域)

救急外来特化の患者情報記録・管理システム「NEXT Stage ER」提供のTXP Medicalが2.5億円調達

救急外来特化の患者情報記録・管理システム「NEXT Stage ER」提供のTXP Medicalが2.5億円調達

救急外来に特化した患者情報記録・管理システム「NEXT Stage ER」シリーズを展開するTXP Medicalは11月30日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資として2.5億円の資金調達を2020年7月に完了したと発表した。引受先は東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)。

今回のラウンドで調達した資金は、人材の獲得費用にあて主力事業および新規事業の成長を一層加速する。具体的には、主力事業「NEXT Stage ER」シリーズの提供対象を大病院から中小病院に拡張する予定で、これに伴うSaaSの開発に必要なエンジニアの採用を強化する。

また同社では、「NEXT Stage ER」シリーズの提供を通し構築したデータプラットフォームを活用し、医療データサービスを新規事業として開始。「NEXT Stage ER」シリーズは、救急搬送や病院への電話相談時点から病院到着後の診察・処置、転帰までの構造化・匿名化された年間約100万名分の一連の患者データの取得・蓄積が可能であり、国内最大の救急医療データプラットフォームを構築しているという。

新規事業は、同プラットフォーム上のビックデータを、新たな医療技術開発や製薬産業、保険事業などに利活用可能な医療データサービスであり、同新規事業のさらなる事業拡大を推進すべく、各業界に精通したビジネスディベロップメントを担う人材の獲得に注力する。

TXP Medicalは、引き続き、救急医療現場のデータを統合しプラットフォーム化を進めるとともに、医療データの利活用を通じて、患者体験の向上および急性期医療をはじめ、医療業界全体の発展に貢献すべく事業に取り組んでいく。

2017年8月設立のTXP Medicalは、「医療データで命を救う」というコーポレート・ミッションのもと、分断された医療データを統合しプラットフォーム化することでデータを循環させ、医療現場でより多くの命を救うことを目指し事業を展開するスタートアップ企業。

病院電子カルテ端末上で稼働する救急外来の総合データプラットフォーム「NEXT Stage ER」シリーズの提供を主力事業と位置付け。同シリーズは、救命救急センターや大学病院を中心とした全国32の地域基幹病院で導入内定・稼働している(2020年10月末日時点)。その他、臨床現場の業務を支援する医療AIモジュール、音声入力技術の提供、多数の学術研究および情報発信を行うリサーチチームのノウハウを活用した研究支援サービスの提供、また、自社サービスを介し蓄積・統合された医療データを新たな医療技術開発や製薬産業、保険事業などに活用可能な医療データサービス事業に取り組んでいる。

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:医療(用語)資金調達(用語)TXP Medical日本(国・地域)

ゲーム以外でも広く使われるビデオチャットDiscordが最大7280億円の評価を受け資金調達ラウンド完了へ

ラウンドに関して知る情報筋によると、Discord(ディスコード)が新しい資金調達ラウンドを間もなく完了する。同社の価値は最大70億ドル(約7280億円)とみられる。DiscordはMUD(マルチユーザーダンジョン)ルームに関して21世紀の答えを提供した通信サービスだ。

同社を35億ドル(約3640億円)で評価した1億ドル(約104億円)の投資から今回の新しい資金調達までわずか数カ月しか経っていない。Discordの企業価値の倍増は、新型コロナウイルスのパンデミックに米国が一貫して不適切に対応したために、バーチャルソーシャルネットワーキングの場を創り出すビジネスの採用と成長が加速し続けたことが要因だ。

その動きはDiscordの爆発的な成長に表れている。2020年の月間アクティブユーザー数はほぼ2倍の1億2000万人に達し、同社は1日あたり80万件のダウンロードを記録した。また大人気のゲーム「Among Us」(The New York Times記事)のおかげで、人気議員であるAlexandria Ocasio-Cortez(アレクサンドリア・オカシオ・コルテス氏から絶大な支持(未訳記事)を受けている。

Discordはゲーム業界で最初の成長を遂げた。若いゲーマー世代(現在、世界中で数十億人を超える)のオンラインの溜まり場として、初期のソーシャルネットワークに取って代わったマルチプレイヤー、マルチプラットフォームゲームの台頭によるものだ。

だが同社の創業者が直近の資金調達ラウンド発表時に指摘したように、Discordの用途はゲームコミュニティをはるかに超えている。

「多くの人にとって、それはもはや単にビデオゲームに止まらないということがわかりました」と、共同創業者のJason Citron(ジェイソン・シトロン)氏とStanislav Vishnevskiy(スタニスラブ・ビシュネブスキー)氏は、直近の資金調達を発表した7月のブログ投稿で書いた。

2人は自身の会社を「あなた自身のコミュニティや友人と心地良さの中で話し、ぶらぶらするよう設計された場所」として捉えている。同社は、「話し合う、何かを学ぶ、アイデアを共有するなど、本物の会話をし、人々と充実した時間を過ごす場所」だと彼らはいう。

それがインターネットの初期のユーザーにとって馴染みがあるように聞こえるなら、それはそのものだからだ。WWW(ワールドワイドウェブ)の黎明期に、MUD(マルチユーザーダンジョン)は任意の数のサブカルチャーの実行者が、オンラインで互いを見つけ、共有する嗜好の対象についてチャットする方法を提供していた。

ウェブが進化するにつれて、会話が行われる場所とスペースの数も進化した。現在、ユーザーがウェブ内で互いを見つける多様な方法があるが、Discordは他のほとんどの方法を上回っているようだ。

アナリストのJohn Koetsier(ジョン・クーツィール)氏が2019年にフォーブスで述べたように、すでに2億5000万人のDiscordユーザーが1日に3億1500万件のメッセージを送信していた。これは同社のパンデミック前の数値であり、どの基準に照らしても印象的だ。

ウェブ上で人気が高まっている他のプラットフォームと同様に、Discordに弱点がないわけではない。同社は3年前、多数の極めて人種差別的なユーザーを追い出そうとしたが、プラットフォームを利用して悪意ある表現を広める動きはしつこく続いている(Slate記事)。

2019年半ばまで、白人至上主義者らはこのサービスを十分かつ快適に利用して、Daily Stormer(デイリーストーマー、極右ウェブサイト)の創設者であるAndrew Anglin(アンドリュー・アングリン)氏の声高な主張を正当化することができた。同氏は仲間にサービスの使用をやめるよう促した(archive.today投稿)。

「Discordは極右グループにとって常にそこにある存在であり、利用可能でもあります」とData & Society Research Instituteのメディア操作担当主任研究員であるJoan Donovan(ジョアン・ドノバン)氏は、2018年にSlateで語った。「極右グループが晒しや嫌がらせキャンペーンを組織的に行っている場所です」。

Crunchbaseによると、これまでにDiscordはGreylock、Index Ventures、Spark Capital、Tencent、Benchmarkを含む投資家グループから3億7930万ドル(約400億円)を調達した。

2020年初めに調達した資金に加えて、Discordは新しいユーザーエクスペリエンスを強化し、ユーザーがより簡単にコミュニケーションできるように(そしてZoomと競争できるように)ビデオ機能を追加した。ユーザーがサーバーを作成するテンプレートも提供される。同社は音声とビデオの容量を200%増やした。

このプロダクトにおける新たな取り組みの一環として、Discordは同社が「セーフティセンター」と称するものを立ち上げた。そこで同社の規程や規制、またヘイトスピーチや乱用にサービスが使われているかを監視・管理するためにユーザーが行使可能なアクションを明確に定義している。

