SpaceXのCrew DragonがISSにドッキング完了、初の運用ミッションへ

SpaceX(スペースX)の宇宙飛行士を乗せたCrew Dragonは現在、地球周回軌道上の国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングされており、初の運用ミッションの第1段階が成功した。Crew Dragonは2020年初頭に有人でのデモンストレーションフライトを成功させて開発とテストプログラムを完了した後、2020年11月初めにNASAから有人宇宙飛行のための認定を受けていた。

Crew DragonはNASAのMichael Hopkins(マイケル・ホプキンス)飛行士、Victor Glover(ビクター・グローバー)飛行士、Shannon Walker(シャノン・ウォーカー)飛行士、JAXAの野口聡一宇宙飛行士を含む4人の宇宙飛行士を乗せて、米国時間11月15日の日曜日夕方にフロリダから打ち上げられた。宇宙船は軌道上で1日強を過ごし、ISSに合流するために移動し、ドッキングの準備を実施。ISSの新しい国際ドッキングアダプタに接続するために、スペースXの自動ドッキングソフトウェアを使って自律的に行動し、米国時間11月16日月曜日の夜遅くにドッキングを完了した。

ドッキングとハッチの開放成功は、スペースXとNASAがCommercial Crew programの目標を達成したことを意味する。これは米国から宇宙へ、そしてISSへと宇宙飛行士を打ち上げる効果的な手段を開発することが目的だ。このミッションに参加する宇宙飛行士たちは、Crew Dragonが接続された宇宙ステーションで今後6カ月を過ごし、ミッションの第2フェーズかつ最終フェーズである2021年6月に帰還する予定だ。これにより、このシステムが地球への帰還でも機能することを証明する。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

「マンダロリアン」のベビーヨーダもNASAとSpaceXのDragon宇宙船で国際ステーションへ

NASAは、現在、国際宇宙ステーション(ISS)に向かうCrew-1ミッションに、驚きの5人目の乗客も追加していた。「スター・ウォーズ」のスピンオフ「The Mandalian(マンダロリアン)」の「ザ・チャイルド」(別名:ベビーヨーダ)のぬいぐるみだ。この人形は「ゼロG・インジケーター」と呼ばれるもので、通常は柔らかくて小さな物体で、宇宙船のキャビン内を自由に浮遊させて、地球の重力が大きな影響を与えない宇宙空間に入ったことを簡単に、しかし効果的に確認できる。

Crew-1号の4人の乗員は、NASAのMichael Hopkins(マイケル・ホプキンス)飛行士、Victor Glover(ビクター・グローバー)飛行士、Shannon Walker(シャノン・ウォーカー)飛行士、そしてJAXAの野口聡一飛行士だ。彼らは、2020年初めにFalcon 9とCrew Dragon宇宙船の有人飛行を認可したSpaceX(スペースX)の協力を得て、今後半年間にわたるNASA初の商業クルーミッションで宇宙飛行士をISSを派遣するために飛行している。

ベビーヨーダは2019年、ディズニーのオリジナルのストリーミングコンテンツ「マンダロリアン」でデビューして視聴者のハートをつかみ、2020年の第2シーズンでも引き続き観客を魅了している。​「スター・ウォーズ」シリーズの初代ヨーダがどんなものであれ、子どもであることから、この名前で呼ばれるようになった。​新シリーズでベビーヨーダは、宇宙船の操縦装置をコントロールをいじったことで、シリーズを通して有名な賞金稼ぎから定期的に怒られている。

ベビーヨーダはすでに人気だが、過去のゼロG・インジケーターも宇宙旅行における注目の的になっている。スペースXの最初の有人宇宙飛行ミッションである、2020年初めに行われたDemo-2のテスト飛行では、「Tremor」と呼ばれるTy Flippableの恐竜が微重力空間を飛行した(collectSPACE記事)。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

SpaceXとNASAが4人の宇宙飛行士を乗せた初の有人Dragon運用ミッションの打ち上げに成功

SpaceX(スペースエックス)は国際宇宙ステーション(ISS)への人の輸送を行う初の民間企業となったわけだが、これはNASAとのパートナーシップにより長年積み重ねてきた有人宇宙飛行能力の開発努力の結晶だ。米国東部標準時間11月15日午後7時27分(日本時間11月16日午前9時27分)、NASAのShannon Walker(シャノン・ウォーカー)、Victor Glover(ビクター・グローバー)、Michael Hopkins(マイケル・ホプキンス)、そしてJAXAの野口聡一宇宙飛行士は、フロリダ州ケネディー宇宙センターの39−A発射台からISSに向けて飛び立った。

SpaceXの有人打ち上げプログラムは、NASAのCommercial Crew(商業乗員輸送開発)計画の元で開発が進められてきた。そこでNASAは、米国の国土からISSへ宇宙飛行士を送り込む有人打ち上げシステムの構築を行う民間企業2社を選定していた。SpaceXは、2014年にBoeing(ボーイング)とともにNASAに選ばれ、それぞれが打ち上げシステムの開発を開始した。そしてSpaceXのDragon(ドラゴン)カプセルとFalcon 9(ファルコン・ナイン)ロケットが、2020年の初めに2人の宇宙飛行士をISSへ送り届けるというDemo-2テストミッションの最終テストに成功し、先にNASAから有人飛行の認可を取得した。

ここへ来るまでに、SpaceXはいくつもの関門を通過しなければならなかった。無人飛行でのISSへの完全自動ドッキングや、地上の打ち上げ台と打ち上げ後のロケットの両方での宇宙飛行士の命を守るための緊急脱出安全システムの実証などがこれに含まれていた。Demo-1ミッションでは、実際の打ち上げ、ドッキング、着陸までのすべてがSpaceXの完全自動のソフトウェアとナビゲーションによって行われたが、必要な場合には人間がバックアップに入り、予定どおりに運行できることを実証する短時間の手動操縦も試された。

現在のところCrew-1(クルーワン)は、フロリダからの完璧な打ち上げの後、順調に飛行を続けている。Crew Dragonを打ち上げたFalcon 9の第1段ブースターは、無事に帰還している。Crew Dragonの有人宇宙船Resilience(リジリエンス)は、打ち上げ10分後に予定どおりFalcon 9の第2段から切り離された。27時間軌道を飛行した後にISSにドッキングすることになっている。ドッキング予定時間は、米国東部標準時間11月16日午後11時前後(日本時間11月17日午後1時ごろ)となっている。ドッキングが完了すると、宇宙飛行士たちは下船してISSに移り、2021年6月まで滞在して、それぞれの任務を遂行する。

