Yahoo!ショッピング、注文から2時間以内に商品を届ける「すぐつく」実験スタート


ヤフーは8日、「Yahoo!ショッピング」で注文してから2時間以内に商品を届けるサービス「すぐつく」の実証実験を開始した。まずは東京・豊洲地区限定で半年間テストし、今後はニーズに合わせて本格的な展開を検討する。日本ではヤフーや楽天、Amazonが一部地域で、午前中に注文した商品を夕方以降に届けている。これに対してすぐつくは、Eコマースで消費者の“今すぐ欲しい”というニーズを満たす領域に参入しようとしている。

2時間以内の配送を実現するにあたっては、従来のように巨大な物流拠点から配送するのではなく、近隣にある実店舗から利用者に直接商品を届けることで配送スピードを上げる。今回の実験ではスーパーマーケット「たつみチェーン豊洲店」など3店舗が扱う日用雑貨や食品、飲料など2500点を対象に、店頭と同じ価格で2時間以内に届ける。ユーザーは1回の注文につき500円の手数料を支払う必要がある。商品の配送は、買い物代行サービスを手がけるココネットが担当する。

実証実験の段階では速配のニーズが高いと思われる日用雑貨や食品・飲料が中心。しかし今後は、ニーズに応じて体調不良で外出できない人のために医薬品を届けられるようにするなど、商品の幅を増やしたいという。ネットショッピングでも翌日配送や当日配送は珍しくなくなっているけれど、2時間以内といった“今すぐ欲しい”ニーズを満たすサービスが過熱するかもしれない。


目指すは屋外のGoogle、徒歩5分以内の場所を検索する「Pathee」が1.3億円調達

5月にリリース予定のiPhoneアプリ

徒歩5分圏内の場所を検索できるサービス「Pathee(パシー)」を運営するtritrue(トライトゥルー)は4月30日、オプトと大和PIパートナーズを引受先とする1億3000万円の第三者割当増資を実施した。Patheeは屋外でスマートフォンを使って検索する利用シーンに特化したサービス。現在はブラウザーからの利用のみに対応しているが、5月中にiPhoneアプリをリリースする予定。

tritrue代表取締役CEOの寺田真介は、屋外で検索サービスを利用すると、「検索結果が多すぎる」「検索結果が同一の内容ばかりである」「場所に関係ない検索結果が出てくる」という3つの理由で答えが見つかりにくいと指摘する。「例えば、近くのラーメン屋を探そうと思ってスマホと調べるとWikipediaやレシピがヒットしたりする。Googleの検索結果から場所に関係ないページを除けば便利なんじゃないか、という発想からPatheeを開発した」。

Patheeが真価を発揮するのは「土地勘のない場所」だという。ウェブページの情報と位置情報を紐付けて整理しているため、近くの喫煙所や授乳室を探すといったニーズに答えられるという主張だ。

例えば、屋外で急な便意に襲われた際、「トイレ」と検索すると徒歩5分以内の場所から探すことができ、検索結果をタップするとGoogleマップで道順を案内してくれる。同じようなことはGoogleマップでも事足りるようにも思えるが、Patheeではデパートやパチンコ屋など、誰でも利用可能なトイレがある施設のウェブページを検索結果に表示するのが特徴という。この点、Google Mapsでは公共のトイレしか表示されなかったりするそうで、将来的には「屋外のGoogle検索」のようなポジションを目指す。

収益面では、今回出資を受けたオプトの協力を得て、位置情報に基づく検索クエリの解析によって最適化した広告サービス「Patheeアドプレイス」や、エリアマーケティングに活用できるサービス「Patheeロケーショントレンド」を2015年までに提供する。また、詳細は明かされなかったが、住所が記載されていないウェブページにも住所を付加する技術を開発していて、近日中に特許申請する予定なのだという。


日本の数年先を行く、米FinTech業界の次のトレンドは?

編集部注:この原稿は本誌でも何度か紹介しているマネーフォワードの創業メンバーの1人、瀧俊雄取締役COOによる寄稿である。マネーフォワードは「お金に関する悩みや課題を解決したい」という思いから誕生したFinTechのスタートアップ。無料家計簿アプリ「マネーフォワード」や中小法人・個人事業主向けのクラウド型会計サービス「マネーフォワード for BUSINESS」を提供している。本稿では、大型調達が相次ぐアメリカのFinTech事情を解説するとともに、日本市場へのヒントを読み解いてもらう。

5000万〜1億ドルの大型調達が相次ぐアメリカのFinTech業界

TechCrunch読者であれば、FinTechという言葉はすでにご存じかもしれない。FinanceとTechnologyを合成した造語で、金融関連のスタートアップを示す用語として、この数年で市民権を得てきた。日々の報道からその盛り上がりが感じられる一方で、FinTechはどのような消費者ニーズに応え、進化を遂げているのか、あまり実感がないという人もいるかもしれない。ひと口にFinTechといってもその業態は多様で、わかりづらい面もあるだろう。私はそのような中、米国スタンフォード大学への留学やマネーフォワードの創業などの経験から、FinTechが手がける新たな問題解決の方向性を肌で感じる機会に恵まれてきた。本稿では、その中で得られた洞察を元に、全体像を俯瞰しつつ、日本市場への示唆を見ることとしたい。

従来、FinTechとは金融機関向けにサービス開発を提供する、どちらかと言えば大規模ベンダーを指す用語であった。しかし近年、FinTechにスタートアップのイメージが付随しつつある。その理由の一つとして、決済ビジネスにおけるメガベンチャーの台頭がある。古くはPayPalがあるし、最近ではスマートフォン決済を広めて脚光を浴びたSquare、EC向けツールであるStripeなど、新しい決済を体現したビジネスが生まれてきている。

そのプレゼンスの大きさは、米国の未公開株式市場を運営するSharesPostが自社ファンドで選定したベンチャー100社のリストにも表れている。同リストは、DropboxやEvernote、GitHubなどの当代を代表するメガベンチャーの一覧といえるが、その中で、金融関連では上記のSquareとStripeの2社がラインナップしている。

一方で、決済以外でも、FinTech産業では新たなプレーヤーが台頭してきており、5,000万〜1億ドル(50〜100億円)近い大型調達を行う事例が増えてきている。これらの事例を、既存プレーヤーと共に事業領域別に分類したのが図1である。

図1 米国FinTechの主要プレーヤー(B2Cを中心に)、(出所)筆者作成、調達金額はCrunchbase等を参照

FinTechの事業領域

プレーヤーを大きく分類すると、1)決済、2)会計サービス、3)銀行系サービス、4)PFM(家計・資産管理)ツールの他に、5)PFM+αといえる領域があるように思われる。それぞれの事業領域について詳しく見てみよう。

1)決済系のベンチャーとしては、スマートフォンを経由した決済や、ECサイトを経由した決済ツール等に関する、大規模なシェア争いがグローバルに行われている。決済市場は流通額に対する一定パーセントという巨大な手数料ビジネスである。その一方で、先日のSquareの身売り交渉の報道(真偽の程は不明)は、例えSquareのようなプレゼンスの大きな企業であっても、苛烈な競争環境に置かれていることを物語っている。

2)会計系サービスとしては、米国では中小企業向けには90%近いシェアを誇る会計ソフト最大手Intuit社のプロダクトに対して、いくつかのクラウド型会計ソリューションがシェアを奪おうと試みている点に注目したい。

その筆頭がXeroである。100カ国以上で20万を超えるユーザーを有する同社は、Intuit社の中小企業向け会計ソフトQuickBooksへの対抗馬として見られており、2億ドル以上の資金調達を行っている。会計分野では二大プレーヤーが火花を散らす中、他のプレーヤーとしては、経費精算に特化するExpensifyなどがある。

3)銀行系のツールとしては、Simpleが、既存の銀行の送金・貯金機能に対して、PFMツール的な色彩を加えたことが近年話題となった。Simpleでは、The Bancorp社の銀行のシステムインフラを借りることで、銀行での取引に「楽しさ」を加え、金融情報にライフログとしての味付けを持たせることに成功した。同アプリでは、日々の支出に写真やタグを付けて管理を行ったり、住宅購入に向けた目標別に、仮想口座を設定することができる。同社は、米国市場でのシェア拡大を狙うスペインの大手銀行BBVAに、創立4年にして1.17億ドルで買収されたこともあり、銀行産業自体の変革をも期待させる動きへと繋がっている。

他のベンチャーとしては、小規模の銀行向けにPFMツールを開発・納入するMoneyDesktopが注目される。同社は、調達額自体は少額に留まる一方で、ベンチャー系のベンダーとして、PFMツールやCLO(カードと連携した特典付クーポン)などの広告ビジネスなどを銀行に広めるなど、PFMの機能を銀行側から浸透させている点でも注目される。

