人材管理を自動化する中国のHRテックスタートアップMokaが約113億円を調達

人材管理をソフトウェアで容易にしたいと考えている、中国で6年目のスタートアップのMoka(モカ)は、米国時間11月2日、1億ドル(約113億円)のシリーズCラウンドを獲得したと発表した。

本スタートアップは、採用から既存の社員の維持まで、人材管理の全プロセスを自動化することを目指している。例えば、採用候補者からの面接後のフィードバックを自動的に収集し、その情報をデータベースに保存することができる。また、社員が履歴書に変更を加えると、新しい機会を検討していることを示唆する注意を雇用主側に知らせることができる。

今回の投資は、Tiger Global(タイガー・グローバル)が主導し、Blue Lake Capital(ブルー・レイク・キャピタル)、Hillhouse Capital(ヒルハウス・キャピタル)のアーリーステージ部門であるGL Ventures(GLベンチャーズ)、GSR Ventures(GSRベンチャーズ)、GGV Capital(GGVキャピタル)が参加した。

今回のラウンドは、MokaがシリーズBラウンドで4300万ドル(約48億8300万円)を調達してからちょうど1年後に行われた。同社は「ユニコーン」の地位を獲得したと述べているが、正確な評価額については公表していない。ゲームやショートビデオなどの消費者向けインターネットサービスが規制強化に直面する中、企業の生産性向上に貢献するスタートアップ企業への投資家の関心が高まっていることを反映しているのだろう。

Mokaは、Tencent(テンセント)、Xiaomi(シャオミ)、McDonald’s(マクドナルド)、Arm China(アーム・チャイナ)など、1500社以上の有料顧客を獲得しており、年間の継続率は110%を超えているという。スタンフォード大学の卒業生であるLi Guoxing(リー・グオクシン)CEOは、以前の講演で、Mokaの製品は中国のインターネット企業の間で特に人気があると主張していた。

画像クレジット:MokaのCEO、Li Guoxing

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(文:Rita Liao、翻訳:Akihito Mizukoshi)

グーグルがGmailに自動化サービス「AppSheet」導入、JiraがChatとSpacesをサポート

Google(グーグル)は米国時間10月12日、同社の自動化サービス「AppSheet」の新機能を発表した。Googleのノーコードプラットフォームを利用する開発者は、Gmailと直接やり取りするカスタムアプリケーションや自動化機能を作成できるようになる。開発者は、動的メールを利用して、ユーザーがGmailの受信トレイの中で起動・実行できるアプリケーションを開発することができるようになる。2019年にGoogleが動的メールを発表して以来、それが可能なことはわかっていたが、多くの開発者がこの機能を実際に利用しているとは言えない状況だ。

AppSheetの開発者は、例えば、ユーザーがメール上ですぐに更新できる承認ワークフローや資産管理システムを開発できるようになる。

AppSheetの創業者で、同社をGoogleに売却したCEOのPraveen Seshadri(プラビーン・セシャドリ)氏は、AppSheetのミッション全体の中で今回のステップは小さいながらも重要だと述べた。同社のミッションは、多くのユーザーが自分のアイデアを実用的なソフトウェアに変換したり、開発者(同氏は「クリエイター」と呼ぶ)がユーザーにリーチしたりすることを可能にすることだ。

「今、私たちが取り組んでいるのは、言ってみれば『どうすればクリエイターと呼ばれる人々、つまり、物事をより良く動かす方法や自動化する方法などのアイデアを持つ人々に、それらを開発してもらうか』ということです。従来はアプリを作っていましたが、最近では『アプリをいかにエンドユーザーの体験に深く統合するか』ということを目指しています。これは、開発者がワークスペースプラットフォームを使って行ってきたことであり、今はそれを非開発者にまで広げようとしているのです」とセシャドリ氏は語る。

画像クレジット:Google

一般的に、ビジネス上の問題に最も近いのはビジネスユーザーであり、セシャドリ氏が指摘するように、彼らは通常、自動化ソリューションに何を求めているかを知っている。同氏は、ビジネスユーザーは自分でコードを書けないかもしれないが、AppSheetが宣言的アプローチに重きを置いているため、ユーザーは「その成果を達成するための非常に退屈なステップ」ではなく、成果に集中できると主張する。しかし同氏は、ほとんどのビジネスで、ノーコードのユーザーと従来のエンジニアが一緒に働いているとも指摘する。ノーコードアプリケーションの基盤となるデータベースを誰かが構築し、維持しなければならないからだ。

