次のイノベーションの主役はナノテクだ: Nanotronics Imaging CEO Matthew Putmanインタビュー

ナノテクノロジの企業を創るには、Matthew Putmanのような天才的学際人こそがふさわしいに違いない。すぐれたミュージシャンであり、科学研究者であり、大学教授であり、そして演劇のプロデューサでもあるPutmanの、最新のテク系スタートアップNanotronics Imagingは、ニューヨークのブルックリンに本社を置くナノテクノロジの先進的企業で、Peter Thielのような著名な投資家が投資家および取締役として名を連ねている。

しかもブルックリンは、Putman曰く、今やテクノロジとクリエティビティの温床どころかホットな熱床だ。とりわけ、メーカームーブメントを支える重要なアーチストや、知のイノベータ、技術者などが多く集まっている。Putmanによると、今ではシリコンバレーよりも、学際性に富むイーストコーストの方が、はるかにエキサイティングだ。

ナノテクノロジは過去50年間、“すべての科学者の夢”だった、とPutmanは説明する。ムーアの法則(Moore’s Law)を無限に拡張し、癌を撲滅するだろう。そして今重要なのは、それらの夢が実現可能になりつつあることだ。彼は約束する、2014年にはNanotronics Imagingのような企業が、テクノロジの世界だけでなく、医療をはじめあらゆる産業に真の革命をもたらす、と。

 

 

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


タクシー業界が反論: Uberの車はタクシーよりも危険だ

ロサンゼルスのタクシー会社Yellow CabのゼネラルマネージャBill Rouseによると、Uberの車に乗ることは、ふつうのタクシーに比べて危険である。ドライバーが犯罪者であることもあるし、実際にロサンゼルスのUberの初期のドライバーにはそんな人物が何人かいた、と彼は言う。このことと並んで問題なのが、Rouseによれば、Uberとふつうのタクシーとでは、保険に大きな違いがあること。昨年の大晦日に起きた6歳の少女Sophia Liuの死亡事故のような悲劇的な事例*がありうるので、一般消費者は不安を感じている、と彼は言う。〔*: 横断歩道歩行中で運転者の信号無視による死亡事故。Uberの保険対象は‘車上の’事件のみ。〕

Rouseは曰く、必要なのは規制である。共有経済の自己規制は有効に機能しない、と彼は強調する。だからUberに必要なのは、保険が車の全時間をカバーすることだけでなく、車の定期的な点検や、ドライバーの人物チェックをもっと厳格に行うことだ。

しかし、このようにUberに対して批判的なRouseも、一部のドライバーはハッピーだろう、と認める。伝統的なタクシー業界にも変化が必要だ、と彼は言う。とくにロサンゼルスとサンフランシスコの場合は、もっと供給を増やさないとUberやLyftとの競争に勝つことはできない、と。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


女の子たちは世間のみんなよりも3年進んでいると主張するIridescent, 今年は世界中の女子高校生を集めてハッカソンを

Tara Chklovskiが創ってCEOを務めるIridescentは、Googleが投資している一風変わった非営利事業で、若い女性によるテクノロジのイノベーションを支援する。この種の事業としては世界最大で、現在は3157名の女性たちが参加している。彼女らの国籍は、イエメン、ブラジル、インド、ナイジェリアなど45か国にわたる。Chklovski曰く、彼女らのチャレンジは、伝統的な文化のステレオタイプを超えて考えることだ。

Chklovskiによると、“女子は男子や大人たちよりも3年先を行っている”。彼女によれば、Iridescentの事業に参加した若い女性たちはいつもシリコンバレーの現状を超えた発想をする。彼女たちが考えたアプリケーションやWebサイトを、数年後にやっとPinterestのような企業が商業化して成功するのだ。

Iridescentが毎年開催するイベントTechnovationは、今年は6月18日に行われる。今年の会場はIntelで、イベントの目玉は世界中の女子高校生が参加する大規模なハッカソンだ。最高イノベーション賞の賞金は1万ドルで、この夏のもっとも興味深いイベントであることは、間違いないだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Keen On:今やイノベーションの破壊力は悪夢のレベル―話題の新刊Big Bang Disruptionの著者インタビュー