4)PFM(家計・資産管理)ツールとは、日本的な表現をすると進化した家計簿である。この領域は、mint.comの存在なくしては語れない。2006年にローンチされた同サービスは、様々な金融機関の口座集約(アカウント・アグリゲーション機能)の技術を、洗練されたデザインで提供することにより、一気に国民的ツールに育て上げたプレーヤーである。同サービスは、設立3年目の2009年にIntuitに1.7億ドルで買収されたことも話題となった。

2009年以降、mint.comの買収に続けと言わんばかりに、口座集約機能を活用したPFMサービスのローンチは相次いでいる。その代表例はHelloWalletである。同サービスは、mint.comの有料版といえるサービスであるが、ターゲットを利用者個人ではなく、企業としている。同社は、企業が提供すべき福利厚生の一つとして「金銭的な健康(Financial Health)」を標榜しており、個人をカード破産や年金資金の早期引き出しから守るアドバイスを提供することを付加価値としている。お金に関するストレスが減れば、従業員と、ひいては会社の生産性を上げられる、というメッセージの元にサービスを展開をしている。カード破産が多いアメリカならではのビジネスといえるだろう。

また、最近話題となっているのがスウェーデンのベンチャーQapitalである。同サービスは、貯蓄に着目し、アプリ内に直接銀行に貯金する機能を付したアプリをリリースする予定と報道されている。従来全体像を把握し、ユーザー個人の行動にソリューションを求めることが多かったシンプルなPFMに対して、新たな付加価値を提供しようとする試みといえる。

このように、従来のシンプルなPFMサービスに加えて、近年では、5)PFM+αといえる業態が台頭してきている。この新しいトレンドとも言える、PFM+αについて、もう少し解説してみたい。

PFM+αのプレーヤー達

2009年以降、PFM(家計・資産管理)ツールの中では、資産運用や不正請求の防止、フィナンシャルプランニングといった、PFMの中でも特定のニーズに着目したベンチャーが台頭してきている。

・2007年創業のLearnVestは、オンライン上でユーザーとフィナンシャルプランナー(FP)を年間1~4万円のコストで提供し、貯金や投資に関するアドバイスを提供する会社である。同社では自動化されたアドバイスに加えて、人による助言を行うことで、何をすれば良いのかという「答え」を提供しており、拡大するユーザーベースを元に、6900万ドルを調達している。

・2007年創業のCheckは、クレジットカードの引き落としや、金額に対するアラートを提供するサービスである。口座集約機能のみならず。送金機能も付しているため、多くの米国人にとっての心配事である「引き落としの失敗」を未然に防ぐツールとなっており、クレジット・スコアの監視を行う有料サービスも提供している。同社は、これまでに4700万ドルを調達している。

・2009年に設立されたPersonal Capitalは、口座集約機能を持つPFMサービスを強みとしつつも、そのターゲットをユーザーの資産運用としている。同社ではユーザーごとにFP(フィナンシャルプランナー)がアドバイスを提供し、コストを抑えた資産運用プランを提供している(販売手数料はかからず、固定の運用報酬が課される)。累計では5400万ドル以上を調達しており、資産形成機能に特化したプレーヤーとなっている。

・2011年に創業したBillGuardは、クレジットカード履歴の監視サービスである。少額での不正請求や、身に覚えのない手数料などについて、従来であれば面倒で無視していたか、もしくは気付かなかったような支払いをデータベースから検知し、簡単な手続きで返還請求を可能とする機能を提供している。同社は累計で1300万ドルを調達している。

上記のプレーヤーの先駆者としては1996年に創業し、2010年に上場したFinancial Enginesがある。同社は、ノーベル賞学者ウィリアム・シャープを創業者とし、口座集約機能を用いたPFMツールを援用しながら、個人の年金資産運用に向けて、自動化されたアドバイスと運用を提供している。顧客数は75万人、運用資産は800億ドルを上回っている。

このように、PFM+αと呼べるこの業態では、具体的なニーズに対して、資産運用やアドバイスといった、具体的なソリューションを提供している点が、純粋なPFMとは異なっている(図2)。

図2 米国のPFMサービスのトレンド

PFM+αが生まれた背景

PFM+αと呼べるプレーヤーが出てきた背景としては、mint.comによるシンプルなPFM市場の独占、口座集約機能のインフラ化、より切迫する若者層の金融ニーズ、の3点がある。

mint.comはIntuitによる買収後、1200万人にまでそのユーザーベースを拡大した。サービスの使い勝手は長らく評価されており、連携するIntuit社の確定申告用ソフトTurboTaxも市場の6割以上のシェアを有している。そのため敢えて「シンプルなPFM」の牙城に攻めこむプレーヤーが出てきていないのが現状といえる。

次に、口座集約機能のアウトソースが可能な環境が整ってきたことが挙げられる。米国では、口座集約(アカウント・アグリゲーション)機能をIntuitとYodleeの2社が外部ベンダーとして提供している。近年、両者はビジネスインキュベーション的な観点から、同機能をユーザーあたり月額数十セントという価格で提供し始めている。そのため、口座集約のためのコスト面及び技術面でのハードルが下がり、スタートアップがより「問題解決アイデア」で勝負できるようになったという、土壌の変化がある。

最後に、米国の若者層における、金融危機以降のお金に関する危機感の高まりがある。UBSが公表したMillennials世代(米国の21-36歳の間の世代)を対象とする調査では、2008年の金融危機を経験したこの層の資産構成において、過半数を預金が占めていることが話題となった(図3)。同レポートでは、投資よりも借金の返済に勤しむ若者の姿が観察されてきており、従来の投資意欲の高く楽観的な米国人像とは対照的な、地道な問題解決を望む米国の若者像が浮き彫りとなっている。このような層に向けて、具体的な問題解決につながるベンチャーの台頭が待たれていた、と見ることができる。

図3 米国Millenials世代の資産構成、(出所)UBS Investor Watch Reportより筆者作成

日本市場への示唆

ここまでアメリカのFinTech事情を見てきたが、ここからは日本市場へのヒントを考察してみたい。

決済の世界では、日本市場ではCoiney、楽天スマートペイ、PayPal Here、Squareといったプレーヤーが競争を繰り広げている中で、冒頭にも述べたSquare身売り話の噂など、本国市場での意外ともいえる収益性懸念についての余波が、今後とも注視されるところである。

会計サービスの領域では、クラウド型会計サービスが、既存の大手会計プレーヤーとの差別化をいかに図っていくかが重要といえる。銀行系のアプリケーションについては、Simpleの銀行インフラを提供していたThe Bancorpのようなプレーヤーが出てくる変化があれば、銀行業自体に大きな変化が生まれる可能性もあるだろう。

一方で、PFMの展開について今後を見据えると、日本では近年、当社のマネーフォワードのほか、kakeibon、MoneyLook、Zaim といった、複数の個性ある家計簿アプリが、口座集約機能を実装して、お金の全体像を把握するサービスの展開を活発化させてきている。ユーザーが自らのデータをサービスプロバイダーに預け、その結果としてスマートフォンやウェブ上で、これまでは得られなかった全体像を把握する習慣が、ようやく緒に付いてきた段階といえるだろう。

シンプルなPFMのニーズの先には、+αといえる要素があるビジネスモデルが求められている。日本の若年層は数十年前の日本人と比べて、所得の安定や、将来に向けた備えなど、様々な形での自己責任を求められるようになった。この社会的背景の中で、資産運用や将来設計などの米国型のソリューションに加えて、より分かりやすい貯蓄・節約方法や加入する保険の見直し、ローンの管理など、より問題解決につながるビジネスモデルが今後は求められているのかもしれない。


クラウドソース言語学習のDuolingoがiOSアプリで日本語版、中国語版の英語コースをスタート

人気のクラウドソース型言語学習サービスのDuolingoがiOSアプリをアップデートした。Version 4.0にはいろいろ新機能が含まれているが、もっとも重要な点はアジア地域のユーザーに対応したことだろう。

新バージョンには日本語話者、中国語話者のための英語学習コースが含まれている。日本人、中国人向けに他の言語の学習コースも準備されており、近く公開されるということだ。

現在Duolingoのアジアにおけるユーザーベースはそれほど大きくない。Duolingoのユーザーは北米、ラテンアメリカ、ヨーロッパがそれぞれ30%ずつを占めている。

今回のアップデートでドイツ語話者、ヒンディー語話者のための英語、ロシア語話者のためのドイツ語、ドイツ語話者のためのフランス語のコースもそれぞれ追加された

多言語対応の進化と同時に、今回のアップデートでは学習に大幅にゲーム化が取り入れられた。ボット(コンピュータ)との対戦がデフォールトだが、他の学習者と競争することができるマルチプレイヤー・モードもある。私の取材に対してDuolingoのファウンダー、CEOのルイス・フォン・アン は「これらの新機能は当面iOSのみで提供される。われわれは新機能はひとつのプラットフォームで試し、うまくいくとわかったら別のプラットフォームに移植することにしている」と語った。