チームが現在注目しているのは、AppSheetプラットフォームの機能拡張に加え、それがエンドユーザーにどのように利用されるかということだ。

「従来は、アプリケーションを開発する場合、アプリケーションにアクセスして、そこで何かをしなければなりませんでした」とセシャドリ氏はいう。「私が経費精算レポートを作成しなければならないとします。そのために、経費精算レポートのアプリケーションを開きます。それは、ウェブページか何かでしょう。そして、それを実行します。さて、次に採用活動に関して何かをしなければならないとします。それを扱うアプリケーションにアクセスするでしょう。ありがちなのは、あらゆる場面で、ユーザーの文脈を変えてしまうということです。私たちが今取り組んでいるのは、クリエイターが作ったAppSheetアプリケーションをGmailに取り込むことです。そうすれば、ユーザーはその時の文脈から離れずに済みます。仕事の方からユーザーにやって来たり、アプリケーションの方がユーザーにやって来たりするわけです」。

セシャドリ氏は、Google Workspaceの中ではGmailが明確な出発点だというが、全体的な目標は、ユーザーの側に寄っていき、可能な限りユーザーが現在の仕事の文脈から離れないようにすることだ。

画像クレジット:Google

上記と関連して、次のことも注目に値する。Googleは、Atlassian(アトラシアン)と新たに統合し、その結果、JiraがGoogle ChatとSpaces(旧称「Rooms」)に組み込まれる。ユーザーはChatやSpaceからJiraの新しいチケットを作成したり、チケットのプレビューを見たり、アクティブな課題を追跡したりすることができる。Slack(スラック)やMicrosoft Teams(マイクロソフトチームズ)のユーザーはすでに利用している機能であり、Googleは単にツールボックスの足りない部分をを埋めたにすぎない。

「現代の仕事では、人々はこれまで以上に文脈やツールをすばやく切り替える必要があります」とAtlassianのチーフプロダクトオフィサーであるJoff Redfern(ジョフ・レドファン)氏は話す。「私たちは、ユーザーが日々頼りにしているツール間のオープンなエコシステムと緊密な統合が、彼らの成功に不可欠であると考えています。2017年以降、Gmailと統合した当社のTrelloは700万人以上にインストールされました。本日、AtlassianとGoogleの連携に基づき、JiraとGoogle ChatおよびSpacesが統合され、職場での協業をさらに推進できることをうれしく思います」。

画像クレジット:Sean Gallup/Getty Images / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nariko Mizoguchi

中小企業向けHRプラットフォームPersonioが約306億円調達、人事業務プロセスの自動化にも進出

この20カ月間でHRテクノロジーはスポットライトを浴びてきた。新型コロナウイルス(COVID-19)で私たちの働き方が変わったことで、仕事環境において人を管理する方法も変わらなければならなかったからだ。米国時間10月11日、中小企業に特化してこの問題に対処する方法を提供し大きなビジネスを構築してきた、ミュンヘンを拠点とするスタートアップ企業であるPersonio(ペルソニオ)が、同社のサービスに対する強い需要を受け、次のステップに向けて2億7000万ドル(約306億円)の資金調達を発表した。今回のシリーズEにより、Personioの評価額は63億ドル(約7140億円)に跳ね上がり、現在ヨーロッパで最も価値のある人事関連のスタートアップ企業の1つとなっている。

今回の資金調達は、Greenoaks Capital Partners(グリーンオークス・キャピタル・パートナーズ)が主導し、新たな投資家であるAltimeter Capital(アルティメット・キャピタル)とAlkeon(アルキオン)も参加している。このラウンドには、Index Ventures(インデックス・ベンチャーズ)、Accel(アクセル)、Meritech(メリテック)、Lightspeed(ライトスピード)、Northzone(ノースゾーン)、Global Founders Capital(グローバル・ファウンダーズ・キャピタル)など、以前からの支援者も参加している。IndexとMeritechは、2021年1月に行われたばかりの同社の前回のラウンドを主導した。当時のシリーズDラウンドの評価額は17億ドル(約1920億円)で、10カ月で3.7倍に成長したことになり、Personioの成長の速さを物語っている。