「私たちは、白人至上主義者、人種差別主義者、その他の悪用目的でDiscordを利用しようとする人々に対して断固たる行動を取り続けます」と創業者は6月に書いた。

当時TechCrunchが報じたように、Index Venturesの共同創業者であるDanny Rimer(ダニー・ライマー)氏は、Discordのより広いビジョンの提唱者だった。同氏はDiscordの直近の1億ドル(約104億円)の現金注入に応じた投資家グループを率いた。

「私はDiscordがプラットフォームの未来だと思っています。なぜならDiscordは、責任を持ってキュレーションされたサイトが、共通の関心を持つ人々に安全なスペースを提供する方法を示しているからです」とライマー氏は声明で述べた(Index Ventures投稿)。「Facebook(フェイスブック)のように生のコンテンツをあなたに投げかけるのではなく、あなたとあなたの友人に共有体験を提供します。我々はやがて、Slackが職場で起こる会話に対して行ったことと同様に、Discordがソーシャルな会話に対して行ったことを評価するようになるでしょう」。

どうやら、投資家らはその評価に賭けようとしているようだ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Discord資金調達

画像クレジット:Discord

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(翻訳:Mizoguchi

個人用心電図デバイスを開発したAliveCorがソフトウェアで新たにFDAの認定を取得

9年前に設立された従業員数92人のAliveCorは、キッチンのテーブルで測定した心拍数から心房細動、徐脈、頻脈を検出できる小型の個人用心電図デバイスを開発し、投資家から6500万ドル(約67億6800万円)の資金調達を行ったと、米国時間11月16日に発表した。

そして米国時間11月23日、カリフォルニア州マウンテンビューの会社に合計1億6900万ドル(約175億7000万円)を提供した投資家たちが、その展望に興奮している理由がより明らかになった。同社のアップグレードが十分に詳細で正確であるとして、FDAの医療機器ソフトウェアとして認定され、最新のFDAクリアランスを取得したのだ。AliveCorによれば、心臓病患者が医師の目の前にいない場合の大多数のケースで、同社の心臓学的サービスが代役として機能するようになったという。

具体的には、このFDA認定のアップデートにより、早発性心房収縮、早発性心室収縮、広いQRSをともなう洞調律を検出できるようになったとのこと。

パンデミックが猛威を振るい、人々が病院の訪問を躊躇したままの世界に、これらの小さなステップが追加された。実際、Priya Abani(プリヤ・アバニ)CEOと、AliveCorの創設者であり最高医療責任者であるDavid Albert(デビッド・アルバート)氏(かつてGEで心臓学の主任臨床科学者を務めていた)は、今年3月以降、AliveCorの「Kardia」デバイスを使用して1500万件近くの心電図記録が行われており、これは前年比70%以上の増加であると述べている。

また、同社が「 physician-patient connections(医師と患者のつながり)」と呼ぶものは、前年比25%の増加があったと主張している。これはつまり、医師が患者に対して、特にこのデバイスを診療所または患者の自宅で使用するように求めることを意味している。実際、両者によると、同社はこれまで消費者向け販売に注力してきたが、多くの新規ビジネスが医師の紹介によってもたらされており、現在では同社のデバイスの約2台に1台がこのような紹介によって販売されているとのことだ。

患者はまだ自己負担でAliveCorの個人用心電図デバイスを購入する必要がある。価格は1台89ドル(約9250円)だが、より洗練されたモデルは139ドル(約1万4450円)で販売されている。

同社はさらに最近、年間99ドル(約1万300円)のサブスクリプション製品を投入した。これは顧客の心臓のデータを月ごとにまとめるなどの追加機能が「使用可能」になり、近々、主治医の代わりに質問に答えてくれる心臓専門医にアクセスできるようになることを期待していると、アバニ氏は述べている。

アバニ氏はAmazon(アマゾン)でAlexaのゼネラルマネージャー兼ディレクターを務めていたが、2019年にAliveCorに入社した。彼女によると、顧客の高血圧や血圧の測定に役立つ他の機能も開発中だという。AliveCorでは、同社によってより広く、人々が自宅で慢性疾患を管理できるようになると考えており、このやり方がうまくいけば、雇用主は従業員が自分の心臓の健康をより良く管理する方法として、従業員にこのサービスを提供し始めるだろうと、彼女は付け加えた。

AliveCorが法人向けに大きく力を入れているのは、新型コロナウイルスとその波及効果だけでなく、個人消費者市場におけるApple Watchとの競合とも関係があるようだ。Apple Watchは、電気パルスによって着用者の心臓の鼓動を記録し、心房と心室がリズミカルに拍動を繰り返しているかどうかを判断することができるようになった。

AliveCorは、心臓の健康に関する意識を高めるためにApple(アップル)を賞賛してきたが、2019年はApple Watchで使用するために設計されたFDAクリアのECG(心電図検査)リストバンドで「KardiaBand」と呼ばれる同社初期の製品を、売上高の減少のために生産中止した。

AliveCorの製品は現在、インド、韓国、ドイツを含む12カ国で販売されており、合計37カ国以上で販売するためのクリアランスを取得している。

同社のサイトを通じて顧客に直接販売されているだけでなく、そのデバイスはBest Buy(ベストバイ)、CVS、Walgreens(ウォルグリーン)でも購入可能だ。

ただし、これは注意が必要な点だがアップルもAliveCorも、製品も実際の心臓発作を検出することはできない。どちらも心房細動を検出することはできるが、急性の心臓発作は心房細動とは関連していない。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:AliveCor資金調達

画像クレジット:AliveCor

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(翻訳:TechCrunch Japan)

仕入れや在庫を最適化し店頭の食品鮮度を管理するAfreshが評価額100億円達

Afreshは、生鮮食品の需要を追跡して食料品店のオーダーを最適化するソフトウェアを開発している。いまや同社の評価額は、1億ドル(約103億9000万円)に達している。

このすごい評価額で同社は、Food Retail Venturesがリードする最新の投資ラウンドの追加投資として1300万ドル(約13億5000万円)を調達した。このラウンドにはこれまでの投資家であるInnovation EndeavorsとMaersk Growth、そしてBaseline Venturesが参加した。

なお、このラウンドの一環として、スーパーマーケットの持株会社であるAhold USAの元CEO、James McCann(ジェームズ・マッキャン)氏が同社の取締役会に加わった。

Afreshのような企業は、製造企業が採用しているERP(Enterprise Resource Planning、企業資源計画)と同じ種類の技術で食品廃棄物の問題に取り組んでいる。そしてその成果も上がっており、同社によると、Afreshを利用しているストアは、そうでないストアに比べて無駄になる食材を1 / 4減らしている。そのようなストアは、食材の営業利益が40%向上し、売上も2%から4%増加している。

Afreshの創業者でCEOのMatt Schwartz(マット・シュワルツ)氏は、声明で次のように述べている。「2020年には、初期の顧客のパートナーシップと、弊社の技術が認められたことにより、大きく勢いが付いた。今年の早期にパンデミックが始まったときも、弊社のプロダクトが生鮮食品の業界を助けて、彼らがこの予測不可能な時期に適応できたことを誇らしく思う。しかも最近では、新しい顧客からのとても大きな需要がある。業界のベテランやテクノロジー投資家のインサイダーたちが訪れて、Afreshに倍プッシュすべきかと尋ねたられたら、即座にイエスと答えるだろう。今回の新たな資本で弊社は、2021年にはさらに急速に大きく成長できる。食品廃棄物を減らして、新鮮で栄養価の高い食品に世界中の人びとがアクセスできるようにしていきたい」。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ビデオメンタリングプラットフォームのSuperpeerが約8.3億円調達、複数人数を相手にできる有料チャンネルも公開