その他今回のアップデートでは学習の進捗度が詳しく分かる統計が追加され、UIのデザインがわかりやすくなった。

〔日本版〕Duolingoのファウンダー、ルイス・フォン・アンはreCAPTCHAの発案者。DuolingoはAppleのアプリ・オブ・ザ・イヤーを受賞した他、今年2月にはTechCrunchのCruncie 最優秀教育スタートアップ賞を受賞している。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


「3分で旬のニュース」は世界に通用するのか、Gunosyが英語版リリース

3月14日にKDDIから推定12億円の大型調達を実施したGunosy。その翌日にはニュースアプリとしては初のテレビCMを開始し、一気呵成にユーザー獲得に走っているが、次なる展開は世界進出だ。24日に英国でiOSアプリをリリースし、5月にはAndroidアプリを公開する。1カ月後には米国に進出し、3年で海外で8000万インストール、日本も含めて1億インストールを目指す。

Gunosyは、TwitterやFacebookなどの投稿内容をもとにユーザーの興味を分析し、おすすめのニュースを配信するサービスとして2011年に公開。2014年2月にはアプリを全面刷新し、情報感度の高いネットユーザーだけでなく、「雑談のネタが欲しい」という一般ユーザーに向けてネットで話題のニュースの配信も開始した。「3分で旬なニュースをまとめ読み」というキャッチコピーを打ち出すテレビCMの効果もあり、ユーザー数は200万ダウンロードを突破したという。

話題のニュースを自動収集するニュースアプリといえば、日本ではSmartNewsやLINE NEWS、Kamelio(カメリオ)、Presso(プレッソ)、Antenna、Flipboardなどがあり乱立状態。その一方で、世界に目を向けると「日本のニュースアプリは1年先を行っている」とGunosy代表取締役の木村新司は海外展開の勝算を語る。

「海外のApp Storeのランキングを見ても新聞社系のアプリばかりで、Gunosyをはじめとするアプリが登場する1年前の状況と同じ。キュレーションアプリとしてはFlipboardやFacebookのPaperもあるが、網羅性を求めるユーザーのニーズは満たしきれていないのではないか。日本がここまで進んでいるのは、スマホユーザーのリテラシーの高さによるところが大きい」。

Gunosy初の海外展開となるUK版では約500媒体のニュースを配信。具体名を挙げると、The Register / BBC / Gurdian / INDEPENDENT / Telegraphといった有名ドコロから、バイラルメディアのBuzzFeedなども含まれている。ちなみに、ニュースは自動的に配信するGunosyだが、媒体の選定については人力で行っているのだとか。収益面に関しては日本と同様、記事の内容に合わせた広告を配信するモデルを描いているという。

Gunosy代表取締役共同最高経営責任者の木村新司


オンライン・ブックマークのClipixが日本のクレディセゾンと提携―買物で永久不滅ポイント付与

今日(米国時間4/22)、オンラインでビジュアル・ブックマークを作成、共有できるツール、Clipix が日本第3位のクレジットカード会社、クレディセゾンと提携し、永久不滅.comを通じてポイントを貯めるプログラムに協力したことを発表した。

2500万人といわれる永久不滅ポイントのユーザーが、Clipixを使って欲しい商品を保存し、購入すると所定のポイントが付与されることになる。

Clipixによれば、 永久不滅.com出店中のショップの場合、永久不滅.comを経由しなくてもClipixを通じて商品を購入するとポイントが付与されるということだ。またこの提携により、セゾン・カードのメンバーはセゾン・カードの情報を入力するだけで簡単にClipixのアカウントが作れるようになった。またClipixの説明が永久不滅.comでいちばん目立つ場所に表示されている

永久不滅.comに参加している500のオンライン店舗の商品をユーザーがブックマークすると、Clipixはそれを専用クリップボードに保存し、永久不滅ポイントの対象となるようマークする。

ClipixのCEO、Oded Berkowitzは私の取材に答えて「これまでClipixは日本市場で十分に普及していなかったが、セゾンのある幹部と出会ったことがきっかけで、この提携が実現した。準備には数ヶ月かけている。Clipixに理想的に適合するプロジェクトだと信じている」と語った。またBerkowitzによれば、「日本ではプライバシーが重んじられる。Clipixは基本的にプライベートなクリップボードであり、日本文化に適している」という。

2012年のローンチ当初からClipixが他のブックマーク・サービスに対してセールスポイントとしてきたのは、ユーザーがブックマークしたのが商品である場合、価格を引き続きモニタして値下げされた場合にユーザーに通知する機能だ。日本でもClipixの値下げ通知機能は使えるという。Berkowitzは「これはわれわれにとってもセゾンにとっても大いに役立つ機能だ」と述べた。

Clipixは今後日本で多様なユーザーを獲得できるだろうし、同社の広告ビジネスに大きなチャンスを与えるものだとBerkowitzは考えている。

クレディセゾン側にとっても値下げ通知を始めClipixの機能は永久不滅.comの大きなセールスポイントになるはずだ。一旦ブックマークした商品に値下げの通知が来れば、ユーザーがサイトを再び訪問し、その商品を購入する確率は高くなる。ショッピング・ポータルとしてはユーザーをつなぎとめるのに大きな効果が期待できるわけだ。

Berkowitzは取材中、Clipixが将来さらに多様な提携を実現させ、独自のエコシステムの構築を目指していることをにおわせた。ただしまだ具体的な計画を発表できる段階ではないという。ただし、数カ月後に、オプトインしたユーザーに対してストア側が直接連絡できる機能を実装する計画があることをは明かした。つまりユーザーがあるカメラをブックマークした場合、ストアが割引クーポンを送って実際の購入を勧誘したりできるようになるらしい。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


クラウド型会計ソフト「freee」が8億円調達、給与計算ツールを今夏公開、アジア進出へ

クラウド会計ソフト「freee(フリー)」を運営するfreeeは23日、第三者割当増資を実施し、総額8億円を調達した。引受先は既存投資家であるDCMとインフィニティ・ベンチャーズ。DCMはシリコンバレーの大手VCで、シードラウンドから数えて3度目の投資となる。freee代表取締役の佐々木大輔によれば、来年にはアジア進出も視野に入れていることから、グローバル展開に強いDCMを中心とする既存投資家からの調達を決めたという。

freeeは、グーグル出身の佐々木大輔が2012年7月に設立。2013年3月にサービスを開始し、現在は7万以上の事業者が利用している。4月にWindows XPのサポート期間が終了し、インストール型の会計ソフトから乗り換るユーザーが増えていることや、消費税率の変更によって既存アプリのアップデートの波が来ていることから、2014年以降はユーザー登録のペースが年末の5倍に達する勢いで伸びているという。

この1年では、データを自動取得可能な金融機関を増やしており、現在は1600以上の金融機関と連携。このほか、モバイルアプリの開発AirレジやSquareといった外部サービスとの連携、カスタマーサポート体制の構築に取り組んできた。今回調達した資金ではプロダクト開発を強化。具体的には、給与計算や経費精算に代表されるスモールビジネスのバックオフィス業務を推進するツールを今夏までにリリースする予定だ。


カードを出さずにスマホで決済、「GMO Pallet」は好感度が上がるかもしれない会計方法

GMOペイメントゲートウェイ(GMO-PG)は22日、飲食やアパレルなどのリアル店舗での支払いがスマホアプリ上で完結するサービス「GMO Pallet」の提供を開始した。ユーザーは事前にアプリをダウンロードし、クレジットカード情報を登録。店舗ではチェックインと4桁の暗証番号を入力することで決済が完了する仕組み。

GMO-PGの村松竜取締役副社長は、「テーブル会計がキラーコンテクスト」と話す。例えば飲食店でカード決済をする場合、カバンから財布を取り出してカードを店員に渡し、しばらくして伝票が届いてからサインをする。これに対してGMO Palletは、アプリで店舗にチェックイン、暗証番号の入力、という2ステップで決済が完了するので、カード決済の煩わしさが解消されたり、スマートな会計で好感度が上がるかもしれない。

具体的な決済方法としてはまず、アプリ上でGPS情報をもとに表示される店舗にチェックインする。その後、店舗側が専用アプリで入力した金額がユーザー側のアプリにも表示される。ユーザーは、自分もしくは店舗側のアプリで暗証番号を入力すると決済が完了する仕組み。レシートはユーザーに通知されるが、紙のレシートや領収書の発行には対応していない。