関連記事:中小企業にHRプラットフォームを提供する独Personioが約130億円調達

Personioは現在、ヨーロッパの中小企業(通常、従業員数10~2000人)を対象に、採用・入社手続き、給与計算、欠勤管理などの主要な人事機能をオールインワンのプラットフォームで提供している。1月の時点では3000社だった顧客数は、現在5000社に達している。Personioは、今後もさまざまなツールを拡充していく一方で、CEOのHanno Renner(ハンノ・レナー)氏が「ピープルワークフローオートメーション(人事業務プロセスの自動化)」と表現する分野にも進出していく予定だ。

基本的にこれは、Personio以外のアプリケーションで行う人事関連の作業において、人事情報を自動入力したり、それらのアプリケーション内でアクションを起こしたりすることで、手作業では時間がかかっていた作業をスピードアップすることを目的としている。例えば、雇用契約書の作成・発行や、入社や退職時に特定のアプリへのアクセス権を切り替えるといったことが可能だ。

Personioのプラットフォームが、企業が大規模で多面的なプラットフォームを用意するのと同じように、中小企業のニーズに合わせて連携する一連のHRツールであり「中小企業のためのWorkday」と捉えられるとすれば、同社が現在追加している自動化ツールは、中小企業向けのUiPath(ユーパス)やServiceNow(サービスナウ)に対する答えだと捉えられるかもしれない。つまり、機械学習やロボティック・プロセス・オートメーションなどの技術を使って、人事関連のタスクに関わる忙しい反復業務を取り除くことができる。

「12ヵ月間取り組んできましたが、今では5000人のお客様にプロダクトをそのまま使っていただいて、そこから学んでいます」とレナー氏はインタビューで答えている。この問題の核心は、異なる領域にあるソフトウェアをより迅速に連携させることにある。例えば、内定者に契約書を発行する必要があるときに、ここで時間をかけてその内定者が別の会社で契約するようなことにならないに、また、解雇された従業員が会社のITシステムに侵入できるようなことがないようにする必要がある。「人事プロセスは人事部だけではありません。人事プロセスは人事にとどまらず、他の機能や部門にも影響を与えます。遅延は時間を無駄にするだけでなく、有害な結果をもたらす可能性があるのです」。

Personioはこれまで、中小企業向けの製品を開発することで、中小企業という収益性の高い顧客層を開拓してきた新興企業グループの一員であることをアピールしてきた。中小企業は、ヨーロッパだけでも2500万社以上あり、全企業の99%以上を占めている。しかし、中小企業はさまざまな業種や関心事によって細分化されており、IT予算も非常に少なかったり、もしくはまったくなかったりするため、見過ごされがちだ。

人事の世界では、それがさらに深刻な状態だったとレナー氏はいう。ほとんどの中小企業は、人事関連のデータをエクセルのスプレッドシートや、ただの紙で管理していたりする。「私たちが日々目にするのは、中小企業の70%が何らかのHRソリューションを持っていないという状況です」と彼はいう。

しかし、デジタルトランスフォーメーションが中小企業を完全に見過ごしていたわけではなく、先進的な中小企業は販売、財務、CRMソフトウェアを徐々に導入していきている。そしてその流れが人事に関する考え方にも「波及」してきていると彼はいう。

Personioは、このことが顧客に自動化を売り込む際にも役立つと考えている。一般的な中小企業では、平均して約40種類のアプリを使用しており、その多くが人事システムからのデータを必要としていると同社は推定している。Personioは、これらのアプリケーションに連動性を提供することで、これらのアプリケーションの動作を高速化することができると考えている。

同社にはまだまだ多くの成長余地が残っている。Personioが対象としている中小企業(従業員数10〜2000人)の数は170万社であり、これはまだ市場のごく一部に過ぎないからだ。