〔日本版:現在このビデオの表示が不調のため、ビデオは原文でご覧ください〕

2年ほど前に私はハーバード・ビジネス・スクールの教授、クレイトン・クリステンセンをこの番組に迎えてかの有名なイノベーションのジレンマについてインタビューした。「イノベーターは自らのイノベーションの虜となって次のイノベーションに遅れる」というのがクリステンセンの理論だが、今度はその理論自身がAccentureのシニア・フェローLarry Downesとリサーチ責任者のPaul Nunesの新著Big Bang Disruption: Strategy in an Age of Devastating Innovation〔ビッグバン・ディスラプション:破壊的イノベーション時代の戦略〕によって破壊されることになったようだ。

Downesによれば、「イノベーションのジレンマは今やイノベーションの悪夢にとって代わられた」という。現在の新しいテクノロジー・プロダクトは最初から完成度が高く、古いプロダクトより機能が圧倒的に優れている上に価格もはるかに安い。そのためレガシー・プロダクトは文字通り一夜にして葬り去られてしまう。スタートアップはあっという間に成熟企業になり、起業家は急速な成功を目指すだけでは足りず、次のイノベーションの波に飲み込まれないうちに買収先を探すなどの出口戦略を考えねばならない(Snapchatは戦略を誤ったかもしれない)というのがDonwsの主張だ。

革命が連続する今日のテクノロジー市場を考えれば、既存の大企業がイノベーションを持続させるためには社内での開発より成功の兆候が見え始めたスタートアップを素早く買収する方が賢明だという。おそらくDownesは最近Googleが人工知能のDeepMindやロボティクスのBoston Dynamics、モノのインターネットのNestなどを矢継ぎ早にに買収したことを評価しているだろう。AppleがTeslaを買収することもデイスラプトのリーダーの地位を守る上で有効だと考えているかもしれない。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Keen On―『第二の機械時代(The Second Machine Age)』の著者にデジタル経済が進展する中での人間の役割を聞く

Andrew McAfeeErik Brynjolfssonの共著によるデジタル経済についての新しい本、The Second Machine Age: Work, Progress and Prosperity In a Time of Brilliant Technologies出版された

本書は人工知能、3Dプリンティング、モノのインターネットなどデジタル・テクノロジーの目覚ましい進歩にともなって経済の仕組みと人間の役割はどう変化していくのかを本格的に論じた初の著作といってよいだろう。

McAfeeとBrynjolfssonはわれわれが驚くべき進歩の時代に生きていることを認めるが、同時にデジタル経済は「勝者総取り」の傾向を強めており、社会の中間層、特に単純な情報処理に携わる労働者を取り残していくことに注意を向けている。

では何か対策はあるのだろうか?

共著者のMcAfeeとBrynjolfssonは2人ともMITの経済学の教授だ。2人は第二の産業革命といってよい第二の機械時代を理解するためには経済学の基礎に立ち戻る必要があるという。この場合、教育がカギとなる。教育の内容と同時に教育の手法を変わる必要があるというのだ。インターネットは多くの職を消滅させているが、同時に新しい、極めて効果的な「ネットワーク教育」によって人々の能力を革新するチャンスも提供している

しかしMcAfeeとBrynjolfssonによればそれは黙っていても起こるわけではないという。われわれの生き残りは、いつものことながら、われわれの変化する能力にかかっているわけだ。適応できる者には新しい職が見つかる。しかし適応できないものにとって、第二の機械の時代の到来は何ひとつメリットがないということになりそうだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


クラウドファンディングは資本主義を変える: Indiegogo CEO Slava Rubinインタビュー

それはまさに、ソーシャルメディアの功徳とされる“予期せぬ出会い”(serendipity)というやつだった。ぼくはそのとき、CESの会場となったラスベガスのVenetianホテルの地階にいて、単純に自分の仕事のことを考えていた。そしてそのときだ。ぼくはIndiegogoの協同ファウンダでCEOのSlava Rubinにばったり出くわした。こんな、宝物のような機会を見逃す手はない。そばには、Indiegogoで最近成功したAirtameのプロダクトデベロッパMarius Klausen がいて、自発的にカメラマンになってくれた。そうしてついに、なかなかつかまらないRubinに、インタビューできたのだ。

そこで、まず尋ねた。Indiegogoは資本主義を破壊するのだろうか?