GMO-PGでは22日、渋谷区道玄坂エリアを中心に導入希望店舗の先行受付をスタート。これにあわせて、GMO Palletを導入する飲食店などを100店舗集める「店長100人委員会」を発足し、現在は約40店舗が参加している。1年後には東京の主要商業地域で1万店舗への導入を目指す。

店舗はサービスに申し込んだ後、「GMO Pallet レジ」アプリをスマホかタブレットにインストールする必要がある。店舗側としては、決済処理にかかる業務の効率化を図れるだけでなく、一度来店したユーザーにプッシュ通知でメッセージを送信できることも大きなメリットになるという。店舗の決済手数料は3.24%。

今後は、購入商品が決まっているコーヒーショップなどの店舗において事前決済にも対応する。これは“顔パス”で決済できる「PayPalチェックイン支払い」と似たサービスだが、PayPalは店舗側があらかじめユーザーから通知された氏名と顔写真をレジで照合するのに対して、GMO Palletはアプリの操作だけで完結する。


渋谷のITベンチャーにじわり浸透、野菜版オフィスグリコ「OFFICE DE YASAI」

オフィスで長時間働くビジネスパーソンの小腹を満たす“置き菓子”サービスとして人気の「オフィスグリコ」。その野菜版といえる「OFFICE DE YASAI」が22日、都内の一部エリアで正式スタートした。企業に週1回、ハンディサイズの野菜や果物を届けるサービスで、今年1月にベータ版を開始。現在までにサイバーエージェントやクラウドワークス、nanapiなど渋谷のITベンチャーを中心に40社が導入しているのだという。

スタッフが毎週オフィスを訪問し、商品の補充と代金の回収を行う「富山の薬売り」方式のサービス。野菜や果物は農薬や化学肥料の使用を抑えたという産直品。これまでにトマトや金柑、自家製味噌で作ったディップ付きのきゅうりやにんじん、いちごなど、洗わずにそのまま食べられるミニサイズの商品を提供している。今後は、レンジの使用を前提とした「じゃがバターセット」などの新商品も投入する予定だ。

導入する企業は、商品の代金を企業が全額負担する「レギュラー」、従業員各自が代金を支払う「パーソナル」、企業と従業員が代金を折半する「ライト」の3種類のプランから選べる。商品は1パック100円〜300円。毎週約20パックが届き、1カ月に1万円程度で導入できるという。レギュラープラン以外では売れ残った商品の金額を運営元のKOMPEITOが負担し、売れ行きに応じて配送する数を調整する。無償貸与されるA3サイズ(幅340×奥行390×高さ475mm)の小型冷蔵庫を設置するスペースを準備すれば、商品と電気代以外に費用はかからない仕組みだ。

無償貸与されるA3サイズの小型冷蔵庫

企業としては、お菓子の代わりに野菜や果物を用意することで健康志向の従業員の満足度向上を図れるのがメリット。実際に導入したサイバーエージェントでは、朝食代わりに利用する社員がいたり、朝ミーティングの前に配っていたりしていて、手軽な栄養補給とともに組織の潤滑油としての効果を発揮しているのだとか。

KOMPEITO代表取締役の川岸亮造

一方、農家はこれまで「規格外品」として廃棄処分していたミニサイズの農作物を産直販売することで、高付加で販売できるのが利点。農家としては「大きくて見栄えの良い商品」に価値があるのが常識だが、オフィス向けでは「小さくて食べやすい商品」に価値が生まれるのは魅力といえそうだ。

現在の配送エリアは渋谷区や新宿区、港区、東京駅周辺。商品はサービスを運営するKOMPEITO代表取締役の川岸亮造の自宅と、オフィスの2拠点の冷蔵庫で保管し、3人が自転車で配送している。生鮮食品だけに夏場は商品の劣化も予想されそうだが、今後は「都内にある飲食店の業務用冷蔵庫の遊休スペースを借り受け、そこから配送する体制を整えたい」と川岸は話している。

野菜版オフィスグリコのようなサービスは健康志向もあいまってアイデアとしては面白いが、ビジネスがスケールするかが課題となりそう。例えば、現在導入済みの40社や、北海道から九州にある契約農家は、川岸ら同社のスタッフが直接足を運んで受注していたり、商品の一部は自社でパック詰めしている。今後はウェブ経由で企業や農家とやりとりできるようにしたり、配送スタッフを強化するための資金調達も視野に入れている。年内に1000拠点の導入を目指すという。

(文中敬称略)


目指すは弁当版Uber、スマホで注文してから20分で届く「bento.jp」が都内でスタート


スマートフォンのボタン1つでハイヤーを呼び出すUberのように、アプリで注文してから20分で弁当を届けてくれる「bento.jp」が10日、渋谷区と港区の一部エリアでスタートした。メニューは日替わりで1種類のみ、料金は配送料込みで800円。オフィス街にはワンコインで買える弁当もあるけれど、近くのコンビニに行く暇すらないようなときに、メールを2〜3本書いている間に弁当が届くのは便利そう。

弁当のデリバリーといえば、日本では有名飲食店の弁当を扱う「ごちクル」が着々と全国展開を進めている。東京23区では1万円以上の注文で配送料無料となるごちクルは、法人や団体の「会議室弁当需要」を見込んだビジネスだけれど、1個の注文でも配送料がかからないbento.jpが狙うのは「普通のランチ需要」。オフィスで働くすべての人をターゲットにしているのだとか。

目指しているのは“弁当版Uber”だ。使い方は至ってシンプルで、iPhoneアプリで住所や電話番号、メールアドレスなどを事前に登録する。その上で、午前11時半以降にスマホの「今すぐ注文する」ボタンを押せば、20分以内に自転車で指定の場所に届けてくれる。料金は現金かクレジットカードで支払う。「Uberがボタンを押したらハイヤーが来ることが当たり前になったように、ボタン1つで弁当が来ることを当たり前にしたい」(ベントー・ドット・ジェーピーの小林篤昌社長)。

便利なだけでなく、味にもこだわっているのだとか。調理はミシュランの星を取得したフランス料理店「シェ・ナカ」で修行したシェフが担当。当初のメニューは黒酢酢豚や回鍋肉、焼肉といった定番弁当らしいけれど、今後は定番以外のメニューも投入していく予定だ(フランス料理店出身のシェフが作る黒酢酢豚弁当も気になる)。

ベントー・ドット・ジェーピーの小林篤昌社長は現在27歳。ウェブマーケティングを手がけるイトクロに新卒で入社して上海オフィスを立ち上げ、その後はソーシャルゲームのKLabの上海オフィス開設に携わってきた。帰国後の2014年1月に創業した小林氏は、単なる弁当デリバリー屋にとどまるつもりはないようで、将来的にはアメリカで注目されつつある「数時間後配送」のネットワークを構築する狙いがあるのだという。

「GoogleやAmazon、eBayなどをはじめ、アメリカでは数時間後配送のソリューションが始まり、どんどん進化している。bento.jpでは、ユーザーが欲しいと思ってから、手に届いてほしい時間が特に短い弁当に取り組む。これが実現できれば、数時間でものを届けることは商材を変えても可能だと思っている。」


ソシャゲのノウハウで毎月200%成長、住まいのまとめサイト「iemo」が資金調達

住まいに特化したまとめサイトとして2013年12月にローンチした「iemo(イエモ)」。当初は投稿された写真をスクラップするユーザー向け機能が中心だったが、このたび建築家やリフォーム業者、インテリアメーカーといった事業者向けの「ビジネスアカウント」を開設。無料でiemoに自社の写真を掲載できるようにした。今後はiemoでユーザーと事業者が交流できるソーシャル機能を拡充し、両者のマッチングによって収益を得る狙いだ。

iemoは住まいや暮らしに関する2万点以上の写真の中から、気に入ったものをクリッピングしたり、まとめ記事を作成できるサイト。まとめ記事は「マスキングテープでリメイク10選」「狭い空間を克服するレイアウトアイディア」など2500本以上が投稿されている。同じような記事は他のサイトでもありそうだが、記事を投稿できるのは審査を通過した「インテリアリテラシーの高い」ユーザーに限定しているのがポイントだという。iemo共同代表取締役CEOの村田マリは、「主婦層に刺さるインテリア雑誌のリプレイスを狙っているので品質管理に力を入れている」と話す。

事業者のスマホ対応を後押し、ユーザーとのマッチングで収益化へ

9日に開設したビジネスアカウントは、建築家やリフォーム業者、メーカーなどが施工事例やプロダクトの写真をiemoに無料で投稿できるようにするもの。現時点では国内外の約30社が登録。事業者は、自ら投稿した写真がクリッピングされたり、まとめ記事の一部として使われることで、ユーザーへの露出機会が増えることになる。また、写真を投稿するだけで、iemoが対応するスマホやタブレット、PCに最適化したポートフォリオ写真ページを作れることもメリットなのだという。