つまり、新しい自動化製品が軌道に乗るかどうかにかかわらず、Personioにはまだ成長の可能性が高いということであり、同社が必要とする前に都合よく調達された今回の資金は役に立つだろう。新技術の導入により、将来的には人事部門以外の中小企業にも自動化サービスを提供できる可能性が出てきたため、今回の評価額の大幅な上昇は、中小企業に人事部門を進出させるための大きなチャンスであると同時に、その多様化にも関係していると考えられる。

「小規模企業は欧州経済を支える存在ですが、従来の企業では長い間、十分なサービスを受けられず、見過ごされてきました。Personioは、従業員のライフサイクル全体にわたって人事業務プロセスを簡素化し、大手企業がもっていた機能を広く普及させ、生産性を一段階向上させてくれました」とGreenoaks(グリーンオークス)の創業者兼マネージングパートナーであるNeil Mehta(ニール・メータ)氏は語っている。「私たちは、世界有数のプライベート・テクノロジー企業の多くとパートナー関係にあることを幸運に思っていますが、Personioのチームは、まだ彼らのミッションに着手したばかりだと確信しています。「人事業務プロセス自動化」のカテゴリーを立ち上げることで、ヨーロッパ中の企業にさらに多くの価値を提供することができるでしょう。私たちは、Personioのスリリングなステージに参加できることを誇りに思うとともに、今後も末永くパートナーであり続けたいと思っています」。

長期的には株式公開も視野に入れているが、ここで強調したいのは、その「長期的には」の部分だ。Personioは現在5億ドル(約560億円)の資金を調達しているが、レナー氏は次のステップを考えるのは少なくとも18〜24ヵ月後だと述べている。「公開を急いでいるわけではありません」と彼は語っている。

画像クレジット:metamorworks / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、Akihito Mizukoshi)

貨物輸送業向け生産性プラットフォームの英Vector.aiがシリーズAで約16.5億円を調達

コロナ禍でサプライチェーンに負荷がかかり続ける中、ここ2年間は貨物輸送業がスタートアップで最も熱い分野の1つになっている。実際、世界の貨物輸送業は1990億ドル(約21億9000億円)規模の市場になっている。そして、熱い分野である証拠もどんどん増えている。

2020年11月にデジタル貨物フォワーディングのFortoは、Inven Capitalが主導するラウンドで新たに5000万ドル(約55億円)を調達した。2021年4月にはNuvocargoが1200万ドル(約13億2000万円)を調達し、貨物ロジスティクス業界のデジタル化を手がけている。同年5月には貨物輸送業プラットフォームのZencargoが4200万ドル(約46億2000万円)を調達し、6月には貨物フォワーディングのsennderが10億ドル(約1100億円)以上の評価額で8000万ドル(約88億円)を調達した。7月には貨物輸送業者の輸送費管理を簡単にするFreightifyが250万ドル(約2億7500万円)を調達した。

関連記事:欧州の物流業界に一石を投じる貨物フォワーディング企業Sennderが約88億円調達、評価額約1100億円超えに

そして米国時間9月13日、AIプラットフォームで貨物輸送業者の生産性を向上する英国のVector.aiが、米国のVCであるBessemer Venture Partnersが主導するシリーズAで1500万ドル(約16億5000万円)を調達した。このラウンドにはこれまで投資していたDynamo VenturesとEpisode 1も参加した。Bessemerの投資は、米国のVCが英国やヨーロッパのテックシーンへの参入を続けている表れでもある。

Vector.aiは貨物輸送業向けの自動化システムとして国際進出を加速していく計画だ。

Vector.aiが取り組んでいるのはこんな問題だ。貨物輸送業者は顧客のメールなどから追跡して出荷をするような、同じことを繰り返す管理業務に時間を取られ、価値の高い活動に集中できない。Vector.aiは、同社が開発する機械学習プラットフォームで管理業務を自動化できるとしている。

Fracht、EFL、NNR Global Logistics、The Scarbrough Group、Steam Logistics、Navia Freight、その他トップ10に入る貨物輸送業者がVector.aiを利用している。