たしかに、愚かな質問だったが、Rubinは、親切に答えてくれた。資本主義を破壊するのではなくて、Indiegogoはそれを改良するのだ、と。つまり、AirtameやPanonoのようなスタートアップが、伝統的な資本の番人たちを迂回して、革新的なアイデアや製品にクラウドファンディングを求める。

さらにまた、愚かな質問を続けた。Indiegogoは将来的にどれぐらい大きくなるのか?

わずか7歳のIndiegogoが毎週70ないし100か国でクラウドファンディングを展開しているのだから、今すでに相当大きい、とRubinは説明した。…と控えめに言いつつ、彼には野心もある。彼の予言では、Indiegogoは今後100年は存続する。もちろんその間に、すごく大きくなるだろう。2114年には、資本主義を改良するどころか、資本主義の全容を変えるほどに、大きくなっているだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Keen on…イノベーション:シリコンバレーは魔力を失いつつあるのか?


おそらく、そのFacebookに関する決定版著書でもっともよく知られるデビッド・カークパトリックは、テクノロジー界でもっとも鋭敏で知識豊富なライターの一人だ。現在彼はメディア・スタートアップ、Techonomyを運営し、デトロイトとツーソンで行われる年次カンファレンスを通じて、テクノロジー革新が広く経済に与える影響に焦点を合わせている。

そこで私は、パロアルトのAT&T施設にあるFutureCastサロンでカークパトリックにインタビューした際、シリコンバレーは以前と比べてイノベーション経済に対して批判的でなくなったのではないかと問いかけた。

カークパトリックによると、シリコンバレーにとって良いニュースは、Google、Facebook、Appleからなる、彼が言うところのローカル「太陽系」が依然として非常に重要な位置にいることだ。シリコンバレーにとってあまり良くないニュースは、「クールなことが益々簡単にできるようになっきた」こと。だからカークパトリックは、今イノベーションは広く分散していると言う。そして、 Chris Schroederと同じく、レバノンの首都ベイルートが特にクールなことが行われている場所だと指摘する。

しかし、イノベーションを「グローバルな現象」と語りながら、ニューヨークを拠点とするカークパトリックは、シリコンバレーも忘れてはいない。実際、来年11月の次回Techonomyメインイベントは、[シリコンバレーに近い]ハーフムーンベイで行われるので、イノベーション経済におけるシリコンバレーの
役割に関するこの会話が続くことは間違いない。

原文へ
 
(翻訳:Nob Takahashi)


Kickstarterは資本のATM: テレビ番組”お金の未来”を作ったHeather Schlegelインタビュー

Kickstarterで37000ドルあまりの資金を集めて、お金の未来に関するテレビ番組を作ったHeather Schlegelは、社会についても、経済についても、彼女ならではの視点を持っている。Kickstarterを使ったことについては、“自分の言葉を試してみたのよ”、と言う。彼女は自分のテレビ番組に資金を提供したこの仕組みのことを、“社会的資本を引き出すためのATM”、というおもしろい呼び方をしているが、それが本当に資本のATMか、自分で試してみたのだ。

ぼくが属するメディア業界は、デジタル化ネット化による被害者の典型だが、Schlegelには、金融業界の現体制もメディア産業と同じくメルトダウンを経験するのか、と聞いてみた。

そうかもしれない、と彼女は言う。Schlegelは、“もっと多くの貨幣”が必要だ、と信じている。そして、“Bitcoinのクライマックス(climax, 高度安定期)”が“未来の到来を告げる”だろう、と。その未来には、彼女が今度は6部作のテレビ番組のために35万~60万ドルぐらいを調達できるといいね。お金の未来は、スタートアップの起業家にとっても、消費者にとっても、ものすごく重要な主題だ。そして、彼女がいみじくも言う、この大きな“パラダイムシフト”を理解するためには、Heather Schlegelのような博識の未来学者が必要だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


AOLのテクノロジーについての短編ビデオが大ヒット、再生850万回を記録 (Keen On)

ウェビー賞のファウンダーで映画監督、プロデューサーのTiffany ShlainがAOLのために製作した短編ビデオ・シリーズが大ヒット中だ。The Future Starts Here(未来はここから始まる)と題されたテクノロジーについての啓蒙ビデオは短期間に850万回も再生されている。