村田マリによれば、住宅業界はスマホへの最適化が遅れていて、「PCサイトだけはかろうじて作っている」という状況。ビジネスアカウントを作れば、事業者の写真を含むまとめ記事を通じて、スマホでリフォームに関する情報を収集する30〜40代の潜在顧客獲得につながると見ている。「住まいに関するサイトの集客方法といえば、大手であればテレビCMを展開したり、ネットではキーワード広告を打つ程度。iemoのビジネスアカウントはベンチャーならではのスマホドリブンな集客方法」。今後は地域内で事業者を検索したり、ユーザーが資料請求できる仕組みを整え、事業者からマッチングに応じた手数料を徴収するモデルを構築していく。

iemoのユーザーやPV数は非公表だが、ユーザーの97%は女性で、全体のアクセスの90%がスマホ経由。2013年12月の正式ローンチ以降、PVは毎月200%の成長を続けているのだという。PVの稼ぎ頭はまとめ記事だが、成長の背景にはiemo創業前に手がけていたソーシャルゲーム(ソシャゲ)事業での経験がある。村田マリは以前、バーチャル空間でレストランを経営する育成ゲームを運営していて、そのターゲット層はiemoと同じ25〜40歳の共働きや専業の主婦層。「育児の合間や就寝前など、彼女たちが行動するタイミングはわかっている」。そう語る村田マリも、一児の母である。

iemoにおけるKPIの見方もソシャゲの経験が生きているそうだ。例えば、平日と週末、昼と深夜、長期休暇などさまざまな時間帯でのアクティブ率を分析し、どんな内容の記事を投稿するとソーシャルでシェアされやすいかといったデータを収集。反応が悪い場合は、タイトルやサムネイル画像を「30分で4回入れ替えることもある」のだとか。詳しい手法については教えてくれなかったが、「ソシャゲと同様に、初速を見るのがポイント」と語っている。

ソシャゲの経験を生かしたメディア運営を後押しすべく、iemoは9日、2007年に検索エンジンやソシャゲの開発を手がけるフォリフを創業し、国内ベンチャーキャピタル3社からも資金調達を実施したことのある熊谷祐二を共同代表取締役COOに迎えている。村田マリは引き続き、拠点を置くシンガポールで経営に携わり、主にコンテンツの品質強化を担当。熊谷祐二は東京で技術開発と経営、財務面を担当する。このタイミングで、B Dash Venturesから資金調達を実施したことも発表(調達額は非公表)している。

(敬称略)

熊谷祐二(左)と村田マリ(右)


フリマするほど暇じゃないOLに訴求、中古ブランド品委託販売「RECLO」

大手ネット企業やスタートアップが次々と参入するフリマアプリ。ユーザーにとっては、スマートフォンで撮影するだけで気軽に出品できるのが魅力だ。その反面、商品の撮影や配送に手間がかかったり、購入者の中には「ブランド品は偽物かもしれない」と不安を抱く人もいるかもしれない。4月9日に正式ローンチする「RECLO」(リクロ)は出品の手間がかからず、安心してブランド品を売買できることをうたうブランド品の委託販売サービスで、フリマアプリが取り込めないユーザーを獲得しようとしている。

フリマアプリとターゲット層や流通アイテムでは重なりが小さくなさそうだけれど、RECLOがフリマアプリと違うのは、出品価格を出品者自身が決めるかどうかだ。フリマでは出品者が価格を決めたり、購入者と交渉したりするのが一般的。これに対して、RECLOはどちらかと言うとブランド買取に近い。

RECLOで出品するユーザーはまず、宅配キットを取り寄せて商品をRECLOに送る(ここは無料)。すると、そのアイテムはRECLOの鑑定士によってブランド品の真贋判定を含めた査定が行われて、そこで値段が決まる。この値段付けは、中古市場が確立しているブランド品だから可能なことだそうだ。RECLOは鑑定士に相場データを伝えつつ適性な価格を決める。といっても、実は最初は少し高めに設定される。査定は質屋と似ているが、店舗や人件費などの中間コストを抑えることで、高めに設定できるのが特徴なのだという。ちなみに、この設定金額に同意しないのであれば、ユーザーは出品を取り下げることもできる。金額に同意すれば、RECLOが商品を撮影した上で出品する。

出品後の仕組みもちょっと面白い。値段が少しずつ下がっていくのだ。出品後には、5日おきに自動的に5%値が下がる。これで「1点モノがSOLDになる危機感」を与えて購入を促すのだという。値下げの下限は出品者の自由だが、初期設定では半額まで。程良い価格設定から半額まで落ちるので、ほとんどのアイテムは売れるということらしい。商品が落札された場合は、金額に応じて出品者はRECLOから50%~70%の手取り額を受け取る。これは、ブランド買取業者よりも2~3割良い条件になるようだ。

お小遣い稼ぎという点では、出品金額が自由に設定できて、販売手数料がかからないLINE MALLやメルカリなどのフリマアプリに分があるかもしれない。その一方で、RECLOはフリマアプリで必要な商品の撮影や配送を肩代わりし、ユーザーとの交渉さえもしないでいいっていうところがポイントだ。RECLOでは「フリマアプリで出品したい商品はあるけど、そこまでヒマじゃない」というユーザー、特にブランド品を頻繁に購入する25歳から45歳の女性を取り込みたいという。サービス名称は、「クローゼットをスッキリさせる」という意味の「re-closet」にちなんだもの。サービス運営元のアクティブソナーの青木康時社長は、「女性のクローゼットの中に眠る宝の山を有効活用してもらいたい」と話している。

6月には、スマホで商品を撮影してアップロードするだけで出品価格の相場がわかるiPhoneアプリ「かんたん査定」をリリースする。同アプリでは出品者が登録した「ブランド名」「カテゴリー」「状態」と、RECLOのデータベースをマッチングして査定を行う。もちろん、写真ではわからないようなダメージがある商品は、事前の買取価格よりも下がることはある。こうしたケースでは提携業者による買取価格が提示され、その金額に納得がいかなければ無料で返送してもらえる。

アメリカで活況のブランド品委託販売、日本でも大手参入の噂

日本で馴染みのないスマホを活用した中古ブランド品のオンライン委託販売サービスだが、アメリカでは活況を呈している。例えば、セレブ御用達の高級ブランド委託販売サービスとして知られる「RealReal(リアルリアル)」は、シャネルやエルメス、カルティエなどを中心としたラグジュアリーブランドのリセール商品を扱う。2013年8月には日本進出を果たし、女優やモデルを起用したプロモーションを展開している。そのほかにも、800万ドルを調達した「Threadflip」や、日本人が立ち上げたニューヨーク発の「Material Wrld」などがある。日本ではRealRealが当面の競合となりそうだが、青木氏は次のように勝算を語っている。

「RealRealはセレブが出品する派手な商品が中心。エルメスのバーキンが60万円で売っていたりして、見ているのは楽しいかもしれないが、普通のOLには手が届かない。ハイエンドにシフトしすぎている印象があってスケールしにくいのではないか。客単価で言うとRealRealは4~5万円と見ている。RECLOはその半額に抑えてでも客層を増やしていく。」

アクティブソナーの青木康時社長

競合という意味では、大黒屋やコメ兵、ブランドオフなどのいわゆる質屋型サービスや、テレビCMを展開しているブランド買取サイト「ブランディア」なども含まれるかもしれない。これらのサービスについて青木氏は、即座に現金化できるメリットがある反面、「買い叩かれて儲からない」「そもそも質入れする行為がクールじゃない」と指摘していて、買い取りよりも高く売れたり、安く買えるのがRECLOの優位点だと語る。

ユーザー獲得の施策としては、4月30日までに会員登録したユーザーに、購入・出品時に使える4000円相当のクーポンを配布。ユーザーは商品購入時にクーポンを適用したり、出品時に還元される金額にクーポン分の金額を上乗せできる。あわせて、出品者を紹介した人に対しては、一定マージンを還元する代理店施策も実施中だ(紹介料はRECLO側の取り分から支払われる)。現在は青木氏自らが代理店を開拓。ブランド品を大量に買う女性が多く在籍する飲食店や芸能プロ、引越し時にブランド品を処分する可能性がある人と接する不動産賃貸会社などにアプローチし、出品者を増やしているのだという。

青木氏は2012年11月にアクティブソナーを設立する以前は、ミュージシャンとして吉本興業に所属。「原宿の竹下通りでCDを手売りしていた」という異色の経歴の持ち主だ。その傍らで2004年には知人と携帯電話・通信機器の販売会社を立ち上げ、5年で年商約50億円にまで事業を拡大。その後は、2008年に天然水宅配サービスのウォーターダイレクトの営業部長として年商約30億円を経験し、2010年には同業のファインスプリングスを設立し、2年でグループ年商約40億円を達成するなど、営業やマーケティング畑を歩んできた。前述した代理店営業は、「ウォーターサーバーの代理店施策では常套手段」と語る。