Crew-1の乗員、左からNASAのシャノン・ウォーカー、ビクター・グローバー、マイケル・ホプキンス、JAXAの野口聡一宇宙飛行士(画像クレジット:SpaceX)

ミッションの4人の宇宙飛行士のうち3人は宇宙飛行の経験を持つが、パイロットのビクター・グローバー氏はこれが初飛行となる。4人は、現在滞在中のNASAのKate Rubins(ケイト・ルービンス)、Roscosmos(ロスコスモス)のコスモノートSergey Ryzhikov(セルゲイ・リジコフ)、Sergey Kud-Sverchkov(セルゲイ・クドスべルチコフ)氏と合流し、ISSは7人体勢となる(通常は6人体勢だが、1人増えることで、日常の定期メンテナンスに関連する作業は増えるものの、宇宙飛行士が実験を行う際の時間的余裕が生まれるとNASAは話している)。

定期的なNASAの運用ミッションとして宇宙飛行士が宇宙に打ち上げられたのは、2011年にスペースシャトル計画が終了して以来となる。これで米国は、有人宇宙飛行能力を公式に取り戻したわけだ。さらにこれは、今後期待されるSpaceXとDragonによる数多くの宇宙飛行ミッションの最初のものとなる。それは、NASAの計画と、企業顧客が運営する宇宙飛行の両方にわたって展開されることになる。

関連記事:Crew Dragonの最新型宇宙服は通信装置と温度調節の機能を内蔵、タッチパネル対応グローブも装備

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(翻訳:金井哲夫)

SPACE WALKERによるプレシードエクステンションラウンドの累計調達額が6億円超に到達

SPACE WALKERによるプレシードエクステンションラウンドの累計調達額が6億円超に到達

SPACE WALKER(スペースウォーカー)は11月13日、実施中のプレシードエクステンションラウンドの資金調達において、累計調達額が6億円を超えたと発表した。10月末までに新たに松本大氏(マネックスグループ 代表執行役CEO)、谷家衛氏(あすかホールディングス 取締役会長)をはじめとする個人投資家が参加している。

プレシードエクステンションラウンドにおける新たな引受先

  • 松本大氏(マネックスグループ 代表執行役CEO)
  • 谷家衛氏(あすかホールディングス 取締役会長)
  • 胡華氏(メルカリ)
  • 井門裕貴氏(VENTURE MAFIA 代表取締役)
  • 漆原茂氏(ウルシステムズ 代表取締役社長)
  • 柏野尊徳氏(Eirene University 代表理事/代表取締役)
  • 竹林史貴氏(LOB 代表取締役社長)
  • 尾藤正人氏(UUUM 元CTO)

SPACE WALKERは、「誰もが飛行機に乗るように自由に宇宙へ行き来できる未来の実現」を目指し、サブオービタルスペースプレーン(小型衛星の打ち上げ)の設計・開発、運航サービスの提供を目的に2017年12月に設立。今回プレシードエクステンションラウンドで調達した資金は、主にサブオービタルスペースプレーンの技術実証機「WIRES」(WInged REusable Sounding rocket)の設計・開発・製造および商用機の基本設計に活用する。

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​スペースXのFalcon 9ロケットとDragon宇宙船がNASAから有人宇宙飛行の認可受ける

SpaceX(スペースX)とNASAは、初の商用宇宙飛行士輸送システムとして開発されたFalcon 9とDragon宇宙船の複数年にわたる認証プログラムを完了した。認証プロセスの最終段階は同社が2020年初めに打ち上げた、NASAのBob Behnken(ボブ・ベンケン)宇宙飛行士とDoug Hurley(ダグ・ハーリー)宇宙飛行士を2020年5月30日に国際宇宙ステーションに輸送したDemo-2ミッションであり、この結果によりミッションに必要なすべてのレビューが完了したことになる。

​NASAは公式ブログにてこのマイルストーンを発表し、Falcon 9とDragonの初めての公式なISS搭乗員ミッションに備えたFlight Readiness Reviewが含まれていることを明らかにした。Falcon 9とDragonは米国時間11月14日土曜日(天候がよければ)に予定されている。​NASAから3人、日本の宇宙機関(JAXA)から1人の宇宙飛行士を含む合計4人の宇宙飛行士がISSに移動し運ばれ、設備を維持しながら実験を行う正式な長期滞在が行われる。

これはマルチミッション認証プロセスの最終段階であり、完全自動化された無人でのISSドッキングミッションや、打ち上げ後に予期せぬ事故が発生しても軌道到達前にロケットの安全システムが機能するかを実証するための発射台中断テストなどが含まれる。​またスペースXは、宇宙ステーションから地球に帰還したDragonのクルーカプセルの降下を制御するための新しいパラシュートシステムを開発し、広範囲でテストした。

NASAによると、スペースXとの「試験飛行データの詳細な分析」は、ベンケン飛行士とハーリー飛行士を宇宙ステーションから地球に帰還させたDemo-2ミッションの後に行われたという。

関連記事:NASAとSpaceXがCrew Dragonの初運用打ち上げを11月14日に予定、野口聡一宇宙飛行士も搭乗

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

アクセルスペースが日本初の超小型量産衛星4機の打上日を2021年3月20日予定と発表

アクセルスペースが日本初の超小型量産衛星4機の打上日を2021年3月20日予定と発表アクセルスペースは11月11日、出荷に向けて最終準備段階にある4機の超小型衛星の打上日について、ロシアの打上事業者GK Launch Servicesより公式な通知があり、11月11日時点において2021年3月20日に設定されたと発表した。最終日程は今年中に確定する予定。

アクセルスペースは、2015年より、多数機の超小型衛星により世界のあらゆる地域を高頻度に観測する次世代の地球観測プラットフォーム「AxelGlobe」の構築を推進。2018年12月の初号機GRUS-1Aに続く2回目の打ち上げとして、今回AxelGlobeを構成する4機の衛星「GRUS-1B」「1C」「1D「1E」を予定している。

超小型衛星「GRUS-1B」「1C」「1D「1E」を搭載予定のソユーズロケット

超小型衛星「GRUS-1B」「1C」「1D「1E」を搭載予定のソユーズロケット

アクセルスペースによると、複数の同型衛星が1度に打ち上げられるのは日本の衛星としては初という。これまで同社が開発した衛星は一品生産の専用機が中心であったため、複数機を同時に製造することは大きなチャレンジだった。今後さらに製造機数の増加が見込まれる中、今回の4機同時製造は本格的な量産に向けた第1歩であり、同社にとって非常に貴重な経験としている。