さまざまな分野の専門家が知識をオンラインで共有して収益化するサービスを提供するスタートアップのSuperpeerが、800万ドル(約8億3000万円)を追加で調達したと発表した。

2020年3月に筆者が記事にした通り、専門家はSuperpeerのプラットフォームを利用してアドバイスを求める人との1対1のビデオ通話を宣伝し、予定を立て、課金することができる。

資金調達の発表に加え、Superpeerは1対1のセッションの他に有料チャンネルも開始した。有料チャンネルでは、専門家はサブスクリプションの課金で複数人数を相手にビデオとチャットを利用することができる。共同創業者でCEOのDevrim Yasar(デブリム・ヤシャル)氏は有料チャンネルについて、Superpeerにいる専門家ともっと話しやすくなり、専門家は視聴料金が安くて済むセッションを開催して多くのオーディエンスにリーチできると説明した。

ヤシャル氏は「たとえば『私はAnthony Ha(訳注:本記事の筆者)です、もしあなたが私と話したいなら1時間あたり500ドル(約5万2000円)ですよ』というのは難しいかもしれません。しかし1ドル(約104円)、あるいは5ドル(約520円)のサブスクリプション代金で誰でも視聴できるチャンネルを持っていれば、利用者はアクセスしやすくなり、専門家側は安心できます」と述べた(筆者と話すのに1時間あたり500ドルなどということは決してない。念のため)。

さらに、チャンネルでのセッションの後にまだ「熱心な質問」があるサブスクライバーがいれば、1対1の会話を提案する(そして追加で課金する)こともできる。

新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の中で、オンラインでのメンタリングとコンテンツが新しい収入源として広く活用されるようになってきた。たとえば米国時間11月16日には、Squarespaceが「Member Areas」という新しい収益化の手段を公開した。筆者はProxという別のビデオメンタリングプラットフォームについても記事にした(未訳記事)。

ヤシャル氏は競争が激しくなってきていることは認めたが、Superpeerは知識人やソートリーダーにとって最も魅力のあるブランドとなるように努めているという。同氏はこのビジョンを(半分は冗談で、半分は誇らしげに)「優秀な人を好むファン専用」と表現した。

ヤシャル氏は次のように述べた。「もし知識人で、オーディエンスがいて、ビデオが3000万回再生されるTEDのスピーカーだとしても、そのオーディエンスから実際に収益化するプラットフォームはこれまでありませんでした。できることといえば、本を書いて販売し、誰かのイベントにゲスト出演することぐらいでした。こうした人々はYouTubeやInstagramには行きたがりません。自分自身と結びつけたいブランドではないからです」。

Superpeerはブランディングだけでなく、ブラウザでビデオを快適に視聴できるよう技術面にも熱心に取り組んでいるとヤシャル氏は述べた。

今回の資金はAcrew Capital、Audacious Ventures、Homebrew、Moxxie Ventures、Brianne Kimmel、Scott Belsky、OnDeckから調達した。Superpeerの合計調達金額は1000万ドル(約10億4000万円)となった。

ヤシャル氏は、成長チーム、パートナーシップチーム、収益チームを拡充していくと述べた。また専門家に対してブランドアンバサダープログラムを通じて収入面の支援もしていく予定だが、詳細は検討中だという。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Superpeer資金調達

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(翻訳:Kaori Koyama)

超迅速に食品配達を行うことしかわかっていないデリバリースタートアップDijaが21億円を調達間近

TechCrunchが入手した情報によると、Deliverooの元上級社員が設立した英国のスタートアップDijaは2000万ドル(約20億9000万円)の資金を調達した。

​複数の情報源によると、ラウンドはまだ完了していないが、元IndexとLocalGlobeのVCであるOphelia Brown(オフィーリア・ブラウン)氏が設立したアーリーステージのベンチャーキャピタルであるBlossom Capital(未訳記事)が主導しているという。​他に誰が候補に挙がっているのか明らかではないが、非常に競争が激しく、このスタートアップは複数の一流ファンドからオファーを受けていたと私は理解している。​Blossom CapitalとDijaはコメントを避けている。

コンビニエンスストアとデリバリーの分野で活躍しているDijaは、Deliverooで長年上級職を務めたAlberto Menolascina(アルベルト・メノラシナ)氏とYusuf Saban(ユスフ・サバン)氏によって設立された。

メノラシナ氏は以前、大手テイクアウトデリバリー企業のCorporate Strategy and Developmentのディレクターを務め、それ以前はいくつかの役職を歴任していた。彼はまたイタリアでInstacartスタイルの食料品配達企業であるEverli(旧Supermercato24)を共同設立し、Just Eatでも働いていた。

サバン氏はDeliverooのCEOの元チーフスタッフで、投資銀行モルガン・スタンレーでも働いていた。

つまり2人とも、スタートアップからスケールアップまでの食品物流業界での経験豊富な人物だ。​メノラシナ氏とサバン氏はDeliverooのシリーズD、E、Fの資金調達ラウンドにも貢献した。

​一方、Dijaの詳細はほとんど明らかにされていない。「ダーク」コンビニエンスストア・モードを利用してコンビニの商品や生鮮食品のデリバリーを提供を行う。人口の多い都市部にハイパーローカルフルフィルメントセンターを建設し、超迅速なデリバリーを行うことくらいしかわかっていない。米国のAccelやSoftBankが出資するgoPuff、あるいは英国のスタートアップWeezy(未訳記事)のようなものだ。

​とはいえ、このモデルは試されたすべての場所でまだ証明されたものではない。しかし、Dijaが良いスタートを切る資本集約的なレースになる可能性が高い。もちろん、パンデミックの中、誰もが食料品をオンラインで購入するようになっている。つまりこれまでと同じく、成功するかどうかはタイミングがすべてだ。

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タグ:Dija食品配達配達資金調達

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(翻訳:TechCrunch Japan)

キャラクター雑貨ブランド「tretoy」運営のアダビトがプレシリーズAラウンドで数千万円調達

キャラクター雑貨ブランド「tretoy」運営のアダビトがプレシリーズAラウンドで数千万円調達

キャラクター雑貨ブランド「tretoy」(トレトイ)運営のアダビトは11月26日、プレシリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資として数千万円の資金調達を実施したと発表した。引受先はF Ventures LLPおよびiFund。

トレトイは海外で人気のデザイナーズトイを中心に扱うキャラクター雑貨屋で、「かわいい×癒やし」の融合を大事にしているという。「トレトイ」という名はトレンドトイの略で「トレンドを生み出すトイを提供したい」という思いを込めたそうだ。

キャラクター雑貨ブランド「tretoy」運営のアダビトがプレシリーズAラウンドで数千万円調達

デザイナーズトイはデザイナーやアーティストが作ったフィギュアやぬいぐるみを指し、そのデザイン性の高さからアートトイとも呼ばれている。デザイナーの思想や哲学を感じながら作品を眺めるのもデザイナーズトイならではの楽しみとしている。

また昨今は、「ブラインドボックス」と呼ばれる箱をあけるまで何が入っているか分からない形式で売られることが多く、トレトイでも多数商品を扱っている。

10月に韓国トイアーティストratokim氏とのコラボで販売した「BOXCAT ハンドメイド限定版」は販売開始わずか1分で完売したという。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:資金調達(用語)日本(国・地域)

インセンティブマーケティングのWeGiftが8億円相当を調達しニューヨークにも進出

ロンドンでインセンティブマーケティングのプラットフォームを開発したWeGiftは、企業に対して顧客にお礼や勧誘材として配るeギフトカードなどインセンティブの素材を提供している。同社はこのほど、800万ドル(約8億3000万円)の資金を調達した。