なお、RECLOやRealRealのようなサービスは国内でもアツいジャンルと言う話は漏れ伝わってきていて、ゲームやSNSを運営する大手企業が参入するとの噂もある。青木氏はこれを認めた上で、「彼らは出品するサイトだけを用意して、鑑定や撮影・配送といった部分は他社に代行してもらうケースが多いはず。飛込み営業も含めた泥臭い作業も含めてスピーディーにやることでパイを取って行きたい」と話す。2015年9月には常時出品数5000点、年間販売アイテム数4万5000点、会員数30万人を目標に掲げる。将来的には、日本のユーザーがブランド品をアジアに出品する「逆BUYMA的なビジネスモデル」も視野に入れているそうだ。


3Dデザインで10億通りのシャツが作れる「Original Stitch」が日本上陸

約10億パターンの組み合わせの中から、自分だけのシャツを注文できるシリコンバレー発のサービス「Original Stitch」(オリジナルスティッチ)が4月3日、日本で正式ローンチした。約180種類の生地を用意していて、袖、襟、ボタン、プリーツ、イニシャルの有無など、シャツの細部までカスタマイズすることが可能。同品質のシャツと比べて3〜4割安く買えるという。自分仕様のシャツを作りたい人だけでなく、「服を買いに行く服がない」となげく人にも持ってこいのサービスかもしれない。

操作画面の特徴は、実物に近い形でシャツを見られることだ。例えば、生地をマウスオーバーするだけで、その質感がわかるほどに画像が拡大される。

シャツをカスタマイズする際は、生地やスタイル、襟の形……と好きなパーツを選んでいく。独自の3Dデザインシステムによって、パーツを変えるたびにリアルタイムで完成予想のシャツが変わるので、直感的にデザインできるようになっている。

デザインしたシャツは正面からだけでなく、斜め前、後ろからも確認できる。納得がいかなければ各パーツを行ったり来たりして、心ゆくまでカスタマイズすることができる。

サイズは首まわりと裄丈を入力する。サイズがわからない場合、注文後にサイズの計測方法を記載したメールが届くが、最終的には自分あるいは同居人が採寸する必要がある。

品質面では「ヨーロッパ産の高級生地」を使用し、有名ブランドのシャツを手がける長野と天草の工場で制作。店舗を持たず、工場に直接発注して中間コストを削減することで、同品質のシャツと比べて3〜4割安く、既成品と同程度の価格に抑えているという。

価格は送料込みで約9000円から約1万2000円程度。注文から2週間程度で届き、購入後30日以内であれば無料で返品できる。キャンペーンとして、登録者全員に20ドル(約2000円)分のギフトカードをプレゼントしている。

DellとNIKEidから着想

この手のサービスとしては、日本人の体型に特化した「フィットアルゴリズム」によって、試着をせずに自分に合ったスーツやシャツを購入できる「ラファブリックス」をTechCrunch Japanで紹介したばかり。北米では2007年にカナダで創業し、2013年3月にシリーズBで1350万ドルを調達した「Indochino.com」が有名だ。既存のサービスとの違いについて、Original Stitchを運営する米BleuFlamme創業者のJin Koh氏は、「スーツではなくシャツだけに特化していること」と説明。技術面では独自の3Dデザインシステムが差別化のポイントなのだという。

Original Stitchは2013年12月、シリコンバレーで働くエンジニアの「服を買いに行くのがめんどくさい」という思いを出発点に生まれたサービスで、自宅やオフィスにいながら「最短5分」で注文できることを売りにしている。Koh氏は、在庫を持たずに注文を受けてから製造するDellのBTO(Built To Order)モデルと、好きな色やデザインで世界で1足だけのスニーカーを作れる「NIKEid」から着想を得たと話す。「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」とはロングセラー『アイデアの作り方』の一節だけれども、Original Stitchもそんな発想から生まれたサービスと言えそうだ。

日本上陸にあたっては、国内でベンチャー支援を手がけるInsproutと提携。InsproutはBleuFlammeに出資していて、サイトの日本語化やユーザーサポートなどの業務を担当している。日本ではFacebook広告を使ってサービスを訴求するとともに、サイト上ではチームラボ代表の猪子寿之氏を起用したYouTube動画を展開。年間で50万枚の販売を目指す。今後は猪子氏以外にもウェブ業界で知名度を持つ人物を用いたキャンペーンを行う予定だという。


LINEが4億ユーザー突破、4カ月で1億増、アメリカでも1000万に

無料通話・チャットができるメッセージアプリ「LINE」の登録ユーザー数が4月1日、世界で4億人を突破した。LINEは2011年6月にサービスを開始し、2013年1月に1億人、7月に2億人、11月に3億人を突破。それ以降、海外の主要市場である東南アジアやスペインなどで利用が拡大し、1日最大で約170万人のユーザー登録を記録したという。今年に入ってからはアメリカやメキシコ、韓国、マレーシアでも1000万人を突破し、3億ユーザー突破から4カ月で4億人に到達した。日本国内のユーザー数は5000万人となっている。

LINEが4月2日に発表した数字によると、2014年に送受信された1日のトーク(メッセージ)数は100億件、同じくスタンプの送受信数は18億件、通話回数は1200万件以上と、過去最大値を記録。ユーザー数の増加に伴いコミュニケーション量も増加しているのだという。LINEは年内に世界5億ユーザーを目標に掲げている。

世界市場でLINEのライバルとなるWhatsAppは、月間アクティブユーザー(MAU)が4億5000万人以上と言われる。一方、LINEは「日本や台湾、タイの3カ国でのMAU率は70〜80%」とコメントするにとどまり、世界でのMAUは明らかにしていない。

ちなみに、WhatsAppはFacebookによる買収が報じられた際、ユーザー数が急増してサーバーが210分間にわたってダウン。この直後の24時間でLINEは、欧米で新たに210万ユーザーを獲得する“特需”が発生している。


TechCrunch 海外ネタ週間まとめ 3/23-3/29


先週はFacebookのOculus VR買収、Googleのクラウド・サービス大幅値下げ、MicrosftのOfficeのiPadサポートと大きな出来事が続いた。またMt.Goxの破綻の原因についてさらに謎が深まった。これらの話題を中心に振り返ってみる。

Oculus VR買収

速報:Facebookが話題のVRヘッドセットRiftのメーカー、Oculusを20億ドルで買収

Oculus買収の動機を探る―Facebookが買ったのは来るべきバーチャル世界だ

Facebookはモバイルゲームで敗北した。だから自前のバーチャルリアリティーを持つためにOculusを買った。ゲームだけではない

Facebook’s Oculus Buy Signals A Hardware Land Grab, And Company Fit Isn’tA Concern FacebookのOculus買収はハードウェア戦争の陣地取り―当面のFacebookビジネスとは無関係(未訳)

この週の最大の衝撃はなんといってもマーク・ザッカーバーグがOculus VRを20億ドルという巨額で買収したことだった。Oculusは人気沸騰のバーチャルリアリィティー・ヘッドセットOculus Riftを開発したハードウェアスタートアップ。Kickstarterのプロジェクトとして2012年8月にスタートしてわずか1年半というシリコンバレーとしても記録破りのスピード・エグジットとなった。

TechCrunchではさっそくザッカーバーグの買収の動機を分析。短期的なビジネスプランは眼中になく、モバイル革命に匹敵する次のハードウェア革命に備えた長期戦を見据えたいわば「陣取り合戦の開始」だというのがその結論。

日本メーカーはソニーがPS4対応の没入型VRヘッドセット、モーフィアスを開発しているものの、10億人のプラットフォームであるFacebook陣営に入ったOculusに対しては苦戦を強いられることになりそうだ。個人的にはソニーこそOculusを買収して一挙に次世代ハードウェアのリーダーを目指すべきではなかったかという印象が強い。

Googleがクラウドで劇的値下げ攻勢

Google、クラウド・プラットフォームで全面攻勢―大幅値下げ、新サービスをローンチ

Googleのクラウド・コンピューティングとクラウド・ストレージの新料金表

Googleのリアルタイムビッグデータ分析サービスBigQueryが大幅値下げと能力アップ

Google App EngineのユーザにIaaS的な自由度を与える新フレームワークManaged Virtual Machines

Googleに負けじとAmazonがS3, EC2, ElastiCache, Elastic MapReduce, RDSを大幅値下げ

クラウドサービス事業で大きく先行するAmazonに対してGoogleがいよいよ本気の戦いを挑み始めた。3月中旬にGoogle Drive、激値下げ―1TBが月額49.9ドルからなんと月額9.99ドルというクラウド・ストレージの価格破壊を行ったのにつづいて、クラウド・コンピューティングでも値下げ攻勢をかけてきた。