またAxelGlobeは、今回の4機のGRUSの打ち上げにより5機体制が実現。日本付近を含む中緯度地域では平均1.4日に1回、低緯度地域であっても3日に1度という高い観測頻度が達成されることになる。これによって、高い観測頻度が必要な農業利用や事故・災害時の事業継続計画(BCP)への応用など、多様な業界における衛星データ活用が本格的に可能となる。

今後さらに同社では、顧客ニーズに合わせたソリューション提案活動を積極的に推進していく。アクセルスペースが日本初の超小型量産衛星4機の打上日を2021年3月20日予定と発表

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日本発の月面探査スタートアップのispaceが米国オフィスを開設、元スペースX社員を次期着陸船開発リーダーに採用

月面探査を支援するランダー(着陸機)技術を開発する日本発のスタートアップのispaceは、オフィスをデンバーに開設すると米国時間11月9日に発表した。​コロラド州のオフィスは、地元の航空宇宙工学の才能にアクセスできるという理由から選ばれたもので、同社はすぐに同地でエンジニアリングチームのスタッフを配置する計画だ。​ispaceはまた、7年間SpaceX(スペースX)で働いたKursten O’Neill(コーステン・オニール)氏が、同社の次世代月着陸機の開発を監督にあたると発表した。

米国での事業拡大は、ispaceがCommercial Lunar Payload Services (CLPS) プログラムを通じてNASAとより密接に協力しようとしている中で行われた。ispaceは現在、NASA向けの月面着陸機輸送サービスを提供するため、米国を拠点とする宇宙専門組織のDraperと提携している。また同社はその国際的なネットワークを活用して、アルテミス計画全体で米国との国際的パートナーと戦略的連携を広げることを望んでいる。アルテミス計画は、人類が月に帰還するのを支援し、継続的な科学研究目的のためにより恒久的なプレゼンスを確立することを目的とした、NASAのミッションシリーズである。

​ispaceは2021年の初打ち上げを皮切りに、現在計画されているMission 1とミッション2で最初の月面着陸機の打ち上げを予定している。Mission 3ではオニール氏が率いるチームが設計・製造を担当し、より大きなサイズとペイロード容量を誇る次世代ランダーを搭載する予定だ。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

NASAがテスト飛行や技術開発のパートナーとしてSpaceX、Rocket Lab、Blue Originなどと契約

NASAは商用宇宙開発チームとして、新しく20の企業とのパートナーシップ(NASAリリース)を発表した。これにはSpaceX(スペースエックス)、Blue Origin(ブルー・オリジン)、Rocket Lab(ロケット・ラボ)との協力関係も含まれる。金銭的な取引はないものの、NASAは無数の人材とその他の支援をテスト飛行や技術開発に投入する。

これらの提携企業は、NASAのAnnouncement of Collaboration Opportunity(協力機会の通達、ACO)に基づく2020年の選抜組だ。今回の契約は、NASAが資金を出して「6カ月でどこまで可能かを示せ」と要求するSBIR(中小企業技術革新制度)や(未訳記事)、NIAC(NASA革新的で高度な宇宙技術コンセプト)といったプログラムとは形式が異なる。

逆に、NASAの世界最高水準の施設や専門家を自由に使えるというものだ。これは正式な官民パートナーシップであるため、プロジェクトが承認されるにはまだ競争の段階が残されている。17社の提案の中には、大型プロジェクトもある。

SpaceX は、NASAのラングレー研究所と協力して、同社のStarship(スターシップ)型ロケットと宇宙船が太平洋上で大気圏に再突入する際の温度測定と監視のための研究を行う。

Rocket Labも同様に、ラングレー研究所、エイムズ研究センター、アームストロング飛行研究センターと共同で、Electron型ロケットを再利用型に変更するハードウェアの組み込みのための分析を行う。同社は、今から1週間後に完全なブースター回収の実験を実施する予定だが、この計画にNASAが参加するかどうかは明らかにされていない。

またBlue Originは、2つの個別の契約をしている。1つは「宇宙ロボット用オペレーティングシステム」の開発を手伝う多施設共同事業。壮大な計画のように聞こえるが、むしろ、いくつものオープンソースやNASAが開発したフレームワークを、コストをかけず、互換性を高め、うまく協調するよう統合するまとめ役になるようだ。

もう1つは、3Dプリントを使ってエンジンの設計を進化させるためのもの。おそらく彼らは、同社でまさに同じ事業を始めようとしていたTim Ellis(ティム・エリス)氏を逃してしまったことを後悔しているだろう。彼はBlue Originを辞めてRelativity Space(レラティビティー・スペース)創設した。おかげで同社は、逆に追いかける立場になってしまった。

月の人工表土から電波周波数推進装置まで、残りのプロジェクトはNASAの資料で詳しく解説されている。

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Rocket Labが11月にElectronロケットのブースター回収テスト実施へ

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(翻訳:金井哲夫)

Rocket Labは11月にElectronロケットのブースター回収テスト実施へ

ニュージーランド出身のエンジニアが創業者した宇宙企業、Rocket Labは11月に予定されている重要な実験のための準備を整えた。これは衛星打ち上げロケットのブースターの回収を試みるテストで、打ち上げに適したタイミング、いわゆる「ウィンドウ」が開くのは11月16日だ。

実はロケットラブではブースター回収のテストを17回目の打ち上げで実施するとしていた今回の打ち上げは16回目であり1度前倒しされたことになる。同社はスケジュールを速めた理由について簡単な説明を発表した。

Rocket Labが再利用をテストするのはこれが最初ではない。2020年8月にElectronロケットのブースターを回収して再飛行させる計画を発表したとき、同社のファウンダー、CEOのピーター・ベック(Peter Beck)氏は「これは同社の当初の計画に含まれていなかった」と述べた。同社は今年、ブースターの再突入時の誘導・制御システムと降下を減速するためのパラシュート展開のテストに成功している。

公開されたビデオでBeck氏はブースターの回収を図る目的について説明している。簡単に言えば回収、再飛行が実現すれば打ち上げのつどブースターを製造する必要がなくなり、オペレーションを大幅に合理化することができるからだ。当初の計画にブースター再利用が含まれていなかった理由は、SpaceXのFalcon 9やBlue OriginのNew Shepardと比較してElectronはずっと小型であり、ロケット噴射によって回収するための燃料を積む余地がないと考えられていたためだった。