その資金は拡張シリーズAと呼ばれ、AlbionVCがリードした。既存の投資家であるStride.vcやSAP.iO fund、それにUnilever Venturesも参加した。資金調達の一環としてAlbionVCのゼネラルパートナーであるEd Lascelles(エド・ラスセルズ)氏が、WeGiftの取締役会に加わった。

WeGiftによると、その追加資金は顧客企業に、インセンティブのための「リアルタイムインフラストラクチャ」を開発し提供していくために費消される。たとえばそれは、ブランドに直接統合されたサプライチェーンや、顧客の獲得と活性化とつなぎ留めを大規模にやりたいと考えている企業のマーケティングチームの役に立つプロダクトの開発だ。

2016にAron Alexander(アロン・アレクサンダー)氏が創業したWeGiftは、現在、全世界で7000億ドル(約73腸炎)の市場規模になっているインセンティブ産業を全面的にデジタル化したいと考えている。ご存知のように、この産業は現在のところレガシーなシステムで作るフィジカルなギフトカードが主流だ。

「現在の決済は一方通行だ。決済技術は、企業が顧客から金を受けとるために作られているが、企業が消費者にお金を贈ることは考えられていない」とアレクサンダー氏は話している(未訳記事)。「私たちが作ったのは、現金以外のデジタルのお礼の新種だ。それによって顧客の獲得と保持とファン化をグローバルに行う。いわばそれはeギフトカードのためのTwilioだ」。

WeGiftが提供しているのが「クラウドベースのオープンAPI」のプラットフォームで、企業はこれを利用してデジタルインセンティブの作成と送付を自動化できる。それにはアナリティクスもついているので、インセンティブマーケティングキャンペーンの費用対効果を知ることもできる。

TechCrunchが1年ほど前にWeGiftを採り上げたときは500社がそのAPIを利用していたが、いまではNikeやUberなども含む700社、30カ国、そして20の通貨で使われている。VodafoneやSamsung、VoucherCodes、Perkbox、Sodexoなどの有名ブランドも700社の内に含まれる。

「私たちはVodafoneやUtilita、LookAfterMyBills、E.ONなど、通信とエネルギー企業に気に入られているようだ」とアレクサンダー氏はいう。

WeGiftが開示している売上の前年比成長率は317%だが、その額は未開示だ。なお同社は、ニューヨークにもオフィスを開いた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:WeGift資金調達

画像クレジット:WeGift

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

パブリッククラウド間のバリアーをなくすCast.aiがシード資金8.3億円を調達

パブリッククラウドでアプリケーションを動かす時、すべてを1つのプロバイダーに置くのが普通だが、コストやテクノロジーに応じてコンポーネントを選び、データベースはこちら、ストレージはあちらという風にできたらどうだろうか。

Cast.ai(キャスト・ドット・エーアイ)はそれを提供できるという。米国時間11月25日、そのアイデアの構築を続けるために770万ドル(約8億円)のシード資金をTA Ventures、DNX、Florida Fundersおよび匿名のエンジェルから獲得したことを発表した。ラウンドは2020年6月に完了している。

CEO・共同ファウンダーのYuri Frayman(ユーリ・フレイマン)氏は会社を始めた理由について、デベロッパーは1つのパブリッククラウドに固定されることなく、それぞれ最高のものを選べるべきだと考えたからだと話す。そのために同社は、複数のクラウドに渡って動作できるKubernetesクラスターを作ってこれを実現した。

「Castを使うために、あなたのアプリケーションを起動する以外なにもする必要はありません。『ある瞬間に』自分がどのクラウドを使っているかを知る必要もありません。使うアプリケーションを決め、どのパブリッククラウドプロバイダーを使いたいかを決め、それぞれのクラウドプロバイダーの利用比率を決め、アプリを立ち上げるだけです」とフレイマン氏は説明した。

これはつまり、Amazon(アマゾン)のRDSデータベースとGoogle(グーグル)のML(機械学習)エンジンを使うことが可能になり、要求と価格に応じて最善の組み合わせをCastが決めてくれるという意味だ。アプリをスタートする準備ができたら、あとはCastがユーザーの望む場所とプロバイダーに配分したり、アプリケーションにとって最適な方法で配分する。

会社はクラウドネイティブのテクノロジーとKubernetesのコンテナ化を活用して、クラウド間に存在する排他的バリヤーを破壊する、と共同ファウンダーのLaurent Gil(ローレント・ギル)氏はいう。「こうしたクラウドプロバイダーのバリアーを破ることによって、アプリケーションは1カ所に居続ける必要がなくなります。同時に複数のプロバイダーに存在することだってできます。これはKubernetesアプリケーションには特に適しています、なぜなら、このような柔軟性を念頭に置いて設計されているからです。

デベロッパーは、ポリシーエンジンを使ってこのプロセスをどこまで制御したいかを決める。場所を決めるだけで、あとはCastに任せてアプリケーションを自動的に複数クラウド間で最適化することもできるし、それぞれのクラウドで使うリソースを細かく指定することもできる。いずれの場合でも、Castは常にインストール状態を監視して、コストに基づいて、その構成で得られる最低価格の選択肢をユーザーに提供するよう最適化する。

現在社員は25名であと4人が採用を待っているところで、2021年末には50人に倍増する予定だ。会社が成長する上で、同社は多様性と包括性を採用方針の中心にし続けようとしている。現在、人事、マーケティング、営業の責任者を女性が務めている。

「私たちには組織内の継続的な多様性教育のための非常に強固なプロセスがあります。そして多くの社員が、多様性教育を強く前面に押し出している組織から来ているので、そこで得たさまざまなやり方と教訓を取り入れています」とフレイマン氏は語った。

フレイマン氏は複数のスタートアップに関わった経験があり、2016年にニューヨークで行われたTechCrunch Disruptバトルフィールドに参加した消費者向けファイアウォールのスタートアップ、Cujo.aiもその1つだ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Cast.ai資金調達

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Oculus Quest 2対応VR人狼ゲーム「ANSUZ」開発のキャラクターバンクが約1億円調達

Oculus Quest 2対応VR人狼ゲーム「ANSUZ」開発のキャラクターバンクが約1億円調達

VR/ARを含むXRゲームの企画・開発・運営を手がけるCharacterBank(キャラクターバンク)は11月26日、約1億円の資金調達を発表した。引受先は、マネックスベンチャーズ、THE SEEDおよび個人投資家1名。調達した資金により、開発体制の拡充とXRゲーム開発を進める。

キャラクターバンクは現在、対人VRゲームの制作を進めており、2020年内に大手プラットフォームへのリリースを予定している。また、すでに年間1タイトルのリリースが可能な開発体制を構築しており、今回の資金調達により、ゲームの開発を複数ラインで行うための体制拡充やXRゲーム開発に取り組んでいく。

「マルチプレイ」「アクション」など様々なジャンルで、XRゲームのヒットコンテンツを生み出すゲーム開発会社を目指すとしている。

開発中の対人VRゲーム「ANSUZ -アンスズ-」は、4名のプレイヤーが「善」か「悪」の2勢力に分かれて戦うというもの。プレイヤーが属する勢力はランダムに振り分けられ、例えば「悪」を引き当てたプレイヤーは、「善」勢力に見つからないようゲームを進めていく必要がある。それぞれが自分の言葉で巧みに論議を展開し、勝利を目指し、善が勝てば世界に平穏が訪れ、悪が勝てば世界が破滅する。身振り手振りや表情などの非言語コミュニケーション要素をゲームに取り入れており、より複雑な心理戦が可能という。対応予定端末は、Steam、VIVEPORT、Oculus、Oculus Quest、Oculus Quest 2。価格は無料で、発売時期は2020年内~2021年明け。