このシリーズにはデジタル時代のテクノロジーと生活スタイルについての8本の短編が収められている。その中にはTechnology Shabbat(テクノロジー安息日)という1週間デジタル・テクノロジーの利用を止める生活やTech Etiquette(テック・エチケット)などというユニークなエピソードが含まれている。Shlaneによると、テック・エチケットの回を製作したのは、普通の常識ある人々が携帯電話を手にしたとたんにどうしようもない迷惑人間になってしまうことにうんざりしたからだという。このシリーズの製作の目的は、3分から6分の短いビデオで、テクノロジーと生活に関する重要なテーマを一般視聴者にわかりやすく伝えることだった。

製作にあたってAOLはShlainを全面的に支援した。Shlainによれば「ハリウッドなみの製作チーム」だったという。Shlainは大きなテーマを短く圧縮することに才能を発揮しており、未来のドキュメンタリー・ビデオのひとつのお手本になりそうだ。ウェビー賞(Webby Awards)のファウンダーとしてShlainは長年にわたってハリウッドをシリコンバレーに注入してきた。しかし今回のようなデジタル時代の紹介では、逆にシリコンバレーをハリウッドに輸出する役回りのようだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


新刊「Apple対Google戦争」の著者に聞く―2500億ドル市場をめぐる死闘の記録

ノンフィクション作家のFred Vogelsteinによれば、シリコンバレーの2超大国、GoogleとAppleは2500億ドルに上るコンテンツ市場の支配権を巡って戦争状態にある。

新刊Dogfight: How Apple and Google Went to War and Started a Revolution〔ドッグファイト―AppleとGoogleはどのように戦争を始め、革命を起こしつつあるのか〕で、VogelsteinはAndroidとiOSをめぐる巨人の戦いは将来われわれがデジタル・コンテンツを消費するプラットフォームを決定するものになるという。

過去のApple対Microsoft戦争はパーソナル・コンピューティングの支配権をめぐる競争だったが、その教訓から学ぶなら、この種の戦いは「勝者総取り」となる可能性が高い。そしておそらくどちらかが決定的な勝利を収めることになるだろうというのがVoglesteinの予測だ。

「この戦争はテクノロジー産業全体に巨大な影響を与える。もし戦いが拡大して収拾がつかなくなるようなら政府の介入もあり得る。Googleが勝利してコンテンツ配信においても現在の検索と同レベルの独占を打ち立てるようであれば、反トラスト法適用の機運が高まるだろう」という。

〔日本版〕ただしこの後、Vogelsteinは「反トラスト法の運用は法律的というより高度に経済的、政治的な課題であり、有権者の支持がなければ政権は大掛かりな訴訟には踏み切れない。一般市民の間でGoogleの人気が高ければアグレッシブな反トラスト法の運用は難しくなる」と注意した。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


果たして「ソーシャル・ネットワーク」が生まれたのはいつか? 2000年前だと主張する人もあり

ソーシャルメディアはいつからあるのだろうか。2004年2月、すなわちFacebookの誕生を歴史の始まりとするのが妥当だろうか。あるいは2002年のFriendster設立まで遡って考えるべきだろうか。あるいは、デジタル世界では創世記なみの昔になるのかもしれないが、1997年にまで時計の針を戻すのが適切だと考える人もいるかもしれない。すなわちReid HoffmanがSocialNetというサイトを開設した年だ。

しかし、こうした意見と全く異なる見解をもつ人もいる。ソーシャルメディアはFacebookやFriendsterなどよりはるか昔から存在すると主張する。10年や20年前というレベルではなく、実は誕生してから2,000年にもなると主張している人物がいるのだ。その人とはEconomistの編集者であるTom Standageだ。新たにWriting In The Wall: Social Media – The First 2,000 Yearsを出版し、ソーシャルメディアというものは形こそ違えどもローマ時代からあったのだという説を展開している。この150年ほどは、メディアが産業資本によるトップダウン方式のものばかりの時代となってしまい、これこそが異常事態だったのだとStandageは述べる。ソーシャルメディアは「先史時代からずっと、自分にもっとも関係のあるニュース、あるいはオピニオンやゴシップなどを伝え続けてきたのです」とのことだ。そうした観点から、TwitterやFacebookなどが時間の無駄とか、単純な娯楽であるというわけがなく、当然に人類のために必要な存在であるのだと主張している。