しかしBeck氏のチームは独創的な回収方法を考案した。これは小型のドローグシュート(抽出傘)ととメインパラシュートを組み合わせることによってブースターを減速し、ヘリコプターによって空中で吊り上げるという方法だった。今回計画されている回収テストはヘリコプターによる吊り上げのステップは含まれていない。パラシュートで減速させて洋上に着水させて回収することを狙っている。

Beck氏によれば、ヘリコプターによる吊り上げについてはあまり心配していないという。ステップは同社が既にテストを行って成功しているためだ。重要な部分はペイロードを軌道に乗せることに成功した後でブースターの回収段階に進めるかどうかだ。

Rocket Labが今回のテストでブースターを回収することができれば、Electronにブースター回収システムを装備することが十分可能となる。これにより打ち上げの間隔を大幅に短縮することが可能になる。将来的には打ち上げコストの削減も期待できる。

われわれはテストの結果について詳しく報道する。Beck氏は衛星ビジネスをテーマとするTechCrunchの新しいセッション、TC Sessions: Spaceにバーチャルで登場しRocket Labについてプレゼンする予定だ。

画像: Rocket Lab

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滑川海彦@Facebook

NASAが月面ミッションを記録する革新的な新技術を一般に広く募集中

NASAはロボットカメラシステム、高解像度および360度の動画撮影、没入型VRコンテンツなどの潜在的な使用を含め、新たな革新的な方法で自身のミッションを補完するのに役立つ提案を、パートナーから新たに要請すると発表した。同局は放送局やスタジオだけでなく、航空宇宙に特化した企業、非営利団体、学校など、さまざまな潜在的なパートナーからの回答を求めている。

これはロボットカメラキャプチャシステム、ユニークな機能を備えた携帯性の高いカメラ、メディアキャプチャや編集を自動化または強化するソフトウェア、さらにはブロードバンドビデオの圧縮などに取り組んでいるテックスタートアップや若い企業にとって、重要なパートナーを獲得する絶好の機会となる可能性がある。現在、2024年に予定されている月面への帰還を含むNASAの一連のミッションであるアルテミス計画を含め、少なくとも今後十年間は世間の注目を集めることになるだろう。

今回の提案では、2023年に設定された有人月周回飛行など、今後のアルテミスのミッションに向けて実際に機器を送り込むことになるかもしれない。NASAのリリースによれば、月への帰還という画期的なミッションの範囲と影響を最大化し、最終的にはより恒久的な研究拠点を設立できるアイデアを真剣に探しているという。それがテレビや放送のアプローチを超えているようなら、何であれ問題ないようだ。

NASAからの提案の公式声明はここから閲覧できる。すべての提案は審議の資格を得るために2020年12月11日の真夜中までに提出する必要がある。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

九州大学発の宇宙領域スタートアップ「QPS研究所」が総額8.65億円の追加調達

九州大学発の宇宙領域スタートアップ「QPS研究所」が総額8.65億円の追加調達

「宇宙の可能性を広げ、人類の発展に貢献すること」を使命に2005年に創業したQPS研究所は11月5日、既存株主からの追加調達および日本政策金融公庫からの融資をあわせて、総額8.65億円の資金調達を発表した。同追加調達・同融資により累計調達額は約33億円となった。

追加調達した資金は、同社が目指す小型SAR衛星36機体制の実現に向け、2022年打ち上げ予定の3号機~6号機の先行開発および足長部材の先行手配などの資金として使用する予定。

QPS研究所は自社開発した小型衛星用の大型軽量アンテナにより、従来のSAR(合成開口レーダー) 衛星の1/20の質量、1/100分のコストを実現し、100kg級高精細小型SAR衛星の打ち上げに日本で初めて成功。

現在は2025年を目標に36機の小型SAR衛星を打ち上げてコンステレーションを構築し、約10分ごとの準リアルタイム地上観測データサービスの提供を目指している。

このプロジェクトの実現に向け、2017年10月に総勢9社を引受先とする総額23.5億円の資金調達を実施。技術実証機の役割を担う衛星「イザナギ」「イザナミ」の2機の開発・製造・打ち上げへと取り組んだ。2019年12月に1号機「イザナギ」の打ち上げを実現し、2020年12月以降には2号機「イザナミ」の打ち上げを予定している。

QPS研究所は九州の地に宇宙産業を根差すことを目指し、九州大学の名誉教授の八坂哲雄氏と桜井晃氏、三菱重工業のロケット開発者であった舩越国弘氏が2005年に創業。QPSとは「Q-shu Pioneers of Space」の頭文字を取っており、九州宇宙産業の開拓者となること、さらには九州の地より日本ならびに世界の宇宙産業の発展に貢献するとの思いが込められているという。

またその名の通り、九州大学での小型人工衛星開発の20年以上の技術をベースに、国内外で衛星開発やスペースデブリの取り組みに携わってきたパイオニア的存在である名誉教授陣と若手技術者・実業家が一緒になって、幅広い経験と斬新なアイデアを基に、宇宙技術開発を行っている。同時に同社事業は、創業者たちが宇宙技術を伝承し育成してきた約20社の九州の地場企業に力強く支えられている。

2020年2月にはQPS研究所の準リアルタイムデータ提供サービスの実現加速に向けて、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙関連事業のさらなる創出を目指す「JAXA 宇宙イノベーションパートナーシップ」(J-SPARC。ジェイ・スパーク)の下、両者が共創して事業コンセプトを検討する活動を開始。また、2020年5月に衛星の観測データを活用した新たな事業の検討を開始するため九州電力との事業連携を発表した。九州大学発の宇宙領域スタートアップ「QPS研究所」が総額8.65億円の追加調達

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Rocket Labが次に打ち上げるのは小型衛星30基とゲーム業界のレジェンドが搭乗料金を支払ったノーム人形

Rocket Lab(ロケット・ラボ)の次のミッションは、同社のKick Stage(キック・ステージ)スーペスタグを使って数十基の衛星を軌道に乗せ、同時に、Value Software(バリュー・ソフトウエア)のGabe Newell(ゲイブ・ニューウェル)氏が持ち込んだ3Dプリントによるガーデンノーム人形も宇宙に運ぶ。これは新しい製造技術のテスト用なのだが、ゲーム業界のレジェンド、ニューウェル氏による慈善活動でもある。