Oculus Quest 2対応VR人狼ゲーム「ANSUZ」開発のキャラクターバンクが約1億円調達

2019年3月設立のキャラクターバンクは、我々はスマートフォンやテレビなど既存メディアの型にとらわれず、「Hack the next experience.」をミッションに常に新しい体験を作るスタートアップ。

キャラクターバンクは今後大きく伸びるであろうPCが不要なスタンドアローンVRHMD「Oculus Quest 2」向けの開発を強化。Oculus Quest 2向けに独自に開発したシェーダーや、パーティクルシステムによりPC版に劣らないクオリティのコンテンツを企画・開発していくとしている。

また新たな体験を追求すべく、VRゲームはじめAR/MRグラスでのコンテンツ開発や個人用デバイスを超えた体験型のコンテンツの制作も予定しているという。

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Oculus Quest (製品・サービス)キャラクターバンク資金調達(用語)SteamVR / 仮想現実(用語)日本(国・地域)

AIでレストランの電話注文を受けるKeaが10.5億円調達

Keaはレストランが注文を受ける昔ながらの方法を変えようとしている新しいスタートアップだ。その昔ながらの方法とは、電話だ。

Keaは米国時間11月20日、シリーズAで1000万ドル(約10億4500万円)を調達したと発表した。このラウンドはMarbruckが主導し、Streamlined Ventures、Xfund、Heartland Ventures、DEEPCORE、Barrel Ventures、AVG Fundsが参加した。エンジェル投資家で、Lyftの最高戦略責任者であるRaj Kapoor(ラージ・カプール)氏、Panera Breadの創業メンバーの1人であるCraig Flom(クレイグ・フロム)氏、WingstopのフランチャイジーであるTony Lam(トニー・ラム)氏、 Five GuysのフランチャイジーであるJonathan Kelly(ジョナサン・ケリー)氏も参加した。

Keaの創業者でCEOのAdam Ahmad(アダム・アフマド)氏は、レストランは常に人手不足で電話応対に割ける人員はいないと語る(その結果、おそらく多くの人がレストランに電話をかけたらすぐに保留にされてしまった経験があるだろう)。

同時にアフマド氏は、特に新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大により多くのレストランにとってテイクアウトやデリバリーが最大の収入源になっている現状では、電話はいまも重要な注文手段であるとも指摘する。New YorkerのHelen Rosner(ヘレン・ロズナー)氏は、レストランを応援したいと思うなら「面倒でもレストランに直接電話をかけよう」と端的に提案している(New Yorker記事)。

同様にアフマド氏も、レストランがすべての注文に対して他社に多額の手数料を支払うのは「長く継続できる戦略ではない」と語る。そこでKeaは、レストランが電話でもっと多くの注文をさばけるようにするテクノロジーを提供する。アフマド氏が「バーチャルキャッシャー」と呼ぶように、最初に顧客に対応し、注文のルーティンを処理し、必要な時には従業員が対応にあたるというものだ。

自動音声アシスタントと聞くと、銀行などのカスタマーサービス部門に電話をかけた不快な記憶が蘇るかもしれない。しかしアフマド氏は、既存の電話システムは「スマートではない」がKeaのAIはそれとはまったく違う、なぜならレストランの注文に特化しているからだ、という。

「我々は極めて狭い分野に取り組んでいます。ピザであれば、順列組み合わせはたかだか数千です。我々は辞書全体を開発するわけではありません。限定的なモデル、特定のメニューを開発するだけです」と同氏は語る。

筆者はKeaからシステムを試用する電話番号を教えてもらった。プロセスはわかりやすく簡単で、住所と注文したいピザを話すだけだった。そして繰り返しになるが、いつでも従業員に電話に出てもらうことができる(実は試している間にうっかり従業員に転送されてしまい、あわてて電話を切るはめになった)。

Papa John’s、Donatos、Primanti Brothersなど250以上のレストランでKeaがすでに稼働している。Keaによれば、導入したレストランでは週あたり平均10時間分の仕事が減り、注文数は平均で23%増えたという。今回調達した資金で、2021年中に米国の37州、1,000カ所のレストランへの導入を目指す。

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Kea資金調達

画像クレジット:Fernando Trabanco Fotografía / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

インドのEdTech「Unacademy」が新たに資金調達、企業価値2090億円に

インドのオンライン学習プラットフォームUnacademy(アンアカデミー)は資本政策表に新たな大手投資家2社を加えた。K-12オンライン教育を専門とするバンガロール拠点のUnacademyは米国時間11月25日、Tiger Global ManagementとDragoneer Investment Groupから資金を調達したと発表した。

7500万ドル〜1億ドル規模(78億〜104億円、Unacademyは額を明らかにしておらず、この数字はこの件に詳しい人物が提供したもの)の投資ラウンドにより、創業4年半のUnacademyのバリュエーションは20億ドル(約2090億円)になった。Facebook(フェイスブック)が投資家に加わった2020年2月時の5億ドル(約520億円)、SoftBank(ソフトバンク)がラウンドをリードした9月の14億5000万ドル(約1510億円)から増えている。

「創業時からの当社のミッションは、教育を多くの人に届け、よりリーズナブル価格でアクセスしやすいものにすることでした。当社は、あらゆる人に高品質の教育を届けるアイコン的存在のプロダクトを絶えず開発してきました。本日、Tiger GlobalとDragoneerをパートナーとして迎えることをうれしく思います。両社とも大手グローバル投資家で、人々の暮らしに影響を与えるイノベーティブな企業と提携してきた実績があります」とUnacademyの共同創業者でCEOのGaurav Munjal(ガウラフ・ムンヤル)氏は声明文で述べた。

Unacademyは、競争の激しい大学入学試験に備える学生や、修士レベルのコースを追求している人をサポートしている。Unacademyのアプリでは学生は講師のライブ授業を視聴し、その後にテーマについてより詳細にレビューするセッションに参加する。ここ数カ月で、同社はインドの政治家Shashi Tharoor(シャシ・タルール)氏など著名な人とさまざまなテーマでのオンラインインタビューをいくつか持った。これにより、学生以外にもアピールすることになった。

Unacademyのプラットフォームは4万7000人超の講師を抱え、14以上の言語でインド国内5000市町村の学生に教えている。毎月15万以上のライブ授業がプラットフォーム上で行われ、毎月のトータル視聴時間は20億分だと同社は述べた。

「完全なるアクセシビリティを備え、オンライン教育を通じて暮らしを改善するチャンスは莫大なものです。Unacademyのチームは教育をインドの隅々にまで届けるリーダー的プラットフォームを構築するために迅速にイノベーションに取り組んできました。Unacademyと提携することに非常に興奮していて、提携をさらに深めることを楽しみにしています」とTiger Globalのパートナー、Scott Shleifer(スコット・シュレイファー)氏は声明文で述べている。

インドの学習にかける時間は世界でも長い(ゴールドマン・サックスが今年初めにクライアントに提供した分析レポートより)

全国の学校が新型コロナウイルスパンデミックで閉鎖される中、インドの多くの教育スタートアップはここ数カ月でかなりの成長をみせている。ほとんどのインド人がオンラインサービスにはお金を出さない傾向にあるが(GoogleやFacebookに聞くといい。両社ともインドをユーザー数では最大のマーケットとしてとらえているが、さほど利益は出していない)、教育に関しては例外だ。インド人の家庭は、より良い未来へと道を切り開くために引き続き子供の教育にかなりの金を注ぎ込む。