Standageは人類の歴史を背景に、ソーシャルメディアは新しい存在ではないと主張している。もちろん、規模が世界全体に広がり、即時性を持ち、そして検索可能になっているという面に新しさがあることは認めている。しかしローマ時代のパピルスで広まった社会知や、あるいは手書きながら広く社会に流布した宗教改革パンフレットなどを考えると、ソーシャルメディアの考え方は1997年などよりも遥かに遡るものだとしている。Standageは皮肉を込めて「ソーシャルメディアを全く新しいものであると考える人がいることこそ驚きだ」と述べている。

Standage流のソーシャルネットワーク論に興味のある人は、ぜひWriting In The Wall: Social Media – The First 2,000 Yearsを手にとって見ると良いだろう。ソーシャルメディアの功罪などを言うには、こうした歴史的な視点も必須だとの論理を展開している。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


ノーラン・ブッシュネル:次のスティーブ・ジョブズの探し方

シリコンバレーに彼以上の伝説的人物はいない。Nolan BushnellはAtariの共同ファウンダーとしてスティーブ・ジョブズに最初の技術職を与え、Appleの1/3を5万ドルで買う提案を蹴った人物だ。Bushnellの新著、Finding The Next Steve Jobs[次のスティーブ・ジョブズを探せ]は、「変なこと」をして世界を変えられる「ひねくれた」人物を企業が探すのを手伝うために書いた、と彼は言う。

われわれは、もっと「イエス」と言えるようになるべきだとBushnellは私に言った。良いニュースは、彼がデジタル経済のイノベーションに関して楽観的であることだ。Tony Hsieh[Zappo CEO]やJack Dorsey[Twitter、Squareのファウンダー]をはじめ、Kickstarterの「何百人」もの起業家を成功したイノベーターの例に挙げた。しかし、BushnellはAppleに関しては辛口だった。いわく、Appleは未だにiPodで「止まっている」。

たぶん誰かが『次のノーラン・ブッシュネルを探せ』という本を書くべきだろう。70歳の連続起業家は今も変わらず生産的だ。彼は、自らの学習系スタートアップ、Brainrushを楽しみにしている他、〈物のインターネット〉とパートナルロボットに関与する予定だ。驚くべき男の驚くべき人生。この人を得たわれわれは幸運だ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)


Facebookで大いなる成長を経験したAli Rosenthal。MessageMe参画の理由とは?

Ali Rosenthalは2006年初頭にFacebookに入社している。当時の従業員数は50名で、ユーザー数は400万人だった。そして2011年に退社することとなったが、そのときには従業員3500人、ユーザー数は10億人になろうとしていた。彼女はビジネス創設チームの一員として、モバイル分野でのサービス拡充に努めた。10万人程度だったモバイルユーザーは、退社時には2億5000万人にも拡大していた。ちなみに退社時にはモバイルビジネス開発部門のトップを務めていた。

その後RosenthalはGreylockでExecutive-in-Residenceとしての1年間を過ごした後、再度小規模なスタートアップに籍を移すこととなった。7月よりMessageMeのCOOとして働くことになったのだ。5月に1000万ドルのシリーズA資金を調達してリアルタイム・モバイル・コミュニケーションを手がける同社は、従業員数17名という規模だ。

上のビデオに収録されているインタビューでは、なぜMessageMeを選んだのかということについても質問している。彼女のような大物が、小さなスタートアップを選択するからには、そこに強い動機があるはずだと考えられるからだ。

「優秀な人材がいることも理由のひとつです」と彼女は応えてくれた。共同ファウンダーのAlex CheeやArjun Sethiの名前が挙がった。また、当然のことながらプロダクト自体にも可能性を感じたのだとのこと。Rosenthalの言葉を借りるなら、MessageMeは「マルチモデル・メッセージング」(multi-model messaging)システムなのだそうだ。「スピード」を重視し、実際に会話をするような感覚で利用することができる。Facebookはその出自からしても「ウェブプロダクト」としての特徴を持っていて、その辺りがMessageMeと大きく異なるところであるらしい。「スマートフォンに特化して生まれてきたMessageMeは、将来のリアルタイム・リッチコミュニケーションのための仕組みとして大きな可能性を持っています」と彼女は言っている。