打ち上げは、ニュージーランドの打ち上げ場の現地時間で16日以降に設定されている。いまだ無名のこのミッション(Rocket Labはこれまですべてのミッションに小粋な名称を与えてきた)だが、同社にとって「最も多様性に富む」もとになると広報資料には書かれていた。

合計で30基の衛星を、Rocket Lab独自のKick Stage放出プラットフォームから放出する。Kick Stageは他社のスペースタグと同じく、特定の予備軌道に到達した際に第2段ロケットから切り離され、ペイロードをそれぞれ固有の軌道に送り込むというものだ。Rocket Labが一度に打ち上げる衛星の数としては、今回が最大となる。

そのうち24基は、Swarm Technologies(スウォーム・テクノロジーズ)の超小型衛星SpaceBEE(スペースビー)だ。サンドウィッチ程度の大きさの通信衛星で、IoTのためのローコストで低帯域幅のグローバルなネットワーク構築に使われる。

だが最も奇抜なペイロードは、なんといっても「ノーム・チョンプスキー」だろう。こいつの搭乗料金はValue Softwareの社長であるニューウェル氏が支払った。3Dプリントで作られたこの人形は、大気圏再突入で燃え尽きるまでKick Stageに固定される。これは、人気PCゲーム「Haif-Life」シリーズに登場するアイテムのレプリカだ。「ロード・オブ・ザ・リング」など数多くの映画制作に関わったエフェクトスタジオWeta Workshop(ウェタ・ワークショップ)が制作した。便利に使える可能性のある新しいコンポーネントの印刷技術のテストであると同時に、「世界のゲーマーの革新性と創造性へのオマージュ」でもある。

しかしもっと大切なこととしてニューウェル氏は、打ち上げを視聴した人から1ドルずつStarship Children’s Hospital(スターシップ子ども病院)への寄付を募ることにしている。なので、みなさんもぜひ今回の打ち上げを見て欲しい(現在、ニューウェル氏に詳しい話を聞かせて欲しいと打診中)。

この他に、TriSept(トライセプト)、Unseenlabs(アンシーンラボズ)、Auckland Space Institute(オークランド宇宙研究所)の衛星も搭載される。オークランド宇宙研究所のものは、ニュージーランドで初となる学生が製作した宇宙船だ。

Rocket Labでは、見込み客がサービスやコンポーネントをあちこち探し回らずに済むよう、すべてが1つに収まった打ち上げプラットフォームの開発に力を入れてきた。同社CEOのPeter Beck(ピーター・ベック)氏によれば、理想は基本的な骨組みだけ持ち込めば、後はすべて同社が面倒を見るというかたちだという。

画像クレジット:Rocket Lab

「小型衛星の運用者は、相乗りミッションで打ち上げる際に、軌道で妥協する必要はありません。今回のミッションでは、30基の衛星それぞれにオーダーメイドの宇宙への道を提供できることに対して私たちは胸を躍らせています。私たちがKick Stageを開発したのはそのためです。どのミッションでも注文どおりの軌道に乗せることができるよう、また、宇宙船の推進装置を開発したり、サードパーティーのスペースタグを使うといった余計な手間、時間、コストを排除できるようにです」とベック氏は広報資料で述べている。

Rocket Labでは、先日、自前の衛星First Light(ファースト・ライト)も打ち上げた。ベック氏の言葉を借りれば「ウザイこと」なく軌道に載せられることを証明するためだ。

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タグ:Rocket Labロケット人工衛星

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(翻訳:金井哲夫)

Rocket Labが15回目の商用ミッションとして地球観測衛星10基の打ち上げに成功

ニュージーランドのロケット打ち上げ企業Rocket Lab(ロケット・ラボ)は、15回目の商用ペイロードの打ち上げに成功し、地球観測衛星10基をそれぞれの目標軌道に載せた。同社はターンアラウンドタイムの最短記録樹立を目指していたものの2020年7月の混乱で計画が停滞していたが、再び元のペースに戻りつつある。

最新のElectron(エレクトロン)ロケットに搭載され地球を旅立ったペイロードのうち9基は、Planet(プラネット)のSuperDove(スーパーダブ)衛星だ。新世代の観測衛星で、画像の更新間隔が縮まり、地表のより広い範囲をカバーできるようになる。

キヤノンのCE-SAT-IIBは、デモンストレーション用衛星だ。「超高感度カメラで地球の夜の映像が撮影できる中型望遠鏡」を搭載している。また通常の観測が行える小型カメラも数台備えられている。Planetとのライドシェア(相乗り)は、打ち上げライドシェア専門業者Spaceflight(スペースフライト)が手配した。

今回の打ち上げは先週に予定されていたものだが、「一部のセンサーから、今後調査すべき気になるデータが返ってきた」ために延期されていた。幸い、予備日には余裕があったので、本日が再挑戦の日に設定された。

すべてが順調に進み、衛星は打ち上げからおよそ1時間後に、それぞれの軌道に到達できた。

 

7月にペイロードを失いRocket Labが一時的に打ち上げを停止してから、今回で2回目の打ち上げとなる。その事故は派手な爆発などではなく、衛星を軌道に放出する前に電気系統に故障が生じたために、むしろいさぎよくシャットダウンしたというものだ。

幸いにも同社は、その迅速な原因究明により、事故から1カ月以内に打ち上げ再開を果たすことができた。

ついでながら、この顛末やその他の話が、12月開催予定のTC Sessions: Space 2020で聞けることになった。Rocket Labの創設者でCEOのPeter Beck(ピーター・ベック)氏が登壇してくれる。

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タグ:Rocket Lab人工衛星

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(翻訳:金井哲夫)

SpaceXがStarlinkアプリをローンチ、ベータテスターに月額約1万円の参加費用とサービス内容を公開

SpaceX(スペースエックス)は、Starlink(スターリンク)衛星ブロードバンドインターネットサービスの公式アプリのiOS版とAndroid版を公開した。Starlinkアプリは、ユーザーが接続の管理に使うためのものだが、使用するには公式ベータプログラムに参加する必要がある。SpaceXが今週ベータテスター予定者に送付した電子メールによれば、今回の公開第1弾はほんの始まりに過ぎないとのことだ。

Starlinkアプリでは、Starlink用パラボラアンテナの設置ガイド、接続状況(信号の品質など)、ネットワークに何が接続されているかを確かめるためのデバイス状況、そしてスピードテスト用ツールが提供される。家庭のWi-Fi接続やルーターの管理を行う通常のモバイルアプリとよく似ている。また、CNBCが入手したベータテスト予定者向けのメールでは、料金、スピード、遅延といったユーザーが気になる情報が詳しく伝えている。