カテゴリー:EdTech
タグ:Unacademy資金調達インド

画像クレジット:Unacademy

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(翻訳:Mizoguchi

Autodeskが都市開発向けAIソフトウェア企業Spacemakerを2億4000万ドルで買収

エンジニアリング・設計業界を対象としたソフトウェアとサービスを提供する米国の上場企業、Autodesk(オートデスク)は、都市開発向けのAIベースソフトウェアを開発してきたノルウェーのスタートアップ、Spacemaker(スペースメーカー)を買収した。

買収価格は2億4000万ドル(約250億円)で、ほぼ全額現金払いの取引となる。 スペースメーカーに投資するベンチャーキャピタル(VC)には、2019年に同社への2500万ドル(約26億円)のシリーズAラウンドを共同で主導した欧州企業、Atomico(アトミコ)Northzone(ノースゾーン)が含まれている。 資本政策表に名を連ねるその他の投資家には、北欧に展開する不動産イノベーターNREP(エヌレップ)や同じく北欧の不動産開発業者OBOS(オボス)、英国の不動産テクノロジーファンドRound Hill Ventures(ラウンドヒルベンチャーズ)、ノルウェーのConstruct Venture(コンストラクトベンチャー)などがある。

Håvard Haukeland(ホーヴァート・ハウケラン)氏、Carl Christensen(カール・クレステンスン)氏、Anders Kvale(アナス・クヴァール)氏によって設立されたスペースメーカーは、ノルウェーのオスロを拠点としており、他にも世界各地に多くの支店を構えている。従業員は115名で、AIを利用したクラウドベースのソフトウェアを開発および販売し、建築家、都市計画者、不動産開発者がより多くの情報に基づいた設計上の決定を行えるよう支援している。デザイナーの肩越しに見るようにすることによって(CEOのハウケラン氏はよくこのように言う)、スペースメーカーのソフトウェアが目指しているは、人間の作業を強化し、都市開発の設計と計画のプロセスをスピードアップさせるだけでなく、出来上がった空間の持続可能性やそこに住むことになる人々や生活の質といった成果を向上させることである。

これを実現するために、ユーザーは同社のプラットフォームを使用することで、地形、地図、風、照明、交通、区画分けなどの設計基準やデータを考慮しながら、複数の設計案を簡単に「生成、最適化、反復」することができる。その後、スペースメーカーは、候補地の可能性を最大限に引き出すために最適化された設計案を提供する。

「2020年の初めには会社を売却する気などまったくありませんでした」とハウケラン氏は先週、電話でこう語った。 「しかし、以前から関係のあったオートデスクと話を始めてみると、同社が私たちと同じビジョンを持っていることがよくわかりました。さらに、この売却によって私たちのビジョンを強化できること、また実際に、そのビジョンをはるかに短期間で達成できることがわかりました。自分たちのビジョンを実現し、製品を世界に送り出して、何百万人もの建築家やエンジニア、開発者の手に届けること、それこそが私たちを動かすものであり、私たちの望むことなのです」。

金曜日午後遅くの電話でオートデスクのCEO兼社長であるAndrew Anagnost(アンドリュー・アナグノスト)氏は、スペースメーカーの買収が、クラウドの力、「安価なコンピューティング」、そして機械学習を利用して設計方法を変化させ、進化させていくという同社の長期的な戦略に沿ったものであると述べた。

「これは、最先端の機能を組み込んで社内で製品を開発する際にも、買収を検討している企業について検討する際にも、私たちが戦略的に取り組んできたことです」と同氏は語っている。

「これは私たちがしばらく注目していた分野でした。 スペースメーカーが構築したアプリケーションは、私たちが都市計画のための『ジェネレーティブデザイン』と呼んでいるもので、都市計画に適用するための設計案や設計案のテスト結果を機械が生成します。

「スペースメーカーは、クラウドコンピューティング、人工知能、データサイエンスを利用し、顧客が複数の設計案を検討して、より適切な決定を行えるよう支援するという点で、非常に際立っています」。

画像提供:スペースメーカー

買収後は、スペースメーカーをオートデスク内での独立した部門として維持し、これまでうまく機能していたように見えるやり方やスタートアップの理念に(願わくば)あまり干渉しないようにすると同時に、チームがミッションを継続するために必要なリソースを確保できるようにする計画だ。

「オートデスクはスペースメーカーをスペースメーカーとして維持したいと考えています。[単に]私たちの製品を獲得するのではなく、私たちが一つのチームとして進んでいく可能性と探求の道を獲得するのです」とハウケラン氏は述べている。「また、私たちが取り組んでいるミッション、私たちの仕事のやり方や持っている知識、途中で失敗した試みすべてを獲得します。単に製品を買収するということではないのです」。

そういった知識や「失敗した試み」というのは、建築家としてのスペースメーカーCEO自身の経歴だけでなく、プロダクトマーケットフィットへの過程やその技術自体にまで及ぶ。

「スペースメーカーは当初、建築家を直接ターゲットにしていましたが、建築家の予算は比較的少ないことに気づきました」と、ノースゾーンを代表してスタートアップのシリーズAラウンドを主導したMichiel Kotting(ミヒール・コッティング)氏は振り返る。「業界でのハウケラン氏の経験から、スペースメーカーはターゲットを[不動産]開発業者に変え、その開発業者がソフトウェアを社内外の建築家に提供するようにしました。 1プロジェクトあたり6桁の金額にもなる大きな案件を、始めてすぐに獲得できたことに驚いていました」。

また、コッティング氏によると、スペースメーカーはジェネレーティブデザインに将来性があることを早い段階で確信していたそうだ。「建築家が紙の上で行っていたようなことを単に実行するソフトウェアではなく、現代のコンピューティングの全機能を建築家が自由に使えるようになります」と同氏は語っている。「そこにたどり着くまでの道のりは、Deep Mind(ディープマインド)のAlphaGo(アルファ碁)プロジェクトに少し似ています。さまざまな技術、ML(機械学習)、AI、ルールベースの最適化などを組み合わせ、最大限の成果を生み出します。『最新のディープラーニングモデルをプロジェクトに投入してどうなるか見てみよう』というだけではないのです」。

「スペースメーカーは実際、オートデスクの顧客が解決したいと言っていた問題を、期待されるような方法で解決していました」とアナグノスト氏は述べている。「スペースメーカーは単に優れた発想と優れたテクノロジーを備えた卓越したチームであるというだけでなく、実際に問題を解決していたのです。 私はこのことが非常に重要だと考えています。 誰でも自分の好きなテクノロジーを使うことはできますが、まったく新しいビジネスチャンスや市場を創出するため、または既存の問題をまったく新しい革新的な方法で解決するためにそのテクノロジーを活用できなければ、本当に有用なものを作り出しているとは言えません。スペースメーカーは有用なものを作り出してきました」。

「スペースメーカーのシリーズAラウンドを主導してからまだ2年にもなりませんが、その時、世界をリードする製品と、建築や不動産開発にAIを適用することで可能性の限界を押し広げようとするDNAを持つ企業を目の当たりにしました」とアトミコのBen Blume(ベン・ブルーメ)氏は語っている。 「建築、エンジニアリング、建設(AEC)ソフトウェアの世界的リーダーであり、また業界全体の標準となる製品を提供するオートデスクによる買収は、世界トップクラスのAI製品がここヨーロッパで作られてきているという私たちの確信を証明するものです」。

画像提供:スペースメーカー

ノースゾーンのコッティング氏は、製品を繰り返し作り上げる中で、スペースメーカーは「『人参加型』の技術を磨いてきた」と述べている。「ジェネレーティブデザインが候補となる解空間を計算し、建築家がその空間を調べて興味深い出発点を見つけ出し、デザインの選択肢の影響を確認できます。ですから、美しく、目的にかなった最適なものを設計できます」。

また同氏は、建築家の才能と「最先端」のソフトウェアデザイナーの両方が備わっていなければ、スペースメーカーがこれを実現することは不可能だっただろうと考えている。 これは、ノルウェーで会社を設立することが有利に働いた可能性がある部分である。 「この面での適材がノルウェーに多くいることはあまり知られていないかもしれませんが、この国は、石油やガスの最適化という、スペースメーカーの場合と非常に似通った問題を慢性的に抱えてきました。それで、人材は実際に豊富なのです」とコッティング氏は付け加えている。

当時の課題は、ノルウェーで人材がいないことではなく、スタートアップで働くように優秀な人材を説得することであり、スペースメーカーの課題も同じだった。しかし、北欧文化全般で見ると、このような人材が強みであったとも言える。

ハウケラン氏はこう振り返っている。「初期の経験でわかったことは、こうした困難な問題を解決するという遠大な過程の途上では、解決しなければならない問題が次々に出てくるため、自主性を持って問題を解決できる非常に優秀な人材が必要だということです。 そして、4年前にノルウェーでは、本当に多くの優秀な人が石油やガス、またはコンサルティングに携わっていきました。 それによってわかったのは、多くの人は社会に貢献できるミッションに参加したいと心から思っていること、そして自分たちの能力と才能と頭脳を使って難しい問題を解決できるということでした。 そのおかげで、素晴らしい才能を持つ人たちを数多く当社に迎えることができたことは幸運でした」。

アナグノスト氏はまた、スペースメーカーの企業文化とそのヨーロッパ的視点を差別化要因として挙げている。「スペースメーカーはクラウドで最先端のアルゴリズムとアプローチを採用しているヨーロッパのハイテク企業ですが、その起点となっている倫理的枠組みは他の地域のスタートアップと比べてあまり一般的ではありません」と同氏は語っている。「何が差別化要因かと言われれば、それは同社が持ち込んだ倫理的枠組みだと思います。『このデータを使用してユーザーが毎日行っている仕事をより良いものにしていこう。それを顧客と協力して達成していこう。そして顧客だけではなくステークホルダーのエコシステム全体のためにも、より良い結果を生み出していこう』という考えです。そのステークホルダーには地域の環境も含まれます。テクノロジー企業のそういった理念は、米国市場よりもヨーロッパ市場で急速に広まりました。米国市場は『物事を切り開いて進もう』とすることに重きを置き、ここでの自分たちの倫理的基盤は何なのか、自分たちは何を達成しようとしているのか、ということについてはそれほど重視していないからです。

しかし、ヨーロッパでは現在、ユニコーン企業が注目を集めており、また10億ドル(約1040億円)以上の価値の企業を生み出した実績が増えてきていることから、スペースメーカーを売却するのは早すぎたのではないかという疑問が当然起こる。

しかし、「それはVC的な視点だと思います。この疑問はつまり、VCへのリターンが十分ではない段階で売ってしまって良いのかということだからです」とオートデスクのCEOは答えている。「スペースメーカーとその従業員が何を達成しようとしているかという視点から見れば、違った考え方ができます。米国資本を受け入れ続けることで評価額が上がるかもしれませんが、オートデスクの内部で密接に働くことで、これまで以上に多くのことを成し遂げることができます。VCへのリターンは小さくなるかもしれませんが、従業員は自分たちのビジョンに対する純利益がどれくらいかといったことは考えないでしょう。スペースメーカーの従業員と話をしたことがあれば、彼らが自分たちの仕事にとても情熱を持っていることがわかると思います」。

「スペースメーカーとの協力関係から早い段階で手を引くことは、私たちが望んだことではありません。しかし、私たちは最大の効果を短期間で実現したいという同じ熱意を抱いており、その過程で、オートデスクがスペースメーカー製品を自社の将来にとって非常に重要なものであると考えていることがわかりました」とコッティング氏は語っている。

一方、ハウケラン氏は、スペースメーカーが「構想のうちまだ5%」しか開発していないと語り、業界全体でも働き方の大きな変革が始まっていると述べている。 「何かを設計してそれがどう機能するかを確認するためだけにコンピューターを使うのではなく、ユーザーがコンピューターに手助けを依頼したり、コンピューターがユーザーの肩越しにアドバイスしてくれたりするようになると、本当に状況が変わってきます。 それは単なる新しい製品ということではなく、非常に根本的な変化となります。 何年もかけて業界を変えていくことになる大きな変化です」。

「私たちは今後もスペースメーカーに協力し、そういった製品を作り上げられるよう、働きかけていきます」とアナグノスト氏は述べている。「しかし、スペースメーカーとしても、自分たちの技術を発展させるための別の方法や、オートデスクのエコシステムの一部に自分たちの技術を関係させることができる別の分野を見つけることになるでしょう」。

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(翻訳:Dragonfly)

3Dイメージングを不動産の評価と修繕に活用するホバーが約62億円の資金を調達

米国の不動産市場は、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックに対して予想よりも早く立ち直りを見せている。本日多額の資金の調達に成功したのも、コンピューターグラフィックツールによって不動産のオーナーが保有する不動産の評価と修理を簡単に行うことを可能にし、利用者が急激に増加しているスタートアップ企業である。

その会社はHover(ホバー)。同社が構築しているプラットフォームでは、スマートフォンで撮影された最小限の写真8枚をつなぎ合わせて家屋の3D画像を生成し、修理箇所の評価、作業の見積もり、必要な材料の注文を行えるよう請負業者や保険会社に見せることができる。同社は今回、新たに6000万ドル(約62億円)の調達に成功した。

シリーズDの投資において、同社の投資後の価値は4億9000万ドル(約500億円)と算定されており、複数の戦略投資家が同社に出資していることが注目される。また、米国の大手保険会社のうち3社、つまりTravelers(トラベラーズ)、State Farm Ventures(ステート・ファーム・ベンチャーズ)、Nationwide(ネイションワイド)が投資ラウンドを主導し、建材大手のStandard Industries(スタンダード・インダストリー)や名前の明かされていない他の建築テクノロジー企業も参加している。さらに、過去にも支援してきたMenlo Ventures(メンロ・ベンチャー)、GV(以前のグーグル・ベンチャー)、Alsop Louie Partners(オルソップ・ルイ・パートナーズ)に加えて、Guidewire Software(ガイドワイヤ・ソフトウェア)が新たな後援者として名を連ねている。

今回の資金調達により、ホバーがこれまでに調達した資金総額は1億4200万ドル(約147億円)に達した。参考までに、前回2019年のシリーズCのラウンドでホバーの企業価値が2億8000万ドル(約290億円)と算定されていたことを考えれば、かなり跳ね上がったといえるだろう(データはPitchBookによる)。

本日資金調達に成功し、企業価値が急上昇し、保険会社からの関心を集めているのも、同社の非常に大きな成長の当然の帰結だろう。ホバーの設立者兼CEOであるA.J.Altman(アルトマン)氏は、2016年の同社の収益が約100万ドル(1億300万円)だったと語っている。それが今年は年間ランレートで「7000万ドル(約72億円)以上」に達すると予想されており、その成長の大部分を保険会社や他の大規模なビジネスパートナーに負っている。

2011年に設立されたホバーの名を最初に知るようになったのは、家の屋根やその他の構造物の修理を手掛ける不動産オーナーや個人事業主、それに小規模な請負業者たちだ。同社はそのソフトウェアによって市場に貢献し、スマートフォンのカメラ、センサー、アプリを活用することで、家屋の修繕にまつわる煩雑な作業の多くを省略できるようにしたのだった。