本格的なアスリートでもあるRosenthalは、「タイミング」の大切さも強く意識している。2006年にFacebookを選んだのも良いタイミングだった。今、このタイミングでMessageMeを選んだのも、将来に振り返ってみると、なるほどベストであったと思わせることになるのかもしれない。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


Keen On…将来のビジネスは体験の提供がすべて―WTF:What Is The Future Of Business? の著者、Brian Solisインタビュー

シリコンバレーでもっとも切れるアナリストの一人として知られるAltimeter GroupBrian Solisが、TwitterやFacebookへの投稿とは比べ物にならない長い文章を書いた。Solisは「デジタル・ビジネスの本質は共有された体験だ」と主張する。

共有された体験? WTF(そりゃ一体何だ)?

いや実はSolisのイラストをふんだんに使った美しい単行本(それ自体、新しいメディア体験であることは間違いない)はWTF(What’s The Future of Business (WTF): Changing the Way BusinessesCreate Experiences〔WTF(ビジネスの未来とは何か)?:ビジネスは体験の創造を変革しなければならない〕というタイトルなのだ。 Solisはあらゆる新テクノロジーを利用するビジネスは必ず実験的であらねばならないと強調する。

「実験的なビジネスというのは、現在でいえば、FacebookよりむしろUberのようなタイプだ。Uberは〔アメリカの大都市ではタクシーをつかまえにくいという〕問題を解決するだけではなく〔サービス精神旺盛なドライバーによる快適な〕乗車体験を提供する。Uberを利用するたびに私は目を開かせるようなエピソードをドライバーから聞く。Uberの利用は一回ごとに記憶に残る体験だ」とSolisは言う。Fitbitのようなヘルス・テクノロジーも体験だという。「体験、すべては体験に帰着する。優れた体験を提供できるかどうkがビジネスの将来を決める」というのがSolisの主張だ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


2012年大統領選はデータ分析を踏まえた情報戦だった…共和党にその認識はなかった

ベルトウェイ(Beltway)はつねにシリコンバレーより遅れてる、なんて言うやつは誰だ? Barack Obamaの2012年大統領選を書いたベストセラーThe Center Holds: Obama and his Enemies〔仮訳: 「中枢的データ力: オバマと彼の敵を分かつもの」)の著者でベテランの政治ジャーナリストJonathan Alterは、The Caveの強力な情報力について書いている。The Cave(洞穴)は、オバマのデジタル戦略の中枢で、その詳細は知られていない。このデジタル中枢を指揮するのが、大統領選のCAO(Chief Analytics Officer, 分析担当最高責任者)、35歳のDan Wagnerだ。The Caveのスタッフは数値分析畑の多様な人材から成り、その中には生物物理学者や、三名のプロのポーカー師もいる。

Alterによると、The Caveは、“テクノロジと泥臭い現実との結婚”だった。その結婚により2012年の選挙戦は初めての本物の“ビッグデータ選挙”になった(共和党にはもちろん理解できないことだ)。そしてAlterは次のように強調する: この情報中枢の有無が、ObamaとRomneyの勝負を決めた。だからAlterから見ると、シリコンバレーこそThe Caveの実装とそのめざましい成功から学ぶべきなのだ。Eric Schmidt(Google会長)とWagnerの深い仲は、よく知られている。一方、あまり良く知られていないのは、すべての企業がビッグデータのエキスパートたちによるCaveを持つべき、というそのニーズだ。Caveのデータ分析の結果が、企業のインターネット利用と企業がインターネットから得るもののクォリティを上げる。そしてそれこそが、顧客に到達するための新しい方法だ、とAlterは言う。

あなたの会社には、すでにCaveがあるかな?