最初のStarlink公開ベータテストは、SpaceXのアプリの解説で見受けられるように「Better Than Nothing Beta(ないよりはマシのベータ)」テストと呼ばれている。米国とカナダで、2020年の年末までに開始される予定だ。これは先に発表されていたタイムラインに一致する。この名称が示すとおり、スピードは50〜150メガバイト毎秒、遅延は20〜40ミリ秒、さらに、まったくつながらない瞬間もあるなど、ユーザーが過大な期待を持たないような数値を参加者向けメールで知らせている。控えめに書かれてはいるが、このとおりの性能であったとしても、インターネット接続サービスが高価であったり、不安定であったり、ダイヤルアップ程度の速度しか得られない環境で苦労しているユーザーには大きな改善となる。

画像クレジット:SpaceX

料金は、SpaceXがメールで伝えたところによると、ベータプログラムの参加費用が月99ドル(約1万300円)、それにハードウエアの代金として最初に一度だけ支払う499ドル(約5万2000円)が必要となる。ハードウエアには、パラボラアンテナとその取り付け金具、Wi-Fiネットワーク機能付きのルーターが含まれる。

サービスの目標は、地球の低軌道を回る大きなコンステレーションを構成する小型衛星が、互いに接続を引き継ぎながら、安定した、遅延の小さいブロードバンド接続を提供することにある。すでにSpaceXは1000基近くの衛星を打ち上げているが、どこでも普通にサービスが受けられるよう、さらに数千基を打ち上げて地球全体をカバーしたいと同社は考えている。

SpaceXは、Starlinkの最初の商用パートナーシップと試験計画をすでに発表している。これには、Microsoft(マイクロソフト)と共同で、同社のモバイルAzure(アジュール)データセンターをつなぐ計画や、東テキサス教育委員会と地元コミュニティーとをつなぐプロジェクトが含まれている。

関連記事:SpaceXはStarlinkネット衛星サービスのプライベートベータを検証中、低遅延と100Mbps以上の速度を確保

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(翻訳:金井哲夫)

NASAとSpaceXがCrew Dragonの初運用打ち上げを11月14日に予定、野口聡一宇宙飛行士も搭乗

国際宇宙ステーション(ISS)に宇宙飛行士を正式に輸送し、標準的なクルーローテーションを実施する最初のミッションは、現在、暫定的に米国時間11月14日に設定されている。NASAは当初の10月中の予定を変更した後、今週、ミッションの更新日を発表した。2020年に行われた歴史的なDemo-2ミッションが正式にテスト段階を終了し、NASAでの使用が認められた後、SpaceX(スペースX)の乗員用カプセルであるCrew DragonがISSでの 「シフトチェンジ」 ミッションのために飛行するはこれが初めてである。

今回の打ち上げではNASAのShannon Walker(シャノン・ウォーカー)、Victor Glover(ビクター・グローバー)、Mike Hopkins(マイク・ホプキンス)宇宙飛行士の3人と、JAXAの野口聡一宇宙飛行士がISSに到着し、クルーとともにISSのメンテナンスやアップグレードなどの定常運用を行うほか、地球上の研究者と共同で実験を行う。

彼らはロシアのSergey Ryzhikov(セルゲイ・リジコフ)、 Sergey Kud-Sverchkov(セルゲイ・クドスベルチコフ)宇宙飛行士、NASAのKate Rubins(ケイト・ルービンズ)宇宙飛行士など、現在ISSに滞在している乗組員に加わる予定だ。ISSに到着すると、クルーは通常の6人から7人になるが、これにより宇宙ステーションの円滑な運用を継続しつつ、通常の任務よりも研究や実験に多くの時間を費やすことができる。

Crew-1はケープカナベラルからFalcon 9ロケットで打ち上げられる予定で、東部標準時午後7時49分を予定している。もちろんこれは変更される可能性があるが、現時点ではこのスケジュールで予定されている。

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タグ:NASASpaceXCrew DragonFalcon 9

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

NASAが月面の太陽光が当たる部分に水の存在を確認

NASA(米航空宇宙局)が画期的な発見をした。月面の太陽光にさらされる場所に水が存在することを確認した(NASAリリース)。これまで、太陽光が当たらない月面に氷として水が存在することはわかっていた。次の月へのミッションが、月の南極へのものであるのは、部分的にはそのためだ。月の南極にはこれまで直接太陽光にさらされたことがないクレイターの中に氷が隠れているかもしれないと考えられている。

今回の発見はまったくの驚きではない。というのも、NASAの科学者や研究者は以前、月の太陽光があたる部分に水が存在していた可能性がある兆候を発見していた。しかし今回、NASAの成層圏赤外線天文台(SOFIA)で観測したデータで水の存在を確認できた。SOFIAは月の南半球にあるClavius(クラビウス)クレイターに水の分子があると推測している。

水の存在を証明するのにこんなにも長い時間がかかったことから想像できるかもしれないが、月の水はそれほど多くない。NASAは、1立方メートルに100万分の100〜412を検知することができたと話す。これは標準の12オンス(約355mℓ)ボトルの量に相当する。NASAは、SPFIAが検知できる水の量よりサハラ砂漠の方が100倍多いという。

たとえそうであるにしても、太陽光が当たる月面というどちらかというと厳しいコンディションで水が存在できるという事実は興味深いものであり、さらに研究する価値がある。科学者は水がどのようにしてそこに存在するに至ったのか、実際どのようにして蓄積することができたのか明らかにしたいと考えている。それらを研究し、また科学者は他に水の存在がないか別のクレイターや太陽光が当たるエリアを観察する今後のSOFIAのミッションを通じて、月面での恒久的な駐留を確立する探検者たちによる水の使用の可能性を視野に入れている。

これは間違いなく画期的な発見であり、人間によるさらなる宇宙探検の未来に不可欠なものとなるだろう。そうした長期的な目標には、科学者が研究を行い、ゆくゆくは火星など別の目的地を目指すことができる科学基地を設置することが含まれる。水などその場にあるリソースの活用は目標をより早く、複雑な応急措置を要せずに実現できるかもしれない。水というのは、人間が生き延びるための基本的なものであるばかりでなく、ロケットを打ち上げるための燃料など月から送り出すミッションにとって必要不可欠なリソースでもある。