さらに、だれでも手軽にテラバイト級のビッグデータの分析ができるBigQueryやApp Engineの使い勝手を高めるバーチャル・マシンなど新たなサービスもリリースされた。当然Amazonも大幅値下げでこれに対抗した。ユーザーにとっては朗報だが、Google、Amazon以外のクラウド・サービス・ベンダーにとっては深刻な打撃だ。中小ベンダーからはそろそろ脱落者が出るかもしれない。

Microsoftが無料のiPad版Officeをリリース

Microsoft、iPad版Officeを発表―マルチプラットフォームに舵を切る

Microsoft、iPhone版とAndroid版のOfficeを無料に

iPad版Officeヒット中:米国チャートでWordが1位、Excelが3位、PowerPointが4位を占める

Microsoftはサトヤ・ナデラ新CEOが登場してiPad版Officeのお披露目イベントを開催した。ビューワとして利用するのは無料だが、編集機能を利用するには有料のクラウド版Office365を契約しなければならない。

これは単にOfficeでiPadが使えるようになったというだけではなく、ナデラCEOもはっきり述べたように、MicrosoftがWindows事業を絶対の聖域とせず、クラウド化とマルチプラットフォーム化に大きく舵を切ったことを意味する。巨艦の方向転換には少なくとも数年かかるだろうが、その影響は絶大だ。

日本でのiPad Offcieのサポートは今年後半になるもようだが、いち早く林信行氏が日本語環境をテストしている。「Office for iPad」がついに登場――林信行のファーストインプレッション〔ITMedia〕

AmazonテレビとAndroidテレビ

Amazon’s Set Top Box Will Be A Dongle Like Chromecast, Could Feature OnLive-Style Streaming(AmazonテレビはChromecastのようなドングルと判明:未訳)

Amazonが準備中の居間のテレビ向けゲーム/コンテンツ・ストリーミング用デバイスはどうやらChromecast式のドングルになるようだ。リンク先記事の写真はChromecastを加工したイメージで、実際のデザインや機能は不明。

Philips Introduces Android-Powered 4K TVs Coming Later This Year(PhilipsはAndroid内蔵の4Kテレビを年内発売へ:未訳)

一方、フィリップスは4KテレビにAndroidを搭載する。Google PlayストアのアプリやYouTube動画、その他Googleサービスが居間で楽しめる。4Kテレビの高精細度体験は圧倒的だが、コンテンツ不足が課題といわれていた。スマートフォンで馴染んだAndroidのUIを通じてインターネットから多様なコンテンツが得られるなら4Kテレビ普及のハードルは大きく下がるかもしれない。日本メーカーも4Kテレビ事業では大胆にインターネット対応を図る必要があるだろう。

Mt. Gox破綻の謎更に深まる

Mt.Goxから「取引展性攻撃」で盗まれたBitcoinは74万ユニット中たった386ユニットだった

謎また謎のMt. Gox破綻。ハッカーにサーバを乗っ取られて秘密鍵を盗まれた、部内者による横領、投機的自己勘定取引の失敗など諸説飛び交っている。

IgCrunch Japan賞は食べ物絞り出し3Dプリンタに

Foodini Is A 3D Printer That Lets You Print Dishes With Fresh Ingredients Foodiniは食べ物を絞り出す3Dプリンタ(未訳)

大真面目なバカバカしい研究にノーベル賞のパロディーのIgNobel賞が贈られるが、それにならって大真面目でばかばかしいテクノロジー・プロダクトに賞を出してもいいかもしれない。

第1回の候補はこのFoodini3Dプリンタ。何をするのかとおもいきや、フードプロセッサーでどろどろにに潰した食べ物を皿に絞り出すというしろもの。暇があればリンク先のビデオを見てお笑いいただきたい。Kickstarterで999ドルだという。元記事コメントで誰かが「絞り出し袋と口金買え!」と忠告していたが、こういう斜め上のプロジェクにまで人材が大勢集まるというのが驚き。

滑川海彦 Facebook Google+


日本、緊急速報メールにて「弾道ミサイル」情報の配信を開始

「弾道ミサイル接近中。直ちにシェルターに退避を」などという緊急メールほどに恐ろしいものはあるだろうか。

日本の総務省消防庁は3月28日、同庁の運用する緊急速報メール(アメリカにおけるAMBERアラートのようなものだと思えば良いだろう)にて、携帯電話に向けて弾道ミサイルやテロ関連情報を通知することにした旨、アナウンスを行った。最初の開発目的は緊急地震速報および津波警報を送るということだった。

緊急メッセージは発生する危険の対象となる地域だ。但し、対象となる人は日本の3大モバイルネットワークであるNTT Docomo、Softbank、あるいはKDDIの利用者に限られる。

しかしそうは言っても日本ではこの3つのキャリアにて1億1500万の契約数となっていて、これはすなわち日本人口の90%程度をカバーする計算になる(訳注:契約数については1億3000万超というデータもあるようです)。携帯電話を利用していない人に対しては、従来型の伝達手段(スピーカーやサイレン)を通じても警告を発することになっている。

[Source: 消防庁報道資料(PDF) via The Verge]

原文へ

(翻訳:Maeda, H


ヤフーがイー・アクセスを3240億円で買収、「Y!mobile」で携帯事業参入へ

ヤフー宮坂学社長

ヤフーは27日、イー・アクセスの株式の99.68%(議決権比率33.29%)をソフトバンクから3240億円で6月2日に取得することを明らかにした。6月1日にイー・アクセスとウィルコムが合併して誕生する新会社の株式を取得する。日本初のインターネットキャリア事業として、「Y!mobile」(仮)を展開するという。シンプルな料金体系や仕組みで、すべての人にインターネットを届けることを目標に掲げている。

具体的な相乗効果としては、イー・アクセスが持つ約3000店舗をY!mobileの販売店とすることで、来店者に有料サービス「Yahoo!プレミアム」を紹介したり、端末にYahoo! JAPANの各種アプリをインストールするなどのプロモーションを行う。Y!mobileが扱う端末は当面、Androidのみを展開する。具体的なサービスは未定で、「LCC(ローコストキャリア)でやるかも含めて料金も検討中」と、ヤフーの宮坂学社長は説明している。

「スマートフォンやタブレットの利用者が増えることで、Yahoo! JAPANにシナジーが生まれる。シンプルに言うと、スマホの利用者が増えるほど、ヤフー以外のスマートフォン専用サイトが見られるようになり、それが広告売上の原動力になる。我々はテレコムの会社になりたいわけではない、インターネットの会社としてスマホやインターネットを届けたい。」

キャリアからインフラを借り、自社ブランドで通信サービスを提供するMVNOではなく、従来型の携帯会社として事業参入する理由については、次のように説明している。「MVNOでもいいのではないかという議論もしたが、我々が登りたい山は1000万台ぐらい。従来型の携帯会社として事業に参入し、端末やサービスプラン、販売チャネルの決定権を持った状態でやらないといけないと思った」。

なお、イー・アクセスとウィルコムが提供するPHSサービスやMVNO向けサービス、ADSLホールセールについては今後も継続するが、契約内容が変わる可能性もあるとしている。


イスラエル経由世界行き――日本の起業家を募集開始、サムライインキュベート榊原氏が現地移住でベンチャー支援

サムライインキュベートの榊原健太郎氏

日本のインキュベーターの草分けでもあるサムライインキュベートが、シリコンバレーに次ぐ「スタートアップの聖地」と言われるイスラエルに進出する。5月に同社代表の榊原健太郎氏が自ら移住し、同国最大の商業都市であるテルアビブに支社を設立。起業家と共同生活して100%事業にコミットするためのシェアハウス「Samurai House in Israel」を開設し、世界を狙う日本のスタートアップを徹底的に支援するという。これに伴い、シェアハウスへの入居者募集を開始。応募条件は英語で日常的なコミュニケーションができることなどで、専用サイトで4月2日まで募集している

サムライインキュベートは榊原氏が2008年3月に創業。現在は東京・天王洲アイルに起業家支援のためのコワーキングスペース「サムライスタートアップアイランド」を構え、経営やマーケティング、財務などさまざまな面でサポートしている。2009年には「サムライファンド」を立ち上げ、1号ファンドからは、スマートフォン向けの広告配信サービスのノボットが創業2年目にKDDI子会社のmedibaに15億円で売却されている

今でこそ80社以上に投資しているサムライインキュベートだが、創業当初は東京・練馬に築20年を超える一軒家を借り上げ、スタートアップ5社と寝食を共にして24時間体制で起業家を支援していた。榊原氏が「サムライハウス」と名付けたこの一軒家は、日本で最初の共同生活ができる起業家向けのコワーキングスペースだという。このたび立ち上げるSamurai House in Israelは、イスラエル版のサムライハウスと言えそうだ。

IT業界の巨人が熱視線を送る中東のシリコンバレー

イスラエルは年間700社以上のハイテクスタートアップが設立され、中東のシリコンバレーとも評される。TechCrunch編集者のMike Butcherは「テルアビブで石を投げればハイテク分野の起業家に当たる」と、スタートアップの盛り上がりを表現している。大手VCの視線も熱く、SequoiaCapitalやKPCB、IntelCapitalなどが現地のスタートアップに投資し、これらの企業をIT業界の巨人が相次いで買収するなど、「イグジットのエコシステムが出来上がっている」(榊原氏)のだとか。

例えばFacebookは2012年6月、iPhoneで撮影した写真に写った友達にその場でタグ付けできるアプリを手がけるFace.comを買収。その金額は8000万ドルから1億ドルに上るとも報じられている。このほかにも、Microsoftは検索技術のVideoSurfを、AppleはXboxのKinectに採用された3Dセンサー技術のPrimeSenseを、Googleは地図アプリのWazeを買収するなど、M&Aの事例は枚挙にいとまがない。

ちなみに、イスラエルのスタートアップ事情を詳しく説明する書籍『アップル、グーグル、マイクロソフトはなぜ、イスラエル企業を欲しがるのか?』では、「もしイスラエルが“インテル・インサイド”にならって製品に“イスラエル・インサイド”のステッカーを貼ったとしたら、そのステッカーは世界中の消費者が手にするほとんどすべての製品が対象になる」とその技術力の高さを評している。

テルアビブの市役所には、TechCrunch編集者のMike Butcherのコメントが掲げられている。左から2番目が榊原氏

そんなイスラエルに進出するサムライインキュベートは、現地にシェアハウスを開設して何をするのか。

榊原氏によれば、現地の滞在先やシェアオフィス、シードマネーの500万円を提供するほか、イスラエルでの起業やチームビルディング、ファンディング、マーケティングなどの面で支援するのだという。「イスラエルは物価が日本より高いため、僕も入居者と自炊することになりそう」と話すように、文字通り寝食を共にするようだ。こうしたサポート以外にも、榊原氏が築いた現地のエンジェルやVCとの人脈を活かし、支援先のスタートアップへの投資を促していく。

海外のVCの多くは、そもそも日本の起業家がどういうものかあまり知らないため、日本に登記しているスタートアップに投資したがらない傾向がある。また、日本市場は世界の市場規模に比べて小さいことから、市場規模の大きい世界へ展開している企業が関心を持たれがちだ。

その点、日本の四国ほどの面積に人口がわずか776万人のイスラエルは国内市場がないに等しく、敵対するアラブ諸国からなる周辺国の市場も見込めない。だからこそ、世界レベルで活躍するスタートアップが生まれるのだと榊原氏は指摘する。現地のスタートアップに興味を持つVCも多いことから、「日本のスタートアップがイスラエルを経由してシリコンバレーや世界に進出できる可能性も大きい」(榊原氏)。

シェアハウスの入居応募条件は、英語で日常的なコミュニケーションができる人(ちなみに榊原氏自身も、週に3回ほど英会話学校に通って英語を特訓中らしい)。エンジニアを獲得できるCEO候補、長期滞在可能、イスラエルに知見がある、テクノロジー寄りのサービス、イスラエルと親和性の高い事業アイデアを持って実現できる人であれば、なお歓迎なのだという。応募は日本人起業家が大半を占めると思われるが、「サムライ魂を持っていれば、国籍は問わない」としている。

日本の住居を5月で引き払い、背水の陣でイスラエルに挑むという榊原氏。当面の目標としては、3年以内に現在のサムライインキュベートと同様、年間60社以上に投資することを掲げる。投資先としては日本人の起業家、日本人とイスラエル人のチーム、それ以外の海外起業家が対象。長期的には2020年の東京オリンピックが開催されるまでに、日本からGoogleやAppleといった「ホームラン級」のスタートアップを輩出したいと語っている。

「イスラエル経由世界行き」を実現するスタートアップが増えることを期待したい。


グロースハックツール提供のAppSocially、アライドアーキテクツと資本業務提携

TechCrunch Japanのゲストライターとしても活躍している高橋雄介氏がCEOを務めるAppSociallyは、米国シリコンバレーに拠点を置いてグロースハック向けのツールを開発するスタートアップだ。同社は、500 Startupsのインキュベーションプログラムにも参加しており、米国から世界に向けてサービスを展開している。

同社の「AppSocially」は、スマートフォンアプリ上で、ほかのユーザーに対してアプリの招待をしたり、ソーシャルメディア上への口コミ投稿をしたりする機能と、その効果測定機能を提供している。そのためAppSociallyのSDKをアプリに導入することで、スマホアプリユーザーが、いつ、どのようにして友人を新たにアプリへ呼び込んだかなどを計測、解析できるという。すでにリクルートやエキサイトなど、国内大手企業への導入実績もある。

そんな同社に対して3月24日、ソーシャルメディアマーケティング事業を展開するアライドアーキテクツが資本業務提携を発表した。増資額、バリュエーションは公開していない。

アライドアーキテクツでは今後、自社で展開するソーシャルメディアマーケティング支援プラットフォーム「モニプラ」のデータベースと、AppSociallyのデータ計測、解析技術を連携するとしている。AppSociallyを活用することで、モニプラのアプリユーザーの「影響力」を可視化し、モニプラで蓄積するキャンペーンやアンケート結果などのデータベースを充実させる。その後の具体的なマネタイズや、AppSociallyの日本展開への協力などに関しては未定としている。


日本の実名旅行記サイト「Compathy」が増資、行きたい場所から旅行プランを自動作成へ

実名制をベースとした旅行記投稿サービス「Compathy(コンパシー)」を運営するワンダーラストは20日、インキュベイトファンドとリクルートホールディングス投資子会社を引受先とする第三者割当増資を実施した。調達額は非公表だが、関係者によれば「数千万円規模」。今後はクチコミをもとに旅行を計画する機能を実装したり、旅先の現地に住むユーザーと交流する仕組みを取り入れることで、「TripAdvisor」「4travel」などの旅行クチコミサイトとの差別化を図る。

Compathyは、Facebookアカウントでログインし、PCから写真をアップロードするだけで旅行記を作成できるサービス。アップロードされた写真の撮影日時や場所の情報を利用することで、旅のルートや時間軸を「ログブック」に自動的にまとめ、SNS上の友人やその他ユーザと共有することが可能となっている。他のユーザーの投稿に「行ってみたい」ボタンを押すとマイページ上のGoogleマップに反映される。今後は、行ってみたいリストに登録したスポットをもとに、国や都市、旅の目的、移動距離などの条件を踏まえて、自動的に旅行プランを作成できる機能を実装する予定だ。

実名制のメリットとしては、クチコミの信頼性が増すだけでなく、投稿者が既婚・未婚であるか、家族構成はどうかといったことがわかるため、旅行計画時の参考にしやすいと、ワンダーラスト代表取締役社長の堀江健太郎氏は話す。とはいえ、旅行先で撮影した写真をPCに取り込んでアップロードするのは「ハードルが高いのが現状」。そこで今回調達した資金をもとにスマホアプリを夏までに開発。撮影したその場で旅行記を投稿できるようにしたり、写真を元に自動でムービーを作成する機能を提供する。

収益面では、ユーザーが作成した旅行プランに対して、旅行代理店や旅行予約サイトから広告を掲載してもらい、送客に応じて手数料を徴収するビジネスモデルを構築する。旅行代理店としては、行き先を決めた相手に絞って広告を掲載できるため、広告費のROI(費用対効果)を最大化できるのがメリット。旅行者としても、広告費が削減される分は旅行商品の価格に転嫁されるため、これまで以上に格安の商品を購入できるのだという。「これまでネット上に存在しなかった『旅の予定』をベースにマネタイズしていきたい」(堀江氏)。

現時点では実名ベースで旅行記を投稿するにとどまっているが、将来的には海外展開も視野に入れている。具体的には、現地のユーザーや観光協会がオススメスポットを投稿できるようにすることで、「現地の人だからこそわかる質の高い情報」を充実させたいという。また、現地のユーザーに旅行プランを作成してもらったり、現地でのガイドを依頼する「Meetrip」「Voyagin」のようなサービスも盛り込んでいく。

3月19日には、5月31日までにCompathyに登録したユーザー全員にAirbnbを使った宿泊料5000円を割り引くクーポンを提供するキャンペーンを開始している。