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


シリコンバレー独占から全国複数化へ向かうアメリカのイノベーション拠点

シリコンバレーは、今でもイノベーションで世界をリードしているか? Gary Shapiroによれば、答はイエスだ。長年、Consumer Electronics Association(CEA, 消費者電子製品協会) のCEOで理事長、そして最新のベストセラーNinja Innovation: The 10 Killer Strategies of the World’s Most Successful Businesses(忍者イノベーション: 世界的な成功企業の経営極意10条)の著者であるShapiro…彼はデトロイトに住んでワシントンDCで仕事をしているが…はしかし、バレーの優勢が脆弱であることを忘れるな、と言う。まず、シリコンバレーは先行者の有利性の上にあぐらをかいている。第二に、アメリカだけでも今では新興のテクノロジセンターが数多くある。ナシュビル(テネシー州)、シャーロット(ノースカロライナ州)、オースチン(テキサス州)、それにニューヨーク市すら。いずれも、バレーに劣らぬ成功を収めている。そして第三に、Shapiroによると、カリフォルニアは税率が高いので、これからはますます起業家たちの起業拠点になりにくい。今はまだバレーがトップの忍者だが、それは今後長くは続かないだろう、と彼は言う。

しかしそれでは、毎年Consumer Electronics Show(CES)を主催するGary ShapiroとCEAにとって、シリコンバレーから学ぶものは何か? 忍者イノベーションの著者に尋ねてみた: スタートアップの起業家が来年1月のCESにぜひ行くべき理由があるとすれは、それは何か?

〔訳注: Ninjaとは、(1)決断と行動が素早い+(2)勇猛果敢大胆+(3)機敏で身軽(アジャイル)であること。〕

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


スティーブン・ウルフラム:「地球上で最も定量化された人物」の告白

Stephen Wolframは、Wolfram Researchのファウンダー・CEOであり、テクノロジー界で最も賢く最も興味深い人物であると言ってもよい。20歳の時にカリフォルニア工科大学で理論物理学博士を取得し、マッカーサー「ジーニアス」フェローシップを最年少で授与された。MathematicaおよびWolfram Alphaを発明した。Wolframの人生は、世界中の知識を取り込み体系化することに捧げられている。

彼によると、現在われわれは人類史上知られているあらゆる知識を体系化し、その情報をワンクリックでアクセスできる時代に近づいて(5~20年)いる。実際Wolframは、この「データサイエンス」が、今やスタートアップ起業家たちにとって最もエキサイティングなチャンスになっていると信じている。

しかし彼は公開された科学データの体系化にだけ興味があるのではない。自らを地球上で最も定量化された人物[most quantified person]と称するWolframは、個人データ分析のパイオニアでもある。ではなぜ彼はそこまで彼自身に関するデータを集めているのか? 私は、彼が日々自らのあらゆる行動を、パソコンに打ち込んだキーストローク数にいたるまで記録している目的を尋ねた。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)


Googleの制御に失敗したら明日のスタートアップはない–かつてMicrosoftに勝ったGary Rebackが警告

各方面から絶賛されているシリコンバレーの反トラスト専門弁護士Gary Rebackを、根っからのアンチGoogle人間だと非難するとしたら、それは筋違いだ。そもそも、90年代に、Googleの大敵Microsoftを訴訟する合衆国政府の取り組みを、先頭に立ってリードしたのが彼だ。それがテクノロジ業界/産業にその後もたらした効果は計り知れないほど大きく、Larry PageやSergey Brinのようなスタートアップの起業家たちがRedmondの巨鯨と対等に戦うことができたのも、その訴訟があったればこそだ。しかし今や、Rebackによれば、ある意味で、そのGoogleが今度はMicrosoftになってしまった。それは、その市場支配を濫用しているだけでなく、同社の製品やサービスの競合他社をすべて、壊滅させている。そこでRebackは、検索におけるイノベーションを目指すこれからのスタートアップ起業家に、“Googleを避(よ)けて歩け”とアドバイスするのだ。

Rebackの説明によれば、Googleは完全にMicrosoftになってしまったわけではない。Microsoftの例からGoogleが学んだのは、政治というカードをうまく使うことの重要性だ。Microsoftは、その経済力の最高の高みにおいても、それを使おうとしなかった。対してGoogleは、合衆国政府に対するロビー活動に巨額を投じている。Rebackの主張によると、FTC(公正取引委員会)が一度同社に対する訴訟を取り下げたのは、オバマ政権内部に同社の強力なお友だちが多数いることを、おそれたからだ。しかしRebackは政府…ヨーロッパと合衆国の両方…に対し、こううながす: Googleの反トラスト問題に関してはもっと断固たる態度で臨め、と。EUの競争コミッショナー(Competition Commissioner)Almuniaが歴史に汚名を遺したくなければ、RebackがGoogleの“明々白々に証明できる”ヨーロッパの法律への違反、と呼ぶものと、決然と、相手をたたきのめすつもりで対決すべきである。一方合衆国ではRebackは、FTCの新委員長Edith Ramirezに、Googleの反トラスト事案は公取よりも強力な司法省の手に渡すべきだ、とアドバイスしている。

でも、ブラッセルやワシントンDCで行われている、いつ果てるとも知れぬ複雑な法律問題は、われわれとどんな関係があるのか。Mark ZuckerbergRon Conwayはとっくに理解している。経済にも本物のイノベーションが訪れるためには、政治を無視できない。90年代にGary RebackがMicrosoftに対する反トラスト訴訟で戦陣の先頭に立たなかったら、一体どうなっただろうか? おそらく、Googleすらも存在せず、シリコンバレーのエコシステムの今日の繁栄も、あり得なかっただろう。だからこそ、Rebackの未来予知能力は、もしもGoogleを制御することに失敗したら、そのときの真の敗者はスタートアップ起業家たちであり、難攻不落の独占企業をそれでもあえてディスラプトしようと挑戦する今日と明日のLarry PagesやSergey Brinsらである、と警告するのだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


3D視覚化に大きく賭けるIntel, デバイスへの進出は吉か凶か

Intelは、IBMなどと並んで、珍しいテク企業だ。同社は、大きな技術革新の大波が押し寄せるたびに、社容を一新している。だから、今という、ポストPCでネットワーキングの時代にIntelは、自分をどう定義するのだろう。同社CIOのKim Stevensonによると、Intelは“コンピューティング企業”であり、今は“スタートアップ的”になろうと努力している。その中で、Stevensonがまだ“処女地である”と信ずる破壊的革新の分野が、3Dの視覚化アプリケーションだ…ビッグデータを視覚表現するプロダクト。この分野には、Stevensonによれば、大きな“マーケットギャップ”(需要と供給の落差)がある。

彼女の説明によると、3Dヴィジュアライゼーションは今、夢から現実に移行してきている。3Dカメラが安くなり、一般に普及している多くのデバイスがタッチとジェスチャー対応だ。 Stevensonによれば、Intelがデバイスビジネスに参入しようとしているのも、そのためだ。しかもそれは、Intelの投資部門であるIntel Capitalにとっても、魅力的な投資対象だ。Stevensonは正しいと思う。90年代の終わりごろぼくはPulse3Dの開発をやっていたが、そのころからずっと、3Dはあくまでも未来のプロダクトだった。しかしその未来がやっと今ここに到着して、脱皮して姿を変えたIntelは、その巨大な波に乗ろうとしているのだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


3D視覚化に大きく賭けるIntel, デバイスへの進出は吉か凶か

Intelは、IBMなどと並んで、珍しいテク企業だ。同社は、大きな技術革新の大波が押し寄せるたびに、社容を一新している。だから、今という、ポストPCでネットワーキングの時代にIntelは、自分をどう定義するのだろう。同社CIOのKim Stevensonによると、Intelは“コンピューティング企業”であり、今は“スタートアップ的”になろうと努力している。その中で、Stevensonがまだ“処女地である”と信ずる破壊的革新の分野が、3Dの視覚化アプリケーションだ…ビッグデータを視覚表現するプロダクト。この分野には、Stevensonによれば、大きな“マーケットギャップ”(需要と供給の落差)がある。

彼女の説明によると、3Dヴィジュアライゼーションは今、夢から現実に移行してきている。3Dカメラが安くなり、一般に普及している多くのデバイスがタッチとジェスチャー対応だ。 Stevensonによれば、Intelがデバイスビジネスに参入しようとしているのも、そのためだ。しかもそれは、Intelの投資部門であるIntel Capitalにとっても、魅力的な投資対象だ。Stevensonは正しいと思う。90年代の終わりごろぼくはPulse3Dの開発をやっていたが、そのころからずっと、3Dはあくまでも未来のプロダクトだった。しかしその未来がやっと今ここに到着して、脱皮して姿を変えたIntelは、その巨大な波に乗ろうとしているのだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))