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タグ:NASA

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(翻訳:Mizoguchi

スペースXが15回目となるミッションで60基のStarlink衛星を打ち上げ

SpaceX(スペースX)は、来るべきグローバルなブロードバンドインターネットサービスの主要な構成要素である、Starlink(スターリンク)衛星を新たに60機打ち上げた。打ち上げは米国東部標準時午前11時31分に行われ、フロリダ州のケープカナベラル空軍基地から実施された。これは15回目のStarlinkの打ち上げであり、スペースXはこれまでに900機近くの低軌道衛星を打ち上げてきた。

今回の打ち上げは、Falcon 9の第1段ブースターの2回目の使用となった。ブースターは大西洋上のスペースXのドローン船「Just Read the Instructions」に乗って海上に着陸し、無事に回収された。

今週初めにテキサス州のEctor County Independent School Districtは、スペースXのStarlinkネットワークの新しいパイロットパートナーになることを発表した。2021年、この地区はStarlinkのネットワークを介して低レイテンシのブロードバンドに接続できるようになり、最初は最大45世帯が接続できるようになるが、さらに多くのコンステレーションがローンチされ、オンライン化されるにつれて、90世帯の顧客に拡大する計画だ。

スペースXがStarlinkで目指しているのは、これまで到達困難な地域や地方では不可能だった速度と遅延で世界中にブロードバンドサービスを提供することだ。その衛星コンステレーションは、最終的には最大何万機もの規模になることを目的としており、商業利用可能な既存のインターネットを提供する静止衛星と比較して、遅延と信頼性の点で大きな利点を提供する。

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タグ:SpaceXStarlinkFalcon 9

画像クレジット:SpaceX

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

水を推進剤とする衛星用超小型推進機の実用化を手がけるPale Blueが7000万円を調達

水を推進剤とする衛星用超小型推進機の実用化を手がけるPale Blueが7000万円を調達

Pale Blueは10月21日、第三者割当増資(シードラウンド)および金融機関からの融資により、約7000万円の資金調達を発表した。引受先は、インキュベイトファンド、三井住友海上キャピタルの各社が運営するファンド。

同社は令和2年(2020年)4月に設立後、東大IPC 1st Roundや国および地方自治体の助成などを含め、創業半年で累計約1億4000万円を調達。これによって、世界初となる、水を推進剤とした超小型衛星向け統合推進システムの実用化に挑むとしている。

また、同ラウンドのリードインべスターであるインキュベイトファンドから、大学発スタートアップの立ち上げ支援経験を豊富に有する村田 祐介氏が同社社外取締役に就任した。

小型衛星製造企業NanoAvionicsとのMemorandum of Agreement(MOA)も締結。NanoAvionicsはアメリカ・イギリス・リトアニアに拠点を持ち、これまでに27ヵ国の企業・研究機関から75機以上の小型衛星の製造・インテグレーションを行ってきた実績を持つ。今回のMOAを契機とし、Pale Blueは水を推進剤とした超小型推進機の事業拡大を加速させる。

Pale Blueは、水を推進剤として用いた超小型推進機の技術を軸に、持続可能な宇宙開発・利用の実現を目指す、東京大学発スタートアップ。

同社によると、小型衛星のさらなる市場拡大には、宇宙空間で能動的に小型衛星を動かすための推進機が必要不可欠という。しかし、大型衛星用の推進機は高圧ガス・有毒物を推進剤として用いており、体積・重量・コストの観点から小型衛星に適用することは困難だった。

Pale Blueは、東京大学 小泉研究室で進めてきた安全無毒で取扱い性・入手性の良い水を推進剤とする小型推進機の技術を社会に実装することで、小型衛星の市場を拡大させつつ、持続的な宇宙開発・利用の実現を目指す。今回の資金調達を受け、まずは水推進機の複数の宇宙実証プロジェクトを推進する。

東京理科大学 木村研究室と水プラズマプルームの宇宙空間におけるカメラ撮影に関する共同研究を締結

またPale Blueは、東京理科大学 理工学部 電気電子情報工学科 木村研究室と、水を推進剤とする超小型統合推進システムから宇宙空間に排出される、プラズマ状態の水を指す「水プラズマプルーム」の宇宙空間におけるカメラ撮影に関する共同研究契約を締結。

Pale Blueは2020年5月、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「革新的衛星技術実証3号機の実証テーマに選定され、水を推進剤とした超小型統合推進システムの開発を進めてきた。同システムは、「レジストジェットスラスター」および「イオンスラスター」の2種類の推進機をひとつのコンポーネントに統合したものになるという。レジストジェットスラスターは、推進剤を電気エネルギーにより加熱した後に宇宙空間に排出し、その反力で推力を生成する推進系。イオンスラスターは、イオンを引き出すイオン源と、電子を引き出す中和器が対となって構成され、中和器から電子を放出することで宇宙機の電位を保ちつつ、イオン源からのイオン引出しにより推力を生成する推進系。

東京理科大学 木村研究室は、スペースデブリの除去を主な研究対象として、その実現に必要な技術にシステム技術・自律制御技術など総合的に取り組んでいる研究室。スペースデブリに自律的に接近するための画像誘導技術に関連して、宇宙用超小型カメラにも注力しており、小惑星探査機「はやぶさ2」はじめ、これまでに30台以上の宇宙用カメラの開発経験を持ち、宇宙開発において日本を代表する研究室となっている。

同共同研究では、革新的衛星技術実証3号機に搭載される水を推進剤とした超小型統合推進システムに関し、特に水イオンスラスターが宇宙空間で動作している様子を、宇宙仕様に工夫が施された超小型カメラによって撮影。宇宙空間において動作中の水イオンスラスターから排出される水プラズマプルームの放出特性をカメラによって撮影し取得することを目指す。

過去に宇宙空間における水イオンスラスターの作動およびそのプルームが撮影された例はなく、実現に成功すれば世界で初めての成果となる。加えて、通常は見ることのできない宇宙での推進機の作動の様子を可視化することは、科学技術のアウトリーチや製品の付加価値を高める観点でも非常に意義のあるものとなるという。

東京大学は、宇宙推進機を長年研究しており、推進機内における複雑なプラズマ物理の解明や電気推進の性能評価に関して、世界をリードする研究機関のひとつ。Pale Blueのメンバーは、東京大学在籍時から推進機の基礎研究に加えて、高周波電源や高電圧電源の小型化・高効率化に取り組み、成果を上げ、さらには実際の小型衛星に搭載する推進システムの開発を多数経験。水統合推進システムの実現において、東京大学のエンジン基礎研究の成果を社会実装・実用化する役割を担い、その収益をアカデミアに還元することを目指す。