Vector.aiの共同創業者でCEOのJames Coombes(ジェームズ・クームズ)氏は次のようにコメントした。「貨物輸送業の従業員のほとんどは、1件の出荷に関わる10〜25の関係先との連絡や、貨物の動きと書類の調整に大半の時間を費やしています。連絡には通常、メールと添付書類が使われます。(中略)貨物の量は世界的に増え続け、Brexitによる負担や中国の港の閉鎖のようなコロナ禍の影響も加わって、貨物輸送業界は人手不足や急激な人件費の上昇、そして売上の減少や荷物の傷みで金銭的な負担となる配送の遅延に直面しています。貨物輸送業者にはローレベルの処理で時間を無駄にする余裕はありません。そこで我々は基本的な作業を自動化するテクノロジーを開発しました」。

Bessemer Venture PartnersのパートナーであるMike Droesch(マイク・ドロエシュ)氏は次のように述べた。「Vector.aiは急速に成長しつつある貨物輸送業のワークフローの自動化、デジタル化ツールの分野で早くから活躍するリーダーの1つです。同社はこの業界に的を絞った直感的な製品を開発しました。同社の製品はすでに最大手クラスの貨物輸送業者を獲得しています」。

Vector.aiの競合には、950万ドル(約10億4500万円)を調達した英国のShipamax、120万ドル(約1億3200万円)を調達した米国のRPA Labs、7590万ドル(約83億4900万円)を調達した米国のslync.ioがある。

画像クレジット:Witthaya Prasongsin / Getty Images

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(文:Mike Butcher、翻訳:Kaori Koyama)

DoNotPayの「ロボット弁護士」は行政への穴あきや倒木の報告、損害賠償請求をサポートする

毎日、道路の同じ穴をよけて運転するのにも飽きているが、どうやって市役所に報告するのか?すでに報告したんだけどその報告はどこかへ蒸発したみたいで、誰も読んでないし、もちろん直してもいないのか?

行政の問題を訴える、という面倒なことを自動化によって面倒でなくしてくれるDoNotPayなら、助けてくれるかもしれない。同社が「ロボット弁護士」と呼んでいるサービスは、最初は駐車違反切符ともっと楽に戦えるために始まった。しかしだんだん、もっといろいろな切符があることがわかってきた。なかなかやめられないサブスクをやめて、返金してもらえる切符などももある。

その試みは新しいのか?道路の穴や道に倒れている木、壊れている街路灯などの報告を助けるなんてことが?それだけでなく、しかも自分の所有物に被害がおよんだら、行政に弁償もしてほしい。

画像クレジット:DoNotPay

DoNotPayの創業者であるJoshua Browder(ジョシュア・ブラーダー)氏は次のように語る。「普通の米国人がクルマを運転していてテールライトが壊れていたら、行政が切符を切って罰金を食らう。しかし道路の穴が放置されていても、市民は行政から金をもらえない。この不公平を治すために、行政のための修復チケットのようなものを作ろう、と思ったのです」。

市の問題をDoNotPayで報告しようとすると、問題を報告するだけか、賠償を請求するか、どちらかの選択肢がある。報告だけなら正しい部署を見つけてあなたの町の問題を報告するだけだ。そのときはDoNotPayのチャットボットが必要な情報をすべて集めて、報告者の氏名電話番号などとともに提出する。

賠償金が絡めば、簡易裁判所(小額裁判所)へ行くことになる。その場合DoNotPayのロボット弁護士が正規の弁護士として原告を代表することはないが、必要なドキュメントを作って、訴訟のために必要なことをすべて教えてくれる。

DoNotPayはブラーダー氏のサイドプロジェクトとして始まったが、短期間でもっと重要なものになってきた。「スタンフォードに在学しているときは、駐車違反切符を山ほどもらいました。たしかにひどいドライバーでしたが、行政が切符を切るのは、金儲けのため。必ずしも人を罰するためじゃありません。そこで最初の頃はDoNotPayを、自分や友だちを助けるために遊びで開発しました。作った2日後に友だちの1人がredditにポストして、クチコミだけで国際的に共有されました。1日にわずか10件だったのが、たちまち5万件になりました。これは、サイドプロジェクトどころか、もっと大きなプロジェクトだと理解しました。一般市民として、行政の食い物にされたくない、という日頃からの気持ちに、それは応えていたのです。その後6年間は、自分のすべての時間を捧げました」とブラーダー氏はいう。

ブラーダー氏によると、DoNotPayの報告機能は全米のおよそ50の大都市ですでに利用可能で、標準サブスクリプション価格(3カ月で36ドル約3960円)に含まれているという。

画像クレジット:DoNotPay

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Hiroshi Iwatani)

本物の人間そっくりに答えるAI音声アシスタントでカスタマーサービスを自動化するPolyAI

PolyAIが、シリコンバレーのKhosla Venturesがリードする投資ラウンドで1400万ドル(約15億4000万円)を調達した。参加したのは、これまでの投資家であるPoint72 VenturesとAmadeus Capital、Sands Capital Ventures、Passion CapitalそしてEntrepreneur Firstとなる。これは同社の1200万ドル(約13億2000万円)のシリーズAに次ぐもので、主に米国のチームとスタッフの増員に当てられる。同社の調達総額は、これで2800万ドル(約30億7000万円)になる。

PolyAIは同社製の音声アシスタントを使ってカスタマーサービスを自動化する。同社によると、それは本物の人間のように聞こえるという。それによって企業は、まるで人間が話しているような音声オペレーターを安上がりかつ人数に制限なく利用でき、さらに顧客の待ち時間を減らし、顧客の満足度と定着率を上げることができる。

共同創業者のNikola Mrkšić(ニコラ・ムルクシッチ)博士によると「私たちの技術を技術用語でいえば、それは『マルチターンの会話的AI』となります。しかし実際には、すべての通話者がやることは、人と話すようにそれに話しかけることだけです。これまでのコールセンターに比べると私たちのアシスタントは顧客満足度を40%向上させ、対応時間を最大で5分間減らします」。

「競合他社と比べると、私たちはこのシステムをとても迅速に開発しています。弊社のトランスフォーマーをベースとする言語理解モデルと、基盤となる対話管理プラットフォームにより、このようなユーザー体験を2週間から4週間で実装しています」。

「PolyAIは、BERTやGPT-3のような最新世代の大規模な訓練済みのディープラーニングモデルを実際のエンタープライズプロダクトで使っている最初のAI企業の1つです。そのため彼らは、自動化AIエージェントをわずか2週間でデプロイでき、音声アシスタントの旧来のプロバイダーが古い技術のデプロイに最大で6カ月は要していたことと比べて、極めて対照的だです」とVinod Khosla(ビノッド・コースラ)氏は声明で述べている。

 

ケンブリッジ大学からスピンアウトしたPolyAIによると、パンデミックでコールセンターの人手不足になり、多くの企業がスマートボイスアシスタントをデプロイするようになったため、それは、最初から開いてるドアを開けるような楽な営業だった。消費者はタイプするよりも話すことを好むため、チャットボットと同等に比較することはできない。

Landry’s傘下のGolden Nugget Hotels & CasinosのBrian Jeppesen(ブライアン・ジェプセン)氏は「通話の40%ほどを扱ってくれればよい、と思っていましたが、立ち上げ初期から80%、2週間後には87%になりました。AIエージェントを人間だと思っているお客さんも多い。音声アシスタントは失敗しないし、24時間365日稼働しているので、それはすばらしいことです。こんなエージェントなら、もっとたくさんいてもいいね」という。

競合他社は、最近Microsoftが買収したNuanceやIsoft、Interactions、SmartAction、Replicantなどとなる。しかしPolyAIの主張では、同社の音声アシスタントは起動が早く、また対応言語も多く、分単位の料金となっているという。

同社の共同創業者は、CEOのニコラ・ムルクシッチ博士とCTOのTsung-Hsien Wen(ツォンシェン・ウェン)氏、そして技術部長のPei-Hao Su(ペイハオ・スー)氏で、2人はSteve Young(スティーブ・ヤング)教授の下で博士論文に取り組んでいるときに出会った。ヤング教授は音声対話システムのリーダーであり、SiriやGoogleアシスタントやAlexaのような音声アシスタントを支えている多くの技術の開拓者だ。

PolyAIの最近のクライアントには、Landry’s Entertainment、Greene King、Starling Bank(スターリング銀行)そしてViasatなどがいる。

画像クレジット:PolyAI

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hiroshi Iwatani)

「財務のためのIFTTT」、中小企業向け財務自動化プラットフォームを手がけるAurelia

財務自動化プラットフォームのAurelia(アウレリア)は、Blossom Capital(ブロッサム・キャピタル)の主導で300万ドル(約3億3000万円)のシード資金を調達した。

自らを「財務のためのIFTTT(イフト)」と称するAureliaは、銀行口座と財務ツールの統合を望む中小企業を対象としている。キャッシュフローや税金などの管理を強化し、通常は手作業で行われる作業を、コードの知識がなくても自動化することができると、同社は述べている。

今回の投資ラウンドに参加したエンジェル投資家は、Checkout.com(チェックアウト・ドットコム)の創業者兼CEOであるGuillaume Pousaz(ギヨーム・ポサーズ)氏が自身の投資会社であるZinal Growth(ジナール・グロース)を通じて出資している他、GoCardless(ゴーカードレス)の元COO兼CROだったErez Mathan(エレズ・マサン)氏などが含まれる。

Aureliaは、Transferwise(トランスファーワイズ)の主要エンジニアの1人でだったSebastian Trif(セバスチャン・トリフ)氏と、Jasper August Toes(ジャスパー・オーガスト・トーズ)氏によって設立された。

「事業のすべてを把握しようとするフィンテック系アプリや銀行はたくさんありますが、多くの中小企業は自社の財務状況を新しい製品に移すことに乗り気ではありません」とトリフ氏はいう。

Blossom Capitalの創業者であるOphelia Brown(オフェリア・ブラウン)氏は、次のように述べている。「私たち自身が中小企業の経営者であるため、中小企業にとって財務や会計を管理することがいかに苦痛であり、困難であるかを身をもって知っています。適切なソリューションを何年も探していた私たちは、その場でAureliaに出資を決めました」。

トリフ氏は次のように付け加えた。「機能ごとに見ると、当社はXero(ゼロ)やQuickbooks(クイックブックス)などの会計ソフト上に搭載されているプラグインのパックと競合しています。また、Tide(タイド)、Revolut for Business(レボリュート・フォー・ビジネス)、Wise for Business(ワイズ・フォー・ビジネス)など、より機能が限定されたスマートな中小企業向け銀行業務ソリューションとも競合しています」。

Aureliaのベータ版プラットフォームは現在、エストニア、ルーマニア、ドイツ、英国で稼働中だ。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

95%の精度で請求書を処理する「会計自動化」プラットフォームのVic.aiが55億円調達

企業会計を「自動化」することができるとうたうAIベースのプラットフォームを構築したスタートアップVic.aiがシリーズBラウンドで5000万ドル(約55億円)を調達した。本ラウンドはICONIQ Growthがリードし、既存投資家のGGV Capital、Cowboy Ventures、Costanoa Venturesも参加。Vic.aiの累計調達額は6300万ドル(約69億円)になった。

Vic.aiの顧客にはHSB(スウェーデン最大の不動産管理会社)、Intercom Inc、HireQuest Inc、そして会計事務所のKPMG、PwC、BDO、Armanino LLPが含まれる。これまでにVic.aiのプラットフォームは5億3500万件の請求書を95%の精度で処理した、と同社は話す。

会計プロセスでさらにオートメーション化を進めるために過去のデータと既存のプロセスから学習することでこの自動化を実現しており、時間を節約するとともにミスや重複も減らしているとVic.aiは説明する。

同社のCEOであるAlexander Hagerup(アレクサンダー・ハーゲルップ)氏は次のように話す。「2021年です。そろそろ財務と会計のチームがAIテクノロジーを利用すべきときです。会計業務は単調で繰り返しが多いものですが、そうした悩みはもうなくなります。我々のAIプラットフォームが財務と会計のチームのために自律性とインテリジェンスを提供します」。

ICONIQ Growthの創業パートナーであるWill Griffith(ウィル・グリフィス)氏は、Vic.aiのチームは「他の非常に優れた創業者らと同じ情熱、プロダクト中心・顧客第一の精神を持っています」と述べた。

画像クレジット:Vic.ai

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nariko Mizoguchi