ソフトウェアの機能について簡単に説明しておこう。あるスペースのスナップ写真を普通のスマートフォンのカメラで数枚(最大8枚)撮影すれば、それらの写真を組み合わせることで「構造化された」3D画像を作成し、作業の見積もりを簡単に行えるというものだ。

それらの3D画像は通常の3D画像とは異なり、材質、サイズ、寸法などの情報も合わせて、動的にエンコードされる。こうした情報はどのような作業にも欠かせない。請負業者であれば、ホバーのアプリを使用して、見込み客のためにそうした3D画像から材料と作業スケジュールの明細を付した見積書を自動的に作成することができるだろう(これを、多くの作業で見られる、アルトマン氏の言うところの「名刺の裏」の見積もり額と比べてほしい)。

さらにホバーは最近、施工業者が部材を注文するEコマースポータルとしての役割も果たすようになっている。

同社が市場の牽引役を果たすようになった理由の1つは、それまでオンライン化をかたくなに拒み、透明性に欠けていたアナログ的プロセスをデジタル化した手法にある。この分野は、プロセスが本質的に細分化されているだけでなく、市場も非常に細分化されているという特徴があり、現在米国には営業中の家屋修繕業者が約10万社も存在している。

「家屋修繕は、オンライン化されていないわずかなセグメントの1つでした」とアルトマン氏は語っている。「たとえば、屋根を新しくしたいと思っても、それにいくらかかるか教えてもらうことさえ大変でした。修理にかかる時間などを予想し、コストを見積もるためには、誰かがまず家の数十か所を測定することが必要だったからです。ホバーでは、写真からそれらすべての答えを導き出す仕組みを構築したのです」。現在このアプリを使っている請負業者は1万社を超え、アルトマン氏によればまだまだ増える余地があるとのことだ。

アルトマン氏によれば、最初のうち同社が直面した障害は、家屋の修繕を手配するために、問題のある箇所の写真を家の所有者でも撮影できるようなアプリがあるとどれほど便利か、人々に納得してもらうことだったという。

これは、DIYがこれほど一般的になり、The Home Depot(ホーム・デポ)―ちなみに前回ホバーが資金調達した時の支援者でもある― が人気を集める時代になっているのに、建築業者やそのパートナーの側が、写真撮影を顧客の役割ではなく自分たちの仕事だと考えているからだ。

だが、この状況もこの1年で大きく変化してきた。全地球的なパンデミックの時代になり、多くの人がウイルスの広がりを封じ込めるために社会的な接触を減らすことを余儀なくされている。

「家を実際に見に行く必要がなくなるというのは非常に大きな意味を持つことなのですが、新型コロナウイルス感染症の流行前まで、私たちはこのアイデアの良さをわかってもらうために多くの時間を費やしていました」とアルトマン氏は述べた。「保険会社にしろ請負業者にしろ、家のオーナーに連絡して作業をお願いするというやり方を、サービス提供側がいやがっていたのです」。ところが今では「新型コロナウイルス感染症を経験したことで(同氏)」この状況が相当変化し、多くの人がそうした方法を希望するようになっているという。

ホバーの収益の多くを小規模な請負業者が占めているとはいえ、同社のビジネスにおいて成長が著しいのは保険会社のセグメントである。アルトマン氏によれば、大型企業は自社のアプリとホバーのアプリを統合しており、ホバーのアプリを使って写真を撮影するよう顧客にリンクが送信され、その結果は保険会社のアプリに自動的に送られるため、顧客からの支払い要求を処理するプロセスを迅速に開始できるということだ。

トラベラーズのエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼支払要求対応責任者であるNick Seminara(ニック・セミナラ)氏は、「私たちにとって、優れたカスタマーエクスペリエンスの実現は重要です。その点、ホバーのテクノロジーは、支払い要求の処理プロセスをさらにシンプルで迅速、かつ透明なものとするのに役立っています」と語っている。「保険業界には、ホバーにとって非常に大きなチャンスがあります。同社とのパートナーシップを継続し、その将来のために投資できることをうれしく思います」。

さらに長期的な視点から見ると、ホバーのテクノロジーを応用できるさまざまな分野を思いつくかもしれない。同社はすでに商業建築についての業務を多く手掛けており、次なるステップはおそらく内装設計や装飾といった室内業務への展開となりそうだ。

ある投資家がデジタルによる「複線化」と形容したとおり、物理的空間をデジタルで視覚化すれば、そこからさらに分析を進めることも、その空間に関する作業プロセスを改善することも可能だ。物理的空間のデジタルによる視覚化プロセスは、地図作製と物流、自動車への応用、医薬、航空宇宙や国防、ゲームなど数々の業界で使用されるようになっている。ホバーは、35件ほどの特許を保有して自社の技術を守り、既存プロセスにさらにイノベーションを投入できるチームを抱えている。このホバーような企業にとって、今後の成長の地平は大きく開けており、さまざまな成長戦略を採用できる。

しかし、不動産市場でのポテンシャルだけに注目したとしても、まだまだいろいろ試す余地がありそうだ。たとえば、ホバーが持っているような技術を不動産販売会社などと連携させれば、家を売るだけでなく、家屋の手軽な修繕プランを合わせて販売することができるだろう。言うまでもなく、家具や家電などを販売するEコマースにも広大なビジネスチャンスが開けている。

IKEA(イケア)Houzz(ハウズ)といった企業の多くが、Apple(アップル)のARプラットフォームのような新技術を活用したユーザーエクスペリエンスの向上にすでにかなりの額を投資していることから、この分野にはさらなるサービス改善を目指す動きが確実に存在しているといえるだろう。

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(翻訳:Dragonfly)

クラウド型SaaSサービス「Discoveriez」のジーネクストが総額2.6億円の資金調達

クラウド型SaaSサービス「Discoveriez」のジーネクストが総額2.6億円の資金調達

ジーネクストは11月25日、第三者割当増資による総額約2.6億円の資金調達を発表した。引受先は三菱UFJキャピタル、DG Daiwa Ventures、事業会社および複数の個人投資家など。累計調達額は約7.2億円となった。

Discoveriez」は、顧客対応で生み出される情報やドキュメント、連携部門とのやり取りなどを一元管理・共有できるクラウド型SaaSサービス。調達した資金により、Discoveriezにおける顧客のデータ解析ならびにソリューションに直結するAIやアルゴリズム開発を加速。また、SaaS企業として顧客対応業務のDXを推進し、顧客と企業、企業内コミュニケーションを牽引する存在となり、導入先の業績向上に寄与するリーディングカンパニーを目指す。

クラウド型SaaSサービス「Discoveriez」のジーネクストが総額2.6億円の資金調達

ジーネクストは2019年、「顧客対応に関する全てのUXをデザインする」企業として、顧客LTV(Life Time Value)最大化のためのクラウド型SaaSサービスDiscoveriezを提供開始。顧客の声からビジネスのチャンスやリスクの発見・予測・応用までをサポート可能となるとしている。企業内で分散している顧客に関する情報や接点を繋ぎ合わせ、そのデータを瞬時に集約・分析し、最新のAI技術やアルゴリズムによって複雑かつ多様な顧客の声を情報として可視化。企業と生活者にとって有益なインサイトを創出するとしている。

ジーネクストは2001年の創業以来、食品・流通・アパレルをはじめ日本を代表する数多くの企業に同社サービスが採用されており、顧客の声を起点とした商品設計やサービス向上、マネジメントの意思決定を支援する企業として成長してきたという。ポストコロナ社会においてEC化・クラウド化・コールセンターのテレワーク化などが急速に進む中、オムニチャネル対応が可能なDiscoveriezの導入は、今後さらに進んでいくとしている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:ジーネクスト資金調達(用語)Discoveriez日本(国・地域)