水を推進剤とする衛星用超小型推進機の実用化を手がけるPale Blueが7000万円を調達

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Relativityの3DプリントフェアリングをロッキードがNASAの宇宙空間実験ミッションに採用

宇宙航空スタートアップのRelativity Spaceが初の政府との契約を獲得した。同社はNASAのTipping Point(ティッピング・ポイント)という高度、複雑なミッションを実施する上でRelativityの3Dプリンティングによるロケットフェアリングが最適のチョイスと判断した。

ミッションは、宇宙空間で十数種類の極低温液化ガスの取り扱いを実験するものだ。中でも液化水素は処理が非常に難しい物質として知られている。しかもこの実験は単一の衛星上で行われるため、メカニズムのデザインは非常に複雑となる。

液化ガス処理システム自体は、NASAのパートナーであるロッキードが設計する。しかし、当然ながらシステム開発にあたっては実際の打ち上げに用いられるロケットの開発者と緊密に協力する必要がある。

RelativityのファウンダーであるCEOのTim Ellis(ティム・エリス)氏はこの複雑なミッションを実施するロケットの製作には3Dプリンティングが最適だと説明した。

エリス氏は「予定されているペイロードに合わせて、カスタマイズされた特殊な形状のフェアリングを製作する必要があります。ペイロードへの適切なフィッティングも必要とされ、これも特別なものです。もちろん部外者が一見したところでは普通のロケットに見えるかもしれません」と述べた。

フェアリングというのはロケット先端のペイロード搭載部分を覆うカバーで、ペイロードに合わせて設計されねばならない。Tipping Pointのような実験では特に高度なカスタマイズが必要となる。10種類以上の低温液化ガスをロケットに搭載し、打ち上げ直前まで状態を確認し続けなければならないため、特殊なフェアリングを必要とする。これを従来の方法で製造すればコストの大幅上昇を招く。

エリス氏は「現在のロケットの製造マシンは60年前とほとんど変わっていません。据え置きタイプの巨大な機械で、見た目は壮観ですが、特定の目的のために設計されおり単一の製品しか作ることができません。製造過程はすべて手作業で1年から2年かかります」と現在の製造プロセスの問題点を指摘する。

しかし、Relativityはそうではないという。

「私たちの3Dプリンティングは、フェアリング全体を30日以内に出力します。製造過程はソフトウェアが制御するため、異なる形状の製品を製造する場合は制御ファイルを交換するだけでいいわけです。今回のミッション向けのフェアリングには数多くのカスタマイズが行われていますが、私たちのテクノロジーは柔軟性が高くすばやい適応が可能です。Tipping Pointプログラムはスタートしてからすでに3年経っていますが、このようなミッションでは打ち上げが近づけば近づくほど『最後の瞬間の変更』が頻繁になるのはよくあることです。3Dプリンティングならこのような変更にも即座に対応できます。従来のテクノロジーでは設計からやり直さねばなりません」とエリス氏は説明する。

Relativityは、ロッキードのような有名大企業と公開契約を結ぶことができたことに興奮している。こうした巨大企業は無数の政府契約を得ており、多数の衛星打ち上げに関わっている。宇宙産業では、こうした大企業と契約できることが非常に重要となる。いってみれば、相手の住所録に名前が載るだけでも大きなメリットだ。今回のような(月面探査とか有人宇宙飛行などと比べて)小規模なミッションは、Relativityスタートアップが能力を示す絶好のチャンスだ(もちろん多数の3Dプリンティング部品が打ち上げに利用されており注目に事欠いていない。しかし関心がさらに高まるのはメリットだ)。

プロジェクトが計画通りに進めば同社のフェアリングは2021年の後半に実際に宇宙に飛び出すことになる。「当社では数週間前から実際にフェアリングの出力を始めています」とエリス氏はコメントした。

NASAのTipping Pointプロジェクトによりロッキードは8970万ドル(約93億9000万円)の契約を獲得している。Tipping Pointというプロジェクト名のとおり、この実験は低温液化ガステクノロジーの商業利用の根本的な革新を目指している。有人月面探査やロボットアームには数十億ドル(数千億円)という巨額の資金が投じられているのに対してこのプロジェクトは比較的小規模だが、NASAにとってはある種のベンチャー投資なのだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

NASAのOSIRIS-RExが小惑星ベンヌでの岩石サンプル採取に成功

【アップデート】探査機は着陸し、サンプル収集に成功した。OSIRIS-RExは現在、サンプルとともに小惑星を離れており、問題がなければすぐに地球への帰路につく予定だ。

NASAの探査機OSIRIS-RExが小惑星に着陸しようとしており、その様子がライブ放送される。探査機は米国時間10月20日の午後に回収作業を行う予定で、計画通りに進んだかどうかはもうまもなく判明する。

OSIRIS-REx(Origins Spectral Interpretation Resource Identification Security – Regolith Explorer)は2016年9月に打ち上げられ(未訳記事)、その目的地となる小惑星ベンヌに到着して以来、予定軌道に入るために注意深いマヌーバ操作が行われてきた。

本日のミッションでは探査機が小惑星の表面に短時間着陸し、岩石の一部を吸い上げる「タッチアンドゴー(TAG)」の集大成だ。サンプル回収が確認されると、数秒後に探査機は再び上空に向けてジェット噴射し、ベンヌを脱出して帰路につく。

画像クレジット:NASA

画像クレジット:NASA

ミッションの実際のライブ配信は行われないが、NASAはOSIRIS-RExのテレメトリから得られた経過のライブアニメーションと、下降する際に撮影された画像を提供する予定だ。

2019年には日本の小惑星探査機ことはやぶさ2が非常に似たミッションを実施したが、こちらでは投射物を地表に発射して表面を撹拌し、より多様なサンプルを得るというさらに複雑な(そしてクールな)作業が行われた。

NASAのライブ放送は太平洋夏時間の午後2時から始まり、タッチダウンイベントは1時間ほど後の3時12分に予定されている。Twitchのフィードですべての作業の経過が報告され、YouTubeチャンネルのNASA TVでもライブ配信が実施される。降下とサンプル回収の画像も撮影されるだろうが、それらは遅れて到着するだろうから(100万マイル遠方から多量のデータを送るのはひと苦労だ)、最新情報はNASAのフィードから入手して欲しい。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter